第一條 保稅工場ハ外國貨物ニ加工シ若ハ之ヲ原料トシテ製造ヲ爲シ又ハ外國貨物ノ改裝、仕分其ノ他ノ手入ヲ爲ス工場トス貨物ノ混合ハ之ヲ貨物ノ製造ト看做ス
第二條 保稅工場ニ於テハ稅關長ノ許可シタル範圍內ニ於テ內國貨物ニ加工シ又ハ之ヲ原料トシテ製造ヲ爲スコトヲ得
第三條 保稅工場ニ於ケル作業ノ原料ニハ內國貨物ト外國貨物トヲ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ內國貨物ト外國貨物トヲ使用シタル貨物ハ之ヲ外國貨物トス
第四條 保稅工場ニ於ケル作業及貨物ノ種類ハ稅關長之ヲ定ム
第五條 保稅工場ノ外國貨物ノ輸入稅ハ輸入ノ時ノ性質及數量ニ依リ之ヲ徵收ス但シ命令ヲ以テ指定シタル外國貨物ニシテ作業ノ際其ノ原料ニ付稅關ノ檢査ヲ受ケタルモノノ輸入稅ハ命令ノ定ムル所ニ依リ檢查ノ時ノ原料ノ性質及數量ニ依リ之ヲ徵收ス
前項但書ノ場合ニ於テハ徵收スベキ輸入稅ノ外命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ利子ニ相當スル金額ヲ徵收スルコトヲ得
第六條 保稅工場ノ貨物藏置期間ハ移入許可ノ日ヨリ一年トス但シ稅關長ハ特別ノ事由アリト認ムル場合ニ於テハ更ニ一年ヲ超エザル期間內ニ於テ之ヲ延長スルコトヲ得
前項ノ期間ハ他ノ保稅工場ヨリ移入シタル貨物ニ付テハ最初ノ移入許可ノ日ヨリ之ヲ計算ス
第七條 稅關官吏ハ取締上必要アリト認ムルトキハ保稅工場ニ出入スル者ノ身邊搜索ヲ爲スコトヲ得
第八條 私設保稅工場ヲ設置セントスル者ハ稅關長ノ特許ヲ受クベシ
第九條 私設保稅工場ノ使用規則及使用料ハ稅關長ノ認可ヲ受ケ之ヲ定ムベシ
第十條 保稅倉庫法第五條ノ二、第九條ノ二、第九條ノ三、第十九條、第二十條及第二十五條乃至第三十條ノ規定ハ保稅工場ニ之ヲ準用ス
第十一條 關稅法第三條中收容ニ關スル規定竝同法第四十七條、第四十八條及第五十條乃至第五十二條ノ規定ハ本法ニ依リ收容シタル貨物ニ之ヲ準用ス
第十二條 第二條又ハ第四條ノ規定ニ違反シテ作業ヲ爲シタル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第十三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 許可ヲ受ケズシテ保稅工場ニ貨物ヲ移入シ又ハ保稅工場ヨリ貨物ヲ移出シタル者
二 第七條ノ搜索又ハ第十條ニ於テ準用スル保稅倉庫法第二十五條ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
三 認可ヲ受ケタル使用規則ニ依ラズシテ保稅工場ヲ使用セシメ又ハ認可ヲ受ケザル使用料ヲ徵シタル者
第十四條 私設保稅工場設置ノ特許ヲ受ケタル者又ハ輸出若ハ輸入ノ業ヲ營ム者ノ代理人又ハ使用人ガ其ノ業務ニ關シ第十二條又ハ前條ノ規定ニ依リ處罰セラルベキトキハ其ノ特許ヲ受ケタル者又ハ營業者ヲ處罰ス但シ特許ヲ受ケタル者又ハ營業者ガ其ノ代理人又ハ使用人ノ監督ニ付相當ノ注意ヲ爲シタルコトヲ證明スル場合及稅關貨物取扱人ガ貨物ノ取扱ヲ爲シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
稅關貨物取扱人ノ代理人、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ第十二條又ハ前條ノ規定ニ依リ處罰セラルベキトキハ稅關貨物取扱人ヲ處罰ス
第十五條 前條ノ場合ニ於テ特許ヲ受ケタル者、營業者又ハ稅關貨物取扱人ガ未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ヲ處罰ス但シ業務ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十六條 本法ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第六十三條及第六十六條ノ例ヲ用ヒズ但シ第十三條第二號ノ罪ヲ犯シタル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十七條 犯則事件ノ調査及處分ニ關シテハ關稅法ヲ準用ス