(目的)
第一條 この法律は、地方財政委員会の所掌事務の範囲及び権限を明確に定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを目的とする。
(設置)
第二條 内閣総理大臣の所轄の下に、地方財政委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
(所掌事務)
第三條 委員会は、国、都道府県及び市町村相互の間における財政の調整を促進することにより、地方自治の本旨の実現に資することを目的として、左の各号に掲げる事務をつかさどる。
一 地方財政平衡交付金の総額を見積り、各地方公共団体に交付すべき交付金の額を決定し、その他地方公共団体の財政の運営に関し助言すること。
二 法定外普通税の新設又は変更を許可し、その他地方公共団体の税制の運営に関し助言すること。
三 国、都道府県及び市町村相互の間における財政の調整に関し、調査し、研究し、及び関係機関に対し意見を申し出ること。
四 地方公共団体の財政に関し、資料を收集し、統計を作成し、調査し、及び研究すること。
(権限)
第四條 委員会は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左の各号に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律(これに基く命令を含む。)に従つてなされなければならない。
一 予算の範囲内で所掌事務の遂行に必要な支出負担行為をすること。
二 收入金を徴收し、及び所掌事務の遂行に必要な支拂をすること。
三 所掌事務の遂行に直接必要な事務所等の施設を設置し、及び管理すること。
四 所掌事務の遂行に直接必要な業務用資材、事務用品又は研究用資材等を調達すること。
六 職員の任免及び賞罰を行い、その他職員の人事を管理すること。
七 職員の厚生及び保健のために必要な施設をし、及び管理すること。
八 職員に貸與する宿舍を設置し、及び管理すること。
九 所掌事務に関する統計及び調査資料を收集し、頒布し、又は刊行すること。
十二 毎年度分として交付すべき地方財政平衡交付金の総額を見積り、各地方公共団体に交付すべき交付金の額を決定し、及びこれを交付すること。
十三 地方財政平衡交付金の額の算定の基礎についての地方公共団体の審査の請求を受理し、及びこれを審査すること。
十四 地方公共団体の課税権の帰属その他地方税法(昭和二十五年法律第 号)の規定の適用について関係地方公共団体の長が意見を異にする場合において、決定をすること。
十五 附加価値税の課税標準とすべき附加価値の分割に関する更正又は決定について、主たる事務所又は事務所所在地の都道府県知事に対して、指示をすること。
十六 市町村が行う市町村民税の課税標準とすべき所得及び所得税額の変更について、許可を與えること。
十七 固定資産税の課税標準とすべき固定資産の価格の評価について、技術的援助及び助言を與えること。
十八 農地に対する固定資産税の課税標準とすべき農地の価格に関する倍数を決定すること。
十九 地方公共団体の法定外普通税の新設又は変更を許可すること。
二十一 当せん金附証票を発売することができる都市を指定し、及び地方公共団体の行う当せん金附証票の発売を許可すること。
二十二 地方競馬を行うことができる都市を指定すること。
二十三 自転車競技を行うことのできる市町村を指定すること。
二十四 国、都道府県及び市町村相互の間における財政及びこれに影響を及ぼす諸関係の調整について、内閣及び関係機関に対し、並びに内閣を経由して国会に対し、意見を申し出ること。
二十五 法令により委員会に属せしめられた権限の行使について、関係地方公共団体について聽聞をすること。
二十六 関係行政機関及び地方公共団体に対し、地方財政に関し、必要な資料の提出を求め、及び報告をさせること。
二十七 前各号に掲げるものの外、法律(これに基く命令を含む。)に基き、委員会に属せしめられた権限
2 この法律により、委員会が処理する権限を與えられた事項については、委員会の決定及び処分は、その定める手続により、委員会のみによつて審査される。
3 前項の規定は、法律問題について、裁判所に出訴する権利に影響を及ぼすものではない。
(組織)
2 委員は、地方自治に関し優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て内閣総理大臣が、任命する。
3 前項の委員のうちには、左に掲げる者を含まなければならない。
一 全国の都道府県知事及び都道府県議会の議長の各連合組織が共同推薦した者 一人
二 全国の市長及び市議会の議長の各連合組織が共同推薦した者 一人
三 全国の町村長及び町村議会の議長の各連合組織が共同推薦した者 一人
4 委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、第二項の規定にかかわらず、地方自治に関し優れた識見を有する者のうちから、委員を任命することができる。
5 前項の場合においては、任命後最初の国会で、両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認を得ることができないときは、内閣総理大臣は、その委員を罷免しなければならない。
(委員の罷免)
第七條 委員は、左の各号の一に該当する場合を除いては、在任中その意に反して罷免されることがない。
一 心身の故障のため職務を遂行するに堪えないとき。
二 職務上の義務に違反し、その他委員たるに適しない非行があるとき。
2 委員が前項各号の一に該当すると認められるときは、内閣総理大臣は、両議院の同意を得て、これを罷免することができる。この場合において、第五條第三項の委員については、あらかじめ、それぞれ当該委員を推薦した地方公共団体の連合組織の意見を聽かなければならない。
(委員長)
2 委員長は、委員会の会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員会は、あらかじめ、委員のうちから、委員長が故障のある場合に委員長を代理する者を定めておかなければならない。
(会務の決定)
第九條 委員会は、委員三人以上の同意をもつて、会務を決する。
2 前項に掲げるものを除く外、会務の決定に関し必要な事項は、委員会が定める。
(地方財政委員会規則)
第十一條 委員会は、その所掌する事務について、法律若しくは政令の規定を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基いて、地方財政委員会規則を制定することができる。
2 前項の規則は、官報をもつて公布しなければならない。
(聽聞)
第十二條 委員会は、その権限を行使するについて必要があると認めるときは、関係地方公共団体について聽聞をすることができる。
2 委員会は、その行つた決定又は処分について関係地方公共団体が充分な証拠を添えて、衡平又は公正を欠くものがある旨を申し出たときは、公開による聽聞を行わなければならない。
3 委員会は、前二項の聽聞を行う場合において必要があると認めるときは、参考人の出頭及び意見を求めることができる。
4 委員会は、第二項の聽聞の結果、同項の申出に正当な理由があると認めるときは、当該決定又は処分を取消し、又は変更しなければならない。
5 前三項に定めるものを除く外、聽聞の手続その他聽聞に関し必要な事項は、地方財政委員会規則で定める。
(意見の申出)
第十三條 委員会は、国、都道府県及び市町村相互の間における財政及びこれに影響を及ぼす諸関係の調整について必要があると認めるときは、内閣及び関係機関に対し、並びに内閣を経由して国会に対し、意見を申し出ることができる。
(地方財政に関する報告等)
第十四條 委員会は、毎年内閣及び内閣を経由して国会に対し、地方財政の情況について報告しなければならない。
2 前項の報告には、地方財政に関し改善すべき方策についての意見をつけるものとする。
(予算)
第十五條 委員会は、毎会計年度の開始前に、次の会計年度においてその必要とする経費の見積に関する書類を作成し、これを国の予算に計上されるように内閣総理大臣に提出しなければならない。
2 内閣は、委員会の経費の見積を減額した場合においては、委員会の要求に係る経費の見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記して、これを国会に提出しなければならない。
(事務局)
第十六條 委員会の事務局は、委員会の事務を処理する。
(官房の所掌事務)
第十七條 官房においては、左の各号に掲げる事務をつかさどる。
二 職員の職階、任免、分限、懲戒、服務その他の人事並びに教養及び訓練に関すること。
四 公文書類を接受し、発送し、編集し、及び保存すること。
五 経費及び收入の予算、決算及び会計並びに会計の監査に関すること。
十一 地方財政及び地方税に関し、図書を刊行し、及び講習会を開催すること。
十二 地方財政委員会規則案の審査その他総合調整に関すること。
十三 前各号に掲げるものの外、委員会の所掌事務で他部の所掌に属しない事務に関すること。
(財務部の所掌事務)
第十八條 財務部においては、左の各号に掲げる事務をつかさどる。
一 地方財政平衡交付金法(昭和二十五年法律第二百十一号)、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)及びその他の法律に基き委員会に属せしめられた地方財政に関する権限の行使に関すること。
二 国、都道府県及び市町村相互の間における財政関係の調整に関する調査、研究及び意見の申出に関すること。
三 地方財政に関し、調査研究を行い、地方財政委員会規則案を立案し、統計を作成し、その他資料の收集及び配付を行うこと。
(税務部の所掌事務)
第十九條 税務部においては、左の各号に掲げる事務をつかさどる。
一 地方税法及びその他の法律に基き委員会に属せしめられた地方税に関する権限の行使に関すること。
二 地方税に関し、調査研究を行い、地方財政委員会規則案を立案し、統計を作成し、その他資料の收集及び配付を行うこと。
(事務局の職員)
第二十條 事務局の長は、事務局長とする。事務局長は、委員会の指揮監督を受け、事務局の事務を掌理する。
2 事務局におかれる職員の任免、昇任、懲戒その他人事管理に関する事項については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の定めるところによる。
(定員)
第二十一條 事務局に置かれる職員の定員は、別に法律で定める。