中小企業等協同組合法
法令番号: 法律第百八十一号
公布年月日: 昭和24年6月1日
法令の形式: 法律
中小企業等協同組合法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年六月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百八十一号
中小企業等協同組合法
目次
第一章
総則
第一節
総則(第一條―第九條)
第二節
組合員(第十條―第二十三條)
第三節
設立(第二十四條―第三十二條)
第四節
管理(第三十三條―第六十一條)
第五節
解散及び清算(第六十二條―第六十九條)
第二章
事業協同組合(第七十條―第七十五條)
第三章
信用協同組合(第七十六條)
第四章
協同組合連合会(第七十七條)
第五章
企業組合(第七十八條―第八十二條)
第六章
登記(第八十三條―第百三條)
第七章
雜則(第百四條―第百十一條)
第八章
罰則(第百十二條―第百十六條)
附則
第一章 総則
第一節 総則
(法律の目的)
第一條 この法律は、中小規模の商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行う者、勤労者その他の者が相互扶助の精神に基き協同して事業を行うために必要な組織について定め、これらの者の公正な経済活動の機会を確保し、もつてその自主的な経済活動を促進し、且つ、その経済的地位の向上を図ることを目的とする。
(種類)
第二條 中小企業等協同組合(以下本章及び第六章から第八章までにおいて「組合」という。)は、左の各号に掲げるものとする。
一 事業協同組合
二 信用協同組合
三 協同組合連合会
四 企業組合
(人格及び住所)
第三條 組合は、法人とする。
2 組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(基準及び原則)
第四條 組合は、この法律に別段の定のある場合の外、左の各号に掲げる要件を備えなければならない。
一 組合員又は会員(以下本章及び第六章から第八章までにおいて「組合員」と総称する。)の相互扶助を目的とすること。
二 組合員が任意に加入し、又は脱退することができること。
三 組合員の議決権及び選挙権は、出資口数にかかわらず、平等であること。
四 組合の剩余金の配当は、主として組合事業の利用分量に應じてするものとし、出資額に應じて配当をするときは、その限度が定められていること。
2 組合は、その行う事業によつてその組合員に直接の奉仕をすることを目的とし、特定の組合員の利益のみを目的としてその事業を行つてはならない。
3 組合は、特定の政党のために利用してはならない。
(名称)
第五條 組合は、その名称中に、左の文字を用いなければならない。
一 事業協同組合にあつては、協同組合
二 信用協同組合にあつては、信用協同組合又は信用組合
三 協同組合連合会にあつては、その種類に從い、協同組合又は信用協同組合のうちの一を冠する連合会
四 企業組合にあつては、企業組合
2 この法律によつて設立された組合又は他の特別の法律によつて設立された協同組合若しくはその連合会以外の者は、その名称中に、前項に掲げる文字を用いてはならない。
3 組合の名称については、商法(明治三十二年法律第四十八号)第十九條から第二十二條まで(商号)の規定を準用する。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律との関係)
第六條 左の組合は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「私的独占禁止法」という。)の適用については、同法第二十四條第一号の要件を備える組合とみなす。
一 事業協同組合又は信用協同組合であつて、その組合員たる事業者(企業組合を含み、企業組合以外の組合を除く。)の常時使用する從業員の数が百人(商業又はサービス業を主たる事業とする事業者については二十人)をこえないもの
二 前号に掲げる組合をもつて組織する協同組合連合会
2 事業協同組合又は信用協同組合であつて、常時使用する從業員の数が前項第一号に掲げる数をこえる事業者を組合員に含むものがあるときは、その組合が私的独占禁止法第二十四條第一号の要件を備える組合に該当するかどうかの判断は、公正取引委員会の権限に属する。
3 前項に掲げる組合は、常時使用する從業員の数が第一項第一号に掲げる数をこえる事業者が組合に加入した日又は事業者たる組合員の常時使用する從業員の数が同項同号に掲げる数をこえることとなつた日から三十日以内に、その旨を公正取引委員会に届け出なければならない。
(組合員の資格)
第七條 事業協同組合の組合員たる資格を有する者は、組合の地区内において商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行う前條第一項又は第二項に掲げる小規模の事業者で定款で定めるものとする。
2 信用協同組合の組合員たる資格を有する者は、組合の地区内において商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行う前條第一項若しくは第二項に掲げる小規模の事業者、組合の地区内に住所若しくは居所を有する者(組合を含む。)又は組合の地区内において勤労に從事する者で定款で定めるものとする。
3 協同組合連合会の会員たる資格を有する者は、左に掲げる者であつて定款で定める者とする。
一 連合会の地区の全部又は一部を地区とする組合(企業組合を除く。)
二 連合会の地区の全部又は一部を地区として他の法律に基いて設立された協同組合
4 企業組合の組合員たる資格を有する者は、定款で定める個人とする。
(登記)
第八條 この法律の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(免税)
第九條 組合の所得のうち、組合事業の利用分量に應じて組合が配当した剩余金の額に相当する金額については、その組合には、租税を課さない。
第二節 組合員
(出資)
第十條 組合員は、出資一口以上を有しなければならない。
2 出資一口の金額は、均一でなければならない。
3 一組合員の出資口数は、出資総口数の百分の二十五(信用協同組合にあつては、百分の十)をこえてはならない。但し、組合員の数が三人以下の場合は、この限りでない。
4 組合員の責任は、その出資額を限度とする。
5 組合員は、出資の拂込について、相殺をもつて組合に対抗することができない。
(議決権及び選挙権)
第十一條 組合員は、各々一個の議決権及び役員又は総代の選挙権を有する。
2 組合員は、定款の定めるところにより、第四十九條の規定によりあらかじめ通知のあつた事項につき、書面又は代理人をもつて、議決権又は選挙権を行うことができる。この場合は、その組合員の親族若しくは使用人又は他の組合員でなければ、代理人となることができない。
3 前項の規定により議決権又は選挙権を行う者は、出席者とみなす。
4 代理人は、二人以上の組合員を代理することができない。
5 代理人は、代理権を証する書面を組合に差し出さなければならない。
(経費の賦課)
第十二條 組合は、定款の定めるところにより、組合員に経費を賦課することができる。
2 組合員は、前項の経費の支拂について、相殺をもつて組合に対抗することができない。
(使用料及び手数料)
第十三條 組合は、定款の定めるところにより、使用料及び手数料を徴收することができる。
(加入の自由)
第十四條 組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の組合員が加入の際に附されたよりも困難な條件を附してはならない。
(加入)
第十五條 組合に加入しようとする者は、定款の定めるところにより加入につき組合の承諾を得て、引受出資口数に應ずる金額の拂込及び組合が加入金を徴收することを定めた場合にはその支拂を了した時又は組合員の持分の全部又は一部を承継した時に組合員となる。
第十六條 死亡した組合員の相続人で組合員たる資格を有する者が組合に対し定款で定める期間内に加入の申出をしたときは、前條の規定にかかわらず、相続開始の時に組合員になつたものとみなす。この場合は、相続人たる組合員は、被相続人の持分について、死亡した組合員の権利義務を承継する。
2 死亡した組合員の相続人が数人あるときは、相続人の同意をもつて選定された一人の相続人に限り、前項の規定を適用する。
(持分の讓渡)
第十七條 組合員は、組合の承諾を得なければ、その持分を讓り渡すことができない。
2 組合員でないものが持分を讓り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。
3 持分の讓受人は、その持分について、讓渡人の権利義務を承継する。
4 組合員は、持分を共有することができない。
(自由脱退)
第十八條 組合員は、九十日前までに予告し、事業年度の終において脱退することができる。
2 前項の予告期間は、定款で延長することができる。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
(法定脱退)
第十九條 組合員は、左の事由によつて脱退する。
一 組合員たる資格の喪失
二 死亡又は解散
三 除名
四 第百七條から第百九條までの規定による公正取引委員会の審決
2 除名は、左に掲げる組合員につき、総会の議決によつてすることができる。この場合は、組合は、その総会の会日の十日前までに、その組合員に対しその旨を通知し、且つ、総会において、弁明する機会を與えなければならない。
一 長期間にわたつて組合の施設を利用しない組合員
二 出資の拂込、経費の支拂その他組合に対する義務を怠つた組合員
三 その他定款で定める事由に該当する組合員
3 除名は、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもつてその組合員に対抗することができない。
(脱退者の持分の拂戻)
第二十條 組合員は、脱退したときは、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の拂戻を請求することができる。
2 前項の持分は、脱退した事業年度の終における組合財産によつて定める。
3 前項の持分を計算するにあたり、組合の財産をもつてその債務を完済するに足りないときは、組合は、定款の定めるところにより、脱退した組合員に対し、その負担に帰すべき損失額の拂込を請求することができる。
(時効)
第二十一條 前條第一項又は第三項の規定による請求権は、脱退の時から二年間行わないときは、時効によつて消滅する。
(拂戻の停止)
第二十二條 脱退した組合員が組合に対する債務を完済するまでは、組合は、持分の拂戻を停止することができる。
(出資口数の減少)
第二十三條 組合員は、定款の定めるところにより、その出資口数を減少することができる。
2 前項の場合については、第二十條及び第二十一條の規定を準用する。
第三節 設立
(発起人)
第二十四條 事業協同組合、信用協同組合又は企業組合を設立するには、その組合員になろうとする四人以上の者が、協同組合連合会を設立するには、その会員になろうとする二以上の組合が発起人となることを要する。
2 信用協同組合は、三百人以上の組合員がなければ設立することができない。
(設立準備会)
第二十五條 発起人は、あらかじめ組合の事業及び地区並びに組合員たる資格に関する目論見書を作り、これを会議の日時及び場所とともに公告して、設立準備会を開かなければならない。
2 前項の公告は、会議開催日の少くとも二週間前までにしなければならない。
(定款作成委員)
第二十六條 設立準備会においては、前條の目論見書に基き組合員たる資格を有する者が出席し、その中から定款作成委員を選任し、且つ、地区、組合員たる資格その他定款作成の基本となるべき事項を定めなければならない。
2 定款作成委員は、事業協同組合、信用協同組合又は企業組合にあつては四人以上、協同組合連合会にあつては二人以上でなければならない。
3 設立準備会の議事は、第一項の規定により出席した者の過半数の同意をもつて決する。
(創立総会)
第二十七條 定款作成委員が定款を作成したときは、発起人は、これを会議の日時及び場所とともに公告して、創立総会を開かなければならない。
2 前項の公告は、会議開催日の少くとも二週間前までにしなければならない。
3 定款作成委員が作成した定款の承認、事業計画の設定その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。
4 創立総会においては、前項の定款を修正することができる。但し、地区及び組合員たる資格に関する規定については、この限りでない。
5 創立総会の議事は、組合員たる資格を有する者でその会日までに発起人に対し設立の同意を申し出たものの半数以上が出席して、その議決権の三分の二以上で決する。
6 創立総会については、第十一條、商法第二百三十九條第四項、第二百四十條(特別利害関係人の議決権)、第二百四十四條(株主総会の議事録)及び第二百四十七條から第二百五十三條まで(株主総会の決議の取消又は無効)の規定を準用する。この場合において、商法第二百四十七條第一項中「第三百四十三條」とあるのは「中小企業等協同組合法第五十三條」と読み替えるものとする。
(理事への事務引継)
第二十八條 発起人は、創立総会終了後遅滯なく、その事務を理事に引き渡さなければならない。
(出資の第一回の拂込)
第二十九條 理事は、前條の規定による引渡を受けたときは、遅滯なく、出資の第一回の拂込をさせなければならない。
2 前項の第一回の拂込の金額は、出資一口につき、その金額の四分の一を下つてはならない。
3 現物出資者は、第一回の拂込の期日に、出資の目的たる財産の全部を給付しなければならない。但し、登記、登録その他権利の設定又は移轉をもつて第三者に対抗するため必要な行爲は、組合成立の後にすることを妨げない。
4 第一項及び第二項の規定にかかわらず、信用協同組合又は第七十七條第一項第一号の事業を行う協同組合連合会にあつては、理事は、前條の規定による引渡を受けたときは、遅滯なく、出資の全額の拂込をさせなければならない。
(成立の時期)
第三十條 組合は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
(届出)
第三十一條 組合は、成立の日から二週間以内に行政廳に定款及び役員名簿を添えてその旨を届け出なければならない。定款又は役員名簿の記載事項に変更を生じたときも同樣である。
(商法の準用)
第三十二條 組合の設立については、商法第四百二十八條(株式会社の設立の無効)の規定を準用する。
第四節 管理
(定款)
第三十三條 組合の定款には、左の事項を記載しなければならない。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所の所在地
五 組合員たる資格に関する規定
六 組合員の加入及び脱退に関する規定
七 出資一口の金額及びその拂込の時期及び方法
八 経費の分担に関する規定
九 剩余金の処分及び損失の処理に関する規定
十 準備金の額及びその積立の方法
十一 役員の定数及びその選挙に関する規定
十二 事業年度
十三 公告の方法
十四 組合の負担に帰すべき設立費用及び発起人が受くべき報酬の額
2 組合の定款には、前項の事項の外、組合の存立時期又は解散の事由を定めたときはその時期又はその事由を、現物出資をする者を定めたときはその者の氏名、出資の目的たる財産及びその價格並びにこれに対して與える出資口数を、組合の成立後に讓り受けることを約した財産がある場合にはその財産、その價格及び讓渡人の氏名を記載しなければならない。
3 組合の定款については、商法第百六十七條(定款の認証)の規定を準用する。
(規約)
第三十四條 左の事項は、定款で定めなければならない事項を除いて、規約で定めることができる。
一 総会又は総代会に関する規定
二 業務の執行及び会計に関する規定
三 役員に関する規定
四 組合員に関する規定
五 その他必要な事項
(役員)
第三十五條 組合に、役員として理事及び監事を置く。
2 理事の定数は、三人以上とし、監事の定数は、一人以上とする。
3 役員は、総会において、組合員又は組合員たる法人の業務を執行する役員のうちから選挙する。但し、設立当時の役員は、創立総会において、組合員になろうとする者又は組合員になろうとする法人の業務を執行する役員のうちから選挙する。
4 役員の選挙は、無記名投票によつて行う。
5 投票は、一人につき一票とする。
(役員の任期)
第三十六條 役員の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。
2 設立当時の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
(役員の兼職禁止)
第三十七條 監事は、理事又は組合の使用人と兼ねてはならない。
2 組合員は、組合の事業と実質的に競爭関係にある事業(組合員の資格として定款に定められるものを除く。以下本條中同じ。)を行うとき、又は組合の事業と実質的に競爭関係にある事業を行う他の組合その他の法人を代表する地位にあるときは、その組合の役員となることができない。
(理事の自己契約等の禁止)
第三十八條 組合が理事と契約をするときは、監事が組合を代表する。組合と理事との訴訟についても、また同樣とする。
(定款その他の書類の備付及び閲覽)
第三十九條 理事は、定款、規約及び総会の議事録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 組合員名簿には、各組合員について左の事項を記載しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 加入の年月日
三 出資口数、拂込済金額及びその拂込の年月日
3 組合員及び組合の債権者は、何時でも、理事に対し第一項の書類の閲覽を求めることができる。この場合は、理事は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(決算関係書類の提出、備付及び閲覽)
第四十條 理事は、通常総会の会日の一週間前までに、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剩余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、且つ、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 理事は、監事の意見書を添えて前項の書類を通常総会に提出し、その承認を求めなければならない。
3 組合員及び組合の債権者は、何時でも、理事に対し第一項の書類の閲覽を求めることができる。この場合は、理事は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(役員の改選)
第四十一條 組合員は、総組合員の五分の一以上の連署をもつて、役員の改選を請求することができるものとし、その請求につき総会において出席者の過半数の同意があつたときは、その請求に係る役員は、その職を失う。
2 前項の規定による改選の請求は、理事の全員又は監事の全員について、同時にしなければならない。但し、法令又は定款若しくは規約の違反を理由として改選を請求するときは、この限りでない。
3 第一項の規定による改選の請求は、改選の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。
4 第一項の規定による改選の請求があつたときは、理事は、その請求を総会の議に附し、且つ、総会の会日から七日前までに、その請求に係る役員に第三項の規定による書面を送付し、且つ、総会において弁明する機会を與えなければならない。
5 第四項の場合については、第四十七條第二項及び第四十八條の規定を準用する。
(民法及び商法の準用)
第四十二條 理事及び監事については、商法第二百五十四條第二項(取締役と会社との関係)、第二百六十六條(取締役の責任)、第二百六十七條(取締役に対する訴)及び第二百八十四條(取締役及び監査役の責任の解除)の規定を、理事については、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五十五條(代表権の委任)及び商法第二百六十條から第二百六十二條まで(取締役の業務の執行及び会社代表)の規定を、監事については、商法第二百七十四條(報告を求め調査をなす権限)及び第二百七十八條(取締役と監査役との連帶責任)の規定を準用する。この場合において、商法第二百八十四條中「前條第一項」とあるのは「中小企業等協同組合法第四十條第二項」と読み替えるものとする。
(顧問)
第四十三條 組合は、理事の過半数の決議により、学識経驗のある者を顧問とし、常時組合の重要事項に関し助言を求めることができる。但し、顧問は、組合を代表することができない。
(参事及び会計主任)
第四十四條 組合は、理事の過半数の決議により、参事及び会計主任を選任し、その主たる事務所又は從たる事務所において、その業務を行わせることができる。
2 参事については、商法第三十八條第一項及び第三項、第三十九條、第四十一條並びに第四十二條(支配人)の規定を準用する。
第四十五條 組合員は、総組合員の十分の一以上の同意を得て、理事に対し、参事又は会計主任の解任を請求することができる。
2 前項の規定による請求は、解任の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。
3 第一項の規定による請求があつたときは、理事は、その参事又は会計主任の解任の可否を決しなければならない。
4 理事は、前項の可否を決する日の七日前までに、その参事又は会計主任に対し、第二項の書面を送付し、且つ、弁明する機会を與えなければならない。
(総会の招集)
第四十六條 理事は、定款の定めるところにより、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
第四十七條 理事は、必要があると認めるときは、定款の定めるところにより、何時でも臨時総会を招集することができる。
2 組合員が総組合員の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して総会の招集を請求したときは、理事は、その請求のあつた日から二十日以内に、臨時総会を招集しなければならない。
第四十八條 理事の職務を行う者がないとき、又は前條第二項の請求があつた場合において理事が正当な理由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。
(総会招集の手続)
第四十九條 総会の招集は、会日の十日前までに、会議の目的たる事項を示し、定款に定めた方法に從つてしなければならない。
(通知又は催告)
第五十條 組合の組合員に対してする通知又は催告は、組合員名簿に記載したその者の住所(その者が別に通知又は催告を受ける場所を組合に通知したときはその場所)にあてればよい。
2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に到達したものとみなす。
(総会の議決事項)
第五十一條 左の事項は、総会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 規約の設定、変更又は廃止
三 毎事業年度の事業計画の設定又は変更
四 経費の賦課及び徴收の方法
五 その他定款で定める事項
(総会の議事)
第五十二條 総会の議事は、この法律又は定款若しくは規約に特別の定のある場合を除いて、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
2 議長は、総会において選任する。
3 議長は、組合員として総会の議決に加わる権利を有しない。
4 総会においては、第四十九條の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ議決することができる。但し、定款で別段の定をしたときはこの限りでない。
(特別の議決)
第五十三條 左の事項は、総組合員の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 組合の解散又は合併
三 組合員の除名
四 事業の全部の讓渡
(商法の準用)
第五十四條 総会については、商法第二百三十九條第四項、第二百四十條(特別利害関係人の議決権)、第二百四十四條(株主総会の議事録)及び第二百四十七條から第二百五十三條まで(株主総会の決議の取消又は無効)の規定を準用する。この場合において商法第二百四十七條第一項中「第三百四十三條」とあるのは「中小企業等協同組合法第五十三條」と読み替えるものとする。
(総代会)
第五十五條 組合員の総数が二百人をこえる組合は、定款の定めるところにより、総会に代るべき総代会を設けることができる。
2 総代は、定款の定めるところにより、総会において、組合員のうちから、その住所、事業の種類等に應じて公平に選挙されなければならない。
3 総代の定数は、組合員の総数の十分の一(組合員の総数が千人をこえる信用協同組合にあつては二百人)を下つてはならない。
4 総代の選挙については、第三十五條第四項及び第五項の規定を準用する。
5 総代会については、総会に関する規定を準用する。但し、組合員の総数が千人をこえる信用協同組合の総代会においては、総代を選挙(補欠の総代の選挙を除く。)し、又は第五十三條第二号若しくは第四号の事項について議決し、その他の組合の総代会においては、役員若しくは総代を選挙し、第六十四條第一項の規定による設立委員を選任し、又は第五十三條の事項について議決することができない。
(出資一口の金額の減少)
第五十六條 組合は、出資一口の金額の減少を議決したときは、その議決の日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。
2 組合は、前項の期間内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、且つ、預金者及び定期積金の積金者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
3 前項の一定の期間は、一箇月を下つてはならない。
第五十七條 債権者が前條第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。
2 債権者が異議を述べたときは、組合は、弁済し、若しくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。
3 組合の出資一口の金額の減少については、商法第三百八十條(株式会社の資本減少の無効)の規定を準用する。
(準備金及び繰越金)
第五十八條 組合は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剩余金の十分の一以上を準備金として積み立てなければならない。
2 前項の定款で定める準備金の額は、出資総額の二分の一を下つてはならない。
3 第一項の準備金は、損失のてん補に充てる場合を除いては、取りくずしてはならない。
4 第七十條第一項第四号又は第七十七條第一項第五号の事業を行う組合は、その事業の費用に充てるため、毎事業年度の剩余金の二十分の一以上を翌事業年度に繰り越さなければならない。
(剩余金の配当)
第五十九條 組合は、損失をてん補し、前條第一項の準備金及び同條第四項の繰越金を控除した後でなければ、剩余金の配当をしてはならない。
2 剩余金の配当は、定款の定めるところにより、組合員の組合事業の利用分量又は拂込済出資額に應じてしなければならない。
3 拂込済出資額に應じてする剩余金の配当の率は、年六分をこえてはならない。
第六十條 組合は、定款の定めるところにより、組合員が出資の拂込を終るまでは、その組合員に配当する剩余金をその拂込に充てることができる。
(組合の持分取得の禁止)
第六十一條 組合は、組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
第五節 解散及び清算
(解散の事由)
第六十二條 組合は、左の事由によつて解散する。
一 総会の決議
二 組合の合併
三 組合の破産
四 定款で定める存立時期の満了又は解散事由の発生
五 事業の全部の讓渡
六 解散を命ずる裁判
2 組合は、前項の規定により解散したときは、遅滯なく、その旨を行政廳に届け出なければならない。
(合併等の手続)
第六十三條 組合が合併し、又はその事業の全部を讓渡するには、総会の議決を経なければならない。
2 組合の合併又は事業の全部の讓渡については、第五十六條及び第五十七條の規定を準用する。
第六十四條 合併によつて組合を設立するには、各組合がそれぞれ総会において組合員のうちから選任した設立委員が共同して定款を作成し、役員を選任し、その他設立に必要な行爲をしなければならない。
2 前項の規定による役員は、合併しようとする組合の組合員又は組合員たる法人の業務を執行する役員のうちから選任するものとし、その任期は、最初の通常総会の日までとする。
3 第一項の規定による設立委員の選任については、第五十三條の規定を準用する。
(合併の時期及び効果)
第六十五條 組合の合併は、合併後存続する組合又は合併によつて成立する組合が、その主たる事務所の所在地において、第八十九條に規定する登記をすることによつてその効力を生ずる。
2 合併後存続する組合又は合併によつて成立した組合は、合併によつて消滅した組合の権利義務(その組合がその行う事業に関し、行政廳の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)を承継する。
(商法等の準用)
第六十六條 組合の合併については、商法第百四條から第百十一條まで(合名会社の合併の無効)及び非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百三十五條ノ八(債務の負担部分の決定)の規定を準用する。
(信用協同組合等の事業の全部の讓渡)
第六十七條 信用協同組合又は第七十七條第一項第一号の事業を行う協同組合連合会がその事業の全部を讓渡したときは、遅滯なく、その旨を公告しなければならない。
2 前項の公告をしたときは、同項の組合の貸付金の債務者に対し、民法第四百六十七條の規定による確定日附のある証書をもつてする通知をしたものとみなす。この場合においては、その公告の日附をもつて確定日附とする。
(清算人)
第六十八條 組合が解散したときは、合併及び破産による解散の場合を除いては、理事が、その清算人となる。但し、総会において他人を選任したときは、この限りでない。
(商法等の準用)
第六十九條 組合の解散及び清算については、商法第百十六條、第百二十二條、第百二十四條、第百二十五條、第百二十八條、第百二十九條、第百三十一條、第四百十七條第二項、第四百十八條から第四百二十四條まで、第四百二十六條及び第四百二十七條(合名会社及び株式会社の清算)並びに非訟事件手続法第三十五條第二項、第三十六條、第三十七條ノ二、第百三十五條ノ二十五第二項及び第三項、第百三十六條、第百三十七條から第百三十八條まで及び第百三十八條ノ三(法人の清算の監督)の規定を、組合の清算人については、第三十八條から第四十條まで、第四十六條から第四十八條まで並びに商法第二百四十七條(決議の取消)、第二百五十四條第二項(取締役と会社との関係)、第二百六十六條(取締役の責任)、第二百六十七條(取締役に対する訴)及び第二百八十四條(取締役及び監査役の責任の解除)の規定を準用する。この場合において、商法第二百八十四條中「前條第一項」とあるのは「中小企業等協同組合法第六十九條ニ於テ準用スル同法第四十條第二項」と読み替えるものとする。
第二章 事業協同組合
(事業)
第七十條 事業協同組合(以下本章において「組合」という。)は、左の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 生産、加工、販賣、購買、保管、運送、檢査その他組合員の事業に関する共同施設
二 組合員に対する事業資金の貸付(手形の割引を含む。)及び組合員のためにするその借入
三 組合員の福利厚生に関する施設
四 組合員の事業に関する経営及び技術の改善向上又は組合事業に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供に関する施設
五 組合員の経済的地位の改善のためにする團体協約の締結
六 前各号の事業に附帶する事業
2 組合は、組合員の利用に支障がない場合に限り、組合員以外の者にその事業を利用させることができる。但し、一事業年度における組合員以外の者の事業の利用分量の総額は、その事業年度における組合員の利用分量の総額の百分の二十をこえてはならない。
3 組合は、定款で定める金融機関に対して組合員の負担する債務を保証し、又はその金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
4 第一項第五号の團体協約は、あらかじめ総会の承認を得て、同項同号の團体協約であることを明記した書面をもつてすることによつて、その効力を生ずる。
5 第一項第五号の團体協約は、直接に組合員に対してその効力を生ずる。
6 組合員の締結する契約でその内容が第一項第五号の團体協約に定める規準に違反するものについては、その規準に違反する契約の部分は、その規準によつて、契約したものとみなす。
(倉荷証券の発行)
第七十一條 保管事業を行う組合は、運輸大臣の許可を受けて、組合員の寄託物について倉荷証券を発行することができる。
2 前項の許可を受けた組合は、組合員たる寄託者の請求により、寄託物の倉荷証券を交付しなければならない。
3 第一項の倉荷証券については、商法第六百二十七條第二項(預証券の規定の準用)及び第六百二十八條(倉荷証券による質入)の規定を準用する。
4 第一項の場合については、倉庫業法(昭和十年法律第四十一号)第四條(許可の附款)、第八條から第十條まで(監督)及び第十二條(職権の委任)の規定を準用する。
第七十二條 前條第一項の許可を受けた組合の作成する倉荷証券には、その組合の名称を冠する倉庫証券という文字を記載しなければならない。
第七十三條 組合が、倉荷証券を発行した寄託物の保管期間は、寄託の日から六箇月以内とする。
2 前項の寄託物の保管期間は、六箇月を限度として更新することができる。但し、更新の際の証券の所持人が組合員でないときは、組合員の利用に支障がない場合に限る。
第七十四條 組合が倉荷証券を発行した場合については、商法第六百十六條から第六百十九條まで及び第六百二十四條から第六百二十六條まで(寄託者又は証券の所持人の権利及び倉庫営業者の責任)の規定を準用する。
(商品券の発行)
第七十五條 組合は、法令の定めるところにより、組合又は組合員の取扱品について商品券を発行することができる。
2 組合が商品券を発行したときは、組合又は組合員は、これに対してその取扱品の引換の義務を負い、その引換をすることができないとき、又はその引換を停止したときは、商品券の所有者に対して、券面に表示した金額を限度として、弁済の責を負う。
第三章 信用協同組合
(事業)
第七十六條 信用協同組合は、左の事業を行うものとする。
一 組合員に対する資金の貸付
二 組合員のためにする手形の割引
三 組合員の預金又は定期積金の受入
四 前各号の事業に附帶する事業
2 信用協同組合は、前項の事業の外、左の事業をあわせ行うことができる。
一 金融機関の業務の代理
二 前号の規定により貸付の事業の代理をする場合において、その貸付によつて生じる債務の保証
三 組合員に対する有價証券の貸付
四 組合員以外の者の預金又は定期積金の受入
五 前号に掲げる者に対する預金又は定期積金を担保とする資金の貸付
第四章 協同組合連合会
(事業)
第七十七條 協同組合連合会(以下本章において「連合会」という。)は、左の事業の一部を行うことができる。
一 会員の預金又は定期積金の受入
二 会員に対する資金の貸付(手形の割引を含む。)及び会員のためにするその借入
三 生産、加工、販賣、購買、保管、運送、檢査その他連合会を直接又は間接に構成する者(以下本章において「所属員」という。)の事業に関する共同施設
四 所属員の福利厚生に関する施設
五 所属員の事業に関する経営及び技術の改善向上又は組合事業に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供に関する施設
六 所属員の経済的地位の改善のためにする團体協約の締結
七 前各号の事業に附帶する事業
2 前項第一号の事業を行う連合会は、同項の規定にかかわらず、同項第一号及び第二号の事業並びにこれに附帶する事業の外、他の事業を行うことができない。
3 その地区が別表の地区をこえる連合会は、第一項第三号の事業を行うことができない。
4 連合会(第一項第一号の事業を行うものを除く。)については、第七十條第二項から第六項まで及び第七十一條から第七十五條までの規定を準用する。
5 第一項第一号の事業を行う連合会については、第七十六條第二項の規定を準用する。
第五章 企業組合
(事業)
第七十八條 企業組合(以下本章において「組合」という。)は、商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行うものとする。
(組合の事業と組合員との関係)
第七十九條 組合員の三分の二以上は、組合の行う事業に從事しなければならない。
2 組合の行う事業に從事する者の二分の一以上は、組合員でなければならない。
3 組合員は、総会の承認を得なければ、自己又は第三者のために組合の事業の部類に属する取引をしてはならない。
4 組合員が前項の規定に違反して自己のために取引をしたときは、組合は、総会の議決により、これをもつて組合のためにしたものとみなすことができる。
5 前項に定める権利は、他の組合員の一人がその取引を知つた時から二箇月間行使しないときは、消滅する。取引の時から一年を経過したときも同樣である。
(出資)
第八十條 組合の総出資口数の過半数は、組合の行う事業に從事する組合員によつて保有されなければならない。
(組合員の所得に対する課税)
第八十一條 組合員が組合の行う事業に從事したことによつて受ける所得のうち、組合が組合員以外の者で組合の行う事業に從事する者に対して支拂う給料、賃金、費用弁償、賞與及び退職給與並びにこれらの性質を有する給與と同一の基準によつて受けるものは、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の適用については、給與所得又は退職所得とする。
(適用除外)
第八十二條 企業組合については、第十二條、第十三條、第三十三條第一項第三号及び第八号、第五十一條第四号並びに第五十五條の規定は、適用しない。
2 第五十九條第二項及び第三項の規定にかかわらず、剩余金の配当は、定款の定めるところにより、年一割をこえない範囲内において拂込済出資額に應じてし、なお剩余があるときは、組合員が組合の事業に從事した程度に應じてしなければならない。
第六章 登記
(設立の登記)
第八十三條 組合は、第二十九條の規定による出資の拂込があつた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地において設立の登記をしなければならない。
2 設立の登記には、左の事項を掲げなければならない。但し、企業組合の設立の登記には、第三号の事項を掲げなくてもよい。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所
五 出資一口の金額及びその拂込の方法並びに出資の総口数及び拂込済出資総額
六 存立時期又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由
七 役員の氏名及び住所
八 組合を代表しない理事があるときは、組合を代表すべき者の氏名
九 数人の理事が共同し、又は理事が参事と共同して組合を代表すべきことを定めたときは、その規定
十 公告の方法
3 組合は、設立の登記をした後二週間以内に、從たる事務所の所在地において、前項の事項を登記しなければならない。
(從たる事務所の新設の登記)
第八十四條 組合の成立後從たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に從たる事務所を設けたことを登記し、その從たる事務所の所在地においては三週間以内に、前條第二項の事項を登記し、他の從たる事務所の所在地においては同期間内に、その從たる事務所を設けたことを登記しなければならない。
2 主たる事務所又は從たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内において、新たに從たる事務所を設けたときは、その從たる事務所を設けたことを登記すればよい。
(事務所の移轉の登記)
第八十五條 組合が主たる事務所を移轉したときは、旧所在地においては二週間以内に移轉の登記をし、新所在地においては三週間以内に第八十三條第二項の事項を登記し、從たる事務所を移轉したときは、旧所在地においては三週間以内に移轉の登記をし、新所在地においては四週間以内に同項の事項を登記しなければならない。
2 同一の登記所の管轄区域内において主たる事務所又は從たる事務所を移轉したときは、その移轉の登記をすればよい。
(変更の登記)
第八十六條 第八十三條第二項の事項中に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、從たる事務所の所在地においては三週間以内に変更の登記をしなければならない。
2 第八十三條第二項第五号の事項中出資の総口数及び拂込済出資総額の変更の登記は、前項の規定にかかわらず、毎事業年度末日現在により、事業年度終了後、主たる事務所の所在地においては四週間以内に、從たる事務所の所在地においては五週間以内にすればよい。
(参事の登記)
第八十七條 組合が参事を選任したときは、二週間以内に、これを置いた事務所の所在地において、参事の氏名及び住所、参事を置いた事務所並びに数人の参事が共同して代理権を行うべきことを定めたときはその旨を登記しなければならない。その登記した事項の変更及び参事の代理権の消滅についても同樣である。
(解散の登記)
第八十八條 組合が解散したときは、合併及び破産の場合を除いて、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、從たる事務所の所在地においては三週間以内に解散の登記をしなければならない。
(合併の登記)
第八十九條 組合が合併するときは、合併に必要な行爲を終つてから、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、從たる事務所の所在地においては三週間以内に、合併後存続する組合については変更の登記、合併によつて消滅する組合については解散の登記、合併によつて成立する組合については第八十三條第二項に規定する登記をしなければならない。
(清算人の登記)
第九十條 清算人は、その就職の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、從たる事務所の所在地においては三週間以内に清算人の氏名及び住所を登記しなければならない。
2 前項の規定により登記した事項の変更の登記については、第八十六條第一項の規定を準用する。
(清算結了の登記)
第九十一條 組合の清算が結了したときは、清算結了の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、從たる事務所の所在地においては三週間以内に清算結了の登記をしなければならない。
(管轄登記所及び登記簿)
第九十二條 組合の登記については、その事務所の所在地を管轄する司法事務局又はその出張所を管轄登記所とする。
2 各登記所に、事業協同組合登記簿、信用協同組合登記簿、中小企業等協同組合連合会登記簿及び企業組合登記簿を備える。
(設立の登記の申請)
第九十三條 組合の設立の登記は、役員の全員の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、定款、役員たることを証する書面並びに出資の総口数及び第二十九條の規定による出資の拂込のあつたことを証する書面を添附しなければならない。
3 合併による組合の設立の登記の申請書には、前項の書面の外、第六十三條第二項において準用する第五十六條第二項の規定による公告及び催告をしたこと、若し異議を述べた債権者があるときは、これに対し、弁済し、若しくは担保を供し、又は財産を信託したことを証する書面を添附しなければならない。
第九十四條 第八十三條第三項の規定による登記は、理事の申請によつてする。
(事務所の新設、移轉及び変更の登記の申請)
第九十五條 組合の事務所の新設又は事務所の移轉その他第八十三條第二項の事項の変更の登記は、理事又は清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、事務所の新設又は登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
3 出資一口の金額の減少又は組合の合併による変更の登記の申請書には、前項の書面の外、第五十六條第二項(第六十三條第二項において準用する場合を含む。)の規定による公告及び催告をしたこと、若し異議を述べた債権者があるときは、これに対し、弁済し、若しくは担保を供し、又は財産を信託したことを証する書面を添附しなければならない。
(参事の登記の申請)
第九十六條 参事の選任、第八十七條の規定により登記した事項の変更及び参事の代理権の消滅の登記は、理事の申請によつてする。
2 前項の登記のうち、参事の選任の登記の申請書には、参事の選任を証する書面及び数人の参事が共同して代理権を行うべきことを定めたときはその旨を証する書面を、その他の登記の申請書には、その事項を証する書面を添附しなければならない。
(解散の登記の申請)
第九十七條 第八十八條の規定による組合の解散の登記は、第三項に規定する場合を除いて、清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、解散の事由を証する書面を添附しなければならない。
3 組合の解散を命ずる裁判が確定した場合については、非訟事件手続法第百三十五條及び第百九十三條第三項(裁判による会社の解散の登記)の規定を準用する。
第九十八條 第八十九條の規定による解散の登記は、合併によつて消滅する組合の理事の申請によつてする。
2 前項の場合については、第九十三條第三項及び前條第二項の規定を準用する。
(清算人の登記の申請)
第九十九條 第九十條第一項の規定による登記の申請書には、理事が清算人でないときは、申請人の資格を証する書面を添附しなければならない。
2 第九十條第二項の規定による登記の申請書には、登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
(清算結了の登記の申請)
第百條 組合の清算結了の登記は、清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、清算人が第六十九條において準用する商法第四百二十七條第一項の規定により決算報告書の承認を得たことを証する書面を添附しなければならない。
(設立無効等の登記の手続)
第百一條 組合の設立、合併若しくは出資一口の金額の減少を無効とし、又は総会の決議を取り消し、若しくは無効とする判決が確定した場合については、非訟事件手続法第百三十五條ノ六(裁判による会社の設立無効の登記)の規定を準用する。
(登記事項の公告)
第百二條 登記した事項は、司法事務局において遅滯なく公告しなければならない。
(非訟事件手続法の準用)
第百三條 組合の登記については、非訟事件手続法第百四十一條から第百五十一條ノ六まで及び第百五十四條から第百五十七條まで(商業登記の通則)の規定を準用する。
第七章 雜則
(不服の申出)
第百四條 組合の業務若しくは会計が法令若しくは定款若しくは規約に違反し、又は組合の運営が著しく不当であると思料する組合員は、その事由を添えて、文書をもつてその旨を行政廳に申し出ることができる。
2 前項の申出があつたときは、行政廳は、組合に対して、その業務又は会計に関し必要な報告書の提出を命じ、前項の申出について調査しなければならない。
3 組合が、前項の規定による報告書を提出しないときは、行政廳は、組合の業務又は会計の状況を檢査しなければならない。
(檢査の請求)
第百五條 組合員は、総組合員の十分の一以上の同意を得て、組合の業務又は会計が法令又は定款若しくは規約に違反する疑があることを理由として、行政廳にその檢査を請求することができる。
2 前項の請求があつたときは、行政廳は、組合の業務又は会計の状況を檢査しなければならない。
(行政廳の指示)
第百六條 行政廳は、第百四條第二項の規定による調査又は同條第三項若しくは前條第二項の規定による檢査を行つた場合において、組合の業務若しくは会計が法令若しくは定款若しくは規約に違反し、又は組合の運営が著しく不当であると認めるときは、組合に対し、期間を定めて適当な措置を採るべき旨を指示することができる。
2 前項の規定による指示があつたときは、組合は、遅滯なく総会を開き、その指示に係る措置を実施するため必要な事項を議決しなければならない。
(排除措置)
第百七條 公正取引委員会は、組合の組合員たる事業者でその常時使用する從業員の数が五十人をこえるものが実質的に小規模の事業者でないと認めるときは、この法律の目的を達成するために、第百八條に規定する手続に從い、その事業者を組合から脱退させることができる。
第百八條 前條の場合については、私的独占禁止法第四十條から第四十二條まで(公正取引委員会の権限)、第四十五條から第六十一條まで、第六十四條、第六十六條第二項、第六十九條、第七十條(事実の報告、事件の調査、審判、審決その他事件処理の手続)、第七十五條、第七十六條(雜則)、第七十七條から第八十三條まで及び第八十八條(訴訟)の規定を準用する。
(東京高等裁判所の管轄権)
第百九條 前條の規定による公正取引委員会の審決に係る訴訟については、第一審の裁判権は、東京高等裁判所に属する。
2 前項に掲げる訴訟事件は、私的独占禁止法第八十七條第一項の規定により東京高等裁判所に設けられた裁判官の合議体が取り扱うものとする。
(商法等の準用)
第百十條 組合については、商法第五十八條第二項及び第三項、第五十九條及び第六十條(裁判による会社の解散)並びに非訟事件手続法第百二十六條第一項、第百三十四條から第百三十四條ノ三まで、第百三十五條ノ二から第百三十五條ノ五まで(裁判による会社の解散)の規定を準用する。
(所管行政廳)
第百十一條 この法律中「行政廳」とあるのは、第六十五條第二項の場合を除いては、大藏大臣又は運輸大臣の所管する事業を行う組合及びこれらの事業以外の事業を行う組合で都道府縣の区域をこえる区域を地区とする組合(企業組合を除く。)については組合の行う事業の所管大臣、その他の組合については都道府縣知事とする。
2 主務大臣は、政令の定めるところにより、この法律による権限の一部を地方支分部局の長又は都道府縣知事に委任することができる。
第八章 罰則
第百十二條 組合の役員がいかなる名義をもつてするを問合わず、組合の事業の範囲外において、貸付をし、若しくは手形の割引をし、又は投機取引のために組合の財産を処分したときは、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者には、情状により懲役及び罰金を併科することができる。
3 第一項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正條がある場合には適用しない。
第百十三條 組合が第六條第三項の規定に違反して届出を怠り、又は虚僞の届出をしたときは、その組合の理事は、三万円以下の罰金に処する。
第百十四條 第七十一條第四項において準用する倉庫業法第八條第一項の規定による報告をせず、若しくは虚僞の報告をし、又は第七十一條第四項において準用する倉庫業法第八條第一項若しくはこの法律第百四條第三項若しくは第百五條第二項の規定による檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三万円以下の罰金に処する。
2 組合の代表者又は代理人、使用人その他の從業者が、その組合の業務に関して前項の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その組合に対して同項の罰金刑を科する。
第百十五條 左の場合には、組合の理事若しくは監事又は清算人は、一万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定に基いて組合が行うことができる事業以外の事業を営んだとき。
二 この法律に定める登記を怠つたとき。
三 第十四條の規定に違反したとき。
四 第十九條第二項、第四十一條第四項又は第四十五條第四項の規定に違反したとき。
五 第二十七條第六項又は第五十四條において準用する商法第二百四十四條若しくは第六十九條において準用する商法第四百十九條の規定に違反して総会の議事録若しくは財産目録若しくは貸借対照表を作成せず、又はこれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。
六 第三十一條又は第六十二條第二項の規定に違反したとき。
七 第三十七條の規定に違反したとき。
八 第三十九條又は第四十條(以上の各規定を第六十九條において準用する場合を含む。)の規定に違反して書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当な理由がないのにその書類の閲覽を拒んだとき。
九 第四十二條において準用する商法第二百七十四條又は第六十九條において準用する商法第四百十九條第一項の規定による調査を妨げたとき。
十 第四十六條、第四十七條第二項又は第四十八條の規定に違反したとき。
十一 第五十六條第二項(第六十三條第二項において準用する場合を含む。)又は第六十九條において準用する商法第四百二十一條第一項に規定する公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
十二 第五十六條若しくは第五十七條第二項の規定に違反して出資一口の金額を減少し、又は第六十三條第二項において準用する第五十六條若しくは第五十七條第二項の規定に違反して組合の合併若しくは事業の全部の讓渡をしたとき。
十三 第五十八條、第五十九條又は第八十二條第二項の規定に違反したとき。
十四 第六十一條の規定に違反して組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。
十五 第六十九條において準用する商法第百三十一條の規定に違反して組合の財産を分配したとき。
十六 第六十九條において準用する商法第四百二十一條第一項の期間を不当に定めたとき。
十七 第六十九條において準用する商法第四百二十三條の規定に違反して債務の弁済をしたとき。
十八 第七十條第二項(第七十七條第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
十九 第七十七條第二項又は第三項の規定に違反したとき。
第百十六條 第百八條において私的独占禁止法第四十條及び第四十六條の規定を準用する場合の違反については、同法第九十四條及び第九十四條の二の規定を準用する。
附 則
この法律施行の期日は、公布の日から起算して一箇月を経過した日とする。但し、この法律中協同組合連合会に関する規定は、この法律施行後八箇月を経過した日から施行する。
別表
連合会の種類
地区
酒類の製造又は販賣の事業を行う協同組合連合会
財務局の管轄区域
葉たばこの耕作若しくは製造たばこの販賣又は塩の製造若しくは販賣の事業を行う協同組合連合会
たばこ專賣法(昭和二十四年法律第百十一号)第七十九條第二項の規定により大藏大臣が財務局長の職務を行う者として指定する日本專賣公社の役員又は職員の管轄区域
陸上運送業、小運送業、鉄道及び軌道の用に供する機械器具に関する事業その他陸運に関する事業を行う協同組合連合会
陸運局の管轄区域
水上運送業及び港湾運送業その他海運に関する事業を行う協同組合連合会
海運局の管轄区域
その他の協同組合連合会
通商産業局の管轄区域
大藏大臣 池田勇人
厚生大臣 林讓治
農林大臣 森幸太郎
通商産業大臣 稻垣平太郎
運輸大臣 大屋晋三
建設大臣 益谷秀次
内閣総理大臣 吉田茂
中小企業等協同組合法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年六月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百八十一号
中小企業等協同組合法
目次
第一章
総則
第一節
総則(第一条―第九条)
第二節
組合員(第十条―第二十三条)
第三節
設立(第二十四条―第三十二条)
第四節
管理(第三十三条―第六十一条)
第五節
解散及び清算(第六十二条―第六十九条)
第二章
事業協同組合(第七十条―第七十五条)
第三章
信用協同組合(第七十六条)
第四章
協同組合連合会(第七十七条)
第五章
企業組合(第七十八条―第八十二条)
第六章
登記(第八十三条―第百三条)
第七章
雑則(第百四条―第百十一条)
第八章
罰則(第百十二条―第百十六条)
附則
第一章 総則
第一節 総則
(法律の目的)
第一条 この法律は、中小規模の商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行う者、勤労者その他の者が相互扶助の精神に基き協同して事業を行うために必要な組織について定め、これらの者の公正な経済活動の機会を確保し、もつてその自主的な経済活動を促進し、且つ、その経済的地位の向上を図ることを目的とする。
(種類)
第二条 中小企業等協同組合(以下本章及び第六章から第八章までにおいて「組合」という。)は、左の各号に掲げるものとする。
一 事業協同組合
二 信用協同組合
三 協同組合連合会
四 企業組合
(人格及び住所)
第三条 組合は、法人とする。
2 組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(基準及び原則)
第四条 組合は、この法律に別段の定のある場合の外、左の各号に掲げる要件を備えなければならない。
一 組合員又は会員(以下本章及び第六章から第八章までにおいて「組合員」と総称する。)の相互扶助を目的とすること。
二 組合員が任意に加入し、又は脱退することができること。
三 組合員の議決権及び選挙権は、出資口数にかかわらず、平等であること。
四 組合の剰余金の配当は、主として組合事業の利用分量に応じてするものとし、出資額に応じて配当をするときは、その限度が定められていること。
2 組合は、その行う事業によつてその組合員に直接の奉仕をすることを目的とし、特定の組合員の利益のみを目的としてその事業を行つてはならない。
3 組合は、特定の政党のために利用してはならない。
(名称)
第五条 組合は、その名称中に、左の文字を用いなければならない。
一 事業協同組合にあつては、協同組合
二 信用協同組合にあつては、信用協同組合又は信用組合
三 協同組合連合会にあつては、その種類に従い、協同組合又は信用協同組合のうちの一を冠する連合会
四 企業組合にあつては、企業組合
2 この法律によつて設立された組合又は他の特別の法律によつて設立された協同組合若しくはその連合会以外の者は、その名称中に、前項に掲げる文字を用いてはならない。
3 組合の名称については、商法(明治三十二年法律第四十八号)第十九条から第二十二条まで(商号)の規定を準用する。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律との関係)
第六条 左の組合は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「私的独占禁止法」という。)の適用については、同法第二十四条第一号の要件を備える組合とみなす。
一 事業協同組合又は信用協同組合であつて、その組合員たる事業者(企業組合を含み、企業組合以外の組合を除く。)の常時使用する従業員の数が百人(商業又はサービス業を主たる事業とする事業者については二十人)をこえないもの
二 前号に掲げる組合をもつて組織する協同組合連合会
2 事業協同組合又は信用協同組合であつて、常時使用する従業員の数が前項第一号に掲げる数をこえる事業者を組合員に含むものがあるときは、その組合が私的独占禁止法第二十四条第一号の要件を備える組合に該当するかどうかの判断は、公正取引委員会の権限に属する。
3 前項に掲げる組合は、常時使用する従業員の数が第一項第一号に掲げる数をこえる事業者が組合に加入した日又は事業者たる組合員の常時使用する従業員の数が同項同号に掲げる数をこえることとなつた日から三十日以内に、その旨を公正取引委員会に届け出なければならない。
(組合員の資格)
第七条 事業協同組合の組合員たる資格を有する者は、組合の地区内において商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行う前条第一項又は第二項に掲げる小規模の事業者で定款で定めるものとする。
2 信用協同組合の組合員たる資格を有する者は、組合の地区内において商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行う前条第一項若しくは第二項に掲げる小規模の事業者、組合の地区内に住所若しくは居所を有する者(組合を含む。)又は組合の地区内において勤労に従事する者で定款で定めるものとする。
3 協同組合連合会の会員たる資格を有する者は、左に掲げる者であつて定款で定める者とする。
一 連合会の地区の全部又は一部を地区とする組合(企業組合を除く。)
二 連合会の地区の全部又は一部を地区として他の法律に基いて設立された協同組合
4 企業組合の組合員たる資格を有する者は、定款で定める個人とする。
(登記)
第八条 この法律の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(免税)
第九条 組合の所得のうち、組合事業の利用分量に応じて組合が配当した剰余金の額に相当する金額については、その組合には、租税を課さない。
第二節 組合員
(出資)
第十条 組合員は、出資一口以上を有しなければならない。
2 出資一口の金額は、均一でなければならない。
3 一組合員の出資口数は、出資総口数の百分の二十五(信用協同組合にあつては、百分の十)をこえてはならない。但し、組合員の数が三人以下の場合は、この限りでない。
4 組合員の責任は、その出資額を限度とする。
5 組合員は、出資の払込について、相殺をもつて組合に対抗することができない。
(議決権及び選挙権)
第十一条 組合員は、各々一個の議決権及び役員又は総代の選挙権を有する。
2 組合員は、定款の定めるところにより、第四十九条の規定によりあらかじめ通知のあつた事項につき、書面又は代理人をもつて、議決権又は選挙権を行うことができる。この場合は、その組合員の親族若しくは使用人又は他の組合員でなければ、代理人となることができない。
3 前項の規定により議決権又は選挙権を行う者は、出席者とみなす。
4 代理人は、二人以上の組合員を代理することができない。
5 代理人は、代理権を証する書面を組合に差し出さなければならない。
(経費の賦課)
第十二条 組合は、定款の定めるところにより、組合員に経費を賦課することができる。
2 組合員は、前項の経費の支払について、相殺をもつて組合に対抗することができない。
(使用料及び手数料)
第十三条 組合は、定款の定めるところにより、使用料及び手数料を徴収することができる。
(加入の自由)
第十四条 組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の組合員が加入の際に附されたよりも困難な条件を附してはならない。
(加入)
第十五条 組合に加入しようとする者は、定款の定めるところにより加入につき組合の承諾を得て、引受出資口数に応ずる金額の払込及び組合が加入金を徴収することを定めた場合にはその支払を了した時又は組合員の持分の全部又は一部を承継した時に組合員となる。
第十六条 死亡した組合員の相続人で組合員たる資格を有する者が組合に対し定款で定める期間内に加入の申出をしたときは、前条の規定にかかわらず、相続開始の時に組合員になつたものとみなす。この場合は、相続人たる組合員は、被相続人の持分について、死亡した組合員の権利義務を承継する。
2 死亡した組合員の相続人が数人あるときは、相続人の同意をもつて選定された一人の相続人に限り、前項の規定を適用する。
(持分の譲渡)
第十七条 組合員は、組合の承諾を得なければ、その持分を譲り渡すことができない。
2 組合員でないものが持分を譲り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。
3 持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する。
4 組合員は、持分を共有することができない。
(自由脱退)
第十八条 組合員は、九十日前までに予告し、事業年度の終において脱退することができる。
2 前項の予告期間は、定款で延長することができる。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
(法定脱退)
第十九条 組合員は、左の事由によつて脱退する。
一 組合員たる資格の喪失
二 死亡又は解散
三 除名
四 第百七条から第百九条までの規定による公正取引委員会の審決
2 除名は、左に掲げる組合員につき、総会の議決によつてすることができる。この場合は、組合は、その総会の会日の十日前までに、その組合員に対しその旨を通知し、且つ、総会において、弁明する機会を与えなければならない。
一 長期間にわたつて組合の施設を利用しない組合員
二 出資の払込、経費の支払その他組合に対する義務を怠つた組合員
三 その他定款で定める事由に該当する組合員
3 除名は、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもつてその組合員に対抗することができない。
(脱退者の持分の払戻)
第二十条 組合員は、脱退したときは、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の払戻を請求することができる。
2 前項の持分は、脱退した事業年度の終における組合財産によつて定める。
3 前項の持分を計算するにあたり、組合の財産をもつてその債務を完済するに足りないときは、組合は、定款の定めるところにより、脱退した組合員に対し、その負担に帰すべき損失額の払込を請求することができる。
(時効)
第二十一条 前条第一項又は第三項の規定による請求権は、脱退の時から二年間行わないときは、時効によつて消滅する。
(払戻の停止)
第二十二条 脱退した組合員が組合に対する債務を完済するまでは、組合は、持分の払戻を停止することができる。
(出資口数の減少)
第二十三条 組合員は、定款の定めるところにより、その出資口数を減少することができる。
2 前項の場合については、第二十条及び第二十一条の規定を準用する。
第三節 設立
(発起人)
第二十四条 事業協同組合、信用協同組合又は企業組合を設立するには、その組合員になろうとする四人以上の者が、協同組合連合会を設立するには、その会員になろうとする二以上の組合が発起人となることを要する。
2 信用協同組合は、三百人以上の組合員がなければ設立することができない。
(設立準備会)
第二十五条 発起人は、あらかじめ組合の事業及び地区並びに組合員たる資格に関する目論見書を作り、これを会議の日時及び場所とともに公告して、設立準備会を開かなければならない。
2 前項の公告は、会議開催日の少くとも二週間前までにしなければならない。
(定款作成委員)
第二十六条 設立準備会においては、前条の目論見書に基き組合員たる資格を有する者が出席し、その中から定款作成委員を選任し、且つ、地区、組合員たる資格その他定款作成の基本となるべき事項を定めなければならない。
2 定款作成委員は、事業協同組合、信用協同組合又は企業組合にあつては四人以上、協同組合連合会にあつては二人以上でなければならない。
3 設立準備会の議事は、第一項の規定により出席した者の過半数の同意をもつて決する。
(創立総会)
第二十七条 定款作成委員が定款を作成したときは、発起人は、これを会議の日時及び場所とともに公告して、創立総会を開かなければならない。
2 前項の公告は、会議開催日の少くとも二週間前までにしなければならない。
3 定款作成委員が作成した定款の承認、事業計画の設定その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。
4 創立総会においては、前項の定款を修正することができる。但し、地区及び組合員たる資格に関する規定については、この限りでない。
5 創立総会の議事は、組合員たる資格を有する者でその会日までに発起人に対し設立の同意を申し出たものの半数以上が出席して、その議決権の三分の二以上で決する。
6 創立総会については、第十一条、商法第二百三十九条第四項、第二百四十条(特別利害関係人の議決権)、第二百四十四条(株主総会の議事録)及び第二百四十七条から第二百五十三条まで(株主総会の決議の取消又は無効)の規定を準用する。この場合において、商法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「中小企業等協同組合法第五十三条」と読み替えるものとする。
(理事への事務引継)
第二十八条 発起人は、創立総会終了後遅滞なく、その事務を理事に引き渡さなければならない。
(出資の第一回の払込)
第二十九条 理事は、前条の規定による引渡を受けたときは、遅滞なく、出資の第一回の払込をさせなければならない。
2 前項の第一回の払込の金額は、出資一口につき、その金額の四分の一を下つてはならない。
3 現物出資者は、第一回の払込の期日に、出資の目的たる財産の全部を給付しなければならない。但し、登記、登録その他権利の設定又は移転をもつて第三者に対抗するため必要な行為は、組合成立の後にすることを妨げない。
4 第一項及び第二項の規定にかかわらず、信用協同組合又は第七十七条第一項第一号の事業を行う協同組合連合会にあつては、理事は、前条の規定による引渡を受けたときは、遅滞なく、出資の全額の払込をさせなければならない。
(成立の時期)
第三十条 組合は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
(届出)
第三十一条 組合は、成立の日から二週間以内に行政庁に定款及び役員名簿を添えてその旨を届け出なければならない。定款又は役員名簿の記載事項に変更を生じたときも同様である。
(商法の準用)
第三十二条 組合の設立については、商法第四百二十八条(株式会社の設立の無効)の規定を準用する。
第四節 管理
(定款)
第三十三条 組合の定款には、左の事項を記載しなければならない。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所の所在地
五 組合員たる資格に関する規定
六 組合員の加入及び脱退に関する規定
七 出資一口の金額及びその払込の時期及び方法
八 経費の分担に関する規定
九 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定
十 準備金の額及びその積立の方法
十一 役員の定数及びその選挙に関する規定
十二 事業年度
十三 公告の方法
十四 組合の負担に帰すべき設立費用及び発起人が受くべき報酬の額
2 組合の定款には、前項の事項の外、組合の存立時期又は解散の事由を定めたときはその時期又はその事由を、現物出資をする者を定めたときはその者の氏名、出資の目的たる財産及びその価格並びにこれに対して与える出資口数を、組合の成立後に譲り受けることを約した財産がある場合にはその財産、その価格及び譲渡人の氏名を記載しなければならない。
3 組合の定款については、商法第百六十七条(定款の認証)の規定を準用する。
(規約)
第三十四条 左の事項は、定款で定めなければならない事項を除いて、規約で定めることができる。
一 総会又は総代会に関する規定
二 業務の執行及び会計に関する規定
三 役員に関する規定
四 組合員に関する規定
五 その他必要な事項
(役員)
第三十五条 組合に、役員として理事及び監事を置く。
2 理事の定数は、三人以上とし、監事の定数は、一人以上とする。
3 役員は、総会において、組合員又は組合員たる法人の業務を執行する役員のうちから選挙する。但し、設立当時の役員は、創立総会において、組合員になろうとする者又は組合員になろうとする法人の業務を執行する役員のうちから選挙する。
4 役員の選挙は、無記名投票によつて行う。
5 投票は、一人につき一票とする。
(役員の任期)
第三十六条 役員の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。
2 設立当時の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
(役員の兼職禁止)
第三十七条 監事は、理事又は組合の使用人と兼ねてはならない。
2 組合員は、組合の事業と実質的に競争関係にある事業(組合員の資格として定款に定められるものを除く。以下本条中同じ。)を行うとき、又は組合の事業と実質的に競争関係にある事業を行う他の組合その他の法人を代表する地位にあるときは、その組合の役員となることができない。
(理事の自己契約等の禁止)
第三十八条 組合が理事と契約をするときは、監事が組合を代表する。組合と理事との訴訟についても、また同様とする。
(定款その他の書類の備付及び閲覧)
第三十九条 理事は、定款、規約及び総会の議事録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 組合員名簿には、各組合員について左の事項を記載しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 加入の年月日
三 出資口数、払込済金額及びその払込の年月日
3 組合員及び組合の債権者は、何時でも、理事に対し第一項の書類の閲覧を求めることができる。この場合は、理事は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(決算関係書類の提出、備付及び閲覧)
第四十条 理事は、通常総会の会日の一週間前までに、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、且つ、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 理事は、監事の意見書を添えて前項の書類を通常総会に提出し、その承認を求めなければならない。
3 組合員及び組合の債権者は、何時でも、理事に対し第一項の書類の閲覧を求めることができる。この場合は、理事は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(役員の改選)
第四十一条 組合員は、総組合員の五分の一以上の連署をもつて、役員の改選を請求することができるものとし、その請求につき総会において出席者の過半数の同意があつたときは、その請求に係る役員は、その職を失う。
2 前項の規定による改選の請求は、理事の全員又は監事の全員について、同時にしなければならない。但し、法令又は定款若しくは規約の違反を理由として改選を請求するときは、この限りでない。
3 第一項の規定による改選の請求は、改選の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。
4 第一項の規定による改選の請求があつたときは、理事は、その請求を総会の議に附し、且つ、総会の会日から七日前までに、その請求に係る役員に第三項の規定による書面を送付し、且つ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
5 第四項の場合については、第四十七条第二項及び第四十八条の規定を準用する。
(民法及び商法の準用)
第四十二条 理事及び監事については、商法第二百五十四条第二項(取締役と会社との関係)、第二百六十六条(取締役の責任)、第二百六十七条(取締役に対する訴)及び第二百八十四条(取締役及び監査役の責任の解除)の規定を、理事については、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五十五条(代表権の委任)及び商法第二百六十条から第二百六十二条まで(取締役の業務の執行及び会社代表)の規定を、監事については、商法第二百七十四条(報告を求め調査をなす権限)及び第二百七十八条(取締役と監査役との連帯責任)の規定を準用する。この場合において、商法第二百八十四条中「前条第一項」とあるのは「中小企業等協同組合法第四十条第二項」と読み替えるものとする。
(顧問)
第四十三条 組合は、理事の過半数の決議により、学識経験のある者を顧問とし、常時組合の重要事項に関し助言を求めることができる。但し、顧問は、組合を代表することができない。
(参事及び会計主任)
第四十四条 組合は、理事の過半数の決議により、参事及び会計主任を選任し、その主たる事務所又は従たる事務所において、その業務を行わせることができる。
2 参事については、商法第三十八条第一項及び第三項、第三十九条、第四十一条並びに第四十二条(支配人)の規定を準用する。
第四十五条 組合員は、総組合員の十分の一以上の同意を得て、理事に対し、参事又は会計主任の解任を請求することができる。
2 前項の規定による請求は、解任の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。
3 第一項の規定による請求があつたときは、理事は、その参事又は会計主任の解任の可否を決しなければならない。
4 理事は、前項の可否を決する日の七日前までに、その参事又は会計主任に対し、第二項の書面を送付し、且つ、弁明する機会を与えなければならない。
(総会の招集)
第四十六条 理事は、定款の定めるところにより、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
第四十七条 理事は、必要があると認めるときは、定款の定めるところにより、何時でも臨時総会を招集することができる。
2 組合員が総組合員の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して総会の招集を請求したときは、理事は、その請求のあつた日から二十日以内に、臨時総会を招集しなければならない。
第四十八条 理事の職務を行う者がないとき、又は前条第二項の請求があつた場合において理事が正当な理由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。
(総会招集の手続)
第四十九条 総会の招集は、会日の十日前までに、会議の目的たる事項を示し、定款に定めた方法に従つてしなければならない。
(通知又は催告)
第五十条 組合の組合員に対してする通知又は催告は、組合員名簿に記載したその者の住所(その者が別に通知又は催告を受ける場所を組合に通知したときはその場所)にあてればよい。
2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に到達したものとみなす。
(総会の議決事項)
第五十一条 左の事項は、総会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 規約の設定、変更又は廃止
三 毎事業年度の事業計画の設定又は変更
四 経費の賦課及び徴収の方法
五 その他定款で定める事項
(総会の議事)
第五十二条 総会の議事は、この法律又は定款若しくは規約に特別の定のある場合を除いて、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
2 議長は、総会において選任する。
3 議長は、組合員として総会の議決に加わる権利を有しない。
4 総会においては、第四十九条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ議決することができる。但し、定款で別段の定をしたときはこの限りでない。
(特別の議決)
第五十三条 左の事項は、総組合員の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 組合の解散又は合併
三 組合員の除名
四 事業の全部の譲渡
(商法の準用)
第五十四条 総会については、商法第二百三十九条第四項、第二百四十条(特別利害関係人の議決権)、第二百四十四条(株主総会の議事録)及び第二百四十七条から第二百五十三条まで(株主総会の決議の取消又は無効)の規定を準用する。この場合において商法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「中小企業等協同組合法第五十三条」と読み替えるものとする。
(総代会)
第五十五条 組合員の総数が二百人をこえる組合は、定款の定めるところにより、総会に代るべき総代会を設けることができる。
2 総代は、定款の定めるところにより、総会において、組合員のうちから、その住所、事業の種類等に応じて公平に選挙されなければならない。
3 総代の定数は、組合員の総数の十分の一(組合員の総数が千人をこえる信用協同組合にあつては二百人)を下つてはならない。
4 総代の選挙については、第三十五条第四項及び第五項の規定を準用する。
5 総代会については、総会に関する規定を準用する。但し、組合員の総数が千人をこえる信用協同組合の総代会においては、総代を選挙(補欠の総代の選挙を除く。)し、又は第五十三条第二号若しくは第四号の事項について議決し、その他の組合の総代会においては、役員若しくは総代を選挙し、第六十四条第一項の規定による設立委員を選任し、又は第五十三条の事項について議決することができない。
(出資一口の金額の減少)
第五十六条 組合は、出資一口の金額の減少を議決したときは、その議決の日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。
2 組合は、前項の期間内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、且つ、預金者及び定期積金の積金者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
3 前項の一定の期間は、一箇月を下つてはならない。
第五十七条 債権者が前条第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。
2 債権者が異議を述べたときは、組合は、弁済し、若しくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。
3 組合の出資一口の金額の減少については、商法第三百八十条(株式会社の資本減少の無効)の規定を準用する。
(準備金及び繰越金)
第五十八条 組合は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剰余金の十分の一以上を準備金として積み立てなければならない。
2 前項の定款で定める準備金の額は、出資総額の二分の一を下つてはならない。
3 第一項の準備金は、損失のてん補に充てる場合を除いては、取りくずしてはならない。
4 第七十条第一項第四号又は第七十七条第一項第五号の事業を行う組合は、その事業の費用に充てるため、毎事業年度の剰余金の二十分の一以上を翌事業年度に繰り越さなければならない。
(剰余金の配当)
第五十九条 組合は、損失をてん補し、前条第一項の準備金及び同条第四項の繰越金を控除した後でなければ、剰余金の配当をしてはならない。
2 剰余金の配当は、定款の定めるところにより、組合員の組合事業の利用分量又は払込済出資額に応じてしなければならない。
3 払込済出資額に応じてする剰余金の配当の率は、年六分をこえてはならない。
第六十条 組合は、定款の定めるところにより、組合員が出資の払込を終るまでは、その組合員に配当する剰余金をその払込に充てることができる。
(組合の持分取得の禁止)
第六十一条 組合は、組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
第五節 解散及び清算
(解散の事由)
第六十二条 組合は、左の事由によつて解散する。
一 総会の決議
二 組合の合併
三 組合の破産
四 定款で定める存立時期の満了又は解散事由の発生
五 事業の全部の譲渡
六 解散を命ずる裁判
2 組合は、前項の規定により解散したときは、遅滞なく、その旨を行政庁に届け出なければならない。
(合併等の手続)
第六十三条 組合が合併し、又はその事業の全部を譲渡するには、総会の議決を経なければならない。
2 組合の合併又は事業の全部の譲渡については、第五十六条及び第五十七条の規定を準用する。
第六十四条 合併によつて組合を設立するには、各組合がそれぞれ総会において組合員のうちから選任した設立委員が共同して定款を作成し、役員を選任し、その他設立に必要な行為をしなければならない。
2 前項の規定による役員は、合併しようとする組合の組合員又は組合員たる法人の業務を執行する役員のうちから選任するものとし、その任期は、最初の通常総会の日までとする。
3 第一項の規定による設立委員の選任については、第五十三条の規定を準用する。
(合併の時期及び効果)
第六十五条 組合の合併は、合併後存続する組合又は合併によつて成立する組合が、その主たる事務所の所在地において、第八十九条に規定する登記をすることによつてその効力を生ずる。
2 合併後存続する組合又は合併によつて成立した組合は、合併によつて消滅した組合の権利義務(その組合がその行う事業に関し、行政庁の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)を承継する。
(商法等の準用)
第六十六条 組合の合併については、商法第百四条から第百十一条まで(合名会社の合併の無効)及び非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百三十五条ノ八(債務の負担部分の決定)の規定を準用する。
(信用協同組合等の事業の全部の譲渡)
第六十七条 信用協同組合又は第七十七条第一項第一号の事業を行う協同組合連合会がその事業の全部を譲渡したときは、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
2 前項の公告をしたときは、同項の組合の貸付金の債務者に対し、民法第四百六十七条の規定による確定日附のある証書をもつてする通知をしたものとみなす。この場合においては、その公告の日附をもつて確定日附とする。
(清算人)
第六十八条 組合が解散したときは、合併及び破産による解散の場合を除いては、理事が、その清算人となる。但し、総会において他人を選任したときは、この限りでない。
(商法等の準用)
第六十九条 組合の解散及び清算については、商法第百十六条、第百二十二条、第百二十四条、第百二十五条、第百二十八条、第百二十九条、第百三十一条、第四百十七条第二項、第四百十八条から第四百二十四条まで、第四百二十六条及び第四百二十七条(合名会社及び株式会社の清算)並びに非訟事件手続法第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十五条ノ二十五第二項及び第三項、第百三十六条、第百三十七条から第百三十八条まで及び第百三十八条ノ三(法人の清算の監督)の規定を、組合の清算人については、第三十八条から第四十条まで、第四十六条から第四十八条まで並びに商法第二百四十七条(決議の取消)、第二百五十四条第二項(取締役と会社との関係)、第二百六十六条(取締役の責任)、第二百六十七条(取締役に対する訴)及び第二百八十四条(取締役及び監査役の責任の解除)の規定を準用する。この場合において、商法第二百八十四条中「前条第一項」とあるのは「中小企業等協同組合法第六十九条ニ於テ準用スル同法第四十条第二項」と読み替えるものとする。
第二章 事業協同組合
(事業)
第七十条 事業協同組合(以下本章において「組合」という。)は、左の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 生産、加工、販売、購買、保管、運送、検査その他組合員の事業に関する共同施設
二 組合員に対する事業資金の貸付(手形の割引を含む。)及び組合員のためにするその借入
三 組合員の福利厚生に関する施設
四 組合員の事業に関する経営及び技術の改善向上又は組合事業に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供に関する施設
五 組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
六 前各号の事業に附帯する事業
2 組合は、組合員の利用に支障がない場合に限り、組合員以外の者にその事業を利用させることができる。但し、一事業年度における組合員以外の者の事業の利用分量の総額は、その事業年度における組合員の利用分量の総額の百分の二十をこえてはならない。
3 組合は、定款で定める金融機関に対して組合員の負担する債務を保証し、又はその金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
4 第一項第五号の団体協約は、あらかじめ総会の承認を得て、同項同号の団体協約であることを明記した書面をもつてすることによつて、その効力を生ずる。
5 第一項第五号の団体協約は、直接に組合員に対してその効力を生ずる。
6 組合員の締結する契約でその内容が第一項第五号の団体協約に定める規準に違反するものについては、その規準に違反する契約の部分は、その規準によつて、契約したものとみなす。
(倉荷証券の発行)
第七十一条 保管事業を行う組合は、運輸大臣の許可を受けて、組合員の寄託物について倉荷証券を発行することができる。
2 前項の許可を受けた組合は、組合員たる寄託者の請求により、寄託物の倉荷証券を交付しなければならない。
3 第一項の倉荷証券については、商法第六百二十七条第二項(預証券の規定の準用)及び第六百二十八条(倉荷証券による質入)の規定を準用する。
4 第一項の場合については、倉庫業法(昭和十年法律第四十一号)第四条(許可の附款)、第八条から第十条まで(監督)及び第十二条(職権の委任)の規定を準用する。
第七十二条 前条第一項の許可を受けた組合の作成する倉荷証券には、その組合の名称を冠する倉庫証券という文字を記載しなければならない。
第七十三条 組合が、倉荷証券を発行した寄託物の保管期間は、寄託の日から六箇月以内とする。
2 前項の寄託物の保管期間は、六箇月を限度として更新することができる。但し、更新の際の証券の所持人が組合員でないときは、組合員の利用に支障がない場合に限る。
第七十四条 組合が倉荷証券を発行した場合については、商法第六百十六条から第六百十九条まで及び第六百二十四条から第六百二十六条まで(寄託者又は証券の所持人の権利及び倉庫営業者の責任)の規定を準用する。
(商品券の発行)
第七十五条 組合は、法令の定めるところにより、組合又は組合員の取扱品について商品券を発行することができる。
2 組合が商品券を発行したときは、組合又は組合員は、これに対してその取扱品の引換の義務を負い、その引換をすることができないとき、又はその引換を停止したときは、商品券の所有者に対して、券面に表示した金額を限度として、弁済の責を負う。
第三章 信用協同組合
(事業)
第七十六条 信用協同組合は、左の事業を行うものとする。
一 組合員に対する資金の貸付
二 組合員のためにする手形の割引
三 組合員の預金又は定期積金の受入
四 前各号の事業に附帯する事業
2 信用協同組合は、前項の事業の外、左の事業をあわせ行うことができる。
一 金融機関の業務の代理
二 前号の規定により貸付の事業の代理をする場合において、その貸付によつて生じる債務の保証
三 組合員に対する有価証券の貸付
四 組合員以外の者の預金又は定期積金の受入
五 前号に掲げる者に対する預金又は定期積金を担保とする資金の貸付
第四章 協同組合連合会
(事業)
第七十七条 協同組合連合会(以下本章において「連合会」という。)は、左の事業の一部を行うことができる。
一 会員の預金又は定期積金の受入
二 会員に対する資金の貸付(手形の割引を含む。)及び会員のためにするその借入
三 生産、加工、販売、購買、保管、運送、検査その他連合会を直接又は間接に構成する者(以下本章において「所属員」という。)の事業に関する共同施設
四 所属員の福利厚生に関する施設
五 所属員の事業に関する経営及び技術の改善向上又は組合事業に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供に関する施設
六 所属員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
七 前各号の事業に附帯する事業
2 前項第一号の事業を行う連合会は、同項の規定にかかわらず、同項第一号及び第二号の事業並びにこれに附帯する事業の外、他の事業を行うことができない。
3 その地区が別表の地区をこえる連合会は、第一項第三号の事業を行うことができない。
4 連合会(第一項第一号の事業を行うものを除く。)については、第七十条第二項から第六項まで及び第七十一条から第七十五条までの規定を準用する。
5 第一項第一号の事業を行う連合会については、第七十六条第二項の規定を準用する。
第五章 企業組合
(事業)
第七十八条 企業組合(以下本章において「組合」という。)は、商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行うものとする。
(組合の事業と組合員との関係)
第七十九条 組合員の三分の二以上は、組合の行う事業に従事しなければならない。
2 組合の行う事業に従事する者の二分の一以上は、組合員でなければならない。
3 組合員は、総会の承認を得なければ、自己又は第三者のために組合の事業の部類に属する取引をしてはならない。
4 組合員が前項の規定に違反して自己のために取引をしたときは、組合は、総会の議決により、これをもつて組合のためにしたものとみなすことができる。
5 前項に定める権利は、他の組合員の一人がその取引を知つた時から二箇月間行使しないときは、消滅する。取引の時から一年を経過したときも同様である。
(出資)
第八十条 組合の総出資口数の過半数は、組合の行う事業に従事する組合員によつて保有されなければならない。
(組合員の所得に対する課税)
第八十一条 組合員が組合の行う事業に従事したことによつて受ける所得のうち、組合が組合員以外の者で組合の行う事業に従事する者に対して支払う給料、賃金、費用弁償、賞与及び退職給与並びにこれらの性質を有する給与と同一の基準によつて受けるものは、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の適用については、給与所得又は退職所得とする。
(適用除外)
第八十二条 企業組合については、第十二条、第十三条、第三十三条第一項第三号及び第八号、第五十一条第四号並びに第五十五条の規定は、適用しない。
2 第五十九条第二項及び第三項の規定にかかわらず、剰余金の配当は、定款の定めるところにより、年一割をこえない範囲内において払込済出資額に応じてし、なお剰余があるときは、組合員が組合の事業に従事した程度に応じてしなければならない。
第六章 登記
(設立の登記)
第八十三条 組合は、第二十九条の規定による出資の払込があつた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地において設立の登記をしなければならない。
2 設立の登記には、左の事項を掲げなければならない。但し、企業組合の設立の登記には、第三号の事項を掲げなくてもよい。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所
五 出資一口の金額及びその払込の方法並びに出資の総口数及び払込済出資総額
六 存立時期又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由
七 役員の氏名及び住所
八 組合を代表しない理事があるときは、組合を代表すべき者の氏名
九 数人の理事が共同し、又は理事が参事と共同して組合を代表すべきことを定めたときは、その規定
十 公告の方法
3 組合は、設立の登記をした後二週間以内に、従たる事務所の所在地において、前項の事項を登記しなければならない。
(従たる事務所の新設の登記)
第八十四条 組合の成立後従たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に従たる事務所を設けたことを登記し、その従たる事務所の所在地においては三週間以内に、前条第二項の事項を登記し、他の従たる事務所の所在地においては同期間内に、その従たる事務所を設けたことを登記しなければならない。
2 主たる事務所又は従たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内において、新たに従たる事務所を設けたときは、その従たる事務所を設けたことを登記すればよい。
(事務所の移転の登記)
第八十五条 組合が主たる事務所を移転したときは、旧所在地においては二週間以内に移転の登記をし、新所在地においては三週間以内に第八十三条第二項の事項を登記し、従たる事務所を移転したときは、旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、新所在地においては四週間以内に同項の事項を登記しなければならない。
2 同一の登記所の管轄区域内において主たる事務所又は従たる事務所を移転したときは、その移転の登記をすればよい。
(変更の登記)
第八十六条 第八十三条第二項の事項中に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に変更の登記をしなければならない。
2 第八十三条第二項第五号の事項中出資の総口数及び払込済出資総額の変更の登記は、前項の規定にかかわらず、毎事業年度末日現在により、事業年度終了後、主たる事務所の所在地においては四週間以内に、従たる事務所の所在地においては五週間以内にすればよい。
(参事の登記)
第八十七条 組合が参事を選任したときは、二週間以内に、これを置いた事務所の所在地において、参事の氏名及び住所、参事を置いた事務所並びに数人の参事が共同して代理権を行うべきことを定めたときはその旨を登記しなければならない。その登記した事項の変更及び参事の代理権の消滅についても同様である。
(解散の登記)
第八十八条 組合が解散したときは、合併及び破産の場合を除いて、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に解散の登記をしなければならない。
(合併の登記)
第八十九条 組合が合併するときは、合併に必要な行為を終つてから、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、合併後存続する組合については変更の登記、合併によつて消滅する組合については解散の登記、合併によつて成立する組合については第八十三条第二項に規定する登記をしなければならない。
(清算人の登記)
第九十条 清算人は、その就職の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に清算人の氏名及び住所を登記しなければならない。
2 前項の規定により登記した事項の変更の登記については、第八十六条第一項の規定を準用する。
(清算結了の登記)
第九十一条 組合の清算が結了したときは、清算結了の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に清算結了の登記をしなければならない。
(管轄登記所及び登記簿)
第九十二条 組合の登記については、その事務所の所在地を管轄する司法事務局又はその出張所を管轄登記所とする。
2 各登記所に、事業協同組合登記簿、信用協同組合登記簿、中小企業等協同組合連合会登記簿及び企業組合登記簿を備える。
(設立の登記の申請)
第九十三条 組合の設立の登記は、役員の全員の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、定款、役員たることを証する書面並びに出資の総口数及び第二十九条の規定による出資の払込のあつたことを証する書面を添附しなければならない。
3 合併による組合の設立の登記の申請書には、前項の書面の外、第六十三条第二項において準用する第五十六条第二項の規定による公告及び催告をしたこと、若し異議を述べた債権者があるときは、これに対し、弁済し、若しくは担保を供し、又は財産を信託したことを証する書面を添附しなければならない。
第九十四条 第八十三条第三項の規定による登記は、理事の申請によつてする。
(事務所の新設、移転及び変更の登記の申請)
第九十五条 組合の事務所の新設又は事務所の移転その他第八十三条第二項の事項の変更の登記は、理事又は清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、事務所の新設又は登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
3 出資一口の金額の減少又は組合の合併による変更の登記の申請書には、前項の書面の外、第五十六条第二項(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による公告及び催告をしたこと、若し異議を述べた債権者があるときは、これに対し、弁済し、若しくは担保を供し、又は財産を信託したことを証する書面を添附しなければならない。
(参事の登記の申請)
第九十六条 参事の選任、第八十七条の規定により登記した事項の変更及び参事の代理権の消滅の登記は、理事の申請によつてする。
2 前項の登記のうち、参事の選任の登記の申請書には、参事の選任を証する書面及び数人の参事が共同して代理権を行うべきことを定めたときはその旨を証する書面を、その他の登記の申請書には、その事項を証する書面を添附しなければならない。
(解散の登記の申請)
第九十七条 第八十八条の規定による組合の解散の登記は、第三項に規定する場合を除いて、清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、解散の事由を証する書面を添附しなければならない。
3 組合の解散を命ずる裁判が確定した場合については、非訟事件手続法第百三十五条及び第百九十三条第三項(裁判による会社の解散の登記)の規定を準用する。
第九十八条 第八十九条の規定による解散の登記は、合併によつて消滅する組合の理事の申請によつてする。
2 前項の場合については、第九十三条第三項及び前条第二項の規定を準用する。
(清算人の登記の申請)
第九十九条 第九十条第一項の規定による登記の申請書には、理事が清算人でないときは、申請人の資格を証する書面を添附しなければならない。
2 第九十条第二項の規定による登記の申請書には、登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
(清算結了の登記の申請)
第百条 組合の清算結了の登記は、清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、清算人が第六十九条において準用する商法第四百二十七条第一項の規定により決算報告書の承認を得たことを証する書面を添附しなければならない。
(設立無効等の登記の手続)
第百一条 組合の設立、合併若しくは出資一口の金額の減少を無効とし、又は総会の決議を取り消し、若しくは無効とする判決が確定した場合については、非訟事件手続法第百三十五条ノ六(裁判による会社の設立無効の登記)の規定を準用する。
(登記事項の公告)
第百二条 登記した事項は、司法事務局において遅滞なく公告しなければならない。
(非訟事件手続法の準用)
第百三条 組合の登記については、非訟事件手続法第百四十一条から第百五十一条ノ六まで及び第百五十四条から第百五十七条まで(商業登記の通則)の規定を準用する。
第七章 雑則
(不服の申出)
第百四条 組合の業務若しくは会計が法令若しくは定款若しくは規約に違反し、又は組合の運営が著しく不当であると思料する組合員は、その事由を添えて、文書をもつてその旨を行政庁に申し出ることができる。
2 前項の申出があつたときは、行政庁は、組合に対して、その業務又は会計に関し必要な報告書の提出を命じ、前項の申出について調査しなければならない。
3 組合が、前項の規定による報告書を提出しないときは、行政庁は、組合の業務又は会計の状況を検査しなければならない。
(検査の請求)
第百五条 組合員は、総組合員の十分の一以上の同意を得て、組合の業務又は会計が法令又は定款若しくは規約に違反する疑があることを理由として、行政庁にその検査を請求することができる。
2 前項の請求があつたときは、行政庁は、組合の業務又は会計の状況を検査しなければならない。
(行政庁の指示)
第百六条 行政庁は、第百四条第二項の規定による調査又は同条第三項若しくは前条第二項の規定による検査を行つた場合において、組合の業務若しくは会計が法令若しくは定款若しくは規約に違反し、又は組合の運営が著しく不当であると認めるときは、組合に対し、期間を定めて適当な措置を採るべき旨を指示することができる。
2 前項の規定による指示があつたときは、組合は、遅滞なく総会を開き、その指示に係る措置を実施するため必要な事項を議決しなければならない。
(排除措置)
第百七条 公正取引委員会は、組合の組合員たる事業者でその常時使用する従業員の数が五十人をこえるものが実質的に小規模の事業者でないと認めるときは、この法律の目的を達成するために、第百八条に規定する手続に従い、その事業者を組合から脱退させることができる。
第百八条 前条の場合については、私的独占禁止法第四十条から第四十二条まで(公正取引委員会の権限)、第四十五条から第六十一条まで、第六十四条、第六十六条第二項、第六十九条、第七十条(事実の報告、事件の調査、審判、審決その他事件処理の手続)、第七十五条、第七十六条(雑則)、第七十七条から第八十三条まで及び第八十八条(訴訟)の規定を準用する。
(東京高等裁判所の管轄権)
第百九条 前条の規定による公正取引委員会の審決に係る訴訟については、第一審の裁判権は、東京高等裁判所に属する。
2 前項に掲げる訴訟事件は、私的独占禁止法第八十七条第一項の規定により東京高等裁判所に設けられた裁判官の合議体が取り扱うものとする。
(商法等の準用)
第百十条 組合については、商法第五十八条第二項及び第三項、第五十九条及び第六十条(裁判による会社の解散)並びに非訟事件手続法第百二十六条第一項、第百三十四条から第百三十四条ノ三まで、第百三十五条ノ二から第百三十五条ノ五まで(裁判による会社の解散)の規定を準用する。
(所管行政庁)
第百十一条 この法律中「行政庁」とあるのは、第六十五条第二項の場合を除いては、大蔵大臣又は運輸大臣の所管する事業を行う組合及びこれらの事業以外の事業を行う組合で都道府県の区域をこえる区域を地区とする組合(企業組合を除く。)については組合の行う事業の所管大臣、その他の組合については都道府県知事とする。
2 主務大臣は、政令の定めるところにより、この法律による権限の一部を地方支分部局の長又は都道府県知事に委任することができる。
第八章 罰則
第百十二条 組合の役員がいかなる名義をもつてするを問合わず、組合の事業の範囲外において、貸付をし、若しくは手形の割引をし、又は投機取引のために組合の財産を処分したときは、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者には、情状により懲役及び罰金を併科することができる。
3 第一項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条がある場合には適用しない。
第百十三条 組合が第六条第三項の規定に違反して届出を怠り、又は虚偽の届出をしたときは、その組合の理事は、三万円以下の罰金に処する。
第百十四条 第七十一条第四項において準用する倉庫業法第八条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第七十一条第四項において準用する倉庫業法第八条第一項若しくはこの法律第百四条第三項若しくは第百五条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三万円以下の罰金に処する。
2 組合の代表者又は代理人、使用人その他の従業者が、その組合の業務に関して前項の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その組合に対して同項の罰金刑を科する。
第百十五条 左の場合には、組合の理事若しくは監事又は清算人は、一万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定に基いて組合が行うことができる事業以外の事業を営んだとき。
二 この法律に定める登記を怠つたとき。
三 第十四条の規定に違反したとき。
四 第十九条第二項、第四十一条第四項又は第四十五条第四項の規定に違反したとき。
五 第二十七条第六項又は第五十四条において準用する商法第二百四十四条若しくは第六十九条において準用する商法第四百十九条の規定に違反して総会の議事録若しくは財産目録若しくは貸借対照表を作成せず、又はこれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。
六 第三十一条又は第六十二条第二項の規定に違反したとき。
七 第三十七条の規定に違反したとき。
八 第三十九条又は第四十条(以上の各規定を第六十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反して書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当な理由がないのにその書類の閲覧を拒んだとき。
九 第四十二条において準用する商法第二百七十四条又は第六十九条において準用する商法第四百十九条第一項の規定による調査を妨げたとき。
十 第四十六条、第四十七条第二項又は第四十八条の規定に違反したとき。
十一 第五十六条第二項(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)又は第六十九条において準用する商法第四百二十一条第一項に規定する公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
十二 第五十六条若しくは第五十七条第二項の規定に違反して出資一口の金額を減少し、又は第六十三条第二項において準用する第五十六条若しくは第五十七条第二項の規定に違反して組合の合併若しくは事業の全部の譲渡をしたとき。
十三 第五十八条、第五十九条又は第八十二条第二項の規定に違反したとき。
十四 第六十一条の規定に違反して組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。
十五 第六十九条において準用する商法第百三十一条の規定に違反して組合の財産を分配したとき。
十六 第六十九条において準用する商法第四百二十一条第一項の期間を不当に定めたとき。
十七 第六十九条において準用する商法第四百二十三条の規定に違反して債務の弁済をしたとき。
十八 第七十条第二項(第七十七条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
十九 第七十七条第二項又は第三項の規定に違反したとき。
第百十六条 第百八条において私的独占禁止法第四十条及び第四十六条の規定を準用する場合の違反については、同法第九十四条及び第九十四条の二の規定を準用する。
附 則
この法律施行の期日は、公布の日から起算して一箇月を経過した日とする。但し、この法律中協同組合連合会に関する規定は、この法律施行後八箇月を経過した日から施行する。
別表
連合会の種類
地区
酒類の製造又は販売の事業を行う協同組合連合会
財務局の管轄区域
葉たばこの耕作若しくは製造たばこの販売又は塩の製造若しくは販売の事業を行う協同組合連合会
たばこ専売法(昭和二十四年法律第百十一号)第七十九条第二項の規定により大蔵大臣が財務局長の職務を行う者として指定する日本専売公社の役員又は職員の管轄区域
陸上運送業、小運送業、鉄道及び軌道の用に供する機械器具に関する事業その他陸運に関する事業を行う協同組合連合会
陸運局の管轄区域
水上運送業及び港湾運送業その他海運に関する事業を行う協同組合連合会
海運局の管轄区域
その他の協同組合連合会
通商産業局の管轄区域
大蔵大臣 池田勇人
厚生大臣 林譲治
農林大臣 森幸太郎
通商産業大臣 稲垣平太郎
運輸大臣 大屋晋三
建設大臣 益谷秀次
内閣総理大臣 吉田茂