積雪寒冷單作地帶振興臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年三月三十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第六十六号
積雪寒冷單作地帶振興臨時措置法
(目的)
第一條 この法律は、積雪寒冷がはなはだしく、経済的に遅れた積雪寒冷單作地帶における農業生産の基礎條件をすみやかに整備して農業生産力を高め、もつて、農業経営の安定と農民生活の改善とを図り、あわせて国民経済の発展に寄與することを目的とする。
(積雪寒冷單作地帶及び積雪寒冷單作地区の指定)
第二條 農林大臣は、積雪寒冷單作地帶振興対策審議会の議決を経て、積雪寒冷がはなはだしく、その区域内における農地の利用率が低くて農業生産力が劣つている道府県の区域を積雪寒冷單作地帶として指定する。
2 農林大臣は、前項の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
3 第一項の指定を受けた道府県の知事は、積雪寒冷がはなはだしく、この区域内における農地の利用率が低くて農業生産力が劣つている市町村の区域を、積雪寒冷單作地帶振興対策審議会の議決を経て農林大臣が定める基準に従つて、積雪寒冷單作地区として指定する。
4 道府県知事は、前項の指定をしたときは、その旨を公示するとともに農林大臣に報告しなければならない。
(市町村長の定める農業振興計画)
第三條 積雪寒冷單作地区を管轄する市町村長は、当該地区についての農業振興計画を定め、これを当該道府県知事に提出するとともにその要旨を公表しなければならない。
2 市町村長は、前項の規定により農業振興計画を定めるには、あらかじめ、公聴会を開いて関係人の意見を聞き、且つ、議会の議決を経なければならない。
(道府県知事の定める農業振興計画)
第四條 道府県知事は、前條第一項の農業振興計画を参しやくして、積雪寒冷單作地区についての当該道府県の農業振興計画を定め、これを農林大臣に提出するとともにその要旨を公表しなければならない。
2 道府県知事が前項の規定により農業振興計画を定める場合には、前條第二項の規定を準用する。
(農林大臣の定める農業振興計画)
第五條 農林大臣は、前條第一項の農業振興計画を参しやくし、積雪寒冷單作地帶振興対策審議会の議決を経て、積雪寒冷單作地帶についての国の農業振興計画を定めなければならない。
2 農林大臣は、前項の規定により農業振興計画を定めたときは、これを当該道府県知事に通知するとともにその要旨を公表しなければならない。
3 政府は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、第一項の農業振興計画を実施するために必要な経費を予算に計上しなければならない。
4 政府は、毎年度、第一項の農業振興計画を実施するために必要な資金の融通又はそのあつ旋につき計画を定め、その要旨を公表しなければならない。
(道府県知事の定める農業振興計画の変更等)
第六條 道府県知事は、前條第二項の通知を受けたときは、第四條第一項の規定により定めた当該道府県の農業振興計画を、必要に応じ変更し又は変更しないで、当該市町村長に通知するとともに、変更した場合には、その変更の要旨を公表しなければならない。
2 道府県知事が前項の規定により農業振興計画を変更する場合には、第三條第二項の規定を準用する。
(市町村長の定める農業振興計画の変更)
第七條 市町村長は、前條第一項の通知を受けた場合に必要があると認めるときは、第三條第一項の規定により定めた当該市町村の農業振興計画を変更することができる。この場合には、その変更の要旨を公表しなければならない。
2 市町村長が前項の規定により農業振興計画を変更する場合には、第三條第二項の規定を準用する。
(事情の変更による農業振興計画の変更)
第八條 農林大臣、道府県知事又は市町村長は、国、当該道府県又は当該市町村の農業振興計画を定める基礎となつた事情が著しく変更したときは、それぞれ、農業振興計画を定める場合の例により、その定めた農業振興計画を変更することができる。
(農業振興計画の内容)
第九條 農業振興計画は、左に掲げる事項を含むものとする。
一 農地の開発、改良、保全その他土地の生産條件の整備及び土地利用の高度化に関する事項
二 農業技術の改良その他農業生産に関する事項
三 農畜産物の加工、販売その他処理に関する事項
四 その他農業経営の合理化及び農民生活の改善に関する事項
(委任事項)
第十條 第三條から前條までに定めるものを除く外、農業振興計画の決定について必要な事項は、農林省令で定める。
(全部事務組合及び役場事務組合の特例)
第十一條 この法律中町村又は町村長に関する規定は、全部事務組合又は役場事務組合のある地にあつては、組合又は組合の管理者に適用する。
(積雪寒冷單作地帶振興対策審議会の設置及び権限)
第十二條 この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項その他積雪寒冷單作地帶における農村振興に関する重要事項を調査審議するために、総理府に積雪寒冷單作地帶振興対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、積雪寒冷單作地帶における農村振興に関する重要事項につき、関係行政機関の長に対し意見を申し出ることができる。
(審議会の組織等)
第十三條 審議会は、左に掲げる者につき、内閣総理大臣が任命する委員三十人以内で組織する。
一 衆議院議員の中から衆議院が指名した者
五人
二 参議院議員の中から参議院が指名した者
三人
三 地方自治庁次長
四 大蔵事務次官
五 文部事務次官
六 厚生事務次官
七 農林事務次官
八 通商産業事務次官
九 運輸事務次官
十 電気通信事務次官
十一 労働事務次官
十二 建設事務次官
十三 経済安定本部副長官
十四 道府県知事
二人
十五 道府県議会議長
二人
十六 市町村長
二人
十七 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学の教授
二人
十八 農業者の団体を代表する者
三人以内
2 前項第一号、第二号及び第十四号から第十八号までに掲げる者につき任命された委員の任期は、二年とする。但し、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 審議会に会長を置き、委員の互選により選任する。
4 会長は、会務を総理する。
5 審議会は、あらかじめ、委員の中から、会長に事故がある場合に会長の職務を代行する者を定めておかなければならない。
6 專門の事項を調査審議させるために、審議会に、專門委員を置くことができる。
7 專門委員は、関係行政機関の職員及び学識経験を有する者の中から、審議会の推薦に基いて、内閣総理大臣が任命する。
8 委員及び專門委員は、非常勤とする。
9 前各項に定めるものを除く外、審議会の事務をつかさどる機関並びに審議会の議事及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律は、昭和三十一年三月三十一日限りその効力を失う。
3 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五條第一項の表中国土総合開発審議会の項の次に次の一項を加える。
積雪寒冷單作地帶振興対策審議会
積雪寒冷單作地帶振興臨時措置法(昭和二十六年法律第六十六号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人
文部大臣 天野貞祐
厚生大臣 黒川武雄
農林大臣 広川弘禪
通商産業大臣 横尾龍
運輸大臣 山崎猛
電気通信大臣 田村文吉
労働大臣 保利茂
建設大臣 増田甲子七
経済安定本部総裁 吉田茂
積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年三月三十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第六十六号
積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法
(目的)
第一条 この法律は、積雪寒冷がはなはだしく、経済的に遅れた積雪寒冷単作地帯における農業生産の基礎条件をすみやかに整備して農業生産力を高め、もつて、農業経営の安定と農民生活の改善とを図り、あわせて国民経済の発展に寄与することを目的とする。
(積雪寒冷単作地帯及び積雪寒冷単作地区の指定)
第二条 農林大臣は、積雪寒冷単作地帯振興対策審議会の議決を経て、積雪寒冷がはなはだしく、その区域内における農地の利用率が低くて農業生産力が劣つている道府県の区域を積雪寒冷単作地帯として指定する。
2 農林大臣は、前項の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
3 第一項の指定を受けた道府県の知事は、積雪寒冷がはなはだしく、この区域内における農地の利用率が低くて農業生産力が劣つている市町村の区域を、積雪寒冷単作地帯振興対策審議会の議決を経て農林大臣が定める基準に従つて、積雪寒冷単作地区として指定する。
4 道府県知事は、前項の指定をしたときは、その旨を公示するとともに農林大臣に報告しなければならない。
(市町村長の定める農業振興計画)
第三条 積雪寒冷単作地区を管轄する市町村長は、当該地区についての農業振興計画を定め、これを当該道府県知事に提出するとともにその要旨を公表しなければならない。
2 市町村長は、前項の規定により農業振興計画を定めるには、あらかじめ、公聴会を開いて関係人の意見を聞き、且つ、議会の議決を経なければならない。
(道府県知事の定める農業振興計画)
第四条 道府県知事は、前条第一項の農業振興計画を参しやくして、積雪寒冷単作地区についての当該道府県の農業振興計画を定め、これを農林大臣に提出するとともにその要旨を公表しなければならない。
2 道府県知事が前項の規定により農業振興計画を定める場合には、前条第二項の規定を準用する。
(農林大臣の定める農業振興計画)
第五条 農林大臣は、前条第一項の農業振興計画を参しやくし、積雪寒冷単作地帯振興対策審議会の議決を経て、積雪寒冷単作地帯についての国の農業振興計画を定めなければならない。
2 農林大臣は、前項の規定により農業振興計画を定めたときは、これを当該道府県知事に通知するとともにその要旨を公表しなければならない。
3 政府は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、第一項の農業振興計画を実施するために必要な経費を予算に計上しなければならない。
4 政府は、毎年度、第一項の農業振興計画を実施するために必要な資金の融通又はそのあつ旋につき計画を定め、その要旨を公表しなければならない。
(道府県知事の定める農業振興計画の変更等)
第六条 道府県知事は、前条第二項の通知を受けたときは、第四条第一項の規定により定めた当該道府県の農業振興計画を、必要に応じ変更し又は変更しないで、当該市町村長に通知するとともに、変更した場合には、その変更の要旨を公表しなければならない。
2 道府県知事が前項の規定により農業振興計画を変更する場合には、第三条第二項の規定を準用する。
(市町村長の定める農業振興計画の変更)
第七条 市町村長は、前条第一項の通知を受けた場合に必要があると認めるときは、第三条第一項の規定により定めた当該市町村の農業振興計画を変更することができる。この場合には、その変更の要旨を公表しなければならない。
2 市町村長が前項の規定により農業振興計画を変更する場合には、第三条第二項の規定を準用する。
(事情の変更による農業振興計画の変更)
第八条 農林大臣、道府県知事又は市町村長は、国、当該道府県又は当該市町村の農業振興計画を定める基礎となつた事情が著しく変更したときは、それぞれ、農業振興計画を定める場合の例により、その定めた農業振興計画を変更することができる。
(農業振興計画の内容)
第九条 農業振興計画は、左に掲げる事項を含むものとする。
一 農地の開発、改良、保全その他土地の生産条件の整備及び土地利用の高度化に関する事項
二 農業技術の改良その他農業生産に関する事項
三 農畜産物の加工、販売その他処理に関する事項
四 その他農業経営の合理化及び農民生活の改善に関する事項
(委任事項)
第十条 第三条から前条までに定めるものを除く外、農業振興計画の決定について必要な事項は、農林省令で定める。
(全部事務組合及び役場事務組合の特例)
第十一条 この法律中町村又は町村長に関する規定は、全部事務組合又は役場事務組合のある地にあつては、組合又は組合の管理者に適用する。
(積雪寒冷単作地帯振興対策審議会の設置及び権限)
第十二条 この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項その他積雪寒冷単作地帯における農村振興に関する重要事項を調査審議するために、総理府に積雪寒冷単作地帯振興対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、積雪寒冷単作地帯における農村振興に関する重要事項につき、関係行政機関の長に対し意見を申し出ることができる。
(審議会の組織等)
第十三条 審議会は、左に掲げる者につき、内閣総理大臣が任命する委員三十人以内で組織する。
一 衆議院議員の中から衆議院が指名した者
五人
二 参議院議員の中から参議院が指名した者
三人
三 地方自治庁次長
四 大蔵事務次官
五 文部事務次官
六 厚生事務次官
七 農林事務次官
八 通商産業事務次官
九 運輸事務次官
十 電気通信事務次官
十一 労働事務次官
十二 建設事務次官
十三 経済安定本部副長官
十四 道府県知事
二人
十五 道府県議会議長
二人
十六 市町村長
二人
十七 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学の教授
二人
十八 農業者の団体を代表する者
三人以内
2 前項第一号、第二号及び第十四号から第十八号までに掲げる者につき任命された委員の任期は、二年とする。但し、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 審議会に会長を置き、委員の互選により選任する。
4 会長は、会務を総理する。
5 審議会は、あらかじめ、委員の中から、会長に事故がある場合に会長の職務を代行する者を定めておかなければならない。
6 専門の事項を調査審議させるために、審議会に、専門委員を置くことができる。
7 専門委員は、関係行政機関の職員及び学識経験を有する者の中から、審議会の推薦に基いて、内閣総理大臣が任命する。
8 委員及び専門委員は、非常勤とする。
9 前各項に定めるものを除く外、審議会の事務をつかさどる機関並びに審議会の議事及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律は、昭和三十一年三月三十一日限りその効力を失う。
3 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中国土総合開発審議会の項の次に次の一項を加える。
積雪寒冷単作地帯振興対策審議会
積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法(昭和二十六年法律第六十六号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人
文部大臣 天野貞祐
厚生大臣 黒川武雄
農林大臣 広川弘禅
通商産業大臣 横尾龍
運輸大臣 山崎猛
電気通信大臣 田村文吉
労働大臣 保利茂
建設大臣 増田甲子七
経済安定本部総裁 吉田茂