(特別遺族給付金)
第五十九条 厚生労働大臣は、この節に定めるところにより、死亡労働者等の遺族であって、労災保険法の規定による遺族補償給付を受ける権利が時効によって消滅したものに対し、その請求に基づき、特別遺族給付金を支給する。
2 前項の特別遺族給付金(以下「特別遺族給付金」という。)は、特別遺族年金又は特別遺族一時金とする。
3 特別遺族年金の額は、労災保険法の規定による遺族補償年金の額等を勘案し、特別遺族年金を受ける権利を有する遺族及びその者と生計を同じくしている特別遺族年金を受けることができる遺族の人数の区分に応じて政令で定める額とする。
4 特別遺族一時金の額は、労災保険法の規定による遺族補償一時金の額等を勘案し、第六十二条各号の区分に応じて政令で定める額とする。
5 特別遺族年金又は特別遺族一時金の支給の請求は、施行日から三年を経過したとき(第六十一条第一項後段の規定により支給する特別遺族年金にあっては特別遺族年金を受ける権利を有する先順位の遺族の権利が消滅した時から、第六十二条第二号の規定により支給する特別遺族一時金にあっては特別遺族年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した時から、三年を経過したとき)は、することができない。
(特別遺族年金の受給者の範囲等)
第六十条 特別遺族年金を受けることができる遺族は、死亡労働者等の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当するものとする。
一 死亡労働者等の死亡の当時その収入によって生計を維持していたこと。
二 妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)以外の者にあっては、死亡労働者等の死亡の当時において、次のイからニまでのいずれかに該当すること。
イ 夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下同じ。)、父母又は祖父母については、五十五歳以上であること。
ロ 子又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあること。
ハ 兄弟姉妹については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあること又は五十五歳以上であること。
ニ イからハまでの要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。
三 死亡労働者等の死亡の時から施行日までの間において、次のイからホまでのいずれにも該当しないこと。
イ 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたこと。
ロ 直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったこと。
ハ 離縁によって、死亡労働者等との親族関係が終了したこと。
ニ 子、孫又は兄弟姉妹については、十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了したこと(死亡労働者等の死亡の時から引き続き前号ニの厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く。)。
ホ 前号ニの厚生労働省令で定める障害の状態にある夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、その事情がなくなったこと(夫、父母又は祖父母については、死亡労働者等の死亡の当時五十五歳以上であったとき、子又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるとき、兄弟姉妹については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか又は死亡労働者等の死亡の当時五十五歳以上であったときを除く。)。
2 特別遺族年金を受けるべき遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の順序とする。
3 特別遺族年金を受ける権利を有する者が二人以上あるときは、特別遺族年金の額は、前条第三項の規定にかかわらず、同項の政令で定める額をその人数で除して得た額とする。
(特別遺族年金の受給権の消滅)
第六十一条 特別遺族年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。この場合において、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に特別遺族年金を支給する。
二 前条第一項第三号イからホまでに掲げる要件のいずれかに該当したとき。
2 特別遺族年金を受けることができる遺族が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、その者は、特別遺族年金を受けることができる遺族でなくなる。
(特別遺族一時金)
第六十二条 特別遺族一時金は、次の場合に支給する。
一 施行日において特別遺族年金を受けることができる遺族がないとき。
二 特別遺族年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合において、他に当該特別遺族年金を受けることができる遺族がなく、かつ、当該死亡労働者等の死亡に関し支給された特別遺族年金の額の合計額が当該権利が消滅した日において前号に掲げる場合に該当することとなるものとしたときに支給されることとなる特別遺族一時金の額に満たないとき。
(特別遺族一時金の受給者の範囲等)
第六十三条 特別遺族一時金を受けることができる遺族は、次に掲げる者とする。
二 死亡労働者等の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母
三 前号に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹
2 特別遺族一時金を受けるべき遺族の順位は、前項各号の順位により、同項第二号及び第三号に掲げる者のうちにあっては、それぞれ、当該各号に掲げる順序による。
3 第六十条第三項の規定は、特別遺族一時金について準用する。この場合において、同項中「前条第三項」とあるのは、「前条第四項」と読み替えるものとする。
(特別遺族給付金に関する労災保険法の準用)
第六十四条 労災保険法第十一条(第二項を除く。)、第十二条の七及び第十六条の九第一項の規定は、特別遺族給付金について準用する。この場合において、労災保険法第十一条第一項中「(遺族補償年金については当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族、遺族年金については当該遺族年金を受けることができる他の遺族)」とあるのは「(特別遺族年金については当該特別遺族年金を受けることができる他の遺族)」と、同条第三項中「第一項に規定する順序(遺族補償年金については第十六条の二第三項に、遺族年金については第二十二条の四第三項において準用する第十六条の二第三項に規定する順序)」とあるのは「第一項に規定する順序」と、労災保険法第十二条の七中「政府」とあるのは「厚生労働大臣」と、労災保険法第十六条の九第一項中「労働者」とあるのは「死亡労働者等」と読み替えるものとする。
2 労災保険法第九条、第十二条第一項、第十二条の二、第十六条の二第二項、第十六条の五第一項及び第二項並びに第十六条の九第二項及び第四項の規定は、特別遺族年金について準用する。この場合において、労災保険法第九条第一項中「支給すべき事由が生じた月」とあるのは「支給の請求をした日の属する月」と、労災保険法第十二条の二中「支払うべき保険給付」とあるのは「支払うべき特別遺族給付金」と、「当該保険給付」とあるのは「当該特別遺族給付金」と、労災保険法第十六条の二第二項中「労働者」とあるのは「死亡労働者等」と、「前項」とあるのは「石綿による健康被害の救済に関する法律第六十条第一項」と、労災保険法第十六条の九第二項中「労働者」とあるのは「死亡労働者等」と、同条第四項中「消滅する」とあるのは「消滅し、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に特別遺族年金を支給する」と読み替えるものとする。
3 労災保険法第十六条の九第三項の規定は、特別遺族一時金を受けることができる遺族について準用する。この場合において、同項中「遺族補償年金」とあるのは「特別遺族年金」と、「労働者」とあるのは「死亡労働者等」と読み替えるものとする。
(損害賠償との調整に関する措置)
第六十五条 死亡労働者等の遺族が、当該死亡労働者等を使用していた労災保険適用事業主から民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法律による損害賠償を受けることができる場合であって、特別遺族給付金の支給を受けるべきときに、同一の事由について、民法その他の法律による損害賠償を受けたときは、厚生労働大臣は、その定める基準により、その価額の限度で、特別遺族給付金の支給をしないことができる。
(不正受給者からの費用徴収)
第六十六条 偽りその他不正の手段により特別遺族給付金の支給を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、当該特別遺族給付金の支給に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
2 前項の場合において、労災保険適用事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその支給が行われたものであるときは、厚生労働大臣は、その労災保険適用事業主に対し、支給を受けた者と連帯して同項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。
3 徴収法第三十三条第三項の労働保険事務組合は、前項の規定の適用については、労災保険適用事業主とみなす。
4 徴収法第二十六条、第二十八条、第二十九条及び第四十一条の規定は、第一項及び第二項の規定による徴収金について準用する。この場合において、徴収法第二十六条及び第四十一条第二項中「政府」とあるのは、「厚生労働大臣」と読み替えるものとする。
(受給権の保護等に係る準用)
第六十七条 第二十八条及び第二十九条の規定は、特別遺族給付金について準用する。
(厚生労働省令への委任)
第六十八条 この節に定めるもののほか、特別遺族給付金の支給に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。