豪雪地帯対策特別措置法
法令番号: 法律第73号
公布年月日: 昭和37年4月5日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

日本経済は大都市を中心に発展し、地域格差が拡大する中、北海道、東北、北信越等の豪雪地帯は、毎年の豪雪により民生・産業に多大な損害を被り、発展が阻害されている。経済の安定的発展と地域格差の縮小が国の課題であり、特に豪雪地帯において雪害防除や民生・産業振興の条件整備が不可欠である。これら地域の福祉向上と地域格差是正のため、住民の要望に応え、豪雪地帯に焦点を当てた抜本的な総合対策を確立・推進する基本法として本法案を提出する。

参照した発言:
第40回国会 衆議院 商工委員会 第23号

審議経過

第40回国会

衆議院
(昭和37年3月28日)
(昭和37年3月29日)
参議院
(昭和37年3月31日)
(昭和37年3月31日)
(昭和37年4月23日)
豪雪地帯対策特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十七年四月五日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第七十三号
豪雪地帯対策特別措置法
(目的)
第一条 この法律は、積雪が特にはなはだしいため、産業の発展が停滞的で、かつ、住民の生活水準の向上が阻害されている地域について、雪害の防除その他産業等の基礎条件の改善に関する総合的な対策を樹立し、その実施を推進することにより、当該地域における産業の振興と民生の安定向上に寄与することを目的とする。
(豪雪地帯の指定)
第二条 内閣総理大臣は、前条に規定する地域について、積雪の度その他の事情を勘案して政令で定める基準に従い、かつ、豪雪地帯対策審議会の意見をきいて、道府県の区域の全部又は一部を豪雪地帯として指定する。
2 内閣総理大臣は、豪雪地帯の指定をしたときは、これを公示しなければならない。
(豪雪地帯対策基本計画の樹立)
第三条 内閣総理大臣は、関係行政機関の長に協議し、かつ、関係道府県知事及び豪雪地帯対策審議会の意見をきいて、豪雪地帯における雪害の防除その他積雪により劣つている産業等の基礎条件の改善に関する施策の基本となるべき豪雪地帯対策基本計画(以下「基本計画」という。)を決定しなければならない。
2 内閣総理大臣が基本計画の決定をするには、閣議の決定を経なければならない。
3 内閣総理大臣は、基本計画を決定したときは、これを公示するとともに、関係道府県知事に通知しなければならない。
4 前三項の規定は、基本計画を変更しようとする場合について準用する。
(基本計画の内容)
第四条 基本計画には、次の各号に掲げる事項について、それぞれその基本的なものを定めるものとする。
一 積雪期における交通及び通信を確保するために必要な道路、鉄道、軌道、港湾等の交通施設及び通信施設の整備に関する事項
二 農業及び林業に係る雪害の防除その他農業及び林業の生産条件の整備に関する事項
三 豪雪地帯の特殊事情に即応する教育施設、保健衛生施設及び社会福祉施設の整備に関する事項
四 雪害を防除するために必要な国土保全施設の整備に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、雪害の防除その他積雪により劣つている産業等の基礎条件の改善に関する重要事項で政令で定めるもの
(豪雪地帯対策審議会の設置及び所掌事務)
第五条 総理府に、附属機関として、豪雪地帯対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、次の各号に掲げる事項について、調査審議する。
一 豪雪地帯の指定に関する事項
二 基本計画の作成及びその実施の推進に関する事項
三 豪雪地帯に適応する産業の振興に関する事項
四 豪雪地帯における住民の生活文化水準の向上に関する事項
五 雪害及びその対策に関する試験研究の促進に関する事項
六 前各号に掲げるもののほか、豪雪地帯に関する重要事項
3 審議会は、前項各号に掲げる事項に関し、内閣総理大臣の諮問に答申し、かつ、必要に応じ、内閣総理大臣又は関係行政機関の長に対し意見を申し出ることができる。
(審議会の組織)
第六条 審議会は、委員三十五人以内で組織する。
2 委員は、次の各号に掲げる者について、内閣総理大臣が任命する。
衆議院議員のうちから衆議院が指名する者
五人
参議院議員のうちから参議院が指名する者
三人
関係行政機関の職員
十二人以内
道府県知事
六人
学識経験のある者
九人以内
3 前項第五号の委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 第二項第五号の委員は、再任されることができる。
5 審議会に、会長を置き、委員の互選によつてこれを定める。
6 会長は、会務を総理する。会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。
7 専門の事項を調査させるため、審議会に、専門委員を置くことができる。専門委員は、関係行政機関の職員及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
8 委員及び専門委員は、非常勤とする。
(資料の提出等の要求)
第七条 審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長又は関係団体に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
(審議会の運営等)
第八条 前三条に定めるもののほか、審議会の組織及び運営その他審議会に関し必要な事項は、政令で定める。
(基本計画に基づく事業の実施)
第九条 基本計画に基づく事業は、この法律に定めるもののほか、当該事業に関する法律(これに基づく命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が実施するものとする。
(事業計画の作成及び調整)
第十条 関係行政機関の長は、毎年度、基本計画の実施についてその所掌する事項に関し事業計画を作成し、これを経済企画庁長官(北海道の区域内にある豪雪地帯に係る事業計画については、北海道開発庁長官。以下この条において同じ。)に提出しなければならない。
2 経済企画庁長官は、前項の規定により提出された事業計画について必要な調整を行なうものとする。
(基本計画の実施に要する経費)
第十一条 政府は、基本計画を実施するために必要な資金の確保を図り、かつ、国の財政の許す範囲内において、その実施を促進することに努めなければならない。
(関係機関等の協力)
第十二条 関係行政機関の長、関係地方公共団体及び関係事業者は、基本計画の円滑な実施が促進されるように協力しなければならない。
(工事の早期着手等についての配慮)
第十三条 国及び地方公共団体は、豪雪地帯の特殊事情にかんがみ、早期に工事に着手することができるようにする等基本計画に基づく事業の効率的な実施について特別の配慮をするものとする。
(国の負担割合又は補助率についての特例)
第十四条 基本計画に基づく事業の実施の促進上特に必要があるときは、当該事業に要する経費に係る国の負担割合又は補助率について、別に法律で定めるところにより、特例を設けることができる。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(総理府設置法の一部改正)
2 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中水資源開発審議会の項の次に次のように加える。
豪雪地帯対策審議会
豪雪地帯対策特別措置法(昭和三十七年法律第七十三号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行なうこと。
(経済企画庁設置法の一部改正)
3 経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十号の次に次の一号を加える。
二十の二 豪雪地帯対策特別措置法(昭和三十七年法律第七十三号)に基づく内閣総理大臣の権限の行使について補佐すること。
第九条第十一号の次に次の一号を加える。
十一の二 豪雪地帯における雪害の防除その他産業等の基礎条件の改善に関すること。
(北海道開発法の一部改正)
4 北海道開発法(昭和二十五年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。
第五条に次の一号を加える。
四 豪雪地帯対策特別措置法(昭和三十七年法律第七十三号)第十条の規定に基づき、豪雪地帯対策基本計画に基づく事業計画について必要な調整を行なうこと。
(災害対策基本法の一部改正)
5 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)の一部を次のように改正する。
第三十八条中第十四号を第十五号とし、第十三号の次に次の一号を加える。
十四 豪雪地帯対策特別措置法(昭和三十七年法律第七十三号)第三条第一項に規定する豪雪地帯対策基本計画
内閣総理大臣 池田勇人
大蔵大臣 水田三喜男
文部大臣 荒木萬壽夫
厚生大臣 灘尾弘吉
農林大臣 河野一郎
通商産業大臣 佐藤榮作
運輸大臣 齋藤昇
郵政大臣 迫水久常
建設大臣 中村梅吉
自治大臣 安井謙