関税法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第90号
公布年月日: 昭和32年5月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

最近の関税犯則事件の状況を踏まえ、外国往来船等にも入港届の提出を義務付け、外国往来船への交通や貨物の保税地域への出し入れに関する規制を強化する。また、輸出入の虚偽申告等に対する罰則を強化し、不開港出入の許可手数料について減免規定を設ける。具体的には、遠洋漁業船や海技練習船等の入港時の届出義務化、不正な貨物授受目的の交通規制、特定地域での内国貨物の出し入れ届出義務化、虚偽申告等への罰則強化、同一外国貿易船の不開港4回以上入港時の手数料減免などを実施する。

参照した発言:
第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第14号

審議経過

第26回国会

衆議院
(昭和32年3月15日)
参議院
(昭和32年3月15日)
衆議院
(昭和32年3月20日)
参議院
(昭和32年3月20日)
衆議院
(昭和32年3月22日)
(昭和32年3月28日)
参議院
(昭和32年4月16日)
(昭和32年4月19日)
(昭和32年4月22日)
衆議院
(昭和32年4月23日)
(昭和32年4月23日)
(昭和32年5月19日)
参議院
(昭和32年5月19日)
関税法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十二年五月一日
内閣総理大臣 岸信介
法律第九十号
関税法の一部を改正する法律
関税法(昭和二十九年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第十五条に次の一項を加える。
3 本邦と外国との間を往来する船舶又は航空機で外国貿易船又は外国貿易機以外のもの(公用船、公用機その他の船舶又は航空機のうち政令で定めるものを除く。以下「特殊船舶等」という。)が開港又は税関空港に入港したときは、船長又は機長は、直ちに入港届を税関に提出しなければならない。
第二十条に次の一項を加える。
3 前項の規定は、特殊船舶等が不開港に入港した場合について準用する。
第二十四条第一項中「交通」の下に「(次項の規定に該当するものを除く。)」を加え、同条中第二項を第四項とし、第一項の次に次の二項を加える。
2 本邦と外国との間を往来する船舶への交通が貨物(その授受につきこの法律の規定により承認又は許可を受けた貨物及び郵便物を除く。)の授受を目的とするものであるときは、その交通は、政令で定めるところにより、税関長の許可を受け、かつ、その指定した場所を経て行わなければならない。
3 税関長は、前項の許可を受けようとする者が次の各号の一に該当する場合においては、当該許可をしないことができる。
一 その者がこの法律の規定に違反して刑に処せられ、又は通告処分を受け、その刑の執行を終り、若しくは執行を受けることがなくなつた日又はその通告の旨を履行した日から二年を経ない場合
二 その者が刑法(明治四十年法律第四十五号)第二編第十四章(あへん煙に関する罪)、たばこ専売法(昭和二十四年法律第百十一号)、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)、麻薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)、あへん法(昭和二十九年法律第七十一号)、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和三十年法律第三十七号)第一条(趣旨)に規定する酒税法等その他貨物の輸出入に関し罰則の定のある法令で政令で定めるものの規定に違反して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経ない場合
三 その者が前二号の一に該当する者又はこれを役員とする法人の代理人、使用人その他の従業者である場合
第三十一条第一項に後段として次のように加える。
これらの貨物以外の貨物(郵便物その他政令で定める貨物を除く。)を政令で定める臨港地区その他これに準ずる地区にある保税地域に入れ、又は当該保税地域から出そうとする者も、また同様とする。
第三十一条第二項中「前項に規定する貨物」を「前項の規定に該当する貨物」に改める。
第九十七条第一項中「第二十条第二項(事故に因る不開港への入港)」の下に「(同条第三項において準用する場合を含む。)」を加える。
第百条第一号中「第三十六条(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)」の下に「及び関税定率法第十九条の二第二項(関税の払いもどしを受ける課税原料品に係る準用規定)」を加える。
第百一条に次の一項を加える。
3 税関長は、同一の外国貿易船が同一の不開港に一年を通じて四回以上入港する場合には、政令で定めるところにより、その四回目以後の入港に係る前条第二号に掲げる許可の手数料を軽減し、又は免除することができる。この場合においては、第九十六条第三項(期間の起算日)の規定を準用する。
第百十三条中「十万円」を「三十万円」に改め、同条の次に次の一条を加える。
第百十三条の二 第六十七条(輸出又は輸入の許可)(第七十五条(外国貨物の積みもどし)において準用する場合を含む。)の申告又は検査に際し、偽つた申告若しくは証明をし、又は偽つた書類を提出した者は、一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第百十四条第二号中「第六十七条(輸出又は輸入の許可)(第七十五条(外国貨物の積みもどし)において準用する場合を含む。)の申告若しくは検査に際し、偽つた申告若しくは証明をし、若しくは偽つた書類を提出した者又は」を削り、同条第三号中「第十五条」の下に「第一項若しくは第二項」を加え、同条第四号中「第二十四条」の下に「第一項、第二項若しくは第四項」を加える。
第百十五条第一号中「第十八条」を「第十五条第三項(特殊船舶等の入港届)、第十八条」に改め、「(入出港の簡易手続)」の下に「又は第二十条第三項(特殊船舶等が不開港に入港したときの届出)」を加え、同条第四号中「第五十四条」を「第三十一条第一項(貨物の出し入れの届出)の規定に違反した者又は第五十四条」に、「又は帳簿」を「若しくは帳簿」に改める。
第百十六条中「第百十三条(許可を受けないで不開港に出入する罪)」の下に「、第百十三条の二(偽つた申告をする等の罪)」を加え、「当該各条の例による。」を「当該各条の罰金刑を科する。」に改める。
第百十七条中「密輸貨物の運搬等をする罪)」の下に「、第百十三条の二(偽つた申告をする等の罪)」を加え、「(偽つた申告をする等の罪)」を「(郵便物について偽つた証明をする等の罪)」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して三十日をこえない範囲内で政令で定める日から施行する。
2 改正後の関税法第百一条第三項に規定する期間は、昭和三十二年に限り、同項の規定にかかわらず、この法律の施行の日から同年十二月三十一日までとする。
3 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
4 輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律の一部を次のように改正する。
第十一条第一項中「前条」を「前二条」に改める。
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 岸信介