中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律
法令番号: 法律第六十号
公布年月日: 昭和56年6月1日
法令の形式: 法律
中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十六年六月一日
内閣総理大臣 鈴木善幸
法律第六十号
中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律
(相互銀行法の一部改正)
第一条 相互銀行法(昭和二十六年法律第百九十九号)の一部を次のように改正する。
第七条を次のように改める。
(他業の禁止)
第七条 相互銀行は、第二条の規定により営む業務及び担保附社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)その他の法律により営む業務のほか、他の業務を営むことができない。
(信用金庫法の一部改正)
第二条 信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)の一部を次のように改正する。
第七条を次のように改める。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律との関係)
第七条 次に掲げる金庫は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下この条において「私的独占禁止法」という。)の適用については、私的独占禁止法第二十四条第一号に掲げる要件を備える組合とみなす。
一 信用金庫であつて、その会員である事業者が次のいずれかに掲げる者であるもの
イ その常時使用する従業員の数が三百人を超えない事業者
ロ その資本の額又は出資の総額が政令で定める金額を超えない法人である事業者
二 前号に掲げる信用金庫をもつて組織する信用金庫連合会
2 前項に定めるもののほか、金庫は、私的独占禁止法の適用については、私的独占禁止法第二十四条第二号から第四号までに掲げる要件を備える組合とみなす。
3 第一項各号に掲げる金庫以外の金庫が私的独占禁止法第二十四条第一号の要件を備える組合に該当するかどうかの判断は、公正取引委員会の権限に属する。
4 第一項第一号ロの規定に基づき政令で金額を定める場合には、小規模の事業者の相互扶助に資するとともに公正かつ自由な競争の確保を図る見地から定めるものとする。
第十条第一項中「左に」を「次に」に改め、同項ただし書を次のように改める。
ただし、第一号又は第二号に掲げる者に該当する個人にあつてはその常時使用する従業員の数が三百人を超える事業者を除くものとし、第一号又は第二号に掲げる者に該当する法人にあつてはその常時使用する従業員の数が三百人を超え、かつ、その資本の額又は出資の総額が政令で定める金額を超える事業者を除くものとする。
第五十三条第一項中「左の」を「次に掲げる」に、「附随する」を「付随する」に、「受入」を「受入れ」に、「内国為替取引」を「為替取引」に、「取扱」を「取扱い」に改め、同条第二項中「前項第二号及び第三号に規定する業務の遂行を妨げない限度において、政令で定めるところにより」を「政令で定めるところにより、前項第二号及び第三号に掲げる業務の遂行を妨げない限度において」に改め、同条第三項を削り、同条第四項中「規定する業務に関して」を「掲げる業務を行う場合には」に改め、「これらの規定にいう」を削り、同項を同条第三項とし、同条に次の三項を加える。
4 信用金庫は、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)の適用については、銀行とみなす。
5 信用金庫は、国民金融公庫の業務の代理を行うときは、国民金融公庫法(昭和二十四年法律第四十九号)第二十三条の規定の適用については、銀行とみなす。
6 信用金庫は、次の各号に掲げる者で第一項第七号の規定による大蔵大臣の指定を受けたものの業務の代理を行うときは、当該各号に掲げる者の区分に応じ当該各号に定める法律の規定の適用については、銀行とみなす。
一 農林漁業金融公庫 農林漁業金融公庫法(昭和二十七年法律第三百五十五号)第二十六条第二項
二 中小企業金融公庫 中小企業金融公庫法(昭和二十八年法律第百三十八号)第二十七条第二項
三 船舶整備公団 船舶整備公団法(昭和三十四年法律第四十六号)第二十八条第二号
四 医療金融公庫 医療金融公庫法(昭和三十五年法律第九十五号)第二十六条第二項
五 農業信用基金協会 農業信用保証保険法(昭和三十六年法律第二百四号)第九条第一号
六 地域振興整備公団 地域振興整備公団法(昭和三十七年法律第九十五号)第二十七条第三号
七 地方住宅供給公社 地方住宅供給公社法(昭和四十年法律第百二十四号)第三十四条第二号
八 環境衛生金融公庫 環境衛生金融公庫法(昭和四十二年法律第百三十八号)第二十七条第二項
第五十四条第一項中「左の」を「次に掲げる」に、「附随する」を「付随する」に、「受入」を「受入れ」に、「内国為替取引」を「為替取引」に改め、同条第二項中「規定する」を「掲げる」に、「次の」を「次に掲げる」に、「附随する」を「付随する」に、「あわせ行なう」を「併せ行う」に改め、同条第三項中「規定する」を「掲げる」に、「行なおう」を「行おう」に改め、同条第四項を次のように改める。
4 前条第三項から第六項までの規定は、信用金庫連合会について準用する。この場合において、同条第三項中「第一項第五号」とあるのは「次条第二項第四号」と、同条第六項中「第一項第七号」とあるのは「次条第二項第五号」と読み替えるものとする。
第九十一条第十四号中「第五十三条第三項又は」を削る。
(中小企業等協同組合法の一部改正)
第三条 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)の一部を次のように改正する。
第九条の八第一項第一号中「貸付」を「貸付け」に改め、同項第三号中「受入」を「受入れ」に改め、同項第四号中「前各号」を「前三号」に改め、同条第二項中「あわせ」を「併せ」に改め、同項第一号及び第二号中「組合員のためにする」を削り、同項第五号及び第六号中「貸付」を「貸付け」に改め、同項第十号を次のように改める。
十 組合員以外の者に対する資金の貸付け(手形の割引を含む。次条第一項第二号において同じ。)
第九条の八第二項に次の一号を加える。
十一 前各号の事業に附帯する事業
第九条の八第三項中「こえて」を「超えて」に改め、同条第四項中「行なう」を「行う」に、「添附書類」を「添付書類」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。
4 信用協同組合は、第二項第十号の事業については、政令で定めるところにより、第一項第一号及び第二号の事業の遂行を妨げない限度において行わなければならない。
第九条の九第一項第一号中「受入」を「受入れ」に改め、同項第二号中「(前号の事業を行なう協同組合連合会にあつては、会員である信用協同組合の組合員を含む。)」を削り、「貸付(手形の割引を含む。)」を「貸付け」に、「借入」を「借入れ」に改め、同条第五項中「前条第二項第一号、第三号から第七号まで及び第十号」を「前条第二項(第八号を除く。)及び第三項から第五項まで」に改め、同項に後段として次のように加える。
この場合において、同条第四項中「第一項第一号及び第二号」とあるのは、「次条第一項第二号」と読み替えるものとする。
第百十五条第二号の三中「第九条の八第三項」の下に「(第九条の九第五項において準用する場合を含む。)」を加え、同条第二号の四を同条第二号の五とし、同条第二号の三の次に次の一号を加える。
二の四 第九条の八第四項(第九条の九第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反して貸付けをし、又は手形の割引をしたとき。
(協同組合による金融事業に関する法律の一部改正)
第四条 協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号)の一部を次のように改正する。
第三条を次のように改める。
(行政庁の認可)
第三条 信用協同組合等は、次に掲げる場合に該当するときは、行政庁の認可を受けなければならない。
一 中小企業等協同組合法第九条の八第二項第一号(同法第九条の九第五項において準用する場合を含む。)に掲げる事業を行おうとするとき。
二 中小企業等協同組合法第九条の九第五項において準用する同法第九条の八第二項第九号又は第十号に掲げる事業を行おうとするとき。
第四条中「左の方法による以外に」を「次に掲げる方法以外の方法により」に改め、同条第一号中「信用金庫連合会」の下に「、農業協同組合」を加え、「水産業協同組合連合会」を「漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会」に改め、「、貸付け」を削る。
(労働金庫法の一部改正)
第五条 労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十一条第一項中「左に」を「次に」に改め、同項第三号中「規定に基く」を「規定に基づく」に、「並びに国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)に基く共済組合及び同連合会」を「、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)に基づく共済組合及び同連合会、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)に基づく共済組合及び同連合会、私立学校教職員共済組合法(昭和二十八年法律第二百四十五号)に基づく共済組合並びに公共企業体職員等共済組合法(昭和三十一年法律第百三十四号)に基づく共済組合」に改め、同項第四号中「前各号」を「前三号」に、「の外」を「のほか」に、「且つ」を「かつ」に改め、同条第二項中「定の」を「定めの」に改める。
第五十八条第一項中「左の」を「次に掲げる」に、「附随する」を「付随する」に、「受入」を「受入れ」に、「貸付」を「貸付け」に改め、同条第二項中「の外、左の業務をあわせ行う」を「のほか、次に掲げる業務及びこれに付随する業務を併せ行う」に改め、同項第六号中「第四号に掲げるもの」を「間接構成員及び日本勤労者住宅協会」に、「貸付」を「貸付け(手形の割引を含む。以下この条において同じ。)」に改め、同号を同項第九号とし、同号の前に次の一号を加える。
八 会員以外のもの(国等、間接構成員及び配偶者等を除く。)の預金又は定期積金の受入れ
第五十八条第二項第五号中「前号に掲げるもの」を「間接構成員」に改め、「法人又は団体」の下に「であるもの」を、「親族」の下に「(次号において「配偶者等」という。)」を加え、「受入」を「受入れ」に改め、同号を同項第七号とし、同項第四号中「構成するもの」の下に「(以下この項において「間接構成員」という。)」を加え、「受入」を「受入れ」に改め、同号を同項第六号とし、同項第三号中「法人」の下に「(以下この条において「国等」という。)」を加え、「受入」を「受入れ」に改め、同号を同項第五号とし、同項第二号中「その他大蔵大臣の指定する金融機関」を「、雇用促進事業団その他大蔵大臣及び労働大臣の指定する者」に改め、同号を同項第四号とし、同項第一号中「有価証券」を「有価証券、貴金属その他の物品」に改め、同号を同項第三号とし、同号の前に次の二号を加える。
一 内国為替取引
二 有価証券の払込金の受入れ又はその元利金若しくは配当金の支払の取扱い
第五十八条第三項を次のように改める。
3 労働金庫は、前項第一号に掲げる業務を行おうとするときは、大蔵大臣及び労働大臣の認可を受けなければならない。
第五十八条に次の六項を加える。
4 労働金庫の第二項第八号に掲げる業務に係る預金及び定期積金の合計額は、当該労働金庫の預金及び定期積金の総額の百分の二十に相当する金額を超えてはならない。
5 労働金庫は、第二項第九号に掲げる資金の貸付けの業務のほか、政令で定めるところにより、第一項第二号及び第三号に掲げる業務の遂行を妨げない限度において、国等、金融機関その他会員以外のものに対する資金の貸付けをすることができる。
6 労働金庫は、第二項第二号に掲げる業務を行う場合には、商法第百七十五条第二項第十号及び第四項、第百七十八条並びに第百八十九条(これらの規定を同法第二百八十条ノ十四(新株発行についての準用規定)において準用する場合を含む。)(払込取扱銀行)並びに商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第八十条第十号及び第八十二条第四号(登記の添付書類)の規定の適用については、銀行とみなす。
7 労働金庫連合会は、第一項の業務のほか、次に掲げる業務及びこれに付随する業務を併せ行うことができる。
一 内国為替取引
二 有価証券の払込金の受入れ又はその元利金若しくは配当金の支払の取扱い
三 会員のためにする有価証券の保護預り
四 住宅金融公庫、国民金融公庫、雇用促進事業団その他大蔵大臣及び労働大臣の指定する者の業務の代理
五 国等の預金の受入れ
六 会員以外のもの(国等を除く。)の預金の受入れ
七 会員以外のものに対する資金の貸付け
8 労働金庫連合会は、前項第一号、第六号又は第七号に掲げる業務を行おうとするときは、大蔵大臣及び労働大臣の認可を受けなければならない。
9 第六項の規定は、労働金庫連合会について準用する。この場合において、同項中「第二項第二号」とあるのは、「次項第二号」と読み替えるものとする。
第八十九条中「(昭和三十八年法律第百二十五号)」を削る。
第百一条第十四号の次に次の三号を加える。
十四の二 第五十八条第三項又は第八項の規定に違反したとき。
十四の三 第五十八条第四項の規定に違反して預金又は定期積金の受入れをしたとき。
十四の四 第五十八条第五項の規定に違反して貸付けをし、又は手形の割引をしたとき。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(預金等の受入れを行う協同組合連合会の会員外貸付けに関する経過措置)
第二条 第三条の規定による改正後の中小企業等協同組合法(以下この条及び次条において「改正後の協同組合法」という。)第九条の九第五項において準用する改正後の協同組合法第九条の八第四項の規定及び第四条の規定による改正後の協同組合による金融事業に関する法律(次条において「改正後の協同組合金融事業法」という。)第三条第二号の規定(改正後の協同組合法第九条の九第五項において準用する改正後の協同組合法第九条の八第二項第十号の事業に係る部分に限る。)は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に改正後の協同組合法第九条の九第一項第一号の事業を行う協同組合連合会が行う会員以外の者に対する資金の貸付け(手形の割引を含む。以下この条において同じ。)について適用し、施行日前に当該協同組合連合会が行つた第四条の規定による改正前の協同組合による金融事業に関する法律(次条において「改正前の協同組合金融事業法」という。)第四条第一号に規定する貸付け及び国、地方公共団体その他営利を目的としない法人に対する預金を担保とする資金の貸付け並びに会員である信用協同組合の組合員に対する資金の貸付けについては、なお従前の例による。
(信用協同組合等の内国為替取引についての認可に関する経過措置)
第三条 施行日前に改正前の協同組合金融事業法第三条の規定により行政庁のした認可(第三条の規定による改正前の中小企業等協同組合法第九条の八第二項第一号(同法第九条の九第五項において準用する場合を含む。)の事業に係る認可に限る。)は、施行において改正後の協同組合金融事業法第三条第一号の規定によりした行政庁の認可とみなす。
(労働金庫連合会の会員外貸付けの認可に関する経過措置)
第四条 第五条の規定による改正後の労働金庫法第五十八条第八項の規定は、施行日前に労働金庫連合会が附則第七条の規定による改正前の日本勤労者住宅協会法(昭和四十一年法律第百三十三号)第三十九条の規定により行つた日本勤労者住宅協会に対する資金の貸付けについては、適用しない。
(罰則に関する経過措置)
第五条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(輸出水産業の振興に関する法律の一部改正)
第六条 輸出水産業の振興に関する法律(昭和二十九年法律第百五十四号)の一部を次のように改正する。
第二十五条中「第二号の二、第二号の三」を「第二号の二から第二号の五まで」に改める。
(日本勤労者住宅協会法の一部改正)
第七条 日本勤労者住宅協会法の一部を次のように改正する。
第三十九条を次のように改める。
(労働金庫等の融資)
第三十九条 労働金庫及び労働金庫連合会は、協会に対し、労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)第五十八条の規定により資金の貸付けを行うことができる。
内閣総理大臣 鈴木善幸
大蔵大臣 渡辺美智雄
通商産業大臣 田中六助
労働大臣 藤尾正行