(課税物件)
第一条 外国貿易船の開港への入港には、この法律により、とん税を課する。
(定義)
第二条 この法律において「外国貿易船」とは、関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二条第五号(定義)及び第百八条(外国とみなす地域)の規定により同法の規定の適用上外国貿易船とされるものをいい、「開港」とは、同法第二条第十一号(定義)に規定する開港をいう。
2 この法律において「純トン数」とは、船舶積量測度法(大正三年法律第三十四号)第八条(純トン数等の定義)に定める純トン数をいう。
(課税標準及び税率)
第三条 とん税は、外国貿易船の純トン数を課税標準とし、次の各号に掲げる場合について当該各号に掲げる税率により課する。
一 開港への入港ごとに納付する場合 純トン数一トンまでごとに八円
二 開港ごとに一年分を一時に納付する場合 純トン数一トンまでごとに二十四円
(納税義務者)
第四条 とん税は、外国貿易船の船長(船長がその職務を行うことができない場合には、船長に代つてその職務を行う者。以下同じ。)が納付しなければならない。
2 外国貿易船の運航者がとん税の納付についての事務を当該外国貿易船の船長以外の者に行わせ、又は自ら行うことについて、税関長の承認を受けた場合においては、前項の規定にかかわらず、当該船長以外の者又は運航者がとん税を納付しなければならない。
(納期及び納付の方法)
第五条 とん税は、外国貿易船が開港に入港した場合に、その出港の時まで(当該外国貿易船が入港の日から起算して五日以内に出港しない場合には、入港の日から起算して五日以内)に、政令で定めるところにより、納付しなければならない。
(納税の告知)
第六条 税関長は、とん税を徴収しようとするときは、納税義務者に対し、その納金額及び納付場所を指定して、納税の告知をしなければならない。
(非課税)
第七条 外国貿易船が開港に入港した場合において、次に掲げる場合に該当し、又はこれに準ずるやむを得ない理由があるときは、とん税を課さない。ただし、第一号又は第二号に規定する理由により入港した場合(これに準ずるやむを得ない理由がある場合を含む。)において、これらの理由に直接よらない貨物の積卸をするときは、この限りでない。
一 海難その他航行上の支障が生じたことにより入港する場合
三 避難のため一時出港し、その理由の消滅後直ちに同一の開港に入港する場合
四 出港後二十四時間以内に他の開港又は不開港に寄港することなく同一の開港に入港する場合
2 前項ただし書の規定によりとん税を課する場合において、その貨物の積卸が第五条の規定による納期を経過した後に行われるときは、そのとん税は、同条の規定にかかわらず、当該貨物の積卸前に納付しなければならない。
(積量の測度)
第八条 税関長は、とん税の徴収のため必要があると認めるときは、外国貿易船についてその積量の測度をすることができる。
(担保)
第九条 とん税の課税標準を決定するため外国貿易船について前条の規定による積量の測度をしなければならない場合において、その開港でこれをすることが困難であるとき、その他やむを得ない理由により、とん税を納付すべき外国貿易船がその納付前に出港しようとするときは、税関長の承認を受けてとん税の額に相当する担保を提供しなければならない。
2 関税法第八条第二項(納期日の指定)の規定は、前項の規定による担保の提供があつた場合におけるとん税の徴収について、同法第九条(担保の種類及び提供の手続)及び第十条(担保を提供した場合の充当又は徴収)の規定は、当該担保について準用する。この場合において、同条第三項及び第四項中「国税徴収の例」とあるのは、「国税徴収法(同法第三十一条ノ二から第三十一条ノ四まで及び第三十一条ノ六を除く。)の例」と読み替えるものとする。
(国税徴収法の不適用)
第十条 とん税の徴収については、国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)を適用しない。
(審査の請求及び訴願)
第十一条 関税法第九十条から第九十四条まで(審査の請求及び訴願)の規定は、とん税の賦課又は徴収に関する処分について不服がある場合について準用する。
(罰則)
第十二条 偽りその他不正の行為により、とん税を免かれ、又は納付すべきとん税を納付しなかつた者は、三年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の犯罪の実行に着手してこれを遂げない者についても、同項の例による。
3 前二項の場合においては、とん税を納付すべき者から、国税徴収法(同法第三十一条ノ二から第三十一条ノ四まで及び第三十一条ノ六を除く。)の例により、直ちにそのとん税を徴収する。
(両罰規定)
第十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前条第一項又は第二項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対してこれらの項の罰金刑を科する。
(犯則事件の調査及び処分)
第十四条 関税法第十一章(犯則事件の調査及び処分)の規定は、とん税に係る犯則事件の調査及び処分について準用する。この場合において、同法第百三十九条(通告処分の不履行と告発)の規定中「二十日」とあるのは、「四十八時間」と読み替えるものとする。