揮発油税法
法令番号: 法律第44号
公布年月日: 昭和24年4月30日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

政府は経済再建のための財政需要増大に対応するため、新たに揮発油税を創設することとした。揮発油の需給及び価格の状況から相当の租税力があると認め、小売価格の従価10割の税率により課税することとした。製造場または保税地域から揮発油を引き取る際に引取人から徴収し、輸出品に対する免税規定や他の製造場への移出時の未納税引取規定などは他の間接税の例に倣って整備した。

参照した発言:
第5回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号

審議経過

第5回国会

衆議院
(昭和24年4月20日)
(昭和24年4月21日)
参議院
(昭和24年4月21日)
衆議院
(昭和24年4月22日)
(昭和24年4月23日)
(昭和24年4月25日)
参議院
(昭和24年4月25日)
衆議院
(昭和24年4月27日)
(昭和24年4月28日)
参議院
(昭和24年4月28日)
(昭和24年4月28日)
衆議院
(昭和24年5月31日)
揮発油税法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年四月三十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第四十四号
揮発油税法
(課税物件)
第一條 揮発油には、この法律により揮発油税を課する。
(定義)
第二條 この法律において「揮発油」とは、攝氏十五度において〇・八〇一七をこえない比重を有する炭化水素油をいう。
2 この法律において「保税地域」とは、関税法(明治三十二年法律第六十一号)に定める保税地域をいう。
(課税標準)
第三條 揮発油税の課税標準は、製造場又は保税地域から引き取る揮発油の数量から、消費者に販賣するまでに貯藏及び輸送により減少すべき揮発油の数量に相当する数量で政令で定める数量を控除した数量に対して小賣業者販賣價格を乘じて得た金額とする。
2 前項の小賣業者販賣價格に関し必要な事項は、政令で定める。
(税率)
第四條 揮発油税の税率は、前條第一項に規定する金額の百分の百とする。
(徴收)
第五條 揮発油税は、製造場又は保税地域から揮発油を引き取るとき、引取人から徴收する。但し、政令の定めるところにより揮発油税額に相当する担保を提供したときは、三月以内その徴收を猶予することができる。
2 前項但書の規定により担保を提供した者が、期限までに税金を納付しなかつたときは、担保物たる金銭をもつて直ちに税金に充て、又は金銭以外の担保物を公賣して税金及び公賣の費用に充て、なお不足額があるときは、これを追徴し、残額があるときは、これを還付する。
(引取の申告及び査定)
第六條 製造場又は保税地域から揮発油を引き取ろうとする者は、引取の日時、場所及び数量を政府に申告しなければならない。
2 前項の申告があつたときは、政府は、引取の数量を査定する。
(未納税引取)
第七條 政令の定めるところにより政府の承認を受けて、他の製造場又は藏置場に移入する目的をもつて、製造場又は保税地域から引き取る揮発油については、前二條の規定は、適用しない。
2 前項の場合においては、引取先を製造場とみなし、引取先の営業者を製造者とみなす。
3 第一項に規定する揮発油で政府の指定した期間内に引取先に移入されたことの証明がないものについては、引取人から直ちにその揮発油税を徴收する。但し、災害その他やむを得ない事由により亡失したもので、政令の定めるところにより政府の承認を受けたものについては、その揮発油税を免除する。
(輸出品の免税)
第八條 政令の定めるところにより政府の承認を受けて、輸出する目的をもつて、製造場から引き取る揮発油については、揮発油税を免除する。この場合においては、第六條の規定は、適用しない。
2 前條第三項の規定は、前項の揮発油で政府の指定した期間内に輸出されたことの証明がないものについて準用する。
(輸出品の処分禁止)
第九條 前條第一項に規定する揮発油は、この法律の施行地において、消費し、又は消費する目的をもつて讓渡してはならない。但し、政令の定めるところにより政府の承認を受けたときは、この限りでない。
2 前項但書の規定により承認を受けた揮発油については、引取人から直ちにその揮発油税を徴收する。
(担保の提供)
第十條 政府は、第七條第一項又は第八條第一項に規定する揮発油について必要があると認めるときは、政令の定めるところにより、引取人にその揮発油税額に相当する担保を提供させることができる。
2 第五條第二項の規定は、前項の担保について準用する。
(燈油の免税)
第十一條 攝氏十五度において〇・八〇一七をこえない比重を有する燈油で、政令の定めるところにより政府の承認を受けて製造場又は保税地域から引き取られるものについては、揮発油税を免除する。この場合においては、第六條の規定は、適用しない。
2 前項に規定する燈油の規格については、政令で定める。
(戻移入品の不課税)
第十二條 揮発油税を課せられた揮発油を製造場に戻入し、又は移入した場合において、その数量について政府の承認を受けたときは、その揮発油を製造場から引き取つた場合にも更に揮発油税を徴收しない。
(未納税品の引取及び引渡の禁止)
第十三條 第五條第一項但書、第七條第一項、第八條第一項又は第十一條第一項に該当する場合を除く外、揮発油税を納付する前に、製造場又は保税地域から揮発油を引き取り、又は引き渡してはならない。
(未納税品の消費禁止)
第十四條 製造場又は保税地域においては、揮発油税を納付しなければ、揮発油を消費してはならない。
2 前項の揮発油税の納付については、揮発油の消費をもつて、製造場又は保税地域からの揮発油の引取とみなす。
(揮発油とみなす場合)
第十五條 第五條第一項但書の場合を除き、揮発油税を納付する前に揮発油に炭化水素油以外の物を混和したときは、第二條第一項の規定にかかわらず、その混和により生じた物を揮発油とみなす。
(製造者及び引取人の記帳義務)
第十六條 揮発油の製造者又は揮発油を製造場若しくは保税地域から引き取つた者(第十二條に規定する揮発油を引き取つた者を除く)。は、政令の定めるところにより、揮発油の製造、貯藏、販賣又は購入に関する事実を帳簿に記載しなければならない。
(收税官吏の質問檢査権)
第十七條 收税官吏は、揮発油の製造者又は揮発油を製造場若しくは保税地域から引き取つた者(以下本條において引取人という。)に対して質問し、又はこれらの者につき、左に掲げる物件を檢査することができる。
一 製造者又は引取人の所持する揮発油
二 揮発油の製造、貯藏、販賣又は購入に関する一切の帳簿書類
三 揮発油の製造、貯藏又は販賣上必要な建築物、機械、器具、容器、原料その他の物件
(罰則)
第十八條 左の各号の一に該当する者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第九條第一項の規定に違反して揮発油を消費し、又は讓渡した者
二 第十三條の規定に違反して揮発油を引き取り、又は引き渡した者
三 第十四條第一項の規定に違反して揮発油を消費した者
四 詐僞その他不正の行爲により揮発油税を免れた者
2 前項の犯罪に係る揮発油に対する揮発油税に相当する金額の十倍が五十万円をこえるときは、情状により、同項の罰金は、五十万円をこえ当該揮発油税に相当する金額の十倍以下とすることができる。
3 第一項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
4 第一項の場合においては、直ちにその税金を徴收する。この場合における揮発油税の課税標準は、第三條第一項の規定にかかわらず、当該犯罪に係る揮発油の数量に対して小賣業者販賣價格を乘じて得た金額とする。
第十九條 左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金又は科料に処する。
一 第十六條に規定する事項を記載せず、若しくは虚僞の事項を記載し、又は帳簿を隠匿した者
二 第十七條の規定による收税官吏の質問に対し答弁せず、若しくは虚僞の陳述をし、又は檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第二十條 第十八條第一項の罪を犯した者には、刑法(明治四十年法律第四十号)第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及び第六十六條の規定は、適用しない。但し、懲役の刑に処する場合又は懲役及び罰金を併科する場合における懲役刑については、この限りでない。
第二十一條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第十八條第一項又は第十九條の違反行爲をしたときは、その行爲者を罰する外、その法人又は人に対し、各本條の罰金刑を科する。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して十日を経過した日から施行する。
2 この法律施行の際、製造場又は保税地域以外の場所で、揮発油の製造者又は販賣業者が、一人一キロリツトル以上の揮発油を所持する場合においては、その者が、この法律施行の日に、これを製造場から引き取つたものとみなして、揮発油税を課する。この場合において、その税額が二万円以下のときは、昭和二十四年六月三十日限り、二万円をこえるときは、左の区分によりその税額を各月に等分してその月末日限り、徴收する。
税額二万円をこえるとき 昭和二十四年六月及び七月
税額五万円をこえるとき 同年六月から八月まで
税額十万円をこえるとき 同年六月から九月まで
3 前項に規定する揮発油税の課税標準は、第三條第一項の規定にかかわらず、当該揮発油の数量に対して小賣業者販賣價格を乘じて得た金額とする。
4 第二項に規定する揮発油の所持者は、その数量及び貯藏の場所を、この法律施行の日以後一月以内に、政府に申告しなければならない。
5 砂糖消費税、織物消費税等の徴收に関する法律(明治四十四年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
第二條及び第三條中「織物消費税法、」の下に「揮発油税法、」を加える。
大藏大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂
揮発油税法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年四月三十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第四十四号
揮発油税法
(課税物件)
第一条 揮発油には、この法律により揮発油税を課する。
(定義)
第二条 この法律において「揮発油」とは、摂氏十五度において〇・八〇一七をこえない比重を有する炭化水素油をいう。
2 この法律において「保税地域」とは、関税法(明治三十二年法律第六十一号)に定める保税地域をいう。
(課税標準)
第三条 揮発油税の課税標準は、製造場又は保税地域から引き取る揮発油の数量から、消費者に販売するまでに貯蔵及び輸送により減少すべき揮発油の数量に相当する数量で政令で定める数量を控除した数量に対して小売業者販売価格を乗じて得た金額とする。
2 前項の小売業者販売価格に関し必要な事項は、政令で定める。
(税率)
第四条 揮発油税の税率は、前条第一項に規定する金額の百分の百とする。
(徴収)
第五条 揮発油税は、製造場又は保税地域から揮発油を引き取るとき、引取人から徴収する。但し、政令の定めるところにより揮発油税額に相当する担保を提供したときは、三月以内その徴収を猶予することができる。
2 前項但書の規定により担保を提供した者が、期限までに税金を納付しなかつたときは、担保物たる金銭をもつて直ちに税金に充て、又は金銭以外の担保物を公売して税金及び公売の費用に充て、なお不足額があるときは、これを追徴し、残額があるときは、これを還付する。
(引取の申告及び査定)
第六条 製造場又は保税地域から揮発油を引き取ろうとする者は、引取の日時、場所及び数量を政府に申告しなければならない。
2 前項の申告があつたときは、政府は、引取の数量を査定する。
(未納税引取)
第七条 政令の定めるところにより政府の承認を受けて、他の製造場又は蔵置場に移入する目的をもつて、製造場又は保税地域から引き取る揮発油については、前二条の規定は、適用しない。
2 前項の場合においては、引取先を製造場とみなし、引取先の営業者を製造者とみなす。
3 第一項に規定する揮発油で政府の指定した期間内に引取先に移入されたことの証明がないものについては、引取人から直ちにその揮発油税を徴収する。但し、災害その他やむを得ない事由により亡失したもので、政令の定めるところにより政府の承認を受けたものについては、その揮発油税を免除する。
(輸出品の免税)
第八条 政令の定めるところにより政府の承認を受けて、輸出する目的をもつて、製造場から引き取る揮発油については、揮発油税を免除する。この場合においては、第六条の規定は、適用しない。
2 前条第三項の規定は、前項の揮発油で政府の指定した期間内に輸出されたことの証明がないものについて準用する。
(輸出品の処分禁止)
第九条 前条第一項に規定する揮発油は、この法律の施行地において、消費し、又は消費する目的をもつて譲渡してはならない。但し、政令の定めるところにより政府の承認を受けたときは、この限りでない。
2 前項但書の規定により承認を受けた揮発油については、引取人から直ちにその揮発油税を徴収する。
(担保の提供)
第十条 政府は、第七条第一項又は第八条第一項に規定する揮発油について必要があると認めるときは、政令の定めるところにより、引取人にその揮発油税額に相当する担保を提供させることができる。
2 第五条第二項の規定は、前項の担保について準用する。
(灯油の免税)
第十一条 摂氏十五度において〇・八〇一七をこえない比重を有する灯油で、政令の定めるところにより政府の承認を受けて製造場又は保税地域から引き取られるものについては、揮発油税を免除する。この場合においては、第六条の規定は、適用しない。
2 前項に規定する灯油の規格については、政令で定める。
(戻移入品の不課税)
第十二条 揮発油税を課せられた揮発油を製造場に戻入し、又は移入した場合において、その数量について政府の承認を受けたときは、その揮発油を製造場から引き取つた場合にも更に揮発油税を徴収しない。
(未納税品の引取及び引渡の禁止)
第十三条 第五条第一項但書、第七条第一項、第八条第一項又は第十一条第一項に該当する場合を除く外、揮発油税を納付する前に、製造場又は保税地域から揮発油を引き取り、又は引き渡してはならない。
(未納税品の消費禁止)
第十四条 製造場又は保税地域においては、揮発油税を納付しなければ、揮発油を消費してはならない。
2 前項の揮発油税の納付については、揮発油の消費をもつて、製造場又は保税地域からの揮発油の引取とみなす。
(揮発油とみなす場合)
第十五条 第五条第一項但書の場合を除き、揮発油税を納付する前に揮発油に炭化水素油以外の物を混和したときは、第二条第一項の規定にかかわらず、その混和により生じた物を揮発油とみなす。
(製造者及び引取人の記帳義務)
第十六条 揮発油の製造者又は揮発油を製造場若しくは保税地域から引き取つた者(第十二条に規定する揮発油を引き取つた者を除く)。は、政令の定めるところにより、揮発油の製造、貯蔵、販売又は購入に関する事実を帳簿に記載しなければならない。
(収税官吏の質問検査権)
第十七条 収税官吏は、揮発油の製造者又は揮発油を製造場若しくは保税地域から引き取つた者(以下本条において引取人という。)に対して質問し、又はこれらの者につき、左に掲げる物件を検査することができる。
一 製造者又は引取人の所持する揮発油
二 揮発油の製造、貯蔵、販売又は購入に関する一切の帳簿書類
三 揮発油の製造、貯蔵又は販売上必要な建築物、機械、器具、容器、原料その他の物件
(罰則)
第十八条 左の各号の一に該当する者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第九条第一項の規定に違反して揮発油を消費し、又は譲渡した者
二 第十三条の規定に違反して揮発油を引き取り、又は引き渡した者
三 第十四条第一項の規定に違反して揮発油を消費した者
四 詐偽その他不正の行為により揮発油税を免れた者
2 前項の犯罪に係る揮発油に対する揮発油税に相当する金額の十倍が五十万円をこえるときは、情状により、同項の罰金は、五十万円をこえ当該揮発油税に相当する金額の十倍以下とすることができる。
3 第一項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
4 第一項の場合においては、直ちにその税金を徴収する。この場合における揮発油税の課税標準は、第三条第一項の規定にかかわらず、当該犯罪に係る揮発油の数量に対して小売業者販売価格を乗じて得た金額とする。
第十九条 左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金又は科料に処する。
一 第十六条に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の事項を記載し、又は帳簿を隠匿した者
二 第十七条の規定による収税官吏の質問に対し答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第二十条 第十八条第一項の罪を犯した者には、刑法(明治四十年法律第四十号)第三十八条第三項但書、第三十九条第二項、第四十条、第四十一条、第四十八条第二項、第六十三条及び第六十六条の規定は、適用しない。但し、懲役の刑に処する場合又は懲役及び罰金を併科する場合における懲役刑については、この限りでない。
第二十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第十八条第一項又は第十九条の違反行為をしたときは、その行為者を罰する外、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して十日を経過した日から施行する。
2 この法律施行の際、製造場又は保税地域以外の場所で、揮発油の製造者又は販売業者が、一人一キロリツトル以上の揮発油を所持する場合においては、その者が、この法律施行の日に、これを製造場から引き取つたものとみなして、揮発油税を課する。この場合において、その税額が二万円以下のときは、昭和二十四年六月三十日限り、二万円をこえるときは、左の区分によりその税額を各月に等分してその月末日限り、徴収する。
税額二万円をこえるとき 昭和二十四年六月及び七月
税額五万円をこえるとき 同年六月から八月まで
税額十万円をこえるとき 同年六月から九月まで
3 前項に規定する揮発油税の課税標準は、第三条第一項の規定にかかわらず、当該揮発油の数量に対して小売業者販売価格を乗じて得た金額とする。
4 第二項に規定する揮発油の所持者は、その数量及び貯蔵の場所を、この法律施行の日以後一月以内に、政府に申告しなければならない。
5 砂糖消費税、織物消費税等の徴収に関する法律(明治四十四年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
第二条及び第三条中「織物消費税法、」の下に「揮発油税法、」を加える。
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂