地方官官制
法令番号: 勅令第百四十七號
公布年月日: 大正15年6月4日
法令の形式: 勅令
朕地方官官制改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十五年六月三日
內閣總理大臣 若槻禮次郞
內務大臣 濱口雄幸
勅令第百四十七號
地方官官制
第一條 府縣ニハ通シテ左ノ職員ヲ置ク
知事 勅任
書記官 奏任
地方事務官 專任四百十六人 奏任
地方警視 專任百九十八人 奏任
地方小作官 專任二十四人 奏任
地方技師 專任二百七十六人 奏任
視學 專任七十六人 判任
屬 專任二千二百四十八人 判任
警部 專任千三百四十七人 判任
小作官補 專任三十二人 判任
技手 專任九百八十三人 判任
通譯 專任十四人 判任
警部補 判任
書記官ハ東京府ニ在リテハ專任二人、其ノ他ノ府縣ニ在リテハ各專任三人ヲ以テ定員トス
警部補ノ定員ハ內務大臣ノ認可ヲ受ケ知事之ヲ定ム
第二條 前條ノ定員外ニ於テ府縣ニ通シテ左ノ職員ヲ置クコトヲ得
視學 專任三百五十人以內 判任
技手
專任三千七百人以內 判任
第三條 知事、書記官及警部補ヲ除クノ外第一條ノ職員竝ニ前條職員ノ各府縣內ノ定員ハ內務大臣之ヲ定ム
第四條 大正九年勅令第二百六十二號第一條ノ規定ニ依リ俸給最低額ヨリ低キ俸給ヲ受クル地方技師及技手ニシテ他ノ職務ニ從事スル者ノ員數ハ主トシテ從事スル職務ノ職員ノ定員ノ內トシ其ノ他ノ職員ノ定員ノ外トス
第五條 知事ハ內務大臣ノ指揮監督ヲ承ケ各省ノ主務ニ付テハ各省大臣ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ部內ノ行政事務ヲ管理ス
第六條 知事ハ部內ノ行政事務ニ付其ノ職權又ハ特別ノ委任ニ依リ管內一般又ハ其ノ一部ニ府縣令ヲ發スルコトヲ得
第七條 知事ハ非常急變ノ場合ニ臨ミ兵力ヲ要シ又ハ警護ノ爲兵備ヲ要スルトキハ師團長ニ移牒シテ出兵ヲ請フコトヲ得但シ東京府知事ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第八條 知事ハ所部ノ官吏ヲ指揮監督シ奏任官ノ功過ハ內務大臣ニ具狀シ判任官以下ノ進退ハ之ヲ行フ
東京府知事ハ其ノ主務ニ付テハ東京府下ノ警察署長ヲ指揮監督ス
第九條 知事ハ支廳長又ハ警察署長ノ處分ニシテ成規ニ違ヒ、公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ處分ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
知事ハ行政事務ニ付其ノ部內ノ市町村長ヲ指揮監督シ其ノ處分ニ付テハ前項ノ例ニ依ル
第十條 知事事故アルトキハ官等ノ順序ニ從ヒ書記官其ノ職務ヲ代理ス
知事及書記官共ニ事故アルトキハ內務大臣ニ於テ他ノ高等官ノ一人ヲシテ知事ノ職務ヲ代理セシム
知事ハ府縣ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第十一條 知事ハ其ノ職權ニ屬スル事務ノ一部ヲ支廳長、警察署長又ハ市町村長ニ委任スルコトヲ得
第十二條 各府縣ニ知事官房及左ノ三部ヲ置ク但シ東京府ニハ警察部ヲ置カス
內務部
學務部
警察部
第十三條 知事官房ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 官吏ノ進退及身分ニ關スル事項
二 文書ノ往復及記錄編纂ニ關スル事項
三 官印府縣印ノ管守ニ關スル事項
四 褒賞ニ關スル事項
五 統計ニ關スル事項
第十四條 內務部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 議員選擧ニ關スル事項
二 府縣ノ行政ニ關スル事項
三 市町村其ノ他公共團體ノ行政ノ監督ニ關スル事項
四 會計ニ關スル事項
五 土木ニ關スル事項
六 土地收用ニ關スル事項
七 水陸運輸ニ關スル事項
八 水面埋立ニ關スル事項
九 農工商森林水產ニ關スル事項
十 小作爭議調停ニ關スル事項
十一 度量衡ニ關スル事項
十二 他ノ主管ニ屬セサル事項
第十五條 學務部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 敎育學藝ニ關スル事項
二 社寺及宗敎ニ關スル事項
三 兵事ニ關スル事項
四 社會事業ニ關スル事項
五 史蹟名勝天然紀念物ニ關スル事項
東京府ノ學務部ニ於テハ前項ノ外衞生ニ關スル事務ヲ掌ル
第十六條 警察部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 警察ニ關スル事項
二 衞生ニ關スル事項
三 工場法施行ニ關スル事項
四 鑛業及砂鑛業以外ノ事業ニ於ケル工業勞働者最低年齡法施行ニ關スル事項
五 勞働爭議調停ニ關スル事項
第十七條 內務大臣ハ須要ニ依リ府縣ヲ指定シテ土木部、產業部又ハ衞生部ヲ置クコトヲ得
土木部ニ於テハ第十四條第五號乃至第八號ノ事務ヲ掌ル
產業部ニ於テハ第十四條第九號乃至第十一號ノ事務ヲ掌ル
衞生部ニ於テハ前條第二號ノ事務ヲ掌ル
土木部又ハ產業部ヲ置ク府縣ニ於テハ知事ハ第十三條第二號乃至第五號ノ事務ノ一部又ハ全部ヲ內務部ニ於テ掌ラシムルコトヲ得
第十八條 部ニ部長ヲ置ク內務部、學務部及警察部ニ在リテハ書記官ヲ以テ、土木部、產業部及衞生部ニ在リテハ書記官又ハ地方技師ヲ以テ之ニ充ツ
部長ハ知事ノ命ヲ承ケ部下ノ官吏ヲ指揮監督シ所部ノ事務ヲ掌理ス
第十九條 部長事故アルトキハ知事ニ於テ府縣官吏ノ一人ヲシテ其ノ事務ヲ代理セシム
第二十條 警察部長ハ警察事務ノ執行ニ關シ知事ノ命ヲ承ケ地方警視、警部、警部補及巡查ヲ指揮監督ス
第二十一條 知事ハ知事官房及各部ニ分課ヲ設クルコトヲ得
第二十二條 地方事務官ハ上官ノ命ヲ承ケ事務ヲ分掌ス
第二十三條 地方警視ハ警察部ニ屬シ又ハ內務大臣ノ指定シタル警察署ノ署長ト爲リ上官ノ指揮ヲ承ケ其ノ部署ノ事務ヲ掌理ス
警察部ニ屬スル地方警視ハ警察事務ノ執行ニ關シ上官ノ指揮ヲ承ケ警部、警部補及巡查ヲ指揮監督ス
第二十四條 地方小作官ハ上官ノ命ヲ承ケ小作爭議調停ニ關スル事務ヲ掌ル
第二十五條 地方技師ハ上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル
第二十六條 視學ハ上官ノ指揮ヲ承ケ學事ノ視察其ノ他敎育ニ關スル庶務ニ從事ス
第二十七條 屬ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第二十八條 警部ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察、衞生、徵發及召集ニ關スル事務ヲ分掌シ部下ノ警部補及巡查ヲ指揮監督ス
第二十九條 小作官補ハ上官ノ指揮ヲ承ケ小作爭議調停ニ關スル事務ニ從事ス
第三十條 技手ハ上官ノ指揮ヲ承ケ技術ニ從事ス
第三十一條 通譯ハ上官ノ指揮ヲ承ケ翻譯通辯ニ從事ス
第三十二條 警部補ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察、衞生、徵發及召集ニ關スル事務ニ從事シ部下ノ巡查ヲ指揮監督ス
第三十三條 各府縣ニ工業組合監督官及工業組合監督官補ヲ置クコトヲ得
工業組合監督官ハ地方事務官又ハ地方技師ヲ以テ、工業組合監督官補ハ屬又ハ技手ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ命ヲ承ケ重要輸出品工業組合法施行ニ關スル事務ニ從事ス
第三十四條 各府縣ニ視學官ヲ置キ學務部長タル書記官ヲ以テ之ニ充ツ
視學官ハ知事ノ命ヲ承ケ學事ノ視察ヲ掌ル
第三十五條 東京府ヲ除クノ外各府縣ニ工場監督官及工場監督官補ヲ置クコトヲ得
工場監督官ハ地方事務官又ハ地方技師ヲ以テ、工場監督官補ハ屬又ハ技手ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ命ヲ承ケ工場法施行竝ニ鑛業及砂鑛業以外ノ事業ニ於ケル工業勞働者最低年齡法施行ニ關スル事務ニ從事ス
第三十六條 東京府ヲ除クノ外各府縣ニ建築監督官及建築監督官補ヲ置クコトヲ得
建築監督官ハ地方事務官、地方警視又ハ地方技師ヲ以テ、建築監督官補ハ屬、警部、技手又ハ警部補ヲ以テ之ニ充ツ警察部ニ屬シ上官ノ命ヲ承ケ市街地建築物法施行ニ關スル事務ニ從事ス
第三十七條 東京府ヲ除クノ外各府縣ニ調停官及調停官補ヲ置クコトヲ得
調停官ハ地方事務官又ハ地方技師ヲ以テ、調停官補ハ屬又ハ技手ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ命ヲ承ケ勞働爭議調停ニ關スル事務ニ從事ス
第三十八條 大阪府ニ監察官一人ヲ置キ警察部ニ屬スル地方警視ヲ以テ之ニ充ツ
監察官ハ上官ノ命ヲ承ケ警察事務ノ實況ヲ監察ス
第三十九條 各府縣管內ニ警察署ヲ置ク其ノ位置、名稱及管轄區域ハ知事之ヲ定ム
第四十條 警察署長ハ地方警視ヲ以テ充ツル場合ヲ除クノ外警部ヲ以テ之ニ充ツ但シ地方ノ狀況ニ依リ警部補ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
警察署長ハ上官ノ指揮ヲ承ケ部內ノ警察、衞生、徵發及召集ニ關スル事務(市ニ於ケル徵發及召集ニ關スル事務ヲ除ク)ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第四十一條 警察署長ハ徵發及召集ニ關スル事務ニ付部內ノ町村長ヲ指揮監督ス
第四十二條 各府縣ニ巡查ヲ置ク判任官ノ待遇トス
巡查ニ關スル規程ハ內務大臣之ヲ定ム
第四十三條 島地其ノ他交通不便ノ地ニ府縣支廳ヲ置クコトヲ得其ノ位置、名稱及管轄區域ハ內務大臣之ヲ定ム
知事必要アリト認ムルトキハ支廳出張所ヲ置クコトヲ得
第四十四條 支廳長ハ地方事務官ヲ以テ之ニ充ツ知事ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ部內ノ行政事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
支廳出張所長ハ屬ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ指揮ヲ承ケ知事ノ定ムル所ニ依リ出張所主管ノ事務ヲ處理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第四十五條 支廳長ハ行政事務ニ付其ノ部內ノ町村長ヲ指揮監督ス
第四十六條 支廳長ハ町村長ノ處分ニシテ成規ニ違ヒ、公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ處分ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
第四十七條 支廳長事故アルトキハ其ノ廳勤務ノ上席屬其ノ職務ヲ代理ス
第四十八條 支廳長ハ其ノ廳勤務ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第四十九條 本令中市長トアルハ市制第六條及第八十二條第三項ノ市ノ區長ヲ、町村長トアルハ之ニ準スヘキモノヲ包含ス
附 則
本令ハ大正十五年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
明治三十九年勅令第百三十一號及明治四十二年勅令第五十四號ハ之ヲ廢止ス
本令施行ノ際現ニ本令ニ依ル廢官ニ係ル官ニ在リ休職中ナル者竝ニ大正十三年勅令第三百九十六號施行ノ際同令ニ依ル廢官ニ係ル官ニ在リ現ニ休職中ナル者ニ付テハ其ノ休職滿期ニ至ル迄ノ間臨時其ノ官ヲ置カレタルモノトス
朕地方官官制改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十五年六月三日
内閣総理大臣 若槻礼次郎
内務大臣 浜口雄幸
勅令第百四十七号
地方官官制
第一条 府県ニハ通シテ左ノ職員ヲ置ク
知事 勅任
書記官 奏任
地方事務官 専任四百十六人 奏任
地方警視 専任百九十八人 奏任
地方小作官 専任二十四人 奏任
地方技師 専任二百七十六人 奏任
視学 専任七十六人 判任
属 専任二千二百四十八人 判任
警部 専任千三百四十七人 判任
小作官補 専任三十二人 判任
技手 専任九百八十三人 判任
通訳 専任十四人 判任
警部補 判任
書記官ハ東京府ニ在リテハ専任二人、其ノ他ノ府県ニ在リテハ各専任三人ヲ以テ定員トス
警部補ノ定員ハ内務大臣ノ認可ヲ受ケ知事之ヲ定ム
第二条 前条ノ定員外ニ於テ府県ニ通シテ左ノ職員ヲ置クコトヲ得
視学 専任三百五十人以内 判任
技手
専任三千七百人以内 判任
第三条 知事、書記官及警部補ヲ除クノ外第一条ノ職員並ニ前条職員ノ各府県内ノ定員ハ内務大臣之ヲ定ム
第四条 大正九年勅令第二百六十二号第一条ノ規定ニ依リ俸給最低額ヨリ低キ俸給ヲ受クル地方技師及技手ニシテ他ノ職務ニ従事スル者ノ員数ハ主トシテ従事スル職務ノ職員ノ定員ノ内トシ其ノ他ノ職員ノ定員ノ外トス
第五条 知事ハ内務大臣ノ指揮監督ヲ承ケ各省ノ主務ニ付テハ各省大臣ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ部内ノ行政事務ヲ管理ス
第六条 知事ハ部内ノ行政事務ニ付其ノ職権又ハ特別ノ委任ニ依リ管内一般又ハ其ノ一部ニ府県令ヲ発スルコトヲ得
第七条 知事ハ非常急変ノ場合ニ臨ミ兵力ヲ要シ又ハ警護ノ為兵備ヲ要スルトキハ師団長ニ移牒シテ出兵ヲ請フコトヲ得但シ東京府知事ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第八条 知事ハ所部ノ官吏ヲ指揮監督シ奏任官ノ功過ハ内務大臣ニ具状シ判任官以下ノ進退ハ之ヲ行フ
東京府知事ハ其ノ主務ニ付テハ東京府下ノ警察署長ヲ指揮監督ス
第九条 知事ハ支庁長又ハ警察署長ノ処分ニシテ成規ニ違ヒ、公益ヲ害シ又ハ権限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ処分ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
知事ハ行政事務ニ付其ノ部内ノ市町村長ヲ指揮監督シ其ノ処分ニ付テハ前項ノ例ニ依ル
第十条 知事事故アルトキハ官等ノ順序ニ従ヒ書記官其ノ職務ヲ代理ス
知事及書記官共ニ事故アルトキハ内務大臣ニ於テ他ノ高等官ノ一人ヲシテ知事ノ職務ヲ代理セシム
知事ハ府県ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第十一条 知事ハ其ノ職権ニ属スル事務ノ一部ヲ支庁長、警察署長又ハ市町村長ニ委任スルコトヲ得
第十二条 各府県ニ知事官房及左ノ三部ヲ置ク但シ東京府ニハ警察部ヲ置カス
内務部
学務部
警察部
第十三条 知事官房ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 官吏ノ進退及身分ニ関スル事項
二 文書ノ往復及記録編纂ニ関スル事項
三 官印府県印ノ管守ニ関スル事項
四 褒賞ニ関スル事項
五 統計ニ関スル事項
第十四条 内務部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 議員選挙ニ関スル事項
二 府県ノ行政ニ関スル事項
三 市町村其ノ他公共団体ノ行政ノ監督ニ関スル事項
四 会計ニ関スル事項
五 土木ニ関スル事項
六 土地収用ニ関スル事項
七 水陸運輸ニ関スル事項
八 水面埋立ニ関スル事項
九 農工商森林水産ニ関スル事項
十 小作争議調停ニ関スル事項
十一 度量衡ニ関スル事項
十二 他ノ主管ニ属セサル事項
第十五条 学務部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 教育学芸ニ関スル事項
二 社寺及宗教ニ関スル事項
三 兵事ニ関スル事項
四 社会事業ニ関スル事項
五 史蹟名勝天然紀念物ニ関スル事項
東京府ノ学務部ニ於テハ前項ノ外衛生ニ関スル事務ヲ掌ル
第十六条 警察部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 警察ニ関スル事項
二 衛生ニ関スル事項
三 工場法施行ニ関スル事項
四 鉱業及砂鉱業以外ノ事業ニ於ケル工業労働者最低年齢法施行ニ関スル事項
五 労働争議調停ニ関スル事項
第十七条 内務大臣ハ須要ニ依リ府県ヲ指定シテ土木部、産業部又ハ衛生部ヲ置クコトヲ得
土木部ニ於テハ第十四条第五号乃至第八号ノ事務ヲ掌ル
産業部ニ於テハ第十四条第九号乃至第十一号ノ事務ヲ掌ル
衛生部ニ於テハ前条第二号ノ事務ヲ掌ル
土木部又ハ産業部ヲ置ク府県ニ於テハ知事ハ第十三条第二号乃至第五号ノ事務ノ一部又ハ全部ヲ内務部ニ於テ掌ラシムルコトヲ得
第十八条 部ニ部長ヲ置ク内務部、学務部及警察部ニ在リテハ書記官ヲ以テ、土木部、産業部及衛生部ニ在リテハ書記官又ハ地方技師ヲ以テ之ニ充ツ
部長ハ知事ノ命ヲ承ケ部下ノ官吏ヲ指揮監督シ所部ノ事務ヲ掌理ス
第十九条 部長事故アルトキハ知事ニ於テ府県官吏ノ一人ヲシテ其ノ事務ヲ代理セシム
第二十条 警察部長ハ警察事務ノ執行ニ関シ知事ノ命ヲ承ケ地方警視、警部、警部補及巡査ヲ指揮監督ス
第二十一条 知事ハ知事官房及各部ニ分課ヲ設クルコトヲ得
第二十二条 地方事務官ハ上官ノ命ヲ承ケ事務ヲ分掌ス
第二十三条 地方警視ハ警察部ニ属シ又ハ内務大臣ノ指定シタル警察署ノ署長ト為リ上官ノ指揮ヲ承ケ其ノ部署ノ事務ヲ掌理ス
警察部ニ属スル地方警視ハ警察事務ノ執行ニ関シ上官ノ指揮ヲ承ケ警部、警部補及巡査ヲ指揮監督ス
第二十四条 地方小作官ハ上官ノ命ヲ承ケ小作争議調停ニ関スル事務ヲ掌ル
第二十五条 地方技師ハ上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル
第二十六条 視学ハ上官ノ指揮ヲ承ケ学事ノ視察其ノ他教育ニ関スル庶務ニ従事ス
第二十七条 属ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第二十八条 警部ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察、衛生、徴発及召集ニ関スル事務ヲ分掌シ部下ノ警部補及巡査ヲ指揮監督ス
第二十九条 小作官補ハ上官ノ指揮ヲ承ケ小作争議調停ニ関スル事務ニ従事ス
第三十条 技手ハ上官ノ指揮ヲ承ケ技術ニ従事ス
第三十一条 通訳ハ上官ノ指揮ヲ承ケ翻訳通弁ニ従事ス
第三十二条 警部補ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察、衛生、徴発及召集ニ関スル事務ニ従事シ部下ノ巡査ヲ指揮監督ス
第三十三条 各府県ニ工業組合監督官及工業組合監督官補ヲ置クコトヲ得
工業組合監督官ハ地方事務官又ハ地方技師ヲ以テ、工業組合監督官補ハ属又ハ技手ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ命ヲ承ケ重要輸出品工業組合法施行ニ関スル事務ニ従事ス
第三十四条 各府県ニ視学官ヲ置キ学務部長タル書記官ヲ以テ之ニ充ツ
視学官ハ知事ノ命ヲ承ケ学事ノ視察ヲ掌ル
第三十五条 東京府ヲ除クノ外各府県ニ工場監督官及工場監督官補ヲ置クコトヲ得
工場監督官ハ地方事務官又ハ地方技師ヲ以テ、工場監督官補ハ属又ハ技手ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ命ヲ承ケ工場法施行並ニ鉱業及砂鉱業以外ノ事業ニ於ケル工業労働者最低年齢法施行ニ関スル事務ニ従事ス
第三十六条 東京府ヲ除クノ外各府県ニ建築監督官及建築監督官補ヲ置クコトヲ得
建築監督官ハ地方事務官、地方警視又ハ地方技師ヲ以テ、建築監督官補ハ属、警部、技手又ハ警部補ヲ以テ之ニ充ツ警察部ニ属シ上官ノ命ヲ承ケ市街地建築物法施行ニ関スル事務ニ従事ス
第三十七条 東京府ヲ除クノ外各府県ニ調停官及調停官補ヲ置クコトヲ得
調停官ハ地方事務官又ハ地方技師ヲ以テ、調停官補ハ属又ハ技手ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ命ヲ承ケ労働争議調停ニ関スル事務ニ従事ス
第三十八条 大阪府ニ監察官一人ヲ置キ警察部ニ属スル地方警視ヲ以テ之ニ充ツ
監察官ハ上官ノ命ヲ承ケ警察事務ノ実況ヲ監察ス
第三十九条 各府県管内ニ警察署ヲ置ク其ノ位置、名称及管轄区域ハ知事之ヲ定ム
第四十条 警察署長ハ地方警視ヲ以テ充ツル場合ヲ除クノ外警部ヲ以テ之ニ充ツ但シ地方ノ状況ニ依リ警部補ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
警察署長ハ上官ノ指揮ヲ承ケ部内ノ警察、衛生、徴発及召集ニ関スル事務(市ニ於ケル徴発及召集ニ関スル事務ヲ除ク)ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第四十一条 警察署長ハ徴発及召集ニ関スル事務ニ付部内ノ町村長ヲ指揮監督ス
第四十二条 各府県ニ巡査ヲ置ク判任官ノ待遇トス
巡査ニ関スル規程ハ内務大臣之ヲ定ム
第四十三条 島地其ノ他交通不便ノ地ニ府県支庁ヲ置クコトヲ得其ノ位置、名称及管轄区域ハ内務大臣之ヲ定ム
知事必要アリト認ムルトキハ支庁出張所ヲ置クコトヲ得
第四十四条 支庁長ハ地方事務官ヲ以テ之ニ充ツ知事ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ部内ノ行政事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
支庁出張所長ハ属ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ指揮ヲ承ケ知事ノ定ムル所ニ依リ出張所主管ノ事務ヲ処理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第四十五条 支庁長ハ行政事務ニ付其ノ部内ノ町村長ヲ指揮監督ス
第四十六条 支庁長ハ町村長ノ処分ニシテ成規ニ違ヒ、公益ヲ害シ又ハ権限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ処分ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
第四十七条 支庁長事故アルトキハ其ノ庁勤務ノ上席属其ノ職務ヲ代理ス
第四十八条 支庁長ハ其ノ庁勤務ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第四十九条 本令中市長トアルハ市制第六条及第八十二条第三項ノ市ノ区長ヲ、町村長トアルハ之ニ準スヘキモノヲ包含ス
附 則
本令ハ大正十五年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
明治三十九年勅令第百三十一号及明治四十二年勅令第五十四号ハ之ヲ廃止ス
本令施行ノ際現ニ本令ニ依ル廃官ニ係ル官ニ在リ休職中ナル者並ニ大正十三年勅令第三百九十六号施行ノ際同令ニ依ル廃官ニ係ル官ニ在リ現ニ休職中ナル者ニ付テハ其ノ休職満期ニ至ル迄ノ間臨時其ノ官ヲ置カレタルモノトス