総理府設置法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第152号
公布年月日: 昭和33年5月15日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

ソ連により占領されている北方地域について、日本の主権回復と島民の帰島実現に向けた取り組みが必要である。また、北方地域から本土に引き揚げた島民は、財産を残したまま避難を余儀なくされ、生活が困窮している状況にある。これらの問題に対応するため、現在の南方連絡事務局を特別地域連絡局に改組し、沖縄や小笠原諸島等の南方地域に加え、北方地域に関する事務も所掌させることとしたい。このため、その根拠法である総理府設置法の一部改正が必要となった。

参照した発言:
第28回国会 衆議院 内閣委員会 第7号

審議経過

第28回国会

参議院
(昭和33年2月27日)
衆議院
(昭和33年2月28日)
参議院
(昭和33年3月4日)
衆議院
(昭和33年3月13日)
(昭和33年4月18日)
(昭和33年4月18日)
参議院
(昭和33年4月22日)
(昭和33年4月23日)
(昭和33年4月24日)
衆議院
(昭和33年4月25日)
参議院
(昭和33年4月25日)
総理府設置法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年五月十五日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百五十二号
総理府設置法の一部を改正する法律
総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条中第三号を第四号とし、第二号を第三号として、第一号の次に次の一号を加える。
二 南方地域(硫黄鳥島、伊平屋島、北緯二十七度以南の南西諸島(大東諸島を含む。)、孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島、西之島及び火山列島をいう。)、沖の鳥島及び南鳥島をいう。以下同じ。)及び北方地域(政令で定める地域をいう。以下同じ。)に関する事務(外務省の所掌に属する事務を除く。以下同じ。)
第四条中第十八号を第十九号とし、第十七号の次に次の一号を加える。
十八 南方地域及び北方地域に関する事務を行うこと。
第五条第一項中「二局」を「三局」に、「統計局」を
統計局
特別地域連絡局
に改める。
第九条を次のように改める。
(特別地域連絡局の事務)
第九条 特別地域連絡局においては、左の事務をつかさどる。
一 本邦(出入国管理令(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第一号に規定する本邦をいう。以下同じ。)と南方地域との間の渡航に関する事務を行うこと。
二 南方地域に滞在する日本国民の保護に関する事務を行うこと。
三 本邦と南方地域又は北方地域にわたる身分関係事項その他の事実について公の証明に関する文書を作成すること。
四 本邦と南方地域又は北方地域との間において解決を要する事項を調査し、連絡し、あつせんし、及び処理すること。
五 本邦と南方地域との間の貿易、文化の交流その他南方地域に関する事務及び北方地域に関する事務に関し、関係行政機関の事務の総合調整及び推進を図ること。
六 南方同胞援護会法(昭和三十二年法律第百六十号)の施行に関すること。
第十条中「南方連絡事務局」を「日本政府南方連絡事務所」に改める。
第十三条を次のように改める。
(日本政府南方連絡事務所)
第十三条 日本政府南方連絡事務所(以下「南方連絡事務所」という。)は、南方地域において左の事務を行う機関とする。
一 管轄区域におけるアメリカ合衆国の政府機関との連絡を行うこと。
二 第九条第一号から第四号までに掲げる事務で管轄区域に係るものを行うこと。
三 本邦と管轄区域との間の貿易に関する事務を行うこと。
四 本邦と管轄区域との間の文化の交流に関する事務を行うこと。
2 南方連絡事務所の名称、位置及び管轄区域は、左の通りとする。
名称
位置
管轄区域
那覇日本政府南方連絡事務所
沖縄島那覇
硫黄鳥島、伊平屋島及び北緯二十七度以南の南西諸島(大東諸島を含む。)
3 特別の必要がある場合においては、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、前項に規定するものの外、南方連絡事務所を増置することができる。
4 南方連絡事務所の所掌事務を分掌させるため、南方連絡事務所に、出張所を置くことができる。
5 南方連絡事務所の内部組織並びに出張所の名称、位置及び管轄区域は、総理府令で定める。
第十四条を次のように改める。
第十四条 南方連絡事務所に、所長を置く。
2 所長は、内閣総理大臣の命を受け、所務を掌理する。
3 前項の規定にかかわらず、前条第一項第二号から第四号までに掲げる事務(同条第一項第二号に掲げる事務については、第九条第一号に掲げる事務を除く。)については、その事務を管理する主任の大臣は、所長を指揮監督することができる。この場合において、主任の大臣は、内閣総理大臣に協議しなければならない。
第十四条の次に次の一条を加える。
第十四条の二 南方連絡事務所に置かれる職員(以下この条において「職員」という。)には、俸給、扶養手当、期末手当及び勤勉手当の外、在勤手当を支給する。
2 職員に対して支給する在勤手当の支給額は、職員がその体面を維持し、かつ、その職務と責任に応じて能率を充分発揮することができるように南方連絡事務所の所在地における物価、為替相場及び生活水準を勘案して、政令で定める。
3 在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律(昭和二十七年法律第九十三号)第二条第三項、第三条、第四条、第十条(第三項を除く。)及び第二十一条第二項の規定は、第一項の俸給、扶養手当、期末手当及び勤勉手当並びに在勤手当の支給について準用する。この場合において、これらの規定中「大使及び公使以外の在外職員」とあり、又は「在外職員」とあるのは「職員」と、「当該在外職員」とあるのは「当該職員」と、「在勤俸及び加俸」とあり、又は「在勤俸」とあるのは「在勤手当」と、第四条第一項中「特別職の職員の給与に関する法律第八条並びに一般職の職員の給与に関する法律」とあるのは「一般職の職員の給与に関する法律」と、第十条第二項中「外国」とあるのは「日本政府南方連絡事務所の所在地」と、同条第五項中「本邦へ出張を命ぜられ、又は休暇帰国を許された」とあるのは「本邦へ出張を命ぜられた」と読み替えるものとする。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(南方連絡事務局設置法の廃止)
2 南方連絡事務局設置法(昭和二十七年法律第二百十八号)は、廃止する。
(職員の引継)
3 この法律施行の際現に南方連絡事務局(日本政府南方連絡事務所を除く。)及び那覇日本政府南方連絡事務所の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、同一の勤務条件をもつて、それぞれ特別地域連絡局及び那覇日本政府南方連絡事務所の職員となるものとする。
内閣総理大臣 岸信介