(目的)
第一條 この法律は、特殊土じよう地帯に対し、適切な災害防除及び農地改良対策を樹立し、これに基く事業を実施することによつて、特殊土じよう地帯の保全と農業生産力の向上とを図ることを目的とする。
(特殊土じよう地帯の指定)
第二條 内閣総理大臣は、特殊土じよう地帯対策審議会の意見をきいて、しばしば台風の来襲を受け、雨量がきわめて多く、且つ特殊土じよう(シラス、ボラ、コラ、アカホヤ等特殊な火山噴出物及び花こう岩風化土その他特に侵しよくを受けやすい性状の土じようをいう。以下同じ。)でおおわれ地形上年年災害が生じ、又は特殊土じようでおおわれているために農業生産力が著しく劣つている都道府県の地域の全部又は一部を特殊土じよう地帯として指定する。
2 内閣総理大臣は、前項の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
(特殊土じよう地帯対策事業計画の設定)
第三條 内閣総理大臣は、特殊土じよう地帯対策審議会の意見をきいて、第一條の目的を達成するために必要な特殊土じよう地帯における災害防除及び農地改良に関する事業計画を定める。
2 内閣総理大臣は、前項の事業計画を定めたときは、これを関係都道府県知事に通知するものとする。
(事業の実施)
第四條 前條第一項の事業計画に基く事業は、この法律に定めるものの外、当該事業に関する法律(これに基く命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が実施するものとする。
(特殊土じよう地帯対策審議会の設置及び権限)
第五條 この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項その他特殊土じよう地帯における災害防除及び農地改良に関する重要事項を調査審議するために、総理府に特殊土じよう地帯対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、特殊土じよう地帯における災害防除及び農地改良に関する重要事項につき、関係のある行政機関の長又は地方公共団体に対し、意見を申し出ることができる。
(審議会の組織等)
第六條 審議会は、左に掲げる者につき、内閣総理大臣が任命する委員十九人以内で組織する。
十一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学の教授 二人
2 前項第七号から第十二号までに掲げる者につき任命された委員の任期は、二年とする。但し、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 審議会に会長を置き、委員の互選により選任する。
5 会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代行する。
6 専門の事項を調査審議させるために、審議会に、専門委員を置くことができる。
7 専門委員は、関係行政機関の職員及び学識経験を有する者の中から、審議会の推薦に基いて、内閣総理大臣が任命する。
9 前各項に定めるものを除く外、審議会の事務をつかさどる機関並びに審議会の議事及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(資料の提出請求等)
第七條 審議会は、第五條第一項に規定する事項の調査審議に関し必要があるときは、関係のある行政機関、地方公共団体その他の者に対し、資料の提出を求め、又は報告をさせることができる。
(関係地方公共団体等の意見の申出)
第八條 関係地方公共団体その他の者は、第三條第一項の事業計画に関し、審議会に対して意見を申し出ることができる。
(国の予算への経費の計上)
第九條 政府は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、第三條第一項の事業計画を実施するために必要な経費を予算に計上しなければならない。
(特別な助成)
第十條 国は、第三條第一項の事業計画による事業を行う地方公共団体その他の者に対し、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第十六條(補助金の交付)の規定に基く補助金を交付し、必要な資金を融通し、又はあつ旋し、その他必要と認める措置を講ずることができる。
2 国は、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二十二條(無償貸付)又は第二十八條(譲与)の規定にかかわらず、第三條第一項の事業計画による事業を行う地方公共団体その他の者に対し、その事業の用に必要な普通財産を無償で貸し付け、又は譲与することができる。