関税定率法
法令番号: 法律第五十四號
公布年月日: 明治43年4月15日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル關稅定率法改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年四月十四日
內閣總理大臣兼大藏大臣 侯爵 桂太郞
法律第五十四號
關稅定率法
第一條 外國ヨリ輸入スル物品ニハ別表ニ依リ關稅ヲ課ス
第二條 從價稅品ハ輸入港ニ到著シタルトキノ價格ニ依リテ課稅ス
第三條 條約ニ依ル特別協定ノ便益ヲ受ケサル地域ノ生產品ニ對シ必要アルトキハ勅令ヲ以テ地域及物品ヲ指定シ該協定ノ限度ヲ超エサル便益ヲ與フルコトヲ得
第四條 本邦ノ船舶又ハ生產品ニ對シ他國ノ船舶又ハ生產品ヨリモ不利益ナル取扱ヲ爲ス國ノ生產品ニ對シテハ勅令ヲ以テ物品ヲ指定シ別表ニ定メタル關稅ノ外其ノ物品ノ價格ト同額以下ノ關稅ヲ課スルコトヲ得
第五條 外國ニ於テ輸出奬勵金ヲ受クル物品ニ對シテハ別表ニ定メタル關稅ノ外勅令ヲ以テ奬勵金ト同額ノ關稅ヲ課スルコトヲ得
第六條 米及籾ノ輸入稅ハ凶作ノ場合ニ於テハ勅令ヲ以テ期間ヲ指定シ每百斤四十錢ヲ限度トシ之ヲ低減スルコトヲ得
第七條 左ノ物品ニハ輸入稅ヲ免ス
一 御料品
二 本邦ニ來遊スル外國ノ元首及其ノ一族竝其ノ從者ニ屬スル物品
三 陸海軍ノ輸入ニ係ル兵器、彈藥及爆發物
四 陸海軍ニ於テ燃料トシテ輸入スル原油以外ノ礦油ニシテ攝氏十五度ニ於ケル比重〇、八七五ヲ超エタルモノ
五 軍艦
六 本邦ニ派遣セラレタル外國ノ大使又ハ公使ニ屬スル自用品竝在本邦外國大使館又ハ公使館ニ屬スル公用品
七 本邦大使館又ハ公使館ノ館員ニ屬スル自用品ニ對シ關稅ヲ免除スル國ノ在本邦大使館又ハ公使館ノ館員ニ屬スル自用品及本邦領事館ニ屬スル公用品ニ對シ關稅ヲ免除スル國ノ在本邦領事館ニ屬スル公用品
八 本邦在住者ニ贈與スル勳章、賞牌及記章
九 記錄文書其ノ他ノ書類
十 官立公立ノ學校、博物館、物品陳列所其ノ他ノ營造物及私立ノ專門學校ニ陳列スル標本又ハ參考品トシテ輸入スル物品
十一 慈善又ハ救恤ノ爲ニ寄贈シタル物品
十二 政府ノ輸入ニ係ル政府ノ專賣品
十三 商品ノ見本但シ見本用ニノミ適スルモノニ限ル
十四 旅客ノ用品及旅客ノ職業上必要ナル器具但シ旅客ノ身分ニ相當スルモノニシテ稅關カ適當ト認メタルモノニ限ル
十五 在外軍隊及軍艦ヨリ送還シタル物品
十六 個人ニ屬スル引越荷物但シ旣ニ使用セラレタルモノニ限ル
十七 輸出シタル物品ニシテ五年以內ニ輸入セラレ輸出ノ時ノ性質及形狀ヲ變セサルモノ但シ酒精、酒類、砂糖及第八條又ハ第九條ニ依リ輸入稅ノ免除又ハ拂戾ヲ受ケタル物品ヲ除ク
十八 命令ヲ以テ指定シタル輸出貨物ノ容器ニシテ再輸入スルモノ
十九 本邦ヨリ出漁セル船舶ヲ以テ捕獲採取シタル魚介類、海獸、海藻其ノ他ノ水產物及其ノ製品ニシテ工程ノ簡單ナルモノ但シ當該船舶又ハ之ニ附屬セル船舶ヲ以テ輸入シタルモノニ限ル
二十 外國航行ノ艦船ニ船用ノ爲開港內ニ於テ引渡ス物品
二十一 難破シタル本邦船舶ノ解體材及艤裝品
二十二 本邦ヨリ出港シタル船舶ニ搭載シタル輸出貨物ニシテ該船舶難破シタル爲積戾リタルモノ
二十三 國、道、府縣ノ輸入スル種馬、種牛、種豚、種羊及種禽竝產牛馬組合、產馬組合又ハ產牛組合ノ輸入スル種馬、種牛
第八條 左ノ物品ニシテ輸入ノ日ヨリ一年以內ニ再ヒ輸出スルモノニハ輸入稅ヲ免ス但シ輸入ノ際稅金ニ相當スル擔保ヲ提供スルコトヲ要ス
一 加工ノ爲輸入スル物品ニシテ命令ヲ以テ指定シタルモノ
二 輸入貨物ノ容器ニシテ命令ヲ以テ指定シタルモノ
三 修繕ノ爲輸入スル物品
四 學術硏究ノ爲輸入スル物品
五 試驗品トシテ輸入スルモノ
六 注文取集ノ爲輸入スル見本品
七 演劇其ノ他興行用ノ爲輸入スル物品
第九條 輸入原料品ヲ用井命令ヲ以テ指定シタル物品ヲ製造シ之ヲ外國ヘ輸出シタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ輸入稅ノ全部又ハ一部ノ拂戾ヲ爲スコトヲ得
輸入原料品ヲ用井命令ヲ以テ指定シタル肥料ヲ製造シタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ輸入稅ノ全部又ハ一部ノ拂戾ヲ爲スコトヲ得
詐僞又ハ不正ノ所爲ヲ以テ前二項ノ拂戾金ヲ得又ハ得ムトシタル者ハ關稅法第七十五條ノ例ニ依リ處分ス
第十條 輸入製品ニシテ內國ニ於テ製造スル船舶ニ備付ケ又ハ取付ケ輸入ノ日ヨリ二年以內ニ該船舶ト共ニ輸出スルモノハ輸入稅ヲ免ス但シ輸入ノ際稅金ニ相當スル擔保ヲ提供スルコトヲ要ス
第十一條 左ニ揭クル物品ハ輸入ヲ禁ス
一 阿片及阿片吸煙具但シ政府ノ輸入スルモノヲ除ク
二 僞造、變造又ハ摸造ノ貨幣、紙幣、銀行券及有價證券
三 公安又ハ風俗ヲ害スヘキ書籍、圖畫、彫刻物其ノ他ノ物品
四 特許權、實用新案權、意匠權、商標權及著作權ヲ侵害スル物品
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
(別表)
【表】
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル関税定率法改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年四月十四日
内閣総理大臣兼大蔵大臣 侯爵 桂太郎
法律第五十四号
関税定率法
第一条 外国ヨリ輸入スル物品ニハ別表ニ依リ関税ヲ課ス
第二条 従価税品ハ輸入港ニ到著シタルトキノ価格ニ依リテ課税ス
第三条 条約ニ依ル特別協定ノ便益ヲ受ケサル地域ノ生産品ニ対シ必要アルトキハ勅令ヲ以テ地域及物品ヲ指定シ該協定ノ限度ヲ超エサル便益ヲ与フルコトヲ得
第四条 本邦ノ船舶又ハ生産品ニ対シ他国ノ船舶又ハ生産品ヨリモ不利益ナル取扱ヲ為ス国ノ生産品ニ対シテハ勅令ヲ以テ物品ヲ指定シ別表ニ定メタル関税ノ外其ノ物品ノ価格ト同額以下ノ関税ヲ課スルコトヲ得
第五条 外国ニ於テ輸出奨励金ヲ受クル物品ニ対シテハ別表ニ定メタル関税ノ外勅令ヲ以テ奨励金ト同額ノ関税ヲ課スルコトヲ得
第六条 米及籾ノ輸入税ハ凶作ノ場合ニ於テハ勅令ヲ以テ期間ヲ指定シ毎百斤四十銭ヲ限度トシ之ヲ低減スルコトヲ得
第七条 左ノ物品ニハ輸入税ヲ免ス
一 御料品
二 本邦ニ来遊スル外国ノ元首及其ノ一族並其ノ従者ニ属スル物品
三 陸海軍ノ輸入ニ係ル兵器、弾薬及爆発物
四 陸海軍ニ於テ燃料トシテ輸入スル原油以外ノ礦油ニシテ摂氏十五度ニ於ケル比重〇、八七五ヲ超エタルモノ
五 軍艦
六 本邦ニ派遣セラレタル外国ノ大使又ハ公使ニ属スル自用品並在本邦外国大使館又ハ公使館ニ属スル公用品
七 本邦大使館又ハ公使館ノ館員ニ属スル自用品ニ対シ関税ヲ免除スル国ノ在本邦大使館又ハ公使館ノ館員ニ属スル自用品及本邦領事館ニ属スル公用品ニ対シ関税ヲ免除スル国ノ在本邦領事館ニ属スル公用品
八 本邦在住者ニ贈与スル勲章、賞牌及記章
九 記録文書其ノ他ノ書類
十 官立公立ノ学校、博物館、物品陳列所其ノ他ノ営造物及私立ノ専門学校ニ陳列スル標本又ハ参考品トシテ輸入スル物品
十一 慈善又ハ救恤ノ為ニ寄贈シタル物品
十二 政府ノ輸入ニ係ル政府ノ専売品
十三 商品ノ見本但シ見本用ニノミ適スルモノニ限ル
十四 旅客ノ用品及旅客ノ職業上必要ナル器具但シ旅客ノ身分ニ相当スルモノニシテ税関カ適当ト認メタルモノニ限ル
十五 在外軍隊及軍艦ヨリ送還シタル物品
十六 個人ニ属スル引越荷物但シ既ニ使用セラレタルモノニ限ル
十七 輸出シタル物品ニシテ五年以内ニ輸入セラレ輸出ノ時ノ性質及形状ヲ変セサルモノ但シ酒精、酒類、砂糖及第八条又ハ第九条ニ依リ輸入税ノ免除又ハ払戻ヲ受ケタル物品ヲ除ク
十八 命令ヲ以テ指定シタル輸出貨物ノ容器ニシテ再輸入スルモノ
十九 本邦ヨリ出漁セル船舶ヲ以テ捕獲採取シタル魚介類、海獣、海藻其ノ他ノ水産物及其ノ製品ニシテ工程ノ簡単ナルモノ但シ当該船舶又ハ之ニ附属セル船舶ヲ以テ輸入シタルモノニ限ル
二十 外国航行ノ艦船ニ船用ノ為開港内ニ於テ引渡ス物品
二十一 難破シタル本邦船舶ノ解体材及艤装品
二十二 本邦ヨリ出港シタル船舶ニ搭載シタル輸出貨物ニシテ該船舶難破シタル為積戻リタルモノ
二十三 国、道、府県ノ輸入スル種馬、種牛、種豚、種羊及種禽並産牛馬組合、産馬組合又ハ産牛組合ノ輸入スル種馬、種牛
第八条 左ノ物品ニシテ輸入ノ日ヨリ一年以内ニ再ヒ輸出スルモノニハ輸入税ヲ免ス但シ輸入ノ際税金ニ相当スル担保ヲ提供スルコトヲ要ス
一 加工ノ為輸入スル物品ニシテ命令ヲ以テ指定シタルモノ
二 輸入貨物ノ容器ニシテ命令ヲ以テ指定シタルモノ
三 修繕ノ為輸入スル物品
四 学術研究ノ為輸入スル物品
五 試験品トシテ輸入スルモノ
六 注文取集ノ為輸入スル見本品
七 演劇其ノ他興行用ノ為輸入スル物品
第九条 輸入原料品ヲ用井命令ヲ以テ指定シタル物品ヲ製造シ之ヲ外国ヘ輸出シタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ輸入税ノ全部又ハ一部ノ払戻ヲ為スコトヲ得
輸入原料品ヲ用井命令ヲ以テ指定シタル肥料ヲ製造シタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ輸入税ノ全部又ハ一部ノ払戻ヲ為スコトヲ得
詐偽又ハ不正ノ所為ヲ以テ前二項ノ払戻金ヲ得又ハ得ムトシタル者ハ関税法第七十五条ノ例ニ依リ処分ス
第十条 輸入製品ニシテ内国ニ於テ製造スル船舶ニ備付ケ又ハ取付ケ輸入ノ日ヨリ二年以内ニ該船舶ト共ニ輸出スルモノハ輸入税ヲ免ス但シ輸入ノ際税金ニ相当スル担保ヲ提供スルコトヲ要ス
第十一条 左ニ掲クル物品ハ輸入ヲ禁ス
一 阿片及阿片吸煙具但シ政府ノ輸入スルモノヲ除ク
二 偽造、変造又ハ摸造ノ貨幣、紙幣、銀行券及有価証券
三 公安又ハ風俗ヲ害スヘキ書籍、図画、彫刻物其ノ他ノ物品
四 特許権、実用新案権、意匠権、商標権及著作権ヲ侵害スル物品
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
(別表)
【表】