作業環境測定法
法令番号: 法律第28号
公布年月日: 昭和50年5月1日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

労働安全衛生法では有害作業場での定期的な作業環境測定を事業者に義務付けているが、作業環境中の微量な有害物の測定には十分な知識と特殊な技術が必要である。そのため、労働省は適正な作業環境測定を確保するための法制整備が必要と考え、中央労働基準審議会に諮問し、適当との答申を得た。これに基づき、作業環境測定の適正な実施を確保し、労働者の健康保持を目的とする作業環境測定法案を提案するに至った。

参照した発言:
第75回国会 参議院 社会労働委員会 第2号

審議経過

第75回国会

参議院
(昭和50年2月27日)
(昭和50年3月13日)
(昭和50年3月20日)
(昭和50年3月26日)
衆議院
(昭和50年4月15日)
(昭和50年4月18日)
作業環境測定法をここに公布する。
御名御璽
昭和五十年五月一日
内閣総理大臣 三木武夫
法律第二十八号
作業環境測定法
目次
第一章
総則(第一条―第四条)
第二章
作業環境測定士等
第一節
作業環境測定士(第五条―第十九条)
第二節
指定試験機関(第二十条―第三十一条)
第三節
指定講習機関(第三十二条)
第三章
作業環境測定機関(第三十三条―第三十七条)
第四章
雑則(第三十八条―第五十一条)
第五章
罰則(第五十二条―第五十六条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)と相まつて、作業環境の測定に関し作業環境測定士の資格及び作業環境測定機関等について必要な事項を定めることにより、適正な作業環境を確保し、もつて職場における労働者の健康を保持することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 事業者 労働安全衛生法第二条第三号に規定する事業者をいう。
二 作業環境測定 労働安全衛生法第二条第四号に規定する作業環境測定をいう。
三 指定作業場 労働安全衛生法第六十五条第一項の作業場のうち政令で定める作業場をいう。
四 作業環境測定士 第一種作業環境測定士及び第二種作業環境測定士をいう。
五 第一種作業環境測定士 労働大臣の登録を受け、指定作業場について作業環境測定の業務を行うほか、第一種作業環境測定士の名称を用いて事業場(指定作業場を除く。次号において同じ。)における作業環境測定の業務を行う者をいう。
六 第二種作業環境測定士 労働大臣の登録を受け、指定作業場について作業環境測定の業務(労働省令で定める機器を用いて行う分析(解析を含む。)の業務を除く。以下この号において同じ。)を行うほか、第二種作業環境測定士の名称を用いて事業場における作業環境測定の業務を行う者をいう。
七 作業環境測定機関 労働大臣又は都道府県労働基準局長の登録を受け、他人の求めに応じて、事業場における作業環境測定を行うことを業とする者をいう。
(作業環境測定の実施)
第三条 事業者は、労働安全衛生法第六十五条第一項の規定により、指定作業場について作業環境測定を行うときは、労働省令で定めるところにより、その使用する作業環境測定士にこれを実施させなければならない。
2 事業者は、前項の規定による作業環境測定を行うことができないときは、労働省令で定めるところにより、当該作業環境測定を作業環境測定機関に委託しなければならない。ただし、国又は地方公共団体の機関その他の機関で、労働大臣が指定するものに委託するときは、この限りでない。
第四条 作業環境測定士は、労働安全衛生法第六十五条第一項の規定による作業環境測定を実施するときは、同条第二項の作業環境測定基準に従つてこれを実施しなければならない。
2 作業環境測定機関は、他人の求めに応じて労働安全衛生法第六十五条第一項の規定による作業環境測定を行うときは、同条第二項の作業環境測定基準に従つてこれを行わなければならない。
第二章 作業環境測定士等
第一節 作業環境測定士
(作業環境測定士の資格)
第五条 作業環境測定士試験(以下「試験」という。)に合格し、かつ、都道府県労働基準局長又は労働大臣若しくは都道府県労働基準局長の指定する者が行う講習(以下「講習」という。)を修了した者その他これと同等以上の能力を有すると認められる者で、労働省令で定めるものは、作業環境測定士となる資格を有する。
(欠格条項)
第六条 次の各号のいずれかに該当する者は、作業環境測定士となることができない。
一 禁治産者又は準禁治産者
二 第十二条第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
三 この法律又は労働安全衛生法(これらに基づく命令を含む。)の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
(登録)
第七条 作業環境測定士となる資格を有する者が作業環境測定士となるには、労働省令で定めるところにより、作業環境測定士名簿に、次の事項について登録を受けなければならない。
一 登録年月日及び登録番号
二 氏名、生年月日及び住所
三 作業環境測定士の種別
四 その他労働省令で定める事項
(作業環境測定士名簿)
第八条 作業環境測定士名簿は、労働省に備える。
2 事業者その他の関係者は、作業環境測定士名簿の閲覧を求めることができる。
(登録の手続)
第九条 第七条の登録を受けようとする者は、同条第二号から第四号までに掲げる事項を記載した申請書を労働大臣に提出しなければならない。
2 前項の申請書を提出する場合には、労働省令で定めるところにより、第七条第二号から第四号までに掲げる事項を証する書面及び申請者の写真を添付し、かつ、申請者が受けている第十六条の合格証及び講習修了証(第五条に規定する労働省令で定める者に該当する者にあつては、これらに代わるべき書面)を提示しなければならない。
3 労働大臣は、第一項の規定により申請書の提出があつた場合において、登録を受けようとする者が作業環境測定士となることができる者であると認めたときは、遅滞なく、第七条の登録を行い、登録を受けようとする者が作業環境測定士となることができない者であると認めたときは、登録を拒否しなければならない。
4 労働大臣は、前項の規定により登録を拒否するときは、遅滞なく、理由を示してその旨を当該申請者に通知しなければならない。
(登録証)
第十条 労働大臣は、第七条の登録を行つたときは、申請者に、同条に規定する事項を記載した作業環境測定士登録証を交付する。
(登録証の譲渡等の禁止)
第十一条 作業環境測定士は、作業環境測定士登録証を他人に譲渡し、又は貸与してはならない。
(登録の取消し等)
第十二条 労働大臣は、作業環境測定士が第六条第一号若しくは第三号に該当するに至つたとき、又は第十七条の規定により試験の合格の決定を取り消されたときは、その登録を取り消さなければならない。
2 労働大臣は、作業環境測定士が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて指定作業場についての作業環境測定の業務の停止若しくはその名称の使用の停止を命ずることができる。
一 登録に関し不正の行為があつたとき。
二 第四条第一項、前条又は第四十四条第四項の規定に違反したとき。
三 作業環境測定の実施に関し、虚偽の測定結果を表示したとき。
四 第四十八条第一項の条件に違反したとき。
五 前各号に掲げるもののほか、作業環境測定の業務(当該作業環境測定士が作業環境測定機関の行う作業環境測定の業務に従事する場合における当該業務を含む。)に関し不正の行為があつたとき。
(登録の消除)
第十三条 労働大臣は、登録がその効力を失つたとき、又は作業環境測定士が作業環境測定の業務を廃止したときは、その登録を消除しなければならない。
(試験)
第十四条 試験は、労働大臣が行う。
2 試験は、第一種作業環境測定士試験及び第二種作業環境測定士試験とし、労働省令で定めるところにより、筆記試験及び口述試験又は筆記試験のみによつて行う。
3 労働大臣は、労働省令で定めるところにより、労働省令で定める資格を有する者に対し、前項の筆記試験又は口述試験の全部又は一部を免除することができる。
(受験資格)
第十五条 次の各号のいずれかに該当する者でなければ、試験を受けることができない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学又は高等専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後一年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
二 学校教育法による高等学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後三年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
三 前二号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者で、労働省令で定めるもの
(合格証及び講習修了証)
第十六条 労働大臣は、試験に合格した者に対し、合格証を交付する。
2 都道府県労働基準局長又は第三十二条第二項に規定する指定講習機関は、講習を修了した者に対し、講習修了証を交付する。
(合格の取消し等)
第十七条 労働大臣は、不正の手段によつて試験を受け、又は受けようとした者に対しては、その合格の決定を取り消し、又はその試験を受けることを禁止することができる。
(名称の使用制限)
第十八条 作業環境測定士でない者は、その名称中に作業環境測定士の文字を用いてはならない。
2 第二種作業環境測定士は、第一種作業環境測定士という名称を用いてはならない。
(労働省令への委任)
第十九条 この節に定めるもののほか、試験及び講習の科目、登録の申請その他試験、講習及び登録(作業環境測定士登録証を含む。)について必要な事項は、労働省令で定める。
第二節 指定試験機関
(指定)
第二十条 労働大臣は、申請により指定する者に、試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を行わせる。
2 前項の規定による指定(以下この節において「指定」という。)を受けた者(以下「指定試験機関」という。)は、試験事務の実施に関し第十七条に規定する労働大臣の職権を行うことができる。
3 労働大臣は、指定試験機関に試験事務を行わせるときは、当該試験事務を行わないものとする。
(指定の基準)
第二十一条 労働大臣は、指定をしようとするときは、指定の申請が次の各号に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。
一 職員、設備、試験事務の実施の方法その他の事項についての試験事務の実施に関する計画が試験事務の適正かつ確実な実施に適合したものであること。
二 経理的及び技術的な基礎が試験事務の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に足るものであること。
2 労働大臣は、指定の申請が次の各号のいずれかに該当するときは、指定をしてはならない。
一 他に指定した者があること。
二 申請者が、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人以外の者であること。
三 試験事務以外の申請者の行う業務により申請者が試験事務を公正に実施することができないおそれがあること。
四 申請者が第三十条第一項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。
五 申請者の役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
イ この法律又は労働安全衛生法(これらに基づく命令を含む。)の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
ロ 第二十三条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者
(指定の公示等)
第二十二条 労働大臣は、指定をしたときは、指定試験機関の名称及び住所、試験事務を行う事務所の所在地並びに試験事務の開始の日を官報で公示しなければならない。
2 指定試験機関は、その名称若しくは住所又は試験事務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を労働大臣に届け出なければならない。
3 労働大臣は、前項の届出があつたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(役員の選任及び解任)
第二十三条 指定試験機関の役員の選任及び解任は、労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 労働大臣は、指定試験機関の役員が、この法律若しくは労働安全衛生法(これらに基づく命令又は処分を含む。)若しくは第二十五条第一項に規定する試験事務規程に違反する行為をしたとき、又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、その指定試験機関に対し、その役員を解任すべきことを命ずることができる。
(作業環境測定士試験員)
第二十四条 指定試験機関は、試験事務を行う場合において、作業環境測定士として必要な知識及び能力を有するかどうかの判定に関する事務については、作業環境測定士試験員(以下「試験員」という。)に行わせなければならない。
2 試験員は、作業環境測定に関する知識及び経験に関する労働省令で定める要件を備える者のうちから、選任しなければならない。
3 指定試験機関は、試験員を選任したときは、その日から十五日以内に、労働大臣にその旨を届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。
4 労働大臣は、試験員が、この法律若しくは労働安全衛生法(これらに基づく命令又は処分を含む。)若しくは次条第一項に規定する試験事務規程に違反する行為をしたとき、又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定試験機関に対し、その試験員の解任を命ずることができる。
5 前項の規定による命令により試験員の職を解任され、解任の日から起算して二年を経過しない者は、試験員となることができない。
(試験事務規程)
第二十五条 指定試験機関は、試験事務の開始前に、試験事務の実施に関する規程(以下この節において「試験事務規程」という。)を定め、労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 労働大臣は、前項の認可をした試験事務規程が試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、その試験事務規程を変更すべきことを命ずることができる。
3 試験事務規程で定めるべき事項は、労働省令で定める。
(事業計画の認可等)
第二十六条 指定試験機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあつては、その指定を受けた後遅滞なく)、労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定試験機関は、毎事業年度経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、労働大臣に提出しなければならない。
(秘密保持義務等)
第二十七条 指定試験機関の役員若しくは職員(試験員を含む。)又はこれらの職にあつた者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 試験事務に従事する指定試験機関の役員及び職員(試験員を含む。)は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(監督命令)
第二十八条 労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定試験機関に対し、試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(試験事務の休廃止)
第二十九条 指定試験機関は、労働大臣の許可を受けなければ、試験事務に関する業務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
2 労働大臣は、前項の許可をしたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(指定の取消し等)
第三十条 労働大臣は、指定試験機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて試験事務に関する業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 指定に関し不正の行為があつたとき。
二 この節の規定に違反したとき。
三 第二十一条第二項第五号に該当するに至つたとき。
四 第二十三条第二項、第二十四条第四項、第二十五条第二項又は第二十八条の規定による命令に違反したとき。
五 第二十五条第一項の規定により認可を受けた試験事務規程によらないで試験事務を行つたとき。
六 第四十八条第一項の条件に違反したとき。
2 労働大臣は、前項の規定により指定を取り消し、又は試験事務に関する業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(労働大臣による試験事務の実施)
第三十一条 労働大臣は、指定試験機関が第二十九条第一項の規定により試験事務に関する業務の全部若しくは一部を休止したとき、前条第一項の規定により指定試験機関に対し試験事務に関する業務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は指定試験機関が天災その他の事由により試験事務を実施することが困難となつた場合において必要があると認めるときは、試験事務を自ら行うものとする。
2 労働大臣は、前項の規定により試験事務を自ら行うものとし、又は同項の規定により自ら行つている試験事務を行わないものとするときは、あらかじめ、その旨を官報で公示しなければならない。
3 労働大臣が、第一項の規定により試験事務を自ら行うものとし、第二十九条第一項の規定により試験事務に関する業務の廃止を許可し、又は前条第一項の規定により指定を取り消した場合における試験事務の引継ぎその他の必要な事項は、労働省令で定める。
第三節 指定講習機関
第三十二条 第五条又は第四十四条第一項の規定による指定は、労働省令で定めるところにより、講習又は同項に規定する研修を行おうとする者の申請により行う。
2 労働安全衛生法第四十六条第二項及び第三項、第四十八条、第五十条、第五十二条並びに第五十三条の規定は、第五条又は第四十四条第一項の規定による指定を受けて講習又は同項に規定する研修を行う者(以下「指定講習機関」という。)に関して準用する。この場合において、同法第四十六条第二項第一号中「この法律又はこれに基づく命令」とあるのは「この法律若しくは作業環境測定法(昭和五十年法律第二十八号)又はこれらに基づく命令」と、同法第四十六条第三項、第四十八条第一項及び第三項、第五十条並びに第五十三条中「労働大臣」とあるのは「労働大臣又は都道府県労働基準局長」と、同法第四十六条第三項中「第一項」とあるのは「作業環境測定法第三十二条第一項」と、同法第四十八条第一項及び第三項、第五十二条並びに第五十三条第二項中「性能検査」とあるのは「作業環境測定法第五条に規定する講習又は同法第四十四条第一項に規定する研修」と、同項各号列記以外の部分中「又は六月をこえない範囲内で」とあるのは「又は」と、同項第二号中「第四十七条、第四十九条又は第五十条」とあるのは「第五十条」と、同項第四号中「第四十八条第三項又は第五十一条第二項」とあるのは「第四十八条第三項」と、同項第五号中「第百十条第一項」とあるのは「作業環境測定法第四十八条第一項」と読み替えるものとする。
第三章 作業環境測定機関
(作業環境測定機関)
第三十三条 作業環境測定機関になろうとする者は、労働省令で定めるところにより、作業環境測定機関名簿に、次の事項について登録を受けなければならない。
一 登録年月日及び登録番号
二 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
三 その他労働省令で定める事項
(準用)
第三十四条 労働安全衛生法第四十六条第二項及び第三項、第四十七条から第五十条まで並びに第五十三条(第二項第五号を除く。以下この項において同じ。)の規定は、作業環境測定機関に関して準用する。この場合において、同法第四十六条第二項及び第三項並びに第五十三条中「指定」とあるのは「登録」と、同法第四十六条第二項第一号中「この法律又はこれに基づく命令」とあるのは「この法律若しくは作業環境測定法(昭和五十年法律第二十八号)又はこれらに基づく命令」と、同法第四十六条第三項、第四十八条第一項及び第三項、第四十九条、第五十条並びに第五十三条中「労働大臣」とあるのは「労働大臣又は都道府県労働基準局長」と、同法第四十六条第三項中「第一項の申請」とあるのは「作業環境測定機関の登録の申請」と、同法第四十七条第一項中「性能検査」とあるのは「作業環境測定法第三条第二項の規定による作業環境測定」と、同条第二項中「性能検査」とあるのは「他人の求めに応じて作業環境測定」と、「労働省令で定める資格を有する者」とあるのは「労働省令で定めるところにより、作業環境測定士」と、同法第四十八条第一項及び第三項、第四十九条並びに第五十三条第二項中「性能検査」とあるのは「作業環境測定」と、同項各号列記以外の部分中「又は六月をこえない範囲内で」とあるのは「又は」と、同項第四号中「第四十八条第三項又は第五十一条第二項」とあるのは「第四十八条第三項」と読み替えるものとする。
2 第八条から第十条まで、第十二条第二項、第十三条及び第十九条の規定は、作業環境測定機関に関して準用する。この場合において、第八条中「作業環境測定士名簿」とあるのは「作業環境測定機関名簿」と、同条第一項中「労働省」とあるのは「労働省又は都道府県労働基準局」と、第九条第一項及び第三項並びに第十条中「第七条」とあるのは「第三十三条」と、第九条第一項中「から第四号まで」とあるのは「及び第三号」と、同条第一項、第三項及び第四項、第十条、第十二条第二項並びに第十三条中「労働大臣」とあるのは「労働大臣又は都道府県労働基準局長」と、第九条第二項中「第七条第二号から第四号までに掲げる事項を証する書面及び申請者の写真を添付し、かつ、申請者が受けている第十六条の合格証及び講習修了証(第五条に規定する労働省令で定める者に該当する者にあつては、これらに代わるべき書面)を提示」とあるのは「第三十三条第二号及び第三号に掲げる事項を証する書面を添付」と、第十条中「作業環境測定士登録証」とあるのは「作業環境測定機関登録証」と、第十二条第二項各号列記以外の部分中「指定作業場についての作業環境測定の業務の停止若しくはその名称の使用の停止」とあるのは「作業環境測定の業務の全部若しくは一部の停止」と、同項第二号中「第四条第一項、前条又は第四十四条第四項」とあるのは「第四条第二項」と、同項第五号中「作業環境測定の業務(当該作業環境測定士が作業環境測定機関の行う作業環境測定の業務に従事する場合における当該業務を含む。)」とあるのは「作業環境測定の業務」と、第十九条中「この節に定めるもののほか、試験及び講習の科目、登録の申請その他試験、講習及び登録(作業環境測定士登録証を含む。)について必要な事項」とあるのは「登録の申請その他登録(作業環境測定機関登録証を含む。)について必要な事項」と読み替えるものとする。
(秘密保持義務等)
第三十五条 作業環境測定機関の役員若しくは職員(作業環境測定機関である作業環境測定士を含む。)又はこれらの職にあつた者は、作業環境測定の業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
(日本作業環境測定協会)
第三十六条 作業環境測定士及び作業環境測定機関は、全国を通じて一の日本作業環境測定協会と称する民法第三十四条の規定による法人を設立することができる。
2 日本作業環境測定協会は、作業環境測定士の品位の保持並びに作業環境測定士及び作業環境測定機関の業務の進歩改善に資するため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。
(名称の使用制限)
第三十七条 作業環境測定機関でない者は、作業環境測定機関又はこれに類似する名称を用いてはならない。
2 前条第一項の法人以外の者は、その名称中に日本作業環境測定協会の文字を用いてはならない。
第四章 雑則
(労働基準監督署長及び労働基準監督官)
第三十八条 労働基準監督署長及び労働基準監督官は、労働省令で定めるところにより、この法律の施行に関する事務をつかさどる。
(労働基準監督官の権限)
第三十九条 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業場に立ち入り、関係者に質問し、又は帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
2 前項の場合において、労働基準監督官は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第四十条 労働基準監督官は、この法律の規定に違反する罪について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員の職務を行う。
(労働大臣等の権限)
第四十一条 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、作業環境測定機関、指定試験機関又は指定講習機関の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その職員をしてこれらの事務所に立ち入り、関係者に質問し、その業務に関係のある帳簿、書類その他の物件を検査し、又は検査に必要な限度において無償で作業環境測定機関の業務に関係のある試料その他の物件を収去させることができる。
2 第三十九条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。
(報告等)
第四十二条 労働大臣、都道府県労働基準局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、労働省令で定めるところにより、事業者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
2 労働大臣、都道府県労働基準局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、労働省令で定めるところにより、作業環境測定機関、指定試験機関若しくは指定講習機関又は作業環境測定士に対し、必要な事項を報告させることができる。
(書類の保存)
第四十三条 作業環境測定機関、指定試験機関又は指定講習機関は、労働省令で定めるところにより、作業環境測定、試験又は講習若しくは次条第一項の研修に関する事項で、労働省令で定めるものを記載した帳簿及び書類を備え、これを保存しなければならない。
(研修の指示)
第四十四条 都道府県労働基準局長は、作業環境測定の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、作業環境測定士に対し、期間を定めて、都道府県労働基準局長又は労働大臣若しくは都道府県労働基準局長の指定する者が行う研修(以下「研修」という。)を受けるよう指示することができる。
2 作業環境測定士が事業者又は作業環境測定機関に使用されているときは、前項の指示は、当該事業者又は作業環境測定機関に対して行うものとする。
3 前項の指示を受けた事業者又は作業環境測定機関は、当該指示に係る期間内に、当該作業環境測定土に研修を受けさせなければならない。
4 第一項又は第二項の規定により研修を受けるよう指示された作業環境測定士は、当該指示に係る期間内に、研修を受けなければならない。
5 前各項に定めるもののほか、研修の科目その他研修について必要な事項は、労働省令で定める。
(指定試験機関がした処分等に係る審査請求)
第四十五条 指定試験機関が行う試験事務に係る処分又はその不作為については、労働大臣に対し行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
(聴聞)
第四十六条 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、第十二条第二項(第三十四条第二項において準用する場合を含む。)、第三十条第一項又は第三十二条第二項若しくは第三十四条第一項において準用する労働安全衛生法第五十三条第二項の規定による処分をしようとするときは、労働省令で定めるところにより、あらかじめ、期日及び場所を指定して、聴聞を行わなければならない。
2 前項の聴聞に際しては、当該処分に係る者に、意見を述べ、及び証拠を提出する機会を与えなければならない。
(政府の援助)
第四十七条 政府は、作業環境測定士の資質の向上並びに作業環境測定機関及び指定講習機関の業務の適正化を図るため、資料の提供、測定手法の開発及びその成果の普及その他必要な援助を行うように努めるものとする。
(登録等の条件)
第四十八条 この法律の規定による登録、指定又は許可には、条件を付け、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、当該登録、指定又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該登録、指定又は許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
(手数料)
第四十九条 次の者は、政令で定めるところにより、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国(指定試験機関の行う試験を受けようとする者又は指定試験機関から合格証の再交付を受けようとする者にあつては、指定試験機関)に納付しなければならない。
一 試験を受けようとする者
二 第五条又は第四十四条第一項の指定を受けようとする者
三 講習又は研修(都道府県労働基準局長が行う講習又は研修に限る。)を受けようとする者
四 第七条又は第三十三条の登録を受けようとする者
五 作業環境測定士登録証又は作業環境測定機関登録証の再交付又は書換えを受けようとする者
六 合格証又は講習修了証の再交付(都道府県労働基準局長が行う講習修了証の再交付に限る。)を受けようとする者
2 前項の規定により指定試験機関に納められた手数料は、指定試験機関の収入とする。
(経過措置)
第五十条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃するときは、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(労働省令への委任)
第五十一条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な事項は、労働省令で定める。
第五章 罰則
第五十二条 第二十七条第一項又は第三十五条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第五十三条 第三十条第一項、第三十二条第二項若しくは第三十四条第一項において準用する労働安全衛生法第五十三条第二項又は第三十四条第二項において準用する第十二条第二項の規定による業務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定試験機関若しくは指定講習機関の役員若しくは職員又は作業環境測定機関の役員若しくは職員(作業環境測定機関である作業環境測定士を含む。)は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第五十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
一 第三条、第十八条、第三十七条又は第四十四条第三項の規定に違反した者
二 第十二条第二項の規定による命令に違反した者
三 第三十九条第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
四 第四十二条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者
第五十五条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定試験機関若しくは指定講習機関の役員若しくは職員又は作業環境測定機関の役員若しくは職員(作業環境測定機関である作業環境測定士を含む。)は、五万円以下の罰金に処する。
一 第二十九条第一項の許可を受けないで試験事務に関する業務の全部を廃止したとき。
二 第三十四条第一項において準用する労働安全衛生法第四十九条の許可を受けないで作業環境測定の業務の全部を廃止したとき。
三 第四十一条第一項の規定による立入り、検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
四 第四十二条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
五 第四十三条の規定による帳簿若しくは書類の備付け若しくは保存をせず、又は同条の帳簿若しくは書類に虚偽の記載をしたとき。
第五十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関して、第五十四条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。ただし、第三条の規定は公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から、第四条及び附則第四条のうち労働安全衛生法第六十五条の改正規定中同条に四項を加える部分は公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現にその名称中に作業環境測定士若しくは日本作業環境測定協会の文字を用いている者又は作業環境測定機関若しくはこれに類似する名称を用いている者については、第十八条第一項又は第三十七条の規定は、この法律の施行の日から起算して六月間は、適用しない。
(社会保険労務士法の一部改正)
第三条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
別表第一中第二十号の六の次に次の一号を加える。
二十の七 作業環境測定法(昭和五十年法律第二十八号)
(労働安全衛生法の一部改正)
第四条 労働安全衛生法の一部を次のように改正する。
第二条に次の一号を加える。
四 作業環境測定 作業環境の実態をは握するため空気環境その他の作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む。)をいう。
第十八条第三項を次のように改める。
3 事業者は、次の者を衛生委員会の委員として指名することができる。
一 産業医
二 当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるもの
第十九条第三項を次のように改める。
3 事業者は、次の者を安全衛生委員会の委員として指名することができる。
一 産業医
二 当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるもの
第六十五条の見出しを「(作業環境測定)」に改め、同条中「行なう」を「行う」に、「空気環境その他の作業環境について必要な測定をし」を「必要な作業環境測定を行い」に改め、同条に次の四項を加える。
2 前項の規定による作業環境測定は、労働大臣の定める作業環境測定基準に従つて行わなければならない。
3 労働大臣は、第一項の規定による作業環境測定の適切かつ有効な実施を図るため必要な作業環境測定指針を公表するものとする。
4 労働大臣は、前項の作業環境測定指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者若しくは作業環境測定機関又はこれらの団体に対し、当該作業環境測定指針に関し必要な指導等を行うことができる。
5 都道府県労働基準局長は、作業環境の改善により労働者の健康を保持する必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、労働省令で定めるところにより、事業者に対し、作業環境測定の実施その他必要な事項を指示することができる。
第七十一条中「国は、」の下に「第六十五条の作業環境測定又は」を加え、「当該健康診断」を「当該作業環境測定又は健康診断」に改める。
第九十一条第一項中「質問し、若しくは」を「質問し、」に改め、「検査し」の下に「、若しくは作業環境測定を行い」を加える。
第九十三条第三項中「第三十七条第一項」を「第三十七条第一項の許可」に、「第五十六条第一項」を「第五十六条第一項の許可、第六十五条の規定による作業環境測定についての専門技術的事項に関する事務」に改める。
第九十四条第一項中「行なう」を「行う」に、「質問し、若しくは」を「質問し、」に改め、「検査し」の下に「、若しくは作業環境測定を行い」を加える。
第九十五条第二項中「労働衛生指導医は、」の下に「第六十五条第五項又は」を加える。
第百十九条第一号中「第六十五条」を「第六十五条第一項」に改める。
第百二十条第二号中「を含む。)」の下に「、第六十五条第五項」を加え、同条第四号中「検査」の下に「、作業環境測定」を加える。
(労働省設置法の一部改正)
第五条 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第四条中第二十九号の三の次に次の二号を加える。
二十九の四 作業環境測定法(昭和五十年法律第二十八号)に基づいて、作業環境測定士の試験及び登録を行うこと。
二十九の五 作業環境測定法に基づいて、作業環境測定機関の登録を行い、指定試験機関及び指定講習機関を指定し、並びにこれらに対し、認可その他監督を行うこと。
第八条第一項第八号中「検定代行機関」の下に「、作業環境測定機関、指定試験機関、指定講習機関」を加え、同項第十四号中「労働安全衛生法」の下に「、作業環境測定法」を加え、同条第二項中「検定代行機関」の下に「、作業環境測定機関、指定試験機関、指定講習機関」を、「労働安全衛生法」の下に「、作業環境測定法」を加える。
第十三条第一項の表中央労働基準審議会の項中「及び労働安全衛生法」を「、労働安全衛生法及び作業環境測定法」に改める。
第十五条第一項中「労働者災害補償保険法」を「作業環境測定法(これに基づく命令を含む。)、労働者災害補償保険法」に改める。
第十六条第一項の表地方労働基準審議会の項中「及び労働安全衛生法」を「、労働安全衛生法及び作業環境測定法」に改める。
第十七条第一項中「労働者災害補償保険法」を「作業環境測定法(これに基づく命令を含む。)、労働者災害補償保険法」に改める。
(政令への委任)
第六条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
労働大臣 長谷川峻
内閣総理大臣 三木武夫