私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第63号
公布年月日: 昭和52年6月3日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

昭和28年以来実質的な改正が行われていない独占禁止法について、経済環境の変化に対応し、安定成長期に向かう日本経済の発展のため、公正かつ自由な競争を促進する新たなルールの確立が必要となった。このため、不当な取引制限等に対する課徴金制度の新設、独占的状態における競争回復措置の導入、会社の株式保有制限の強化、違反行為に対する排除措置の強化等を行うことで、公正かつ自由な競争を促進しようとするものである。

参照した発言:
第80回国会 衆議院 商工委員会 第12号

審議経過

第80回国会

衆議院
(昭和52年4月14日)
(昭和52年4月19日)
(昭和52年4月20日)
(昭和52年4月22日)
(昭和52年4月26日)
(昭和52年4月28日)
(昭和52年5月10日)
(昭和52年5月12日)
(昭和52年5月13日)
参議院
(昭和52年5月17日)
(昭和52年5月19日)
(昭和52年5月24日)
(昭和52年5月25日)
(昭和52年5月26日)
(昭和52年5月27日)
(昭和52年6月28日)
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十二年六月三日
内閣総理大臣 福田赳夫
法律第六十三号
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
目次中「第三章 事業者団体」を
第三章
事業者団体
第三章の二
独占的状態
に、「第四章 株式の保有、役員の兼任、合併及び営業の譲受」を
第四章
株式の保有、役員の兼任、合併及び営業の譲受
第四章の二
価格の同調的引上げ
に、「第九章 訴訟」を
第九章
訴訟
第九章の二
雑則
に改める。
第二条第六項の次に次の二項を加える。
この法律において独占的状態とは、同種の商品(当該同種の商品に係る通常の事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく供給することができる商品を含む。)(以下この項において「一定の商品」という。)並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品で国内において供給されたもの(輸出されたものを除く。)の価額(当該商品に直接課される租税の額に相当する額を控除した額とする。)又は国内において供給された同種の役務の価額(当該役務の提供を受ける者に当該役務に関して課される租税の額に相当する額を控除した額とする。)の政令で定める最近の一年間における合計額が五百億円を超える場合における当該一定の商品又は役務に係る一定の事業分野において、次の各号に掲げる市場構造及び市場における弊害があることをいう。
一 当該一年間において、一の事業者の市場占拠率(当該一定の商品並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品で国内において供給されたもの(輸出されたものを除く。)又は国内において供給された当該役務の数量(数量によることが適当でない場合にあつては、これらの価格とする。以下この号において同じ。)のうち当該事業者が供給した当該一定の商品並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品又は役務の数量の占める割合をいう。以下この号において同じ。)が二分の一を超え、又は二の事業者のそれぞれの市場占拠率の合計が四分の三を超えていること。
二 他の事業者が当該事業分野に属する事業を新たに営むことを著しく困難にする事情があること。
三 当該事業者の供給する当該一定の商品又は役務につき、相当の期間、需給の変動及びその供給に要する費用の変動に照らして、価格の上昇が著しく、又はその低下がきん少であり、かつ、当該事業者がその期間次のいずれかに該当していること。
イ 当該事業者の属する政令で定める業種における標準的な政令で定める種類の利益率を著しく超える率の利益を得ていること。
ロ 当該事業者の属する事業分野における事業者の標準的な販売費及び一般管理費に比し著しく過大と認められる販売費及び一般管理費を支出していること。
経済事情が変化して国内における生産業者の出荷の状況及び卸売物価に著しい変動が生じたときは、これらの事情を考慮して、前項の金額につき政令で別段の定めをするものとする。
第七条に次の一項を加える。
公正取引委員会は、第三条の規定に違反する行為が既になくなつている場合においても、特に必要があると認めるときは、第八章第二節に規定する手続に従い、事業者に対し、当該行為が既になくなつている旨の周知措置その他当該行為が排除されたことを確保するために必要な措置を命ずることができる。ただし、当該行為がなくなつた日から当該行為につき勧告又は審判手続が開始されることなく一年を経過したときは、この限りでない。
第二章中第七条の次に次の一条を加える。
第七条の二 事業者が、不当な取引制限又は不当な取引制限に該当する事項を内容とする国際的協定若しくは国際的契約で、商品若しくは役務の対価に係るもの又は実質的に商品若しくは役務の供給量を制限することによりその対価に影響があるものをしたときは、公正取引委員会は、第八章第二節に規定する手続に従い、事業者に対し、当該行為の実行としての事業活動を行つた日から当該行為の実行としての事業活動がなくなる日までの期間(以下「実行期間」という。)における当該商品又は役務の政令で定める方法により算定した売上額に百分の三(製造業については百分の四、小売業については百分の二、卸売業については百分の一とする。)を乗じて得た額の二分の一に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。ただし、その額が二十万円未満であるときは、その納付を命ずることができない。
前項の規定による命令を受けたものは、同項に定める課徴金を納付しなければならない。
第一項の規定により計算した課徴金の額に一万円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
第一項に規定する違反行為をした事業者が会社である場合において、当該会社が合併により消滅したときは、当該会社がした違反行為は、合併後存続し、又は合併により設立された会社がした違反行為とみなして、前三項の規定を適用する。
実行期間の終了した日から三年を経過したとき(当該違反行為についての審判手続が開始された場合にあつては、当該審判手続が終了した日から一年を経過したとき(当該一年の経過が当該実行期間の終了した日から三年を経過する日前に到来したときは、当該三年を経過したとき))は、公正取引委員会は、当該違反行為に係る課徴金の納付を命ずることができない。ただし、当該違反行為について、第四十八条の二第一項の規定により課徴金を国庫に納付することを命じた後においては、この限りでない。
第八条の二第二項中「前項」を「第一項又は前項において準用する第七条第二項」に改め、「認めるときは」の下に「、第八章第二節に規定する手続に従い」を、「含む。」の下に「第四十八条第一項及び第二項において同じ。」を加え、「同項」を「第一項又は前項において準用する第七条第二項」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。
第七条第二項の規定は、前条第一項第一号、第四号又は第五号の規定に違反する行為に準用する。
第三章中第八条の二の次に次の一条を加える。
第八条の三 第七条の二の規定は、第八条第一項第一号又は第二号(不当な取引制限に該当する事項を内容とする国際的協定又は国際的契約をする場合に限る。)の規定に違反する行為が行われた場合に準用する。この場合において、第七条の二第一項中「事業者が」とあるのは「事業者団体が」と、「事業者に対し」とあるのは「事業者団体の構成事業者(構成事業者が他の事業者の利益のためにする行為を行うものである場合には、その事業者)に対し」と読み替えるものとする。
第三章の次に次の一章を加える。
第三章の二 独占的状態
第八条の四 独占的状態があるときは、公正取引委員会は、第八章第二節に規定する手続に従い、事業者に対し、営業の一部の譲渡その他当該商品又は役務について競争を回復させるために必要な措置を命ずることができる。ただし、当該措置により、当該事業者につき、その供給する商品若しくは役務の供給に要する費用の著しい上昇をもたらす程度に事業の規模が縮小し、経理が不健全になり、又は国際競争力の維持が困難になると認められる場合及び当該商品又は役務について競争を回復するに足りると認められる他の措置が講ぜられる場合は、この限りでない。
公正取引委員会は、前項の措置を命ずるに当たつては、次の各号に掲げる事項に基づき、当該事業者及び関連事業者の事業活動の円滑な遂行並びに当該事業者に雇用されている者の生活の安定について配慮しなければならない。
一 資産及び収支その他の経理の状況
二 役員及び従業員の状況
三 工場、事業場及び事務所の位置その他の立地条件
四 事業設備の状況
五 特許権、商標権その他の無体財産権の内容及び技術上の特質
六 生産、販売等の能力及び状況
七 資金、原材料等の取得の能力及び状況
八 商品又は役務の供給及び流通の状況
第九条の次に次の一条を加える。
第九条の二 金融業(銀行業、相互銀行業、信託業、保険業、無尽業及び証券業をいう。以下同じ。)以外の事業を営む株式会社であつて、その資本の額が百億円以上又はその純資産の額(最終の貸借対照表による資産の合計金額から負債の合計金額を控除して得た額をいい、当該貸借対照表に係る事業年度終了の日後において商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百八十条ノ二の規定による新株の発行、合併又は社債の株式への転換があつた場合には、これらによる純資産の増加額を加えた額をいう。以下この条において同じ。)が三百億円以上であるものは、その取得し、又は所有する国内の会社の株式の取得価額(最終の貸借対照表において別に付した価額があるときは、その価額。以下同じ。)の合計額が自己の資本の額に相当する額又は純資産の額に相当する額のいずれか多い額(以下「基準額」という。)を超えることとなる場合には、当該基準額を超えて国内の会社の株式を取得し、又は所有してはならない。ただし、次の各号に掲げる場合における当該株式の取得又は所有については、この限りでない。
一 政府、地方公共団体又は特別の法律により設立された法人で政府が資本の全額を出資しているもの若しくはその債務について政府が保証契約をすることができるものが出資している国内の会社で、政令で定めるものの株式を取得し、又は所有する場合
二 産業の開発及び経済社会の発展に寄与する事業で、多額の資金を必要とし、かつ、通常の方法によつてはその調達が困難なものを営む国内の会社で、政令で定めるものの株式を取得し、又は所有する場合
三 専ら次に掲げる事業のうち一又は二以上の事業を営むことを目的とする国内の会社で、その事業活動をその目的に沿つて行うものの株式を取得し、又は所有する場合
イ 国外における事業(当該事業に密接に関連する事業及びこれに附帯する事業で国内におけるものを含む。)
ロ 外国の政府又は外国の法人に対する出資又は長期の資金の貸付けの事業(当該事業に密接に関連する事業及びこれに附帯する事業を含む。以下この号において「投融資事業」という。)
ハ 前号に規定する会社に対する投融資事業
ニ この号に該当する会社に対する投融資事業
四 第二号に規定する事業及び前号に規定する投融資事業を営む国内の会社で、政令で定めるものの株式を取得し、又は所有する場合
五 自己が現に行う業務の一部を分離して設立する国内の会社の発行済の株式の全部をその設立後直ちに取得し、又は所有する場合。ただし、当該会社の設立の日から二年以内において所有する場合に限る。
六 自己と外国の政府、外国の法人又は外国人とが共同して出資することにより設立する国内の会社(第五項において「共同出資会社」という。)で、当該共同出資の形態をとることがその事業活動のために特に必要とされるものの株式を取得し、又は所有する場合。ただし、公正取引委員会規則で定めるところにより、あらかじめ公正取引委員会の認可を受けた場合に限る。
七 現に所有する株式(第一号から第四号まで又は前号の規定に該当する場合における当該所有する株式を除く。)について割り当てられる新株又は当該株式についての利益の配当としての新株を取得し、又は所有する場合。ただし、取得の日から二年以内において所有する場合に限る。
八 担保権の行使又は代物弁済の受領により国内の会社の株式を取得し、又は所有する場合。ただし、取得の日から一年(会社更生法(昭和二十七年法律第百七十二号)第二百六十五条の規定により代物弁済による取得とみなされる株式については、更生手続終結の決定がされた日から一年)以内において所有する場合に限る。
九 やむを得ない事情により国内の会社の株式を取得し、又は所有する場合。ただし、公正取引委員会規則で定めるところにより、あらかじめ(緊急やむを得ない事情により取得する場合にあつては、取得後遅滞なく)公正取引委員会の承認を受け、当該承認で定められた期間内において所有する場合に限る。
前項に規定する株式会社の基準額が減少したため、その所有する国内の会社の株式(同項各号の規定に該当する場合における当該所有する株式を除く。次項において同じ。)の取得価額の合計額が基準額を超えることとなつた場合においては、その超えることとなつた日から五年間における前項の規定の適用については、その取得価額の合計額を基準額とみなす。
前項の期間内に基準額が更に減少した場合においては、同項の期間が経過した日からその減少後五年を経過する日までの間における第一項の規定の適用については、その減少前の基準額又は前項の期間が経過した日において所有する国内の会社の株式の取得価額の合計額のいずれか少ない額を基準額とみなす。その減少後五年を経過する日までの間に基準額が更に減少した場合も、同様とする。
前二項の規定は、基準額が増加して、これらの規定により基準額とみなされる額以上となつたときは、適用しない。
公正取引委員会は、第一項第六号の認可をしようとするときは、あらかじめ大蔵大臣及び共同出資会社の営む事業に係る主務大臣に協議しなければならない。
公正取引委員会は、第一項第六号の認可又は同項第九号の承認をしようとするときは、あらかじめ当該認可又は承認に係る株式の取得をしようとする会社の経理につき特別の法律に基づいて勧告又は指示をすることができる大臣に協議しなければならない。
第一項第三号に該当する会社が同号に該当しなくなつた場合においては、その該当しなくなつた日から一年間は、当該会社の株式の所有については、同項の規定は、適用しない。
緊急やむを得ない事情により第一項第九号の承認をその取得後受けることとして国内の会社の株式を取得した場合において、その承認が受けられなかつたときは、その承認が受けられなかつた日から一箇月間は、当該株式の所有については、同項の規定は、適用しない。
経済事情が変化して、資本の額が多額であることにおいて上位を占める二百の株式会社(金融業を営むものを除く。以下この項において同じ。)の資本の額及び純資産の額が多額であることにおいて上位を占める二百の株式会社の純資産の額に著しい増減を生じたときは、これらの事情を考慮して、第一項の金額につき政令で別段の定めをするものとする。
第十条第二項中「(銀行業、相互銀行業、信託業、保険業、無尽業又は証券業をいう。以下同じ。)」を削り、「五億円をこえる」を「二十億円を超える」に、「株式の有価証券信託において自己を受益者とし、自己が議決権を行使する」を「金銭又は有価証券の信託に係る株式について、自己が、委託者若しくは受益者となり議決権を行使することができる場合又は議決権の行使について受託者に指図を行うことができる」に改める。
第十一条第一項中「百分の十をこえて」を「百分の五(保険業を営む会社にあつては、百分の十。次項において同じ。)を超えて」に、「但し」を「ただし」に、「左の」を「次の」に改め、同項第三号を次のように改める。
三 金銭又は有価証券の信託に係る信託財産として株式を取得し、又は所有する場合。ただし、委託者若しくは受益者が議決権を行使することができる場合又は議決権の行使について委託者若しくは受益者が受託者に指図を行うことができる場合に限る。
第十一条第二項中「百分の十」を「百分の五」に、「こえて」を「超えて」に、「すみやかに」を「速やかに」に改める。
第十三条第三項中「五億円をこえる」を「二十億円を超える」に改める。
第十七条の二第一項中「第十条」を「第九条の二第一項、第十条」に改める。
第四章の次に次の一章を加える。
第四章の二 価格の同調的引上げ
第十八条の二 国内において供給された同種の商品(輸出されたものを除く。以下この条において同じ。)の価額(当該商品に直接課される租税の額に相当する額を控除した額とする。)又は国内において供給された同種の役務の価額(当該役務の提供を受ける者に当該役務に関して課される租税の額に相当する額を控除した額とする。)の政令で定める一年間における合計額が三百億円を超える場合における当該同種の商品又は役務に係る一定の事業分野につき、供給量(一の事業者が供給する当該同種の商品又は役務の数量をいい、数量によることが適当でない場合にあつては、その価額とする。以下この条において同じ。)が多いことにおいて上位を占める三の事業者の供給量を合計した量の国内において供給された当該同種の商品又は役務の供給量を合計した量(以下「総供給量」という。)に対する割合が十分の七を超える場合において、最も供給量が多い事業者を含む二以上の主要事業者(その供給量の総供給量に対する割合が二十分の一以上であつて、供給量が多いことにおいて上位を占める五の事業者をいう。以下この条において同じ。)が当該同種の商品又は役務の取引の基準として用いる価格について、三箇月以内に、同一又は近似の額又は率の引上げをしたときは、公正取引委員会は、これらの主要事業者に対し、当該価格の引上げの理由について報告を求めることができる。ただし、商品又は役務の価格が当該事業者の営む事業に係る主務大臣の認可、承認又は届出に係る場合(届出に係る場合にあつては、主務大臣が価格の変更を命ずることができる場合に限る。)における価格の引上げについては、この限りでない。
経済事情が変化して国内における生産業者の出荷の状況及び卸売物価に著しい変動が生じたときは、これらの事情を考慮して、前項の金額につき政令で別段の定めをするものとする。
第二十条中「差止」を「差止め、契約条項の削除その他当該行為を排除するために必要な措置」に改め、同条に次の一項を加える。
第七条第二項の規定は、前条の規定に違反する行為に準用する。
第二十六条第一項中「第四十八条第三項」を「第四十八条第四項」に、「又は第五十四条」を「若しくは第五十四条の規定による審決が確定した後、又はこれらの規定による審決がされなかつた場合にあつては、第五十四条の二第一項」に改める。
第三十四条に次の一項を加える。
委員長が故障のある場合の第一項の規定の適用については、前条第二項に規定する委員長を代理する者は、委員長とみなす。
第三十五条の三中「左の」を「次の」に改め、同条中第五号を第六号とし、第四号の次に次の一号を加える。
五 審決の執行及び課徴金の徴収に関すること。
第三十五条の四中「左の」を「次の」に改め、同条第一号中「経済実態」の下に「(独占的状態に係るものを含む。)」を加え、同条第二号中「認可」の下に「、承認」を、「関すること」の下に「(他の所掌に属するものを除く。)」を加える。
第三十五条の五中「左の」を「次の」に改め、同条第一号中「違反事件」を「事件」に改め、同条中第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。
三 課徴金の納付命令に関すること。
第四十四条第一項に後段として次のように加える。
この場合においては、第十八条の二第一項の規定により求めた報告の概要を示すものとする。
第四十五条第三項中「事実」の下に「又は独占的状態に該当する事実」を加え、「以て」を「もつて」に改め、同条第二項の次に次の一項を加える。
第一項の規定による報告が、公正取引委員会規則で定めるところにより、書面で具体的な事実を摘示してされた場合において、当該報告に係る事件について、適当な措置をとり、又は措置をとらないこととしたときは、公正取引委員会は、速やかに、その旨を当該報告をした者に通知しなければならない。
第四十五条の次に次の一条を加える。
第四十五条の二 公正取引委員会は、独占的状態に該当する事実があると思料する場合において、前条第四項の措置をとることとしたときは、その旨を当該事業者の営む事業に係る主務大臣に通知しなければならない。
前項の通知があつた場合には、当該主務大臣は、公正取引委員会に対し、独占的状態の有無及び第八条の四第一項ただし書に規定する競争を回復するに足りると認められる他の措置に関し意見を述べることができる。
第四十六条第一項中「左の」を「次の」に改め、同項第四号中「臨検して」を「立ち入り」に改め、同条第三項中「臨検検査」を「立入検査」に、「証票を携帯させなければならない」を「身分を示す証明書を携帯させ、関係者に提示させなければならない」に改め、同条に次の一項を加える。
第一項の規定による処分の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第四十八条第一項中「第九条第一項若しくは第二項」の下に「、第九条の二第一項」を、「当該違反行為をしているもの」の下に「(当該違反行為が第八条に係るものであるときは、当該事業者団体の役員及び管理人並びにその構成事業者を含む。)」を加え、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同条第三項中「第一項」の下に「又は第二項」を加え、同条第一項の次に次の一項を加える。
公正取引委員会は、第三条、第八条第一項第一号、第四号若しくは第五号又は第十九条の規定に違反する行為が既になくなつていると認める場合において、特に必要があると認めるときは、当該違反行為を行つたもの(当該違反行為が第八条第一項第一号、第四号又は第五号に係るものであるときは、当該事業者団体の役員及び管理人並びにその構成事業者を含む。)に対し、適当な措置をとるべきことを勧告することができる。
第四十八条の次に次の一条を加える。
第四十八条の二 公正取引委員会は、第七条の二第一項(第八条の三において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)に規定する事実があると認める場合には、事業者又は事業者団体の構成事業者(構成事業者が他の事業者の利益のためにする行為を行うものである場合には、その事業者。以下この条において同じ。)に対し、第七条の二第一項に定める課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。ただし、当該違反行為について審判手続が開始された場合には、審判手続が終了した後でなければ命ずることができない。
前項の規定による命令(以下「納付命令」という。)は、納付すべき課徴金の額及びその計算の基礎、課徴金に係る違反行為並びに納期限を記載した課徴金納付命令書の謄本を送達して行う。
前項の課徴金の納期限は、課徴金納付命令書の謄本を発送した日から二箇月後に定めなければならない。
公正取引委員会は、納付命令をしようとするときは、当該事業者又は事業者団体の構成事業者に対し、あらかじめ、意見を述べ、及び証拠を提出する機会を与えなければならない。
納付命令に不服があるものは、公正取引委員会規則で定めるところにより、課徴金納付命令書の謄本が到達した日から三十日以内に、公正取引委員会に対し、当該事件について、審判手続の開始を請求することができる。
納付命令は、前項に規定する期間を経過した後は、第二十六条の規定の適用については、当該違反行為について前条第四項、第五十三条の三又は第五十四条の規定による審決がされた場合を除き、確定した審決とみなす。
第四十九条中「前条第一項の場合」を「第四十八条第一項若しくは第二項に規定する場合又は独占的状態があると認める場合(第八条の四第一項ただし書に規定する場合を除く。第五十四条第一項において同じ。)」に改め、同条に次の三項を加える。
前条第五項の規定による請求があつた場合においては、公正取引委員会は、当該請求を不適法として審決をもつて却下する場合を除き、遅滞なく、当該請求に係る事件について審判手続を開始しなければならない。
前項の規定により審判手続が開始された場合においては、当該事件に係る納付命令は、その効力を失う。
公正取引委員会は、第八条の四第一項に係る事件について審判手続を開始しようとするときは、当該事業者の営む事業に係る主務大臣に協議しなければならない。
第五十条第二項を次のように改める。
審判手続は、第七条第一項若しくは第二項(第八条の二第二項及び第二十条第二項において準用する場合を含む。)、第八条の二第一項若しくは第三項、第八条の四第一項、第十七条の二若しくは第二十条第一項に規定する措置(第五十二条第一項において「排除等の措置」という。)を命じようとするもの又は第四十八条の二第五項の規定による請求をしたもの(以下「被審人」という。)に審判開始決定書の謄本を送達することにより、開始する。
第五十一条の二に次のただし書を加える。
ただし、当該事件について審査官の職務を行つたことのある者その他当該事件の審査に関与したことのある者については、この限りでない。
第五十二条第一項中「第七条、第八条の二、第十七条の二又は第二十条の規定による措置」を「排除等の措置又は第七条の二第一項(第八条の三において準用する場合を含む。)の規定により課徴金の納付」に、「且つ」を「かつ」に、「臨検して」を「立ち入つて」に改める。
第五十二条の二中「前条第二項の」を「その」に改め、同条を第五十二条の三とし、第五十二条の次に次の一条を加える。
第五十二条の二 公正取引委員会は、審査官又は被審人若しくはその代理人から申出のあつた証拠を採用しないときは、その理由を示さなければならない。
第五十三条の二の次に次の一条を加える。
第五十三条の二の二 公正取引委員会は、第五十一条の二の規定により審判官に審判手続の一部を行わせた場合において、被審人又はその代理人の申出があるときは、これらの者が直接公正取引委員会に対し陳述する機会を与えなければならない。ただし、第四十九条第二項の規定により審判手続が開始された事件であつて、当該事件に係る違反行為について第四十八条第四項、次条又は第五十四条の規定による審決がされているものについては、この限りでない。
第五十三条の三中「以て申し出て、且つ、当該違反行為を排除するために自ら採るべき具体的措置」を「もつて申し出て、かつ、当該違反行為を排除し、若しくは当該違反行為が排除されたことを確保し、又は独占的状態に係る商品若しくは役務について競争を回復させるために自らとるべき具体的措置」に改める。
第五十四条第一項中「第九条第一項若しくは第二項」の下に「、第九条の二第一項」を加え、「又は第十九条」を「若しくは第十九条」に改め、「認める場合」の下に「又は独占的状態があると認める場合」を加え、「第七条、第八条の二」を「第七条第一項、第八条の二第一項若しくは第三項」に、「又は第二十条」を「若しくは第二十条第一項又は第八条の四第一項」に改め、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、「規定する行為」の下に「又は独占的状態に該当する事実」を加え、「場合及び」を「場合、」に、「且つ、既に当該行為がなくなつていると認める場合」を「かつ、既に当該行為若しくは独占的状態に該当する事実がなくなつていると認める場合(前項の規定により審決をする場合を除く。)又は独占的状態に該当する事実があつて第八条の四第一項ただし書に該当すると認める場合」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。
公正取引委員会は、審判手続を経た後、第三条、第八条第一項第一号、第四号若しくは第五号又は第十九条の規定に違反する行為が既になくなつていると認める場合において、特に必要があると認めるときは、審決をもつて、被審人に対し、第七条第二項(第八条の二第二項及び第二十条第二項において準用する場合を含む。)に規定する措置を命じなければならない。
第五十四条の次に次の二条を加える。
第五十四条の二 公正取引委員会は、審判手続を経た後、第七条の二第一項(第八条の三において準用する場合を含む。)に規定する事実があると認めるときは、審決をもつて、被審人に対し、当該違反行為に係る課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。
第四十八条の二第三項の規定は、前項の審決に準用する。
第五十四条の三 前二条の審決においては、被審人が争わない事実及び公知の事実を除き、審判手続において取り調べた証拠によつて事実を認定しなければならない。
第五十五条第二項中「及び第二項」を「、第二項及び第四項」に改め、同条に次の一項を加える。
第八条の四第一項の措置を命ずる審決をするには、前項において準用する第三十四条第二項の規定にかかわらず、三人以上の意見が一致しなければならない。
第五十七条第一項中「適用」の下に「並びに第五十四条の二第一項の審決にあつては、課徴金の計算の基礎」を加える。
第五十八条に次の一項を加える。
第八条の四第一項の措置を命ずる審決は、確定しなければ執行することができない。
第六十二条第一項中「第一項」の下に「又は第二項」を加え、「以て」を「もつて」に、「差止」を「差止め」に改める。
第六十四条中「第一項」の下に「又は第二項」を加え、同条の次に次の一条を加える。
第六十四条の二 公正取引委員会は、課徴金をその納期限までに納付しないものがあるときは、督促状により期限を指定してその納付を督促しなければならない。
公正取引委員会は、前項の規定による督促をしたときは、同項の課徴金の額につき年十四・五パーセントの割合で、納期限の翌日からその納付の日までの日数により計算した延滞金を徴収することができる。ただし、延滞金の額が千円未満であるときは、この限りでない。
前項の規定により計算した延滞金の額に百円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
公正取引委員会は、第一項の規定による督促を受けたものがその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、国税滞納処分の例により、これを徴収することができる。
前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとし、その時効については、国税の例による。
第六十五条第一項中「第十一条第一項」を「第九条の二第一項第六号、第十一条第一項」に、「又は第二十四条の四第二項の規定による認可」を「若しくは第二十四条の四第二項の認可又は第九条の二第一項第九号の承認」に、「以て」を「もつて」に改め、同条第二項中「認可」の下に「又は承認」を加える。
第六十六条第一項中「認可」の下に「又は承認」を加え、「以て」を「もつて」に改める。
第六十七条第一項中「第九条第一項若しくは第二項」の下に「、第九条の二第一項」を加え、「疑」を「疑い」に改める。
第六十九条中「又は」の下に「課徴金納付命令書若しくは」を加える。
第七十一条中「第二条第七項」を「第二条第九項」に、「聞き、且つ」を「聴き、かつ」に改める。
第七十二条中「第二条第七項」を「第二条第九項」に改め、同条の次に次の一条を加える。
第七十二条の二 公正取引委員会は、第八条の四第一項に係る事件について審判手続を開始しようとするときは、公聴会を開いて一般の意見を求めなければならない。
第七十六条中「認可申請」を「認可又は承認の申請」に改める。
第七十七条第一項中「三十日」の下に「(第八条の四第一項の措置を命ずる審決については、三箇月)」を加える。
第八十一条第一項各号列記以外の部分を次のように改める。
当事者は、裁判所に対し、当該事件に関係のある新しい証拠の申出をすることができる。ただし、公正取引委員会が認定した事実に関する証拠の申出は、次の各号の一に該当することを理由とするものであることを要する。
第八十一条第一項第二号中「且つ」を「かつ」に、「過失」を「重大な過失」に改め、同条第二項中「前項各号に掲げる場合においては」を「前項ただし書に規定する証拠の申出については」に、「その事由を明かに」を「同項各号の一に該当する事実を明らかに」に改め、同条第三項中「第一項の規定によるあたらしい証拠」を「第一項ただし書に規定する証拠の申出に理由があり、当該証拠」に改める。
第九章の次に次の一章を加える。
第九章の二 雑則
第八十八条の三 この法律に基づき、政令を制定し、又は改廃する場合においては、その政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第八十九条第一項中「左の」を「次の」に、「五十万円」を「五百万円」に改める。
第九十条中「左の」を「次の」に、「三十万円」を「三百万円」に改め、同条第三号中「第四十八条第三項」を「第四十八条第四項」に、「第五十四条第一項」を「第五十四条第一項若しくは第二項」に改める。
第九十一条中「左の」を「次の」に、「二十万円」を「二百万円」に改め、同条第六号中「第十七条」を「前各号に掲げる規定による禁止又は制限につき第十七条」に改め、同号を同条第七号とし、同条第二号から同条第五号までを一号ずつ繰り下げ、同条第一号の次に次の一号を加える。
二 第九条の二第一項の規定に違反して株式を取得し、又は所有した者
第九十一条の二中「左の」を「次の」に、「二十万円」を「二百万円」に改め、同条第九号を同条第十号とし、同条第八号の次に次の一号を加える。
九 第十八条の二第一項の規定による処分に違反して報告をせず、又は虚偽の報告をした者
第九十三条中「五万円」を「十万円」に改める。
第九十四条中「一万円」を「二十万円」に改める。
第九十四条の二中「左の」を「次の」に、「五千円」を「二十万円」に改める。
第九十五条第一項中「第九十一条第一号から第三号まで、第五号若しくは第六号」を「第九十一条(第五号を除く。)」に、「外」を「ほか」に改め、同条第二項中「第九十一条第一号若しくは第五号」を「第九十一条第一号、第六号若しくは第七号(第一号又は第六号に係る部分に限る。)」に、「第二号若しくは第五号」を「第二号、第五号若しくは第九号」に、「外」を「ほか」に改める。
第九十五条の三を第九十五条の四とし、第九十五条の二第一項中「第九十条第一号若しくは第二号」を「第九十条」に改め、同条を第九十五条の三とし、第九十五条の次に次の一条を加える。
第九十五条の二 第八十九条第一項第一号、第九十条第一号若しくは第三号又は第九十一条(第五号を除く。)の違反があつた場合においては、その違反の計画を知り、その防止に必要な措置を講ぜず、又はその違反行為を知り、その是正に必要な措置を講じなかつた当該法人(第九十条第一号又は第三号の違反があつた場合における当該法人で事業者団体に該当するものを除く。)の代表者に対しても、各本条の罰金刑を科する。
第九十七条中「第四十八条第三項」を「第四十八条第四項」に、「第五十四条第一項」を「第五十四条第一項若しくは第二項」に、「五万円」を「五十万円」に、「但し」を「ただし」に改める。
第九十八条中「三万円」を「三十万円」に改める。
第百六条中「第九条」の下に「、第九条の二」を加え、「、第十二条」を削る。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「旧法」という。)の規定によつてした処分、手続その他の行為は、改正後の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「新法」という。)の規定によつてしたものとみなす。
第三条 新法第七条第二項(新法第八条の二第二項及び第二十条第二項において準用する場合を含む。)及び新法第七条の二第一項(新法第八条の三において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に既になくなつている行為には、適用しない。
2 施行日前に開始され、施行日以後に終わった行為に対する新法第七条の二第一項(新法第八条の三において準用する場合を含む。)の規定の適用については、施行日から当該行為の実行としての事業活動がなくなる日までの期間を実行期間とみなす。
第四条 新法第九条の二第一項第五号、第六号、第八号及び第九号の規定は、同項の規定の適用を受ける株式会社が昭和五十二年一月一日から施行日の前日までの間に取得した株式についても適用する。この場合において、施行日に同項の規定の適用を受ける株式会社についての同項第六号及び第九号の規定の適用については、同項第六号中「あらかじめ」とあり、及び同項第九号中「あらかじめ(緊急やむを得ない事情により取得する場合にあつては、取得後遅滞なく)」とあるのは、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(昭和五十二年法律第六十三号)の施行後遅滞なく」とする。
第五条 新法第九条の二第一項に規定する株式会社につき、第一号に掲げる額が施行日における基準額(同項に規定する基準額をいう。以下同じ。)を超えている場合においては、施行日から十年間は、次に掲げる額のいずれか少ない額(以下「特例基準額」という。)を基準額とみなして、同項の規定を適用する。ただし、特例基準額が基準額以下であるとき、又は基準額が増加して特例基準額以上となつたときは、この限りでない。
一 施行日に所有する国内の会社(新法第九条の二第一項第一号から第四号までに規定する国内の会社を除く。以下この項及び附則第七条第一項において同じ。)の株式(新法第九条の二第一項第五号、第六号、第八号又は第九号の規定に該当する場合における当該所有する株式を除く。附則第七条第一項において同じ。)の取得価額(新法第九条の二第一項に規定する取得価額をいう。以下同じ。)の合計額
二 昭和五十一年十二月三十一日に所有していた国内の会社の株式の取得価額(同日の翌日から施行日の前日までに、当該株式について割り当てられる新株を取得し、又は当該株式についての利益の配当としての新株を取得した場合においては、当該新株の取得価額を含み、当該株式会社がその間に行われた合併に係るものである場合においては、当該合併により消滅した会社が昭和五十一年十二月三十一日に所有していた国内の会社の株式の取得価額を含む。附則第七条第一項第一号ロ及び第二号ロにおいて同じ。)の合計額
2 新法第九条の二第一項に規定する株式会社につき、前項第一号に掲げる額が特例基準額(同項ただし書に該当する場合にあつては、基準額)を超えている場合においては、施行日から一年間は、同項の規定にかかわらず、同号に掲げる額を基準額とみなして、同条第一項の規定を適用する。
第六条 前条の規定は、施行日後に新法第九条の二第一項の規定の適用を受けることとなつた株式会社(合併によつて同項の規定の適用を受けることとなつたものを除く。)について準用する。この場合において、前条第一項中「施行日に」とあるのは「新法第九条の二第一項の規定の適用を受けることとなつた日に」と、「その間」とあるのは「昭和五十二年一月一日から新法第九条の二第一項の規定の適用を受けることとなつた日の前日までの間」と、同条第二項中「施行日」とあるのは「同条第一項の規定の適用を受けることとなつた日」と読み替えるものとする。
第七条 施行日から十年を経過する日までの間に会社の合併が行われた場合において、合併後存続し、又は合併により設立された株式会社が新法第九条の二第一項に規定する株式会社であり、かつ、基準額を超えて国内の会社の株式を所有することとなるときは、合併の時以後施行日から十年を経過する日までの間は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める額を基準額とみなして、新法第九条の二第一項の規定を適用する。ただし、基準額が増加して基準額とみなされる額以上となつたときは、この限りでない。
一 合併後存続する株式会社 次に掲げる額のいずれか少ない額
イ 合併の時にその株式会社及び当該合併により消滅した会社がそれぞれ所有していた国内の会社の株式の取得価額の合計額の和
ロ 昭和五十一年十二月三十一日にその株式会社及び当該合併により消滅した会社がそれぞれ所有していた国内の会社の株式の取得価額の合計額の和
二 合併により設立された株式会社 次に掲げる額のいずれか少ない額
イ 合併の時に当該合併により消滅した会社がそれぞれ所有していた国内の会社の株式の取得価額の合計額の和
ロ 昭和五十一年十二月三十一日に当該合併により消滅した会社がそれぞれ所有していた国内の会社の株式の取得価額の合計額の和
2 前項の場合において、基準額とみなされる額が同項第一号ロ又は第二号ロに掲げる額であるときは、当該合併の日から起算して一年を経過する日までの間は、それぞれ同項第一号イ又は第二号イに掲げる額を基準額とみなして、新法第九条の二第一項の規定を適用する。
第八条 金融業を営む会社(新法第十一条第一項に規定する金融業を営む会社で保険業を営む会社以外のものをいい、以下「金融会社」という。)が施行日に国内の会社の株式(同項第三号に規定する場合における当該所有する株式を除く。以下この条において同じ。)をその発行済の株式の総数の百分の五(以下「基準株式数」という。)を超えて所有している場合(当該国内の会社の発行済の株式の総数の百分の十を超えて所有している場合にあつては、旧法第十一条第一項ただし書若しくは同条第二項の認可を受け、又は同条第一項第一号若しくは第二号の一に該当して所有している場合に限る。)におけるその金融会社による当該国内の会社の株式の取得又は所有については、施行日から十年間は、次に掲げる株式の数のいずれか少ない数(以下「特例基準株式数」という。)を基準株式数とみなして、新法第十一条の規定を適用する。ただし、特例基準株式数が基準株式数以下であるとき、又は基準株式数が増加して特例基準株式数以上となつたときは、この限りでない。
一 施行日に所有する当該国内の会社の株式の数
二 昭和五十一年十二月三十一日に所有していた当該国内の会社の株式の数
三 施行日における当該国内の会社の発行済の株式の総数の百分の十
2 前項第二号に規定する株式につき、昭和五十二年一月一日から施行日の前日までの間に、次の各号に掲げる事由が生じたときは、昭和五十一年十二月三十一日に所有していた当該国内の会社の株式の数に、それぞれ当該各号に定める株式の数を加えた数(第四号に掲げる事由が生じたときは、同号に定める株式の数を減じた数)を同項第二号に掲げる株式の数とみなす。
一 株式の分割があつたとき 同日に所有していた株式の分割により増加した株式の数
二 新株の発行又は株式による利益の配当があつたとき 同日に所有していた株式について割り当てられた新株又は利益の配当として取得した新株の数
三 当該国内の会社が合併して存続するとき 同日に所有していた合併により消滅した会社の株式について割り当てられた当該存続する会社の株式の数
四 株式の併合又は消却があつたとき 同日に所有していた株式の併合又は消却により減少した株式の数
3 昭和五十二年一月一日から施行日の前日までの間に合併により設立された国内の会社に係る第一項の規定の適用については、昭和五十一年十二月三十一日に所有していた当該合併により消滅した会社の株式について割り当てられた当該合併により設立された会社の株式の数の和を同項第二号に掲げる株式の数とみなす。
4 昭和五十二年一月一日から施行日の前日までの間に国内の会社の合併が行われ、合併した会社の一方が存続する場合において、第一項の規定の適用を受ける金融会社が昭和五十一年十二月三十一日に当該合併後存続する会社の株式を所有していなかつたときは、同日に所有していた当該合併により消滅した会社の株式について割り当てられた当該合併後存続する会社の株式の数を同項第二号に掲げる株式の数とみなす。
5 金融会社が施行日に所有する国内の会社の株式の数が特例基準株式数(第一項ただし書に該当する場合にあつては、基準株式数)を超えている場合(同項第三号に掲げる株式の数が特例基準株式数となる場合を除く。)においては、施行日から一年間は、施行日に所有する株式の数を基準株式数とみなして、新法第十一条の規定を適用する。この場合においては、第七項の規定を準用する。
6 第一項の規定により同項第三号に掲げる株式の数を特例基準株式数とする金融会社の施行日に所有する株式に旧法第十一条第一項第一号又は第二号に該当して所有するものがある場合においては、当該株式の取得の日を当該国内の会社の株式を基準株式数を超えて所有することとなつた日とみなして、新法第十一条第二項の規定を適用する。
7 金融会社の所有する国内の会社の株式で第一項の規定の適用を受けるものについて、施行日以後に第二項各号に掲げる事由が生じたときは、特例基準株式数に、同項の規定の例により加減した株式の数を特例基準株式数とみなす。ただし、同項第二号の規定の適用により加算される株式(準備金の資本への組入れにより無償で割り当てられた新株を除く。)については、取得の日から二年以内において所有する場合に限る。
8 金融会社の所有する国内の会社の株式で第一項の規定の適用を受けるものを発行する国内の会社が合併により消滅した場合において、その金融会社が次の各号に掲げる国内の会社の株式を基準株式数を超えて所有することとなるときは、当該国内の会社の株式について、それぞれ当該各号に定める株式の数を特例基準株式数とみなす。ただし、当該合併後存続する会社の株式について前項の規定の適用があるときは、この限りでない。
一 当該合併後存続する会社 合併の時に所有していたその会社の株式の数に合併の時に所有していた当該合併により消滅した会社の株式について割り当てられた当該合併後存続する会社の株式の数を加えた数
二 当該合併により設立された会社 合併の時に所有していた当該合併により消滅した会社の株式について割り当てられた当該合併により設立された会社の株式の数の和
第九条 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(中小企業等協同組合法の一部改正)
第十条 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)の一部を次のように改正する。
第百八条中「から第六十一条まで」を「、第四十六条、第四十七条、第四十八条第一項、第三項及び第四項、第四十九条第一項、第五十条から第五十三条の三まで、第五十四条第一項及び第三項、第五十四条の三、第五十五条第一項及び第二項、第五十六条、第五十七条、第五十八条第一項、第五十九条から第六十一条まで」に、「及び」を「並びに」に改める。
(会社更生法の一部改正)
第十一条 会社更生法(昭和二十七年法律第百七十二号)の一部を次のように改正する。
第二百六十五条中「第十一条」を「第九条の二(大規模会社の株式保有の制限)及び第十一条」に改める。
(小売商業調整特別措置法の一部改正)
第十二条 小売商業調整特別措置法(昭和三十四年法律第百五十五号)の一部を次のように改正する。
第十二条第一項中「第二条第七項」を「第二条第九項」に改める。
(中小企業投資育成株式会社法の一部改正)
第十三条 中小企業投資育成株式会社法(昭和三十八年法律第百一号)の一部を次のように改正する。
第十六条の次に次の一条を加える。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外)
第十六条の二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第九条の二の規定は、第八条第一項第一号又は第二号に規定する事業としての株式の保有については、適用しない。
(所得税法の一部改正)
第十四条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
第四十五条第一項に次の一号を加える。
九 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定による課徴金及び延滞金
(法人税法の一部改正)
第十五条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
第三十八条第二項に次の一号を加える。
七 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定による課徴金及び延滞金
内閣総理大臣 福田赳夫
法務大臣 福田一
大蔵大臣 坊秀男
通商産業大臣 田中龍夫