(工賃の支払)
第六条 工賃は、労働省令で定める場合を除き、家内労働者に、通貨でその全額を支払わなければならない。
2 工賃は、労働省令で定める場合を除き、委託者が家内労働者の製造又は加工等に係る物品についての検査(以下「検査」という。)をするかどうかを問わず、委託者が家内労働者から当該物品を受領した日から起算して一月以内に支払わなければならない。ただし、毎月一定期日を工賃締切日として定める場合は、この限りでない。この場合においては、委託者が検査をするかどうかを問わず、当該工賃締切日までに受領した当該物品に係る工賃を、その日から一月以内に支払わなければならない。
(工賃の支払場所等)
第七条 委託者は、家内労働者から申出のあつた場合その他特別の事情がある場合を除き、工賃の支払及び物品の受渡しを家内労働者が業務に従事する場所において行なうように努めなければならない。
(最低工賃)
第八条 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、一定の地域内において一定の業務に従事する工賃の低廉な家内労働者の労働条件の改善を図るため必要があると認めるときは、中央家内労働審議会又は地方家内労働審議会(地方家内労働審議会を置かない都道府県労働基準局にあつては、当該都道府県労働基準局に置かれている地方最低賃金審議会。第二十一条第二項において同じ。)(以下第十一条までにおいて「審議会」という。)の調査審議を求め、その意見を尊重して、当該業務に従事する家内労働者及びこれに委託をする委託者に適用される最低工賃を決定することができる。
2 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、前項の審議会の意見の提出があつた場合において、その意見により難いと認めるときは、理由を付して、審議会に再審議を求めなければならない。
(審議会の意見に関する異議の申出)
第九条 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、前条第一項の審議会の意見の提出があつたときは、労働省令で定めるところにより、その意見の要旨を公示しなければならない。
2 前条第一項の審議会の意見に係る家内労働者又は委託者は、前項の規定による公示の日の翌日から起算して十五日以内に、労働大臣又は都道府県労働基準局長に、異議を申し出ることができる。
3 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、前項の規定による申出があつたときは、その申出について、審議会に意見を求めなければならない。
4 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、第一項の規定による公示の日の翌日から起算して十五日を経過する日までの間は、前条第一項の規定による決定をすることができない。第二項の規定による申出があつた場合において、前項の審議会の意見が提出されるまでの間についても、同様とする。
5 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、前条第一項の規定による決定をする場合において、第二項の規定による申出があつたときは、第三項の審議会の意見に基づき、当該最低工賃において、一定の範囲の業務について、その適用を一定の期間を限つて猶予し、又は最低工賃額(最低工賃において定める工賃の額をいう。以下同じ。)について別段の定めをすることができる。
6 前条第二項の規定は、第三項の審議会の意見の提出があつた場合について準用する。
(最低工賃の改正等)
第十条 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、最低工賃について必要があると認めるときは、その決定の例により、その改正又は廃止の決定をすることができる。
(最低工賃の決定等に関する関係家内労働者又は関係委託者の意見の聴取等)
第十一条 審議会は、最低工賃の決定又はその改正若しくは廃止の決定について調査審議を行なう場合には、労働省令で定めるところにより、関係家内労働者及び関係委託者の意見をきくものとする。
2 家内労働者又は委託者の全部又は一部を代表する者は、労働省令で定めるところにより、労働大臣又は都道府県労働基準局長に対し、当該家内労働者若しくは委託者に適用される最低工賃の決定又は当該家内労働者若しくは委託者に現に適用されている最低工賃の改正若しくは廃止の決定をするよう申し出ることができる。
3 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、前項の規定による申出があつた場合において必要があると認めるときは、その申出について審議会に意見を求めるものとする。
(公示及び発効)
第十二条 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、最低工賃に関する決定をしたときは、労働省令で定めるところにより、決定した事項を公示しなければならない。
2 最低工賃の決定及びその改正の決定は、前項の規定による公示の日から起算して三十日を経過した日(公示の日から起算して三十日を経過した日後の日であつて当該決定において別に定める日があるときは、その日)から、最低工賃の廃止の決定は、同項の規定による公示の日(公示の日後の日であつて当該決定において別に定める日があるときは、その日)から、その効力を生ずる。
(最低工賃額等)
第十三条 最低工賃は、当該最低工賃に係る一定の地域と同一の地域内において同一又は類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金(最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)の規定による最低賃金をいう。以下同じ。)(当該同一の地域内において同一又は類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金が決定されていない場合には、当該労働者の賃金(労働基準法第十一条に規定する賃金をいう。))との均衡を考慮して定められなければならない。
2 最低工賃額は、家内労働者の製造又は加工等に係る物品の一定の単位によつて定めるものとする。
(最低工賃の効力)
第十四条 委託者は、最低工賃の適用を受ける家内労働者に対し、その最低工賃額以上の工賃を支払わなければならない。
(最低工賃に関する職権等)
第十五条 第八条第一項及び第十条に規定する労働大臣又は都道府県労働基準局長の職権は、二以上の都道府県労働基準局の管轄区域にわたる事案及び一の都道府県労働基準局の管轄区域内のみに係る事案であつて労働大臣が全国的に関連があると認めて指定するものについては、労働大臣が行ない、一の都道府県労働基準局の管轄区域内のみに係る事案(労働大臣の職権に属する事案を除く。)については、当該都道府県労働基準局長が行なう。
2 労働大臣は、都道府県労働基準局長が決定した最低工賃が著しく不適当となつたと認めるときは、中央家内労働審議会の調査審議を求め、その意見を尊重して、当該最低工賃の改正又は廃止の決定をすべきことを都道府県労働基準局長に命ずることができる。
3 第八条第二項の規定は、前項の中央家内労働審議会の意見の提出があつた場合について準用する。
(工賃及び最低工賃に関する規定の効力)
第十六条 第六条又は第十四条の規定に違反する工賃の支払を定める委託に関する契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、これらの規定に定める基準による。