(目的)
第一条 この法律は、住宅不足の著しい地域において、農地の所有者がその農地を転用して行なう賃貸住宅の建設等に要する資金の融通について政府が利子補給金を支給することにより、居住環境が良好で家賃が適正な賃貸住宅の供給を促進するとともに、水田の宅地化に資することを目的とする。
(利子補給金を支給する契約)
第二条 政府は、次の各号の一に該当する者の申請により、その者が特定賃貸住宅を建設する場合において、融資機関(農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第一号の事業を行なう農業協同組合その他政令で定める金融機関をいう。以下同じ。)がその資金を融通するときは、この法律の定めるところにより、当該融通された資金のうち建設省令で定める範囲のものについて利子補給金を支給する旨の契約(以下「利子補給契約」という。)を当該融資機関と結ぶことができる。
一 特定賃貸住宅の敷地となるべき土地の区域内の農地その他の宅地以外の土地を所有する個人
二 特定賃貸住宅を建設するために宅地造成(宅地以外の土地を宅地にするため行なう土地の形質の変更をいう。以下同じ。)に関する工事が行なわれた土地の区域内の宅地を所有する個人(宅地造成に関する工事の着手後に相続又は遺贈によらないで当該土地を取得した者を除く。)
三 前二号に掲げる者のほか、特定賃貸住宅の敷地となるべき土地の区域内の土地又はその土地について建物の所有を目的とする地上権、賃借権若しくは使用貸借による権利を有する者で政令で定めるもの
2 前項の特定賃貸住宅とは、大都市及びその周辺の都市に係る都市計画区域(都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第二項に規定する都市計画区域をいう。以下同じ。)その他の政令で定める都市計画区域に係る市街化区域(同法第七条第一項の規定による市街化区域をいう。)において建設される賃貸住宅(その規模、構造及び設備が建設省令で定める基準に適合するものに限る。)で、次の各号に掲げる条件に該当する一団地の住宅の全部又は一部をなすと認められるものをいう。
一 次に掲げる事項が政令で定める基準に適合していること。
ロ 一団地の面積に対する賃貸住宅の敷地の面積の割合又は住宅の戸数に対する賃貸住宅の戸数の割合
二 当該一団地の住宅の建設が政令で定める面積以上の水田の宅地化を伴うと認められること。
3 利子補給契約の対象とすることができる融資は、次の各号に掲げる条件に該当するものとする。
一 利子補給契約により利子補給金が支給される間(融資機関の責めに帰すべき事由により、支給されるべき利子補給金が支給されない間を含む。)における利率が年五・五パーセントであること。
二 償還期間が二十五年(据置期間一年以上を含む。)以上であること。
(利子補給金の支給の年限)
第三条 利子補給契約により政府が利子補給金を支給することができる年限は、当該利子補給契約をした会計年度以降十二年度以内とする。
(利子補給金の限度額)
第四条 政府は、毎年度、利子補給契約を結ぶ場合には、各利子補給契約において支給することとする利子補給金の総額の合計額が、当該年度の予算で定める金額をこえることとならないようにしなければならない。
第五条 政府は、利子補給契約を結ぶ場合には、当該利子補給契約において支給することとする利子補給金の総額が、利子補給契約に係る融資(以下「対象融資」という。)が最初に行なわれた日(以下「起算日」という。)から一年間について建設省令で定める方法により計算した対象融資の融資残高及び起算日から一年を経過した日から九年間について、利率を年五・五パーセントとし、償還期間を起算日から二十五年(据置期間一年を含む。)とする元利均等半年賦償還の方法により償還するものとして計算した対象融資の融資残高に、それぞれ次項の規定による利子補給率を乗じて計算した額の合計額をこえることとならないようにしなければならない。
2 利子補給率は、融資機関が通常同種類の融資を行なう場合における利率を勘案して、年三・五パーセントをこえない範囲内において建設大臣が定めるものとする。
(利子補給金を支給すべき融資残高)
第六条 政府は、利子補給契約を結ぶ場合には、起算日から十年間における対象融資の融資残高を、利子補給金を支給すべき対象融資の融資残高としなければならない。
(利子補給金の支給額)
第七条 政府は、利子補給契約により利子補給金を支給する場合には、当該利子補給契約において定められた利子補給金の総額の範囲内において、建設省令で定める期間ごとに、当該期間における対象融資の実際の融資残高(起算日から一年を経過した日以後の期間については、その融資残高が第五条第一項の規定により計算した融資残高をこえるときはその計算した融資残高)に同条第二項の規定による利子補給率を乗じて計算した額を、建設省令で定めるところにより、支給するものとする。
(賃貸条件等)
第八条 対象融資を受けた者は、当該融資の利率が年五・五パーセントである間は、当該融資に係る賃貸住宅をみずから居住するため住宅を必要とする者又は事業者(生産、販売、運送その他の事業を営み、常時五人以上の従業員を使用する者をいう。)でその使用する従業員に対し住宅を貸し付けようとする者以外の者に賃貸してはならない。
2 対象融資を受けた者は、当該融資の利率が年五・五パーセントである間は、当該融資に係る賃貸住宅を賃貸するときは、家賃の額その他賃貸の条件に関し建設省令で定める基準に従つてしなければならない。
(賃貸住宅の譲渡等の禁止)
第九条 対象融資を受けた者は、当該融資の利率が年五・五パーセントである間は、当該融資に係る賃貸住宅を譲渡し、又は住宅以外の用に供してはならない。ただし、やむを得ない事情があると認めて建設大臣が承認した場合においては、この限りでない。
(報告及び検査)
第十条 建設大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、対象融資に係る賃貸住宅に関する業務の範囲内において、当該融資を受けた者に対して報告をさせ、又はその職員に当該融資を受けた者の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(融資機関の利子補給契約違反に対する措置等)
第十一条 政府は、融資機関が利子補給契約に違反したときは、当該融資機関に対し、支給すべき利子補給金の全部若しくは一部を支給せず、又は支給した利子補給金の全部若しくは一部の返還を求めることができる。
2 政府は、対象融資を受けた者がこの法律に違反したときは、融資機関に対し、当該融資について支給すべき利子補給金の全部又は一部を支給しないことができる。
(権限の委任)
第十二条 この法律又はこの法律に基づく政令の規定により建設大臣に属する権限は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に委任することができる。
(政令への委任)
第十三条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
(罰則)
第十四条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
第十五条 第十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三万円以下の罰金に処する。
第十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の刑を科する。