中国地方開発促進法
法令番号: 法律第172号
公布年月日: 昭和35年12月27日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

中国地方の経済・民生の地域的後進性を打破するため、画期的施策が必要とされている。経済成長政策達成のためには地域格差の除去と産業・人口の適正配置が課題である。中国地方は第一次産業の比重が大きく、住民所得が全国水準を下回り、自主財源比率も低い。中国山脈により陰陽両地域の連絡が不十分で、総合的開発の阻害要因となっている。一方で、阪神・北九州の工業地帯間に位置し、水・電力・労働力等の資源が豊富で、立地条件に恵まれている。これらを活用し、陰陽両地域の経済基盤を総合的に整備することで、開発効果が期待できる。このため、特別の立法措置による開発事業の推進が緊要である。

参照した発言:
第37回国会 参議院 建設委員会 第2号

審議経過

第37回国会

参議院
(昭和35年12月15日)
衆議院
(昭和35年12月17日)
参議院
(昭和35年12月20日)
(昭和35年12月21日)
衆議院
(昭和35年12月22日)
参議院
(昭和35年12月22日)
中国地方開発促進法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十五年十二月二十七日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百七十二号
中国地方開発促進法
(この法律の趣旨)
第一条 この法律は、中国地方における資源の総合的開発を促進するために必要な基本的事項を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において「中国地方」とは、鳥取県、島根県、岡山県、広島県及び山口県の区域をいう。
(中国地方開発促進計画)
第三条 内閣総理大臣は、中国地方開発審議会の審議を経て、中国地方開発促進計画(以下「開発促進計画」という。)を作成するものとする。
2 開発促進計画は、中国地方における土地、水、山林、鉱物、電力その他の資源の総合的開発の促進に関する計画とする。
3 関係地方公共団体は、開発促進計画に関し、内閣総理大臣に対し、意見を申し出ることができる。
(中国地方開発審議会の設置)
第四条 総理府に、中国地方開発審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(審議会の所掌事務)
第五条 審議会は、次に掲げる事項を調査審議し、その結果を内閣総理大臣に報告し、又は建議するものとする。
一 開発促進計画の作成の基準となるべき事項
二 開発促進計画に基づく事業の実施の推進に関する事項
三 前各号に掲げるもののほか、中国地方の開発の促進に関する重要事項
2 審議会は、開発促進計画及びこれに基づく事業の実施について必要があると認める場合においては、内閣総理大臣を通じて、関係行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。
(審議会の組織)
第六条 審議会は、委員三十二人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者について、内閣総理大臣が任命する。
一 衆議院議員のうちから衆議院が指名する者 五人
二 参議院議員のうちから参議院が指名する者 三人
三 関係行政機関の職員 十人以内
四 関係県の知事 五人
五 関係市長を代表する者 一人
六 関係町村長を代表する者 一人
七 開発促進計画に関し学識経験のある者 七人以内
3 前項第七号の委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 第二項第七号の委員は、再任されることができる。
5 審議会に、会長を置く。会長は、委員のうちから互選する。
6 会長は、会務を総理する。会長に事故がある場合においては、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。
7 専門の事項を調査させるために、審議会に、専門委員を置くことができる。専門委員は、関係行政機関の職員及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
8 委員及び専門委員は、非常勤とする。
(審議会の運営等)
第七条 前条に定めるもののほか、審議会の事務をつかさどる機関並びに審議会の議事及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(資料の提出等の要求)
第八条 審議会は、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
(開発促進計画に基づく事業の実施)
第九条 開発促進計画に基づく事業は、この法律に定めるもののほか、当該事業に関する法律(これに基づく命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が実施するものとする。
(開発促進計画に基づく事業の調整)
第十条 関係行政機関の長は、毎年度、開発促進計画の実施についてその所掌する事項に関して作成した翌年度の事業計画を経済企画庁長官に提出しなければならない。
2 経済企画庁長官は、前項の規定により提出された事業計画について必要な調整を行なうものとする。
3 経済企画庁長官は、毎年度、関係行政機関の長から開発促進計画に基づく事業の実施に関する資金計画の提出を求め、これについて、前項の規定により調整した事業計画の円滑な実施を図るため、必要な調整を行なうものとする。
(開発促進計画の実施に要する経費)
第十一条 政府は、開発促進計画を実施するために必要な資金の確保を図り、かつ、国の財政の許す範囲内において、その実施を促進することに努めなければならない。
(地方財政再建促進特別措置法との関係)
第十二条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)に基づく財政再建団体である県(以下「財政再建団体」という。)が開発促進計画に基づく事業で当該財政再建団体に係るものを実施するために財政再建計画に変更を加えようとする場合においては、自治大臣は、その財政の再建が合理的に達成できると認める限り、同法第三条第四項において準用する同条第一項の規定による当該財政再建計画の変更の承認に当たつて、これらの事業の実施が確保されるように特に配慮しなければならない。
2 前項の規定は、開発促進計画に基づく事業を実施する県で財政再建団体以外のものが地方財政再建促進特別措置法第二十二条第二項の規定により財政の再建を行なう場合においては、当該県について準用する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第七項の規定は、政令で定める日から施行する。
(開発促進計画作成の場合の特別措置)
2 前項ただし書に規定する政令は、開発促進計画が九州地方開発促進計画のうち特にこれと密接な関連を有するものについて十分考慮して作成された後、これに基づく事業と九州地方開発促進計画に基づく事業との実施がともに円滑に行なわれるような時期において、定めるものとする。
(国の負担又は補助の割合についての特別措置)
3 開発促進計画が作成された場合において、中国地方の県に係る当該開発促進計画に基づく事業のうち重要なものに要する経費に係る国の負担又は補助の割合について、当該事業の実施の促進上特別の措置を必要とするときは、別に法律で定めるものとする。
(総理府設置法の一部改正)
4 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中四国地方開発審議会の項の次に次のように加える。
中国地方開発審議会
中国地方開発促進法(昭和三十五年法律第百七十二号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行なうこと。
(国土総合開発法の一部改正)
5 国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
第十四条第二項中「又は四国地方開発促進計画」を「、四国地方開発促進計画又は中国地方開発促進計画」に改める。
(経済企画庁設置法の一部改正)
6 経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第十五号の四の次に次の一号を加える。
十五の五 中国地方の開発の促進に関する基本的な政策及び計画を企画立案すること。
第四条第二十号のルの次に次のように加える。
ヲ 中国地方開発促進法(昭和三十五年法律第百七十二号)
第九条に次の一号を加える。
十 中国地方の開発の促進に関すること。
(九州地方開発促進法の一部改正)
7 九州地方開発促進法(昭和三十四年法律第六十号)の一部を次のように改正する。
第二条中「、鹿児島県及び山口県」を「及び鹿児島県」に改める。
第六条第一項中「三十七人」を「三十六人」に、同条第二項第四号中「八人」を「七人」に改める。
内閣総理大臣 池田勇人
大蔵大臣 水田三喜男
農林大臣 周東英雄
通商産業大臣 椎名悦三郎
運輸大臣 木暮武太夫
建設大臣 中村梅吉
自治大臣 安井謙