(指定)
第二十条 労働大臣は、申請により指定する者に、試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を行わせる。
2 前項の規定による指定(以下この節において「指定」という。)を受けた者(以下「指定試験機関」という。)は、試験事務の実施に関し第十七条に規定する労働大臣の職権を行うことができる。
3 労働大臣は、指定試験機関に試験事務を行わせるときは、当該試験事務を行わないものとする。
(指定の基準)
第二十一条 労働大臣は、指定をしようとするときは、指定の申請が次の各号に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。
一 職員、設備、試験事務の実施の方法その他の事項についての試験事務の実施に関する計画が試験事務の適正かつ確実な実施に適合したものであること。
二 経理的及び技術的な基礎が試験事務の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に足るものであること。
2 労働大臣は、指定の申請が次の各号のいずれかに該当するときは、指定をしてはならない。
二 申請者が、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人以外の者であること。
三 試験事務以外の申請者の行う業務により申請者が試験事務を公正に実施することができないおそれがあること。
四 申請者が第三十条第一項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。
五 申請者の役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
イ この法律又は労働安全衛生法(これらに基づく命令を含む。)の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
ロ 第二十三条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者
(指定の公示等)
第二十二条 労働大臣は、指定をしたときは、指定試験機関の名称及び住所、試験事務を行う事務所の所在地並びに試験事務の開始の日を官報で公示しなければならない。
2 指定試験機関は、その名称若しくは住所又は試験事務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を労働大臣に届け出なければならない。
3 労働大臣は、前項の届出があつたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(役員の選任及び解任)
第二十三条 指定試験機関の役員の選任及び解任は、労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 労働大臣は、指定試験機関の役員が、この法律若しくは労働安全衛生法(これらに基づく命令又は処分を含む。)若しくは第二十五条第一項に規定する試験事務規程に違反する行為をしたとき、又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、その指定試験機関に対し、その役員を解任すべきことを命ずることができる。
(作業環境測定士試験員)
第二十四条 指定試験機関は、試験事務を行う場合において、作業環境測定士として必要な知識及び能力を有するかどうかの判定に関する事務については、作業環境測定士試験員(以下「試験員」という。)に行わせなければならない。
2 試験員は、作業環境測定に関する知識及び経験に関する労働省令で定める要件を備える者のうちから、選任しなければならない。
3 指定試験機関は、試験員を選任したときは、その日から十五日以内に、労働大臣にその旨を届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。
4 労働大臣は、試験員が、この法律若しくは労働安全衛生法(これらに基づく命令又は処分を含む。)若しくは次条第一項に規定する試験事務規程に違反する行為をしたとき、又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定試験機関に対し、その試験員の解任を命ずることができる。
5 前項の規定による命令により試験員の職を解任され、解任の日から起算して二年を経過しない者は、試験員となることができない。
(試験事務規程)
第二十五条 指定試験機関は、試験事務の開始前に、試験事務の実施に関する規程(以下この節において「試験事務規程」という。)を定め、労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 労働大臣は、前項の認可をした試験事務規程が試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、その試験事務規程を変更すべきことを命ずることができる。
3 試験事務規程で定めるべき事項は、労働省令で定める。
(事業計画の認可等)
第二十六条 指定試験機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあつては、その指定を受けた後遅滞なく)、労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定試験機関は、毎事業年度経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、労働大臣に提出しなければならない。
(秘密保持義務等)
第二十七条 指定試験機関の役員若しくは職員(試験員を含む。)又はこれらの職にあつた者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 試験事務に従事する指定試験機関の役員及び職員(試験員を含む。)は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(監督命令)
第二十八条 労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定試験機関に対し、試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(試験事務の休廃止)
第二十九条 指定試験機関は、労働大臣の許可を受けなければ、試験事務に関する業務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
2 労働大臣は、前項の許可をしたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(指定の取消し等)
第三十条 労働大臣は、指定試験機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて試験事務に関する業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
三 第二十一条第二項第五号に該当するに至つたとき。
四 第二十三条第二項、第二十四条第四項、第二十五条第二項又は第二十八条の規定による命令に違反したとき。
五 第二十五条第一項の規定により認可を受けた試験事務規程によらないで試験事務を行つたとき。
2 労働大臣は、前項の規定により指定を取り消し、又は試験事務に関する業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(労働大臣による試験事務の実施)
第三十一条 労働大臣は、指定試験機関が第二十九条第一項の規定により試験事務に関する業務の全部若しくは一部を休止したとき、前条第一項の規定により指定試験機関に対し試験事務に関する業務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は指定試験機関が天災その他の事由により試験事務を実施することが困難となつた場合において必要があると認めるときは、試験事務を自ら行うものとする。
2 労働大臣は、前項の規定により試験事務を自ら行うものとし、又は同項の規定により自ら行つている試験事務を行わないものとするときは、あらかじめ、その旨を官報で公示しなければならない。
3 労働大臣が、第一項の規定により試験事務を自ら行うものとし、第二十九条第一項の規定により試験事務に関する業務の廃止を許可し、又は前条第一項の規定により指定を取り消した場合における試験事務の引継ぎその他の必要な事項は、労働省令で定める。