特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和五十八年五月十七日
内閣総理大臣 中曽根康弘
法律第三十九号
特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法
目次
第一章
総則(第一条―第四条)
第二章
雇用の安定に関する計画等(第五条―第八条)
第三章
失業の予防、雇用機会の増大等のための助成及び援助(第九条・第十条)
第四章
離職者の再就職の促進等のための措置(第十一条―第二十三条)
第五章
雑則(第二十四条―第二十七条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、最近における内外の経済的事情の著しい変化により、特定不況業種に属する事業分野及び特定不況地域において現に多数の離職者が発生していること及び今後とも一時に多数の離職者が発生することが見込まれること等の事情にかんがみ、特定不況業種に係る事業所及び特定不況地域内に所在する事業所に雇用される労働者等に関し、失業の予防、再就職の促進等のための特別の措置を講じ、もつてこれらの者の職業及び生活の安定に資することを目的とする。
(定義等)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 特定不況業種 内外の経済的事情の著しい変化により、その業種に属する事業分野において、製品又は役務の供給能力が著しく過剰となつており、かつ、その状態が長期にわたり継続することが見込まれるため、その業種に係る事業所に関し事業規模若しくは事業活動の縮小又は事業の転換若しくは廃止(以下「事業規模の縮小等」という。)を余儀なくされ、これに伴い雇用量が相当程度減少しており、又は減少するおそれがあると認められる業種であつて、当該業種に係る事業所に雇用されており、又は雇用されていた労働者等に関しこの法律で定める特別の措置を講ずる必要があるものとして政令で指定する業種をいう。
二 特定不況地域 その地域内に所在する事業所の事業活動に占める特定不況業種に係る事業所(漁業再建整備特別措置法(昭和五十一年法律第四十三号)第十三条第一項の政令で定める業種に係る事業所及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法(昭和五十二年法律第九十四号)第二条第一項の政令で定める業種に係る事業所を含む。以下この号において同じ。)の事業活動の割合が相当程度の割合であることにより、その地域内に所在する特定不況業種に係る事業所に関し余儀なくされる事業規模の縮小等に伴い、雇用に関する状況が著しく悪化しており、又は悪化するおそれがあると認められる地域であつて、当該地域内に所在する事業所に雇用されている労働者、当該地域内に居住する離職者等に関しこの法律で定める特別の措置を講ずる必要があるものとして政令で指定する地域をいう。
三 特定不況業種事業主 特定不況業種に属する事業の事業主(当該事業主の行う特定不況業種に属する事業に関し当該事業主から委託を受けて製造、修理その他の行為を業として行う者で労働省令で定めるものを含む。)をいう。
四 特定不況地域事業主 特定不況地域内に所在する事業所の事業主をいう。
五 特定不況業種離職者 特定不況業種に係る事業所(第三号に規定する業として行われる製造、修理その他の行為に係る事業所を含む。以下同じ。)に関し行われる事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされた労働者であつて、現に失業しており、又はその職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態にあると認められるもの(第二十条を除き、船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第六条第一項に規定する船員(以下「船員」という。)となろうとする者を除く。)をいう。
六 特定不況地域離職者 次に掲げる離職者(自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した者を除く。)であつて、現に失業しており、又はその職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態にあると認められるもの(労働省令で定める者を除く。)をいう。
イ 特定不況地域内に居住する離職者
ロ イに掲げる離職者以外の離職者で、特定不況地域内に所在する事業所に雇用されていたもの
2 前項第一号又は第二号の規定による指定は、この法律で定める特別の措置を講ずべき期間を付してするものとする。
3 第一項第一号又は第二号の規定による指定をした場合において、前項の規定により付した期間を延長する必要があると認められるときは、当該期間は、延長することができるものとする。
4 労働大臣は、第一項第一号の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、当該業種に係る主たる事業主団体及び労働組合の意見を聴かなければならない。
5 労働大臣は、第一項第二号の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、当該地域を管轄する都道府県知事の意見を聴かなければならない。
6 労働大臣は、第一項第二号の政令の制定又は改正の立案に当たつては、特定業種関連地域中小企業対策臨時措置法(昭和五十三年法律第百六号)に基づき中小企業者の経営の安定を図る等のため措置が講ぜられる地域については、当該措置とこの法律で定める特別の措置とが総合的かつ効果的に実施されるよう配慮するものとする。
(事業主等の責務)
第三条 特定不況業種事業主又は特定不況地域事業主は、特定不況業種に係る事業所又は特定不況地域内に所在する事業所に関し事業規模の縮小等を行おうとするときは、その雇用する労働者について、失業の予防その他の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 特定不況業種事業主及び当該特定不況業種に係る事業主団体又は特定不況地域事業主及び当該特定不況地域に係る事業主団体は、当該特定不況業種事業主又は特定不況地域事業主の雇用する労働者の雇用の安定に関し、相互に協力するよう努めなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第四条 国は、特定不況業種に係る事業所及び特定不況地域内に所在する事業所に関し行われる事業規模の縮小等の雇用に及ぼす影響その他特定不況業種に属する事業分野又は特定不況地域における雇用の動向に的確に対処するため、これらの事業所に雇用されている労働者、特定不況業種離職者及び特定不況地域離職者について、失業の予防、再就職の促進その他の雇用の安定を図るために必要な施策を総合的かつ計画的に推進するよう努めなければならない。
2 地方公共団体は、前項の国の施策に協力するとともに、特定不況業種離職者及び特定不況地域離職者の再就職の促進に必要な施策を推進するよう努めなければならない。
第二章 雇用の安定に関する計画等
(労働大臣の作成する雇用の安定に関する計画)
第五条 労働大臣は、特定不況業種に係る事業所及び特定不況地域内に所在する事業所に雇用される労働者等の失業の予防、再就職の促進等のための措置の推進に資するため、特に必要があると認められる業種又は地域で労働大臣が定めるものごとに、これらの者の雇用の安定に関する計画を作成するものとする。
2 労働大臣は、前項の計画を作成しようとするときは、あらかじめ、業種に係る計画にあつては当該業種に属する事業を所管する大臣の、地域に係る計画にあつては当該地域を管轄する都道府県知事の意見を聴かなければならない。
3 労働大臣は、第一項の計画を作成するに当たつては、当該特定不況業種又は特定不況地域に係る事業主団体に対して、労働省令で定めるところにより、当該特定不況業種に属する事業分野又は当該特定不況地域における雇用の動向等の把握に必要な資料の提出を求めることができる。
(特定不況業種事業主の作成する再就職援助等計画)
第六条 特定不況業種事業主は、その実施に伴い一の事業所において相当数の労働者が離職等を余儀なくされることが見込まれる事業規模の縮小等で、特定不況業種に係る事業所に関するもの(労働省令で定めるものに限る。)を行おうとするときは、労働省令で定めるところにより、当該事業所に雇用する労働者に関し、再就職の援助その他の雇用の安定に関する計画(以下「再就職援助等計画」という。)を作成しなければならない。
2 特定不況業種事業主は、前項の規定により再就職援助等計画を作成するに当たつては、当該再就職援助等計画に係る事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合の、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。当該再就職援助等計画を変更しようとするときも、同様とする。
3 特定不況業種事業主は、前二項の規定により再就職援助等計画を作成したときは、労働省令で定めるところにより、公共職業安定所長に提出し、その認定を受けなければならない。当該再就職援助等計画を変更したときも、同様とする。
4 公共職業安定所長は、前項の認定の申請があつた場合において、その再就職援助等計画で定める措置の内容が再就職の援助その他雇用の安定を図る上で適当でないと認めるときは、当該事業主に対して、その変更を求めることができる。その変更を求めた場合において、当該事業主がその求めに応じなかつたときは、公共職業安定所長は、同項の認定を行わないことができる。
5 第三項の認定の申請をした特定不況業種事業主は、雇用対策法(昭和四十一年法律第百三十二号)第二十一条の規定の適用については、当該申請をした日に、同条第一項の離職に係る届出をしたものとみなす。
第七条 特定不況業種事業主は、特定不況業種に係る事業所に関し行おうとする事業規模の縮小等が前条第一項の規定に該当しない場合においても、労働省令で定めるところにより、当該事業所に雇用する労働者に関し、再就職援助等計画を作成し、公共職業安定所長に提出して、その認定を受けることができる。当該再就職援助等計画を変更したときも、同様とする。
2 前条第二項及び第四項の規定は、前項の規定により再就職援助等計画を作成し、又は変更する場合について準用する。この場合において、同条第四項中「前項」とあるのは、「次条第一項」と読み替えるものとする。
(雇用の安定のための要請)
第八条 労働大臣は、特定不況地域における雇用に関する状況の一層の悪化を防止するため特に必要があると認めるときは、当該特定不況地域内に所在する特定不況業種に係る事業所に関する事業規模の縮小等(当該事業規模の縮小等に伴い、当該事業所において相当数の離職者が発生することが見込まれるものに限る。)を行おうとする特定不況業種事業主に対して、当該事業所に雇用される労働者に関し、再就職の援助その他の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずることを要請することができる。
第三章 失業の予防、雇用機会の増大等のための助成及び援助
(失業の予防等のための助成及び援助)
第九条 政府は、特定不況業種に係る事業所若しくは特定不況地域内に所在する事業所に雇用されている労働者、特定不況業種離職者又は特定不況地域離職者に関し、失業の予防、雇用機会の増大その他の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第六十一条の二の雇用安定事業として、必要な助成及び援助を行うものとする。
2 前項の助成及び援助を行うに当たつては、第六条第三項又は第七条第一項の規定により再就職援助等計画の認定を受けた特定不況業種事業主について特別の配慮をするものとする。
(特定不況地域における雇用機会の増大のための助成及び援助)
第十条 政府は、特定不況地域における雇用機会の増大に資すると認められる措置を講ずる事業主に対して、雇用保険法第六十二条の雇用改善事業として、必要な助成及び援助を行うものとする。
第四章 離職者の再就職の促進等のための措置
(職業訓練)
第十一条 国及び雇用促進事業団は、特定不況業種離職者及び特定不況地域離職者の再就職を容易にするため、必要な職業訓練の迅速かつ効果的な実施について特別の措置を講ずるものとする。
2 国は、都道府県が前項の措置に相当する措置を講ずることを奨励するため、当該措置を講ずる都道府県に対して、必要な助成及び援助を行うよう努めるものとする。
(職業紹介)
第十二条 公共職業安定所は、特定不況業種離職者及び特定不況地域離職者の速やかな再就職を容易にするため、求人の開拓、職業指導及び就職のあつせんを行う等必要な措置を講ずるものとする。
(特定不況業種離職者求職手帳の発給)
第十三条 公共職業安定所長は、特定不況業種離職者で次のいずれにも該当するものに対して、その者の申請に基づき、特定不況業種離職者求職手帳(以下「手帳」という。)を発給する。
一 当該離職が第六条第三項又は第七条第一項の規定による認定を受けた再就職援助等計画に含まれているものであること。
二 当該離職の日まで一年以上引き続き特定不況業種事業主に雇用されていたこと。
三 労働の意思及び能力を有すること。
四 当該離職の日以後において新たに安定した職業に就いたことがないこと。
2 公共職業安定所長は、特定不況業種事業主がやむを得ない理由により再就職援助等計画について第六条第三項又は第七条第一項の規定による認定を受けることができなかつたと認めたときは、前項第二号から第四号までに該当する特定不況業種離職者に対しても、その者の申請に基づき、手帳を発給することができる。
(関連下請事業主に係る離職者に対する手帳発給の特例)
第十四条 公共職業安定所長は、前条の規定に該当する特定不況業種離職者のほか、関連下請事業主(他の事業主から委託を受けて、当該他の事業主の行う事業に関し、製造、修理その他の行為を業として行う者で労働省令で定めるものをいう。第二号及び次項において同じ。)が、当該他の事業主の行う当該委託に係る事業の属する業種が特定不況業種として指定された日前に、当該製造、修理その他の行為に係る事業所に関し行つた事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされた労働者で次のいずれにも該当するもの(船員となろうとする者を除く。)に対しても、その者の申請に基づき、手帳を発給することができる。
一 当該離職が当該指定の日前労働省令で定める期間内にされたものであること。
二 当該離職の日まで一年以上引き続き関連下請事業主に雇用されていたこと。
三 労働の意思及び能力を有すること。
四 当該離職の日以後において新たに安定した職業に就いたことがないこと。
2 公共職業安定所長は、前項の規定により手帳を発給しようとするときは、当該関連下請事業主に対して、手帳の発給に関し必要な資料の提出を求めることができる。
(手帳の効力)
第十五条 手帳は、労働省令で定める期間、その効力を有する。
2 手帳は、公共職業安定所長が、当該手帳の発給を受けた者が次のいずれかに該当すると認めたときは、その効力を失う。
一 労働の意思又は能力を有しなくなつたとき。
二 新たに安定した職業に就いたとき。
三 第十七条第三項の規定に違反して再度同条第一項に規定する就職指導を受けなかつたとき。
四 偽りその他不正の行為により、雇用対策法の規定に基づき支給する給付金(事業主に対して支給するものを除く。)の支給を受け、又は受けようとしたとき。
3 前項の場合においては、公共職業安定所長は、その旨を当該手帳の発給を受けた者に通知するものとする。
(労働省令への委任)
第十六条 前三条に定めるもののほか、手帳の発給、手帳の返納その他手帳に関し必要な事項は、労働省令で定める。
(就職指導の実施)
第十七条 公共職業安定所は、手帳の発給を受けた者(以下「手帳所持者」という。)に対して、当該手帳がその効力を失うまでの間、その者の再就職を促進するために必要な職業指導(以下この条において「就職指導」という。)を行うものとする。
2 公共職業安定所長は、就職指導を受ける者に対して、公共職業訓練施設の行う職業訓練を受けることその他その者の再就職を促進するために必要な事項を指示することができる。
3 手帳所持者は、労働省令で定めるところにより、定期的に、公共職業安定所長の指定した日に公共職業安定所に出頭し、就職指導を受けなければならない。ただし、次に掲げる理由により公共職業安定所に出頭することができなかつたときは、この限りでない。
一 疾病又は負傷
二 公共職業安定所の紹介による求人者との面接
三 前項の規定により公共職業安定所長の指示した公共職業訓練施設の行う職業訓練の受講
四 天災その他やむを得ない理由
五 その他労働省令で定める理由
4 就職指導は、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第九条の二第一項の就職促進指導官に行わせるものとする。
(給付金の支給)
第十八条 国及び都道府県は、手帳所持者がその有する能力に適合する職業に就くことを容易にし、及び促進するため、手帳所持者又は事業主に対して、雇用対策法の規定に基づき、給付金を支給するものとする。
(手帳所持者及び特定不況地域離職者に係る延長給付)
第十九条 手帳所持者又は特定不況地域離職者であつて、雇用保険法第十五条第一項に規定する受給資格者(同法第二十二条第一項第一号に規定する基準日において四十歳以上である者に限る。)であるものに対する同法第二十三条の規定の適用については、同条第一項中「政令で定める基準」とあるのは「特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法第十九条に規定する受給資格者の再就職の状況等を考慮して政令で定める基準」と、同項及び同条第二項中「政令で定める日数」とあるのは「政令で定める日数に三十日を加えた日数」とする。
第二十条 手帳所持者(特定不況業種離職者で船員であつたもののうち、再び船員となろうとする者で、海運局(船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第三十三条ノ四第一項に規定する海運局をいう。)の長が第十三条第一項各号に該当すると認定したもの及び同条第二項に規定する者に相当すると認定したものを含む。)又は特定不況地域離職者であつて、同法第三十三条ノ三第一項の規定に該当する者(同法第三十三条ノ十二第一項第一号に規定する基準日において四十歳以上である者に限る。)であるものに対する同法第三十三条ノ十二ノ二の規定の適用については、同条第一項中「政令ヲ以テ定ムル基準」とあるのは「特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法第二十条ニ規定スル者ノ再就職ノ状況等ヲ考慮シ政令ヲ以テ定ムル基準」と、同項及び同条第二項中「政令ヲ以テ定ムル日数」とあるのは「政令ヲ以テ定ムル日数ニ三十日ヲ加ヘタル日数」とする。
(公共事業への就労促進)
第二十一条 労働大臣は、必要があると認めるときは、公共事業(国並びに日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社その他特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によつて得ている法人で政令で定めるものに限る。)(以下この条において「国等」と総称する。)自ら又は国の負担金の交付を受け、若しくは国庫の補助により地方公共団体等が計画実施する公共的な建設又は復旧の事業をいう。次条において同じ。)を計画実施する国等の機関又は地方公共団体等(これらのものとの請負契約その他の契約に基づいて、その事業を施行する者を含む。次条において「公共事業の事業主体等」という。)に対して、特定不況業種離職者の雇入れについて配慮するよう要請することができる。
第二十二条 労働大臣は、特定不況地域において計画実施される公共事業について、その事業種別に従い、職種別又は地域別に、当該事業に使用される労働者の数とそのうちの特定不況地域離職者の数との比率(次項及び第四項において「吸収率」という。)を定めることができる。
2 吸収率の定められている公共事業を計画実施する公共事業の事業主体等は、公共職業安定所の紹介により、常に吸収率に該当する数の特定不況地域離職者を雇い入れていなければならない。
3 公共事業の事業主体等は、前項の規定により雇入れを必要とする数の特定不況地域離職者を公共職業安定所の紹介により雇い入れることが困難な場合には、その困難な数の労働者を、公共職業安定所の書面による承諾を得て、直接雇い入れることができる。
4 前三項に定めるもののほか、吸収率の定められている公共事業への特定不況地域離職者の吸収に関し必要な事項は、労働省令で定める。
第二十三条 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法(昭和四十六年法律第六十八号)第二十二条の規定は、特定不況地域である地域については、適用しない。
2 特定不況地域である地域以外の地域に対する中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法第二十二条の規定の適用については、同条第一項中「中高年齢失業者等の就職」とあるのは、「中高年齢失業者等(特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法第十七条第一項に規定する手帳所持者を含む。以下同じ。)の就職」とする。
3 特定不況地域が中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法第二条第四項に規定する特定地域である場合における前条の規定の適用については、同条第一項中「特定不況地域離職者」とあるのは、「特定不況地域離職者(中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法第二条第三項に規定する中高年齢失業者等を含む。以下この条において同じ。)」とする。
第五章 雑則
(中央職業安定審議会への諮問等)
第二十四条 労働大臣は、この法律の施行に関する重要事項について決定しようとするときは、あらかじめ、中央職業安定審議会の意見を聴かなければならない。
2 中央職業安定審議会は、労働大臣の諮問に応ずるほか、必要に応じ、特定不況業種に係る事業所及び特定不況地域内に所在する事業所に雇用される労働者等の雇用の安定のための措置に関し、関係行政庁に建議することができる。
(船員となろうとする者に関する特例)
第二十五条 その地域内に居住する離職者のうち船員となろうとする者の占める割合が相当程度のものである地域に対する第二条第五項及び第六項並びに第五条(特定不況地域に係る部分に限る。)の規定の適用については、これらの規定中「労働大臣」とあるのは「運輸大臣及び労働大臣」と、「労働省令」とあるのは「運輸省令、労働省令」とする。
2 船員となろうとする者に関しては、第二条第一項第六号中「労働省令」とあるのは「運輸省令」と、第十二条中「公共職業安定所」とあるのは「海運局(海運監理部を含む。)」とする。
(指定期間の満了に伴う経過措置)
第二十六条 前二章に定める措置に関しては、労働省令(第十一条及び第十二条に定める措置で船員となろうとする者に係るものにあつては運輸省令、第二十条に定める措置にあつては厚生省令)で、第二条第二項の規定により付された期間(当該期間が同条第三項の規定により延長された場合においては、当該延長された期間)の満了に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。
(権限の委任)
第二十七条 この法律に定める労働大臣の権限は、労働省令で定めるところにより、その一部を公共職業安定所長に委任することができる。
2 この法律に定める運輸大臣の権限は、運輸省令で定めるところにより、その一部を海運局長(海運監理部長を含む。)に委任することができる。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和五十八年七月一日から施行する。
(特定不況地域離職者臨時措置法の廃止)
第二条 特定不況地域離職者臨時措置法(昭和五十三年法律第百七号)は、廃止する。
(経過措置)
第三条 この法律の施行の際現に前条の規定による廃止前の特定不況地域離職者臨時措置法(第一号及び附則第五条において「旧特定不況地域離職者臨時措置法」という。)第七条又は第八条において読み替えて適用する雇用保険法第二十三条第二項又は船員保険法第三十三条十二ノ二第二項に規定する個別延長給付(以下この条において「旧個別延長給付」という。)を受けることができる者は、第十九条又は第二十条において読み替えて適用する雇用保険法第二十三条第二項又は船員保険法第三十三条ノ十二ノ二第二項に規定する個別延長給付(以下この項において「新個別延長給付」という。)を受けることができる者とみなす。この場合において、新個別延長給付を受けることができる日数は、第十九条又は第二十条の規定にかかわらず、第一号に掲げる日数から第二号に掲げる日数を差し引いて得た日数に相当する日数を限度とする。
一 旧特定不況地域離職者臨時措置法第七条において読み替えて適用する雇用保険法第二十三条第一項の政令で定める日数に三十日を加えた日数又は旧特定不況地域離職者臨時措置法第八条において読み替えて適用する船員保険法第三十三条ノ十二ノ二第一項の政令で定める日数に三十日を加えた日数
二 この法律の施行の日(以下次条までにおいて「施行日」という。)前において旧個別延長給付を受けた日数に施行日以後において次項の規定によりなお従前の例によることとされる施行日前の期間に係る旧個別延長給付を受けた日数を加えた日数
2 施行日前の期間に係る旧個別延長給付については、なお従前の例による。
第四条 施行日前に特定不況業種離職者臨時措置法(昭和五十二年法律第九十五号)第十条の規定により発給された同条第一項に規定する求職手帳は第十三条の規定により発給された同条第一項に規定する手帳と、この法律の施行の際現に特定不況業種離職者臨時措置法第十一条第一項に規定する手帳所持者である者は第十七条第一項に規定する手帳所持者である者とみなす。
第五条 前二条に定めるもののほか、旧特定不況地域離職者臨時措置法の廃止及び特定不況業種離職者臨時措置法の失効に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
(社会保険労務士法の一部改正)
第六条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
別表第一中第二十号の十及び第二十号の十一を削り、第二十号の十二を第二十号の十とし、同号の次に次の一号を加える。
二十の十一 特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法(昭和五十八年法律第三十九号)
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正)
第七条 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)の一部を次のように改正する。
附則第八条中「特定不況地域離職者臨時措置法」を「特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法(昭和五十八年法律第三十九号)附則第二条の規定による廃止前の特定不況地域離職者臨時措置法」に、「同法」を「特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」に改める。
(沖縄振興開発特別措置法の一部改正)
第八条 沖縄振興開発特別措置法(昭和四十六年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第四十七条第三項中「特定不況地域離職者臨時措置法(昭和五十三年法律第百七号)第十一条」を「特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法(昭和五十八年法律第三十九号)第二十二条」に改める。
(労働省設置法の一部改正)
第九条 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第十条第一項第八号中「特定不況業種離職者臨時措置法(昭和五十二年法律第九十五号)(第九条の規定を除く。)、特定不況地域離職者臨時措置法(昭和五十三年法律第百七号)(第五条の規定を除く。)及び」を削り、「の施行に関すること」を「及び特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法(昭和五十八年法律第三十九号)(第十一条の規定を除く。)の施行に関すること」に改め、同条第二項中「、特定不況業種離職者臨時措置法(第二十条の規定に限る。)及び特定不況地域離職者臨時措置法(第十一条及び第十二条の規定に限る。)」を「及び特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法(第二十一条から第二十三条までの規定に限る。)」に改める。
第十八条第一項中「特定不況業種離職者臨時措置法(これに基づく命令を含む。)、特定不況地域離職者臨時措置法(これに基づく命令を含む。)及び」を削り、「の定めるところによる」を「及び特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法(これに基づく命令を含む。)の定めるところによる」に改める。
(この法律の廃止)
第十条 この法律は、昭和六十三年六月三十日までに廃止するものとする。
大蔵大臣 竹下登
厚生大臣 林義郎
運輸大臣 長谷川峻
労働大臣 大野明
内閣総理大臣 中曽根康弘