水資源開発促進法
法令番号: 法律第217号
公布年月日: 昭和36年11月13日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

近年の産業発展、人口増加・都市集中、生活水準向上により、重要産業地帯での用水需要が激増している。一方、日本の主要河川は年間流出量が多いにもかかわらず、豊水と渇水の差が大きく、利用率は低い状況にある。例えば利根川では全流出量の12%程度しか利用されていない。この水不足に対処するため、水資源の積極的な開発と合理的使用が必要であり、水系を一貫した総合的な水資源開発利用計画の樹立が不可欠である。これが本法案を提出した理由である。

参照した発言:
第39回国会 衆議院 建設委員会 第1号

審議経過

第39回国会

衆議院
(昭和36年10月4日)
(昭和36年10月10日)
(昭和36年10月11日)
(昭和36年10月13日)
(昭和36年10月17日)
参議院
(昭和36年10月19日)
(昭和36年10月25日)
(昭和36年10月26日)
(昭和36年10月30日)
衆議院
(昭和36年10月31日)
参議院
(昭和36年10月31日)
(昭和36年10月31日)
(昭和36年10月31日)
水資源開発促進法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十六年十一月十三日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第二百十七号
水資源開発促進法
(目的)
第一条 この法律は、産業の開発又は発展及び都市人口の増加に伴い用水を必要とする地域に対する水の供給を確保するため、水源の保全かん養と相まつて、河川の水系における水資源の総合的な開発及び利用の合理化の促進を図り、もつて国民経済の成長と国民生活の向上に寄与することを目的とする。
(基礎調査)
第二条 政府は、次条第一項の規定による水資源開発水系の指定及び第四条第一項の規定による水資源開発基本計画の決定のため必要な基礎調査を行なわなければならない。
2 経済企画庁長官は、前項の規定により行政機関の長が行なう基礎調査について必要な調整を行ない、当該行政機関の長に対し、その基礎調査の結果について報告を求めることができる。
(水資源開発水系の指定)
第三条 内閣総理大臣は、第一条に規定する地域について広域的な用水対策を緊急に実施する必要があると認めるときは、関係行政機関の長に協議し、かつ、関係都道府県知事及び水資源開発審議会の意見をきいて、当該地域に対する用水の供給を確保するため水資源の総合的な開発及び利用の合理化を促進する必要がある河川の水系を水資源開発水系として指定する。
2 内閣総理大臣が水資源開発水系の指定をするには、閣議の決定を経なければならない。
3 内閣総理大臣は、水資源開発水系の指定をしたときは、これを公示しなければならない。
(水資源開発基本計画)
第四条 内閣総理大臣は、水資源開発水系の指定をしたときは、関係行政機関の長に協議し、かつ、関係都道府県知事及び水資源開発審議会の意見をきいて、当該水資源開発水系における水資源の総合的な開発及び利用の合理化の基本となるべき水資源開発基本計画(以下「基本計画」という。)を決定しなければならない。
2 内閣総理大臣が基本計画の決定をするには、閣議の決定を経なければならない。
3 基本計画には、治山治水、電源開発及び当該水資源開発水系に係る後進地域の開発について十分の考慮が払われていなければならない。
4 内閣総理大臣は、基本計画を決定したときは、これを公示しなければならない。
5 前四項の規定は、基本計画を変更しようとするときに準用する。
第五条 基本計画には、次の事項を記載しなければならない。
一 水の用途別の需要の見とおし及び供給の目標
二 前号の供給の目標を達成するため必要な施設の建設に関する基本的な事項
三 その他水資源の総合的な開発及び利用の合理化に関する重要事項
(水資源開発審議会)
第六条 総理府に、附属機関として、水資源開発審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、内閣総理大臣の諮問に応じ、水資源開発水系及び基本計画に関する重要事項について調査審議する。
3 審議会は、前項に規定する重要事項について、内閣総理大臣又は関係行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。
第七条 審議会は、委員十五人以内で組織する。
2 委員は、学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
3 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることができる。
5 委員は、非常勤とする。
6 審議会に会長を置き、委員の互選によつてこれを定める。
7 会長は、会務を総理する。会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。
第八条 専門の事項を調査させるため、審議会に専門委員を置くことができる。
2 専門委員は、関係行政機関の職員及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
3 専門委員は、非常勤とする。
第九条 審議会は、その所掌事務に関し、関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
2 関係行政機関の長は、審議会の会議に出席して、意見を述べることができる。
第十条 前四条に定めるもののほか、審議会の組織及び運営その他審議会に関し必要な事項は、政令で定める。
(国土総合開発計画等との調整)
第十一条 国土総合開発計画と基本計画との調整は、内閣総理大臣が国土総合開発審議会と審議会の意見をきいて行なうものとする。
2 電源開発基本計画と基本計画との調整は、内閣総理大臣が電源開発調整審議会と審議会の意見をきいて行なうものとする。
(基本計画に基づく事業の実施)
第十二条 基本計画に基づく事業は、当該事業に関する法律(これに基づく命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体、水資源開発公団その他の者が実施するものとする。
(基本計画の実施に要する経費)
第十三条 政府は、基本計画を実施するために要する経費については、必要な資金の確保その他の措置を講ずることに努めなければならない。
(損失の補償等)
第十四条 基本計画に基づく事業を実施する者は、当該事業により損失を受ける者に対する措置が公平かつ適正であるように努めなければならない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(総理府設置法の一部改正)
2 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中低開発地域工業開発審議会の項の次に次のように加える。
水資源開発審議会
水資源開発促進法(昭和三十六年法律第二百十七号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行なうこと。
(経済企画庁設置法の一部改正)
3 経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十号カの次に次のように加える。
ヨ 水資源開発促進法(昭和三十六年法律第二百十七号)
第九条に次の一号を加える。
十三 水資源の総合的な開発及び利用の合理化の促進に関すること。
内閣総理大臣 池田勇人