(貨物の収容)
第七十九条 税関は、保税地域の利用についてその障害を除き、又は関税の徴収を確保するため、左の各号に掲げる貨物を収容することができる。この場合においては、税関は、故意又は過失に因り損害を与えた場合を除く外、その危険を負担しない。
一 指定保税地域又は保税上屋にある外国貨物で、当該指定保税地域又は保税上屋に入れた日から十五日を経過したもの
二 保税倉庫にある外国貨物で、第五十一条(保税倉庫に外国貨物を置くことができる期間)に規定する期間を経過したもの
三 保税工場にある外国貨物で、第五十七条(保税工場に外国貨物を置くことができる期間)に規定する期間を経過したもの
四 第四十一条(指定保税地域の指定の取消後における外国貨物)又は第四十七条第三項(保税上屋の許可の消滅後における外国貨物)(第五十五条(保税倉庫)及び第六十二条(保税工場)において準用する場合を含む。)の規定により指定保税地域又は保税上屋、保税倉庫若しくは保税工場とみなされた場所にある外国貨物で、これらの規定により税関長が指定する期間を経過したもの
五 第三十条第二号(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)の規定により許可を受け、指定された場所にある外国貨物で、同号の規定により指定された期間を経過したもの
六 保税地域にある貨物のうち、第百六条第一号(特別の場合における税関長の権限)の規定により当該保税地域から出すことを命ぜられたもので、同号の規定により税関長が指定した期間を経過したもの
七 第八十三条第一項(収容の解除)の規定による承認を受け、その際置かれていた場所にある貨物で、その承認の日から三日(その期間中に日曜日又は休日がある場合においては、これらの日を除く。)を経過したもの(第八十条第三項但書(収容された貨物の保管)の規定により保管された外国貨物で、第六十七条(輸出又は輸入の許可)の許可又は第七十三条第一項(輸入の許可前における貨物の引取)の承認を受けたものを除く。)
2 前項各号に掲げる貨物が生活力を有する動植物であるとき、腐敗し、若しくは変質したとき、腐敗若しくは変質の虞があるとき、又は他の外国貨物を害する虞があるときは、同項各号に掲げる期間は、短縮することができる。
3 税関は、第一項又は前項の規定により貨物を収容したときは、政令で定めるところにより、直ちにその旨を公告しなければならない。この場合において、前項の規定による期間の短縮があるときは、税関は、収容された貨物の知れている所有者、管理者その他の利害関係者にその旨を通知しなければならない。
(収容の方法)
第八十条 収容は、税関が貨物を占有して行うものとする。
2 収容される貨物の質権者又は留置権者は、他の法令の規定にかかわらず、その貨物を税関に引き渡さなければならない。
3 収容された貨物は、税関が管理する場所に保管する。但し、その場所に保管することが困難又は不適当であると認められる貨物については、その貨物が置かれている場所の管理者の承諾を得て、その者に保管させることができる。この場合においては、税関は、封印その他の方法でその貨物が収容されたものであることを明らかにしなければならない。
(収容の効力)
第八十一条 収容の効力は、収容された貨物から生ずる天然の果実に及ぶものとする。
2 収容は、裁判上の仮差押又は仮処分によつてその執行を妨げられない。
(収容課金)
第八十二条 収容された貨物については、貨物の種類、容積又は重量及び収容期間を基準として政令で定める額の収容課金を課する。
(収容の解除)
第八十三条 収容された貨物についてその解除を受けようとする者は、政令で定めるところにより、収容に要した費用及び収容課金を税関に納付してその承認を受けなければならない。
2 税関は、収容された貨物の引取が確実であると認められるときは、前項の承認をしなければならない。
(収容貨物の公売又は売却等)
第八十四条 収容された貨物が最初に収容された日から四月を経過してなお収容されているときは、税関は、政令で定めるところにより、公告した後当該貨物を公売に付する。この場合において、公売に付される貨物について第二項の規定による期間の短縮があるときは、第七十九条第三項後段(収容の通知)の規定を準用する。
2 収容された貨物が生活力を有する動植物であるとき、腐敗し、若しくは変質したとき、腐敗若しくは変質の虞があるとき、又は他の外国貨物を害する虞があるときは、前項の期間は、短縮することができる。
3 税関長は、収容された貨物が公売に付することができないものであるとき、又は公売に付された場合において買受人がないときは、政令で定めるところにより、これを随意契約により売却することができる。
4 第一項若しくは第二項又は前項の規定により第七十一条第一項(原産地を偽つた表示がされている貨物)の貨物を公売に付し、又は随意契約により売却する場合においては、税関は、原産地を偽つた表示を消さなければならない。
5 税関長は、収容された貨物で人の生命又は財産を害する急迫した危険を生ずる虞があるものを廃棄することができる。
6 第八十一条第二項(収容と仮差押又は仮処分)の規定は、第一項若しくは第二項又は第三項の規定による公売又は随意契約による売却について準用する。
(公売代金等の充当及び供託)
第八十五条 前条第一項若しくは第二項又は第三項の規定により貨物を公売に付し、又は随意契約により売却した場合においては、その代金をもつて公売又は随意契約による売却に要した費用、収容に要した費用、収容課金、関税及びその他の国税に、順次に充て、なお残金があるときは、政令で定めるところにより、公売又は随意契約による売却の際における当該貨物の所有者のために、これを供託する。
2 前条第一項若しくは第二項又は第三項の規定により公売に付され、又は随意契約により売却された貨物について、その収容の際、質権又は留置権を有していた者は、前項の規定により供託された残金について、他の債権者に先だつて、当該貨物について要した保管料、立替金その他の費用の弁済を受けることができる。この場合においては、その者は、民法第三百三十条(動産の先取特権の順位)に掲げる第一順位の先取特権者と同一順位の権利を有する。
(旅客等の携帯品の留置)
第八十六条 旅客又は乗組員の携帯品が第七十条第三項(証明又は確認ができない貨物)の規定に該当する貨物であるときは、税関は、留置証と引換にこれを留置することができる。
2 前項の規定により留置された貨物の返還を受けようとする者は、その留置に要した費用を税関に納付しなければならない。
(原産地を偽つた表示がされている貨物の留置)
第八十七条 税関は、第七十一条第一項(原産地を偽つた表示がされている貨物)の貨物について当該貨物の輸入申告をした者が同条第二項の規定により指定された期間内に原産地を偽つた表示を消し、若しくは訂正し、又は当該貨物を積みもどさないときは、これを留置する。
2 前項の規定により留置された貨物は、政令で定めるところにより、原産地を偽つた表示が消され、若しくは訂正され、又は当該貨物が積みもどされると認められる場合に限り返還する。
3 前条第二項の規定は、前項の返還について準用する。
(収容についての規定の準用)
第八十八条 第七十九条第一項後段(収容貨物についての危険の負担)、第八十条(収容の方法)、第八十一条(収容の効力)、第八十四条(収容貨物の公売又は売却等)及び第八十五条(公売代金等の充当及び供託)の規定は、前二条の留置について準用する。