中小企業安定法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第169号
公布年月日: 昭和30年8月16日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

中小企業の零細性と過剰による過当競争の弊害に対処するため、昭和27年に中小企業安定法が制定された。同法は、製品の需給均衡が失われ不況に陥った場合に需給調整措置を講じ、中小企業の安定を図るものである。施行後3年間で23業種、200以上の調整組合が設立され、6業種でアウトサイダー規制命令が発動されるなど、一定の成果を上げてきた。しかし、最近の経済正常化に伴い、中小企業の慢性的不況や過度競争による輸出産業への悪影響が深刻化している。そこで、法律の適用要件を緩和し、輸出貿易振興にも適用できるようにするとともに、調整事業の範囲を拡張するため、本改正案を提出するものである。

参照した発言:
第22回国会 衆議院 商工委員会 第31号

審議経過

第22回国会

参議院
(昭和30年6月23日)
衆議院
(昭和30年6月28日)
(昭和30年7月6日)
(昭和30年7月11日)
参議院
(昭和30年7月12日)
衆議院
(昭和30年7月13日)
(昭和30年7月14日)
(昭和30年7月15日)
参議院
(昭和30年7月25日)
(昭和30年7月26日)
(昭和30年7月27日)
(昭和30年7月30日)
衆議院
(昭和30年7月25日)
中小企業安定法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十年八月十六日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第百六十九号
中小企業安定法の一部を改正する法律
中小企業安定法(昭和二十七年法律第二百九十四号)の一部を次のように改正する。
本則(第三十条第二項及び第三十三条を除く。)中「通商産業大臣」を「通商産業大臣及び当該指定業種に属する事業についての主務大臣」に、「通商産業省令」を「省令」に改める。
第一条中「製品の需給が著しく均衡を失した場合において、適切な需給調整措置を講ずることができるようにし」を「過度の競争により当該部門の製品に関する国内取引又は輸出貿易の円滑な運行が阻害されており又は阻害される虞がある場合に、適切な需給調整その他取引の安定を確保するための措置を講ずることができるようにし」に改める。
第二条第一項を次のように改める。
この法律の適用を受ける業種は、工業部門に属する業種のうち、左の各号に掲げる要件に適合するものにつき政令で指定するものとする。
一 当該業種に属する事業を営む者の総数のおおむね三分の二以上が中小企業者であり、且つ、当該業種に係る製品(加工品を含む。以下同じ。)の過去一年間の総生産数量のおおむね二分の一以上が中小企業者によつて生産されていること。
二 過度の競争により当該業種に係る製品に関する国内取引又は輸出貿易の円滑な運行が阻害されており又は阻害される虞があること。
第十五条のうち第一号、第二号及び第三号中「製品の検査」を「検査」に、第三号中「各号」を「第二号」に改め、第四号中「製品の原材料の」の下に「購入数量若しくは」を加え、同号中「原材料の検査」を「検査」に、第六号中「貸付並びに組合員のためにするその借入」を「あつ旋(あつ旋に代えてする資金の借入及びその借り入れた資金の組合員に対する貸付を含む。)」に、第八号中「前七号」を「前八号」に改め、第三号の次に次の一号を加える。
三の二 組合員が生産する指定業種に係る製品の品質、意匠又は品種に関する制限(これらの制限を確保するための検査を含む。)
第十六条第一項中「生産設備に関する制限」の下に「若しくは原材料の購入数量に関する制限」を加え、同条第三項第一号中「各号」を「第二号」に改め、同条第三項の次に次の三項を加える。
4 通商産業大臣及び当該指定業種に属する事業についての主務大臣は、第一項の認可の申請があつたときは、当該申請を受理した日(第三十五条の二の規定により当該申請について都道府県知事を経由させる場合においては、都道府県知事から通商産業大臣及び当該指定業種に属する事業についての主務大臣に当該申請が到達した日)から起算して一月以内に、認可又は不認可の処分をしなければならない。
5 前項の期間内に同項の処分がなされなかつたときは、当該期間が満了した日の翌日において第一項の認可があつたものとみなす。
6 通商産業大臣及び当該指定業種に属する事業についての主務大臣が第一項の認可の申請に関し申請者に報告を求めたときは、その日からその報告を通商産業大臣及び当該指定業種に属する事業についての主務大臣が受理するまでの期間は、これを第四項の期間に算入しない。
第二十六条のうち第一号、第二号及び第三号中「製品の検査」を「検査」に、第三号中「各号」を「第二号」に改め、第四号中「製品の原材料の」の下に「購入数量若しくは」を加え、同号中「原材料の検査」を「検査」に、「に関する事業の総合調整」を「についての総合調整計画の設定及びその実施」に、第六号中「貸付並びに会員たる調整組合及びその組合員のためにするその借入」を「あつ旋(あつ旋に代えてする資金の借入並びにその借り入れた資金の会員たる調整組合及びその組合員に対する貸付を含む。)」に、第八号中「前七号」を「前八号」に改め、第三号の次に次の一号を加える。
三の二 会員たる調整組合が行うその組合員に対する指定業種に係る製品の品質、意匠又は品種に関する制限(これらの制限を確保するための検査を含む。)についての総合調整計画の設定及びその実施
第二十九条のうち第一項中「適用を受けることとなつた場合において」を「適用を受けることとなり、且つ」に、「申出があつたときは」を「申出があつた場合において」に、「当該業種に係る産業の存立及びその関連産業に及ぼす重大な悪影響を除去することができないと認めるときに限り」を「当該業種に属する中小企業の安定に重大な悪影響を及ぼし、国民経済の健全な発展に著しい支障を生ずると認めるときは」に、「若しくは販売価格」を「、販売価格、品質、意匠若しくは品種」に改め、同項中「原材料の」の下に「購入数量、」を加え、同項中「当該業種に係る製品の需給調整を阻害」を「第二条第一項第二号に規定する事態の克服を阻害」に、「当該業種に係る製品の需給調整の目的を達成する」を「第二条第一項第二号に規定する事態を克服する」に改め、第三項を削り、第四項中「第二項」を「前項」に改め、同項を第三項とし、第五項を第四項とする。
第二十九条の二の見出し中「許可等」を「制限」に改める。
第三十条のうち第二項中「通商産業大臣は、」を「通商産業大臣及び当該指定業種に属する事業についての主務大臣は、第十六条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の認可又は」に改め、第三項中「第十六条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の認可又は」及び「若しくは同条第三項但書の規定による期間の延長」を削り、第四項の次に次の一項を加える。
5 公正取引委員会は、前項の規定による請求をしたときは、遅滞なく、その旨を官報に公示しなければならない。
第三十条の二を削る。
第三十二条に次のただし書を加える。
但し、左の各号に掲げる場合は、この限りでない。
一 不公正な取引方法を用いるとき又は組合員若しくは会員に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにするとき。
二 第三十条第五項の規定による公示があつた後一月を経過したとき(同条第四項の請求に応じ、通商産業大臣及び当該指定業種に属する事業についての主務大臣が第十八条第一項又は第二項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による処分をした場合を除く。)。
第三十二条に次の一項を加える。
2 第三十条第四項の規定による請求が調整規程又は総合調整計画の定の一部について行われたときは、前項第二号の規定にかかわらず、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定は、その調整規程又は総合調整計画の定のうちその請求に係る部分以外の部分に基いてする行為には、適用しない。
第三十四条第二項中「第四項」を「第三項」に改める。
第三十五条の三中「通商産業局長又は」を削る。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 改正後の第十六条第四項から第六項までの規定は、この法律の施行後になされる認可の申請について適用する。
3 改正前の規定に基いてした命令、処分、手続その他の行為は、改正後の相当規定によつてしたものとみなす。
4 中小企業等協同組合法の一部を改正する法律(昭和三十年法律第百二十一号)の一部を次のように改正する。
附則第二十条のうち第十四条の改正規定の次に次のように加える。
第二十七条中「から第十四条まで」を「、第十四条」に改める。
附則第二十条のうち第二十八条の改正規定中「通商産業大臣」を「通商産業大臣及び当該指定業種に属する事業についての主務大臣」に改める。
内閣総理大臣 鳩山一郎
厚生大臣 川崎秀二
農林大臣臨時代理 国務大臣 高碕達之助
通商産業大臣 石橋湛山