(金品の検査)
第二十一条 刑事施設の職員は、次に掲げる金品について、検査を行うことができる。
二 受刑者が収容中に取得した現金及び物品(信書を除く。次号において同じ。)であって、同号に掲げる現金及び物品以外のもの(刑事施設の長から支給された物品を除く。)
三 受刑者に交付するため当該受刑者以外の者が刑事施設に持参し、又は送付した現金及び物品
(収容時の所持物品等の処分)
第二十二条 刑事施設の長は、前条第一号又は第二号に掲げる物品が次の各号のいずれかに該当するときは、受刑者に対し、その物品について、親族その他相当と認める者への交付その他相当の処分を求めるものとする。
二 腐敗し、又は滅失するおそれがあるものであるとき。
2 前項の規定により物品の処分を求めた場合において、受刑者が相当の期間内にその処分をしないときは、刑事施設の長は、これを売却してその代金を領置する。ただし、売却することができないものは、廃棄することができる。
(差入物の引取り等)
第二十三条 刑事施設の長は、第二十一条第三号に掲げる現金又は物品が次の各号のいずれかに該当するときは、その現金又は物品を持参し、又は送付した者(以下この条及び第二十八条において「差入人」という。)に対し、その引取りを求めるものとする。
一 受刑者に交付することにより、刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがあるものであるとき。
二 差入人が親族以外の者である場合において、受刑者に交付することにより、その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるものであるとき。
四 自弁により使用し、若しくは摂取することができることとされる物品又は釈放の際に必要と認められる物品(以下「自弁物品等」という。)以外の物品であるとき。
五 前条第一項各号のいずれかに該当する物品であるとき。
2 第二十一条第三号に掲げる現金又は物品であって、前項第一号から第三号までのいずれかに該当するものについて、差入人の所在が明らかでないため同項の規定による引取りを求めることができないときは、刑事施設の長は、その旨を政令で定める方法によって公告しなければならない。
3 前項に規定する現金又は物品について、第一項の規定による引取りを求め、又は前項の規定により公告した日から起算して六月を経過する日までに差入人がその現金又は物品の引取りをしないときは、その現金又は物品は、国庫に帰属する。
4 第二項に規定する物品であって、第一項第五号に該当するものについては、刑事施設の長は、前項の期間内でも、これを売却してその代金を保管することができる。ただし、売却できないものは、廃棄することができる。
5 第二十一条第三号に掲げる現金又は物品であって、第一項第四号又は第五号に該当するもの(同項第一号から第三号までのいずれかに該当するものを除く。)について、差入人の所在が明らかでないため同項の規定による引取りを求めることができないとき、若しくはその引取りを求めることが相当でないとき、又は差入人がその引取りを拒んだときは、刑事施設の長は、受刑者に対し、親族その他相当と認める者への交付その他相当の処分を求めるものとする。
6 前条第二項の規定は、前項の規定により処分を求めた場合について準用する。
7 第二十一条第三号に掲げる現金又は物品であって、第一項各号のいずれにも該当しないものについて、受刑者がその交付を受けることを拒んだ場合には、刑事施設の長は、差入人に対し、その引取りを求めるものとする。この場合においては、第二項及び第三項の規定を準用する。
(物品の引渡し及び領置)
第二十四条 次に掲げる物品のうち、この法律の規定により受刑者が使用し、又は摂取することができるものは、受刑者に引き渡す。
一 第二十一条第一号又は第二号に掲げる物品であって、第二十二条第一項各号のいずれにも該当しないもの
二 第二十一条第三号に掲げる物品であって、前条第一項各号のいずれにも該当しないもの(受刑者が交付を受けることを拒んだ物品を除く。)
2 次に掲げる金品は、刑事施設の長が領置する。
一 前項各号に掲げる物品のうち、この法律の規定により受刑者が使用し、又は摂取することができるもの以外のもの
二 第二十一条各号に掲げる現金であって、前条第一項第一号から第三号までのいずれにも該当しないもの
(保管私物等)
第二十五条 刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、保管私物(受刑者が前条第一項の規定により引渡しを受けて保管する物品(第五項の規定により引渡しを受けて保管する物品を含む。)及び受刑者が受けた信書でその保管するものをいう。以下同じ。)の保管方法について、刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。
2 刑事施設の長は、受刑者の保管私物(法務省令で定めるものを除く。)の総量(以下この章において「保管総量」という。)が保管限度量(受刑者一人当たりについて保管することができる物品の量として刑事施設の長が定める量をいう。以下この章において同じ。)を超えるとき、又は受刑者について領置している物品(法務省令で定めるものを除く。)の総量(以下この章において「領置総量」という。)が領置限度量(受刑者一人当たりについて領置することができる物品の量として刑事施設の長が定める量をいう。以下この章において同じ。)を超えるときは、当該受刑者に対し、その超過量に相当する量の物品について、親族その他相当と認める者への交付その他相当の処分を求めることができる。腐敗し、又は滅失するおそれが生じた物品についても、同様とする。
3 第二十二条第二項の規定は、前項の規定により処分を求めた場合について準用する。
4 刑事施設の長は、受刑者が保管私物について領置することを求めた場合において、相当と認めるときは、これを領置することができる。ただし、領置総量が領置限度量を超えることとなる場合は、この限りでない。
5 刑事施設の長は、前項の規定により領置している物品について、受刑者がその引渡しを求めた場合には、これを引き渡すものとする。ただし、保管総量が保管限度量を超えることとなる場合は、この限りでない。
(領置金の使用)
第二十六条 刑事施設の長は、受刑者が、自弁物品等を購入し、又は刑事施設における日常生活上自ら負担すべき費用に充てるため、領置されている現金を使用することを申請した場合には、必要な金額の現金の使用を許すものとする。ただし、自弁物品等を購入するための現金の使用については、その購入により、保管総量が保管限度量を超え、又は領置総量が領置限度量を超えることとなる場合は、この限りでない。
(保管私物又は領置金品の交付)
第二十七条 刑事施設の長は、受刑者が、保管私物又は領置されている金品(第百条に規定する文書図画に該当するものを除く。)について、他の者(当該刑事施設に収容されている者を除く。)への交付(信書の発信に該当するものを除く。)を申請した場合には、これを許すものとする。ただし、交付の相手方が親族以外の者である場合において、その交付により、刑事施設の規律及び秩序を害し、又は受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。
(差入れ等に関する制限)
第二十八条 刑事施設の長は、この章に定めるもののほか、法務省令で定めるところにより、差入人による受刑者に対する金品の交付及び受刑者による自弁物品等の購入について、刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。
(領置物の引渡し)
第二十九条 刑事施設の長は、受刑者の釈放の際、領置している金品をその者に引き渡すものとする。
(釈放者の遺留物)
第三十条 釈放された受刑者が刑事施設に遺留した金品(以下「遺留物」という。)は、その釈放の日から起算して六月を経過する日までに、その者からその引渡しを求める申出がなく、又はその引渡しに要する費用の提供がないときは、国庫に帰属する。
2 前項の期間内でも、刑事施設の長は、腐敗し、又は滅失するおそれが生じた遺留物は、廃棄することができる。
(逃走者等の遺留物)
第三十一条 受刑者が次の各号のいずれかに該当する場合において、当該各号に定める日から起算して六月を経過する日までに、その者から引渡しを求める申出がなく、又は引渡しに要する費用の提供がないときは、その遺留物は、国庫に帰属する。
二 第六十条第二項の規定により解放された場合において、同条第三項に規定する避難を必要とする状況がなくなった後速やかに同項に規定する場所に出頭しなかったとき 避難を必要とする状況がなくなった日
三 第七十五条第一項の規定による作業又は第八十五条第一項の規定による外出若しくは外泊の場合において、刑事施設の長が指定した日時までに刑事施設に帰着しなかったとき その日
2 前条第二項の規定は、前項の遺留物について準用する。
(死亡者の遺留物)
第三十二条 死亡した受刑者の遺留物は、法務省令で定めるところにより、その遺族等(法務省令で定める遺族その他の者をいう。以下同じ。)に対し、その申請に基づき、引き渡すものとする。
2 死亡した受刑者の遺留物がある場合において、その遺族等の所在が明らかでないため第百二十九条の規定による通知をすることができないときは、刑事施設の長は、その旨を政令で定める方法によって公告しなければならない。
3 第一項の遺留物は、第百二十九条の規定による通知をし、又は前項の規定により公告をした日から起算して六月を経過する日までに第一項の申請がないときは、国庫に帰属する。
4 第三十条第二項の規定は、第一項の遺留物について準用する。