(業務)
第一條 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。
(資格)
第二條 第四條の規定による行政書士試験に合格した者は、当該都道府県において行政書士となる資格を有する。
2 左の各号の一に該当する者は、いずれの都道府県においても、行政書士となる資格を有する。
四 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間がこれを通算して八年以上(次條第一号に該当する者にあつては五年以上)になる者
(行政書士試験の受験資格)
第三條 左の各号の一に該当する者は、行政書士試験を受けることができる。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校を卒業した者その他同法第五十六條第一項に規定する者
二 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間がこれを通算して三年以上になる者
三 都道府県知事の定めるところにより、前号に掲げる者と同等以上の知識及び能力を有すると認められた者
(行政書士試験)
第四條 都道府県知事は、毎年一回以上行政書士試験を行わなければならない。
2 前項の試験は、行政書士の業務に関し必要な知識及び能力について行う。
3 行政書士試験を受けようとする者は、政令の定めるところにより、試験手数料を当該都道府県に納めなければならない。
4 前三項に規定するものの外、試験の科目、受験手続その他行政書士試験に関し必要な事項は、都道府県規則で定める。
(欠格事由)
第五條 左の各号の一に該当する者は、行政書士となることができない。
三 禁こ以上の刑に処せられた者で、その執行を終り又は執行を受けることがなくなつてから二年を経過しないもの
四 公務員で懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
五 第十四條第一項の規定により登録取消の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
(登録)
第六條 行政書士となる資格を有する者は、行政書士となるには、その資格を有する都道府県において備える行政書士名簿に、住所、氏名、生年月日、事務所の所在地その他都道府県知事の定める事項につき、登録を受けなければならない。
2 行政書士の登録を受けようとする者は、政令の定めるところにより、登録手数料を当該都道府県に納めなければならない。
3 一の都道府県において行政書士の登録を受けている者は、重ねて、他の都道府県において、行政書士の登録を受けることができない。
4 この法律に定めるものを除く外、登録の申請、登録事項の変更、行政書士名簿その他登録に関し必要な事項は、都道府県規則で定める。
5 第二條第一項の規定により行政書士となる資格を有し、行政書士の登録を受けた者は、やむを得ない事由がある場合に限り、第二條第一項の規定にかかわらず、他の都道府県において、その都道府県知事の認可を受けることにより、行政書士となる資格を有することができる。
(登録のまつ消)
第七條 都道府県知事は、行政書士の登録を受けた者が左の各号の一に該当する場合には、その登録をまつ消しなければならない。
一 第五條第二号から第五号までに掲げる事由の一に該当するに至つたとき。
二 前條第五項の規定により他の都道府県知事の認可を受け当該都道府県において行政書士の登録を受けたとき。
三 その業を廃止しようとする旨の届出があつたとき。
(事務所)
第八條 行政書士は、登録を受けた都道府県において事務所を設けなければならない。その事務所は、一箇所とする。
2 行政書士は、都道府県知事の認可を受けた場合に限り、出張所を設けることができる。
(報酬)
第九條 行政書士が受けることのできる報酬の額は、都道府県知事の定めるところによる。
2 行政書士は、その業務に関して、前項に規定する額をこえて報酬を受けてはならない。
3 行政書士は、その事務所又は出張所の見易い場所に、報酬の額を掲示しなければならない。
(帳簿の備付及び保存)
第十條 行政書士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名その他都道府県知事の定める事項を記載しなければならない。
2 行政書士は、前項の帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から一年間保存しなければならない。行政書士でなくなつたときも、また同様とする。
(依頼に応ずる義務)
第十一條 行政書士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことができない。
(秘密を守る義務)
第十二條 行政書士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士でなくなつた後も、また同様とする。
(立入検査)
第十三條 都道府県知事は、必要があると認めるときは、日沒から日出までの時間を除き、当該吏員に行政書士の事務所又は出張所に立ち入り、その業務に関する帳簿及び関係書類を検査させることができる。
2 前項の場合においては、都道府県知事は、当該吏員にその身分を証明する証票を携帶させなければならない。
3 当該吏員は、第一項の立入検査をする場合においては、その身分を証明する証票を関係者に呈示しなければならない。
4 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪搜査のために認められたものと解釈してはならない。
(登録の取消等の処分)
第十四條 行政書士が、この法律若しくはこれに基く命令、規則その他都道府県知事の処分に違反したとき又は行政書士たるにふさわしくない重大な非行があつたときは、都道府県知事は、左の各号の処分をすることができる。
2 都道府県知事が前項の処分をしようとするときは、当該行政書士又はその代理人の出頭を求めて、公開による聽聞を行わなければならない。
3 前項の場合において、都道府県知事は、処分をしようとする事由並びに聽聞の期日及び場所を、その期日の一週間前までに、当該行政書士に通知し、且つ、聽聞の期日及び場所を公示しなければならない。
4 聽聞においては、当該行政書士又はその代理人は、釈明をし、且つ、証拠を提出することができる。
5 都道府県知事は、当該行政書士又はその代理人が正当な理由がなくて聽聞の期日に出頭しないときは、聽聞を行わないで、第一項の処分をすることができる。
(行政書士会)
第十五條 行政書士は、都道府県の区域ごとに、会則を定めて、行政書士会を設立することができる。
2 行政書士会は、行政書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。
(行政書士会の会則)
第十六條 行政書士会の会則には、左の事項を記載しなければならない。
(行政書士会の会員)
第十七條 行政書士会の区域内に事務所を有する行政書士は、その行政書士会の会員となることができる。
(行政書士会連合会)
第十八條 行政書士会は、共同して特定の事項を行うため、会則を定めて、全国を單位とする行政書士会連合会を設立することができる。
(行政書士でない者の取締)
第十九條 行政書士でない者は、業として第一條に規定する業務を行うことができない。但し、他の法律に別段の定がある場合及び正当の業務に附隨して行う場合は、この限りでない。
2 行政書士でない者は、行政書士又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。
(総理府令への委任)
第二十條 この法律に定めるものの外、行政書士の業務執行、行政書士会及び行政書士連合会に関し必要な事項は、総理府令で定める。
(罰則)
第二十一條 第十九條第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十二條 第十二條の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第二十三條 左の各号の一に該当する者は、五千円以下の罰金に処する。
一 第九條第二項、第十條又は第十一條の規定に違反した者
二 第十三條第一項の規定による当該吏員の検査を拒み、妨げ又は忌避した者