(指定等)
第十五条 労働大臣は、介護労働者の福祉の増進を図ることを目的として設立された民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の法人であって、第十七条に規定する業務に関し次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、全国に一を限って、同条に規定する業務を行う者として指定することができる。
一 職員、業務の方法その他の事項についての業務の実施に関する計画が適正なものであり、かつ、その計画を確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すると認められること。
二 前号に定めるもののほか、業務の運営が適正かつ確実に行われ、介護労働者の福祉の増進に資すると認められること。
2 労働大臣は、前項の規定による指定をしたときは、同項の規定による指定を受けた者(以下「介護労働安定センター」という)。の名称及び住所並びに事務所の所在地を公示しなければならない。
3 介護労働安定センターは、その名称及び住所並びに事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を労働大臣に届け出なければならない。
4 労働大臣は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
(指定の条件)
第十六条 前条第一項の規定による指定には、条件を付け、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、当該指定に係る事項の確実な実施を図るために必要な最小限度のものに限り、かつ、当該指定を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。
(業務)
第十七条 介護労働安定センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
一 介護労働者の雇用及び福祉に関する情報及び資料を総合的に収集し、並びに事業主、職業紹介事業者その他の関係者に対して提供すること。
二 職業紹介事業者の行う職業紹介事業に係る介護労働者に対して、その負傷、疾病等に関する援助その他のその職業生活の安定を図るために必要な援助を行うこと。
四 前三号に掲げるもののほか、介護労働者の福祉の増進を図るために必要な業務を行うこと。
(介護労働安定センターによる雇用福祉事業関係業務の実施)
第十八条 労働大臣は、介護労働安定センターを指定したときは、介護労働安定センターに雇用保険法第六十四条の雇用福祉事業のうち次の各号のいずれかに該当するものに係る業務の全部又は一部を行わせるものとする。
一 事業主に対して支給する給付金であって労働省令で定めるものを支給すること。
二 介護労働者の雇用及び福祉に関する調査研究を行うこと。
三 介護労働者の福祉の増進を図るための措置について、事業主、職業紹介事業者その他の関係者に対して相談その他の援助を行うこと。
四 職業紹介事業者の行う職業紹介事業に係る介護労働者及び介護労働者になろうとする者に対して、必要な知識及び技能を習得させるための研修を行うこと。
五 職業紹介事業者その他の介護労働者に係る求職に関する情報を有する者についての情報を収集整理し、及び介護労働者を雇用しようとする者に対して、当該収集整理した情報のうちその希望に応じたものを提供すること。
六 前各号に掲げるもののほか、介護労働者の福祉の増進を図るために必要な事業を行うこと。
2 前項第一号の給付金に該当する雇用保険法第六十四条の規定に基づく給付金の支給要件及び支給額は、労働省令で定めなければならない。
3 介護労働安定センターは、第一項に規定する業務(以下「雇用福祉事業関係業務」という。)の全部又は一部を開始する際、当該業務の種類ごとに、当該業務を開始する日及び当該業務を行う事務所の所在地を労働大臣に届け出なければならない。介護労働安定センターが当該業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときも、同様とする。
4 労働大臣は、第一項の規定により介護労働安定センターに行わせる雇用福祉事業関係業務の種類及び前項の規定による届出に係る事項を公示しなければならない。
(業務規程の認可)
第十九条 介護労働安定センターは、雇用福祉事業関係業務を行うときは、当該業務の開始前に、当該業務の実施に関する規程(以下「業務規程」という。)を作成し、労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 労働大臣は、前項の認可をした業務規程が雇用福祉事業関係業務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、その業務規程を変更すべきことを命ずることができる。
3 業務規程に記載すべき事項は、労働省令で定める。
(報告)
第二十条 介護労働安定センターは、雇用福祉事業関係業務のうち第十八条第一項第一号に係る業務(第二十六条において「給付金業務」という。)を行う場合において当該業務に関し必要があると認めるときは、事業主に対し、必要な事項について報告を求めることができる。
(事業計画等)
第二十一条 介護労働安定センターは、毎事業年度、労働省令で定めるところにより、事業計画書及び収支予算書を作成し、労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 介護労働安定センターは、労働省令で定めるところにより、毎事業年度終了後、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
(区分経理)
第二十二条 介護労働安定センターは、雇用福祉事業関係業務を行う場合には、雇用福祉事業関係業務に係る経理とその他の業務に係る経理とを区分して整理しなければならない。
(交付金)
第二十三条 国は、予算の範囲内において、介護労働安定センターに対し、雇用福祉事業関係業務に要する費用の全部又は一部に相当する金額を交付することができる。
(労働省令への委任)
第二十四条 この章に定めるもののほか、介護労働安定センターが雇用福祉事業関係業務を行う場合における介護労働安定センターの財務及び会計に関し必要な事項は、労働省令で定める。
(役員の選任及び解任)
第二十五条 介護労働安定センターの役員の選任及び解任は、労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 介護労働安定センターの役員が、この章の規定(当該規定に基づく命令及び処分を含む。)若しくは第十九条第一項の規定により認可を受けた業務規程に違反する行為をしたとき、又は第十七条に規定する業務に関し著しく不適当な行為をしたときは、労働大臣は、介護労働安定センターに対し、その役員を解任すべきことを命ずることができる。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第二十六条 給付金業務に従事する介護労働安定センターの役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(報告及び検査)
第二十七条 労働大臣は、第十七条に規定する業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、介護労働安定センターに対し、同条に規定する業務若しくは資産の状況に関し必要な報告をさせ、又は所属の職員に、介護労働安定センターの事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(監督命令)
第二十八条 労働大臣は、この章の規定を施行するために必要な限度において、介護労働安定センターに対し、第十七条に規定する業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(指定の取消し等)
第二十九条 労働大臣は、介護労働安定センターが次の各号のいずれかに該当するときは、第十五条第一項の規定による指定(以下「指定」という。)を取り消し、又は期間を定めて第十七条に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第十七条に規定する業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。
三 この章の規定又は当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。
五 第十九条第一項の規定により認可を受けた業務規程によらないで雇用福祉事業関係業務を行ったとき。
2 労働大臣は、前項の規定により、指定を取り消し、又は第十七条に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。
(労働大臣による雇用福祉事業関係業務の実施)
第三十条 労働大臣は、前条第一項の規定により、指定を取り消し、若しくは雇用福祉事業関係業務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は介護労働安定センターが雇用福祉事業関係業務を行うことが困難となった場合において必要があると認めるときは、当該雇用福祉事業関係業務を自ら行うものとする。
2 労働大臣は、前項の規定により雇用福祉事業関係業務を行うものとし、又は同項の規定により行っている雇用福祉事業関係業務を行わないものとするときは、あらかじめ、その旨を公示しなければならない。
3 労働大臣が、第一項の規定により雇用福祉事業関係業務を行うものとし、又は同項の規定により行っている雇用福祉事業関係業務を行わないものとする場合における当該雇用福祉事業関係業務の引継ぎその他の必要な事項は、労働省令で定める。
(聴聞)
第三十一条 労働大臣は、次に掲げる処分をしようとするときは、労働省令で定めるところにより、あらかじめ、期日及び場所を指定して、聴聞を行わなければならない。
二 第二十九条第一項の規定による指定の取消し又は業務の全部若しくは一部の停止命令
2 前項の聴聞に際しては、当該処分に係る者に、意見を述べ、及び証拠を提出する機会を与えなければならない。