特定不況地域離職者臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和五十三年十一月十八日
内閣総理大臣 福田赳夫
法律第百七号
特定不況地域離職者臨時措置法
(目的)
第一条 この法律は、雇用の機会が著しく減少している状況の下で、特定不況地域において現に多数の離職者が発生していること及び今後とも一時に多数の離職者が発生することが見込まれること等の事情にかんがみ、失業の予防、再就職の促進等のための特別の措置を講じ、もつて特定不況地域離職者等の職業及び生活の安定に資することを目的とする。
(定義等)
第二条 この法律において「特定不況地域」とは、特定不況地域中小企業対策臨時措置法(昭和五十三年法律第百六号)第二条第三項の政令で定める区域及びその近憐の地域(以下この項において「特定不況市町村等の地域」という。)のうち、当該特定不況市町村等の地域内に居住する離職者等及び当該特定不況市町村等の地域内に所在する事業所において事業主により雇用されている労働者に関しこの法律で定める特別の措置を講ずる必要がある地域として労働大臣が指定する地域をいう。
2 労働大臣は、特定不況地域を指定しようとするときは、あらかじめ、その指定しようとする地域を管轄する都道府県知事の意見を聴かなければならない。
3 この法律において「特定不況地域離職者」とは、次の各号に掲げる者(自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した者を除く。)であつて、現に失業しているもの又はその職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態にあると認められるものをいう。
一 特定不況地域内に居住する離職者
二 前号に掲げる離職者以外の離職者であつて、特定不況地域内に所在する事業所において事業主により雇用されていたもの(労働省令で定める者を除く。)
(事業主等の責務)
第三条 事業主は、特定不況地域内に所在する事業所に関し事業規模若しくは事業活動の縮小又は事業の転換若しくは廃止(以下「事業規模の縮小等」という。)を行おうとするときは、その雇用する労働者について、失業の予防その他雇用の安定を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 特定不況地域内に所在する事業所の事業主及びその団体は、当該事業所において当該事業主の雇用する労働者の雇用の安定に関し、相互に協力するよう努めなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第四条 国は、特定不況地域内に所在する事業所に関し行われる事業規模の縮小等に伴う労働者の失業を予防するため、事業主に対して必要な援助を行うよう努めるとともに、特定不況地域離職者の再就職の促進に必要な施策を総合的かつ計画的に推進するよう努めなければならない。
2 地方公共団体は、前項の国の施策に協力するとともに、特定不況地域離職者の再就職の促進に必要な施策を推進するよう努めなければならない。
(職業訓練)
第五条 国及び雇用促進事業団は、特定不況地域において一時に多数の離職者が発生した場合においては、これに対処し、特定不況地域離職者の再就職を容易にするため、必要な職業訓練の迅速かつ効果的な実施について特別の措置を講ずるものとする。
2 国は、その区域内に特定不況地域を包括する都道府県が前項の措置に準ずる措置を講ずることを奨励するため、当該都道府県に対し必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(職業紹介)
第六条 公共職業安定所は、特定不況地域離職者の速やかな再就職を容易にするため、求人の開拓、職業指導の実施及び就職のあつせんを行う等必要な措置を講ずるものとする。
(特定不況地域離職者に係る延長給付)
第七条 特定不況地域離職者であつて、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第十五条第一項に規定する受給資格者(同法第二十二条第一項第一号に規定する基準日において四十歳以上である者に限る。)であるものに対する同法第二十三条の規定の適用については、同条第一項中「政令で定める基準」とあるのは「特定不況地域離職者臨時措置法第七条に規定する受給資格者の再就職の状況等を考慮して政令で定める基準」と、同項及び同条第二項中「政令で定める日数」とあるのは「政令で定める日数に三十日を加えた日数」とする。
第八条 特定不況地域離職者であつて、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第三十三条ノ三第一項の規定に該当する者(同法第三十三条ノ十二第一項第一号に規定する基準日において四十歳以上である者に限る。)であるものに対する同法第三十三条ノ十二ノ二の規定の適用については、同条第一項中「政令ヲ以テ定ムル基準」とあるのは「特定不況地域離職者臨時措置法第八条ニ規定スル者ノ再就職ノ状況等ヲ考慮シ政令ヲ以テ定ムル基準」と、同項及び同条第二項中「政令ヲ以テ定ムル日数」とあるのは「政令ヲ以テ定ムル日数ニ三十日ヲ加へタル日数」とする。
第九条 第二条第一項に規定する指定のあつた日以後に他の地域から当該指定に係る特定不況地域に移転したことにより特定不況地域離職者に該当することとなつた者であつて、その移転について特別の理由がないと認められるものに対しては、前二条の規定は、適用しない。
(特定不況地域離職者等に係る雇用安定事業等の特例)
第十条 政府は、特定不況地域離職者及び特定不況地域内に所在する事業所において事業主により雇用されている労働者(これらの者のうち雇用保険法第六十一条の二第一項に規定する被保険者等に該当するものに限る。)に関し、同条の雇用安定事業として、景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業規模の縮小等を余儀なくされた場合における失業の予防その他雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して、当該措置に必要な助成及び援助を行うものとする。
2 政府は、特定不況地域離職者(雇用保険法第六十一条の二第一項に規定する被保険者等に該当する者に限る。以下この項において同じ。)に関し、同法第六十二条の雇用改善事業として、特定不況地域離職者を雇い入れる事業主に対して、必要な助成及び援助を行うものとする。
3 労働大臣は、前二項の規定により事業主に対して行う助成及び援助の実施に関して雇用保険法第六十一条の二第三項又は第六十二条第二項に規定する必要な基準を定めようとするときは、前二項に規定する者の失業の予防、再就職の状況等を考慮して行わなければならない。
(公共事業への就労促進)
第十一条 労働大臣は、特定不況地域において計画実施される公共事業(国並びに日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社その他特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によつて得ている法人であつて、政令で定めるものに限る。)(次項において「国等」という。)自ら又は国の負担金の交付を受け、若しくは国庫の補助により地方公共団体等が計画実施する公共的な建設又は復旧の事業をいう。以下この条において同じ。)について、その事業種別に従い、職種別又は地域別に、当該事業に使用される労働者の数とそのうちの特定不況地域離職者の数との比率(以下この条において「吸収率」という。)を定めることができる。
2 吸収率の定められている公共事業を計画実施する国等又は地方公共団体等(これらのものとの請負契約その他の契約に基づいて、その事業を施行する者を含む。次項において「公共事業の事業主体等」という。)は、公共職業安定所の紹介により、常に吸収率に該当する数の特定不況地域離職者を雇い入れていなければならない。
3 公共事業の事業主体等は、前項の規定により雇入れを必要とする数の特定不況地域離職者を公共職業安定所の紹介により雇い入れることが困難な場合には、その困難な数の労働者を、公共職業安定所の書面による承諾を得て、直接雇い入れることができる。
4 前三項に定めるもののほか、吸収率の定められている公共事業への特定不況地域離職者の吸収に関して必要な事項は、労働省令で定める。
第十二条 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法(昭和四十六年法律第六十八号)第二十二条の規定は、特定不況地域である地域については、適用しない。
2 特定不況地域が中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法第二条第四項に規定する特定地域である場合においては、前条第一項中「特定不況地域離職者」とあるのは、「特定不況地域離職者(中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法第二条第三項に規定する中高年齢失業者等を含む。以下この条において同じ。)」とする。
(中央職業安定審議会への諮問等)
第十三条 労働大臣は、第七条の規定により読み替えられた雇用保険法第二十三条第一項の基準を定めようとするとき、その他この法律の施行に関する重要事項について決定しようとするときは、あらかじめ、中央職業安定審議会の意見を聴かなければならない。
2 中央職業安定審議会は、労働大臣の諮問に応ずるほか、必要に応じ、この法律の規定による特定不況地域離職者の再就職の促進等の措置に関し、関係行政庁に建議することができる。
(船員となろうとする者に関する特例)
第十四条 第二条第一項に規定する特定不況市町村等の地域であつて、その地域内に居住する離職者のうち船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第六条第一項に規定する船員(次項において「船員」という。)となろうとする者が相当程度の割合を占めているものに対する第二条第一項及び第二項の規定の適用については、これらの規定中「労働大臣」とあるのは、「運輸大臣及び労働大臣」とする。
2 船員となろうとする者に関しては、第二条第三項第二号中「労働省令」とあるのは「運輸省令」と、第六条中「公共職業安定所」とあるのは「海運局(運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)第三十九条の海運局をいう。)」とする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第四条及び第五条の規定は、昭和五十四年四月一日から施行する。
(この法律の廃止)
第二条 この法律は、昭和五十八年六月三十日までに廃止するものとする。
(社会保険労務士法の一部改正)
第三条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
別表第一第二十号の十の次に次の一号を加える。
二十の十一 特定不況地域離職者臨時措置法(昭和五十三年法律第百七号)
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正)
第四条 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)の一部を次のように改正する。
第十二条第四項中「千分の十三・五」を「千分の十四・五」に改め、同項ただし書中「千分の十五・五」を「千分の十六・五」に、「千分の十六・五」を「千分の十七・五」に改め、同条第五項中「千分の十一・五から千分の十五・五まで」を「千分の十二・五から千分の十六・五まで」に、「千分の十三・五から千分の十七・五まで」を「千分の十四・五から千分の十八・五まで」に、「千分の十四・五から千分の十八・五まで」を「千分の十五・五から千分の十九・五まで」に改める。
附則に次の一条を加える。
(雇用保険率についての検討)
第八条 特定不況地域離職者臨時措置法(昭和五十三年法律第百七号)附則第四条の規定による改正後の第十二条第四項の雇用保険率については、同法の廃止に際し、検討が加えられるものとする。
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第五条 前条の規定による改正後の労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第四項の規定は、昭和五十四年四月一日以後の期間に係る労働保険料について適用し、同日前の期間に係る労働保険料については、なお従前の例による。
(中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部改正)
第六条 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を次のように改正する。
第二十二条第一項中「国自ら」を「国並びに日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社その他特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によつて得ている法人であつて、政令で定めるものに限る。)(次項において「国等」という。)自ら」に改め、同条第二項中「国」を「国等」に、「つねに」を「常に」に改める。
(沖繩振興開発特別措置法の一部改正)
第七条 沖繩振興開発特別措置法(昭和四十六年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第三十九条第一項中「きき」を「聴き」に、「国自ら」を「国並びに日本専売公社及び日本電信電話公社その他特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によつて得ている法人であつて、政令で定めるものに限る。)(以下この条において「国等」という。)自ら」に改め、同条第二項中「国」を「国等」に、「つねに」を「常に」に改め、同条第三項中「国」を「国等」に改める。
第四十七条の見出しを「(中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法等の適用除外)」に改め、同条に次の一項を加える。
3 特定不況地域離職者臨時措置法(昭和五十三年法律第百七号)第十一条の規定は、沖繩については、適用しない。
(国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部改正)
第八条 国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法(昭和五十二年法律第九十四号)の一部を次のように改正する。
第十条中「国自ら」を「国並びに日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社その他特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によつて得ている法人であつて、政令で定めるものに限る。)(以下この条において「国等」という。)自ら」に、「国の機関」を「国等の機関」に改める。
(特定不況業種離職者臨時措置法の一部改正)
第九条 特定不況業種離職者臨時措置法(昭和五十二年法律第九十五号)の一部を次のように改正する。
第二十条第一項中「国自ら」を「国並びに日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社その他特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によつて得ている法人であつて、政令で定めるものに限る。)(以下この項において「国等」という。)自ら」に、「国の機関」を「国等の機関」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法(昭和四十六年法律第六十八号)第二十二条及び第二十三条の規定の適用については、同法第二十二条第一項中「中高年齢失業者等の就職」とあるのは、「中高年齢失業者等(特定不況業種離職者臨時措置法第十条の特定不況業種離職者求職手帳の発給を受けた者を含む。以下同じ。)の就職」とする。
(労働省設置法の一部改正)
第十条 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第十条第一項第八号中「及び特定不況業種離職者臨時措置法(昭和五十二年法律第九十五号)(第九条の規定を除く。)」を「、特定不況業種離職者臨時措置法(昭和五十二年法律第九十五号)(第九条の規定を除く。)及び特定不況地域離職者臨時措置法(昭和五十三年法律第百七号)(第五条の規定を除く。)」に改め、同条第二項中「及び沖繩振興開発特別措置法(第三十九条の規定に限る。)」を「、沖繩振興開発特別措置法(第三十九条の規定に限る。)、特定不況業種離職者臨時措置法(第二十条の規定に限る。)及び特定不況地域離職者臨時措置法(第十一条及び第十二条の規定に限る。)」に改める。
第十条の二第六号中「及び特定不況業種離職者」を「、特定不況業種離職者及び特定不況地域離職者」に改める。
第十八条第一項中「及び特定不況業種離職者臨時措置法(これに基づく命令を含む。)」を「、特定不況業種離職者臨時措置法(これに基づく命令を含む。)及び特定不況地域離職者臨時措置法(これに基づく命令を含む。)」に改める。
大蔵大臣 村山達雄
厚生大臣 小沢辰男
運輸大臣 福永健司
労働大臣 藤井勝志
自治大臣 加藤武徳
内閣総理大臣 福田赳夫
特定不況地域離職者臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和五十三年十一月十八日
内閣総理大臣 福田赳夫
法律第百七号
特定不況地域離職者臨時措置法
(目的)
第一条 この法律は、雇用の機会が著しく減少している状況の下で、特定不況地域において現に多数の離職者が発生していること及び今後とも一時に多数の離職者が発生することが見込まれること等の事情にかんがみ、失業の予防、再就職の促進等のための特別の措置を講じ、もつて特定不況地域離職者等の職業及び生活の安定に資することを目的とする。
(定義等)
第二条 この法律において「特定不況地域」とは、特定不況地域中小企業対策臨時措置法(昭和五十三年法律第百六号)第二条第三項の政令で定める区域及びその近憐の地域(以下この項において「特定不況市町村等の地域」という。)のうち、当該特定不況市町村等の地域内に居住する離職者等及び当該特定不況市町村等の地域内に所在する事業所において事業主により雇用されている労働者に関しこの法律で定める特別の措置を講ずる必要がある地域として労働大臣が指定する地域をいう。
2 労働大臣は、特定不況地域を指定しようとするときは、あらかじめ、その指定しようとする地域を管轄する都道府県知事の意見を聴かなければならない。
3 この法律において「特定不況地域離職者」とは、次の各号に掲げる者(自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した者を除く。)であつて、現に失業しているもの又はその職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態にあると認められるものをいう。
一 特定不況地域内に居住する離職者
二 前号に掲げる離職者以外の離職者であつて、特定不況地域内に所在する事業所において事業主により雇用されていたもの(労働省令で定める者を除く。)
(事業主等の責務)
第三条 事業主は、特定不況地域内に所在する事業所に関し事業規模若しくは事業活動の縮小又は事業の転換若しくは廃止(以下「事業規模の縮小等」という。)を行おうとするときは、その雇用する労働者について、失業の予防その他雇用の安定を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 特定不況地域内に所在する事業所の事業主及びその団体は、当該事業所において当該事業主の雇用する労働者の雇用の安定に関し、相互に協力するよう努めなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第四条 国は、特定不況地域内に所在する事業所に関し行われる事業規模の縮小等に伴う労働者の失業を予防するため、事業主に対して必要な援助を行うよう努めるとともに、特定不況地域離職者の再就職の促進に必要な施策を総合的かつ計画的に推進するよう努めなければならない。
2 地方公共団体は、前項の国の施策に協力するとともに、特定不況地域離職者の再就職の促進に必要な施策を推進するよう努めなければならない。
(職業訓練)
第五条 国及び雇用促進事業団は、特定不況地域において一時に多数の離職者が発生した場合においては、これに対処し、特定不況地域離職者の再就職を容易にするため、必要な職業訓練の迅速かつ効果的な実施について特別の措置を講ずるものとする。
2 国は、その区域内に特定不況地域を包括する都道府県が前項の措置に準ずる措置を講ずることを奨励するため、当該都道府県に対し必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(職業紹介)
第六条 公共職業安定所は、特定不況地域離職者の速やかな再就職を容易にするため、求人の開拓、職業指導の実施及び就職のあつせんを行う等必要な措置を講ずるものとする。
(特定不況地域離職者に係る延長給付)
第七条 特定不況地域離職者であつて、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第十五条第一項に規定する受給資格者(同法第二十二条第一項第一号に規定する基準日において四十歳以上である者に限る。)であるものに対する同法第二十三条の規定の適用については、同条第一項中「政令で定める基準」とあるのは「特定不況地域離職者臨時措置法第七条に規定する受給資格者の再就職の状況等を考慮して政令で定める基準」と、同項及び同条第二項中「政令で定める日数」とあるのは「政令で定める日数に三十日を加えた日数」とする。
第八条 特定不況地域離職者であつて、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第三十三条ノ三第一項の規定に該当する者(同法第三十三条ノ十二第一項第一号に規定する基準日において四十歳以上である者に限る。)であるものに対する同法第三十三条ノ十二ノ二の規定の適用については、同条第一項中「政令ヲ以テ定ムル基準」とあるのは「特定不況地域離職者臨時措置法第八条ニ規定スル者ノ再就職ノ状況等ヲ考慮シ政令ヲ以テ定ムル基準」と、同項及び同条第二項中「政令ヲ以テ定ムル日数」とあるのは「政令ヲ以テ定ムル日数ニ三十日ヲ加へタル日数」とする。
第九条 第二条第一項に規定する指定のあつた日以後に他の地域から当該指定に係る特定不況地域に移転したことにより特定不況地域離職者に該当することとなつた者であつて、その移転について特別の理由がないと認められるものに対しては、前二条の規定は、適用しない。
(特定不況地域離職者等に係る雇用安定事業等の特例)
第十条 政府は、特定不況地域離職者及び特定不況地域内に所在する事業所において事業主により雇用されている労働者(これらの者のうち雇用保険法第六十一条の二第一項に規定する被保険者等に該当するものに限る。)に関し、同条の雇用安定事業として、景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業規模の縮小等を余儀なくされた場合における失業の予防その他雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して、当該措置に必要な助成及び援助を行うものとする。
2 政府は、特定不況地域離職者(雇用保険法第六十一条の二第一項に規定する被保険者等に該当する者に限る。以下この項において同じ。)に関し、同法第六十二条の雇用改善事業として、特定不況地域離職者を雇い入れる事業主に対して、必要な助成及び援助を行うものとする。
3 労働大臣は、前二項の規定により事業主に対して行う助成及び援助の実施に関して雇用保険法第六十一条の二第三項又は第六十二条第二項に規定する必要な基準を定めようとするときは、前二項に規定する者の失業の予防、再就職の状況等を考慮して行わなければならない。
(公共事業への就労促進)
第十一条 労働大臣は、特定不況地域において計画実施される公共事業(国並びに日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社その他特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によつて得ている法人であつて、政令で定めるものに限る。)(次項において「国等」という。)自ら又は国の負担金の交付を受け、若しくは国庫の補助により地方公共団体等が計画実施する公共的な建設又は復旧の事業をいう。以下この条において同じ。)について、その事業種別に従い、職種別又は地域別に、当該事業に使用される労働者の数とそのうちの特定不況地域離職者の数との比率(以下この条において「吸収率」という。)を定めることができる。
2 吸収率の定められている公共事業を計画実施する国等又は地方公共団体等(これらのものとの請負契約その他の契約に基づいて、その事業を施行する者を含む。次項において「公共事業の事業主体等」という。)は、公共職業安定所の紹介により、常に吸収率に該当する数の特定不況地域離職者を雇い入れていなければならない。
3 公共事業の事業主体等は、前項の規定により雇入れを必要とする数の特定不況地域離職者を公共職業安定所の紹介により雇い入れることが困難な場合には、その困難な数の労働者を、公共職業安定所の書面による承諾を得て、直接雇い入れることができる。
4 前三項に定めるもののほか、吸収率の定められている公共事業への特定不況地域離職者の吸収に関して必要な事項は、労働省令で定める。
第十二条 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法(昭和四十六年法律第六十八号)第二十二条の規定は、特定不況地域である地域については、適用しない。
2 特定不況地域が中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法第二条第四項に規定する特定地域である場合においては、前条第一項中「特定不況地域離職者」とあるのは、「特定不況地域離職者(中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法第二条第三項に規定する中高年齢失業者等を含む。以下この条において同じ。)」とする。
(中央職業安定審議会への諮問等)
第十三条 労働大臣は、第七条の規定により読み替えられた雇用保険法第二十三条第一項の基準を定めようとするとき、その他この法律の施行に関する重要事項について決定しようとするときは、あらかじめ、中央職業安定審議会の意見を聴かなければならない。
2 中央職業安定審議会は、労働大臣の諮問に応ずるほか、必要に応じ、この法律の規定による特定不況地域離職者の再就職の促進等の措置に関し、関係行政庁に建議することができる。
(船員となろうとする者に関する特例)
第十四条 第二条第一項に規定する特定不況市町村等の地域であつて、その地域内に居住する離職者のうち船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第六条第一項に規定する船員(次項において「船員」という。)となろうとする者が相当程度の割合を占めているものに対する第二条第一項及び第二項の規定の適用については、これらの規定中「労働大臣」とあるのは、「運輸大臣及び労働大臣」とする。
2 船員となろうとする者に関しては、第二条第三項第二号中「労働省令」とあるのは「運輸省令」と、第六条中「公共職業安定所」とあるのは「海運局(運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)第三十九条の海運局をいう。)」とする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第四条及び第五条の規定は、昭和五十四年四月一日から施行する。
(この法律の廃止)
第二条 この法律は、昭和五十八年六月三十日までに廃止するものとする。
(社会保険労務士法の一部改正)
第三条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
別表第一第二十号の十の次に次の一号を加える。
二十の十一 特定不況地域離職者臨時措置法(昭和五十三年法律第百七号)
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正)
第四条 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)の一部を次のように改正する。
第十二条第四項中「千分の十三・五」を「千分の十四・五」に改め、同項ただし書中「千分の十五・五」を「千分の十六・五」に、「千分の十六・五」を「千分の十七・五」に改め、同条第五項中「千分の十一・五から千分の十五・五まで」を「千分の十二・五から千分の十六・五まで」に、「千分の十三・五から千分の十七・五まで」を「千分の十四・五から千分の十八・五まで」に、「千分の十四・五から千分の十八・五まで」を「千分の十五・五から千分の十九・五まで」に改める。
附則に次の一条を加える。
(雇用保険率についての検討)
第八条 特定不況地域離職者臨時措置法(昭和五十三年法律第百七号)附則第四条の規定による改正後の第十二条第四項の雇用保険率については、同法の廃止に際し、検討が加えられるものとする。
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第五条 前条の規定による改正後の労働保険の保険料の徴収等に関する法律第十二条第四項の規定は、昭和五十四年四月一日以後の期間に係る労働保険料について適用し、同日前の期間に係る労働保険料については、なお従前の例による。
(中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部改正)
第六条 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を次のように改正する。
第二十二条第一項中「国自ら」を「国並びに日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社その他特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によつて得ている法人であつて、政令で定めるものに限る。)(次項において「国等」という。)自ら」に改め、同条第二項中「国」を「国等」に、「つねに」を「常に」に改める。
(沖縄振興開発特別措置法の一部改正)
第七条 沖縄振興開発特別措置法(昭和四十六年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第三十九条第一項中「きき」を「聴き」に、「国自ら」を「国並びに日本専売公社及び日本電信電話公社その他特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によつて得ている法人であつて、政令で定めるものに限る。)(以下この条において「国等」という。)自ら」に改め、同条第二項中「国」を「国等」に、「つねに」を「常に」に改め、同条第三項中「国」を「国等」に改める。
第四十七条の見出しを「(中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法等の適用除外)」に改め、同条に次の一項を加える。
3 特定不況地域離職者臨時措置法(昭和五十三年法律第百七号)第十一条の規定は、沖縄については、適用しない。
(国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部改正)
第八条 国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法(昭和五十二年法律第九十四号)の一部を次のように改正する。
第十条中「国自ら」を「国並びに日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社その他特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によつて得ている法人であつて、政令で定めるものに限る。)(以下この条において「国等」という。)自ら」に、「国の機関」を「国等の機関」に改める。
(特定不況業種離職者臨時措置法の一部改正)
第九条 特定不況業種離職者臨時措置法(昭和五十二年法律第九十五号)の一部を次のように改正する。
第二十条第一項中「国自ら」を「国並びに日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社その他特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によつて得ている法人であつて、政令で定めるものに限る。)(以下この項において「国等」という。)自ら」に、「国の機関」を「国等の機関」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法(昭和四十六年法律第六十八号)第二十二条及び第二十三条の規定の適用については、同法第二十二条第一項中「中高年齢失業者等の就職」とあるのは、「中高年齢失業者等(特定不況業種離職者臨時措置法第十条の特定不況業種離職者求職手帳の発給を受けた者を含む。以下同じ。)の就職」とする。
(労働省設置法の一部改正)
第十条 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第十条第一項第八号中「及び特定不況業種離職者臨時措置法(昭和五十二年法律第九十五号)(第九条の規定を除く。)」を「、特定不況業種離職者臨時措置法(昭和五十二年法律第九十五号)(第九条の規定を除く。)及び特定不況地域離職者臨時措置法(昭和五十三年法律第百七号)(第五条の規定を除く。)」に改め、同条第二項中「及び沖縄振興開発特別措置法(第三十九条の規定に限る。)」を「、沖縄振興開発特別措置法(第三十九条の規定に限る。)、特定不況業種離職者臨時措置法(第二十条の規定に限る。)及び特定不況地域離職者臨時措置法(第十一条及び第十二条の規定に限る。)」に改める。
第十条の二第六号中「及び特定不況業種離職者」を「、特定不況業種離職者及び特定不況地域離職者」に改める。
第十八条第一項中「及び特定不況業種離職者臨時措置法(これに基づく命令を含む。)」を「、特定不況業種離職者臨時措置法(これに基づく命令を含む。)及び特定不況地域離職者臨時措置法(これに基づく命令を含む。)」に改める。
大蔵大臣 村山達雄
厚生大臣 小沢辰男
運輸大臣 福永健司
労働大臣 藤井勝志
自治大臣 加藤武徳
内閣総理大臣 福田赳夫