(加入命令)
第五十五条 主務大臣は、次の各号に掲げる要件を備える商工組合の地区内において資格事業を営む中小企業者であつて組合員以外のものの事業活動が第九条に掲げる事態の克服を阻害しており、このような状態が継続することは、その地区内において資格事業を営む中小企業者の経営の安定に重大な悪影響を及ぼし、国民経済の健全な発展に著しい支障を生ずるおそれがあると認められる場合において、その商工組合がその地区内において資格事業を営むすべての中小企業者の事業活動を自主的に調整することによつて同条に掲げる事態を克服することができ、かつ、その方法によることがその事態を克服するのに最も適当であると認められるときは、政令で定めるところにより、その地区内において資格事業を営む中小企業者であつて組合員以外のものに対し、その商工組合に加入すべきことを命ずることができる。
一 その地区内において資格事業を営む中小企業者の四分の三以上が組合員となつていること。
二 その地区内において資格事業を営む者及びその地区内において資格事業を行う第十一条第二号に掲げる団体(その資格事業がその団体について同号の政令で定める業種に属する場合に限る。以下同じ。)の総数の四分の三以上が中小企業者であること。
三 その地区内における資格事業の事業活動の相当部分が中小企業者によつて行われていること。
2 前項の規定による命令があつたときは、その実施の日におけるその商工組合の地区内においてその実施の日における資格事業たる事業を営む中小企業者であつて組合員以外のもの(第四項の規定により認証を受けた者を除く。)は、その実施の日から二十日を経過した日(その日以後その地区内においてその事業を営む中小企業者となつた者にあつては、その事業を営む中小企業者となつた日)に、その商工組合の組合員となる。
3 前項の規定により出資組合たる商工組合の組合員となる者は、第三十四条第二項ただし書の承諾を得たものとみなす。非出資組合たる商工組合が出資組合に移行した場合において、その商工組合が非出資組合であつた間に前項の規定によりその組合員となつた者についても、同様とする。
4 第一項の規定による命令があつたときは、その命令の対象となつた中小企業者のうちその商工組合に加入することに支障がある者は、その命令があつた日から起算して二週間以内に行政庁にその旨の認証を求めることができる。この場合において当該行政庁は、その認証を第一項の規定による命令の実施の日から二十日以内にしなければならない。
5 前項の規定により認証を受けた者は、その商工組合の行う調整事業に係る制限に従わなければならない。
6 商工組合は、前項の規定の適用を受ける者に対し、その商工組合の調整規程で定める例に従い、その調整事業に係る制限を実施するため必要な限度において、検査を行い、手数料、経費及び過怠金を課することができる。
7 第一項の規定による命令に係る商工組合は、その命令があつた日から九十日以内に、その商工組合の実施している調整規程を変更するかどうかについて、総会の議決を経なければならない。
8 前項の議決については、第二十三条第二項の規定を準用する。
(事業活動の規制に関する命令)
第五十六条 主務大臣は、次の各号に掲げる要件を備える商工組合の組合員たる資格を有する者であつて組合員以外のもの(中小企業者を除く。)の事業活動が第九条に掲げる事態の克服を阻害しており、又はその商工組合の組合員たる資格を有する者の事業活動を自主的に調整することによつては同条に掲げる事態を克服することができず、若しくはその方法によることがその事態を克服するのに適当でないと認められる場合において、このような状態が継続することは、その地区内において資格事業を営む中小企業者の経営の安定に重大な悪影響を及ぼし、国民経済の健全な発展に著しい支障を生ずるおそれがあると認められるときは、政令で定めるところにより、その調整規程の内容を参酌して、その資格事業に係る第十七条第一項第一号から第七号までに掲げる制限を定め、その組合員たる資格を有する者に対し、これに従うべきことを命ずることができる。
一 その地区内において資格事業を営む者であつて中小企業者以外のもの及びその地区内において資格事業を行う第十一条第二号に掲げる団体が加入することができること。
二 組合員たる資格を有する者の三分の二以上が組合員となつていること。
第五十七条 主務大臣は、次に掲げる要件を備える商工組合連合会の地区内において資格事業を営む者であつてその会員たる商工組合の組合員以外のもの(その会員たる商工組合の地区内の中小企業者を除く。)若しくはその地区内において資格事業を行う第十一条第二号に掲げる団体であつてその会員たる商工組合の組合員以外のものの事業活動がその地区の全部若しくは大部分について第九条に掲げる事態の克服を阻害しており、又はその商工組合連合会の会員たる商工組合の全部若しくは大部分が組合員たる資格を有する者の事業活動を自主的に調整することによつては同条に掲げる事態を克服することができず、若しくはその方法によることがその事態を克服するのに適当でないと認められる場合において、このような状態が継続することは、資格事業を営む中小企業者の経営の安定に重大な悪影響を及ぼし、国民経済の健全な発展に著しい支障を生ずるおそれがあると認められるときは、政令で定めるところにより、その総合調整規程の内容を参酌して、その資格事業に係る第十七条第一項第一号から第七号までに掲げる制限を定め、その地区内において資格事業を営む者及びその地区内において資格事業を行う第十一条第二号に掲げる団体に対し、これに従うべきことを命ずることができる。
一 会員たる商工組合のすべてが前条第一号の要件を備えていること。
二 その地区内において資格事業を営む者及びその地区内において資格事業を行う第十一条第二号に掲げる団体の総数の三分の二以上が会員たる商工組合の組合員となつていること。
(設備新設の制限命令)
第五十八条 主務大臣は、政令で定める資格事業につき、第五十六条又は第五十七条の規定により生産の設備の制限に関する命令をするに際し、又は命令をした後において、特に必要があると認めるときは、その命令の有効期間中に限り、政令で定めるところにより、その命令に係る地区内における当該資格事業に係る物の生産の設備の新設の制限又は禁止を命ずることができる。
(命令の決定及び形式)
第五十九条 第五十五条第一項、第五十六条又は第五十七条の規定による命令は、その組合が総会の議決を経て申し出た場合でなければ、することができない。
2 主務大臣は、前項の規定による申出があつたときは、遅滞なく、第五十五条第一項、第五十六条又は第五十七条の規定による命令をするかどうかを決定し、その申出をした組合にその結果を通知しなければならない。
3 第一項の議決については、第二十三条第二項の規定を準用する。
4 第五十五条第一項、第五十六条、第五十七条又は前条の規定による命令は、省令をもつてするものとする。
(聴聞)
第六十条 主務大臣は、第五十五条第一項又は第五十六条から第五十八条までの規定による命令をしようとするときは、聴聞を行い、広く一般の意見をきかなければならない。
(調整規程等の変更命令)
第六十一条 主務大臣は、第五十五条第一項、第五十六条若しくは第五十七条の規定による命令をしようとするとき、又はその命令をした後において、特に必要があると認めるときは、その命令に係る商工組合又は商工組合連合会若しくはその会員たる商工組合に対し、その調整規程又は総合調整規程を変更すべきことを命ずることができる。
(命令の変更又は取消)
第六十二条 主務大臣は、第五十五条第一項又は第五十六条から第五十八条までの規定による命令をした後において、これらの規定によりその命令をする要件となつた事実が変更し、又は消滅したと認めるときは、その命令を変更し、又は取り消さなければならない。
(脱退の特例)
第六十三条 第五十五条第一項の命令に係る商工組合の組合員であつて中小企業者であるものは、その命令が効力を失うまでは、第三十八条第三項において準用する協同組合法第十九条第一項第一号又は第二号に掲げる理由による場合を除き、脱退することができない。
2 第五十五条第一項の命令に係る商工組合の組合員であつて中小企業者であるものは、その命令が効力を失つたときは、第三十八条の規定にかかわらず、予告しないで脱退することができる。ただし、その命令が効力を失つた日から三十日を経過した後は、この限りでない。
(事務の処理)
第六十四条 主務大臣は、第五十六条又は第五十七条の規定による命令をする場合において、その命令の円滑な実施を図るため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、その命令に係る事務の一部はその命令に係る商工組合又は商工組合連合会若しくはその会員たる商工組合が処理すべき旨を定めることができる。
(手数料)
第六十五条 第五十六条又は第五十七条の規定による命令に基く登録、割当、検査その他の処分を受ける者は、省令で定めるところにより、その処分をするのに直接必要となる費用の額をこえない範囲内において省令で定める額の手数料を納付しなければならない。
(秘密保持義務)
第六十六条 次に掲げる者は、その職務に関して知得した秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
一 第五十五条第一項の規定による命令に係る商工組合の役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者
二 第六十四条の規定により第五十六条若しくは第五十七条の規定による命令に係る事務を処理する組合の役員若しくは職員であつてその事務に従事するもの又はこれらの職にあつた者