国土利用計画法
法令番号: 法律第九十二号
公布年月日: 昭和49年6月25日
法令の形式: 法律
国土利用計画法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十九年六月二十五日
内閣総理大臣 田中角榮
法律第九十二号
国土利用計画法
目次
第一章
総則(第一条―第三条)
第二章
国土利用計画(第四条―第八条)
第三章
土地利用基本計画等(第九条―第十一条)
第四章
土地に関する権利の移転等の許可(第十二条―第二十二条)
第五章
土地に関する権利の移転等の届出(第二十三条―第二十七条)
第六章
遊休土地に関する措置(第二十八条―第三十五条)
第七章
国土利用計画審議会、国土利用計画地方審議会及び土地利用審査会(第三十六条―第三十九条)
第八章
雑則(第四十条―第四十五条)
第九章
罰則(第四十六条―第五十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、国土利用計画の策定に関し必要な事項について定めるとともに、土地利用基本計画の作成、土地取引の規制に関する措置その他土地利用を調整するための措置を講ずることにより、総合的かつ計画的な国土の利用を図ることを目的とする。
(基本理念)
第二条 国土の利用は、国土が現在及び将来における国民のための限られた資源であるとともに、生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤であることにかんがみ、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、地域の自然的、社会的、経済的及び文化的条件に配意して、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図ることを基本理念として行うものとする。
(年次報告)
第三条 政府は、毎年、国会に、国土の利用の現況並びに国土の利用に関し講じられた施策及び講ずべき施策に関する報告書を提出しなければならない。
第二章 国土利用計画
(国土利用計画)
第四条 国土利用計画は、全国の区域について定める国土の利用に関する計画(以下「全国計画」という。)、都道府県の区域について定める国土の利用に関する計画(以下「都道府県計画」という。)及び市町村の区域について定める国土の利用に関する計画(以下「市町村計画」という。)とする。
(全国計画)
第五条 国は、政令で定めるところにより、国土の利用に関する基本的な事項について全国計画を定めるものとする。
2 内閣総理大臣は、全国計画の案を作成して、閣議の決定を求めなければならない。
3 内閣総理大臣は、全国計画の案を作成する場合には、国土利用計画審議会及び都道府県知事の意見を聴かなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の規定により都道府県知事の意見を聴くほか、都道府県知事の意向が全国計画の案に十分に反映されるよう必要な措置を講ずるものとする。
5 内閣総理大臣は、全国計画の案を作成するにあたっては、国土の利用の現況及び将来の見通しに関する調査を行うものとする。
6 内閣総理大臣は、第二項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、全国計画の要旨を公表しなければならない。
7 第二項から前項までの規定は、全国計画の変更について準用する。
(全国計画と他の国の計画との関係)
第六条 全国計画以外の国の計画は、国土の利用に関しては、全国計画を基本とするものとする。
(都道府県計画)
第七条 都道府県は、政令で定めるところにより、当該都道府県の区域における国土の利用に関し必要な事項について都道府県計画を定めることができる。
2 都道府県計画は、全国計画を基本とするものとする。
3 都道府県は、都道府県計画を定める場合には、あらかじめ、国土利用計画地方審議会及び市町村長の意見を聴くとともに、当該都道府県の議会の議決を経なければならない。
4 都道府県は、前項の規定により市町村長の意見を聴くほか、市町村長の意向が都道府県計画に十分に反映されるよう必要な措置を講ずるものとする。
5 都道府県は、都道府県計画を定めたときは、遅滞なく、これを内閣総理大臣に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。
6 内閣総理大臣は、前項の規定により都道府県計画について報告を受けたときは、これを関係行政機関の長に送付しなければならない。この場合において、関係行政機関の長は、内閣総理大臣に対し、当該都道府県計画について意見を申し出ることができる。
7 内閣総理大臣は、前項後段の規定による意見の申出があつたときは、関係行政機関の長に協議するとともに、国土利用計画審議会の意見を聴いて、都道府県に対し、必要な助言又は勧告をすることができる。
8 第三項から前項までの規定は、都道府県計画の変更について準用する。
(市町村計画)
第八条 市町村は、政令で定めるところにより、当該市町村の区域における国土の利用に関し必要な事項について市町村計画を定めることができる。
2 市町村計画は、都道府県計画が定められているときは都道府県計画を基本とするとともに、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第五項の基本構想に即するものでなければならない。
3 市町村は、市町村計画を定める場合には、当該市町村の議会の議決を経なければならない。
4 市町村は、市町村計画を定める場合には、あらかじめ、公聴会の開催等住民の意向を十分に反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
5 市町村は、市町村計画を定めたときは、遅滞なく、これを都道府県知事に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。
6 都道府県知事は、前項の規定により市町村計画について報告を受けたときは、国土利用計画地方審議会の意見を聴いて、市町村に対し、必要な助言又は勧告をすることができる。
7 第三項から前項までの規定は、市町村計画の変更について準用する。
第三章 土地利用基本計画等
(土地利用基本計画)
第九条 都道府県知事は、当該都道府県の区域について、土地利用基本計画を定めるものとする。
2 土地利用基本計画は、政令で定めるところにより、次の地域を定めるものとする。
一 都市地域
二 農業地域
三 森林地域
四 自然公園地域
五 自然保全地域
3 土地利用基本計画は、前項各号に掲げる地域のほか、土地利用の調整等に関する事項について定めるものとする。
4 第二項第一号の都市地域は、一体の都市として総合的に開発し、整備し、及び保全する必要がある地域とする。
5 第二項第二号の農業地域は、農用地として利用すべき土地があり、総合的に農業の振興を図る必要がある地域とする。
6 第二項第三号の森林地域は、森林の土地として利用すべき土地があり、林業の振興又は森林の有する諸機能の維持増進を図る必要がある地域とする。
7 第二項第四号の自然公園地域は、優れた自然の風景地で、その保護及び利用の増進を図る必要があるものとする。
8 第二項第五号の自然保全地域は、良好な自然環境を形成している地域で、その自然環境の保全を図る必要があるものとする。
9 土地利用基本計画は、全国計画(都道府県計画が定められているときは、全国計画及び都道府県計画)を基本とするものとする。
10 都道府県知事は、土地利用基本計画を定める場合には、あらかじめ、国土利用計画地方審議会及び市町村長の意見を聴くとともに、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
11 都道府県知事は、前項の規定により市町村長の意見を聴くほか、市町村長の意向が土地利用基本計画に十分に反映されるよう必要な措置を講ずるものとする。
12 内閣総理大臣は、第十項の承認をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
13 都道府県知事は、土地利用基本計画を定めたときは、遅滞なく、その要旨を公表しなければならない。
14 第十項から前項までの規定は、土地利用基本計画の変更(政令で定める軽易な変更を除く。)について準用する。
(土地利用の規制に関する措置等)
第十条 土地利用基本計画に即して適正かつ合理的な土地利用が図られるよう、関係行政機関の長、関係地方公共団体及び関係地方公共団体の長は、この法律に定めるものを除くほか、別に法律で定めるところにより、公害の防止、自然環境及び農林地の保全、歴史的風土の保存、治山、治水等に配意しつつ、土地利用の規制に関する措置その他の措置を講ずるものとする。
(土地取引の規制に関する措置)
第十一条 土地の投機的取引及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るため、全国にわたり土地取引の規制に関する措置の強化が図られるべきものとし、その緊急性にかんがみ、次章及び第五章で定めるところにより、土地取引の規制に関する措置が講じられるものとする。
第四章 土地に関する権利の移転等の許可
(規制区域の指定)
第十二条 都道府県知事は、当該都道府県の区域のうち、次に掲げる区域を、期間を定めて、規制区域として指定するものとする。
一 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第二項に規定する都市計画区域にあつては、その全部又は一部の区域で土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、又は行われるおそれがあり、及び地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあると認められるもの
二 都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域以外の区域にあつては、前号の事態が生ずると認められる場合において、その事態を緊急に除去しなければ適正かつ合理的な土地利用の確保が著しく困難となると認められる区域
2 規制区域の指定の期間は、次項の規定による公告があつた日から起算して五年以内で定めるものとする。
3 都道府県知事は、規制区域を指定する場合には、その旨並びにその区域及び期間を公告しなければならない。
4 規制区域の指定は、前項の規定による公告によつてその効力を生ずる。
5 都道府県知事は、第三項の規定による公告をしたときは、速やかに、指定された区域及び期間その他総理府令で定める事項を内閣総理大臣に報告し、かつ、関係市町村長に通知するとともに、当該事項を周知させるため必要な措置を講じなければならない。
6 都道府県知事は、第三項の規定による公告をしたときは、その公告の日から起算して二週間以内に、関係市町村長の意見を付して規制区域の指定が相当であることについて土地利用審査会の確認を求めなければならない。
7 土地利用審査会は、前項の規定により確認を求められたときは、二週間以内に、規制区域の指定が相当であるかどうかの決定をし、都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
8 都道府県知事は、規制区域の指定について第六項の確認を受けられなかつたときは、その旨を公告するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。
9 規制区域の指定は、前項の規定による公告があつたときは、その指定の時にさかのぼつて、その効力を失う。
10 都道府県知事は、規制区域を指定した場合には、当該区域を含む周辺の地域における地価の動向、土地取引の状況等を常時は握するため、これらに関する調査を行わなければならない。
11 都道府県知事は、規制区域の指定期間が満了する場合において、前項の規定による調査の結果、指定の事由がなくなつていないと認めるときは、第一項の規定により規制区域の指定を行うものとする。
12 都道府県知事は、第十項の規定による調査の結果、規制区域についてその指定の事由がなくなつたと認めるときは、その旨を公告して、当該規制区域の指定を解除するものとする。
13 都道府県知事は、前項の規定による公告をしようとするときは、あらかじめ、その旨を関係市町村長に通知し、当該関係市町村長の意見を付して規制区域の指定の解除が相当であることについて土地利用審査会の確認を受けなければならない。
14 第五項の規定は、第十二項の規定による公告について準用する。この場合において、第五項中「指定された区域及び期間その他総理府令で定める事項」及び「当該事項」とあるのは、「その旨」と読み替えるものとする。
15 前三項の規定は、規制区域に係る区域の減少及びその公告について準用する。
(内閣総理大臣の指示等)
第十三条 内閣総理大臣は、土地の投機的取引及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るため、国の立場から特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、期限を定めて、規制区域の指定若しくは指定の解除又はその区域の減少を指示することができる。この場合においては、都道府県知事は、正当な理由がない限り、その指示に従わなければならない。
2 内閣総理大臣は、都道府県知事が所定の期限までに正当な理由がなく前項の規定により指示された措置を講じないときは、正当な理由がないことについて国土利用計画審議会の確認を受けて、自ら当該措置を講ずることができるものとする。
(土地に関する権利の移転等の許可)
第十四条 規制区域に所在する土地について、土地に関する所有権若しくは地上権その他の政令で定める使用及び収益を目的とする権利又はこれらの権利の取得を目的とする権利(以下「土地に関する権利」という。)の移転又は設定(対価を得て行われる移転又は設定に限る。以下同じ。)をする契約(予約を含む。以下「土地売買等の契約」という。)を締結しようとする場合には、当事者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。その許可に係る事項のうち、土地に関する権利の移転若しくは設定の予定対価の額(予定対価が金銭以外のものであるときは、これを特価を基準として金銭に見積つた額。以下同じ。)の変更(その額を減額する場合を除く。)をして、又は土地に関する権利の移転若しくは設定後における土地の利用目的の変更をして、当該契約を締結しようとするときも、同様とする。
2 前項の規定は、民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)による調停に基づく場合その他政令で定める場合には、適用しない。
3 第一項の許可を受けないで締結した土地売買等の契約は、その効力を生じない。
(許可申請の手続)
第十五条 前条第一項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を、総理府令で定めるところにより、申請に係る土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に提出しなければならない。
一 当事者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 土地に関する権利の移転又は設定に係る土地の所在及び面積
三 移転又は設定に係る土地に関する権利の種別及び内容
四 土地に関する権利の移転又は設定の予定対価の額
五 土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的
六 前各号に掲げるもののほか、総理府令で定める事項
2 市町村長は、前項の規定により申請書を受理したときは、遅滞なく、その意見を付して、これを都道府県知事に送付しなければならない。
(許可基準)
第十六条 都道府県知事は、第十四条第一項の許可の申請が次の各号の一に該当すると認めるときは、許可してはならない。
一 申請に係る土地に関する権利の移転又は設定の予定対価の額が、近傍類地の取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した第十二条第三項の規定による公告の時における土地に関する権利の相当な価額(その申請に係る土地が同項の規定による公告の時に地価公示法(昭和四十四年法律第四十九号)第二条第一項に規定する都市計画区域に所在し、かつ、同法第六条の規定による公示価格を取引の指標とすべきものであつた場合において、その申請に係る土地に関する権利が所有権であるときは、政令で定めるところにより同条の規定による公示価格を規準として算定した第十二条第三項の規定による公告の時における所有権の価額)に政令で定める方法により算定した当該申請の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額(同項の規定による公告の時以後当該申請の時までの間に、当該申請をした者で当該土地に関する権利を有しているもの(その者が第十四条第一項の許可を受けて当該土地に関する権利の移転又は設定を受けたものであるときは、第十二条第三項の規定による公告の時以後当該移転又は設定をした者を含む。)が当該申請に係る土地に関する権利について、宅地の造成等のための費用で政令で定めるものの負担をしたときは、都道府県知事が認定した当該費用の額を加えるものとする。)に照らし、適正を欠くこと。
二 申請に係る土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的が次のいずれにも該当しないものであること。
イ 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律により土地を収用し、又は使用することができる事業を施行する者がその事業の用に供するためのものであるとき。
ロ 自己の居住の用に供するためのものであるとき。
ハ 規制区域が指定された際現にその区域内において事業を行つている者がその事業の用に供するためのものであるとき、又はその者の事業と密接な関連を有する事業を行う者がその事業の用に供するためのものであるとき。
ニ 規制区域内に居住する者の福祉又は利便のために必要な施設で申請に係る土地が所在する市町村の長が認定したものを設置しようとする者がその施設を設置するためのものであるとき。
ホ 規制区域を含む地域の健全な発展を図るために必要であり、かつ、当該規制区域における土地利用上適切であると認められる事業を行う者がその事業の用に供するためのものであるとき。
ヘ イからホまでに定めるもののほか、政令で定める場合に該当するものであるとき。
三 申請に係る土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的が土利用基本計画その他の土地利用に関する計画に適合しないこと。
四 申請に係る土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的が、道路、水道その他の公共施設若しくは学校その他の公益的施設の整備の予定からみて、又は周辺の自然環境の保全上、明らかに不適当なものであること。
2 都道府県知事は、前項第二号ホ又はヘに該当するものについて許可する場合においては、あらかじめ、土地利用審査会の意見を聴かなければならない。
(許可又は不許可の処分)
第十七条 都道府県知事は、第十四条第一項の許可の申請があつたときは、その申請があつた日から起算して六週間以内に、許可又は不許可の処分をしなければならない。
2 前項の期間内に同項の処分がされなかつたときは、当該期間の満了の日の翌日において第十四条第一項の許可があつたものとみなす。
(国等が行う土地に関する権利の移転等の特例)
第十八条 第十四条第一項に規定する場合において、その当事者の一方又は双方が国、地方公共団体その他政令で定める法人(以下「国等」という。)であるときは、当該国等の機関が都道府県知事と協議し、その協議が成立することをもつて、同項の許可があつたものとみなす。
(土地に関する権利の買取り請求)
第十九条 規制区域に所在する土地について土地に関する権利を有している者は、第十四条第一項の許可の申請をした場合において、不許可の処分を受けたときは、都道府県知事に対し、当該土地に関する権利を買い取るべきことを請求することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による請求があつたときは、当該土地に関する権利を、近傍類地の取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した第十二条第三項の規定による公告の時における土地に関する権利の相当な価額(その請求に係る土地が同項の規定による公告の時に地価公示法第二条第一項に規定する都市計画区域に所在し、かつ、同法第六条の規定による公示価格を取引の指標とすべきものであつた場合において、その請求に係る土地に関する権利が所有権であるときは、政令で定めるところにより同条の規定による公示価格を規準として算定した第十二条第三項の規定による公告の時における所有権の価額)に第十六条第一項第一号の政令で定める方法により算定した当該請求の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額(第十二条第三項の規定による公告の時以後当該請求の時までの間に、当該請求をした者(その者が第十四条第一項の許可を受けて当該土地に関する権利の移転又は設定を受けたものであるときは、第十二条第三項の規定による公告の時以後当該移転又は設定をした者を含む。)が当該請求に係る土地に関する権利について、宅地の造成等のための費用で政令で定めるものの負担をしたときは、都道府県知事が認定した当該費用の額を加えるものとする。)で買い取るものとする。
(不服申立て)
第二十条 第十四条第一項の規定に基づく処分についての審査請求は、土地利用審査会に対してするものとする。
2 土地利用審査会は、前項の規定による審査請求を受理した場合においては、審査請求を受理した日から起算して二月以内に、裁決をしなければならない。
3 土地利用審査会は、前項の裁決を行う場合においては、あらかじめ、審査請求人、処分庁その他の関係人又はこれらの者の代理人の出頭を求めて、公開による口頭審理を行わなければならない。
4 土地利用審査会の裁決に不服がある者は、内閣総理大臣に対して再審査請求をすることができる。
(審査請求と訴訟との関係)
第二十一条 第十四条第一項の規定に基づく処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する土地利用審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。
(適正かつ合理的な土地利用の確保)
第二十二条 都道府県知事は、規制区域を指定したときは、速やかに、都市計画その他の土地利用に関する計画の決定又は土地利用に関する計画に係る事業の実施等の措置を講ずることにより、当該規制区域の指定の期間が経過し、又はその指定を解除した後のその区域の適正かつ合理的な土地利用が図られるよう努めなければならない。
第五章 土地に関する権利の移転等の届出
(土地に関する権利の移転等の届出)
第二十三条 土地売買等の契約を締結しようとする場合には、当事者は、第十五条第一項各号に掲げる事項を、総理府令で定めるところにより、当該土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に届け出なければならない。その届出に係る事項のうち、土地に関する権利の移転若しくは設定の予定対価の額の変更(その額を減額する場合を除く。)をして、又は土地に関する権利の移転若しくは設定後における土地の利用目的の変更をして、当該契約を締結しようとするときも、同様とする。
2 前項の規定は、次の各号の一に該当する場合には、適用しない。
一 次のイからハまでに規定する区域に応じそれぞれその面積が次のイからハまでに規定する面積未満の土地について土地売買等の契約を締結する場合(土地売買等の契約の当事者の一方又は双方が当該土地を含む一団の土地で次のイからハまでに規定する区域に応じそれぞれその面積が次のイからハまでに規定する面積以上のものについて土地に関する権利の移転又は設定をすることとなる場合を除く。)
イ 都市計画法第七条第一項の規定による市街化区域にあつては、二千平方メートル
ロ 都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域(イに規定する区域を除く。)にあつては、五千平方メートル
ハ イ及びロに規定する区域以外の区域にあつては、一万平方メートル
二 第十二条第一項の規定により指定された規制区域に所在する土地について土地売買等の契約を締結する場合
三 前二号に定めるもののほか、民事調停法による調停に基づく場合、当事者の一方又は双方が国又は地方公共団体である場合その他政令で定める場合
3 第一項の規定による届出をした者は、その届出をした日から起算して六週間を経過する日までの間、その届出に係る土地売買等の契約を締結してはならない。
4 第十五条第二項の規定は、第一項の規定による届出のあつた場合について準用する。
(勧告)
第二十四条 都道府県知事は、前条第一項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る事項が次の各号の一に該当し当該土地を含む周辺の地域の適正かつ合理的な土地利用を図るために著しい支障があると認めるときは、土地利用審査会の意見を聴いて、その届出をした者に対し、当該土地売買等の契約の締結を中止すべきことその他その届出に係る事項について必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
一 届出に係る土地に関する権利の移転又は設定の予定対価の額が、近傍類地の取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した土地に関する権利の相当な価額(その届出に係る土地が地価公示法第二条第一項に規定する都市計画区域に所在し、かつ、同法第六条の規定による公示価格を取引の指標とすべきものである場合において、その届出に係る土地に関する権利が所有権であるときは、政令で定めるところにより同条の規定による公示価格を規準として算定した所有権の価額)に照らし、著しく適正を欠くこと。
二 届出に係る土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的が土地利用基本計画その他の土地利用に関する計画に適合しないこと。
三 届出に係る土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的が、道路、水道その他の公共施設若しくは学校その他の公益的施設の整備の予定からみて、又は周辺の自然環境の保全上、明らかに不適当なものであること。
2 前項の規定による勧告は、前条第一項の規定による届出があつた日から起算して六週間以内にしなければならない。
(勧告に基づき講じた措置の報告)
第二十五条 都道府県知事は、前条第一項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、その勧告を受けた者に対し、その勧告に基づいて講じた措置について報告をさせることができる。
(公表)
第二十六条 都道府県知事は、第二十四条第一項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
(土地に関する権利の処分についてのあつせん等)
第二十七条 都道府県知事は、第二十四条第一項の規定による勧告に基づき当該土地売買等の契約の締結が中止された場合において、必要があると認めるときは、当該土地に関する権利の処分についてのあつせんその他の措置を講ずるよう努めなければならない。
第六章 遊休土地に関する措置
(遊休土地である旨の通知)
第二十八条 都道府県知事は、第十四条第一項の許可又は第二十三条第一項の規定による届出に係る土地を所有している者のその所有に係る土地が次の各号の要件に該当すると認めるときは、総理府令で定めるところにより、当該土地の所有者(当該土地の全部又は一部について地上権その他の政令で定める使用及び収益を目的とする権利が設定されているときは、当該権利を有している者及び当該土地の所有者)に当該土地が遊休土地である旨を通知するものとする。
一 その土地が第二十三条第二項第一号イからハまでに規定する区域に応じそれぞれ同号イからハまでに規定する面積以上の一団の土地であること。
二 その土地の所有者が当該土地を取得した後三年を経過したものであること。
三 その土地が住宅の用、事業の用に供する施設の用その他の用途に供されていないことその他の政令で定める要件に該当するものであること。
四 土地利用基本計画その他の土地利用に関する計画に照らしその土地を含む周辺の地域における計画的な土地利用の増進を図るため、当該土地の有効かつ適切な利用を特に促進する必要があること。
2 市町村長は、当該市町村の区域内に所在する土地のうち前項の要件に該当するものがあるときは、都道府県知事に対し、同項の規定による通知をすべき旨を申し出ることができる。
(遊休土地に係る計画の届出)
第二十九条 前条第一項の規定による通知を受けた者は、その通知があつた日から起算して六週間以内に、総理府令で定めるところにより、その通知に係る遊休土地の利用又は処分に関する計画を、当該土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に届け出なければならない。
2 第十五条第二項の規定は、前項の規定による届出のあつた場合について準用する。
(助言)
第三十条 都道府県知事は、前条第一項の規定による届出をした者に対し、その届出に係る遊休土地の有効かつ適切な利用の促進に関し、必要な助言をすることができる。
(勧告等)
第三十一条 都道府県知事は、第二十九条第一項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る計画に従つて当該遊休土地を利用し、又は処分することが当該土地の有効かつ適切な利用の促進を図る上で支障があると認めるときは、土地利用審査会の意見を聴いて、その届出をした者に対し、相当の期限を定めて、その届出に係る計画を変更すべきことその他必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
2 第二十五条の規定は、前項の規定による勧告について準用する。
(遊休土地の買取りの協議)
第三十二条 都道府県知事は、前条第一項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その勧告に係る遊休土地の買取りを希望する地方公共団体、土地開発公社その他政令で定める法人(以下「地方公共団体等」という。)のうちから買取りの協議を行う者を定めて、その者が買取りの協議を行う旨をその勧告を受けた者に通知するものとする。
2 前項の規定により協議を行う者として定められた地方公共団体等は、同項の規定による通知があつた日から起算して六週間を経過する日までの間、その通知を受けた者と当該遊休土地の買取りの協議を行うことができる。この場合において、その通知を受けた者は、正当な理由がなければ、当該遊休土地の買取りの協議を行うことを拒んではならない。
(遊休土地の買取り価格)
第三十三条 地方公共団体等は、前条の規定により遊休土地を買い取る場合には、近傍類地の取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した当該土地の相当な価額(その買取りの協議に係る遊休土地が地価公示法第二条第一項に規定する都市計画区域に所在し、かつ、同法第六条の規定による公示価格を取引の指標とすべきものであるときは、政令で定めるところにより同条の規定による公示価格を規準として算定した価額)を基準とし、当該土地の取得の対価の額及び当該土地の管理に要した費用の額を勘案して算定した価格をもつてその価格としなければならない。
(買取りに係る遊休土地の利用)
第三十四条 第三十二条の規定により遊休土地を買い取つた地方公共団体等は、土地利用基本計画その他の土地利用に関する計画に従つて当該土地の有効かつ適切な利用を図らなければならない。
(土地利用に関する計画の決定等の措置)
第三十五条 都道府県知事は、第三十二条の規定による遊休土地の買取りの協議が成立しない場合において、住宅を建設し、又は公園、広場その他の公共施設若しくは学校その他の公益的施設を整備することが特に必要であると認めるときは、速やかに、都市計画その他の土地利用に関する計画の決定等の措置を講ずることにより、当該土地の有効かつ適切な利用が図られるようにしなければならない。
第七章 国土利用計画審議会、国土利用計画地方審議会及び土地利用審査会
(国土利用計画審議会)
第三十六条 総理府に、附属機関として、国土利用計画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、この法律、国土調査法(昭和二十六年法律第百八十号)及び国土調査促進特別措置法(昭和三十七年法律第百四十三号)によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、内閣総理大臣の諮問に応じ、国土の利用に関する基本的な事項を調査審議する。
3 審議会は、前項に規定する事項に関し、内閣総理大臣に対し、及び内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。
4 関係行政機関の長は、国土の利用に関する基本的な事項でその所掌に係るものについて審議会の意見を聴くことができる。
(審議会の組織)
第三十七条 審議会は、国土の利用に関し学識経験を有する者のうちから内閣総理大臣が任命する委員二十五人以内をもつて組織する。
2 委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員の互選により審議会の会長として定められた者は、会務を総理する。
4 特別の事項を調査審議させるため、審議会に臨時委員を置くことができる。
5 臨時委員は、国土の利用に関し学識経験を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
6 委員及び臨時委員は、非常勤とする。
7 審議会は、全国計画の案に関し特別に調査審議する必要があると認めるときは、特別委員会を置くことができる。
8 審議会は、その所掌事務を処理するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長等に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。
9 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(国土利用計画地方審議会)
第三十八条 都道府県に、国土利用計画地方審議会を置く。
2 国土利用計画地方審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、都道府県知事の諮問に応じ、当該都道府県の区域における国土の利用に関する基本的な事項及び土地利用に関し重要な事項を調査審議する。
3 国土利用計画地方審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、都道府県の条例で定める。
(土地利用審査会)
第三十九条 都道府県に、土地利用審査会を置く。
2 土地利用審査会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。
3 土地利用審査会は、委員七人で組織する。
4 委員は、土地利用、地価その他の土地に関する事項について優れた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから、都道府県知事が、都道府県の議会の同意を得て、任命する。
5 次の各号の一に該当する者は、委員となることができない。
一 禁治産者若しくは準禁治産者又は破産者で復権を得ない者
二 禁 錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
6 都道府県知事は、委員が前項各号の一に該当するに至つたときは、その委員を解任しなければならない。
7 都道府県知事は、委員が次の各号の一に該当するときは、都道府県の議会の同意を得て、その委員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められるとき。
8 委員は、自己又は三親等以内の親族の利害に関係のある事件については、議事に加わることができない。
9 土地利用審査会は、第十二条第六項、同条第十三項(同条第十五項において準用する場合を含む。)、第十六条第二項、第二十四条第一項又は第三十一条第一項の規定に係る所掌事務を処理するときは、関係市町村長の出席を求め、その意見を聴かなければならない。
10 第三項から前項までに定めるもののほか、土地利用審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、都道府県の条例で定める。
第八章 雑則
(経費の補助)
第四十条 国は、予算の範囲内で、政令で定めるところにより、土地利用基本計画の作成に要する経費その他のこの法律の施行に要する経費の一部を補助する。
(立入検査等)
第四十一条 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、第十四条第一項の許可の申請若しくは第二十三条第一項若しくは第二十九条第一項の規定による届出に係る土地又は当該許可の申請若しくは届出に係る当事者の営業所、事務所その他の場所に立ち入り、土地、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査及び質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(土地調査員)
第四十二条 前条第一項の規定による立入検査及び質問に関する職務を行わせるため、都道府県に、土地調査員を置く。
2 土地調査員に関し必要な事項は、政令で定める。
(書類の閲覧等)
第四十三条 都道府県知事は、第十六条第一項第一号、第十九条第二項又は第二十四条第一項第一号に規定する土地に関する権利の相当な価額の算定に関し必要があると認めるときは、官公署に対し、必要な書類を閲覧させ、又はその内容を記録させることを求めることができる。
(大都市の特例)
第四十四条 第二十三条から第三十二条まで、第三十五条、第四十一条及び前条の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)においては、当該指定都市の長が行う。この場合においては、第二十三条から第三十二条まで、第三十五条、第三十九条及び前三条の規定中都道府県又は都道府県知事に関する規定は、指定都市又は指定都市の長に関する規定として指定都市又は指定都市の長に適用があるものとする。
(政令への委任)
第四十五条 この法令に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
第九章 罰則
第四十六条 第十四条第一項の規定に違反して、許可を受けないで土地売買等の契約を締結した者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第四十七条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第二十三条第一項の規定に違反して、届出をしないで土地売買等の契約を締結した者
二 第二十九条第一項の規定に違反して、届出をしなかつた者
三 第二十三条第一項又は第二十九条第一項の規定による届出について、虚偽の届出をした者
第四十八条 第二十三条第三項の規定に違反して、同項の期間内に土地売買等の契約を締結した者は、二十万以下の罰金に処する。
第四十九条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第二十五条(第三十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 第四十一条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
第五十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第四十六条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第三十八条、第三十九条及び第四十四条の規定は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(この法律の施行前の取得に係る遊休土地に関する措置)
第二条 都道府県知事は、この法律の施行の際現に土地を所有している者のその所有に係る土地(国又は地方公共団体が所有する土地その他政令で定める土地を除く。)が、次の各号の要件に該当すると認めるときは、総理府令で定めるところにより、当該土地の所有者(当該土地の全部又は一部について地上権その他の政令で定める使用及び収益を目的とする権利が設定されているときは、当該権利を有している者及び当該土地の所有者)に当該土地が遊休土地である旨を通知するものとする。
一 その土地が次のイからハまでに規定する区域に応じそれぞれ次のイからハまでに規定する面積以上の一団の土地であること。
イ 都市計画法第七条第一項の規定による市街化区域にあつては、二千平方メートル
ロ 都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域(イに規定する区域を除く。)にあつては、五千平方メートル
ハ イ及びロに規定する区域以外の区域にあつては、一万平方メートル
二 その土地の所有者が当該土地を昭和四十四年一月一日(沖繩県の区域内に所在する土地については、昭和四十七年五月十五日)以後取得したものであること。
三 その土地が住宅の用、事業の用に供する施設の用その他の用途に供されていないことその他の政令で定める要件に該当するものであること。
四 土地利用基本計画その他の土地利用に関する計画に照らしその土地を含む周辺の地域における計画的な土地利用の増進を図るため、当該土地の有効かつ適切な利用を特に促進する必要があること。
2 前項の規定による通知は、この法律の施行の日から起算して二年を経過する日までの間に限り行うことができる。
3 市町村長は、当該市町村の区域内に所在する土地のうち第一項の要件に該当するものがあるときは、都道府県知事に対し、同項の規定による通知をすべき旨を申し出ることができる。
4 第一項の規定による通知を受けた者は、その通知があつた日から起算して六週間以内に、総理府令で定めるところにより、その通知に係る遊休土地の利用又は処分に関する計画を、当該土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に届け出なければならない。
5 前項の規定による届出は、第二十九条第一項の規定による届出とみなして、同条第二項、第三十条、第三十一条、第四十一条第一項及び第四十九条の規定を適用する。
6 第一項及び第四項の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、指定都市においては、当該指定都市の長が行う。この場合においては、第一項、第三項及び第四項の規定中都道府県知事に関する規定は、指定都市の長に関する規定として指定都市の長に適用があるものとする。
第三条 前条第四項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の罰金刑を科する。
(総理府設置法の一部改正)
第四条 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中
国土総合開発審議会
国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)、国土調査法(昭和二十六年法律第百八十号)及び国土調査促進特別措置法(昭和三十七年法律第百四十三号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。
国土総合開発審議会
国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。
国土利用計画審議会
国土調査法(昭和二十六年法律第百八十号)、国土調査促進特別措置法(昭和三十七年法律第百四十三号)及び国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。
に改める。
(環境庁設置法の一部改正)
第五条 環境庁設置法(昭和四十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
第四条中第五号の次に次の一号を加える。
五の二 国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)に基づく内閣総理大臣の権限に属する事項(全国計画の案の作成に関するものに限る。)で、環境の保全に関する基本的な政策に係るものについて内閣総理大臣を補佐すること。
第五条第三項中「第五号」の下に「、第五号の二」を加える。
(国土総合開発庁設置法の一部改正)
第六条 国土総合開発庁設置法(昭和四十九年法律第▲▲▲号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十二号中テをアとし、エをテとし、コをエとし、フをコとし、ケをフとし、マをケとし、ヤをマとし、クをヤとし、オをクとし、ノの次に次のように加える。
オ 国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)
第五条第二項中「ケからコ」を「フからエ」に改め、同条第三項中「法律に係る事務及び」の下に「同号オに掲げる法律に係る事務(国土利用計画に係るものに限る。)並びに」を加え、同条第五項中「オからマ」を「オに掲げる法律に係る事務(計画局の所掌に属するものを除く。)及びクからケ」に改め、同条第七項中「エ及びテ」を「テ及びア」に改める。
第六条第二項中「ヤ及びマ」を「マ及びケ」に改める。
(地方財政法の一部改正)
第七条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第十条に次の一号を加える。
二十七 土地利用基本計画の作成に要する経費その他の国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)の施行に要する経費
(国土総合開発法の一部改正)
第八条 国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
第三条中「、国土調査法(昭和二十六年法律第百八十号)及び国土調査促進特別措置法(昭和三十七年法律第百四十三号)」を削る。
第四条第五項を削る。
(国土調査法の一部改正)
第九条 国土調査法の一部を次のように改正する。
目次及び第三章の章名中「国土総合開発審議会及び都府県総合開発審議会」を「国土利用計画審議会及び国土利用計画地方審議会」に改める。
第十二条(見出しを含む。)中「国土総合開発審議会」を「国土利用計画審議会」に改める。
第十五条の見出し中「都府県総合開発審議会」を「国土利用計画地方審議会」に改め、同条中「都府県知事」を「都道府県知事」に、「国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)第六条の六の規定により条例で設置された都府県総合開発審議会」を「国土利用計画地方審議会」に改める。
(国土調査促進特別措置法の一部改正)
第十条 国土調査促進特別措置法の一部を次のように改正する。
第三条第一項中「国土総合開発審議会」を「国土利用計画審議会」に、「きいて」を「聴いて」に改める。
(地価公示法の一部改正)
第十一条 地価公示法の一部を次のように改正する。
第二条第一項中「都市計画区域をいう」を「都市計画区域をいい、国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第十二条第一項の規定により指定された規制区域を除く」に、「行なつて」を「行つて」に改める。
(公有地の拡大の推進に関する法律の一部改正)
第十二条 公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)の一部を次のように改正する。
第四条第二項中第七号を第九号とし、第六号の次に次の二号を加える。
七 国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第十二条第一項の規定により指定された規制区域に含まれるものであるとき。
八 国土利用計画法第二十三条第一項に規定する土地売買等の契約を締結する場合に同項の規定による届出を要するものであるとき。
第四条に次の一項を加える。
3 国土利用計画法第二十三条第一項の規定による届出は、第六条、第七条、第八条(土地を有償で譲り渡す場合を除く。)、第九条及び第三十二条第三号(土地を有償で譲り渡した者を除く。)の規定の適用については、第一項の規定による届出とみなす。
(租税特別措置法の一部を改正する法律の一部改正)
第十三条 租税特別措置法の一部を改正する法律(昭和四十九年法律第十七号)の一部を次のように改正する。
第三十四条の二第二項に三号を加える改正規定中「国土総合開発法(昭和四十九年法律第▲▲▲号)第十三条第一項」を「国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第十二条第一項」に、「特別規制地域」を「規制区域」に、「同法第二十条第二項」を「同法第十九条第二項」に改め、「又は同法第二十四条第一項の規定により特定総合開発地域として指定された区域内の土地が同法第二十九条第一項の協議に基づき地方公共団体、土地開発公社その他政令で定める法人に買い取られる場合」を削る。
第六十五条の四第一項に三号を加える改正規定中「国土総合開発法第十三条第一項」を「国土利用計画法第十二条第一項」に、「特別規制地域」を「規制区域」に、「同法第二十条第二項」を「同法第十九条第二項」に改め、「又は同法第二十四条第一項の規定により特定総合開発地域として指定された区域内の土地が同法第二十九条第一項の協議に基づき地方公共団体、土地開発公社その他政令で定める法人に買い取られる場合」を削る。
附則第一条第五号中「国土総合開発法(昭和四十九年法律第▲▲▲号)」を「国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)」に改める。
内閣総理大臣 田中角榮
法務大臣 中村梅吉
大蔵大臣 福田赳夫
文部大臣 奥野誠亮
厚生大臣 齋藤邦吉
農林大臣 倉石忠雄
通商産業大臣 中曾根康弘
運輸大臣 徳永正利
郵政大臣 原田憲
労働大臣 長谷川峻
建設大臣 亀岡高夫
自治大臣 町村金五
国土利用計画法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十九年六月二十五日
内閣総理大臣 田中角栄
法律第九十二号
国土利用計画法
目次
第一章
総則(第一条―第三条)
第二章
国土利用計画(第四条―第八条)
第三章
土地利用基本計画等(第九条―第十一条)
第四章
土地に関する権利の移転等の許可(第十二条―第二十二条)
第五章
土地に関する権利の移転等の届出(第二十三条―第二十七条)
第六章
遊休土地に関する措置(第二十八条―第三十五条)
第七章
国土利用計画審議会、国土利用計画地方審議会及び土地利用審査会(第三十六条―第三十九条)
第八章
雑則(第四十条―第四十五条)
第九章
罰則(第四十六条―第五十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、国土利用計画の策定に関し必要な事項について定めるとともに、土地利用基本計画の作成、土地取引の規制に関する措置その他土地利用を調整するための措置を講ずることにより、総合的かつ計画的な国土の利用を図ることを目的とする。
(基本理念)
第二条 国土の利用は、国土が現在及び将来における国民のための限られた資源であるとともに、生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤であることにかんがみ、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、地域の自然的、社会的、経済的及び文化的条件に配意して、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図ることを基本理念として行うものとする。
(年次報告)
第三条 政府は、毎年、国会に、国土の利用の現況並びに国土の利用に関し講じられた施策及び講ずべき施策に関する報告書を提出しなければならない。
第二章 国土利用計画
(国土利用計画)
第四条 国土利用計画は、全国の区域について定める国土の利用に関する計画(以下「全国計画」という。)、都道府県の区域について定める国土の利用に関する計画(以下「都道府県計画」という。)及び市町村の区域について定める国土の利用に関する計画(以下「市町村計画」という。)とする。
(全国計画)
第五条 国は、政令で定めるところにより、国土の利用に関する基本的な事項について全国計画を定めるものとする。
2 内閣総理大臣は、全国計画の案を作成して、閣議の決定を求めなければならない。
3 内閣総理大臣は、全国計画の案を作成する場合には、国土利用計画審議会及び都道府県知事の意見を聴かなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の規定により都道府県知事の意見を聴くほか、都道府県知事の意向が全国計画の案に十分に反映されるよう必要な措置を講ずるものとする。
5 内閣総理大臣は、全国計画の案を作成するにあたっては、国土の利用の現況及び将来の見通しに関する調査を行うものとする。
6 内閣総理大臣は、第二項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、全国計画の要旨を公表しなければならない。
7 第二項から前項までの規定は、全国計画の変更について準用する。
(全国計画と他の国の計画との関係)
第六条 全国計画以外の国の計画は、国土の利用に関しては、全国計画を基本とするものとする。
(都道府県計画)
第七条 都道府県は、政令で定めるところにより、当該都道府県の区域における国土の利用に関し必要な事項について都道府県計画を定めることができる。
2 都道府県計画は、全国計画を基本とするものとする。
3 都道府県は、都道府県計画を定める場合には、あらかじめ、国土利用計画地方審議会及び市町村長の意見を聴くとともに、当該都道府県の議会の議決を経なければならない。
4 都道府県は、前項の規定により市町村長の意見を聴くほか、市町村長の意向が都道府県計画に十分に反映されるよう必要な措置を講ずるものとする。
5 都道府県は、都道府県計画を定めたときは、遅滞なく、これを内閣総理大臣に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。
6 内閣総理大臣は、前項の規定により都道府県計画について報告を受けたときは、これを関係行政機関の長に送付しなければならない。この場合において、関係行政機関の長は、内閣総理大臣に対し、当該都道府県計画について意見を申し出ることができる。
7 内閣総理大臣は、前項後段の規定による意見の申出があつたときは、関係行政機関の長に協議するとともに、国土利用計画審議会の意見を聴いて、都道府県に対し、必要な助言又は勧告をすることができる。
8 第三項から前項までの規定は、都道府県計画の変更について準用する。
(市町村計画)
第八条 市町村は、政令で定めるところにより、当該市町村の区域における国土の利用に関し必要な事項について市町村計画を定めることができる。
2 市町村計画は、都道府県計画が定められているときは都道府県計画を基本とするとともに、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第五項の基本構想に即するものでなければならない。
3 市町村は、市町村計画を定める場合には、当該市町村の議会の議決を経なければならない。
4 市町村は、市町村計画を定める場合には、あらかじめ、公聴会の開催等住民の意向を十分に反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
5 市町村は、市町村計画を定めたときは、遅滞なく、これを都道府県知事に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。
6 都道府県知事は、前項の規定により市町村計画について報告を受けたときは、国土利用計画地方審議会の意見を聴いて、市町村に対し、必要な助言又は勧告をすることができる。
7 第三項から前項までの規定は、市町村計画の変更について準用する。
第三章 土地利用基本計画等
(土地利用基本計画)
第九条 都道府県知事は、当該都道府県の区域について、土地利用基本計画を定めるものとする。
2 土地利用基本計画は、政令で定めるところにより、次の地域を定めるものとする。
一 都市地域
二 農業地域
三 森林地域
四 自然公園地域
五 自然保全地域
3 土地利用基本計画は、前項各号に掲げる地域のほか、土地利用の調整等に関する事項について定めるものとする。
4 第二項第一号の都市地域は、一体の都市として総合的に開発し、整備し、及び保全する必要がある地域とする。
5 第二項第二号の農業地域は、農用地として利用すべき土地があり、総合的に農業の振興を図る必要がある地域とする。
6 第二項第三号の森林地域は、森林の土地として利用すべき土地があり、林業の振興又は森林の有する諸機能の維持増進を図る必要がある地域とする。
7 第二項第四号の自然公園地域は、優れた自然の風景地で、その保護及び利用の増進を図る必要があるものとする。
8 第二項第五号の自然保全地域は、良好な自然環境を形成している地域で、その自然環境の保全を図る必要があるものとする。
9 土地利用基本計画は、全国計画(都道府県計画が定められているときは、全国計画及び都道府県計画)を基本とするものとする。
10 都道府県知事は、土地利用基本計画を定める場合には、あらかじめ、国土利用計画地方審議会及び市町村長の意見を聴くとともに、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
11 都道府県知事は、前項の規定により市町村長の意見を聴くほか、市町村長の意向が土地利用基本計画に十分に反映されるよう必要な措置を講ずるものとする。
12 内閣総理大臣は、第十項の承認をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
13 都道府県知事は、土地利用基本計画を定めたときは、遅滞なく、その要旨を公表しなければならない。
14 第十項から前項までの規定は、土地利用基本計画の変更(政令で定める軽易な変更を除く。)について準用する。
(土地利用の規制に関する措置等)
第十条 土地利用基本計画に即して適正かつ合理的な土地利用が図られるよう、関係行政機関の長、関係地方公共団体及び関係地方公共団体の長は、この法律に定めるものを除くほか、別に法律で定めるところにより、公害の防止、自然環境及び農林地の保全、歴史的風土の保存、治山、治水等に配意しつつ、土地利用の規制に関する措置その他の措置を講ずるものとする。
(土地取引の規制に関する措置)
第十一条 土地の投機的取引及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るため、全国にわたり土地取引の規制に関する措置の強化が図られるべきものとし、その緊急性にかんがみ、次章及び第五章で定めるところにより、土地取引の規制に関する措置が講じられるものとする。
第四章 土地に関する権利の移転等の許可
(規制区域の指定)
第十二条 都道府県知事は、当該都道府県の区域のうち、次に掲げる区域を、期間を定めて、規制区域として指定するものとする。
一 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第二項に規定する都市計画区域にあつては、その全部又は一部の区域で土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、又は行われるおそれがあり、及び地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあると認められるもの
二 都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域以外の区域にあつては、前号の事態が生ずると認められる場合において、その事態を緊急に除去しなければ適正かつ合理的な土地利用の確保が著しく困難となると認められる区域
2 規制区域の指定の期間は、次項の規定による公告があつた日から起算して五年以内で定めるものとする。
3 都道府県知事は、規制区域を指定する場合には、その旨並びにその区域及び期間を公告しなければならない。
4 規制区域の指定は、前項の規定による公告によつてその効力を生ずる。
5 都道府県知事は、第三項の規定による公告をしたときは、速やかに、指定された区域及び期間その他総理府令で定める事項を内閣総理大臣に報告し、かつ、関係市町村長に通知するとともに、当該事項を周知させるため必要な措置を講じなければならない。
6 都道府県知事は、第三項の規定による公告をしたときは、その公告の日から起算して二週間以内に、関係市町村長の意見を付して規制区域の指定が相当であることについて土地利用審査会の確認を求めなければならない。
7 土地利用審査会は、前項の規定により確認を求められたときは、二週間以内に、規制区域の指定が相当であるかどうかの決定をし、都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
8 都道府県知事は、規制区域の指定について第六項の確認を受けられなかつたときは、その旨を公告するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。
9 規制区域の指定は、前項の規定による公告があつたときは、その指定の時にさかのぼつて、その効力を失う。
10 都道府県知事は、規制区域を指定した場合には、当該区域を含む周辺の地域における地価の動向、土地取引の状況等を常時は握するため、これらに関する調査を行わなければならない。
11 都道府県知事は、規制区域の指定期間が満了する場合において、前項の規定による調査の結果、指定の事由がなくなつていないと認めるときは、第一項の規定により規制区域の指定を行うものとする。
12 都道府県知事は、第十項の規定による調査の結果、規制区域についてその指定の事由がなくなつたと認めるときは、その旨を公告して、当該規制区域の指定を解除するものとする。
13 都道府県知事は、前項の規定による公告をしようとするときは、あらかじめ、その旨を関係市町村長に通知し、当該関係市町村長の意見を付して規制区域の指定の解除が相当であることについて土地利用審査会の確認を受けなければならない。
14 第五項の規定は、第十二項の規定による公告について準用する。この場合において、第五項中「指定された区域及び期間その他総理府令で定める事項」及び「当該事項」とあるのは、「その旨」と読み替えるものとする。
15 前三項の規定は、規制区域に係る区域の減少及びその公告について準用する。
(内閣総理大臣の指示等)
第十三条 内閣総理大臣は、土地の投機的取引及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るため、国の立場から特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、期限を定めて、規制区域の指定若しくは指定の解除又はその区域の減少を指示することができる。この場合においては、都道府県知事は、正当な理由がない限り、その指示に従わなければならない。
2 内閣総理大臣は、都道府県知事が所定の期限までに正当な理由がなく前項の規定により指示された措置を講じないときは、正当な理由がないことについて国土利用計画審議会の確認を受けて、自ら当該措置を講ずることができるものとする。
(土地に関する権利の移転等の許可)
第十四条 規制区域に所在する土地について、土地に関する所有権若しくは地上権その他の政令で定める使用及び収益を目的とする権利又はこれらの権利の取得を目的とする権利(以下「土地に関する権利」という。)の移転又は設定(対価を得て行われる移転又は設定に限る。以下同じ。)をする契約(予約を含む。以下「土地売買等の契約」という。)を締結しようとする場合には、当事者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。その許可に係る事項のうち、土地に関する権利の移転若しくは設定の予定対価の額(予定対価が金銭以外のものであるときは、これを特価を基準として金銭に見積つた額。以下同じ。)の変更(その額を減額する場合を除く。)をして、又は土地に関する権利の移転若しくは設定後における土地の利用目的の変更をして、当該契約を締結しようとするときも、同様とする。
2 前項の規定は、民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)による調停に基づく場合その他政令で定める場合には、適用しない。
3 第一項の許可を受けないで締結した土地売買等の契約は、その効力を生じない。
(許可申請の手続)
第十五条 前条第一項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を、総理府令で定めるところにより、申請に係る土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に提出しなければならない。
一 当事者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 土地に関する権利の移転又は設定に係る土地の所在及び面積
三 移転又は設定に係る土地に関する権利の種別及び内容
四 土地に関する権利の移転又は設定の予定対価の額
五 土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的
六 前各号に掲げるもののほか、総理府令で定める事項
2 市町村長は、前項の規定により申請書を受理したときは、遅滞なく、その意見を付して、これを都道府県知事に送付しなければならない。
(許可基準)
第十六条 都道府県知事は、第十四条第一項の許可の申請が次の各号の一に該当すると認めるときは、許可してはならない。
一 申請に係る土地に関する権利の移転又は設定の予定対価の額が、近傍類地の取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した第十二条第三項の規定による公告の時における土地に関する権利の相当な価額(その申請に係る土地が同項の規定による公告の時に地価公示法(昭和四十四年法律第四十九号)第二条第一項に規定する都市計画区域に所在し、かつ、同法第六条の規定による公示価格を取引の指標とすべきものであつた場合において、その申請に係る土地に関する権利が所有権であるときは、政令で定めるところにより同条の規定による公示価格を規準として算定した第十二条第三項の規定による公告の時における所有権の価額)に政令で定める方法により算定した当該申請の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額(同項の規定による公告の時以後当該申請の時までの間に、当該申請をした者で当該土地に関する権利を有しているもの(その者が第十四条第一項の許可を受けて当該土地に関する権利の移転又は設定を受けたものであるときは、第十二条第三項の規定による公告の時以後当該移転又は設定をした者を含む。)が当該申請に係る土地に関する権利について、宅地の造成等のための費用で政令で定めるものの負担をしたときは、都道府県知事が認定した当該費用の額を加えるものとする。)に照らし、適正を欠くこと。
二 申請に係る土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的が次のいずれにも該当しないものであること。
イ 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律により土地を収用し、又は使用することができる事業を施行する者がその事業の用に供するためのものであるとき。
ロ 自己の居住の用に供するためのものであるとき。
ハ 規制区域が指定された際現にその区域内において事業を行つている者がその事業の用に供するためのものであるとき、又はその者の事業と密接な関連を有する事業を行う者がその事業の用に供するためのものであるとき。
ニ 規制区域内に居住する者の福祉又は利便のために必要な施設で申請に係る土地が所在する市町村の長が認定したものを設置しようとする者がその施設を設置するためのものであるとき。
ホ 規制区域を含む地域の健全な発展を図るために必要であり、かつ、当該規制区域における土地利用上適切であると認められる事業を行う者がその事業の用に供するためのものであるとき。
ヘ イからホまでに定めるもののほか、政令で定める場合に該当するものであるとき。
三 申請に係る土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的が土利用基本計画その他の土地利用に関する計画に適合しないこと。
四 申請に係る土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的が、道路、水道その他の公共施設若しくは学校その他の公益的施設の整備の予定からみて、又は周辺の自然環境の保全上、明らかに不適当なものであること。
2 都道府県知事は、前項第二号ホ又はヘに該当するものについて許可する場合においては、あらかじめ、土地利用審査会の意見を聴かなければならない。
(許可又は不許可の処分)
第十七条 都道府県知事は、第十四条第一項の許可の申請があつたときは、その申請があつた日から起算して六週間以内に、許可又は不許可の処分をしなければならない。
2 前項の期間内に同項の処分がされなかつたときは、当該期間の満了の日の翌日において第十四条第一項の許可があつたものとみなす。
(国等が行う土地に関する権利の移転等の特例)
第十八条 第十四条第一項に規定する場合において、その当事者の一方又は双方が国、地方公共団体その他政令で定める法人(以下「国等」という。)であるときは、当該国等の機関が都道府県知事と協議し、その協議が成立することをもつて、同項の許可があつたものとみなす。
(土地に関する権利の買取り請求)
第十九条 規制区域に所在する土地について土地に関する権利を有している者は、第十四条第一項の許可の申請をした場合において、不許可の処分を受けたときは、都道府県知事に対し、当該土地に関する権利を買い取るべきことを請求することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による請求があつたときは、当該土地に関する権利を、近傍類地の取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した第十二条第三項の規定による公告の時における土地に関する権利の相当な価額(その請求に係る土地が同項の規定による公告の時に地価公示法第二条第一項に規定する都市計画区域に所在し、かつ、同法第六条の規定による公示価格を取引の指標とすべきものであつた場合において、その請求に係る土地に関する権利が所有権であるときは、政令で定めるところにより同条の規定による公示価格を規準として算定した第十二条第三項の規定による公告の時における所有権の価額)に第十六条第一項第一号の政令で定める方法により算定した当該請求の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額(第十二条第三項の規定による公告の時以後当該請求の時までの間に、当該請求をした者(その者が第十四条第一項の許可を受けて当該土地に関する権利の移転又は設定を受けたものであるときは、第十二条第三項の規定による公告の時以後当該移転又は設定をした者を含む。)が当該請求に係る土地に関する権利について、宅地の造成等のための費用で政令で定めるものの負担をしたときは、都道府県知事が認定した当該費用の額を加えるものとする。)で買い取るものとする。
(不服申立て)
第二十条 第十四条第一項の規定に基づく処分についての審査請求は、土地利用審査会に対してするものとする。
2 土地利用審査会は、前項の規定による審査請求を受理した場合においては、審査請求を受理した日から起算して二月以内に、裁決をしなければならない。
3 土地利用審査会は、前項の裁決を行う場合においては、あらかじめ、審査請求人、処分庁その他の関係人又はこれらの者の代理人の出頭を求めて、公開による口頭審理を行わなければならない。
4 土地利用審査会の裁決に不服がある者は、内閣総理大臣に対して再審査請求をすることができる。
(審査請求と訴訟との関係)
第二十一条 第十四条第一項の規定に基づく処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する土地利用審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。
(適正かつ合理的な土地利用の確保)
第二十二条 都道府県知事は、規制区域を指定したときは、速やかに、都市計画その他の土地利用に関する計画の決定又は土地利用に関する計画に係る事業の実施等の措置を講ずることにより、当該規制区域の指定の期間が経過し、又はその指定を解除した後のその区域の適正かつ合理的な土地利用が図られるよう努めなければならない。
第五章 土地に関する権利の移転等の届出
(土地に関する権利の移転等の届出)
第二十三条 土地売買等の契約を締結しようとする場合には、当事者は、第十五条第一項各号に掲げる事項を、総理府令で定めるところにより、当該土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に届け出なければならない。その届出に係る事項のうち、土地に関する権利の移転若しくは設定の予定対価の額の変更(その額を減額する場合を除く。)をして、又は土地に関する権利の移転若しくは設定後における土地の利用目的の変更をして、当該契約を締結しようとするときも、同様とする。
2 前項の規定は、次の各号の一に該当する場合には、適用しない。
一 次のイからハまでに規定する区域に応じそれぞれその面積が次のイからハまでに規定する面積未満の土地について土地売買等の契約を締結する場合(土地売買等の契約の当事者の一方又は双方が当該土地を含む一団の土地で次のイからハまでに規定する区域に応じそれぞれその面積が次のイからハまでに規定する面積以上のものについて土地に関する権利の移転又は設定をすることとなる場合を除く。)
イ 都市計画法第七条第一項の規定による市街化区域にあつては、二千平方メートル
ロ 都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域(イに規定する区域を除く。)にあつては、五千平方メートル
ハ イ及びロに規定する区域以外の区域にあつては、一万平方メートル
二 第十二条第一項の規定により指定された規制区域に所在する土地について土地売買等の契約を締結する場合
三 前二号に定めるもののほか、民事調停法による調停に基づく場合、当事者の一方又は双方が国又は地方公共団体である場合その他政令で定める場合
3 第一項の規定による届出をした者は、その届出をした日から起算して六週間を経過する日までの間、その届出に係る土地売買等の契約を締結してはならない。
4 第十五条第二項の規定は、第一項の規定による届出のあつた場合について準用する。
(勧告)
第二十四条 都道府県知事は、前条第一項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る事項が次の各号の一に該当し当該土地を含む周辺の地域の適正かつ合理的な土地利用を図るために著しい支障があると認めるときは、土地利用審査会の意見を聴いて、その届出をした者に対し、当該土地売買等の契約の締結を中止すべきことその他その届出に係る事項について必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
一 届出に係る土地に関する権利の移転又は設定の予定対価の額が、近傍類地の取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した土地に関する権利の相当な価額(その届出に係る土地が地価公示法第二条第一項に規定する都市計画区域に所在し、かつ、同法第六条の規定による公示価格を取引の指標とすべきものである場合において、その届出に係る土地に関する権利が所有権であるときは、政令で定めるところにより同条の規定による公示価格を規準として算定した所有権の価額)に照らし、著しく適正を欠くこと。
二 届出に係る土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的が土地利用基本計画その他の土地利用に関する計画に適合しないこと。
三 届出に係る土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的が、道路、水道その他の公共施設若しくは学校その他の公益的施設の整備の予定からみて、又は周辺の自然環境の保全上、明らかに不適当なものであること。
2 前項の規定による勧告は、前条第一項の規定による届出があつた日から起算して六週間以内にしなければならない。
(勧告に基づき講じた措置の報告)
第二十五条 都道府県知事は、前条第一項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、その勧告を受けた者に対し、その勧告に基づいて講じた措置について報告をさせることができる。
(公表)
第二十六条 都道府県知事は、第二十四条第一項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
(土地に関する権利の処分についてのあつせん等)
第二十七条 都道府県知事は、第二十四条第一項の規定による勧告に基づき当該土地売買等の契約の締結が中止された場合において、必要があると認めるときは、当該土地に関する権利の処分についてのあつせんその他の措置を講ずるよう努めなければならない。
第六章 遊休土地に関する措置
(遊休土地である旨の通知)
第二十八条 都道府県知事は、第十四条第一項の許可又は第二十三条第一項の規定による届出に係る土地を所有している者のその所有に係る土地が次の各号の要件に該当すると認めるときは、総理府令で定めるところにより、当該土地の所有者(当該土地の全部又は一部について地上権その他の政令で定める使用及び収益を目的とする権利が設定されているときは、当該権利を有している者及び当該土地の所有者)に当該土地が遊休土地である旨を通知するものとする。
一 その土地が第二十三条第二項第一号イからハまでに規定する区域に応じそれぞれ同号イからハまでに規定する面積以上の一団の土地であること。
二 その土地の所有者が当該土地を取得した後三年を経過したものであること。
三 その土地が住宅の用、事業の用に供する施設の用その他の用途に供されていないことその他の政令で定める要件に該当するものであること。
四 土地利用基本計画その他の土地利用に関する計画に照らしその土地を含む周辺の地域における計画的な土地利用の増進を図るため、当該土地の有効かつ適切な利用を特に促進する必要があること。
2 市町村長は、当該市町村の区域内に所在する土地のうち前項の要件に該当するものがあるときは、都道府県知事に対し、同項の規定による通知をすべき旨を申し出ることができる。
(遊休土地に係る計画の届出)
第二十九条 前条第一項の規定による通知を受けた者は、その通知があつた日から起算して六週間以内に、総理府令で定めるところにより、その通知に係る遊休土地の利用又は処分に関する計画を、当該土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に届け出なければならない。
2 第十五条第二項の規定は、前項の規定による届出のあつた場合について準用する。
(助言)
第三十条 都道府県知事は、前条第一項の規定による届出をした者に対し、その届出に係る遊休土地の有効かつ適切な利用の促進に関し、必要な助言をすることができる。
(勧告等)
第三十一条 都道府県知事は、第二十九条第一項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る計画に従つて当該遊休土地を利用し、又は処分することが当該土地の有効かつ適切な利用の促進を図る上で支障があると認めるときは、土地利用審査会の意見を聴いて、その届出をした者に対し、相当の期限を定めて、その届出に係る計画を変更すべきことその他必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
2 第二十五条の規定は、前項の規定による勧告について準用する。
(遊休土地の買取りの協議)
第三十二条 都道府県知事は、前条第一項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その勧告に係る遊休土地の買取りを希望する地方公共団体、土地開発公社その他政令で定める法人(以下「地方公共団体等」という。)のうちから買取りの協議を行う者を定めて、その者が買取りの協議を行う旨をその勧告を受けた者に通知するものとする。
2 前項の規定により協議を行う者として定められた地方公共団体等は、同項の規定による通知があつた日から起算して六週間を経過する日までの間、その通知を受けた者と当該遊休土地の買取りの協議を行うことができる。この場合において、その通知を受けた者は、正当な理由がなければ、当該遊休土地の買取りの協議を行うことを拒んではならない。
(遊休土地の買取り価格)
第三十三条 地方公共団体等は、前条の規定により遊休土地を買い取る場合には、近傍類地の取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した当該土地の相当な価額(その買取りの協議に係る遊休土地が地価公示法第二条第一項に規定する都市計画区域に所在し、かつ、同法第六条の規定による公示価格を取引の指標とすべきものであるときは、政令で定めるところにより同条の規定による公示価格を規準として算定した価額)を基準とし、当該土地の取得の対価の額及び当該土地の管理に要した費用の額を勘案して算定した価格をもつてその価格としなければならない。
(買取りに係る遊休土地の利用)
第三十四条 第三十二条の規定により遊休土地を買い取つた地方公共団体等は、土地利用基本計画その他の土地利用に関する計画に従つて当該土地の有効かつ適切な利用を図らなければならない。
(土地利用に関する計画の決定等の措置)
第三十五条 都道府県知事は、第三十二条の規定による遊休土地の買取りの協議が成立しない場合において、住宅を建設し、又は公園、広場その他の公共施設若しくは学校その他の公益的施設を整備することが特に必要であると認めるときは、速やかに、都市計画その他の土地利用に関する計画の決定等の措置を講ずることにより、当該土地の有効かつ適切な利用が図られるようにしなければならない。
第七章 国土利用計画審議会、国土利用計画地方審議会及び土地利用審査会
(国土利用計画審議会)
第三十六条 総理府に、附属機関として、国土利用計画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、この法律、国土調査法(昭和二十六年法律第百八十号)及び国土調査促進特別措置法(昭和三十七年法律第百四十三号)によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、内閣総理大臣の諮問に応じ、国土の利用に関する基本的な事項を調査審議する。
3 審議会は、前項に規定する事項に関し、内閣総理大臣に対し、及び内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。
4 関係行政機関の長は、国土の利用に関する基本的な事項でその所掌に係るものについて審議会の意見を聴くことができる。
(審議会の組織)
第三十七条 審議会は、国土の利用に関し学識経験を有する者のうちから内閣総理大臣が任命する委員二十五人以内をもつて組織する。
2 委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員の互選により審議会の会長として定められた者は、会務を総理する。
4 特別の事項を調査審議させるため、審議会に臨時委員を置くことができる。
5 臨時委員は、国土の利用に関し学識経験を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
6 委員及び臨時委員は、非常勤とする。
7 審議会は、全国計画の案に関し特別に調査審議する必要があると認めるときは、特別委員会を置くことができる。
8 審議会は、その所掌事務を処理するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長等に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。
9 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(国土利用計画地方審議会)
第三十八条 都道府県に、国土利用計画地方審議会を置く。
2 国土利用計画地方審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、都道府県知事の諮問に応じ、当該都道府県の区域における国土の利用に関する基本的な事項及び土地利用に関し重要な事項を調査審議する。
3 国土利用計画地方審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、都道府県の条例で定める。
(土地利用審査会)
第三十九条 都道府県に、土地利用審査会を置く。
2 土地利用審査会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。
3 土地利用審査会は、委員七人で組織する。
4 委員は、土地利用、地価その他の土地に関する事項について優れた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから、都道府県知事が、都道府県の議会の同意を得て、任命する。
5 次の各号の一に該当する者は、委員となることができない。
一 禁治産者若しくは準禁治産者又は破産者で復権を得ない者
二 禁 錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
6 都道府県知事は、委員が前項各号の一に該当するに至つたときは、その委員を解任しなければならない。
7 都道府県知事は、委員が次の各号の一に該当するときは、都道府県の議会の同意を得て、その委員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められるとき。
8 委員は、自己又は三親等以内の親族の利害に関係のある事件については、議事に加わることができない。
9 土地利用審査会は、第十二条第六項、同条第十三項(同条第十五項において準用する場合を含む。)、第十六条第二項、第二十四条第一項又は第三十一条第一項の規定に係る所掌事務を処理するときは、関係市町村長の出席を求め、その意見を聴かなければならない。
10 第三項から前項までに定めるもののほか、土地利用審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、都道府県の条例で定める。
第八章 雑則
(経費の補助)
第四十条 国は、予算の範囲内で、政令で定めるところにより、土地利用基本計画の作成に要する経費その他のこの法律の施行に要する経費の一部を補助する。
(立入検査等)
第四十一条 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、第十四条第一項の許可の申請若しくは第二十三条第一項若しくは第二十九条第一項の規定による届出に係る土地又は当該許可の申請若しくは届出に係る当事者の営業所、事務所その他の場所に立ち入り、土地、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査及び質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(土地調査員)
第四十二条 前条第一項の規定による立入検査及び質問に関する職務を行わせるため、都道府県に、土地調査員を置く。
2 土地調査員に関し必要な事項は、政令で定める。
(書類の閲覧等)
第四十三条 都道府県知事は、第十六条第一項第一号、第十九条第二項又は第二十四条第一項第一号に規定する土地に関する権利の相当な価額の算定に関し必要があると認めるときは、官公署に対し、必要な書類を閲覧させ、又はその内容を記録させることを求めることができる。
(大都市の特例)
第四十四条 第二十三条から第三十二条まで、第三十五条、第四十一条及び前条の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)においては、当該指定都市の長が行う。この場合においては、第二十三条から第三十二条まで、第三十五条、第三十九条及び前三条の規定中都道府県又は都道府県知事に関する規定は、指定都市又は指定都市の長に関する規定として指定都市又は指定都市の長に適用があるものとする。
(政令への委任)
第四十五条 この法令に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
第九章 罰則
第四十六条 第十四条第一項の規定に違反して、許可を受けないで土地売買等の契約を締結した者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第四十七条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第二十三条第一項の規定に違反して、届出をしないで土地売買等の契約を締結した者
二 第二十九条第一項の規定に違反して、届出をしなかつた者
三 第二十三条第一項又は第二十九条第一項の規定による届出について、虚偽の届出をした者
第四十八条 第二十三条第三項の規定に違反して、同項の期間内に土地売買等の契約を締結した者は、二十万以下の罰金に処する。
第四十九条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第二十五条(第三十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 第四十一条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
第五十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第四十六条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第三十八条、第三十九条及び第四十四条の規定は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(この法律の施行前の取得に係る遊休土地に関する措置)
第二条 都道府県知事は、この法律の施行の際現に土地を所有している者のその所有に係る土地(国又は地方公共団体が所有する土地その他政令で定める土地を除く。)が、次の各号の要件に該当すると認めるときは、総理府令で定めるところにより、当該土地の所有者(当該土地の全部又は一部について地上権その他の政令で定める使用及び収益を目的とする権利が設定されているときは、当該権利を有している者及び当該土地の所有者)に当該土地が遊休土地である旨を通知するものとする。
一 その土地が次のイからハまでに規定する区域に応じそれぞれ次のイからハまでに規定する面積以上の一団の土地であること。
イ 都市計画法第七条第一項の規定による市街化区域にあつては、二千平方メートル
ロ 都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域(イに規定する区域を除く。)にあつては、五千平方メートル
ハ イ及びロに規定する区域以外の区域にあつては、一万平方メートル
二 その土地の所有者が当該土地を昭和四十四年一月一日(沖縄県の区域内に所在する土地については、昭和四十七年五月十五日)以後取得したものであること。
三 その土地が住宅の用、事業の用に供する施設の用その他の用途に供されていないことその他の政令で定める要件に該当するものであること。
四 土地利用基本計画その他の土地利用に関する計画に照らしその土地を含む周辺の地域における計画的な土地利用の増進を図るため、当該土地の有効かつ適切な利用を特に促進する必要があること。
2 前項の規定による通知は、この法律の施行の日から起算して二年を経過する日までの間に限り行うことができる。
3 市町村長は、当該市町村の区域内に所在する土地のうち第一項の要件に該当するものがあるときは、都道府県知事に対し、同項の規定による通知をすべき旨を申し出ることができる。
4 第一項の規定による通知を受けた者は、その通知があつた日から起算して六週間以内に、総理府令で定めるところにより、その通知に係る遊休土地の利用又は処分に関する計画を、当該土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に届け出なければならない。
5 前項の規定による届出は、第二十九条第一項の規定による届出とみなして、同条第二項、第三十条、第三十一条、第四十一条第一項及び第四十九条の規定を適用する。
6 第一項及び第四項の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、指定都市においては、当該指定都市の長が行う。この場合においては、第一項、第三項及び第四項の規定中都道府県知事に関する規定は、指定都市の長に関する規定として指定都市の長に適用があるものとする。
第三条 前条第四項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の罰金刑を科する。
(総理府設置法の一部改正)
第四条 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中
国土総合開発審議会
国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)、国土調査法(昭和二十六年法律第百八十号)及び国土調査促進特別措置法(昭和三十七年法律第百四十三号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。
国土総合開発審議会
国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。
国土利用計画審議会
国土調査法(昭和二十六年法律第百八十号)、国土調査促進特別措置法(昭和三十七年法律第百四十三号)及び国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。
に改める。
(環境庁設置法の一部改正)
第五条 環境庁設置法(昭和四十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
第四条中第五号の次に次の一号を加える。
五の二 国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)に基づく内閣総理大臣の権限に属する事項(全国計画の案の作成に関するものに限る。)で、環境の保全に関する基本的な政策に係るものについて内閣総理大臣を補佐すること。
第五条第三項中「第五号」の下に「、第五号の二」を加える。
(国土総合開発庁設置法の一部改正)
第六条 国土総合開発庁設置法(昭和四十九年法律第▲▲▲号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十二号中テをアとし、エをテとし、コをエとし、フをコとし、ケをフとし、マをケとし、ヤをマとし、クをヤとし、オをクとし、ノの次に次のように加える。
オ 国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)
第五条第二項中「ケからコ」を「フからエ」に改め、同条第三項中「法律に係る事務及び」の下に「同号オに掲げる法律に係る事務(国土利用計画に係るものに限る。)並びに」を加え、同条第五項中「オからマ」を「オに掲げる法律に係る事務(計画局の所掌に属するものを除く。)及びクからケ」に改め、同条第七項中「エ及びテ」を「テ及びア」に改める。
第六条第二項中「ヤ及びマ」を「マ及びケ」に改める。
(地方財政法の一部改正)
第七条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第十条に次の一号を加える。
二十七 土地利用基本計画の作成に要する経費その他の国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)の施行に要する経費
(国土総合開発法の一部改正)
第八条 国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
第三条中「、国土調査法(昭和二十六年法律第百八十号)及び国土調査促進特別措置法(昭和三十七年法律第百四十三号)」を削る。
第四条第五項を削る。
(国土調査法の一部改正)
第九条 国土調査法の一部を次のように改正する。
目次及び第三章の章名中「国土総合開発審議会及び都府県総合開発審議会」を「国土利用計画審議会及び国土利用計画地方審議会」に改める。
第十二条(見出しを含む。)中「国土総合開発審議会」を「国土利用計画審議会」に改める。
第十五条の見出し中「都府県総合開発審議会」を「国土利用計画地方審議会」に改め、同条中「都府県知事」を「都道府県知事」に、「国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)第六条の六の規定により条例で設置された都府県総合開発審議会」を「国土利用計画地方審議会」に改める。
(国土調査促進特別措置法の一部改正)
第十条 国土調査促進特別措置法の一部を次のように改正する。
第三条第一項中「国土総合開発審議会」を「国土利用計画審議会」に、「きいて」を「聴いて」に改める。
(地価公示法の一部改正)
第十一条 地価公示法の一部を次のように改正する。
第二条第一項中「都市計画区域をいう」を「都市計画区域をいい、国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第十二条第一項の規定により指定された規制区域を除く」に、「行なつて」を「行つて」に改める。
(公有地の拡大の推進に関する法律の一部改正)
第十二条 公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)の一部を次のように改正する。
第四条第二項中第七号を第九号とし、第六号の次に次の二号を加える。
七 国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第十二条第一項の規定により指定された規制区域に含まれるものであるとき。
八 国土利用計画法第二十三条第一項に規定する土地売買等の契約を締結する場合に同項の規定による届出を要するものであるとき。
第四条に次の一項を加える。
3 国土利用計画法第二十三条第一項の規定による届出は、第六条、第七条、第八条(土地を有償で譲り渡す場合を除く。)、第九条及び第三十二条第三号(土地を有償で譲り渡した者を除く。)の規定の適用については、第一項の規定による届出とみなす。
(租税特別措置法の一部を改正する法律の一部改正)
第十三条 租税特別措置法の一部を改正する法律(昭和四十九年法律第十七号)の一部を次のように改正する。
第三十四条の二第二項に三号を加える改正規定中「国土総合開発法(昭和四十九年法律第▲▲▲号)第十三条第一項」を「国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第十二条第一項」に、「特別規制地域」を「規制区域」に、「同法第二十条第二項」を「同法第十九条第二項」に改め、「又は同法第二十四条第一項の規定により特定総合開発地域として指定された区域内の土地が同法第二十九条第一項の協議に基づき地方公共団体、土地開発公社その他政令で定める法人に買い取られる場合」を削る。
第六十五条の四第一項に三号を加える改正規定中「国土総合開発法第十三条第一項」を「国土利用計画法第十二条第一項」に、「特別規制地域」を「規制区域」に、「同法第二十条第二項」を「同法第十九条第二項」に改め、「又は同法第二十四条第一項の規定により特定総合開発地域として指定された区域内の土地が同法第二十九条第一項の協議に基づき地方公共団体、土地開発公社その他政令で定める法人に買い取られる場合」を削る。
附則第一条第五号中「国土総合開発法(昭和四十九年法律第▲▲▲号)」を「国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)」に改める。
内閣総理大臣 田中角栄
法務大臣 中村梅吉
大蔵大臣 福田赳夫
文部大臣 奥野誠亮
厚生大臣 斎藤邦吉
農林大臣 倉石忠雄
通商産業大臣 中曽根康弘
運輸大臣 徳永正利
郵政大臣 原田憲
労働大臣 長谷川峻
建設大臣 亀岡高夫
自治大臣 町村金五