災害対策基本法等の一部を改正する法律
法令番号: 法律第百九号
公布年月日: 昭和37年5月8日
法令の形式: 法律
災害対策基本法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十七年五月八日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百九号
災害対策基本法等の一部を改正する法律
(災害対策基本法の一部改正)
第一条 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)の一部を次のように改正する。
目次中
第八章
災害緊急事態(第百五条―第百十二条)
第九章
雑則(第百十三条―第百十五条)
第十章
罰則(第百十六条―第百二十条)
第八章
災害緊急事態(第百五条―第百九条)
第九章
雑則(第百十条―第百十二条)
第十章
罰則(第百十三条―第百十七条)
に改める。
第十一条第三項中第五号を第六号とし、第四号の次に次の一号を加える。
五 災害緊急事態の布告
第十二条第五項中「をもつて充てる」を「及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する」に改める。
第九十五条中「第二十八条第二項に規定する非常災害対策本部長の指示」を「第二十八条第二項の規定による非常災害対策本部長の指示又は第百八条第四項において準用する第二十八条第二項の規定による緊急災害対策本部長の指示」に改める。
第百五条から第百九条までを次のように改める。
(災害緊急事態の布告)
第百五条 非常災害が発生し、かつ、当該災害が国の経済及び公共の福祉に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚なものである場合において、当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、閣議にかけて、関係地域の全部又は一部について災害緊急事態の布告を発することができる。
2 前項の布告には、その区域、布告を必要とする事態の概要及び布告の効力を発する日時を明示しなければならない。
(国会の承認及び布告の廃止)
第百六条 内閣総理大臣は、前条の規定により災害緊急事態の布告を発したときは、これを発した日から二十日以内に国会に付議して、その布告を発したことについて承認を求めなければならない。ただし、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合は、その後最初に召集される国会において、すみやかに、その承認を求めなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があつたとき、国会が災害緊急事態の布告の廃止を議決したとき、又は当該布告の必要がなくなつたときは、すみやかに、当該布告を廃止しなければならない。
(緊急災害対策本部)
第百七条 内閣総理大臣は、第百五条の規定による災害緊急事態の布告があつたときは、国家行政組織法第八条の規定にかかわらず、閣議にかけて、臨時に総理府に緊急災害対策本部を設置するものとする。この場合において、当該緊急災害対策本部の所管区域は、当該災害緊急事態の布告に係る地域とする。
2 前項の規定により緊急災害対策本部が設置された場合において、当該災害に係る非常災害対策本部が既に設置されているときは、当該非常災害対策本部は、廃止されるものとし、緊急災害対策本部が当該非常災害対策本部の所掌事務を承継するものとする。
3 第百五条の規定による災害緊急事態の布告が廃止されたときは、緊急災害対策本部は、廃止されるものとする。
第百八条 緊急災害対策本部の長は、緊急災害対策本部長とし、内閣総理大臣をもつて充てる。
2 緊急災害対策本部に、緊急災害対策副本部長、緊急災害対策本部員その他の職員を置く。
3 緊急災害対策副本部長は、国務大臣をもつて充てる。
4 前三項に定めるもののほか、第二十五条第二項、第四項及び第五項(非常災害対策副本部長に係る部分を除く。)、第二十六条、第二十七条並びに第二十八条の規定は、緊急災害対策本部の組織及び所掌事務、緊急災害対策本部員に対する指定行政機関の長の権限の委任並びに緊急災害対策本部長の権限について準用する。この場合において、第二十六条第二号中「非常災害」とあるのは「災害緊急事態」と、同条第三号中「第二十八条」とあるのは「第百八条第四項において準用する第二十八条」と読み替えるものとする。
5 緊急災害対策本部長は、前項において準用する第二十八条の規定による権限の全部又は一部を緊急災害対策副本部長に委任することができる。
6 緊急災害対策本部長は、前項の規定により委任をしたときは、直ちに、その旨を告示しなければならない。
(緊急措置)
第百九条 災害緊急事態に際し国の経済の秩序を維持し、及び公共の福祉を確保するため緊急の必要がある場合において、国会が閉会中又は衆議院が解散中であり、かつ、臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求めてその措置をまついとまがないときは、内閣は、次の各号に掲げる事項について必要な措置をとるため、政令を制定することができる。
一 その供給が特に不足している生活必需物資の配給又は譲渡若しくは引渡しの制限若しくは禁止
二 災害応急対策若しくは災害復旧又は国民生活の安定のため必要な物の価格又は役務その他の給付の対価の最高額の決定
三 金銭債務の支払(賃金、災害補償の給付金その他の労働関係に基づく金銭債務の支払及びその支払のためにする銀行その他の金融機関の預金等の支払を除く。)の延期及び権利の保存期間の延長
2 前項の規定により制定される政令には、その政令の規定に違反した者に対して二年以下の懲役若しくは禁錮、十万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑を科し、又はこれを併科する旨の規定、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関してその政令の違反行為をした場合に、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金、科料又は没収の刑を科する旨の規定及び没収すべき物件の全部又は一部を没収することができない場合にその価額を追徴する旨の規定を設けることができる。
3 内閣は、第一項の規定により政令を制定した場合において、その必要がなくなつたときは、直ちに、これを廃止しなければならない。
4 内閣は、第一項の規定により政令を制定したときは、直ちに、国会の臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求め、かつ、そのとつた措置をなお継続すべき場合には、その政令に代わる法律が制定される措置をとり、その他の場合には、その政令を制定したことについて承認を求めなければならない。
5 第一項の規定により制定された政令は、既に廃止され、又はその有効期間が終了したものを除き、前項の国会の臨時会又は参議院の緊急集会においてその政令に代わる法律が制定されたときは、その法律の施行と同時に、その臨時会又は緊急集会においてその法律が制定されないこととなつたときは、制定されないこととなつた時に、その効力を失う。
6 前項の場合を除くほか、第一項の規定により制定された政令は、既に廃止され、又はその有効期間が終了したものを除き、第四項の国会の臨時会が開かれた日から起算して二十日を経過した時若しくはその臨時会の会期が終了した時のいずれか早い時に、又は同項の参議院の緊急集会が開かれた日から起算して十日を経過した時若しくはその緊急集会が終了した時のいずれか早い時にその効力を失う。
7 内閣は、前二項の規定により政令がその効力を失つたときは、直ちに、その旨を告示しなければならない。
8 第一項の規定により制定された政令に罰則が設けられたときは、その政令が効力を有する間に行なわれた行為に対する罰則の適用については、その政令が廃止され、若しくはその有効期間が終了し、又は第五項若しくは第六項の規定によりその効力を失つた後においても、なお従前の例による。
第百十条から第百十二条までを削り、第九章中第百十三条を第百十条とし、第百十四条を第百十一条とし、第百十五条を第百十二条とし、第百十六条第二号中「第二十七条第一項」の下に「(第百八条第四項において準用する場合を含む。)」を加え、同条を第十章第百十三条とし、第百十七条を第百十四条とし、第百十八条第一号中「第二十七条第一項」の下に「(第百八条第四項において準用する場合を含む。)」を加え、同条を第百十五条とし、第百十九条を第百十六条とし、第百二十条中「第百十六条又は第百十八条」を「第百十三条又は第百十五条」に改め、同条を第百十七条とする。
(地方自治法の一部改正)
第二条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
第百六十条を次のように改める。
第百六十条 削除
第二百四条第二項中「産業教育手当」の下に「、災害派遣手当」を加える。
(災害救助法の一部改正)
第三条 災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)の一部を次のように改正する。
第一条中「非常災害」を「災害」に改める。
第二条を次のように改める。
第二条 この法律による救助(以下「救助」という。)は、都道府県知事が、政令で定める程度の災害が発生した市町村(特別区を含む。)の区域(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、当該市の区域又は当該市の区の区域とする。)内において当該災害にかかり、現に救助を必要とする者に対して、これを行なう。
第三条から第二十一条までを次のように改める。
第三条から第二十一条まで 削除
第二十二条第一項を削り、同条第二項中「その他緊急措置」を削り、同項を同条第一項とする。
第二十三条の次に次の二条を加える。
第二十三条の二 指定行政機関の長(災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第三号に規定する指定行政機関の長をいい、当該指定行政機関が国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の委員会である場合にあつては、当該指定行政機関とする。以下次条において同じ。)及び指定地方行政機関の長(災害対策基本法第二条第四号に規定する指定地方行政機関の長をいう。以下次条において同じ。)は、防災業務計画(同法同条第九号に規定する防災業務計画をいう。)の定めるところにより、救助を行なうため特に必要があると認めるときは、救助に必要な物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対して、その取り扱う物資の保管を命じ、又は救助に必要な物資を収用することができる。
前項の場合においては、公用令書を交付しなければならない。
第一項の処分を行なう場合においては、その処分により通常生ずべき損失を補償しなければならない。
第二十三条の三 前条第一項の規定により物資の保管を命じ、又は物資を収用するため、必要があるときは、指定行政期間の長及び指定地方行政機関の長は、当該官吏に物資を保管させる場所又は物資の所在する場所に立ち入り検査をさせることができる。
指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、前条第一項の規定により物資を保管させた者から、必要な報告を取り、又は当該官吏に当該物資を保管させてある場所に立ち入り検査をさせることができる。
前二項の規定により立ち入る場合においては、あらかじめその旨をその場所の管理者に通知しなければならない。
当該官吏が第一項又は第二項の規定により立ち入る場合は、その身分を示す証票を携帯しなければならない。
第二十四条第四項及び第二十六条第二項中「第十二条」を「第二十三条の二」に改める。
第二十八条中「特別区長」を「特別区の区長」に改め、「(有線電気通信設備の届出)」を削る。
第三十一条の次に次の一条を加える。
第三十一条の二 日本赤十字社は、その使命にかんがみ、救助に協力しなければならない。
政府は、日本赤十字社に、政府の指揮監督の下に、救助に関し地方公共団体以外の団体又は個人がする協力(第二十五条の規定による協力を除く。)の連絡調整を行なわせることができる。
第三十三条第三項中「第十二条」を「第二十三条の二」に改め、同条第四項を削る。
第三十六条を次のように改める。
第三十六条 国庫は、都道府県が第三十三条の規定により支弁した費用及び第三十四条の規定による補償に要した費用(前条の規定により求償することができるものを除く。)並びに前条の規定による求償に対する支払に要した費用の合計額が政令で定める額以上となる場合において、当該合計額が、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)に定める当該都道府県の普通税(法定外普通税を除く。以下同じ。)について同法第一条第一項第五号にいう標準税率(標準税率の定めのない地方税については、同法に定める税率とする。)をもつて算定した当該年度の収入見込額(以下この条において「収入見込額」という。)の百分の二以下であるときにあつては当該合計額についてその百分の五十を負担するものとし、収入見込額の百分の二をこえるときにあつては左の区分に従つて負担するものとする。この場合において、収入見込額の算定方法については、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条の定めるところによるものとする。
一 収入見込額の百分の二以下の部分については、その額の百分の五十
二 収入見込額の百分の二をこえ、百分の四以下の部分については、その額の百分の八十
三 収入見込額の百分の四をこえる部分については、その額の百分の九十
第四十三条中「非常災害救助」を「災害救助」に改める。
第四十五条各号列記以外の部分中「五千円」を「五万円」に、同条第二号中「第十二条」を「第二十三条の二」に改める。
第四十六条中「五千円」を「五万円」に改める。
第四十七条中「第十三条」を「第二十三条の三」に、「三千円」を「三万円」に改める。
(消防組織法の一部改正)
第四条 消防組織法(昭和二十二年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第四条第十五号中「市町村の作成する消防計画」を「防災計画に基づく消防に関する計画(以下第十八条の二において「消防計画」という。)」に改める。
(総理府設置法の一部改正)
第五条 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中
中央災害救助対策協議会
災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)に基く災害の救助その他緊急措置の適切円滑な実施を図ること。
地方災害救助対策協議会
都道府県災害救助対策協議会
中央防災会議
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第十一条第二項各号に掲げる事項を行なうこと。
に改める。
(有線電気通信法の一部改正)
第六条 有線電気通信法(昭和二十八年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。
第十条中第十四号の次に次の一号を加える。
十四の二 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第五十七条又は第七十九条の規定により、指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は都道府県知事若しくは市町村長が使用するとき。
(公衆電気通信法の一部改正)
第七条 公衆電気通信法(昭和二十八年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
第六十四条第一項中第六号の次に次の一号を加える。
六の二 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第五十七条又は第七十九条の規定により、指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は都道府県知事若しくは市町村長が使用するとき。
(自衛隊法の一部改正)
第八条 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)の一部を次のように改正する。
第百三条第三項中「第十二条」を「第二十三条の二」に、「第十三条」 を「第二十三条の三」に改める。
附 則
1 この法律は、災害対策基本法の施行の日から施行する。ただし、第三条中災害救助法第三十六条の改正規定は、公布の日から施行し、昭和三十七年度分の国庫負担金から適用する。
2 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
内閣総理大臣 池田勇人
法務大臣 植木庚子郎
大蔵大臣 水田三喜男
文部大臣 荒木萬壽夫
厚生大臣 灘尾弘吉
農林大臣臨時代理 国務大臣 三木武夫
通商産業大臣 佐藤榮作
運輸大臣 齊藤昇
郵政大臣 迫水久常
労働大臣 福永健司
建設大臣 中村梅吉
自治大臣 安井謙
災害対策基本法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十七年五月八日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百九号
災害対策基本法等の一部を改正する法律
(災害対策基本法の一部改正)
第一条 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)の一部を次のように改正する。
目次中
第八章
災害緊急事態(第百五条―第百十二条)
第九章
雑則(第百十三条―第百十五条)
第十章
罰則(第百十六条―第百二十条)
第八章
災害緊急事態(第百五条―第百九条)
第九章
雑則(第百十条―第百十二条)
第十章
罰則(第百十三条―第百十七条)
に改める。
第十一条第三項中第五号を第六号とし、第四号の次に次の一号を加える。
五 災害緊急事態の布告
第十二条第五項中「をもつて充てる」を「及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する」に改める。
第九十五条中「第二十八条第二項に規定する非常災害対策本部長の指示」を「第二十八条第二項の規定による非常災害対策本部長の指示又は第百八条第四項において準用する第二十八条第二項の規定による緊急災害対策本部長の指示」に改める。
第百五条から第百九条までを次のように改める。
(災害緊急事態の布告)
第百五条 非常災害が発生し、かつ、当該災害が国の経済及び公共の福祉に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚なものである場合において、当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、閣議にかけて、関係地域の全部又は一部について災害緊急事態の布告を発することができる。
2 前項の布告には、その区域、布告を必要とする事態の概要及び布告の効力を発する日時を明示しなければならない。
(国会の承認及び布告の廃止)
第百六条 内閣総理大臣は、前条の規定により災害緊急事態の布告を発したときは、これを発した日から二十日以内に国会に付議して、その布告を発したことについて承認を求めなければならない。ただし、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合は、その後最初に召集される国会において、すみやかに、その承認を求めなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があつたとき、国会が災害緊急事態の布告の廃止を議決したとき、又は当該布告の必要がなくなつたときは、すみやかに、当該布告を廃止しなければならない。
(緊急災害対策本部)
第百七条 内閣総理大臣は、第百五条の規定による災害緊急事態の布告があつたときは、国家行政組織法第八条の規定にかかわらず、閣議にかけて、臨時に総理府に緊急災害対策本部を設置するものとする。この場合において、当該緊急災害対策本部の所管区域は、当該災害緊急事態の布告に係る地域とする。
2 前項の規定により緊急災害対策本部が設置された場合において、当該災害に係る非常災害対策本部が既に設置されているときは、当該非常災害対策本部は、廃止されるものとし、緊急災害対策本部が当該非常災害対策本部の所掌事務を承継するものとする。
3 第百五条の規定による災害緊急事態の布告が廃止されたときは、緊急災害対策本部は、廃止されるものとする。
第百八条 緊急災害対策本部の長は、緊急災害対策本部長とし、内閣総理大臣をもつて充てる。
2 緊急災害対策本部に、緊急災害対策副本部長、緊急災害対策本部員その他の職員を置く。
3 緊急災害対策副本部長は、国務大臣をもつて充てる。
4 前三項に定めるもののほか、第二十五条第二項、第四項及び第五項(非常災害対策副本部長に係る部分を除く。)、第二十六条、第二十七条並びに第二十八条の規定は、緊急災害対策本部の組織及び所掌事務、緊急災害対策本部員に対する指定行政機関の長の権限の委任並びに緊急災害対策本部長の権限について準用する。この場合において、第二十六条第二号中「非常災害」とあるのは「災害緊急事態」と、同条第三号中「第二十八条」とあるのは「第百八条第四項において準用する第二十八条」と読み替えるものとする。
5 緊急災害対策本部長は、前項において準用する第二十八条の規定による権限の全部又は一部を緊急災害対策副本部長に委任することができる。
6 緊急災害対策本部長は、前項の規定により委任をしたときは、直ちに、その旨を告示しなければならない。
(緊急措置)
第百九条 災害緊急事態に際し国の経済の秩序を維持し、及び公共の福祉を確保するため緊急の必要がある場合において、国会が閉会中又は衆議院が解散中であり、かつ、臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求めてその措置をまついとまがないときは、内閣は、次の各号に掲げる事項について必要な措置をとるため、政令を制定することができる。
一 その供給が特に不足している生活必需物資の配給又は譲渡若しくは引渡しの制限若しくは禁止
二 災害応急対策若しくは災害復旧又は国民生活の安定のため必要な物の価格又は役務その他の給付の対価の最高額の決定
三 金銭債務の支払(賃金、災害補償の給付金その他の労働関係に基づく金銭債務の支払及びその支払のためにする銀行その他の金融機関の預金等の支払を除く。)の延期及び権利の保存期間の延長
2 前項の規定により制定される政令には、その政令の規定に違反した者に対して二年以下の懲役若しくは禁錮、十万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑を科し、又はこれを併科する旨の規定、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関してその政令の違反行為をした場合に、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金、科料又は没収の刑を科する旨の規定及び没収すべき物件の全部又は一部を没収することができない場合にその価額を追徴する旨の規定を設けることができる。
3 内閣は、第一項の規定により政令を制定した場合において、その必要がなくなつたときは、直ちに、これを廃止しなければならない。
4 内閣は、第一項の規定により政令を制定したときは、直ちに、国会の臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求め、かつ、そのとつた措置をなお継続すべき場合には、その政令に代わる法律が制定される措置をとり、その他の場合には、その政令を制定したことについて承認を求めなければならない。
5 第一項の規定により制定された政令は、既に廃止され、又はその有効期間が終了したものを除き、前項の国会の臨時会又は参議院の緊急集会においてその政令に代わる法律が制定されたときは、その法律の施行と同時に、その臨時会又は緊急集会においてその法律が制定されないこととなつたときは、制定されないこととなつた時に、その効力を失う。
6 前項の場合を除くほか、第一項の規定により制定された政令は、既に廃止され、又はその有効期間が終了したものを除き、第四項の国会の臨時会が開かれた日から起算して二十日を経過した時若しくはその臨時会の会期が終了した時のいずれか早い時に、又は同項の参議院の緊急集会が開かれた日から起算して十日を経過した時若しくはその緊急集会が終了した時のいずれか早い時にその効力を失う。
7 内閣は、前二項の規定により政令がその効力を失つたときは、直ちに、その旨を告示しなければならない。
8 第一項の規定により制定された政令に罰則が設けられたときは、その政令が効力を有する間に行なわれた行為に対する罰則の適用については、その政令が廃止され、若しくはその有効期間が終了し、又は第五項若しくは第六項の規定によりその効力を失つた後においても、なお従前の例による。
第百十条から第百十二条までを削り、第九章中第百十三条を第百十条とし、第百十四条を第百十一条とし、第百十五条を第百十二条とし、第百十六条第二号中「第二十七条第一項」の下に「(第百八条第四項において準用する場合を含む。)」を加え、同条を第十章第百十三条とし、第百十七条を第百十四条とし、第百十八条第一号中「第二十七条第一項」の下に「(第百八条第四項において準用する場合を含む。)」を加え、同条を第百十五条とし、第百十九条を第百十六条とし、第百二十条中「第百十六条又は第百十八条」を「第百十三条又は第百十五条」に改め、同条を第百十七条とする。
(地方自治法の一部改正)
第二条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
第百六十条を次のように改める。
第百六十条 削除
第二百四条第二項中「産業教育手当」の下に「、災害派遣手当」を加える。
(災害救助法の一部改正)
第三条 災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)の一部を次のように改正する。
第一条中「非常災害」を「災害」に改める。
第二条を次のように改める。
第二条 この法律による救助(以下「救助」という。)は、都道府県知事が、政令で定める程度の災害が発生した市町村(特別区を含む。)の区域(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、当該市の区域又は当該市の区の区域とする。)内において当該災害にかかり、現に救助を必要とする者に対して、これを行なう。
第三条から第二十一条までを次のように改める。
第三条から第二十一条まで 削除
第二十二条第一項を削り、同条第二項中「その他緊急措置」を削り、同項を同条第一項とする。
第二十三条の次に次の二条を加える。
第二十三条の二 指定行政機関の長(災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第三号に規定する指定行政機関の長をいい、当該指定行政機関が国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の委員会である場合にあつては、当該指定行政機関とする。以下次条において同じ。)及び指定地方行政機関の長(災害対策基本法第二条第四号に規定する指定地方行政機関の長をいう。以下次条において同じ。)は、防災業務計画(同法同条第九号に規定する防災業務計画をいう。)の定めるところにより、救助を行なうため特に必要があると認めるときは、救助に必要な物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対して、その取り扱う物資の保管を命じ、又は救助に必要な物資を収用することができる。
前項の場合においては、公用令書を交付しなければならない。
第一項の処分を行なう場合においては、その処分により通常生ずべき損失を補償しなければならない。
第二十三条の三 前条第一項の規定により物資の保管を命じ、又は物資を収用するため、必要があるときは、指定行政期間の長及び指定地方行政機関の長は、当該官吏に物資を保管させる場所又は物資の所在する場所に立ち入り検査をさせることができる。
指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、前条第一項の規定により物資を保管させた者から、必要な報告を取り、又は当該官吏に当該物資を保管させてある場所に立ち入り検査をさせることができる。
前二項の規定により立ち入る場合においては、あらかじめその旨をその場所の管理者に通知しなければならない。
当該官吏が第一項又は第二項の規定により立ち入る場合は、その身分を示す証票を携帯しなければならない。
第二十四条第四項及び第二十六条第二項中「第十二条」を「第二十三条の二」に改める。
第二十八条中「特別区長」を「特別区の区長」に改め、「(有線電気通信設備の届出)」を削る。
第三十一条の次に次の一条を加える。
第三十一条の二 日本赤十字社は、その使命にかんがみ、救助に協力しなければならない。
政府は、日本赤十字社に、政府の指揮監督の下に、救助に関し地方公共団体以外の団体又は個人がする協力(第二十五条の規定による協力を除く。)の連絡調整を行なわせることができる。
第三十三条第三項中「第十二条」を「第二十三条の二」に改め、同条第四項を削る。
第三十六条を次のように改める。
第三十六条 国庫は、都道府県が第三十三条の規定により支弁した費用及び第三十四条の規定による補償に要した費用(前条の規定により求償することができるものを除く。)並びに前条の規定による求償に対する支払に要した費用の合計額が政令で定める額以上となる場合において、当該合計額が、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)に定める当該都道府県の普通税(法定外普通税を除く。以下同じ。)について同法第一条第一項第五号にいう標準税率(標準税率の定めのない地方税については、同法に定める税率とする。)をもつて算定した当該年度の収入見込額(以下この条において「収入見込額」という。)の百分の二以下であるときにあつては当該合計額についてその百分の五十を負担するものとし、収入見込額の百分の二をこえるときにあつては左の区分に従つて負担するものとする。この場合において、収入見込額の算定方法については、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条の定めるところによるものとする。
一 収入見込額の百分の二以下の部分については、その額の百分の五十
二 収入見込額の百分の二をこえ、百分の四以下の部分については、その額の百分の八十
三 収入見込額の百分の四をこえる部分については、その額の百分の九十
第四十三条中「非常災害救助」を「災害救助」に改める。
第四十五条各号列記以外の部分中「五千円」を「五万円」に、同条第二号中「第十二条」を「第二十三条の二」に改める。
第四十六条中「五千円」を「五万円」に改める。
第四十七条中「第十三条」を「第二十三条の三」に、「三千円」を「三万円」に改める。
(消防組織法の一部改正)
第四条 消防組織法(昭和二十二年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第四条第十五号中「市町村の作成する消防計画」を「防災計画に基づく消防に関する計画(以下第十八条の二において「消防計画」という。)」に改める。
(総理府設置法の一部改正)
第五条 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中
中央災害救助対策協議会
災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)に基く災害の救助その他緊急措置の適切円滑な実施を図ること。
地方災害救助対策協議会
都道府県災害救助対策協議会
中央防災会議
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第十一条第二項各号に掲げる事項を行なうこと。
に改める。
(有線電気通信法の一部改正)
第六条 有線電気通信法(昭和二十八年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。
第十条中第十四号の次に次の一号を加える。
十四の二 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第五十七条又は第七十九条の規定により、指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は都道府県知事若しくは市町村長が使用するとき。
(公衆電気通信法の一部改正)
第七条 公衆電気通信法(昭和二十八年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
第六十四条第一項中第六号の次に次の一号を加える。
六の二 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第五十七条又は第七十九条の規定により、指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は都道府県知事若しくは市町村長が使用するとき。
(自衛隊法の一部改正)
第八条 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)の一部を次のように改正する。
第百三条第三項中「第十二条」を「第二十三条の二」に、「第十三条」 を「第二十三条の三」に改める。
附 則
1 この法律は、災害対策基本法の施行の日から施行する。ただし、第三条中災害救助法第三十六条の改正規定は、公布の日から施行し、昭和三十七年度分の国庫負担金から適用する。
2 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
内閣総理大臣 池田勇人
法務大臣 植木庚子郎
大蔵大臣 水田三喜男
文部大臣 荒木万寿夫
厚生大臣 灘尾弘吉
農林大臣臨時代理 国務大臣 三木武夫
通商産業大臣 佐藤栄作
運輸大臣 斉藤昇
郵政大臣 迫水久常
労働大臣 福永健司
建設大臣 中村梅吉
自治大臣 安井謙