(目的)
第一条 この法律は、年金福祉事業団が政府から調達した資金の運用等を行うとともにこれにより積み立てられた積立金を国庫に納付することにより、厚生年金保険の保険給付に要する費用(厚生年金保険の管掌者たる政府が国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第九十四条の二第一項の規定により負担する基礎年金拠出金を含む。)及び国民年金の給付に要する費用(同法第五条第五項に規定する被用者年金保険者が同法第九十四条の二第一項又は第二項の規定により負担し又は納付する基礎年金拠出金に係るものを除く。)の財源を確保し、もつて厚生年金保険事業及び国民年金事業の財政基盤の強化に資することを目的とする。
(年金福祉事業団の業務の特例)
第二条 年金福祉事業団(以下「事業団」という。)は、年金福祉事業団法(昭和三十六年法律第百八十号)第十七条に規定する業務のほか、この法律の目的を達成するため、長期借入金の借入れその他政令で定める方法で政府から調達した資金の運用を行い、これにより積み立てられた積立金の管理を行うことをその業務とする。
(業務の委託)
第三条 事業団は、厚生大臣の認可を受けて、金融機関その他政令で定める法人に対し、前条に規定する業務の一部を委託することができる。
(資金の運用)
第四条 第二条に規定する資金の運用は、次の方法により安全かつ効率的に行わなければならない。
一 国債、地方債その他確実と認められる有価証券の取得
二 預金又は貯金(厚生大臣が適当と認めて指定したものに限る。)
三 信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託(運用方法を特定するものを除く。)
四 厚生年金保険の被保険者及び国民年金の被保険者(国民年金法第七条第一項第一号に規定する第一号被保険者に限る。)を被保険者とする生命保険(被保険者の所定の時期における生存を保険金の支払事由とするものに限る。)の保険料の払込み
(区分経理)
第五条 事業団は、第二条に規定する業務に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定を設けて整理しなければならない。
(利益及び損失の処理)
第六条 事業団は、第二条に規定する業務に関し、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 事業団は、第二条に規定する業務に関し、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(準用)
第七条 第四条の規定は、第五条に規定する特別の勘定に係る業務上の余裕金について準用する。
(国庫納付金の納付)
第八条 事業団は、毎事業年度、前事業年度の決算の完結の際第五条に規定する特別の勘定に所属する積立金のうちその額に政令で定める割合を乗じて得た額に相当する金額を、当該事業年度の八月一日から同月三十一日までの間に国庫に納付しなければならない。
2 前項の規定による国庫納付金の額に相当する金額は、第五条に規定する特別の勘定に係る積立金の額から減額して整理するものとする。
3 第一項の規定による国庫納付金の納付の手続については、政令で定める。
(国庫納付金の帰属する会計)
第九条 前条第一項の規定による国庫納付金については、その額を当該納付の日の属する会計年度の前年度の出納の完結の際厚生保険特別会計年金勘定又は国民年金特別会計国民年金勘定に所属する積立金の額を基準として政令で定めるところにより 按分した額を、それぞれこれらの勘定に帰属させるものとする。
(年金福祉事業団法の適用)
第十条 この法律の規定により事業団の業務が行われる場合には、年金福祉事業団法第二十八条中「第二十四条の二」とあるのは「第二十四条の二又は年金財政基盤強化のための年金福祉事業団の業務の特例及び国庫納付金の納付に関する法律(昭和六十二年法律第五十九号。以下「年金財政基盤強化法」という。)第五条」と、同法第三十一条中「この法律及びこれに基づく」とあるのは「この法律又は年金財政基盤強化法及びこれらに基づく」と、同法第三十二条第二項及び第三十三条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は年金財政基盤強化法」と、同法第三十五条第一号中「又は第二十九条」とあるのは「若しくは第二十九条又は年金財政基盤強化法第三条」と、同条第四号中「又は第二十八条第二号」とあるのは「若しくは第二十八条第二号又は年金財政基盤強化法第四条第二号」と、同法第三十七条第一号中「この法律」とあるのは「この法律又は年金財政基盤強化法」と、同条第三号中「第十七条」とあるのは「第十七条又は年金財政基盤強化法第二条」とする。