第一条 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項中「左の各号の一に該当する事業」を「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の適用を受ける事業又は事務所(以下「事業」という。)であつて、次の各号の一に該当するもの」に改め、同項第四号を次のように改める。
四 前三号に掲げるもののほか、労働基準法第八条第一号から第十五号まで及び第十七号の事業であつて、政令で指定するもの
第三条第二項中「(昭和二十二年法律第四十九号)第八条に規定する」を「の適用を受ける」に改め、「及び同条に規定する事務所(以下事業という。)」を削り、同条第三項中「、同居の親族のみを使用する事業及び」を「並びに」に改め、同条の次に次の一条を加える。
第三条の二 二以上の事業が次の各号に該当するものであるときは、その全部を一の事業とみなす。
二 それぞれの事業が、事業の期間が予定される事業であること。
三 それぞれの事業の規模が、労働省令で定める規模以下であること。
四 それぞれの事業が、前条第一項の強制適用事業であつて労働省令で定めるものであること。
五 それぞれの事業が、他のいずれかの事業の全部又は一部と同時に行なわれること。
六 前各号に掲げるもののほか、労働省令で定める要件に該当すること。
第四条第二項中「主務大臣」を「労働大臣」に改め、同条第三項中「命令」を「政令」に改める。
第五条中「基いて発する命令」を「基づく政令及び労働省令」に改める。
第六条に次の二項を加える。
前項の事業主は、保険関係が成立した日から五日以内に、その成立の日、事業主の氏名又は名称及び住所、事業の種類、事業が行なわれる場所その他労働省令で定める事項を政府に届け出なければならない。
政府は、前項の規定による届出により、又は職権で、当該事業についての保険関係の成立の確認を行なう。
第八条第一項中「事業が」を「労働省令で定める事業が」に改める。
第二章中第十一条の次に次の一条を加える。
第十一条の二 二以上の事業(事業の期間が予定される事業以外の事業であつて労働省令で定めるものに限る。)であつてその事業主が同一人であるものについてそれぞれ保険関係が成立している場合において、当該事業主が当該二以上の事業について成立している保険関係の全部又は一部を一の保険関係とすることにつき申請をし、政府の承認があつたときは、当該承認に係る二以上の事業に使用されるすべての労働者は、それらの事業のうち政府が指定するいずれか一の事業に使用される労働者とみなす。この場合においては、政府が指定する一の事業以外の事業に係る保険関係は、消滅する。
第十二条第一項第一号中「命令で定める金額未満で負傷又は疾病の治つた場合を除くものとし、療養費の全額。但し、命令で定める金額は通常起り得る負傷及び疾病について、通例療養七日間に要する費用の平均額を標準としてこれを定める。」を「療養費の全額」に改め、同項第二号中「休業七日以内で負傷又は疾病の治つた場合を除くものとし、」を「休業の最初の日から起算して第四日目以後の」に、「労働基準法第十二条の平均賃金(以下「平均賃金」という。)」を「給付基礎日額」に改め、同項第四号及び第五号中「平均賃金」を「給付基礎日額」に改め、同条第三項中「命令の」を「、労働省令で」に改める。
第十二条の二中「命令「を「労働省令」に改め、同条を第十二条の二の二とし、第十二条の次に次の一条を加える。
第十二条の二 給付基礎日額は、労働基準法第十二条の平均賃金に相当する額とする。
労働基準法第十二条の平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが著しく不適当であるときは、前項の規定にかかわらず、労働省令で定めるところによつて政府が算定する額を給付基礎日額とする。
給付基礎日額は一円未満の端数があるときは、これを一円に切り上げるものとする。
第十二条の三第一項中「若しくは」を「又は」に改め、「又は第十七条から第十九条までの規定により保険給付を受けないため労働基準法第七十五条の規定による療養補償を受ける労働者」を削る。
第十二条の五第二項中「平均賃金」を「給付基礎日額」に改め、同条第三項中「第十二条の二」を「第十二条の二の二」に改める。
第十七条から第十九条の二までを次のように改める。
第十九条 労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となつた事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行なわない。
労働者が、故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となつた事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行なわないことができる。
第十九条の二 偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
前項の場合において、事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して同項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。
第二十二条の次に次の一条を加える。
第二十二条の二 この章に定めるもののほか、保険給付に関し必要な事項は、労働省令で定める。
第二十三条第一項第二号中「義肢」の下に「その他の補装具」を加え、同項第四号中「職業再教育」を「リハビリテーション」に改める。
第二十四条中「保険加入者」を「保険関係が成立している事業の事業主(以下「保険加入者」という。)」に改める。
第二十五条に次の一項を加える。
第八条第一項の規定の適用を受ける事業その他労働省令で定める事業については、前項の規定にかかわらず、労働省令で定めるところにより算定した額を当該事業に係る賃金総額とする。
第二十六条を次のように改める。
第二十六条 保険料率は、政令で定めるところにより、この法律の適用を受けるすべての事業の過去三年間の災害率その他の事情を考慮して、労働大臣が定める。
保険料率は、保険給付に要する費用の予想額に照らし、将来にわたつて、財政の均衡を保つことができるものでなければならない。
第二十七条中「個個の事業」を「事業その他労働省令で定める規模の事業」に、「三年を経過したものについての保険給付(第三十四条の三第一項又は第二項の規定による保険給付を除く。以下この条において同じ。)の額」を「三年以上経過したものについての同日以前三年間の保険給付の額(第三十四条の三第一項又は第二項の規定による保険給付の額を除くものとし、第一種障害補償費、傷病給付及び第一種障害給付については、その額は、労働省令で定めるところにより算定するものとする。以下この条及び第三十条の二において同じ。)」に改め、「(当該事業が保険関係の成立後五年以上を経過したときは、直近の過去五年間の保険給付の額と保険給料の額との割合)」を削り、「主務大臣」を「労働大臣」に、「命令」を「労働省令」に改める。
第二十八条第一項中「支払う賃金総額の見込額に保険料率を乗じて算定した概算保険料の額その他命令で定める事項を、その保険年度の初日から十五日以内(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、保険関係成立の日から五日以内)に報告するとともに、概算保険料を」を「係る賃金総額の見込額(労働省令で定める場合にあつては、直前の保険年度に使用したすべての労働者に係る賃金総額)に保険料率を乗じて算定した概算保険料を、その概算保険料の額その他労働省令で定める事項を記載した報告書に添えて、」に、「初日から四十五日以内(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、保険関係成立の日から三十五日以内)」を「初日(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、保険関係成立の日)から四十五日以内」に改め、同条第二項中「支払う」を「係る」に、「概算保険料の額その他命令で定める事項を、保険関係の成立すべき日前十日まで(特別の事由があるときは、保険関係成立の日まで)に報告するとともに、概算保険料を」を「概算保険料を、その概算保険料の額その他労働省令で定める事項を記載した報告書に添えて、」に改め、同条第三項中「規定による報告を」を「報告書を提出」に、「報告に」を「報告書の記載に」に改め、同条第四項を次のように改める。
前項の通知を受けた保険加入者は、納付した概算保険料の額が政府が算定した概算保険料の額に足りないときはその不足額を、納付した概算保険料がないときは政府が算定した概算保険料を、その通知を受けた日から十五日以内に納付しなければならない。
第二十九条を次のように改める。
第二十九条 保険加入者は、前条の賃金総額の見込額が労働省令で定める範囲をこえて増加したときは、増加した日から三十日以内に、増加後の見込額に基づく概算保険料の額と納付した概算保険料の額との差額を、その額その他労働省令で定める事項を記載した報告書に添えて納付しなければならない。
第二十九条の二第二項及び第二十九条の三中「命令」を「労働省令」に改める。
第三十条第一項中「支払つた」を「係る」に、「命令」を「労働省令」に、「事項」を「事項を記載した報告書」に、「十五日」を「四十五日」に、「報告」を「提出」に改め、同条第二項中「規定による報告を」を「報告書を提出」に、「報告に」を「報告書の記載に」に改め、同条第三項中「命令」を「労働省令」に改め、「未納の保険料」の下に「その他この法律の規定による徴収金」を加え、同条第四項中「、第一項の規定により報告をした場合においては」を削り、「額が同項」を「額が第一項」に改め、「確定保険料を」の下に「、同項の報告書に添えて」を加え、「三十日」を「四十五日」に改め、同条第五項中「保険加入者は、第二項の規定による通知を受けた場合においては」を「第二項の通知を受けた保険加入者は」に改める。
第三十条の二第一項各号列記以外の部分中「第三条第一項第二号イに該当するもの」の下に「その他労働省令で定めるもの」を、「二十万円以上のもの」の下に「その他労働省令で定める規模のもの」を加え、「主務大臣」を「労働大臣」に、「命令」を「労働省令」に改め、同項第一号中「(第三十四条の三第一項又は第二項の規定による保険給付を除く。以下次号において同じ。)」を削り、「命令」を「労働省令」に改め、同条第二項中「又は」の下に「未納の保険料その他この法律の規定による徴収金に充当し、若しくは」を加える。
第三十三条の三の次に次の一条を加える。
第三十条の四 政府は、次の各号の一に該当する事故について保険給付を行なつたときは、労働省令で定めるところにより、労働基準法の規定による災害補償の価額の限度で、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を保険加入者から徴収することができる。
一 第三条第一項の強制適用事業の保険加入者が保険関係の成立についての届出を怠つていた期間(政府が職権で保険関係の成立の確認をしたときは、その確認後の期間を除く。)中に生じた事故
二 保険加入者が保険料を納付しない期間(督促状に指定する期限後の期間に限る。)中に生じた事故
三 保険加入者が故意又は重大な過失により生じさせた事故
第三十四条の二第一項、第三十四条の四及び第三十四条の五中「命令」を「労働省令」に改める。
第三十四条の六中「命令」を「労働省令」に改め、「、「保険関係の成立すべき日前十日まで(特別の事由があるときは、保険関係成立の日まで)」とあるのは「当該保険給付が行なわれることとなつた日から五日以内」と」を削り、「「保険関係成立の日から」とあるのは「当該保険給付が行なわれることとなつた日から」」を「「保険関係成立の日」とあるのは「当該保険給付が行なわれることとなつた日」」に改める。
第三十七条中「第三項又は」を「第三項若しくは」に、「の規定により政府の算定した保険料又は特別保険料の額」を「又は第三十条の四の規定による処分」に改める。
第三十八条中「前条に規定する額の算定その他保険料又はこの法律の規定による徴収金の賦課又は徴収の処分」を「保険料その他この法律の規定による徴収金に関する処分」に、「主務大臣」を「労働大臣」に改める。
第四十二条第二項中「命令の定めるところによつて」を削る。
第四十三条中「基いて発する命令」を「基づく政令及び労働省令」に改める。
第四十六条及び第四十七条を次のように改める。
第四十六条 行政庁は、労働省令で定めるところにより、労働者を使用する者に対して、この保険の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。
第四十七条 行政庁は、労働省令で定めるところにより、保険関係が成立している事業に使用される労働者又は保険給付を受け、若しくは受けようとする者に対して、この保険の施行に関し必要な報告、届出、文書その他の物件の提出又は出頭を命ずることができる。
第四十七条の二の次に次の一条を加える。
第四十七条の三 政府は、保険給付を受ける権利を有する者が、正当な理由がなくて、前二条の規定による命令に従わないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができる。
第四十九条中「命令の」を「労働省令で」に、「提示をさせ」を「提示を命じ」に改め、同条の次に次の一条を加える。
第四十九条の二 この法律に基づき政令又は労働省令を制定し、又は改廃する場合においては、それぞれ、政令又は労働省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。この法律に基づき、労働大臣が保険料率その他の事項を定め、又はこれを改廃する場合においても、同様とする。
第五十二条第一号を次のように改める。
一 第六条第二項の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした場合
第五十二条第二号中「この法律」を「第四十八条」に改め、同号を同条第三号とし、同条第一号の次に次の一号を加える。
二 第四十六条の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は文書の提出をせず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出した場合
第五十三条中「であつて保険給付を受けるべき者その他の関係者」を削り、同条第一号を次のように改める。
一 第四十七条の規定による命令に違反して報告若しくは届出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは届出をし、又は文書その他の物件の提出をせず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出した場合
第五十三条第二号中「この法律」を「第四十八条」に改め、同条に次の一号を加える。
三 第四十九条の規定による命令に違反して報告をせず、虚偽の報告をし、若しくは診療録、帳簿書類その他の物件の提示をせず、又は同条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合
別表第一から別表第三までの表中「平均賃金」を「給付基礎日額」に改める。