東北開発促進法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十二年五月十七日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百十号
東北開発促進法
(この法律の趣旨)
第一条 この法律は、東北地方における資源の総合的開発を促進するために必要な基本的事項を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において「東北地方」とは、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県及び新潟県の区域をいう。
(東北開発促進計画)
第三条 内閣総理大臣は、東北開発審議会の審議を経て、東北開発促進計画(以下「開発促進計画」という。)を作成するものとする。
2 開発促進計画は、東北地方における土地、水、山林、鉱物、電力その他の資源の総合的開発の促進に関する計画とする。
3 関係地方公共団体は、開発促進計画に関し、内閣総理大臣に対し、意見を申し出ることができる。
(東北開発審議会の設置)
第四条 総理府に、東北開発審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(審議会の所掌事務)
第五条 審議会は、次に掲げる事項を調査審議し、その結果を内閣総理大臣に報告し、又は建議するものとする。
一 開発促進計画の作成の基準となるべき事項
二 東北開発株式会社の事業の基準となるべき事項
三 前各号に掲げるもののほか、東北地方の開発の促進に関する重要事項
2 審議会は、開発促進計画について必要があると認める場合においては、内閣総理大臣を通じて、関係行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。
(審議会の組織)
第六条 審議会は、委員三十五人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者について、内閣総理大臣が任命する。
一 衆議院議員のうちから衆議院が指名する者 五人
二 参議院議員のうちから参議院が指名する者 三人
三 関係行政機関の職員 十人
四 関係県の知事 七人
五 関係市長を代表する者 一人
六 関係町村長を代表する者 一人
七 開発促進計画に関し学識経験のある者 八人以内
3 前項第七号の委員の任期は、二年とし、当該委員は、再任されることを妨げない。当該委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 審議会に、会長を置く。会長は、委員のうちから互選する。
5 会長は、会務を総理し、及び審議会を代表する。会長に事故がある場合においては、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。
6 専門の事項を調査させるために、審議会に、専門委員を置くことができる。専門委員は、関係行政機関の職員及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
7 委員及び専門委員は、非常勤とする。
(審議会の運営等)
第七条 前条に定めるもののほか、審議会の事務をつかさどる機関並びに審議会の議事及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(資料の提出等の要求)
第八条 審議会は、関係行政機関の職員に対し、資料の提出、意見の陳述又は説明を求めることができる。
(開発促進計画に基く事業の実施)
第九条 開発促進計画に基く事業は、この法律に定めるもののほか、当該事業に関する法律(これに基く命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が実施するものとする。
(開発促進計画に基く事業の調整)
第十条 関係行政機関の長は、毎年度、開発促進計画の実施についてその所掌する事項に関して作成した翌年度の事業計画を経済企画庁長官に提出しなければならない。
2 経済企画庁長官は、前項の規定により提出された事業計画について必要な調整を行うものとする。
3 経済企画庁長官は、毎年度、関係行政機関の長から開発促進計画に基く事業の実施に関する資金計画の提出を求め、これについて、前項の規定により調整した事業計画の円滑な実施を図るため、必要な調整を行うものとする。
(開発促進計画の実施に要する経費)
第十一条 政府は、開発促進計画を実施するために必要な資金の確保を図り、かつ、国の財政の許す範囲内において、その実施を促進することに努めなければならない。
(地方財政再建促進特別措置法の特例)
第十二条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)に基く財政再建団体である県(以下「財政再建団体」という。)が開発促進計画に基く事業で当該財政再建団体に係るものを実施するために財政再建計画に変更を加えようとする場合においては、自治庁長官は、その財政の再建が合理的に達成できると認める限り、同法第三条第四項において準用する同条第一項の規定による当該財政再建計画の変更の承認に当つて、これらの事業の実施が確保されるよう特に配慮しなければならない。
2 前項の財政再建団体に係る開発促進計画に基く事業で、地方財政再建促進特別措置法第十七条及びこれに基く政令に規定する事業に該当するもののうち、自治庁長官が経済企画庁長官と協議して定める重要なものに要する経費に係る国の負担割合は、政令で定めるところにより、当該県が財政再建団体である間に限り、通常の国の負担割合の百分の百二十とする。ただし、当該財政再建団体の負担割合が百分の十未満となる場合においては、当該財政再建団体の負担割合が百分の十となるように国の負担割合を定めるものとする。
3 地方財政再建促進特別措置法第十七条及びこれに基く政令、第二十条並びに第二十一条第一項及び第二項並びに前二項の規定は、開発促進計画に基く事業を実施する県で財政再建団体以外のものが同法第二十二条第二項の規定により財政の再建を行う場合においては、当該県について準用する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行し、第十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定は、昭和三十二年度分の予算に係る国の負担金又は補助金から適用し、昭和三十一年度分の予算に係る国の負担金又は補助金の経費の金額で翌年度に繰り越したものについては、なお従前の例による。
(総理府設置法の一部改正)
2 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中国土総合開発審議会の項の次に次のように加える。
東北開発審議会
東北開発促進法(昭和三十二年法律第百十号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。
(国土総合開発法の一部改正)
3 国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
第十四条に次の一項を加える。
2 東北開発促進計画と総合開発計画との調整は、内閣総理大臣が国土総合開発審議会の意見を聞いて行うものとする。
(経済企画庁設置法の一部改正)
4 経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第十五号の次に次の一号を加える。
十五の二 東北地方の開発の促進に関する基本的な政策及び計画を企画立案すること。
第四条第十九号中「前四号」を「前五号」に改める。
第四条第二十号トの次に次のように加える。
チ 東北開発促進法(昭和三十二年法律第百十号)
第九条第五号の次に次の一号を加える。
六 東北地方の開発の促進に関すること。
内閣総理大臣 岸信介
大蔵大臣 池田勇人
農林大臣 井出一太郎
通商産業大臣 水田三喜男
運輸大臣 宮澤胤勇
建設大臣 南條徳男
東北開発促進法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十二年五月十七日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百十号
東北開発促進法
(この法律の趣旨)
第一条 この法律は、東北地方における資源の総合的開発を促進するために必要な基本的事項を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において「東北地方」とは、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県及び新潟県の区域をいう。
(東北開発促進計画)
第三条 内閣総理大臣は、東北開発審議会の審議を経て、東北開発促進計画(以下「開発促進計画」という。)を作成するものとする。
2 開発促進計画は、東北地方における土地、水、山林、鉱物、電力その他の資源の総合的開発の促進に関する計画とする。
3 関係地方公共団体は、開発促進計画に関し、内閣総理大臣に対し、意見を申し出ることができる。
(東北開発審議会の設置)
第四条 総理府に、東北開発審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(審議会の所掌事務)
第五条 審議会は、次に掲げる事項を調査審議し、その結果を内閣総理大臣に報告し、又は建議するものとする。
一 開発促進計画の作成の基準となるべき事項
二 東北開発株式会社の事業の基準となるべき事項
三 前各号に掲げるもののほか、東北地方の開発の促進に関する重要事項
2 審議会は、開発促進計画について必要があると認める場合においては、内閣総理大臣を通じて、関係行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。
(審議会の組織)
第六条 審議会は、委員三十五人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者について、内閣総理大臣が任命する。
一 衆議院議員のうちから衆議院が指名する者 五人
二 参議院議員のうちから参議院が指名する者 三人
三 関係行政機関の職員 十人
四 関係県の知事 七人
五 関係市長を代表する者 一人
六 関係町村長を代表する者 一人
七 開発促進計画に関し学識経験のある者 八人以内
3 前項第七号の委員の任期は、二年とし、当該委員は、再任されることを妨げない。当該委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 審議会に、会長を置く。会長は、委員のうちから互選する。
5 会長は、会務を総理し、及び審議会を代表する。会長に事故がある場合においては、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。
6 専門の事項を調査させるために、審議会に、専門委員を置くことができる。専門委員は、関係行政機関の職員及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
7 委員及び専門委員は、非常勤とする。
(審議会の運営等)
第七条 前条に定めるもののほか、審議会の事務をつかさどる機関並びに審議会の議事及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(資料の提出等の要求)
第八条 審議会は、関係行政機関の職員に対し、資料の提出、意見の陳述又は説明を求めることができる。
(開発促進計画に基く事業の実施)
第九条 開発促進計画に基く事業は、この法律に定めるもののほか、当該事業に関する法律(これに基く命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が実施するものとする。
(開発促進計画に基く事業の調整)
第十条 関係行政機関の長は、毎年度、開発促進計画の実施についてその所掌する事項に関して作成した翌年度の事業計画を経済企画庁長官に提出しなければならない。
2 経済企画庁長官は、前項の規定により提出された事業計画について必要な調整を行うものとする。
3 経済企画庁長官は、毎年度、関係行政機関の長から開発促進計画に基く事業の実施に関する資金計画の提出を求め、これについて、前項の規定により調整した事業計画の円滑な実施を図るため、必要な調整を行うものとする。
(開発促進計画の実施に要する経費)
第十一条 政府は、開発促進計画を実施するために必要な資金の確保を図り、かつ、国の財政の許す範囲内において、その実施を促進することに努めなければならない。
(地方財政再建促進特別措置法の特例)
第十二条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)に基く財政再建団体である県(以下「財政再建団体」という。)が開発促進計画に基く事業で当該財政再建団体に係るものを実施するために財政再建計画に変更を加えようとする場合においては、自治庁長官は、その財政の再建が合理的に達成できると認める限り、同法第三条第四項において準用する同条第一項の規定による当該財政再建計画の変更の承認に当つて、これらの事業の実施が確保されるよう特に配慮しなければならない。
2 前項の財政再建団体に係る開発促進計画に基く事業で、地方財政再建促進特別措置法第十七条及びこれに基く政令に規定する事業に該当するもののうち、自治庁長官が経済企画庁長官と協議して定める重要なものに要する経費に係る国の負担割合は、政令で定めるところにより、当該県が財政再建団体である間に限り、通常の国の負担割合の百分の百二十とする。ただし、当該財政再建団体の負担割合が百分の十未満となる場合においては、当該財政再建団体の負担割合が百分の十となるように国の負担割合を定めるものとする。
3 地方財政再建促進特別措置法第十七条及びこれに基く政令、第二十条並びに第二十一条第一項及び第二項並びに前二項の規定は、開発促進計画に基く事業を実施する県で財政再建団体以外のものが同法第二十二条第二項の規定により財政の再建を行う場合においては、当該県について準用する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行し、第十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定は、昭和三十二年度分の予算に係る国の負担金又は補助金から適用し、昭和三十一年度分の予算に係る国の負担金又は補助金の経費の金額で翌年度に繰り越したものについては、なお従前の例による。
(総理府設置法の一部改正)
2 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中国土総合開発審議会の項の次に次のように加える。
東北開発審議会
東北開発促進法(昭和三十二年法律第百十号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。
(国土総合開発法の一部改正)
3 国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
第十四条に次の一項を加える。
2 東北開発促進計画と総合開発計画との調整は、内閣総理大臣が国土総合開発審議会の意見を聞いて行うものとする。
(経済企画庁設置法の一部改正)
4 経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第十五号の次に次の一号を加える。
十五の二 東北地方の開発の促進に関する基本的な政策及び計画を企画立案すること。
第四条第十九号中「前四号」を「前五号」に改める。
第四条第二十号トの次に次のように加える。
チ 東北開発促進法(昭和三十二年法律第百十号)
第九条第五号の次に次の一号を加える。
六 東北地方の開発の促進に関すること。
内閣総理大臣 岸信介
大蔵大臣 池田勇人
農林大臣 井出一太郎
通商産業大臣 水田三喜男
運輸大臣 宮沢胤勇
建設大臣 南条徳男