国会議員互助年金法
法令番号: 法律第七十号
公布年月日: 昭和33年4月22日
法令の形式: 法律
国会議員互助年金法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年四月二十二日
内閣総理大臣 岸信介
法律第七十号
国会議員互助年金法
(互助年金)
第一条 この法律は、互助の精神に則り、国会議員の退職により受ける年金に関して、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第三十六条の規定に基き定めるものとする。
(互助年金の種類)
第二条 この法律において「互助年金」とは、普通退職年金、公務傷病年金及び遺族扶助年金をいう。
(退職の定義)
第三条 この法律において「退職」とは、国会議員が次の各号の一に該当する場合をいう。
一 辞職が許可され又は辞職したものとみなされたとき。
二 任期が満了したとき。
三 衆議院の解散により任期が終了したとき。
四 除名されたとき。
五 法律で定めた被選の資格を失つたとき。
六 当選無効の判決が確定したとき若しくはその者に係る選挙無効の判決が確定したとき又は当選人の選挙犯罪に因りその当選が無効となつたとき。
七 前各号に掲げる場合のほか、国会議員としての職を失つたとき。
(互助年金の給与期間及び端数計算)
第四条 互助年金の給与は、互助年金を受けるべき事由が生じた月の翌月から始め、権利消滅の月をもつて終る。
2 互助年金の年額の円位未満は、円位に満たしめる。
(時効)
第五条 互助年金を受ける権利は、これを受けるべき事由が生じた日から五年間請求しないときは、時効によつて消滅する。
2 前項の時効は、第十五条第一項の規定により普通退職年金の支給を停止される者の当該普通退職年金については、その者が年齢満五十五歳に達する日の属する月の末日までの期間は、進行しない。
3 普通退職年金又は公務傷病年金を受ける権利を有する者が退職後二月内に国会議員として再就職するときは、第一項の時効は、再在職を退職した日から進行する。ただし、普通退職年金を受ける権利を有する者が再在職を退職した日において年齢満五十五歳未満であるときは、その時効については、前項の規定を適用する。
(譲渡、担保及び差押の禁止)
第六条 互助年金を受ける権利は、譲渡し又は担保に供することができない。
2 互助年金を受ける権利は、差し押えることができない。ただし、国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)又は国税徴収の例による場合は、この限りでない。
(非課税)
第七条 公務傷病年金及び遺族扶助年金については、その支給を受ける金額を標準として、租税その他の公課を課してはならない。
(互助年金計算の基礎となる歳費)
第八条 この法律の規定の適用については、議長及び副議長の職にある者も、他の議員と同額の歳費を受けるものとみなす。
(普通退職年金及びその年額)
第九条 国会議員が在職期間十年以上で退職したときは、その者に普通退職年金を給する。
2 普通退職年金の年額は、在職期間十年以上十一年未満に対し退職当時の議員の歳費年額の百五十分の五十に相当する金額とし、十年以上一年を増すごとに、その一年に対し退職当時の議員の歳費年額の百五十分の一に相当する金額を加算した金額とする。
3 在職期間五十年をこえる者に給すべき普通退職年金の年額は、在職期間五十年として計算する。
(公務傷病年金及びその年額)
第十条 国会議員が公務に基く傷病に因り不具廃疾となり退職したときは、その者に公務傷病年金を給する。国会議員が退職後三年以内に当該在職中の公務に基く傷病に因り不具廃疾となつたときも、また同様とする。
2 公務傷病年金の年額は、在職期間十年未満の者にあつては前条の規定により在職期間十年の者に給すべき年金の金額に、在職期間十年以上の者にあつては同条の規定により在職期間十年以上の者に給すべき年金の金額に、それぞれその不具廃疾の程度に応じた金額を加算した金額とする。
3 公務に基く傷病に因る不具廃疾の程度は、恩給法(大正十二年法律第四十八号)別表第一号表ノ二の定めるところによるものとし、前項の加算額は、同法別表第二号表の定める金額によるものとする。
4 公務に基く傷病に因り不具廃疾となつた場合において、その者に重大な過失があつたときは、前三項の規定による公務傷病年金は、給しない。
5 公務傷病年金の裁定をするに当つては、将来不具廃疾が回復し又はその程度が低下することのあるべきことが認められるときは、五年間公務傷病年金を給する。
6 前項の期間満了の六月前までに傷病が回復しない者は、再審査を請求することができる。再審査の結果公務傷病年金を給すべきものであるときは、これに相当の公務傷病年金を給する。
(在職期間)
第十一条 国会議員の在職期間は、その就職の月から起算し、退職又は死亡の月をもつて終る。
2 退職した後国会議員として再就職したときは、前後の在職期間は、合算する。
3 退職した月において国会議員として再就職したときは、再在職の在職期間は、その再就職の月の翌月から起算する。
(在職期間からの除算)
第十二条 次に掲げる期間は、在職期間から除算する。
一 第五条又は第十四条第一項の規定により普通退職年金又は公務傷病年金を受ける権利が消滅した場合において、その権利の基礎となつた在職期間
二 第十三条の規定により国会議員が互助年金を受ける資格を失つた在職期間(除名の場合にあつては、除名の時を含む当該国会の召集の日の属する月から除名の日の属する月までの在職期間)
三 退職後、在職中の職務に関する犯罪(過失犯を除く。)に因り三年以下の懲役又は禁錮の刑に処せられたときは、その犯罪に係る当該任期中の在職期間
四 退職後、在職中の職務に関する犯罪(過失犯を除く。)に因り死刑又は無期若しくは三年をこえる懲役若しくは禁錮の刑に処せられたときは、その犯罪の時を含むそれ以前のすべての在職期間
(普通退職年金又は公務傷病年金を受ける資格の喪失)
第十三条 国会議員は、次の各号の一に該当するときは、当該任期中の在職(除名の場合にあつては、除名の時を含む国会の当該会期の在職)につき、普通退職年金又は公務傷病年金を受ける資格を失う。
一 除名されたとき。
二 在職中三年以下の懲役又は禁錮の刑に処せられたとき。
2 国会議員は、在職中死刑又は無期若しくは三年をこえる懲役若しくは禁錮の刑に処せられたときは、当該任期中の在職を含むそれ以前のすべての在職につき、普通退職年金又は公務傷病年金を受ける資格を失う。
(互助年金を受ける権利の消滅)
第十四条 互助年金を受ける権利を有する者が次の各号の一に該当するときは、その権利は、消滅する。
一 死亡したとき。
二 死刑又は無期若しくは三年をこえる懲役若しくは禁錮の刑に処せられたとき。
2 普通退職年金又は公務傷病年金を受ける権利を有する者が在職中の職務に関する犯罪(過失犯を除く。)に因り三年以下の懲役又は禁錮の刑に処せられたときは、その犯罪に係る当該任期中の在職を含み生じた権利は、消滅する。
(互助年金の停止)
第十五条 普通退職年金は、これを受ける者が年齢満五十五歳に達する月まで、その支給を停止する。
2 普通退職年金及び公務傷病年金は、これを受ける者が国会議員として再就職するときは、再就職の月の翌月から退職の月まで、その支給を停止する。ただし、実在職期間一月未満であるときは、この限りでない。
3 普通退職年金及び公務傷病年金は、これを受ける者が三年以下の懲役又は禁錮の刑に処せられたときは、その月の翌月からその刑の執行を終り又は執行を受けることがなくなるに至つた月まで、その支給を停止する。ただし、刑の執行猶予の言渡を受けたときは、当該年金は、その支給を停止しない。その言渡を取り消されたときは、取消の月の翌月から刑の執行を終り又は執行を受けることがなくなるに至つた月まで、その支給を停止する。
(高額所得による互助年金の停止)
第十六条 普通退職年金は、普通退職年金の年額が三十六万円以上であつてこれを受ける者の前年における互助年金外の所得の年額が五十万円をこえるときは、普通退職年金の支給年額が三十六万円を下らない範囲内において、次の区分によりその一部を停止する。
一 普通退職年金の年額と互助年金外の所得の年額との合計額が八十六万円をこえ九十六万円以下であるときは、八十六万円をこえ九十六万円以下の金額の一割五分の金額に相当する金額
二 普通退職年金の年額と互助年金外の所得の年額との合計額が九十六万円をこえ百十六万円以下であるときは、八十六万円をこえ九十六万円以下の金額の一割五分の金額及び九十六万円をこえる金額の二割の金額の合計額に相当する金額
三 普通退職年金の年額と互助年金外の所得の年額との合計額が百十六万円をこえ百五十万円以下であるときは、八十六万円をこえ九十六万円以下の金額の一割五分の金額、九十六万円をこえ百十六万円以下の金額の二割の金額及び百十六万円をこえる金額の二割五分の金額の合計額に相当する金額。ただし、その停止年額は、普通退職年金の年額の二割五分をこえることがない。
四 普通退職年金の年額と互助年金外の所得の年額との合計額が百五十万円をこえるときは、八十六万円をこえ九十六万円以下の金額の一割五分の金額、九十六万円をこえ百十六万円以下の金額の二割の金額、百十六万円をこえ百五十万円以下の金額の二割五分の金額及び百五十万円をこえる金額の三割の金額の合計額に相当する金額。ただし、その停止年額は、普通退職年金の年額の三割をこえることがない。
2 前項の互助年金外の所得の計算については、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)その他の所得税に関する法令の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額の計算に関する規定を準用する。
3 第一項の互助年金外の所得は、毎年、税務署長の調査により総理府恩給局長が決定する。
4 第一項に規定する互助年金の停止は、前項の決定に基き、その年の七月より翌年六月に至る期間分の互助年金について行う。ただし、互助年金を受けるべき事由が生じた月の翌月より翌年六月に至る期間分については、この限りでない。
5 互助年金の請求又は裁定の遅延により前年以前の分の互助年金につき第一項の規定による停止をなすべき場合においては、その停止額は、前項の規定にかかわらず、同項の期間後の期間分の互助年金支給額から控除することができる。
(再就職による年金の改定)
第十七条 普通退職年金又は公務傷病年金を受ける者が国会議員として再就職後退職し、次の各号の一に該当するときは、その年金を改定する。
一 再就職後在職一年以上で退職したとき。
二 再就職後公務に基く傷病に因り不具廃疾となり退職したとき。
三 再就職後退職した後三年以内に当該在職中の公務に基く傷病に因り不具廃疾となり又はその程度が増進したとき。
2 普通退職年金を受ける者が前項第二号又は第三号に該当した場合においては、これを公務傷病年金に改定する。
3 前二項の規定により普通退職年金又は公務傷病年金を改定する場合には、前後の在職期間を合算し又は前後の傷病を合したものをもつてその不具廃疾の程度とし、その年額を定める。
4 普通退職年金又は公務傷病年金を受ける者が国会議員として再就職後在職一年未満で退職した場合においても、前後の在職期間を合算するに当つて年に満たない在職期間が一年以上となるときは、その年金を改定する。
(再就職によらない年金の改定)
第十八条 国会議員が退職した後三年以内に当該在職中の公務に基く傷病に因り不具廃疾となつたとき又はその程度が増進したときは、その者が現に受ける普通退職年金又は公務傷病年金を不具廃疾の程度に相応する公務傷病年金に改定する。
2 在職期間十年以上の者で第十条第五項又は第六項の規定により公務傷病年金を給されるものが、これらの規定によりその公務傷病年金を給されなくなつたときは、その公務傷病年金をその者の在職期間に相応する普通退職年金に改定する。
(遺族扶助年金及びその年額)
第十九条 国会議員が在職中死亡し、その死亡を退職とみなすときはこれに普通退職年金又は公務傷病年金を給すべきときは、その者の遺族に遺族扶助年金を給する。普通退職年金又は公務傷病年金を受ける者が死亡したときも、また同様とする。
2 前項の遺族扶助年金の年額は、これを受ける者の人員にかかわらず、次の各号に掲げる金額の二分の一に相当する金額とする。
一 国会議員が公務に基く傷病に因らないで死亡した場合においては、これに給すべき普通退職年金の金額
二 普通退職年金を受ける者が公務に基く傷病に因らないで死亡した場合(前号に規定する場合を除く。)においては、当該年金の金額
三 公務傷病年金を受ける者が公務に基く傷病に因らないで死亡した場合においては、在職期間十年未満の者にあつては第九条の規定により在職期間十年の者に給すべき年金の金額に、在職期間十年以上の者にあつては同条の規定により在職期間十年以上の者に給すべき年金の金額に、それぞれ百分の百二十八を乗じて得た金額
四 国会議員又は普通退職年金若しくは公務傷病年金を受ける者が公務に基く傷病に因り死亡した場合においては、在職期間十年未満の者にあつては第九条の規定により在職期間十年の者に給すべき年金の金額に、在職期間十年以上の者にあつては同条の規定により在職期間十年以上の者に給すべき年金の金額に、それぞれ百分の百七十を乗じて得た金額
(恩給法の準用)
第二十条 恩給法第三章(第七十二条中兄弟姉妹に関する部分、第七十四条ノ二第二項及び第四項、第七十五条、第七十九条ノ三、第八十一条並びに第八十二条を除く。)の規定は遺族扶助年金を給する場合について、同法第八十二条ノ三の規定は互助年金について、準用する。
(互助年金の裁定)
第二十一条 互助年金を受ける権利は、総理府恩給局長が裁定する。
2 公務傷病年金を受ける権利を裁定する場合又は公務に基く傷病に因る死亡につき遺族扶助年金を受ける権利を裁定する場合において、第十条、第十七条(第一項第一号及び第四項を除く。)、第十八条第一項又は第十九条第一項及び第二項第四号に規定する事由に該当するかどうかの認定は、当該国会議員であつた者が属していた議院の議院運営委員会の議決するところによる。
(死亡前の未受領給与の支給)
第二十二条 互助年金を受ける権利を有する者が死亡したときは、その互助年金で生存中に給与を受けなかつたものは、当該国会議員の遺族に給し、遺族がないときは、死亡者の相続人に給する。
2 前項の規定により互助年金の支給を受けるべき遺族及びその順位は、遺族扶助年金を受けるべき遺族及びその順位による。
3 恩給法第十条ノ二及び第十条ノ三の規定は、前二項の場合における互助年金の請求及びその支給の請求について、準用する。
(納付金)
第二十三条 国会議員は、毎月、その歳費月額の百分の三に相当する金額を国庫に納付しなければならない。
(国庫負担)
第二十四条 互助年金に要する費用は、国庫が負担する。
(併給の禁止)
第二十五条 普通退職年金と公務傷病年金とは、併給しない。
(恩給公務員との兼職期間の取扱)
第二十六条 国会議員と恩給法に規定する公務員と兼職する場合においては、当該兼職期間は、同法の規定にかかわらず、恩給の基礎となるべき在職年に算入しないものとし、これを国会議員の在職期間に算入する。
2 前項に規定する公務員は、当該兼職期間については、政令で定める場合を除き、恩給法第五十九条の規定にかかわらず、同条の規定による納付金を納付することを要しない。
(届出)
第二十七条 互助年金を受ける者が、第十四条、第十五条第二項若しくは第三項又は第二十条において準用する恩給法第七十七条若しくは第八十条の規定に該当しその他法律の規定により互助年金の給与を受けることができなくなつたときは、本人又はその遺族は、直ちに、その旨を総理府恩給局長に届け出なければならない。
(過料)
第二十八条 前条に規定する者が、同条の規定による届出をせず又は虚偽の届出をしたときは、一万円以下の過料に処する。
(政令への委任)
第二十九条 この法律に規定するもののほか、互助年金の請求、裁定、支給及び受給権の存否の調査並びにこの法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日の後最初の衆議院議員の総選挙が行われる日から施行する。
(この法律の施行前の在職期間の通算)
2 この法律の規定による互助年金については、帝国議会における衆議院議員としての在職期間及びこの法律の施行前における国会議員としての在職期間は、この法律の規定による国会議員としての在職期間とみなし、この法律の在職期間の計算に関する規定を適用する。
(前国会議員等に対する互助年金)
3 この法律の規定(第五条第三項及び第二十三条の規定を除く。)は、この法律の施行前国会議員であつた者でこの法律の施行の際現に国会議員でないもの又はこの法律の施行前国会議員であつた者の遺族についても、適用する。この場合において、第四条第一項及び第十六条第四項ただし書中「互助年金を受けるべき事由が生じた月」とあるのは「この法律の施行の日の属する月」と、第五条第一項中「これを受けるべき事由が生じた日」とあるのは「この法律の施行の日」と、第九条第二項中「退職当時の議員の歳費年額」とあるのは「この法律の施行の日における国会議員の歳費年額に相当する金額」と読み替えるものとする。
(恩給公務員との兼職期間の取扱の特例)
4 この法律の施行前に恩給法に規定する公務員と帝国議会における衆議院議員又は国会議員と兼職した者のこの法律の施行前における当該兼職期間が、当該公務員の恩給の基礎となつている場合においては、当該兼職期間については、従前の例によるものとし、この法律の規定による国会議員としての在職期間からこれを除算する。
(この法律施行の際恩給公務員たる者の兼職期間の取扱の特例)
5 この法律の施行の際現に恩給法に規定する公務員である者がこの法律の施行の日の前日までのその引き続く在職期間内に当該公務員と国会議員と兼職していた場合において、当該兼職期間を恩給の基礎となるべき在職年に算入し、かつ、その者がこの法律の施行の日の前日に当該公務員を退職するとすれば、普通恩給を給し又は改定すべきこととなるときは、当該兼職期間については、従前の例によるものとし、この法律の規定による国会議員としての在職期間からこれを除算する。
(納付金相当額の控除)
6 この法律の施行前の在職期間がこの法律の規定による普通退職年金の基礎となる場合における普通退職年金の年額は、第九条の規定により算出した年額から、この法律の施行の日における国会議員の歳費月額の百分の二に相当する金額にこの法律の施行前における普通退職年金の基礎となるべき在職期間の月数を乗じて算出した金額(附則第七項の規定により納付した金額がある場合においてはその金額を差し引いた金額。以下「納付金相当額」という。)の十分の一に相当する金額(以下本項において「控除金額」という。)を控除した金額とし、その控除は、当該控除金額の総額が納付金相当額に達するまで行うものとする。ただし、当該控除を受けることとなる者が、政令で定めるところにより、納付金相当額を一時に国庫に納付した場合は、この限りでない。
(納付金相当額に充てるための予納)
7 この法律の施行の際現に国会議員である者及びこの法律の施行後国会議員となつた者は、その議員の属する議院の議長に、文書で申し出ることにより、第二十三条の規定による納付金のほか、あらかじめ納付金相当額に充てるため、毎月、その歳費月額の百分の二に相当する金額を国庫に納付することができる。
8 附則第六項ただし書及び前項の規定により納付した金額は、在職中の死亡その他の事由により普通退職年金を受けることができなくなつた場合その他いかなる場合においても、これを返還しない。
(総理府設置法の一部改正)
9 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第七条に次の一号を加える。
五 国会議員の互助年金に関すること。
(所得税法の一部改正)
10 所得税法の一部を次のように改正する。
第八条第六項第七号の次に次の一号を加える。
七の二 国会議員互助年金法第二十三条の規定による納付金(同法附則第六項ただし書及び附則第七項の規定による納付金を含む。)
内閣総理大臣 岸信介
大蔵大臣 一萬田尚登
国会議員互助年金法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年四月二十二日
内閣総理大臣 岸信介
法律第七十号
国会議員互助年金法
(互助年金)
第一条 この法律は、互助の精神に則り、国会議員の退職により受ける年金に関して、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第三十六条の規定に基き定めるものとする。
(互助年金の種類)
第二条 この法律において「互助年金」とは、普通退職年金、公務傷病年金及び遺族扶助年金をいう。
(退職の定義)
第三条 この法律において「退職」とは、国会議員が次の各号の一に該当する場合をいう。
一 辞職が許可され又は辞職したものとみなされたとき。
二 任期が満了したとき。
三 衆議院の解散により任期が終了したとき。
四 除名されたとき。
五 法律で定めた被選の資格を失つたとき。
六 当選無効の判決が確定したとき若しくはその者に係る選挙無効の判決が確定したとき又は当選人の選挙犯罪に因りその当選が無効となつたとき。
七 前各号に掲げる場合のほか、国会議員としての職を失つたとき。
(互助年金の給与期間及び端数計算)
第四条 互助年金の給与は、互助年金を受けるべき事由が生じた月の翌月から始め、権利消滅の月をもつて終る。
2 互助年金の年額の円位未満は、円位に満たしめる。
(時効)
第五条 互助年金を受ける権利は、これを受けるべき事由が生じた日から五年間請求しないときは、時効によつて消滅する。
2 前項の時効は、第十五条第一項の規定により普通退職年金の支給を停止される者の当該普通退職年金については、その者が年齢満五十五歳に達する日の属する月の末日までの期間は、進行しない。
3 普通退職年金又は公務傷病年金を受ける権利を有する者が退職後二月内に国会議員として再就職するときは、第一項の時効は、再在職を退職した日から進行する。ただし、普通退職年金を受ける権利を有する者が再在職を退職した日において年齢満五十五歳未満であるときは、その時効については、前項の規定を適用する。
(譲渡、担保及び差押の禁止)
第六条 互助年金を受ける権利は、譲渡し又は担保に供することができない。
2 互助年金を受ける権利は、差し押えることができない。ただし、国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)又は国税徴収の例による場合は、この限りでない。
(非課税)
第七条 公務傷病年金及び遺族扶助年金については、その支給を受ける金額を標準として、租税その他の公課を課してはならない。
(互助年金計算の基礎となる歳費)
第八条 この法律の規定の適用については、議長及び副議長の職にある者も、他の議員と同額の歳費を受けるものとみなす。
(普通退職年金及びその年額)
第九条 国会議員が在職期間十年以上で退職したときは、その者に普通退職年金を給する。
2 普通退職年金の年額は、在職期間十年以上十一年未満に対し退職当時の議員の歳費年額の百五十分の五十に相当する金額とし、十年以上一年を増すごとに、その一年に対し退職当時の議員の歳費年額の百五十分の一に相当する金額を加算した金額とする。
3 在職期間五十年をこえる者に給すべき普通退職年金の年額は、在職期間五十年として計算する。
(公務傷病年金及びその年額)
第十条 国会議員が公務に基く傷病に因り不具廃疾となり退職したときは、その者に公務傷病年金を給する。国会議員が退職後三年以内に当該在職中の公務に基く傷病に因り不具廃疾となつたときも、また同様とする。
2 公務傷病年金の年額は、在職期間十年未満の者にあつては前条の規定により在職期間十年の者に給すべき年金の金額に、在職期間十年以上の者にあつては同条の規定により在職期間十年以上の者に給すべき年金の金額に、それぞれその不具廃疾の程度に応じた金額を加算した金額とする。
3 公務に基く傷病に因る不具廃疾の程度は、恩給法(大正十二年法律第四十八号)別表第一号表ノ二の定めるところによるものとし、前項の加算額は、同法別表第二号表の定める金額によるものとする。
4 公務に基く傷病に因り不具廃疾となつた場合において、その者に重大な過失があつたときは、前三項の規定による公務傷病年金は、給しない。
5 公務傷病年金の裁定をするに当つては、将来不具廃疾が回復し又はその程度が低下することのあるべきことが認められるときは、五年間公務傷病年金を給する。
6 前項の期間満了の六月前までに傷病が回復しない者は、再審査を請求することができる。再審査の結果公務傷病年金を給すべきものであるときは、これに相当の公務傷病年金を給する。
(在職期間)
第十一条 国会議員の在職期間は、その就職の月から起算し、退職又は死亡の月をもつて終る。
2 退職した後国会議員として再就職したときは、前後の在職期間は、合算する。
3 退職した月において国会議員として再就職したときは、再在職の在職期間は、その再就職の月の翌月から起算する。
(在職期間からの除算)
第十二条 次に掲げる期間は、在職期間から除算する。
一 第五条又は第十四条第一項の規定により普通退職年金又は公務傷病年金を受ける権利が消滅した場合において、その権利の基礎となつた在職期間
二 第十三条の規定により国会議員が互助年金を受ける資格を失つた在職期間(除名の場合にあつては、除名の時を含む当該国会の召集の日の属する月から除名の日の属する月までの在職期間)
三 退職後、在職中の職務に関する犯罪(過失犯を除く。)に因り三年以下の懲役又は禁錮の刑に処せられたときは、その犯罪に係る当該任期中の在職期間
四 退職後、在職中の職務に関する犯罪(過失犯を除く。)に因り死刑又は無期若しくは三年をこえる懲役若しくは禁錮の刑に処せられたときは、その犯罪の時を含むそれ以前のすべての在職期間
(普通退職年金又は公務傷病年金を受ける資格の喪失)
第十三条 国会議員は、次の各号の一に該当するときは、当該任期中の在職(除名の場合にあつては、除名の時を含む国会の当該会期の在職)につき、普通退職年金又は公務傷病年金を受ける資格を失う。
一 除名されたとき。
二 在職中三年以下の懲役又は禁錮の刑に処せられたとき。
2 国会議員は、在職中死刑又は無期若しくは三年をこえる懲役若しくは禁錮の刑に処せられたときは、当該任期中の在職を含むそれ以前のすべての在職につき、普通退職年金又は公務傷病年金を受ける資格を失う。
(互助年金を受ける権利の消滅)
第十四条 互助年金を受ける権利を有する者が次の各号の一に該当するときは、その権利は、消滅する。
一 死亡したとき。
二 死刑又は無期若しくは三年をこえる懲役若しくは禁錮の刑に処せられたとき。
2 普通退職年金又は公務傷病年金を受ける権利を有する者が在職中の職務に関する犯罪(過失犯を除く。)に因り三年以下の懲役又は禁錮の刑に処せられたときは、その犯罪に係る当該任期中の在職を含み生じた権利は、消滅する。
(互助年金の停止)
第十五条 普通退職年金は、これを受ける者が年齢満五十五歳に達する月まで、その支給を停止する。
2 普通退職年金及び公務傷病年金は、これを受ける者が国会議員として再就職するときは、再就職の月の翌月から退職の月まで、その支給を停止する。ただし、実在職期間一月未満であるときは、この限りでない。
3 普通退職年金及び公務傷病年金は、これを受ける者が三年以下の懲役又は禁錮の刑に処せられたときは、その月の翌月からその刑の執行を終り又は執行を受けることがなくなるに至つた月まで、その支給を停止する。ただし、刑の執行猶予の言渡を受けたときは、当該年金は、その支給を停止しない。その言渡を取り消されたときは、取消の月の翌月から刑の執行を終り又は執行を受けることがなくなるに至つた月まで、その支給を停止する。
(高額所得による互助年金の停止)
第十六条 普通退職年金は、普通退職年金の年額が三十六万円以上であつてこれを受ける者の前年における互助年金外の所得の年額が五十万円をこえるときは、普通退職年金の支給年額が三十六万円を下らない範囲内において、次の区分によりその一部を停止する。
一 普通退職年金の年額と互助年金外の所得の年額との合計額が八十六万円をこえ九十六万円以下であるときは、八十六万円をこえ九十六万円以下の金額の一割五分の金額に相当する金額
二 普通退職年金の年額と互助年金外の所得の年額との合計額が九十六万円をこえ百十六万円以下であるときは、八十六万円をこえ九十六万円以下の金額の一割五分の金額及び九十六万円をこえる金額の二割の金額の合計額に相当する金額
三 普通退職年金の年額と互助年金外の所得の年額との合計額が百十六万円をこえ百五十万円以下であるときは、八十六万円をこえ九十六万円以下の金額の一割五分の金額、九十六万円をこえ百十六万円以下の金額の二割の金額及び百十六万円をこえる金額の二割五分の金額の合計額に相当する金額。ただし、その停止年額は、普通退職年金の年額の二割五分をこえることがない。
四 普通退職年金の年額と互助年金外の所得の年額との合計額が百五十万円をこえるときは、八十六万円をこえ九十六万円以下の金額の一割五分の金額、九十六万円をこえ百十六万円以下の金額の二割の金額、百十六万円をこえ百五十万円以下の金額の二割五分の金額及び百五十万円をこえる金額の三割の金額の合計額に相当する金額。ただし、その停止年額は、普通退職年金の年額の三割をこえることがない。
2 前項の互助年金外の所得の計算については、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)その他の所得税に関する法令の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額の計算に関する規定を準用する。
3 第一項の互助年金外の所得は、毎年、税務署長の調査により総理府恩給局長が決定する。
4 第一項に規定する互助年金の停止は、前項の決定に基き、その年の七月より翌年六月に至る期間分の互助年金について行う。ただし、互助年金を受けるべき事由が生じた月の翌月より翌年六月に至る期間分については、この限りでない。
5 互助年金の請求又は裁定の遅延により前年以前の分の互助年金につき第一項の規定による停止をなすべき場合においては、その停止額は、前項の規定にかかわらず、同項の期間後の期間分の互助年金支給額から控除することができる。
(再就職による年金の改定)
第十七条 普通退職年金又は公務傷病年金を受ける者が国会議員として再就職後退職し、次の各号の一に該当するときは、その年金を改定する。
一 再就職後在職一年以上で退職したとき。
二 再就職後公務に基く傷病に因り不具廃疾となり退職したとき。
三 再就職後退職した後三年以内に当該在職中の公務に基く傷病に因り不具廃疾となり又はその程度が増進したとき。
2 普通退職年金を受ける者が前項第二号又は第三号に該当した場合においては、これを公務傷病年金に改定する。
3 前二項の規定により普通退職年金又は公務傷病年金を改定する場合には、前後の在職期間を合算し又は前後の傷病を合したものをもつてその不具廃疾の程度とし、その年額を定める。
4 普通退職年金又は公務傷病年金を受ける者が国会議員として再就職後在職一年未満で退職した場合においても、前後の在職期間を合算するに当つて年に満たない在職期間が一年以上となるときは、その年金を改定する。
(再就職によらない年金の改定)
第十八条 国会議員が退職した後三年以内に当該在職中の公務に基く傷病に因り不具廃疾となつたとき又はその程度が増進したときは、その者が現に受ける普通退職年金又は公務傷病年金を不具廃疾の程度に相応する公務傷病年金に改定する。
2 在職期間十年以上の者で第十条第五項又は第六項の規定により公務傷病年金を給されるものが、これらの規定によりその公務傷病年金を給されなくなつたときは、その公務傷病年金をその者の在職期間に相応する普通退職年金に改定する。
(遺族扶助年金及びその年額)
第十九条 国会議員が在職中死亡し、その死亡を退職とみなすときはこれに普通退職年金又は公務傷病年金を給すべきときは、その者の遺族に遺族扶助年金を給する。普通退職年金又は公務傷病年金を受ける者が死亡したときも、また同様とする。
2 前項の遺族扶助年金の年額は、これを受ける者の人員にかかわらず、次の各号に掲げる金額の二分の一に相当する金額とする。
一 国会議員が公務に基く傷病に因らないで死亡した場合においては、これに給すべき普通退職年金の金額
二 普通退職年金を受ける者が公務に基く傷病に因らないで死亡した場合(前号に規定する場合を除く。)においては、当該年金の金額
三 公務傷病年金を受ける者が公務に基く傷病に因らないで死亡した場合においては、在職期間十年未満の者にあつては第九条の規定により在職期間十年の者に給すべき年金の金額に、在職期間十年以上の者にあつては同条の規定により在職期間十年以上の者に給すべき年金の金額に、それぞれ百分の百二十八を乗じて得た金額
四 国会議員又は普通退職年金若しくは公務傷病年金を受ける者が公務に基く傷病に因り死亡した場合においては、在職期間十年未満の者にあつては第九条の規定により在職期間十年の者に給すべき年金の金額に、在職期間十年以上の者にあつては同条の規定により在職期間十年以上の者に給すべき年金の金額に、それぞれ百分の百七十を乗じて得た金額
(恩給法の準用)
第二十条 恩給法第三章(第七十二条中兄弟姉妹に関する部分、第七十四条ノ二第二項及び第四項、第七十五条、第七十九条ノ三、第八十一条並びに第八十二条を除く。)の規定は遺族扶助年金を給する場合について、同法第八十二条ノ三の規定は互助年金について、準用する。
(互助年金の裁定)
第二十一条 互助年金を受ける権利は、総理府恩給局長が裁定する。
2 公務傷病年金を受ける権利を裁定する場合又は公務に基く傷病に因る死亡につき遺族扶助年金を受ける権利を裁定する場合において、第十条、第十七条(第一項第一号及び第四項を除く。)、第十八条第一項又は第十九条第一項及び第二項第四号に規定する事由に該当するかどうかの認定は、当該国会議員であつた者が属していた議院の議院運営委員会の議決するところによる。
(死亡前の未受領給与の支給)
第二十二条 互助年金を受ける権利を有する者が死亡したときは、その互助年金で生存中に給与を受けなかつたものは、当該国会議員の遺族に給し、遺族がないときは、死亡者の相続人に給する。
2 前項の規定により互助年金の支給を受けるべき遺族及びその順位は、遺族扶助年金を受けるべき遺族及びその順位による。
3 恩給法第十条ノ二及び第十条ノ三の規定は、前二項の場合における互助年金の請求及びその支給の請求について、準用する。
(納付金)
第二十三条 国会議員は、毎月、その歳費月額の百分の三に相当する金額を国庫に納付しなければならない。
(国庫負担)
第二十四条 互助年金に要する費用は、国庫が負担する。
(併給の禁止)
第二十五条 普通退職年金と公務傷病年金とは、併給しない。
(恩給公務員との兼職期間の取扱)
第二十六条 国会議員と恩給法に規定する公務員と兼職する場合においては、当該兼職期間は、同法の規定にかかわらず、恩給の基礎となるべき在職年に算入しないものとし、これを国会議員の在職期間に算入する。
2 前項に規定する公務員は、当該兼職期間については、政令で定める場合を除き、恩給法第五十九条の規定にかかわらず、同条の規定による納付金を納付することを要しない。
(届出)
第二十七条 互助年金を受ける者が、第十四条、第十五条第二項若しくは第三項又は第二十条において準用する恩給法第七十七条若しくは第八十条の規定に該当しその他法律の規定により互助年金の給与を受けることができなくなつたときは、本人又はその遺族は、直ちに、その旨を総理府恩給局長に届け出なければならない。
(過料)
第二十八条 前条に規定する者が、同条の規定による届出をせず又は虚偽の届出をしたときは、一万円以下の過料に処する。
(政令への委任)
第二十九条 この法律に規定するもののほか、互助年金の請求、裁定、支給及び受給権の存否の調査並びにこの法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日の後最初の衆議院議員の総選挙が行われる日から施行する。
(この法律の施行前の在職期間の通算)
2 この法律の規定による互助年金については、帝国議会における衆議院議員としての在職期間及びこの法律の施行前における国会議員としての在職期間は、この法律の規定による国会議員としての在職期間とみなし、この法律の在職期間の計算に関する規定を適用する。
(前国会議員等に対する互助年金)
3 この法律の規定(第五条第三項及び第二十三条の規定を除く。)は、この法律の施行前国会議員であつた者でこの法律の施行の際現に国会議員でないもの又はこの法律の施行前国会議員であつた者の遺族についても、適用する。この場合において、第四条第一項及び第十六条第四項ただし書中「互助年金を受けるべき事由が生じた月」とあるのは「この法律の施行の日の属する月」と、第五条第一項中「これを受けるべき事由が生じた日」とあるのは「この法律の施行の日」と、第九条第二項中「退職当時の議員の歳費年額」とあるのは「この法律の施行の日における国会議員の歳費年額に相当する金額」と読み替えるものとする。
(恩給公務員との兼職期間の取扱の特例)
4 この法律の施行前に恩給法に規定する公務員と帝国議会における衆議院議員又は国会議員と兼職した者のこの法律の施行前における当該兼職期間が、当該公務員の恩給の基礎となつている場合においては、当該兼職期間については、従前の例によるものとし、この法律の規定による国会議員としての在職期間からこれを除算する。
(この法律施行の際恩給公務員たる者の兼職期間の取扱の特例)
5 この法律の施行の際現に恩給法に規定する公務員である者がこの法律の施行の日の前日までのその引き続く在職期間内に当該公務員と国会議員と兼職していた場合において、当該兼職期間を恩給の基礎となるべき在職年に算入し、かつ、その者がこの法律の施行の日の前日に当該公務員を退職するとすれば、普通恩給を給し又は改定すべきこととなるときは、当該兼職期間については、従前の例によるものとし、この法律の規定による国会議員としての在職期間からこれを除算する。
(納付金相当額の控除)
6 この法律の施行前の在職期間がこの法律の規定による普通退職年金の基礎となる場合における普通退職年金の年額は、第九条の規定により算出した年額から、この法律の施行の日における国会議員の歳費月額の百分の二に相当する金額にこの法律の施行前における普通退職年金の基礎となるべき在職期間の月数を乗じて算出した金額(附則第七項の規定により納付した金額がある場合においてはその金額を差し引いた金額。以下「納付金相当額」という。)の十分の一に相当する金額(以下本項において「控除金額」という。)を控除した金額とし、その控除は、当該控除金額の総額が納付金相当額に達するまで行うものとする。ただし、当該控除を受けることとなる者が、政令で定めるところにより、納付金相当額を一時に国庫に納付した場合は、この限りでない。
(納付金相当額に充てるための予納)
7 この法律の施行の際現に国会議員である者及びこの法律の施行後国会議員となつた者は、その議員の属する議院の議長に、文書で申し出ることにより、第二十三条の規定による納付金のほか、あらかじめ納付金相当額に充てるため、毎月、その歳費月額の百分の二に相当する金額を国庫に納付することができる。
8 附則第六項ただし書及び前項の規定により納付した金額は、在職中の死亡その他の事由により普通退職年金を受けることができなくなつた場合その他いかなる場合においても、これを返還しない。
(総理府設置法の一部改正)
9 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第七条に次の一号を加える。
五 国会議員の互助年金に関すること。
(所得税法の一部改正)
10 所得税法の一部を次のように改正する。
第八条第六項第七号の次に次の一号を加える。
七の二 国会議員互助年金法第二十三条の規定による納付金(同法附則第六項ただし書及び附則第七項の規定による納付金を含む。)
内閣総理大臣 岸信介
大蔵大臣 一万田尚登