独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法
法令番号: 法律第71号
公布年月日: 平成17年6月22日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

厚生年金保険法等に基づき設置してきた年金福祉施設等について、厳しい年金財政状況や社会経済状況の変化を踏まえ、整理合理化を進める必要が生じている。そこで、年金福祉施設等の譲渡・廃止業務を行う非公務員型の独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」を5年間限定で設置することを提案する。この機構は、年金福祉施設等の整理を通じて厚生年金保険事業等の適切な財政運営に資することを目的とし、全額政府出資で設立される。平成17年10月1日の設立を予定しており、5年後に解散することとする。

参照した発言:
第162回国会 参議院 本会議 第14号

審議経過

第162回国会

参議院
(平成17年4月6日)
(平成17年4月7日)
(平成17年4月12日)
(平成17年4月14日)
(平成17年4月19日)
(平成17年4月20日)
衆議院
(平成17年6月8日)
(平成17年6月10日)
(平成17年6月15日)
(平成17年6月16日)
独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法をここに公布する。
御名御璽
平成十七年六月二十二日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第七十一号
独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法
目次
第一章
総則(第一条―第五条)
第二章
役員及び職員(第六条―第十二条)
第三章
業務等(第十三条―第十五条)
第四章
雑則(第十六条―第二十条)
第五章
罰則(第二十一条・第二十二条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的とする。
(名称)
第二条 この法律及び独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)の定めるところにより設立される通則法第二条第一項に規定する独立行政法人の名称は、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構とする。
(機構の目的)
第三条 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(以下「機構」という。)は、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第七十九条又は国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第七十四条の施設及び健康保険法(大正十一年法律第七十号)第百五十条第一項又は第二項の事業(政府が管掌する健康保険に係るものに限る。第十四条第三号において同じ。)の用に供する施設であって厚生労働大臣が定めるもの(以下「年金福祉施設等」と総称する。)の譲渡又は廃止等の業務を行うことにより、年金福祉施設等の整理を図り、もって厚生年金保険事業、国民年金事業及び政府が管掌する健康保険事業の適切な財政運営に資することを目的とする。
(事務所)
第四条 機構は、主たる事務所を千葉県に置く。
(資本金)
第五条 機構の資本金は、附則第二条第二項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。
2 機構は、附則第三条第二項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。
3 機構が年金福祉施設等に係る財産の譲渡その他の処分を行った場合には、各事業年度に処分した当該財産に係る附則第二条第二項の価額(附則第三条第二項の出資に係る財産の譲渡その他の処分を行った場合には、当該財産に係る同項の価額)の合計額については、当該事業年度の終了の日において、機構に対する政府の出資はなかったものとし、機構は、その額により資本金を減少するものとする。
第二章 役員及び職員
(役員)
第六条 機構に、役員として、その長である理事長及び監事二人を置く。
2 機構に、役員として、理事一人を置くことができる。
(理事の職務及び権限等)
第七条 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して機構の業務を掌理する。
2 通則法第十九条第二項の個別法で定める役員は、理事とする。ただし、理事が置かれていないときは、監事とする。
3 前項ただし書の場合において、通則法第十九条第二項の規定により理事長の職務を代理し又はその職務を行う監事は、その間、監事の職務を行ってはならない。
(役員の任期)
第八条 理事長の任期は、任命の日から、その日を含む機構に係る通則法第二十九条第二項第一号に規定する中期目標の期間(以下「中期目標の期間」という。)の末日までとする。
2 理事の任期は、当該理事について理事長が定める期間(その末日が理事長の任期の末日以前であるものに限る。)とする。
3 監事の任期は、二年とする。
(役員の欠格条項の特例)
第九条 通則法第二十二条に定めるもののほか、次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない。
一 物品の製造若しくは販売、工事の請負若しくは役務の提供を業とする者であって機構と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
二 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
第十条 機構の役員の解任に関する通則法第二十三条第一項の規定の適用については、同項中「前条」とあるのは、「前条及び独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法第九条」とする。
(秘密保持義務)
第十一条 機構の役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(役員及び職員の地位)
第十二条 機構の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務等
(業務の範囲)
第十三条 機構は、第三条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 年金福祉施設等を譲渡し、又は廃止すること。
二 年金福祉施設等を譲渡し、又は廃止するまでの間、当該年金福祉施設等の運営又は管理を行うこと。
三 前二号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
(区分経理)
第十四条 機構は、次の各号に掲げる業務ごとに経理を区分し、それぞれ当該各号に定める勘定を設けて整理しなければならない。
一 前条各号に掲げる業務のうち、厚生年金保険法第七十九条の施設に係るもの 厚生年金勘定
二 前条各号に掲げる業務のうち、国民年金法第七十四条の施設に係るもの 国民年金勘定
三 前条各号に掲げる業務のうち、健康保険法第百五十条第一項又は第二項の事業の用に供する施設に係るもの 健康保険勘定
(国庫納付金)
第十五条 機構は、前条各号に定める勘定において、毎事業年度、当該事業年度に行った年金福祉施設等の譲渡により生じた収入の総額から政令で定めるところにより厚生労働大臣が定める額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を翌事業年度の三月三十一日までにそれぞれ厚生保険特別会計年金勘定、国民年金特別会計国民年金勘定又は厚生保険特別会計健康勘定に納付しなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定により額を定めようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
3 機構が第一項の規定による納付金を厚生保険特別会計年金勘定に納付する場合には厚生保険特別会計法(昭和十九年法律第十号)第五条中「ヨリノ国庫納付金」とあるのは「及独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構ヨリノ国庫納付金」とし、厚生保険特別会計健康勘定に納付する場合には同法第三条中「借入金及」とあるのは「独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構ヨリノ国庫納付金、借入金及」とし、国民年金特別会計国民年金勘定に納付する場合には国民年金特別会計法(昭和三十六年法律第六十三号)第四条第一項中「からの国庫納付金」とあるのは「及び独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構からの国庫納付金」とする。
4 前三項に定めるもののほか、第一項の納付金の納付の手続その他必要な事項は、政令で定める。
第四章 雑則
(主務大臣等)
第十六条 機構に係る通則法における主務大臣、主務省及び主務省令は、それぞれ厚生労働大臣、厚生労働省及び厚生労働省令とする。
(他の法令の準用)
第十七条 不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他政令で定める法令については、政令で定めるところにより、機構を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。
(国家公務員宿舎法の適用除外)
第十八条 国家公務員宿舎法(昭和二十四年法律第百十七号)の規定は、機構の役員及び職員には適用しない。
(中期目標の期間の特例)
第十九条 機構の中期目標の期間は、通則法第二十九条第一項の規定にかかわらず、五年間とする。
(機構の解散等)
第二十条 機構は、その成立の日から起算して五年を経過した日に解散する。
2 機構の資産及び債務は、その解散の時において国が承継する。
3 機構の平成二十二年四月一日に始まる事業年度は、通則法第三十六条第一項の規定にかかわらず、その解散の日の前日に終わるものとし、当該事業年度に係る機構の通則法第三十八条に規定する財務諸表、事業報告書及び決算報告書の作成については、厚生労働大臣が従前の例により行うものとする。
4 機構の平成二十二年四月一日に始まる事業年度における業務の実績及び中期目標の期間における業務の実績については、厚生労働大臣が評価を受けるものとする。
5 第一項の規定により機構が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
6 前各項に定めるもののほか、機構の解散に関し必要な事項は、政令で定める。
第五章 罰則
第二十一条 第十一条の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第二十二条 第十三条に規定する業務以外の業務を行った場合には、その違反行為をした機構の役員は、二十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第五条から第七条までの規定は、平成十七年十月一日から施行する。
(国の権利義務の承継等)
第二条 機構の成立の際、第十三条に規定する業務に関し、現に国が有する権利及び義務のうち政令で定めるものは、機構の成立の時において機構が承継する。
2 前項の規定により機構が国の有する権利及び義務を承継したときは、その承継の際、承継される権利に係る土地、建物その他の財産で政令で定めるものの価額の合計額に相当する金額は、政府から機構に対し出資されたものとする。
3 前項の規定により政府から出資があったものとされる同項の財産の価額は、機構の成立の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
4 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
第三条 機構の成立後、厚生労働大臣が第三条の規定により施設を定めた場合には、その時において、当該施設に係る第十三条に規定する業務に関し国が有する権利及び義務のうち政令で定めるものは、機構が承継する。
2 前項の規定により機構が国の有する権利及び義務を承継したときは、その承継の際、承継される権利に係る土地、建物その他の財産で政令で定めるものの価額の合計額に相当する金額は、政府から機構に対し追加して出資されたものとする。
3 前項の規定により政府から出資があったものとされる同項の財産の価額は、当該施設を定めることとなった日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
4 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(罰則等に関する経過措置)
第四条 機構の役員又は職員であった者に係るその職務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない義務については、第二十条第一項の規定による機構の解散の日(次項において「解散日」という。)以後も、なお従前の例による。
2 解散日前にした行為及び前項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における解散日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(健康保険法の一部改正)
第五条 健康保険法の一部を次のように改正する。
附則第四条の次に次の一条を加える。
(独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構による保健事業及び福祉事業の実施)
第四条の二 政府は、第百五十条第一項又は第二項の事業(政府が管掌する健康保険に係るものに限る。)の用に供する施設のうち、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法(平成十七年法律第七十一号)第三条に規定する年金福祉施設等に該当するものの運営又は管理を、当該施設が同法第十三条第一号の規定により譲渡され、又は廃止されるまでの間、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に行わせるものとする。
(厚生年金保険法の一部改正)
第六条 厚生年金保険法の一部を次のように改正する。
附則第二十九条の次に次の一条を加える。
(独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構による福祉施設の運営又は管理)
第二十九条の二 政府は、第七十九条の施設のうち、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法(平成十七年法律第七十一号)第三条に規定する年金福祉施設等に該当するものの運営又は管理を、当該施設が同法第十三条第一号の規定により譲渡され、又は廃止されるまでの間、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に行わせるものとする。
(国民年金法の一部改正)
第七条 国民年金法の一部を次のように改正する。
附則第九条の四の次に次の一条を加える。
(独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構による福祉施設の運営又は管理)
第九条の五 政府は、第七十四条の施設のうち、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法(平成十七年法律第七十一号)第三条に規定する年金福祉施設等に該当するものの運営又は管理を、当該施設が同法第十三条第一号の規定により譲渡され、又は廃止されるまでの間、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に行わせるものとする。
(政令への委任)
第八条 附則第二条から第四条までに定めるもののほか、機構の設立に伴い必要な経過措置その他この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
厚生労働大臣 尾辻秀久
内閣総理大臣 小泉純一郎