総理府設置法
法令番号: 法律第127号
公布年月日: 昭和24年5月31日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

国家行政組織法の施行に伴い、総理府の組織権限を具体的に定める必要から本法案を提出した。主な内容は以下の3点である。第一に、総理府の外局を網羅的に列挙し、内閣総理大臣の所轄に属する中央行政機関を一覧できるようにした。第二に、行政機構改革に伴い、新聞出版用紙割当事務庁と賞勲局を内部部局化し、俘虜情報局を附属機関とするなどの改廃を行った。第三に、国家公務員法との関係を明確にし、総理府職員の人事に関する事務は同法に従って処理することを明記した。

参照した発言:
第5回国会 衆議院 内閣委員会 第11号

審議経過

第5回国会

衆議院
(昭和24年4月19日)
(昭和24年4月20日)
参議院
(昭和24年4月20日)
(昭和24年4月21日)
衆議院
(昭和24年4月22日)
(昭和24年5月10日)
(昭和24年5月11日)
(昭和24年5月13日)
(昭和24年5月14日)
参議院
(昭和24年5月21日)
(昭和24年5月22日)
衆議院
(昭和24年5月31日)
参議院
(昭和24年6月1日)
総理府設置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年五月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百二十七号
総理府設置法
目次
第一章
総則(第一條―第四條)
第二章
本府
第一節
内部部局(第五條―第九條)
第二節
附属機関(第十條―第十五條)
第三節
機関(第十六條)
第三章
外局(第十七條・第十八條)
第四章
職員(第十九條―第二十二條)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一條 この法律は、総理府の所掌事務の範囲及び権限を明確に定めるとともにその所掌する行政事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを目的とする。
(設置)
第二條 國家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三條第二項の規定に基いて、総理府を設置する。
2 総理府の長は、内閣総理大臣とする。
(総理府の任務)
第三條 総理府は、左に掲げる國の行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。
一 恩給、統計及び栄典に関する事務並びに新聞出版用紙の割当
二 各行政機関の施策及び事務の総合調整
三 他の行政機関の所掌に属しない行政事務並びに條約及び法律(法律に基く命令を含む。)で総理府の所掌に属せしめられた行政事務
(総理府の権限)
第四條 総理府は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律(法律に基く命令を含む。)に從つてなさなければならない。
一 予算の範囲内で、所掌事務の遂行に必要な支出負担行爲をすること。
二 收入金を徴收し、所掌事務の遂行に必要な支拂をすること。
三 所掌事務の遂行に直接必要な事務所等の施設を設置し、及び管理すること。
四 所掌事務の遂行に直接必要な業務用資材、事務用品、研究用資材等を調達すること。
五 不用財産を処分すること。
六 職員の任免及び賞罰を行い、その他職員の人事を管理すること。
七 職員の厚生及び保健のため必要な施設をし、及びこれを管理すること。
八 職員に貸與するために宿舍を設置し、及びこれを管理すること。
九 所掌事務に関する統計及び調査資料を頒布し、又は刊行すること。
十 所掌事務の監察を行い、法令の定めるところに從い、必要な措置をすること。
十一 所掌事務の周知宣傳を行うこと。
十二 総理府の公印を制定すること。
十三 官報及び法令全書の編集及び印刷並びに内閣所管の機密文書の印刷について指揮監督すること。
十四 栄典を授與すること。
十五 栄典の授與及びはく奪に関し審査すること。
十六 恩給を受ける権利を裁定し、及び恩給に関する具申について裁決すること。
十七 各種の統計調査を行うこと。
十八 新聞出版用紙の割当を行うこと。
十九 前各号に掲げるものの外、他の行政機関に属しない事項及び條約、法律又は命令に基き総理府に属せしめられた行政事務を行うこと。
第二章 本府
第一節 内部部局
(内部部局)
第五條 本府に、大臣官房及び左の三局を置く。
恩給局
統計局
新聞出版用紙割当局
2 大臣官房に、賞勳部を置き、統計局に、左の三部を置く。
人口部
経済部
製表部
(大臣官房の事務)
第六條 大臣官房においては、総理府の所管行政に関し、左の事務をつかさどる。
一 機密に関すること。
二 職員の職階、任免、分限、懲戒、服務その他の人事並びに教養及び訓練に関すること。
三 内閣総理大臣の官印及び府印を制定し、及び管守すること。
四 公文書類を起案し、接受し、発送し、編集し及び保存すること。
五 官報及び法令全書の編集及び印刷並びに内閣所管の機密文書の印刷の指揮監督に関すること。
六 大臣官房所管図書を管理すること。
七 経費及び收入の予算、決算及び会計並びに会計の監査に関すること。
八 行政財産及び物品を管理すること。
九 職員の衞生、医療その他福利厚生に関すること。
十 行政の考査を行うこと。
十一 こう報に関すること。
十二 法令案の審査に関すること。
十三 各行政機関の施策及び事務の総合調整に関すること。
十四 他の行政機関の所掌に属しない事務についてこれを調査し、企画し、及び立案すること。
十五 公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令(昭和二十二年勅令第一号)及び市町村長の立候補禁止等に関する勅令(昭和二十二年勅令第三号)の施行並びにその統轄に関すること。
十六 財閥同族支配力排除法(昭和二十三年法律第二号)に基き内閣総理大臣の権限に属する事項に関すること。
十七 調査及び統計(統計局の所掌に属するものを除く。)の一般に関すること。
十八 栄典制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。
十九 勳位、勳章に関すること。
二十 記章、ほう章その他の賞件に関すること。
二十一 外國の勳章、記章の受領及び着用に関すること。
二十二 前各号に掲げるものの外、総理府の所掌事務で他局及び他の機関の所掌に属さない事務に関すること。
2 大臣官房においては、前項の事務の外、内閣法(昭和二十二年法律第五号)第十二條に定める内閣官房の所掌に属する事務をつかさどる。
3 大臣官房賞勳部においては、第一項第十八号から第二十一号までに規定する事務をつかさどる。
(恩給局の事務)
第七條 恩給局においては、左の事務をつかさどる。
一 恩給制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。
二 恩給を受ける権利の裁定に関すること。
三 恩給に関する具申の裁決に関すること。
四 恩給の支給及び負担に関すること。
(統計局の事務)
第八條 統計局においては、左の事務をつかさどる。
一 國勢調査その他國勢の基本に関する統計調査の実施及び製表を行うこと。
二 國の行政機関又は地方公共團体の委託を受けて各種の統計調査の実施及び製表を行うこと。
三 統計職員の養成を行うこと。
四 統計技術の研究を行うこと。
五 統計に関する図書及び資料を收集し、整備し、編集し、及び刊行すること。
2 前項の事務のうち、國勢調査その他人口に関する統計調査の実施は、統計局人口部において、経済に関する統計調査の実施は、統計局経済部において、各種統計調査の製表は、統計局製表部においてつかさどる。
(新聞出版用紙割当局の事務)
第九條 新聞出版用紙割当局においては、新聞出版用紙の割当に関する法律(昭和二十三年法律第二百十一号)の定めるところにより、新聞出版用紙の割当に関する事務をつかさどる。
第二節 附属機関
(附属機関)
第十條 第十六條に規定するものの外、本府に、左の附属機関を置く。
ふ虜情報局
統計職員養成所
新給與実施本部
國立世論調査所
(ふ虜情報局)
第十一條 ふ虜情報局は、ふ虜に関する状況の調査、通報、銘銘票の作成並びにその補修、金品の取扱調査、遺留金品の保管並びにその調査及び関係者に対する送付、相手國戰死者につき関係行政機関等において知得したこと及び相手國にふ虜となつた者に関する状況の調査に関する事務を取り扱う機関とする。
2 ふ虜情報局は、東京都に置く。
3 ふ虜情報局の内部組織は、総理府令で定める。
(統計職員養成所)
第十二條 統計職員養成所は、國の行政機関及び地方公共團体の職員に対して、統計事務に從事する幹部職員として必要な職務上の訓練を行う機関とする。
2 統計職員養成所は、東京都に置く。
3 統計職員養成所の内部組織は、総理府令で定める。
(新給與実施本部)
第十三條 新給與実施本部は、政府職員の新給與実施に関する法律(昭和二十三年法律第四十六号)の完全な実施を確保し、その目的を達成するため設けられる機関とする。
2 新給與実施本部の内部組織は、政府職員の新給與実施に関する法律で定めるものを除くの外、総理府令で定める。
(國立世論調査所)
第十四條 國立世論調査所は、世論に基く政策の樹立及び行政の運営に資する目的で世論の調査を自主的且つ公正に行う機関とする。
2 國立世論調査所は、東京都に置く。
3 國立世論調査所の組織及び所掌事務については、國立世論調査所設置法(昭和二十四年法律第百二十八号)の定めるところによる。
(その他の附属機関)
第十五條 左の表の上欄に掲げる機関は、総理府の附属機関として置かれるものとし、その設置の目的は、それぞれ下欄に記載する通りとする。
種類
目的
恩給審査会
恩給法(大正十二年法律第四十八号)の規定に基き恩給に関する事項を審査すること
交通事業調整審議会
運輸大臣及び建設大臣の諮問に應じて陸上交通事業調整法(昭和十三年法律第七十一号)第二條第一項、第三條第三項、第五條及び第十二條に規定する事項を調査審議すること
教育刷新審議会
教育に関する重要事項を調査審議すること
地方制度調査会
内閣総理大臣の諮問に應じて、地方行政に関する事項を調査審議すること
中央災害救助対策協議会
災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)に基く災害の救助その他緊急措置の適切円滑な実施を図ること
地方災害救助対策協議会
都道府縣災害救助対策協議会
観光事業審議会
観光事業に関する基本的計画及びその他重要事業を調査審議すること
引揚同胞対策審議会
引揚同胞対策審議会法(昭和二十三年法律第二百十二号)に基き在外同胞の引揚促進その他引揚同胞対策に関する事項を調査審議すること
地方税審議会
地方税法(昭和二十三年法律第百十号)に基き地方税に関する審査を行うこと
檢察官適格審査会
檢察廳法(昭和二十二年法律第六十一号)第二十三條第一項に規定する事項に関する審査を行うこと
科学技術行政協議会
科学技術行政協議会法(昭和二十三年法律第二百五十三号)に基き日本学術会議と緊密に協力し、科学技術を行政に反映させるための諸方策及び各行政機関相互の間の科学技術に関する行政の連絡調整に必要な措置を審議すること
社会保障制度審議会
社会保障制度審議会設置法(昭和二十三年法律第二百六十六号)に基き社会保障制度につき調査、審議及び勧告を行うこと
宿舍審議会
國家公務員の國設宿舍に関する法律(昭和二十四年法律第百十七号)に基き内閣総理大臣の諮問に應じて國家公務員の宿舍の設置、維持及び管理その他の重要事項を調査審議すること
選挙制度調査会
内閣総理大臣の諮問に應じて國会議員の選挙及び地方公共團体における選挙に関する制度について調査審議する
新聞出版用紙割当審議会
新聞出版用紙の割当に関する法律(昭和二十三年法律第二百十一号)に基き、新聞出版用紙の割当に関する重要事項を審議すること
2 前項に掲げる附属機関の組織、所掌事務及び委員その他の職員については、他の法律(法律に基く命令を含む。)に別段の定がある場合を除くの外、政令で定める。
第三節 機関
(機関)
第十六條 内閣総理大臣の所轄の下に、日本学術会議を置く。
2 日本学術会議は、わが國の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び國民生活に科学を反映浸透させるための機関とする。
3 日本学術会議は、東京都に置く。
4 日本学術会議の組織及び所掌事務については、日本学術会議法(昭和二十三年法律第百二十一号)の定めるところによる。
第三章 外局
(外局)
第十七條 國家行政組織法第三條第二項の規定に基いて、総理府に置かれる外局は、左の通りとする。
統計委員会
公正取引委員会
全國選挙管理委員会
國家公安委員会
公職資格訴願審査委員会
外國爲替管理委員会
宮内廳
特別調達廳
賠償廳
行政管理廳
地方自治廳
(外局の組織、所掌事務及び権限)
第十八條 前條の規定による外局の組織、所掌事務及び権限に関しては、他の法律に別段の定のあるものを除く外、それぞれ次の表の下欄の法律(法律に基く命令を含む。)又は政令の定めるところによる。
統計委員会
統計法(昭和二十二年法律第十八号)
公正取引委員会
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)
全國選挙管理委員会
全國選挙管理委員会法(昭和二十二年法律第百五十四号)
國家公安委員会
警察法(昭和二十二年法律第百九十六号)
公職資格訴願審査委員会
公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令の規定による覚書該当者の指定の特免に関する政令(昭和二十四年政令第三十九号)
外國爲替管理委員会
外國爲替管理委員会令(昭和二十四年政令第五十三号)
宮内廳
宮内廳法(昭和二十二年法律第七十号)
特別調達廳
特別調達廳設置法(昭和二十四年法律第百二十九号)
賠償廳
賠償廳臨時設置法(昭和二十三年法律第三号)
行政管理廳
行政管理廳設置法(昭和二十三年法律第七十七号)
地方自治廳
地方自治廳設置法(昭和二十四年法律第百三十一号)
第四章 職員
(内閣官房長官)
第十九條 内閣官房長官は、内閣法に定める職務を行う外、内閣総理大臣を助け、総理府所管の事項について政務に参画し、府務を整理し、並びに各部局及び機関の事務を監督する。
(内閣官房副長官)
第二十條 内閣官房副長官は、内閣法に定める職務を行う外、内閣総理大臣の定めるところにより、総理府所管の事項について、上官の職務を助ける。
(その他の職員)
第二十一條 前二條に定める職員の外、総理府に置かれる職員の任免、昇任、懲戒その他人事管理に関する事項については、國家公務員法の定めるところによる。
(定員)
第二十二條 総理府に置かれる職員の定員は、別に法律で定める。
附 則
1 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。
2 國家公務員法第三條及び第百八條の規定により、恩給制度が人事院において運用せられるに至つた場合においては、その限度において、恩給に関する事務及び権限は、総理府の所掌事務及び権限から除かれるものとする。
3 左の法令は、廃止する。但し、法律(法律に基く命令を含む。)に別段の定のある場合を除く外、從前の機関及び職員は、この法律に基く相当の機関及び職員となり同一性をもつて存続するものとする。
総理廳官制(昭和二十三年政令第三号)
総理廳部内臨時職員設置制(昭和十八年勅令第百八十九号)
賞勳局官制(明治二十六年勅令第百十六号)
ふ虜情報局官制(昭和十六年勅令第千二百四十六号)
新聞出版用紙割当事務廳設置法施行令(昭和二十三年政令第二百三十二号)
臨時行政機構改革審議会令(昭和二十三年政令第四十号)
総動員補償委員会規程(昭和十三年勅令第四百七十四号)
恩赦制度審議会官制(昭和二十二年政令第二百六号)
4 前項但書の規定は、職員の定員に関する法律の適用に影響を及ぼすものではない。
5 他の法令中「総理廳」とあるのは「総理府」と、「総理廳令」とあるのは「総理府令」と読み替えるものとする。
内閣総理大臣 吉田茂
総理府設置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年五月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百二十七号
総理府設置法
目次
第一章
総則(第一条―第四条)
第二章
本府
第一節
内部部局(第五条―第九条)
第二節
附属機関(第十条―第十五条)
第三節
機関(第十六条)
第三章
外局(第十七条・第十八条)
第四章
職員(第十九条―第二十二条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、総理府の所掌事務の範囲及び権限を明確に定めるとともにその所掌する行政事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを目的とする。
(設置)
第二条 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基いて、総理府を設置する。
2 総理府の長は、内閣総理大臣とする。
(総理府の任務)
第三条 総理府は、左に掲げる国の行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。
一 恩給、統計及び栄典に関する事務並びに新聞出版用紙の割当
二 各行政機関の施策及び事務の総合調整
三 他の行政機関の所掌に属しない行政事務並びに条約及び法律(法律に基く命令を含む。)で総理府の所掌に属せしめられた行政事務
(総理府の権限)
第四条 総理府は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律(法律に基く命令を含む。)に従つてなさなければならない。
一 予算の範囲内で、所掌事務の遂行に必要な支出負担行為をすること。
二 収入金を徴収し、所掌事務の遂行に必要な支払をすること。
三 所掌事務の遂行に直接必要な事務所等の施設を設置し、及び管理すること。
四 所掌事務の遂行に直接必要な業務用資材、事務用品、研究用資材等を調達すること。
五 不用財産を処分すること。
六 職員の任免及び賞罰を行い、その他職員の人事を管理すること。
七 職員の厚生及び保健のため必要な施設をし、及びこれを管理すること。
八 職員に貸与するために宿舎を設置し、及びこれを管理すること。
九 所掌事務に関する統計及び調査資料を頒布し、又は刊行すること。
十 所掌事務の監察を行い、法令の定めるところに従い、必要な措置をすること。
十一 所掌事務の周知宣伝を行うこと。
十二 総理府の公印を制定すること。
十三 官報及び法令全書の編集及び印刷並びに内閣所管の機密文書の印刷について指揮監督すること。
十四 栄典を授与すること。
十五 栄典の授与及びはく奪に関し審査すること。
十六 恩給を受ける権利を裁定し、及び恩給に関する具申について裁決すること。
十七 各種の統計調査を行うこと。
十八 新聞出版用紙の割当を行うこと。
十九 前各号に掲げるものの外、他の行政機関に属しない事項及び条約、法律又は命令に基き総理府に属せしめられた行政事務を行うこと。
第二章 本府
第一節 内部部局
(内部部局)
第五条 本府に、大臣官房及び左の三局を置く。
恩給局
統計局
新聞出版用紙割当局
2 大臣官房に、賞勲部を置き、統計局に、左の三部を置く。
人口部
経済部
製表部
(大臣官房の事務)
第六条 大臣官房においては、総理府の所管行政に関し、左の事務をつかさどる。
一 機密に関すること。
二 職員の職階、任免、分限、懲戒、服務その他の人事並びに教養及び訓練に関すること。
三 内閣総理大臣の官印及び府印を制定し、及び管守すること。
四 公文書類を起案し、接受し、発送し、編集し及び保存すること。
五 官報及び法令全書の編集及び印刷並びに内閣所管の機密文書の印刷の指揮監督に関すること。
六 大臣官房所管図書を管理すること。
七 経費及び収入の予算、決算及び会計並びに会計の監査に関すること。
八 行政財産及び物品を管理すること。
九 職員の衛生、医療その他福利厚生に関すること。
十 行政の考査を行うこと。
十一 こう報に関すること。
十二 法令案の審査に関すること。
十三 各行政機関の施策及び事務の総合調整に関すること。
十四 他の行政機関の所掌に属しない事務についてこれを調査し、企画し、及び立案すること。
十五 公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令(昭和二十二年勅令第一号)及び市町村長の立候補禁止等に関する勅令(昭和二十二年勅令第三号)の施行並びにその統轄に関すること。
十六 財閥同族支配力排除法(昭和二十三年法律第二号)に基き内閣総理大臣の権限に属する事項に関すること。
十七 調査及び統計(統計局の所掌に属するものを除く。)の一般に関すること。
十八 栄典制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。
十九 勲位、勲章に関すること。
二十 記章、ほう章その他の賞件に関すること。
二十一 外国の勲章、記章の受領及び着用に関すること。
二十二 前各号に掲げるものの外、総理府の所掌事務で他局及び他の機関の所掌に属さない事務に関すること。
2 大臣官房においては、前項の事務の外、内閣法(昭和二十二年法律第五号)第十二条に定める内閣官房の所掌に属する事務をつかさどる。
3 大臣官房賞勲部においては、第一項第十八号から第二十一号までに規定する事務をつかさどる。
(恩給局の事務)
第七条 恩給局においては、左の事務をつかさどる。
一 恩給制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。
二 恩給を受ける権利の裁定に関すること。
三 恩給に関する具申の裁決に関すること。
四 恩給の支給及び負担に関すること。
(統計局の事務)
第八条 統計局においては、左の事務をつかさどる。
一 国勢調査その他国勢の基本に関する統計調査の実施及び製表を行うこと。
二 国の行政機関又は地方公共団体の委託を受けて各種の統計調査の実施及び製表を行うこと。
三 統計職員の養成を行うこと。
四 統計技術の研究を行うこと。
五 統計に関する図書及び資料を収集し、整備し、編集し、及び刊行すること。
2 前項の事務のうち、国勢調査その他人口に関する統計調査の実施は、統計局人口部において、経済に関する統計調査の実施は、統計局経済部において、各種統計調査の製表は、統計局製表部においてつかさどる。
(新聞出版用紙割当局の事務)
第九条 新聞出版用紙割当局においては、新聞出版用紙の割当に関する法律(昭和二十三年法律第二百十一号)の定めるところにより、新聞出版用紙の割当に関する事務をつかさどる。
第二節 附属機関
(附属機関)
第十条 第十六条に規定するものの外、本府に、左の附属機関を置く。
ふ虜情報局
統計職員養成所
新給与実施本部
国立世論調査所
(ふ虜情報局)
第十一条 ふ虜情報局は、ふ虜に関する状況の調査、通報、銘銘票の作成並びにその補修、金品の取扱調査、遺留金品の保管並びにその調査及び関係者に対する送付、相手国戦死者につき関係行政機関等において知得したこと及び相手国にふ虜となつた者に関する状況の調査に関する事務を取り扱う機関とする。
2 ふ虜情報局は、東京都に置く。
3 ふ虜情報局の内部組織は、総理府令で定める。
(統計職員養成所)
第十二条 統計職員養成所は、国の行政機関及び地方公共団体の職員に対して、統計事務に従事する幹部職員として必要な職務上の訓練を行う機関とする。
2 統計職員養成所は、東京都に置く。
3 統計職員養成所の内部組織は、総理府令で定める。
(新給与実施本部)
第十三条 新給与実施本部は、政府職員の新給与実施に関する法律(昭和二十三年法律第四十六号)の完全な実施を確保し、その目的を達成するため設けられる機関とする。
2 新給与実施本部の内部組織は、政府職員の新給与実施に関する法律で定めるものを除くの外、総理府令で定める。
(国立世論調査所)
第十四条 国立世論調査所は、世論に基く政策の樹立及び行政の運営に資する目的で世論の調査を自主的且つ公正に行う機関とする。
2 国立世論調査所は、東京都に置く。
3 国立世論調査所の組織及び所掌事務については、国立世論調査所設置法(昭和二十四年法律第百二十八号)の定めるところによる。
(その他の附属機関)
第十五条 左の表の上欄に掲げる機関は、総理府の附属機関として置かれるものとし、その設置の目的は、それぞれ下欄に記載する通りとする。
種類
目的
恩給審査会
恩給法(大正十二年法律第四十八号)の規定に基き恩給に関する事項を審査すること
交通事業調整審議会
運輸大臣及び建設大臣の諮問に応じて陸上交通事業調整法(昭和十三年法律第七十一号)第二条第一項、第三条第三項、第五条及び第十二条に規定する事項を調査審議すること
教育刷新審議会
教育に関する重要事項を調査審議すること
地方制度調査会
内閣総理大臣の諮問に応じて、地方行政に関する事項を調査審議すること
中央災害救助対策協議会
災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)に基く災害の救助その他緊急措置の適切円滑な実施を図ること
地方災害救助対策協議会
都道府県災害救助対策協議会
観光事業審議会
観光事業に関する基本的計画及びその他重要事業を調査審議すること
引揚同胞対策審議会
引揚同胞対策審議会法(昭和二十三年法律第二百十二号)に基き在外同胞の引揚促進その他引揚同胞対策に関する事項を調査審議すること
地方税審議会
地方税法(昭和二十三年法律第百十号)に基き地方税に関する審査を行うこと
検察官適格審査会
検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第二十三条第一項に規定する事項に関する審査を行うこと
科学技術行政協議会
科学技術行政協議会法(昭和二十三年法律第二百五十三号)に基き日本学術会議と緊密に協力し、科学技術を行政に反映させるための諸方策及び各行政機関相互の間の科学技術に関する行政の連絡調整に必要な措置を審議すること
社会保障制度審議会
社会保障制度審議会設置法(昭和二十三年法律第二百六十六号)に基き社会保障制度につき調査、審議及び勧告を行うこと
宿舎審議会
国家公務員の国設宿舎に関する法律(昭和二十四年法律第百十七号)に基き内閣総理大臣の諮問に応じて国家公務員の宿舎の設置、維持及び管理その他の重要事項を調査審議すること
選挙制度調査会
内閣総理大臣の諮問に応じて国会議員の選挙及び地方公共団体における選挙に関する制度について調査審議する
新聞出版用紙割当審議会
新聞出版用紙の割当に関する法律(昭和二十三年法律第二百十一号)に基き、新聞出版用紙の割当に関する重要事項を審議すること
2 前項に掲げる附属機関の組織、所掌事務及び委員その他の職員については、他の法律(法律に基く命令を含む。)に別段の定がある場合を除くの外、政令で定める。
第三節 機関
(機関)
第十六条 内閣総理大臣の所轄の下に、日本学術会議を置く。
2 日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させるための機関とする。
3 日本学術会議は、東京都に置く。
4 日本学術会議の組織及び所掌事務については、日本学術会議法(昭和二十三年法律第百二十一号)の定めるところによる。
第三章 外局
(外局)
第十七条 国家行政組織法第三条第二項の規定に基いて、総理府に置かれる外局は、左の通りとする。
統計委員会
公正取引委員会
全国選挙管理委員会
国家公安委員会
公職資格訴願審査委員会
外国為替管理委員会
宮内庁
特別調達庁
賠償庁
行政管理庁
地方自治庁
(外局の組織、所掌事務及び権限)
第十八条 前条の規定による外局の組織、所掌事務及び権限に関しては、他の法律に別段の定のあるものを除く外、それぞれ次の表の下欄の法律(法律に基く命令を含む。)又は政令の定めるところによる。
統計委員会
統計法(昭和二十二年法律第十八号)
公正取引委員会
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)
全国選挙管理委員会
全国選挙管理委員会法(昭和二十二年法律第百五十四号)
国家公安委員会
警察法(昭和二十二年法律第百九十六号)
公職資格訴願審査委員会
公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令の規定による覚書該当者の指定の特免に関する政令(昭和二十四年政令第三十九号)
外国為替管理委員会
外国為替管理委員会令(昭和二十四年政令第五十三号)
宮内庁
宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)
特別調達庁
特別調達庁設置法(昭和二十四年法律第百二十九号)
賠償庁
賠償庁臨時設置法(昭和二十三年法律第三号)
行政管理庁
行政管理庁設置法(昭和二十三年法律第七十七号)
地方自治庁
地方自治庁設置法(昭和二十四年法律第百三十一号)
第四章 職員
(内閣官房長官)
第十九条 内閣官房長官は、内閣法に定める職務を行う外、内閣総理大臣を助け、総理府所管の事項について政務に参画し、府務を整理し、並びに各部局及び機関の事務を監督する。
(内閣官房副長官)
第二十条 内閣官房副長官は、内閣法に定める職務を行う外、内閣総理大臣の定めるところにより、総理府所管の事項について、上官の職務を助ける。
(その他の職員)
第二十一条 前二条に定める職員の外、総理府に置かれる職員の任免、昇任、懲戒その他人事管理に関する事項については、国家公務員法の定めるところによる。
(定員)
第二十二条 総理府に置かれる職員の定員は、別に法律で定める。
附 則
1 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。
2 国家公務員法第三条及び第百八条の規定により、恩給制度が人事院において運用せられるに至つた場合においては、その限度において、恩給に関する事務及び権限は、総理府の所掌事務及び権限から除かれるものとする。
3 左の法令は、廃止する。但し、法律(法律に基く命令を含む。)に別段の定のある場合を除く外、従前の機関及び職員は、この法律に基く相当の機関及び職員となり同一性をもつて存続するものとする。
総理庁官制(昭和二十三年政令第三号)
総理庁部内臨時職員設置制(昭和十八年勅令第百八十九号)
賞勲局官制(明治二十六年勅令第百十六号)
ふ虜情報局官制(昭和十六年勅令第千二百四十六号)
新聞出版用紙割当事務庁設置法施行令(昭和二十三年政令第二百三十二号)
臨時行政機構改革審議会令(昭和二十三年政令第四十号)
総動員補償委員会規程(昭和十三年勅令第四百七十四号)
恩赦制度審議会官制(昭和二十二年政令第二百六号)
4 前項但書の規定は、職員の定員に関する法律の適用に影響を及ぼすものではない。
5 他の法令中「総理庁」とあるのは「総理府」と、「総理庁令」とあるのは「総理府令」と読み替えるものとする。
内閣総理大臣 吉田茂