台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法
法令番号: 法律第七十二号
公布年月日: 昭和33年4月22日
法令の形式: 法律
台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年四月二十二日
内閣総理大臣 岸信介
法律第七十二号
台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法
(目的)
第一条 この法律は、台風常襲地帯における台風(豪雨を含む。以下同じ。)による災害を防除するために行われる公共土木施設等に関する事業について特別の措置を定め、もつて国土の保全と民生の安定を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「災害防除事業」とは、台風常襲地帯における台風による災害を防除するために行われる事業で、国若しくは地方公共団体(これらの機関を含む。)又はその他の者が法令により管理する次に掲げる施設に関するもののうち、内閣総理大臣が当該施設に関する主務大臣の意見を聞き、かつ、台風常襲地帯対策審議会の議決を経て指定するものをいう。
一 河川
二 海岸
三 砂防設備
四 林地荒廃防止施設
五 前号に該当するものを除き、水源かん養林、防風林その他の森林保安施設
六 地すべり防止施設及びぼた山崩壊防止施設
七 農業用施設
2 この法律で「災害防除事業五箇年計画」とは、昭和三十三年度以降の五箇年間における災害防除事業の事業計画をいう。
(台風常襲地帯の指定)
第三条 内閣総理大臣は、台風の来襲回数及び強度、降雨量その他の事情を勘案して政令で定める基準に従い、かつ、台風常襲地帯対策審議会の議決を経て、しばしば台風による災害が発生している都道府県の区域の全部又は一部を台風常襲地帯として指定する。
2 内閣総理大臣は、前項の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
(災害防除事業五箇年計画の決定)
第四条 災害防除事業に関する主務大臣は、当該災害防除事業につき、関係都道府県知事の意見を聞いて災害防除事業五箇年計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
2 主務大臣は、前項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、災害防除事業五箇年計画を関係都道府県知事に通知しなければならない。
(災害防除事業五箇年計画の変更)
第五条 災害防除事業に関する主務大臣は、災害防除事業五箇年計画を定める基礎となつた事情が著しく変更したときは、関係都道府県知事の意見を聞いて災害防除事業五箇年計画を変更する案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
2 前条第二項の規定は、前項の規定による閣議の決定があつた場合に準用する。
(台風常襲地帯対策審議会の設置)
第六条 総理府に、台風常襲地帯対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(審議会の所掌事務)
第七条 審議会は、この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項その他台風常襲地帯における災害の防除に関する重要事項を調査審議する。
2 審議会は、台風常襲地帯における災害の防除に関する重要事項につき、関係行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。
(審議会の組織)
第八条 審議会は、次に掲げる者につき内閣総理大臣が任命する委員二十三人以内をもつて組織する。
一 衆議院議員のうちから衆議院が指名した者 五人
二 参議院議員のうちから参議院が指名した者 三人
三 関係行政機関の職員 八人以内
四 都道府県知事 二人
五 都道府県議会議長 二人
六 学識経験がある者 三人以内
2 前項第六号に掲げる委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 第一項第六号に掲げる委員は、再任されることができる。
4 審議会に会長を置き、委員の互選により選任する。
5 会長は、会務を総理する。
6 委員は、非常勤とする。
(資料の提出等の要求)
第九条 審議会は、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の陳述又は説明を求めることができる。
(政令への委任)
第十条 第六条から前条までに定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、政令で定める。
(国の予算への経費の計上及び特別な助成)
第十一条 政府は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、災害防除事業五箇年計画を実施するために必要な経費を予算に計上しなければならない。
2 国は、災害防除事業五箇年計画に係る事業を行う地方公共団体その他の者に対し、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第十六条の規定に基く補助金を交付し、必要な資金を融通し、又はあつせんし、その他必要と認める措置を講ずることができる。
(地方財政再建促進特別措置法との関係)
第十二条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)に基く財政再建団体である地方公共団体が災害防除事業を実施するために財政再建計画に変更を加えようとする場合においては、自治庁長官は、その財政の再建が合理的に達成できると認める限り、同法第三条第四項において準用する同条第一項の規定による当該財政再建計画の変更の承認に当つて、当該災害防除事業の実施が確保されるよう特に配慮しなければならない。
2 前項の規定は、地方財政再建促進特別措置法第二十二条第二項の規定により財政の再建を行う地方公共団体が災害防除事業を実施する場合に準用する。
(第二次の五箇年計画)
第十三条 内閣総理大臣は、第二条第二項に規定する期間の経過前に、昭和三十八年度以降において更にこの法律の規定によつて災害防除事業を行う必要があるかどうかについて、関係各大臣の意見を聞き、かつ、台風常襲地帯対策審議会の議決を経て、決定しなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により昭和三十八年度以降において更に災害防除事業を行うことを決定したときは、その旨を公示しなければならない。
3 第一項の規定により昭和三十八年度以降において更に災害防除事業を行うことが決定されたときは、当該災害防除事業につき、第二条第二項中「昭和三十三年度」とあるのは「昭和三十八年度」と読み替えて、この法律の規定を適用する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 災害防除事業五箇年計画には、災害防除事業五箇年計画の決定前に実施された昭和三十三年度の予算に係る事業で、第二条第一項に規定する災害防除事業に相当するものを含むものとする。
(総理府設置法の一部改正)
3 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中国土開発縦貫自動車道建設審議会の項の次に次のように加える。
台風常襲地帯対策審議会
台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法(昭和三十三年法律第七十二号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。
(経済企画庁設置法の一部改正)
4 経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十号チの次に次のように加える。
リ 台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法(昭和三十三年法律第七十二号)
第九条第六号の次に次の一号を加える。
七 台風常襲地帯における災害の防除に関すること。
内閣総理大臣 岸信介
大蔵大臣 一萬田尚登
農林大臣臨時代理 国務大臣 石井光次郎
運輸大臣 中村三之丞
建設大臣 根本龍太郎
台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年四月二十二日
内閣総理大臣 岸信介
法律第七十二号
台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法
(目的)
第一条 この法律は、台風常襲地帯における台風(豪雨を含む。以下同じ。)による災害を防除するために行われる公共土木施設等に関する事業について特別の措置を定め、もつて国土の保全と民生の安定を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「災害防除事業」とは、台風常襲地帯における台風による災害を防除するために行われる事業で、国若しくは地方公共団体(これらの機関を含む。)又はその他の者が法令により管理する次に掲げる施設に関するもののうち、内閣総理大臣が当該施設に関する主務大臣の意見を聞き、かつ、台風常襲地帯対策審議会の議決を経て指定するものをいう。
一 河川
二 海岸
三 砂防設備
四 林地荒廃防止施設
五 前号に該当するものを除き、水源かん養林、防風林その他の森林保安施設
六 地すべり防止施設及びぼた山崩壊防止施設
七 農業用施設
2 この法律で「災害防除事業五箇年計画」とは、昭和三十三年度以降の五箇年間における災害防除事業の事業計画をいう。
(台風常襲地帯の指定)
第三条 内閣総理大臣は、台風の来襲回数及び強度、降雨量その他の事情を勘案して政令で定める基準に従い、かつ、台風常襲地帯対策審議会の議決を経て、しばしば台風による災害が発生している都道府県の区域の全部又は一部を台風常襲地帯として指定する。
2 内閣総理大臣は、前項の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
(災害防除事業五箇年計画の決定)
第四条 災害防除事業に関する主務大臣は、当該災害防除事業につき、関係都道府県知事の意見を聞いて災害防除事業五箇年計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
2 主務大臣は、前項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、災害防除事業五箇年計画を関係都道府県知事に通知しなければならない。
(災害防除事業五箇年計画の変更)
第五条 災害防除事業に関する主務大臣は、災害防除事業五箇年計画を定める基礎となつた事情が著しく変更したときは、関係都道府県知事の意見を聞いて災害防除事業五箇年計画を変更する案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
2 前条第二項の規定は、前項の規定による閣議の決定があつた場合に準用する。
(台風常襲地帯対策審議会の設置)
第六条 総理府に、台風常襲地帯対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(審議会の所掌事務)
第七条 審議会は、この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項その他台風常襲地帯における災害の防除に関する重要事項を調査審議する。
2 審議会は、台風常襲地帯における災害の防除に関する重要事項につき、関係行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。
(審議会の組織)
第八条 審議会は、次に掲げる者につき内閣総理大臣が任命する委員二十三人以内をもつて組織する。
一 衆議院議員のうちから衆議院が指名した者 五人
二 参議院議員のうちから参議院が指名した者 三人
三 関係行政機関の職員 八人以内
四 都道府県知事 二人
五 都道府県議会議長 二人
六 学識経験がある者 三人以内
2 前項第六号に掲げる委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 第一項第六号に掲げる委員は、再任されることができる。
4 審議会に会長を置き、委員の互選により選任する。
5 会長は、会務を総理する。
6 委員は、非常勤とする。
(資料の提出等の要求)
第九条 審議会は、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の陳述又は説明を求めることができる。
(政令への委任)
第十条 第六条から前条までに定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、政令で定める。
(国の予算への経費の計上及び特別な助成)
第十一条 政府は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、災害防除事業五箇年計画を実施するために必要な経費を予算に計上しなければならない。
2 国は、災害防除事業五箇年計画に係る事業を行う地方公共団体その他の者に対し、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第十六条の規定に基く補助金を交付し、必要な資金を融通し、又はあつせんし、その他必要と認める措置を講ずることができる。
(地方財政再建促進特別措置法との関係)
第十二条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)に基く財政再建団体である地方公共団体が災害防除事業を実施するために財政再建計画に変更を加えようとする場合においては、自治庁長官は、その財政の再建が合理的に達成できると認める限り、同法第三条第四項において準用する同条第一項の規定による当該財政再建計画の変更の承認に当つて、当該災害防除事業の実施が確保されるよう特に配慮しなければならない。
2 前項の規定は、地方財政再建促進特別措置法第二十二条第二項の規定により財政の再建を行う地方公共団体が災害防除事業を実施する場合に準用する。
(第二次の五箇年計画)
第十三条 内閣総理大臣は、第二条第二項に規定する期間の経過前に、昭和三十八年度以降において更にこの法律の規定によつて災害防除事業を行う必要があるかどうかについて、関係各大臣の意見を聞き、かつ、台風常襲地帯対策審議会の議決を経て、決定しなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により昭和三十八年度以降において更に災害防除事業を行うことを決定したときは、その旨を公示しなければならない。
3 第一項の規定により昭和三十八年度以降において更に災害防除事業を行うことが決定されたときは、当該災害防除事業につき、第二条第二項中「昭和三十三年度」とあるのは「昭和三十八年度」と読み替えて、この法律の規定を適用する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 災害防除事業五箇年計画には、災害防除事業五箇年計画の決定前に実施された昭和三十三年度の予算に係る事業で、第二条第一項に規定する災害防除事業に相当するものを含むものとする。
(総理府設置法の一部改正)
3 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中国土開発縦貫自動車道建設審議会の項の次に次のように加える。
台風常襲地帯対策審議会
台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法(昭和三十三年法律第七十二号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。
(経済企画庁設置法の一部改正)
4 経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十号チの次に次のように加える。
リ 台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法(昭和三十三年法律第七十二号)
第九条第六号の次に次の一号を加える。
七 台風常襲地帯における災害の防除に関すること。
内閣総理大臣 岸信介
大蔵大臣 一万田尚登
農林大臣臨時代理 国務大臣 石井光次郎
運輸大臣 中村三之丞
建設大臣 根本龍太郎