道路整備特別措置法
法令番号: 法律第169号
公布年月日: 昭和27年6月6日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

国と地方公共団体の財政状況を考慮し、道路整備の促進と交通利便性向上のため、一定要件を満たす道路の新設・改築において通行料金を徴収し建設費を償還する制度を提案する。有料道路の整備主体は建設大臣、都道府県知事、市長とし、対象は通行者が著しい利益を受け、代替路のある道路に限定する。料金徴収は主に諸車・無軌条電車を対象とし、通行者の受ける利益の範囲内で政令により定める。また建設大臣は大蔵大臣と協議の上、地方公共団体への費用貸付が可能とする。

参照した発言:
第13回国会 衆議院 建設委員会 第13号

審議経過

第13回国会

衆議院
(昭和27年3月25日)
(昭和27年3月26日)
参議院
(昭和27年3月26日)
衆議院
(昭和27年3月27日)
参議院
(昭和27年3月27日)
衆議院
(昭和27年3月28日)
(昭和27年3月29日)
(昭和27年3月29日)
参議院
(昭和27年4月1日)
(昭和27年4月17日)
(昭和27年4月18日)
(昭和27年4月22日)
(昭和27年5月27日)
(昭和27年5月28日)
衆議院
(昭和27年5月31日)
(昭和27年7月31日)
参議院
(昭和27年7月31日)
道路整備特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年六月六日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百六十九号
道路整備特別措置法
(この法律の目的)
第一條 この法律は、その通行又は利用について料金を徴収することができる道路を新設し、又は改築する場合の特別の措置を定め、もつて道路の整備を促進し、交通の利便を増進することを目的とする。
(用語の定義)
第二條 この法律において「道路」とは、道路法(大正八年法律第五十八号)第一條に規定する道路をいい、同法第二條に規定する道路の附属物を含むものとする。
2 この法律において「料金」とは、建設大臣又は道路の管理者が道路の通行又は利用について徴収する料金をいう。
(料金を徴収することができる道路の新設又は改築)
第三條 建設大臣は、道路が左の各号に規定する條件に該当する場合に限り、道路法第二十條第二項の規定にかかわらず、自ら当該道路を新設し、又は改築(舗装を含む。以下同じ。)して、料金を徴収することができる。
一 当該道路の通行者又は利用者がその通行又は利用に因り著しく利益を受けるものであること。
二 通常他に道路の通行又は利用の方法があつて、当該道路の通行又は利用が余儀なくされるものでないこと。
三 当該道路の新設又は改築に要する費用が償還を要するものであること。
2 料金の額は、当該道路の通行又は利用に因り通常受ける利益の限度をこえないものでなければならない。
3 前項に規定するものの外、同項の料金の額の基準は、政令で定める。
4 建設大臣は、第一項の規定により徴収する料金を決定し、又は変更しようとする場合においては、その料金につき、あらかじめ、運輸大臣の意見を聞かなければならない。
5 建設大臣は、料金を徴収しようとする場合においては、あらかじめ、官報でその額及び徴収期間を告示しなければならない。当該料金の額又は徴収期間を変更しようとする場合においても、同様とする。
(管理者の意見の聴取)
第四條 建設大臣は、前條第一項の規定により道路を新設し、又は改築しようとする場合においては、あらかじめ、当該道路の管理者の意見を聞かなければならない。
2 前項の規定により道路の管理者が意見を提出しようとする場合においては、その統轄する地方公共団体の議会に諮問しなければならない。
(料金徴収の対象)
第五條 第三條第一項の規定による料金は、同項の規定により新設し、又は改築した道路を通行し、又は利用する道路交通取締法(昭和二十二年法律第百三十号)第二條第四項に規定する諸車及び無軌條電車から徴収する。但し、同法第十條第三項に規定する緊急自動車その他政令で定める車両については、この限りでない。
2 渡船場、道路用エレベーターその他政令で定める施設については、前項本文の規定にかかわらず、当該施設を利用する人からも第三條第一項の規定による料金を徴収することができる。
(料金を徴収することができる道路の新設又は改築の許可)
第六條 道路の管理者(都道府県知事及び市長である場合に限る。以下本條、第七條及び第十條において同じ。)は、道路の新設又は改築に要する費用の全部又は一部が償還を要するものであり、且つ、当該道路が第三條第一項第一号及び第二号に規定する條件に該当する場合に限り、建設大臣の許可を受けて、当該道路を新設し、又は改築して、料金を徴収することができる。
2 第三條第二項、第三項及び前條の規定は、前項の規定による料金について準用する。
3 道路の管理者は、第一項の規定による許可を受けようとする場合においては、あらかじめ、その統轄する地方公共団体の議会に諮問した上、設計図その他必要な図面を添附して、左に掲げる事項を記載した申請書を建設大臣に提出しなければならない。
一 工事方法
二 工事予算及び資金の貸付希望額
三 工事の着手及び完成の予定年月日
四 収支予算明細
五 料金
六 料金徴収期間
七 元利償還年次計画
4 建設大臣は、前項の規定による申請書を受理した場合において、申請に係る道路の新設又は改築が第一項に規定する要件に該当し、且つ、申請に係る前項各号に掲げる事項が適正であると認められるときに限り、第一項の許可を与えることができる。
5 道路の管理者は、第三項第一号又は第五号から第七号までに掲げる事項を変更しようとする場合においては、あらかじめ、その統轄する地方公共団体の議会に諮問した上、建設大臣の許可を受けなければならない。
6 道路の管理者は、第三項第二号から第四号までに掲げる事項のみを変更しようとする場合においては、あらかじめ、その統轄する地方公共団体の議会に諮問した上、建設大臣に届け出ることをもつて足りる。
7 建設大臣は、第一項又は第五項の規定による許可をしようとする場合においては、第三項第五号の料金に係る部分について、あらかじめ、運輸大臣の意見を聞かなければならない。
8 第三條第五項の規定は、道路の管理者が料金を徴収しようとする場合及び当該料金の額又は徴収期間を変更しようとする場合について準用する。この場合において、同項中「官報」とあるのは、「道路の管理者である都道府県知事又は市長の定める方法」と読み替えるものとする。
(資金の貸付)
第七條 建設大臣は、大蔵大臣と協議の上、昭和二十七年度以降三年間を限り、前條第一項の規定により許可を受けた道路の管理者の統轄する地方公共団体に対し、その申請に基き、当該道路の新設又は改築に要する費用に充てる資金の全部又は一部を貸し付けることができる。
(貸付の條件)
第八條 前條の規定により貸し付ける資金(以下「貸付金」という。)の利率、償還期限及び据置期間は、政令で定める。
2 貸付金の償還は、割賦償還の方法によるものとする。但し、資金の貸付を受けた地方公共団体は、貸付金についていつでも繰上償還をすることができる。
3 建設大臣は、左の各号の一に該当する場合においては、前項の規定にかかわらず、貸付を受けた地方公共団体に対し、貸付金につき一時償還を請求することができる。
一 貸付を受けた地方公共団体が償還金の支払を怠つたとき。
一 貸付を受けた地方公共団体が貸付金を貸付の目的以外の目的に使用したとき。
4 建設大臣は、貸付を受けた地方公共団体が災害その他の特別の事由に因り、元利金の支払が著しく困難となつた場合においては、その申請に基き、貸付の條件又は元利金の支払方法を変更することができる。
(報告及び検査)
第九條 建設大臣は、貸付の目的を最もよく達成するために必要があると認める場合においては、貸付を受けた地方公共団体に対して報告をさせ、又はその職員をして貸付金の使用に関し、当該地方公共団体の帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
(許可を受けた者の義務)
第十條 第六條第一項の規定により許可を受けた道路の管理者は、工事の途中において、建設省令で定めるところにより、建設大臣の検査を受けなければならない。工事が完了した場合においても、同様とする。
2 建設大臣は、前項の規定による検査の結果当該道路の構造が第六條第一項の許可を受けた工事方法に適合しないと認める場合においては、道路の管理者に対し、当該道路の構造が同項の許可を受けた工事方法に適合することになるように工事方法の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
3 許可を受けた道路の管理者は、第一項後段の規定による検査に合格した後でなければ、当該道路の供用を開始してはならない。
(維持修繕費の補助)
第十一條 建設大臣は、第三條第一項の規定により新設し、又は改築した道路の管理者の統轄する地方公共団体に対し、当該道路の料金徴収期間内における維持修繕費について、予算の定めるところにより、補助することができる。
(権限の代行)
第十二條 建設大臣は、第三條第一項の規定による権限を当該道路の管理者に代行させることができる。
(道路法の適用)
第十三條 この法律による道路の新設、改築その他の管理については、この法律に定めるものを除く外、道路法(第三十三條第三項及び第三十五條第一項を除く。)の規定の適用があるものとする。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行し、昭和二十七年四月一日から適用する。
2 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三條第十三号の次に次の二号を加える。
十三の二 特定道路整備事業特別会計の経理を行うこと。
十三の三 道路整備特別措置法(昭和二十七年法律第百六十九号)第三條第一項の規定により料金を徴収すること。
第四條第七項中「前條第十三号、第十五号及び第十六号」を「前條第十三号から第十三号の三まで、第十五号及び第十六号」に改める。
大蔵大臣 池田勇人
運輸大臣 村上義一
建設大臣 野田卯一
内閣総理大臣 吉田茂
道路整備特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年六月六日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百六十九号
道路整備特別措置法
(この法律の目的)
第一条 この法律は、その通行又は利用について料金を徴収することができる道路を新設し、又は改築する場合の特別の措置を定め、もつて道路の整備を促進し、交通の利便を増進することを目的とする。
(用語の定義)
第二条 この法律において「道路」とは、道路法(大正八年法律第五十八号)第一条に規定する道路をいい、同法第二条に規定する道路の附属物を含むものとする。
2 この法律において「料金」とは、建設大臣又は道路の管理者が道路の通行又は利用について徴収する料金をいう。
(料金を徴収することができる道路の新設又は改築)
第三条 建設大臣は、道路が左の各号に規定する条件に該当する場合に限り、道路法第二十条第二項の規定にかかわらず、自ら当該道路を新設し、又は改築(舗装を含む。以下同じ。)して、料金を徴収することができる。
一 当該道路の通行者又は利用者がその通行又は利用に因り著しく利益を受けるものであること。
二 通常他に道路の通行又は利用の方法があつて、当該道路の通行又は利用が余儀なくされるものでないこと。
三 当該道路の新設又は改築に要する費用が償還を要するものであること。
2 料金の額は、当該道路の通行又は利用に因り通常受ける利益の限度をこえないものでなければならない。
3 前項に規定するものの外、同項の料金の額の基準は、政令で定める。
4 建設大臣は、第一項の規定により徴収する料金を決定し、又は変更しようとする場合においては、その料金につき、あらかじめ、運輸大臣の意見を聞かなければならない。
5 建設大臣は、料金を徴収しようとする場合においては、あらかじめ、官報でその額及び徴収期間を告示しなければならない。当該料金の額又は徴収期間を変更しようとする場合においても、同様とする。
(管理者の意見の聴取)
第四条 建設大臣は、前条第一項の規定により道路を新設し、又は改築しようとする場合においては、あらかじめ、当該道路の管理者の意見を聞かなければならない。
2 前項の規定により道路の管理者が意見を提出しようとする場合においては、その統轄する地方公共団体の議会に諮問しなければならない。
(料金徴収の対象)
第五条 第三条第一項の規定による料金は、同項の規定により新設し、又は改築した道路を通行し、又は利用する道路交通取締法(昭和二十二年法律第百三十号)第二条第四項に規定する諸車及び無軌条電車から徴収する。但し、同法第十条第三項に規定する緊急自動車その他政令で定める車両については、この限りでない。
2 渡船場、道路用エレベーターその他政令で定める施設については、前項本文の規定にかかわらず、当該施設を利用する人からも第三条第一項の規定による料金を徴収することができる。
(料金を徴収することができる道路の新設又は改築の許可)
第六条 道路の管理者(都道府県知事及び市長である場合に限る。以下本条、第七条及び第十条において同じ。)は、道路の新設又は改築に要する費用の全部又は一部が償還を要するものであり、且つ、当該道路が第三条第一項第一号及び第二号に規定する条件に該当する場合に限り、建設大臣の許可を受けて、当該道路を新設し、又は改築して、料金を徴収することができる。
2 第三条第二項、第三項及び前条の規定は、前項の規定による料金について準用する。
3 道路の管理者は、第一項の規定による許可を受けようとする場合においては、あらかじめ、その統轄する地方公共団体の議会に諮問した上、設計図その他必要な図面を添附して、左に掲げる事項を記載した申請書を建設大臣に提出しなければならない。
一 工事方法
二 工事予算及び資金の貸付希望額
三 工事の着手及び完成の予定年月日
四 収支予算明細
五 料金
六 料金徴収期間
七 元利償還年次計画
4 建設大臣は、前項の規定による申請書を受理した場合において、申請に係る道路の新設又は改築が第一項に規定する要件に該当し、且つ、申請に係る前項各号に掲げる事項が適正であると認められるときに限り、第一項の許可を与えることができる。
5 道路の管理者は、第三項第一号又は第五号から第七号までに掲げる事項を変更しようとする場合においては、あらかじめ、その統轄する地方公共団体の議会に諮問した上、建設大臣の許可を受けなければならない。
6 道路の管理者は、第三項第二号から第四号までに掲げる事項のみを変更しようとする場合においては、あらかじめ、その統轄する地方公共団体の議会に諮問した上、建設大臣に届け出ることをもつて足りる。
7 建設大臣は、第一項又は第五項の規定による許可をしようとする場合においては、第三項第五号の料金に係る部分について、あらかじめ、運輸大臣の意見を聞かなければならない。
8 第三条第五項の規定は、道路の管理者が料金を徴収しようとする場合及び当該料金の額又は徴収期間を変更しようとする場合について準用する。この場合において、同項中「官報」とあるのは、「道路の管理者である都道府県知事又は市長の定める方法」と読み替えるものとする。
(資金の貸付)
第七条 建設大臣は、大蔵大臣と協議の上、昭和二十七年度以降三年間を限り、前条第一項の規定により許可を受けた道路の管理者の統轄する地方公共団体に対し、その申請に基き、当該道路の新設又は改築に要する費用に充てる資金の全部又は一部を貸し付けることができる。
(貸付の条件)
第八条 前条の規定により貸し付ける資金(以下「貸付金」という。)の利率、償還期限及び据置期間は、政令で定める。
2 貸付金の償還は、割賦償還の方法によるものとする。但し、資金の貸付を受けた地方公共団体は、貸付金についていつでも繰上償還をすることができる。
3 建設大臣は、左の各号の一に該当する場合においては、前項の規定にかかわらず、貸付を受けた地方公共団体に対し、貸付金につき一時償還を請求することができる。
一 貸付を受けた地方公共団体が償還金の支払を怠つたとき。
一 貸付を受けた地方公共団体が貸付金を貸付の目的以外の目的に使用したとき。
4 建設大臣は、貸付を受けた地方公共団体が災害その他の特別の事由に因り、元利金の支払が著しく困難となつた場合においては、その申請に基き、貸付の条件又は元利金の支払方法を変更することができる。
(報告及び検査)
第九条 建設大臣は、貸付の目的を最もよく達成するために必要があると認める場合においては、貸付を受けた地方公共団体に対して報告をさせ、又はその職員をして貸付金の使用に関し、当該地方公共団体の帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
(許可を受けた者の義務)
第十条 第六条第一項の規定により許可を受けた道路の管理者は、工事の途中において、建設省令で定めるところにより、建設大臣の検査を受けなければならない。工事が完了した場合においても、同様とする。
2 建設大臣は、前項の規定による検査の結果当該道路の構造が第六条第一項の許可を受けた工事方法に適合しないと認める場合においては、道路の管理者に対し、当該道路の構造が同項の許可を受けた工事方法に適合することになるように工事方法の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
3 許可を受けた道路の管理者は、第一項後段の規定による検査に合格した後でなければ、当該道路の供用を開始してはならない。
(維持修繕費の補助)
第十一条 建設大臣は、第三条第一項の規定により新設し、又は改築した道路の管理者の統轄する地方公共団体に対し、当該道路の料金徴収期間内における維持修繕費について、予算の定めるところにより、補助することができる。
(権限の代行)
第十二条 建設大臣は、第三条第一項の規定による権限を当該道路の管理者に代行させることができる。
(道路法の適用)
第十三条 この法律による道路の新設、改築その他の管理については、この法律に定めるものを除く外、道路法(第三十三条第三項及び第三十五条第一項を除く。)の規定の適用があるものとする。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行し、昭和二十七年四月一日から適用する。
2 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第十三号の次に次の二号を加える。
十三の二 特定道路整備事業特別会計の経理を行うこと。
十三の三 道路整備特別措置法(昭和二十七年法律第百六十九号)第三条第一項の規定により料金を徴収すること。
第四条第七項中「前条第十三号、第十五号及び第十六号」を「前条第十三号から第十三号の三まで、第十五号及び第十六号」に改める。
大蔵大臣 池田勇人
運輸大臣 村上義一
建設大臣 野田卯一
内閣総理大臣 吉田茂