(指導啓発)
第十三條 国及び地方公共団体は、疾病又は事故による身体障害の発生の予防及び身体に障害のある者の早期治療等について国民の関心をたかめ、且つ、身体に障害のある者に対する援護思想を普及するため、広く国民の指導啓発に努めなければならない。
(調査)
第十四條 厚生大臣は、身体に障害のある者の状況について、自ら調査を実施し、又は都道府県知事その他関係行政機関から調査報告を求め、その研究調査の結果に基いて身体に障害のある者の福祉の措置を徹底せしめるように努めなければならない。
(身体障害者手帳)
第十五條 身体に障害のある者は、都道府県知事の定める医師の診断書を添えて、都道府県知事に身体障害者手帳の交付を申請することができる。
2 前項の規定により都道府県知事が医師を定めるときは、厚生大臣の定めるところに従い、且つ、その指定に当つては、地方身体障害者福祉審議会の意見を聞かなければならない。
3 第一項に規定する医師が、その身体に障害のある者に診断書を交付するときは、その者の障害が別表に掲げる障害に該当するか否かについて意見書をつけなければならない。
4 都道府県知事は、第一項の申請に基いて審査し、その申請者が第四條前段の規定に該当すると認めたときは、身体障害者手帳を交付しなければならない。
5 前項に規定する審査の結果、その申請者が、第四條前段の規定に該当しないと認めたときは、都道府県知事は、理由を附して、その旨を申請者に通知しなければならない。
6 身体障害者は、身体障害者手帳を讓渡し又は貸與してはならない。
7 前各項に定めるものの外、身体障害者手帳に関し必要な事項は、中央身体障害者福祉審議会の意見を聞いて、省令で定める。
(身体障害者手帳の返還)
第十六條 身体障害者が別表に掲げる障害を有しなくなつたとき、又は死亡したときは、その者又はその者の親族若しくは同居の縁故者は、すみやかに身体障害者手帳を都道府県知事に返還しなければならない。
2 都道府県知事は、左の場合には、身体障害者に対し身体障害者手帳の返還を命ずることができる。
一 第十八條の規定による診査の結果、その障害が別表に掲げるものに該当しないと認めたとき。
二 身体障害者が正当な理由がなく、第十八條の規定による診査を拒み、又は忌避したとき。
三 身体障害者が更生の能力がありながら、こじき、募金その他正常でない行為によつて生活していると認めたとき。
四 身体障害者がその身体障害者手帳を他人に讓渡し又は貸與したとき。
3 都道府県知事は、前項の規定による処分をするには、文書をもつて、その理由を示さなければならない。
第十七條 都道府県知事は、前條第二項の規定により身体障害者手帳の返還を命じようとするときは、その者又はその者の代理人の出頭を求めて聽聞を行わなければならない。
2 前項の聽聞をするには、返還を命じようとする理由並びに聽聞の期日及び場所を、その期日の十日前までに、当該身体障害者に通知しなければならない。
3 聽聞においては、当該身体障害者又はその代理人は、自己又は本人のために釈明し、且つ、証拠を提出することができる。
4 当該身体障害者又はその代理人が、正当な理由がなくて聽聞に応じなかつたときは、聽聞を行わないで身体障害者手帳の返還を命ずることができる。
(診査、更生相談)
第十八條 都道府県知事は、身体障害者の診査及び更生相談を行い、必要に応じ、左の措置を取らなければならない。
一 医療又は保健指導を必要とする者に対しては、医療保健施設に紹介すること。
二 職業補導又は就職あつ旋を必要とする者に対しては、公共職業安定所に紹介すること。
三 身体障害者更生援護施設への收容又はその利用を必要とする者に対しては、都道府県の設置する当該施設に收容し若しくはそれを利用させ、又は他の者の設置する当該施設に紹介すること。
四 前三号に規定するものの外、その更生に必要な事項につき指導すること。
2 都道府県知事は、前項の更生相談を行うに当り必要があるときは、身体障害者福祉司その他身体障害者の福祉のための事業に従事する職員をして、当該身体障害者の住所又はその收容されている公私の病院若しくは療養所等に赴いて相談に応じ、又は指導をさせなければならない。
3 医療保健施設又は公共職業安定所は、第一項第一号又は第二号に基いて都道府県知事から身体障害者の紹介があつたときは、その更生のために協力しなければならない。
(收容等)
第十九條 国又は第二十七條第三項の規定により身体障害者更生援護施設を設置した市町村は、身体障害者の申請があつたとき、又は前條第一項第三号の規定に基いて都道府県知事からの紹介があつたときは、それぞれ、その設置する当該施設に收容し、又はそれを利用させなければならない。但し、その施設の收容能力その他の理由によりやむを得ないときは、この限りでない。
(安全つえ、補裝具)
第二十條 都道府県知事は、身体障害者から申請があつたときは、盲人安全つえを交付し、又は補聽器、義肢、車椅子等の補裝具を交付し、若しくは修理することができる。
2 都道府県知事は、必要があるときは、前項に規定する補裝具の交付又は修理に代えて、その購入又は修理に要する金銭を交付することができる。
(費用徴收等)
第二十一條 都道府県知事は、前條第一項の規定により盲人安全つえ又は補裝具を交付し、若しくは修理するときは、交付若しくは修理を受ける身体障害者又はその扶養義務者から、その負担能力に応じ、費用の全部又は一部を徴收することができる。
2 前條第二項の規定により、補裝具の購入又は修理に必要な金銭を交付するときは、交付を受ける身体障害者又はその扶養義務者の負担能力に応じ、減額して交付することができる。
(売店の設置)
第二十二條 国又は地方公共団体の設置した事務所その他の公共的施設の管理者は、身体障害者からの申請があつたときは、その公共的施設内において、新聞、書籍、たばこ、事務用品、食料品その他の物品を販売するために、売店を設置することを許すように努めなければならない。
2 前項の規定により公共的施設内に売店を設置することを許したときは、当該施設の管理者は、その売店の運営について必要な規則を定めて、これを監督することができる。
3 第一項の規定により、売店を設置することを許された身体障害者は、病気その他正当な理由がある場合の外は、自らその業務に従事しなければならない。
第二十三條 都道府県知事は、前條に規定する売店の設置及びその運営を円滑にするため、その管轄区域内の公共的施設の管理者と協議を行い、且つ、公共的施設における売店設置の可能な場所、販売物品の種類等を調査し、その結果を身体障害者に知らせる措置を講じなければならない。
(專売品販売の許可)
第二十四條 身体障害者が、たばこ專売法(昭和二十四年法律第百十一号)に基く製造たばこの小売人の指定を申請したときであつて同法第三十一條第一項各号の規定に該当しないときは、日本專売公社は、当該身体障害者を製造たばこの小売人に指定するように努めなければならない。
2 第二十二條第三項の規定は、前項の規定により、小売人に指定された身体障害者について準用する。
(製作品の購買)
第二十五條 盲人その他の身体障害者で政令で定めるものの援護を目的とする公益法人で厚生大臣の指定するものは、その援護する身体障害者の製作したほうき、はたき、ぞうきんその他政令で定める物品について、国又は地方公共団体の行政機関に対し、購買を求めることができる。
2 国又は地方公共団体の行政機関は、前項の規定により当該物品の購買を求められた場合において、適当と認められる価格により、且つ、自らの指定する期限内に購買することができるときは、自らの用に供する範囲において、その求に応じなければならない。但し、前項の公益法人からその必要とする数量を購買することができないときは、この限りでない。
3 国の行政機関が、前二項の規定により当該物品を購買するときは、第一項の公益法人の受註、納入等を円滑ならしめることを目的とする公益法人で厚生大臣の指定するものを通じて行うことができる。
4 第一項に規定する政令を制定するには、あらかじめ中央身体障害者福祉審議会の意見を聞かなければならない。
(製作品購買審議会)
第二十六條 前條に規定する業務の運営について調査審議するため、内閣総理大臣の所轄の下に、身体障害者製作品購買審議会(以下この條中「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、その調査審議の結果を内閣総理大臣及び厚生大臣に報告しなければならない。
3 審議会は、前條に規定する業務の運営について、必要があると認めるときは、国又は地方公共団体の行政機関に対し勧告をすることができる。
4 前三項に規定するものの外、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。