関税定率法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第42号
公布年月日: 昭和29年3月31日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

関税定率法の規定を整備し、貿易振興のため関税の軽減・免除・払い戻し制度を活用することを目的としている。具体的には、免税制度を性質に応じて無条件免税、特定用途免税、再輸出免税、外交官用貨物等の免税に分類整備し、輸出振興のため特定の増殖用動物の無条件免税や、輸出用原料の減税・免税措置を設けている。また、違約品返送時の関税払い戻し制度の新設や、重要機械類・児童給食用ミルク等の免税期間を1年延長するなど、関税率の暫定的調整も行うものである。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第15号

審議経過

第19回国会

衆議院
(昭和29年3月3日)
参議院
(昭和29年3月3日)
(昭和29年3月4日)
衆議院
(昭和29年3月9日)
(昭和29年3月10日)
(昭和29年3月11日)
参議院
(昭和29年3月15日)
衆議院
(昭和29年3月16日)
(昭和29年3月17日)
(昭和29年3月18日)
(昭和29年3月19日)
参議院
(昭和29年3月19日)
(昭和29年3月22日)
(昭和29年3月23日)
衆議院
(昭和29年3月25日)
参議院
(昭和29年3月25日)
(昭和29年3月25日)
衆議院
(昭和29年3月26日)
(昭和29年3月27日)
(昭和29年3月27日)
参議院
(昭和29年3月28日)
(昭和29年3月29日)
衆議院
(昭和29年6月15日)
参議院
(昭和29年6月15日)
関税定率法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第四十二号
関税定率法の一部を改正する法律
関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
本則を次のように改める。
(趣旨)
第一条 この法律は、関税の税率、関税を課する場合における課税価格及び関税の減免その他関税制度について定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律又はこの法律に基く命令において「輸入」、「船用品」又は「機用品」とは、関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二条第一号、第九号又は第十号(定義)に掲げる定義に従うものとし、「輸出」とは、同条第二号に規定する行為その他貨物を特定の国(公海で採捕された水産物については、これを採捕したその国の船舶を含む。)から他の国に向けて送り出すことをいう。
(税率)
第三条 輸入貨物に課する関税の税率は、別表による。
(課税価格)
第四条 輸入貨物の課税価格は、当該貨物の輸出の際にその輸出国において当該貨物又は同種の貨物が通常の卸取引の量及び方法によつて販売される価格(その輸出の際に軽減、免除又は払いもどしを受けるべき内国消費税の額を除く。)に当該貨物の輸出港における積込までに要する通常の費用(課徴金を課せられる場合においては、その課徴金の額を含む。)並びに輸入港に到着するまでに要する通常の運賃及び保険料(航空機で運送された貨物で政令で定めるものについては、航空機以外の通常の運送方法による運賃及び保険料)を加えた価格とする。
2 前項の課税価格は、輸入申告に際し提出された仕入書その他の書類により決定することができる場合においては、これらの書類により決定する。
3 輸入申告に際し仕入書その他の書類が提出されない場合又はこれらの書類に記載された事実が真実と認められない場合その他これらの書類により難い事由があると認められる場合において、最近に輸入港に到着した同種又は類似の貨物について前項の規定により決定された課税価格があるときは、これに基き、又は当該貨物の性質、輸入の時期その他の事情の差異による価格の相違があるものについてはその相違を勘案し合理的に必要と認められる調整をこれに加えて、課税価格を決定する。
4 輸入港に到着の時から輸入の許可(関税法第七十三条第一項(輸入の許可前における貨物の引取)の規定により引き取ることを承認された場合においては、当該承認とする。以下第十条において同じ。)の時までの期間が長期にわたつた貨物で、その価格が当該期間中に著しく変動し、第二項の規定により課税価格を決定することが著しく不適当であると認められるときの課税価格も、また前項と同様とする。
5 前各項の規定により課税価格を決定することができないときは、同種又は類似の貨物の本邦における卸売価格から関税その他の課徴金及び輸入港から卸売市場に至るまでの通常の費用を控除した額に当該貨物の性質等の差異による価格の相違を勘案し合理的に必要と認められる調整を加えた額を課税価格とする。
6 第一項から第四項までの規定により課税価格を決定する場合において、外国通貨により表示された価格の本邦通貨への換算は、関税法第五条(適用法令)に規定するところに従い定められる法令の適用の日において大蔵大臣により定められている外国為替相場によるものとする。
(便益関税)
第五条 関税についての条約の特別の規定による便益を受けない国(その一部である地域を含む。以下この条から第八条までにおいて同じ。)の生産物で輸入されるものには、政令で定めるところにより、国及び貨物を指定し、当該規定による便益の限度をこえない範囲で、関税についての便益を与えることができる。
(複関税)
第六条 本邦の生産物について関税に関する最恵国待遇の便益を与えない国の生産物で輸入されるものには、政令で定めるところにより、貨物を指定し、別表の税率による関税の外、当該貨物の価格と同額以下の関税を課することができる。
(報復関税)
第七条 本邦の船舶若しくは航空機又は本邦から輸出され、若しくは本邦を通過する貨物について、他国の船舶若しくは航空機又は他国から輸出され、若しくは他国を通過する貨物よりも不利益な取扱をする国から輸出され、又はその国を通過する貨物で輸入されるものには、政令で定めるところにより、国及び貨物を指定し、別表の税率による関税の外、その貨物の価格と同額以下の関税を課することができる。
(相殺関税)
第八条 外国において生産又は輸出について直接又は間接に奨励金又は補助金を受ける貨物の輸入が本邦の産業に損害を与え、若しくは与える虞があり、又は本邦の産業の確立を妨げると認められるときは、政令で定めるところにより、国及び貨物を指定し、別表の税率による関税の外、当該奨励金又は補助金と同額以下の関税を課することができる。
(不当廉売関税)
第九条 不当廉売された貨物の輸入又は輸入された貨物の不当廉売が本邦の産業に損害を与え、若しくは与える虞があり、又は本邦の産業の確立を妨げる旨の申出があつた場合において、政府が不当廉売の事実を確認し、且つ、当該産業を保護するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、貨物及び期間を指定し、当該貨物の正当価格による関税を課する外、その正当価格と当該貨物の不当廉売価格との差額に相当する額の関税を課することができる。
2 前項の規定により指定された貨物で既に輸入され、当該貨物の輸入者若しくは不当廉売者又はこれらの者の代理人その他これらの者と政令で定める密接な関係にある者の所有又は所持に係るものについては、同項の規定に準じ、当該輸入者、不当廉売者、代理人又は政令で定める密接な関係にある者から、同項の規定により課する関税の額の合計額から当該貨物について既に納付された関税の額を控除した額に相当する関税を徴収することができる。
(変質又は損傷に因る減税)
第十条 輸入貨物が輸入の許可前に変質し、又は損傷した場合においては、政令で定めるところにより、当該貨物の変質若しくは損傷に因る価値の減少に基く価格の低下率を基準として、その関税を軽減し、又はその関税の額とその変質若しくは損傷後における性質及び数量により課税した場合における関税の額との差額以内において、その関税を軽減することができる。
(加工又は修繕のため輸出された貨物の減税)
第十一条 加工又は修繕のため本邦から輸出され、その輸出の許可の日から一年以内に輸入される貨物で、本邦においてその加工又は修繕をすることが困難であると認められるものについては、政令で定めるところにより、その輸出の許可の際の性質及び形状により当該貨物が輸入される場合における課税価格を当該貨物の課税価格として算出した関税の額以内において、その関税を軽減することができる。
(主要食糧の減税又は免税)
第十二条 輸入される米、もみ、大麦又は小麦について左の各号の一に該当するときは、政令で定めるところにより、これらの貨物及び期間を指定し、その関税を軽減し、又は免除することができる。
一 輸入されるこれらの貨物の第四条第一項の課税価格にその関税及び輸入港から卸売市場に至るまでの通常の費用を加算したものが一般に本邦において生産された同等品の本邦における卸売価格よりも高価であるとき。
二 凶作の場合又は天災、事変その他の緊急の場合において必要があるとき。
(製造用原料品の減税又は免税)
第十三条 左の各号の一に掲げる原料品で輸入され、その輸入の許可の日から一年以内に、税関長の承認を受けた製造工場で当該各号に掲げる製造が終了するものについては、政令で定めるところにより、その関税を軽減し、又は免除する。
一 配合飼料のうち政令で定めるもの又はコーンスターチの製造に使用するためのこうりやん及びとうもろこし
二 油の製造に使用するための落花生
三 機械用又は工業用に供するために形作つた貴石製品の製造に使用するための貴石
四 アセトン及びブタノールの製造に使用するための変性糖みつ
2 税関長は、この法律又は関税法の実施を確保する上に支障がないと認めるときは、前項の承認をしなければならない。
3 第一項の規定により関税を軽減し、又は免除する場合においては、税関長は、その軽減又は免除に係る関税の額に相当する担保を提供させることができる。
4 第一項各号に掲げる製造を行うに際しては、税関長が第一項の規定により関税の軽減又は免除を受けた原料品(以下この条において「製造用原料品」という。)による製造の確認に支障がないと認めて承認した場合を除く外、製造用原料品にこれと同種の他の原料品を混じて使用してはならない。
5 製造用原料品による製造が終了したときは、当該製造をした者は、政令で定めるところにより、使用した製造用原料品及びその製品の数量を税関に届け出て、その製品について検査を受けなければならない。この場合においては、当該製造をした者は、政令で定めるところにより、その検査に要する費用の額に相当する手数料を納付しなければならない。
6 左の各号の一に該当する場合においては、第一項の規定により軽減又は免除を受けた関税を、直ちに徴収する。但し、製造用原料品又はその製品が災害その他やむを得ない事由に因り亡失した場合又は税関長の承認を受けて滅却された場合は、この限りでない。
一 第一項各号に掲げる製造用原料品を当該各号に掲げる用途以外の用途に供したとき、又はその輸入の許可の日から一年以内に前項に規定する届出をせず、若しくはその製造を終えなかつたとき。
二 第一項の規定により税関長の承認を受けた製造工場以外の場所で製造用原料品を製造に供し、又は第四項の規定に違反してこれを使用したとき。
(無条件免税)
第十四条 左の各号に掲げる貨物で輸入されるものについては、その関税を免除する。
一 天皇及び内廷にある皇族の用に供される物品
二 本邦に来遊する外国の元首若しくはその家族(配偶者、直系尊属、直系卑属及びこれらに準ずる地位にあると認められる親族をいう。以下同じ。)又これらの者の随員に属する物品
三 外国若しくはその行政区画である公共団体、国際機関又は大蔵大臣が指定する団体若しくは基金その他これらに準ずるものから本邦に居住する者に贈与される勲章、賞はいその他これらに準ずる表彰品及び記章
四 記録文書その他の書類
五 国の専売品で政府、日本専売公社又はこれらの委託を受けた者が輸入するもの
六 商品の見本。但し、見本用にのみ適すると認められるもの限る。
七 本邦に住所を移転するため以外の目的で本邦に入国する者がその入国の際に携帯して輸入し、又は政令で定めるところにより別送して輸入する物品(自動車、船舶、航空機その他政令で指定する物品を除く。)のうちその個人的な使用に供するもの及び職業上必要な器具で、その入国の事由、滞在の期間、職業その他の事情を勘案して税関が適当と認めるもの
八 本邦に住所を移転するため本邦に入国する者がその入国の際に輸入し、又は政令で定めるところにより別送して輸入する物品(自動車、船舶、航空機その他政令で指定する物品を除く。)のうち当該入国者又はその家族の個人的な使用に供するもの及び職業上必要な器具。但し、これらの者が既に使用したものでその住所を移転する事由、外国及び本邦における居住期間、職業、家族の数その他の事情を勘案して税関が通常、且つ、相応と認めるものに限る。
九 本邦の在外公館から送還された公用品
十 本邦から輸出された貨物でその輸出の許可の日から二年以内に輸入され、その許可の際の性質及び形状が変つていないもの。但し、第十七条第一項の規定により関税の免除を受けた貨物、第十九条第一項の規定により関税の軽減若しくは免除又は払いもどしを受けた貨物を原料として製造した貨物及び第二十条の規定により関税の払いもどしを受けた貨物を除く。
十一 本邦から輸出された貨物の容器のうち政令で定めるもので当該輸出の際に使用されたもの。但し、第十七条第一項第三号の規定により関税の免除を受けた貨物を除く。
十二 本邦から出漁した本邦の船舶によつて、外国で採捕された水産物及び当該船舶内で製造されたその製品。但し、当該船舶又はこれに附属する船舶によつて到着したものに限る。
十三 遭難した本邦の船舶又は航空機の解体材及びぎ装品
十四 本邦から出港した船舶又は航空機によつて輸出された貨物で当該船舶又は航空機の事故により本邦に積みもどされたもの。但し、第十七条第一項の規定により関税の免除を受けた貨物、第十九条第一項の規定により関税の軽減若しくは免除又は払いもどしを受けた貨物を原料として製造した貨物及び第二十条の規定により関税の払いもどしを受けた貨物を除く。
十五 増殖用の動物(増殖された動物又は当該動物からする生産品が主として輸出されるものに限る。)で大蔵大臣が指定したもの
(特定用途免税)
第十五条 左の各号に掲げる貨物で輸入され、その輸入の許可の日から二年以内に当該各号に掲げる用途以外の用途に供されないものについては、政令で定めるところにより、その関税を免除する。
一 国、公共企業体(公共企業体等労働関係法(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第一項第一号(定義)に掲げる公共企業体をいう。)若しくは地方公共団体が経営する学校、博物館、物品陳列所、研究所、試験所その他これらに類する施設又は政令で指定する私立のこれらの施設に陳列する標本若しくは参考品又はこれらの施設において使用する学術研究用品(新規の発明に係るもの又は本邦において製作することが困難と認められるものに限る。)
二 学術研究又は教育のため前号に掲げる施設に寄贈された物品
三 慈善又は救じゆつのために寄贈された給与品及び救護施設又は養老施設その他の社会福祉事業を行う施設に寄贈された物品で給与品以外のもののうちこれらの施設において直接社会福祉の用に供するものと認められたもの
四 儀式又は礼拝の用に直接供するため宗教団体に寄贈された物品で大蔵大臣が指定したもの
五 赤十字国際機関又は外国赤十字社から日本赤十字社に寄贈された機械及び器具で、日本赤十字社が直接医療用に使用するものと認められるもの
六 本邦と外国との間を往来する船舶に引き渡される船用品で、船舶の種類、トン数、航海日数、旅客及び乗組員の数その他の事情を勘案して税関が適当と認めるもの
七 本邦と外国との間を往来する航空機に引き渡される機用品で、航空機の種類、自重、航行日数、旅客及び乗組員の数その他の事情を勘案して税関が適当と認めるもの並びに当該航空機に引き渡される修繕用品
八 航空機の発着又は航行を安全にするため使用する機械及び器具並びにこれらの部分品で政令で指定するもの
九 本邦に住所を移転するため本邦に入国する者がその入国の際に輸入し、又は政令で定めるところにより別送して輸入する自動車、船舶、航空機その他政令で指定する物品で当該入国者又はその家族の個人的な使用に供するもの。但し、その入国前六月以上これらの者が使用したものに限る。
2 前項各号の規定により関税の免除を受けた貨物がその輸入の許可の日から二年以内に当該各号に掲げる用途以外の用途に供された場合においては、同項の規定により免除を受けた関税を、直ちに徴収する。但し、変質、損傷その他やむを得ない事由に因り当該各号に掲げる用途以外の用途に供する場合においては、第十条の規定に準じてその関税を軽減することができる。
(外交官用貨物等の免税)
第十六条 左の各号に掲げる貨物で輸入されるものについては、その関税を免除する。
一 本邦にある外国の大使館、公使館その他これらに準ずる機関に属する公用品。但し、外国にある本邦のこれらの機関に属する公用品についての関税の免除に制限を附する国については、相互条件による。
二 本邦に派遣された外国の大使、公使その他これらに準ずる使節及びこれらの者の家族に属する自用品でこれらの使節が輸入するもの。但し、本邦から外国に派遣した大使、公使、その他これらに準ずる使節及びこれらの者の家族に属する自用品についての関税の免除に制限を附する国については、相互条件による。
三 本邦にある外国の領事館その他これに準ずる機関に属する物品で専ら公用に供されるもの。但し、外国にある本邦のこれらの機関に属する公用品についての関税の免除に制限を附する国については、相互条件による。
四 本邦にある外国の大使館、公使館、領事館その他これらに準ずる機関の職員(名誉総領事及び名誉領事を除く。)のうち政令で指定するもの及びその家族(本邦の国籍を有する者を除く。)に属する自用品で、当該職員が輸入するもの。但し、外国にある本邦のこれに相当する職員及びその家族に属する自用品についての関税の免除に制限を附する国については、相互条件による。
2 前項の規定により関税の免除を受けた貨物のうち政令で指定するものがその輸入の許可の日から二年以内に同項に規定する用途以外の用途に供された場合(政令で定めるやむを得ない事由に因り同項に規定する用途以外の用途に供された場合を除く。)においては、その供させた者から、同項の規定により免除を受けた関税を徴収する。但し、使用に因る減もうその他の事由に因り価値の減少があつた場合においては、第十条の規定に準じてその関税を軽減することができる。
(再輸出免税)
第十七条 左の各号に掲げる貨物で輸入され、その輸入の許可の日から一年以内に輸出されるものについては、政令で定めるところにより、その関税を免除する。
一 加工される貨物又は加工材料となる貨物で政令で定めるもの
二 輸入貨物の容器で政令で定めるもの
三 輸出貨物の容器として使用される貨物で政令で定めるもの
四 修繕される貨物
五 学術研究用品
六 試験品
七 注文の取集め若しくは製作のための見本又はこれに代る用途のみを有する写真、フイルム、模型その他これらに類するもの
八 本邦に入国する巡回興行者の興行用物品
九 博覧会、展覧会、共進会、品評会その他これらに類するものに出品するための物品
十 本邦に住所を移転するため以外の目的で本邦に入国する者がその個人的な使用に供するためその入国の際に携帯して輸入し、又は政令で定めるところにより別送して輸入する自動車、船舶、航空機その他政令で指定する物品
2 第十三条第三項の規定は、前項の規定により関税を免除する場合について準用する。
3 第一項の規定により関税の免除を受けた貨物がその輸入の許可の日から一年以内に輸出されないこととなつた場合又は当該各号に掲げる用途以外の用途に供された場合においては、同項の規定により免除を受けた関税を、直ちに徴収する。この場合においては、第十三条第六項但書の規定を準用する。
(船舶の建造又は修繕用貨物の免税)
第十八条 船舶の建造若しくは修繕に使用される鉄鋼材又はぎ装品若しくは機関若しくはこれらの部分品のうち政令で定めるもので輸入され、税関長の承認を受けた期間内に、その承認を受けた工場で当該建造又は修繕が完了し、その完了した日から二年以内に当該船舶の用以外の用に供されないものについては、政令で定めるところにより、その関税を免除する。
2 第十三条第二項、第三項及び第五項の規定は、前項の規定により関税を免除する場合について準用する。
3 左の各号の一に該当する場合においては、第一項の規定により免除を受けた関税を、直ちに徴収する。但し、同項の規定により関税の免除を受けた貨物が同項の規定により船舶の建造若しくは修繕に使用され、当該建造若しくは修繕を完了した日から二年を経た場合、災害その他やむを得ない事由に因り亡失した場合又は政令で定めるところにより他の船舶の用に供された場合は、この限りでない。
一 第一項の規定により関税の免除を受けた貨物を同項に規定する用途以外の用途に供したとき。
二 第一項の規定により税関長の承認を受けた期間内に、第二項において準用する第十三条第五項の規定による届出をせず、又は第一項の規定により関税の免除を受けた貨物を同項に規定する用途に供さず、若しくは当該貨物による建造若しくは修繕を完了しなかつたとき。
三 第一項の規定により関税の免除を受けた貨物を同項の規定により税関長の承認を受けた工場以外の場所で使用したとき。
(輸出貨物の製造用原料品の減税、免税又はもどし税)
第十九条 輸出貨物の製造に使用される原料品のうち政令で定めるもので輸入され、その輸入の許可の日から二年(第三項の規定により製造されたものについては、一年以内において税関長が指定する期間)以内に、税関長の承認を受けた製造工場で当該製造がされてその製品が輸出されるものについては、政令で定めるところにより、その関税を軽減し、若しくは免除し、又はその関税の全部若しくは一部の払いもどしをする。
2 第十三条第二項から第五項までの規定は、前項の規定により関税を軽減し、又は免除する場合について準用する。
3 前項において準用する第十三条第四項の規定により税関長の承認を受けて、第一項の規定により関税の軽減又は免除を受けた原料品(以下この条で「輸出製造用原料品」という。)にこれと同種の原料品を混じて使用し、当該輸出製造用原料品のみを原料として製造した場合の製品と等質の製品を製造し、その輸入の許可の日から一年以内において税関長が指定する期間内にこれを輸出した場合においては、政令で定めるところにより、当該輸出製造用原料品の数量を限度として、当該輸出貨物の製造に必要な数量の輸出製造用原料品がその製造に使用されたものとみなす。
4 左の各号の一に該当する場合においては、第一項の規定により軽減又は免除を受けた関税を、直ちに徴収する。この場合においては、第十三条第六項但書の規定を準用する。
一 輸出製造用原料品を第一項に規定する用途以外の用途に供したとき、又はその製品を輸出以外の目的に供したとき。
二 輸出製造用原料品の輸入の許可の日から二年(第三項の規定により製造されたものについては、第一項の規定により税関長が指定した期間)以内に、第二項において準用する第十三条第五項の規定による届出をせず、又はその製品を輸出しなかつたとき。
三 第一項の規定により税関長の承認を受けた製造工場以外の場所で輸出製造用原料品を製造に供し、又は第二項において準用する第十三条第四項の規定に違反してこれを使用したとき。
(違約品の返送の場合のもどし税)
第二十条 輸入された貨物の品質又は数量等が契約の内容と相違するためこれを返送することがやむを得ないと認められる場合において、その輸入のときの性質及び形状に変更を加えないで当該貨物を返送のため本邦から輸出するときは、その輸入の許可の日から三月以内にこれを保税地域に入れた場合に限り、政令で定めるところにより、その関税を払いもどすことができる。
(輸入禁制品)
第二十一条 左の各号に掲げる貨物は、輸入してはならない。
一 あへんその他の麻薬及びあへん吸煙具。但し、政府が輸入するもの及び政府の許可を受けた者が輸入するものを除く。
二 貨幣、紙幣若しくは銀行券又は有価証券の偽造品、変造品及び模造品
三 公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品
四 特許権、実用新案権、意匠権、商標権又は著作権を侵害する物品
2 税関は、前項各号に掲げる貨物で輸入されようとするものを没収して廃棄し、又は当該貨物を輸入しようとする者にその積みもどしを命ずることができる。
(関税率審議会)
第二十二条 大蔵大臣の諮問に応じて別表の改正その他の関税率に関する重要な事項を調査審議するため、大蔵省の附属機関として、関税率審議会を置く。
2 関税率審議会は、関税率に関する事項について大蔵大臣に建議することができる。
3 関税率審議会は、大蔵大臣及び委員四十五人以内で組織する。
4 委員は、財政、産業、貿易等に関し学識経験がある者及び関係行政機関の職員のうちから大蔵大臣が任命し、その任期は、二年とする。但し、再任を妨げない。
5 大蔵大臣は、会長として会務を総理する。会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員がその職務を代理する。
6 委員は、非常勤とする。
7 前各項に規定するものを除く外、関税率審議会の組織及び運営について必要な事項は、政令で定める。
(外国とみなす地域)
第二十三条 この法律の適用については、政令で定める本邦の地域は、当分の間、外国とみなす。
附則第二項から第六項までを削る。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して百日をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。但し、関税定率法附則の改正規定及び附則第二項中同法附則第四項に係る部分並びに附則第三項及び第十七項の規定は、昭和二十九年四月一日から施行する。
2 この法律の施行前に、改正前の関税定率法(以下「旧法」という。)第七条、第八条、第九条第一項若しくは第二項、第十条第一項又は附則第二項若しくは第四項の規定により関税の軽減若しくは免除を受けた、又は関税の軽減、免除若しくは払いもどしを受けることができた貨物については、なお従前の例による。
3 附則第一項の政令で定める日の前日までにおける旧法附則第二項の規定の適用については、同項中「昭和二十九年三月三十一日」とあるのは、「関税定率法の一部を改正する法律(昭和二十九年法律第四十二号)附則第一項の政令で定める日の前日」とする。
4 この法律による改正後の関税定率法(以下「法」という。)第二十三条の規定によつて外国とみなされる地域の生産物(政令で定めるものを除く。)で輸入されるものについては、政令で定めるところにより、当分の間、その関税を免除する。
5 法の別表に掲げる物品のうち、左に掲げる要件を備え、政令で定める事業の用に供される機械類で昭和三十年三月三十一日までに輸入され、その輸入の許可の日から五年以内に当該事業の用以外の用に供されないものについては、政令で定めるところにより、その関税を免除する。
一 新式又は高性能の産業用機械類で、本邦において製作することが困難であること。
二 本邦の経済の自立達成に資する産業の用に供する機械類であること。
6 前項の規定により関税の免除を受けた機械類をその輸入の許可の日から五年以内に同項に規定する事業の用以外の用に供した場合においては、同項の規定により免除を受けた関税を、直ちに徴収する。但し、政令で定めるところによりその事業の用以外の用に供した場合は、この限りではない。
7 前項の規定により関税を徴収する場合において、使用に因る減もうその他の事由に因り価値の減少があつたときは、法第十条の規定に準じてその関税を軽減することができる。
8 小学校又は盲学校、ろう学校若しくは養護学校の小学部若しくは保育所の児童の給食の用に供する乾燥脱脂ミルクで、昭和三十年三月三十一日までに輸入されるものについては、政令で定めるところにより、その関税を免除する。
9 前項の規定により関税の免除を受けた乾燥脱脂ミルクを同項に規定する用途に供しない場合においては、同項の規定により免除を受けた関税を、直ちに徴収する。但し、変質その他の事由に因り、同項に規定する給食の用以外の用に供した場合において、税関長の承認を受けたとき、又は災害その他やむを得ない事由に因り亡失した場合は、この限りでない。
10 法の別表に掲げる物品のうち、別表甲号に掲げるもので昭和三十年三月三十一日までに輸入されるものについては、法の別表の税率による関税を免除する。
11 法の別表に掲げる物品のうち、別表乙号に掲げるもので昭和三十年三月三十一日までに輸入されるものに課する関税の税率は、法の別表によらないで、別表乙号による。
12 附則第六項又は第九項の規定による関税の徴収については、国税徴収の例による。
13 関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第百五条第一項第五号(税関職員の権限)の規定は、附則第五項又は第八項の規定により関税を免除した場合について準用する。
14 関税定率法の一部を改正する法律(昭和二十六年法律第百十号)の一部を次のように改正する。
附則第四項から第八項までを削る。
15 関税定率法等の一部を改正する等の法律(昭和二十八年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
附則第五項及び第六項を削る。
16 この法律の施行前に、この法律による改正前の関税定率法の一部を改正する法律(以下「旧一部改正法」という。)附則第六項の規定により関税の免除を受けた、又は受けることができた貨物については、当該貨物の輸入の許可の日において附則第五項の規定により関税の免除を受けたものとみなして、附則第六項及び第七項の規定を適用し、その他の事項についてはなお従前の例による。
17 旧一部改正法附則第五項及び第六項並びにこの法律による改正前の関税定率法等の一部を改正する等の法律附則第六項の規定の第一項の政令で定める日の前日までの適用については、これらの項中「昭和二十九年三月三十一日」とあるのは「関税定率法の一部を改正する法律(昭和二十九年法律第四十二号)附則第一項の政令で定める日の前日」とし、旧一部改正法附則第五項の別表甲号中
一六八六
機械(別号に掲げるものを除く。)のうちせん孔カード式統計会計機械(せん孔機、せん孔検査機、分類機、製表機、照合機、翻訳機等当該統計会計機械を構成する機械を含む。)
とあるのは、
一六八六
機械(別号に掲げるものを除く。)のうちせん孔カード式統計会計機械(せん孔機、せん孔検査機、分類機、製表機、照合機、翻訳機等当該統計会計機械を構成する機械を含む。)
一七〇九
木材
 一 単に切り、ひき、又は割つたもの
  甲 パイン、フアー、シダーその他の針葉樹
   ロ その他
    ロの一のうちヘムロツクその他のつが属のもの(厚さが二百ミリメートルをこえないものに限る。)
とする。
18 砂糖消費税法(明治三十四年法律第十三号)の一部を次のように改正する。
第十七条ノ三中「関税定率法第七条第十七号」を「関税定率法第十四条第十号」に改める。
19 しやし繊維品の課税に関する法律(昭和二十九年法律第___号)の一部を次のように改正する。
第七条第六項中「関税定率法第二条第二項」を「関税定率法第四条第二項」に改める。
別表甲号
関税定率法別表の番号
品名
二一一
豆類
 一のうち大豆
五一九
炭化水素油(別号に掲げるものを除く。)
 一 原油、重油及び粗油
六九五
薬材、化学薬、医薬及びこれらの調合品(別号に掲げるものを除く。)のうちピグメントレジンカラー用のエキステンダー(ピグメントレジンカラーベースとともに輸入するものに限る。)及び四エチル鉛
七三三
染料及び顔料(別号に掲げるものを除く。)のうちピグメントレジンカラーベース
一二二八
コークスのうち石油コークス
一四〇五
鉄鋼(別号に掲げる特殊鋼を除く。)
 五 板のうち厚さ〇・六ミリメートルをこえない発生品(板の製造工程中において生じたきずものをいう。)でめつきしてないもの
一六四七
航空機及びその部分品(原動力機を除く。)
一六五八
内燃機関
 二 その他のうち航空機用のもの
一六八六
機械(別号に掲げるものを除く。)のうちせん孔カード式統計会計機械(せん孔機、せん孔検査機、分類機、製表機、照合機、翻訳機等当該統計会計機械を構成する機械を含む。)
一七〇九
木材
 一 単に切り、ひき、又は割つたもの
  甲 パイン、ファー、シダーその他の針葉樹
   ロ その他
    ロの一のうちへムロツクその他のつが属のもの(厚さが二百ミリメートルをこえないものに限る。)
備考 この表において「重油」とは、炭化水素油で摂氏十五度における比重が〇・八七六二をこえ、且、引火点が摂氏百十五度をこえないもので、一般に燃料として使用されるもの及び原油を蒸りゆうしてできたかま残油をいう。
別表乙号
関税定率法別表の番号
品名
税率
五一九
炭化水素油(別号に掲げるものを除く。)
 二 その他(動植物性油脂、石けん、アルコール等を加えたものを含む。)
  甲 摂氏十五度における比重がO・八四九八をこえないもの
一割
  乙 その他
備考の税率
七〇五
合成染料
 六 建染染料
  乙 その他
一割五分
七一九
カーボンブラック
一割
一一〇一
印刷用紙
 二 その他(一平方メートルの重量が三十グラムをこえ、三百グラムをこえないものに限る。)
  甲 一平方メートルの重量が五十八グラムをこえないもの(砕木パルプを含むもので巻取のものに限る。)
七分五厘
備考 この表の炭化水素油の項乙その他に該当するものについての税率は、摂氏十五度における比重が〇・八七六二をこえず、且つ、引火点が摂氏百十五度をこえないもので、一般に燃料として使用されるものについては、一割とし、その他のものについては、二割とする。
大蔵大臣 小笠原三九郎
内閣総理大臣 吉田茂