環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成五年十一月十九日
内閣総理大臣 細川護煕
法律第九十二号
環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
(公害対策基本法の廃止)
第一条 公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)は、廃止する。
(環境基準に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に前条の規定による廃止前の公害対策基本法(以下旧対策法」という。)第九条第一項の規定により定められている基準は、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定により定められた基準とみなす。
(公害防止計画に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前に旧対策法第十九条第一項の規定により示された基本方針及び同項の規定によりされた指示は、環境基本法第十七条第一項の規定により示された基本方針及び同項の規定によりされた指示とみなす。
2 この法律の施行前に旧対策法第十九条第二項の規定により内閣総理大臣の承認を受けた公害防止計画は、環境基本法第十七条第三項の規定により内閣総理大臣の承認を受けた公害防止計画とみなす。
3 環境基本法第十七条第一項に規定する基本方針であって同法の施行後初めて同法第十五条第三項の規定による閣議の決定がされる日前に策定されるものについては、同法第十七条第二項の規定は、適用しない。
(都道府県公害対策審議会及び町村公害対策審議会に関する経過措置)
第四条 旧対策法第二十九条及び第三十条の規定は、環境基本法附則ただし書に規定する規定が施行されるまでの間は、なおその効力を有する。
(自然環境保全法の一部改正)
第五条 自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)の一部を次のように改正する。
第一条中「、自然環境の保全の基本理念その他自然環境の保全に関し基本となる事項を定めるとともに」を削り、「自然環境の適正な保全を総合的に推進し」を「自然環境を保全することが特に必要な区域等の自然環境の適正な保全を総合的に推進することにより、広く国民が自然環境の恵沢を享受するとともに、将来の国民にこれを継承できるようにし」に改める。
第二条を次のように改める。
(国等の責務)
第二条 国、地方公共団体、事業者及び国民は、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第三条から第五条までに定める環境の保全についての基本理念にのつとり、自然環境の適正な保全が図られるように、それぞれの立場において努めなければならない。
第四条を削り、第五条中「行なう」を「行う」に改め、同条を第四条とし、同条の次に次の一条を加える。
(地域開発施策等における配慮)
第五条 国は、地域の開発及び整備その他の自然環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定及びその実施に当たつては、自然環境の適正な保全について配慮しなければならない。
第六条から第十一条までを次のように改める。
第六条から第十一条まで 削除
第十三条第四項中「四十五人」を「四十人」に改める。
(地方自治法の一部改正)
第六条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
別表第一第二号の三中「公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)」に改める。
別表第三第一号(九の三)中「公害対策基本法」を「環境基本法」に、「あてはめる」を「当てはめる」に改める。
別表第七第一号の表中「都道府県公害対策審議会」を「都道府県環境審議会」に、「公害対策基本法第二十九条第一項の規定による公害対策」を「環境基本法第四十三条第一項の規定による環境の保全」に改める。
(自然公園法の一部改正)
第七条 自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)の一部を次のように改正する。
第二条の二中「自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)第二条に規定する自然環境の保全の」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第三条から第五条までに定める環境の保全についての」に改める。
第三条中「当つては」を「当たつては」に改め、「自然環境保全法」の下に「(昭和四十七年法律第八十五号)」を加える。
(下水道法の一部改正)
第八条 下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)の一部を次のように改正する。
第二条の二第一項中「公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)第九条第一項」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項」に、「保全するうえで」を「保全する上で」に改める。
(環境事業団法の一部改正)
第九条 環境事業団法(昭和四十年法律第九十五号)の一部を次のように改正する。
第一条の二中「公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)第二条第一項」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第三項」に改める。
(大気汚染防止法の一部改正)
第十条 大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
第五条の二第一項中「公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)第九条第一項」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項」に改める。
第五条の三第二項中「都道府県公害対策審議会」を「都道府県環境審議会」に改める。
(公害紛争処理法の一部改正)
第十一条 公害紛争処理法(昭和四十五年法律第百八号)の一部を次のように改正する。
第二条中「公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)第二条第一項」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第三項」に改める。
第二十四条第一項第一号中「公害対策基本法第二条第二項」を「環境基本法第二条第三項」に改める。
第五十条中「公害対策基本法第二十一条第一項」を「環境基本法第三十一条第一項」に改める。
(公害防止事業費事業者負担法の一部改正)
第十二条 公害防止事業費事業者負担法(昭和四十五年法律第百三十三号)の一部を次のように改正する。
目次中「第一条・第二条」を「第一条―第二条の二」に改める。
第一条中「公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)第二十二条第二項の規定に基づき」を「公害防止事業に要する費用の事業者負担に関し」に改め、「公害防止事業に要する費用の事業者負担に関し」を削る。
第二条第一項中「公害対策基本法第二条第一項」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第三項」に改め、同条第二項中「公害対策基本法第二十二条第一項の規定により」を削り、第一章中同条の次に次の一条を加える。
(事業者の負担)
第二条の二 事業者は、その事業活動による公害を防止するために実施される公害防止事業について、その費用の全部又は一部を負担するものとする。
第二十条第二号中「都道府県公害対策審議会」を「都道府県環境審議会」に改め、同条第三号中「市町村公害対策審議会」を「市町村環境審議会」に改める。
(公害防止事業費事業者負担法の一部改正に伴う経過措置)
第十三条 この法律の施行の際現に実施されている前条の規定による改正前の公害防止事業費事業者負担法(以下この条において「旧負担法」という。)第二条第二項に規定する公害防止事業は、前条の規定による改正後の公害防止事業費事業者負担法第二条第二項に規定する公害防止事業とみなす。
2 旧負担法第二条第二項に規定する公害防止事業であってこの法律の施行前に旧負担法第六条第一項の費用負担計画が定められているもの並びにその公害防止事業に係る費用負担計画及び旧負担法第九条第一項の規定、同条第二項若しくは第三項(これらの規定を旧負担法第十条第二項において準用する場合を含む。)の規定又は旧負担法第十条第一項の規定による通知は、それぞれ、前条の規定による改正後の公害防止事業費事業者負担法第二条第二項に規定する公害防止事業並びにその公害防止事業に係る費用負担計画及び同法第九条第一項の規定、同条第二項若しくは第三項(これらの規定を同法第十条第二項において準用する場合を含む。)の規定又は同法第十条第一項の規定による通知とみなす。
(廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正)
第十四条 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)の一部を次のように改正する。
第十一条第三項中「公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)第二十九条の規定による都道府県公害対策審議会」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第四十三条の規定により置かれる都道府県環境審議会」に改める。
(水質汚濁防止法の一部改正)
第十五条 水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。
第四条の二第一項中「公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)第九条第一項」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項」に改める。
第二十一条の見出し及び同条第一項中「都道府県公害対策審議会」を「都道府県環境審議会」に改め、同条第二項中「公害対策基本法第二十九条第二項」を「環境基本法第四十三条第二項」に、「都道府県公害対策審議会」を「都道府県環境審議会」に改める。
(農用地の土壌の汚染防止等に関する法律の一部改正)
第十六条 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(昭和四十五年法律第百三十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第二項中「中央公害対策審議会」を「中央環境審議会」に、「きかなければ」を「聴かなければ」に改め、同条第三項中「都道府県公害対策審議会」を「都道府県環境審議会」に、「きかなければ」を「聴かなければ」に改める。
第五条第五項中「都道府県公害対策審議会」を「都道府県環境審議会」に、「きかなければ」を「聴かなければ」に改める。
(公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部改正)
第十七条 公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和四十六年法律第七十号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項中「公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)第二条第一項」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第三項」に改め、同条第二項中「公害対策基本法第十九条第二項」を「環境基本法第十七条第三項」に改める。
(労働安全衛生法の一部改正)
第十八条 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の一部を次のように改正する。
第二十七条第二項中「公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)第二条第一項」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第三項」に改める。
(公害健康被害の補償等に関する法律の一部改正)
第十九条 公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四十八年法律第百十一号)の一部を次のように改正する。
第二条第四項中「中央公害対策審議会」を「中央環境審議会」に、「きかなければ」を「聴かなければ」に改める。
第二十二条中「中央公害対策審議会」を「中央環境審議会」に、「きいて」を「聴いて」に改める。
第二十五条第二項中「中央公害対策審議会」を「中央環境審議会」に、「きかなければ」を「聴かなければ」に改める。
第二十六条第二項及び第三十一条第二項中「中央公害対策審議会」を「中央環境審議会」に、「きいて」を「聴いて」に改める。
第三十九条第二項及び第六十三条第二項中「中央公害対策審議会」を「中央環境審議会」に、「きかなければ」を「聴かなければ」に改める。
(湖沼水質保全特別措置法の一部改正)
第二十条 湖沼水質保全特別措置法(昭和五十九年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項中「公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)第九条第一項」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項」に改める。
(自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部改正)
第二十一条 自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(平成四年法律第七十号)の一部を次のように改正する。
第六条第一項中「公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)第九条第一項」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項」に改める。
(総理府設置法の一部改正)
第二十二条 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十二条第二項中「公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)」に改める。
(環境庁設置法の一部改正)
第二十三条 環境庁設置法(昭和四十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第五号中「公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)」を「環境基本法(平成五年法律第九十一号)」に改め、同条第六号中「公害対策基本法第九条第一項」を「環境基本法第十六条第一項」に、「行なう」を「行う」に改める。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。ただし、第六条中地方自治法別表第七第一号の表の改正規定、第十条中大気汚染防止法第五条の三第二項の改正規定、第十二条中公害防止事業費事業者負担法第二十条の改正規定、第十四条の規定、第十五条中水質汚濁防止法第二十一条の改正規定並びに第十六条中農用地の土壌の汚染防止等に関する法律第三条第三項及び第五条第五項の改正規定は、環境基本法附則ただし書に規定する日から施行する。
内閣総理大臣 細川護煕
法務大臣 三ケ月章
大蔵大臣 藤井裕久
文部大臣 赤松良子
厚生大臣 大内啓伍
農林水産大臣 畑英次郎
通商産業大臣臨時代理 国務大臣 中西啓介
運輸大臣 伊藤茂
労働大臣 坂口力
建設大臣 五十嵐広三
自治大臣 佐藤観樹