雇用保険法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成二十二年三月三十一日
内閣総理大臣 鳩山由紀夫
法律第十五号
雇用保険法等の一部を改正する法律
(雇用保険法の一部改正)
第一条 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)の一部を次のように改正する。
目次中「―第五十六条」を「―第五十六条の二」に、「第五十六条の二」を「第五十六条の三」に改める。
第六条中「の各号」を削り、同条第一号の二及び第一号の三を削り、同条第二号を次のように改める。
二 一週間の所定労働時間が二十時間未満である者(この法律を適用することとした場合において第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く。)
第六条中第四号を第七号とし、第三号を第六号とし、第二号の次に次の三号を加える。
三 同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用されることが見込まれない者(前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及びこの法律を適用することとした場合において第四十二条に規定する日雇労働者であつて第四十三条第一項各号のいずれかに該当するものに該当することとなる者を除く。)
四 季節的に雇用される者であつて、第三十八条第一項各号のいずれかに該当するもの
五 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条、第百二十四条又は第百三十四条第一項の学校の学生又は生徒であつて、前各号に掲げる者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者
第十条の四第三項中「第二十六条」を「第二十七条」に改める。
第十四条第二項中「の各号」を削り、同項第二号中「の日」の下に「(第二十二条第五項に規定する者にあつては、同項第二号に規定する被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期のうち最も古い時期として厚生労働省令で定める日)」を加える。
第二十二条に次の一項を加える。
5 次に掲げる要件のいずれにも該当する者(第一号に規定する事実を知つていた者を除く。)に対する前項の規定の適用については、同項中「当該確認のあつた日の二年前の日」とあるのは、「次項第二号に規定する被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期のうち最も古い時期として厚生労働省令で定める日」とする。
一 その者に係る第七条の規定による届出がされていなかつたこと。
二 厚生労働省令で定める書類に基づき、第九条の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の二年前の日より前に徴収法第三十二条第一項の規定により被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期があること。
第三十八条第一項中「次の各号のいずれかに該当するもの」を「季節的に雇用されるもののうち次の各号のいずれにも該当しない者」に改め、同項各号を次のように改める。
一 四箇月以内の期間を定めて雇用される者
二 一週間の所定労働時間が二十時間以上であつて厚生労働大臣の定める時間数未満である者
第四十二条中「雇用された者」の下に「及び同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用された者」を加える。
第四十三条第一項中「及び第六条第一号の三の認可を受けたもの」を削り、同項に次の一号を加える。
四 前三号に掲げる者のほか、厚生労働省令で定めるところにより公共職業安定所長の認可を受けた者
第四十三条第二項中「場合」の下に「又は同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用された場合」を加え、同条第三項中「雇用された日雇労働被保険者」の下に「又は同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用された日雇労働被保険者」を加え、同条第四項中「第二号」を「第四号」に改める。
第五十六条の見出しを削り、同条の前に見出しとして「(日雇労働被保険者であつた者に係る被保険者期間等の特例)」を付し、同条第三項中「おいて、」の下に「第一項中」を加える。
第五十六条の二を第五十六条の三とし、第三章第四節中第五十六条の次に次の一条を加える。
第五十六条の二 日雇労働被保険者が同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用された後に離職した場合(前条第一項本文に規定する場合を除く。)には、その者の日雇労働被保険者であつた期間を第十四条の規定による被保険者期間の計算において被保険者であつた期間とみなすことができる。ただし、その者が第四十三条第二項又は第三項の規定の適用を受けた者である場合には、この限りでない。
2 前項の規定により第十四条の規定による被保険者期間を計算することによつて同条第二項第一号に規定する受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格を取得した者について、第十七条に規定する賃金日額を算定する場合には、日雇労働被保険者であつた期間のうち、同条第一項に規定する算定対象期間における被保険者期間として計算された最後の六箇月間に含まれる期間において納付された印紙保険料の額を厚生労働省令で定める率で除して得た額を当該期間に支払われた賃金額とみなす。
3 第一項の規定は、第二十二条第三項の規定による算定基礎期間の算定について準用する。この場合において、第一項中「その者の日雇労働被保険者であつた期間を第十四条の規定による被保険者期間の計算において被保険者であつた期間とみなす」とあるのは、「当該日雇労働被保険者であつた期間を第二十二条第三項に規定する基準日まで引き続いて同一の事業主の適用事業に被保険者として雇用された期間に該当するものとして計算する」と読み替えるものとする。
第六十条第五項中「第五十六条の二第四項」を「第五十六条の三第四項」に改める。
第六十一条の二第四項中「第五十六条の二第一項第一号ロ」を「第五十六条の三第一項第一号ロ」に改める。
第七十二条第一項中「第五十六条の二第一項」を「第五十六条の三第一項」に改め、「第六条第一号の二の時間数又は」を削り、「)の基準」の下に「又は第三十八条第一項第二号の時間数」を加える。
第七十九条の二中「第五十六条の二第一項」を「第五十六条の三第一項」に改める。
附則第九条中「第五十六条の二」を「第五十六条の三」に改める。
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正)
第二条 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)の一部を次のように改正する。
第十条第二項に次の一号を加える。
五 特例納付保険料
第十二条第六項中「第三十条」を「第三十一条」に改め、同条第七項中「第三十条及び第三十一条」を「第三十一条及び第三十二条」に改める。
第十五条の二中「第三十条」を「第三十一条」に改める。
第二十一条の二第二項中「第二十六条及び第二十七条」を「第二十七条及び第二十八条」に改める。
第二十二条第三項中「第三十条第一項」を「第三十一条第一項」に改める。
第二十三条第一項中「第三十条、第三十一条」を「第三十一条、第三十二条」に、「つど」を「都度」に改める。
第三十二条を削り、第三章中第三十一条を第三十二条とし、第二十六条から第三十条までを一条ずつ繰り下げ、第二十五条の次に次の一条を加える。
(特例納付保険料の納付等)
第二十六条 雇用保険法第二十二条第五項に規定する者(以下この項において「特例対象者」という。)を雇用していた事業主が、第四条の規定により雇用保険に係る保険関係が成立していたにもかかわらず、第四条の二第一項の規定による届出をしていなかつた場合には、当該事業主(当該事業主の事業を承継する者を含む。以下この条において「対象事業主」という。)は、特例納付保険料として、対象事業主が第十五条第一項の規定による納付する義務を履行していない一般保険料(同法第十四条第二項第二号に規定する厚生労働省令で定める日から当該特例対象者の離職の日までの期間に係るものであつて、その徴収する権利が時効によつて消滅しているものに限る。)の額(雇用保険率に応ずる部分の額に限る。)のうち当該特例対象者に係る額に相当する額として厚生労働省令で定めるところにより算定した額に厚生労働省令で定める額を加算した額を納付することができる。
2 厚生労働大臣は、対象事業主に対して、特例納付保険料の納付を勧奨しなければならない。ただし、やむを得ない事情のため当該勧奨を行うことができない場合は、この限りでない。
3 対象事業主は、前項の規定により勧奨を受けた場合においては、特例納付保険料を納付する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、書面により申し出ることができる。
4 政府は、前項の規定による申出を受けた場合には、特例納付保険料の額を決定し、厚生労働省令で定めるところにより、期限を指定して、これを対象事業主に通知するものとする。
5 対象事業主は、第三項の規定による申出を行つた場合には、前項の期限までに、厚生労働省令で定めるところにより、同項に規定する特例納付保険料を納付しなければならない。
第三十五条第三項中「第二十六条第三項」を「第二十七条第三項」に改める。
附則第十一条を次のように改める。
(雇用保険率に関する暫定措置)
第十一条 平成二十二年度における第十二条第四項の雇用保険率については、同条第八項の規定は、適用しない。
附則第十二条中「第二十七条第一項」を「第二十八条第一項」に改める。
(特別会計に関する法律の一部改正)
第三条 特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
第百二条第二項中「印紙保険料の額」の下に「、徴収法第二十六条第一項の規定に基づく特例納付保険料の額」を加える。
附則第二十条の二の次に次の一条を加える。
(雇用勘定の積立金の特例等)
第二十条の三 平成二十二年度及び平成二十三年度において、第百三条第三項の規定による雇用勘定の積立金は、同条第五項の規定によるほか、雇用安定事業費(雇用保険法第六十二条第一項第一号に掲げる事業に要する費用に限る。)を支弁するために必要がある場合には、予算で定める金額を限り、同勘定の歳入に繰り入れることができる。
2 平成二十二年度及び平成二十三年度においては、雇用勘定において、各年度の第百三条第三項に規定する二事業費充当歳入額から当該年度の同項に規定する二事業費充当歳出額を控除して不足がある場合であって、第百四条第四項の規定により雇用安定資金から補足してなお不足があるときは、同勘定の積立金から当該不足分を補足することができる。
3 第一項の規定により繰り入れた金額の総額及び前項の規定により補足した金額の総額については、後日、雇用勘定において、毎会計年度の第百三条第三項に規定する二事業費充当歳入額から当該年度の同項に規定する二事業費充当歳出額を控除して残余がある場合には、第百四条第三項の規定にかかわらず、当該繰り入れた金額の総額及び当該補足した金額の総額の合計額に相当する金額に達するまでの金額を同勘定の積立金に組み入れなければならない。この場合における第百三条第三項の規定の適用については、同項中「必要な金額」とあるのは、「必要な金額を、及び附則第二十条の三第三項の規定による組入金」とする。
4 前項の規定による組入金の総額が第一項の規定により繰り入れた金額の総額及び第二項の規定により補足した金額の総額の合計額に相当する金額に達するまでの間、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第五項及び第八項の規定の適用については、同条第五項中「加減した額」とあるのは「加減した額並びに当該会計年度までの特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)附則第二十条の三第一項の規定により繰り入れた金額の総額及び同条第二項の規定により補足した金額の総額の合計額から同条第三項の規定による組入金の総額を控除して得た金額の合計額」と、同条第八項中「繰り入れられた額」とあるのは「繰り入れられた額及び特別会計に関する法律附則第二十条の三第三項の規定による組入金の額」と、「加減した額」とあるのは「加減した額から当該会計年度までの同条第一項の規定により繰り入れた金額の総額及び同条第二項の規定により補足した金額の総額の合計額から同条第三項の規定による組入金の総額を控除して得た金額を控除した額」とする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十二年四月一日から施行する。ただし、第一条中雇用保険法第十条の四第三項及び第十四条第二項の改正規定並びに同法第二十二条に一項を加える改正規定、第二条の規定(労働保険の保険料の徴収等に関する法律附則第十一条の改正規定を除く。)並びに附則第四条の規定、附則第五条の規定(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第三十一条第二項ただし書の改正規定を除く。)、附則第六条及び第九条から第十二条までの規定は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(適用除外に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に被保険者となり、かつ、引き続き施行日まで同一の事業主の適用事業に雇用されている者については、第一条の規定による改正後の雇用保険法(附則第四条において「新法」という。)第六条第二号から第五号までの規定は、施行日以降引き続き当該適用事業に雇用されている間は、適用しない。
(短期雇用特例被保険者に関する経過措置)
第三条 第一条の規定による改正前の雇用保険法第三十八条第一項に規定する短期雇用特例被保険者であって、離職の日が施行日前であるもの及び施行日以後引き続き同一の事業主の適用事業に雇用され離職したものに対する特例一時金の支給については、なお従前の例による。
(被保険者期間及び算定基礎期間に関する経過措置)
第四条 新法第十四条第二項第二号及び第二十二条第五項の規定は、離職の日が附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日以後である者について適用する。
(労働者災害補償保険法の一部改正)
第五条 労働者災害補償保険法の一部を次のように改正する。
第十二条の三第三項中「第二十六条、第二十八条、第二十九条」を「第二十七条、第二十九条、第三十条」に改める。
第三十一条第一項第二号中「第二十六条第二項」を「第二十七条第二項」に改め、同条第二項ただし書中「第二十二条の二第四項」を「第二十二条の二第三項」に改め、同条第四項中「第二十六条、第二十八条、第二十九条」を「第二十七条、第二十九条、第三十条」に改める。
(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律の一部改正)
第六条 国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律(昭和二十五年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第七条第二号中「第二十七条」を「第二十八条」に改める。
(国家公務員退職手当法の一部改正)
第七条 国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)の一部を次のように改正する。
第十条第六項及び第七項中「第三十八条第一項各号のいずれか」を「第三十八条第一項に規定する短期雇用特例被保険者」に改め、同条第十項及び第十一項中「第五十六条の二」を「第五十六条の三」に改める。
(国家公務員退職手当法の一部改正に伴う経過措置)
第八条 施行日前に国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員(同条第二項の規定により職員とみなされる者を含む。以下この条において同じ。)であった者であって、退職の日が施行日前であるもの及び施行日の前日において職員であって、施行日以後引き続き職員であるものに対する前条の規定による改正後の同法第十条第六項及び第七項の規定の適用については、なお従前の例による。
(失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正)
第九条 失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(昭和四十四年法律第八十五号)の一部を次のように改正する。
第十九条第三項中「第二十六条から第二十九条まで」を「第二十七条から第三十条まで」に改め、同項の表附則第十二条の項中「第二十七条第一項」を「第二十八条第一項」に改める。
(賃金の支払の確保等に関する法律の一部改正)
第十条 賃金の支払の確保等に関する法律(昭和五十一年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
第八条第三項中「第二十六条」を「第二十七条」に改める。
(石綿による健康被害の救済に関する法律の一部改正)
第十一条 石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号)の一部を次のように改正する。
第三十八条第一項中「第二十六条から第二十九条まで」を「第二十七条から第三十条まで」に改め、同項の表附則第十二条の項中「第二十七条第一項」を「第二十八条第一項」に改め、同条第三項中「第二十六条第三項」を「第二十七条第三項」に改める。
第六十六条第四項中「第二十六条」を「第二十七条」に、「第二十八条、第二十九条」を「第二十九条、第三十条」に改める。
(社会保険の保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部改正)
第十二条 社会保険の保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成二十一年法律第三十六号)の一部を次のように改正する。
附則第二条中「第二十七条第一項」を「第二十八条第一項」に改める。
(罰則に関する経過措置)
第十三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第十四条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
総務大臣 原口一博
財務大臣 菅直人
厚生労働大臣 長妻昭
環境大臣 小沢鋭仁
内閣総理大臣 鳩山由紀夫