物品税法
法令番号: 法律第四十號
公布年月日: 昭和15年3月29日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル物品稅法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月二十九日
內閣總理大臣 米內光政
大藏大臣 櫻內幸雄
法律第四十號
物品稅法
第一條 左ニ揭グル物品ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノニハ本法ニ依リ物品稅ヲ課ス
第一種
甲類
一 貴石若ハ半貴石又ハ之ヲ用ヒタル製品
二 眞珠又ハ眞珠ヲ用ヒタル製品
三 貴金屬製品又ハ金若ハ白金ヲ用ヒタル製品
四 鼈甲製品
五 珊瑚製品、琥珀製品、象牙製品及七寶製品
六 毛皮又ハ毛皮製品
七 羽毛製品又ハ羽毛ヲ用ヒタル製品
乙類
八 時計
九 文房具
十 身邊用細貨類
十一 化粧用具
十二 喫煙用具
十三 帽子、杖、鞭及傘
十四 鞄及トランク
十五 靴及履物
十六 書畵及骨董
十七 室內裝飾用品
十八 玩具
十九 運動具
二十 照明器具
二十一 電氣器具及瓦斯器具
二十二 圍碁及將棋用具
二十三 家具
二十四 漆器、陶磁器及硝子製器具ニシテ別號ニ揭ゲザルモノ
二十五 貴金屬ヲ鍍シ又ハ張リタル製品ニシテ別號ニ揭ゲザルモノ
二十六 皮革製品ニシテ別號ニ揭ゲザルモノ
二十七 織物、メリヤス、レース、フェルト及同製品竝ニ組物
二十八 果物
二十九 菓子
三十 盆栽、盆石及鉢植類
三十一 愛玩用動物及同用品
第二種
甲類
一 寫眞機、寫眞引伸機、映寫機、同部分品及附屬品
二 寫眞用ノ乾板、フィルム及感光紙
三 蓄音器及同部分品
四 蓄音器用レコード
五 樂器、同部分品及附屬品
六 雙眼鏡及隻眼鏡
七 銃及同部分品
八 藥莢及彈丸
九 ゴルフ用具、同部分品及附屬品
十 娛樂用ノモーターボート、スカール及ヨット
十一 撞球用具
十二 ネオン管及同變壓器
十三 喫煙用ライター
十四 乘用自動車
十五 化粧品
乙類
十六 ラヂオ聽取機及同部分品
十七 受信用眞空管、擴聲用增幅器及擴聲器
十八 扇風機及同部分品
十九 煖房用ノ電氣、瓦斯又ハ礦油ストーブ
二十 冷藏器及同部分品
二十一 金庫及鋼鐵製家具
二十二 シャンプー及洗粉
二十三 紅茶、珈琲及其ノ代用物竝ニココア
二十四 嗜好飮料但シ酒類及淸涼飮料ヲ除ク
第三種
一 燐寸
二 飴、葡萄糖及麥芽糖
同一物品ニシテ第一種及第二種ニ該當スルモノハ之ヲ第二種トシ、甲類及乙類ニ該當スルモノハ之ヲ甲類トス
第二條 物品稅ノ稅率左ノ如シ
第一種
甲類 物品ノ價格百分ノ二十
乙類 物品ノ價格百分ノ十
第二種
甲類 物品ノ價格百分ノ二十
乙類 物品ノ價格百分ノ十
第三種
一 燐寸 千本ニ付 五錢
二 飴、葡萄糖及麥芽糖
イ 麥芽糖化ノ方法ニ依リ製造シタル飴 百斤ニ付 二圓
ロ 其ノ他ノ飴竝ニ葡萄糖及麥芽糖 百斤ニ付 二圓五十錢
第三條 前條ノ價格ハ第一種ノ物品ニ付テハ小賣業者ノ販賣價格、第二種ノ物品ニ付テハ製造場ヨリ移出スル時ノ價格トス但シ保稅地域ヨリ引取ラルル第一種又ハ第二種ノ物品ニシテ引取人ヨリ稅金ヲ徵收スルモノニ付テハ引取ノ際ニ於ケル價格トス
前項ノ價格及燐寸ノ本數ノ計算ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條 物品稅ハ第一種ノ物品ニ付テハ販賣セラレタル物品ノ價格ニ應ジ小賣業者ヨリ、第二種又ハ第三種ノ物品ニ付テハ製造場ヨリ移出セラレタル物品ノ價格又ハ數量ニ應ジ製造者ヨリ之ヲ徵收ス但シ保稅地域ヨリ引取ラルル物品ニ付テハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外引取ラレタル物品ノ價格又ハ數量ニ應ジ引取人ヨリ之ヲ徵收ス
第五條 物品稅ハ第一種第十六號及第三十號ニ揭グル物品ニ付テハ其ノ物品ガ入札其ノ他競爭ノ方法ニ依リ賣買セラルル場合ニシテ命令ヲ以テ定ムル場合ニ限リ之ヲ課ス
前項ノ場合ニ於テハ其ノ札元又ハ之ニ準ズベキ者ガ小賣業者トシテ當該物品ヲ販賣スルモノト看做ス
第六條 製造場以外ノ場所ニ於テ販賣ノ爲化粧品、シャンプー、洗粉又ハ嗜好飮料ヲ容器ニ充塡シ又ハ改裝スルトキハ之ヲ化粧品、シャンプー、洗粉又ハ嗜好飮料ノ製造ト看做ス
第七條 左ニ揭グル場合ニ於テハ嗜好飮料、飴、葡萄糖又ハ麥芽糖ハ之ヲ製造場ヨリ移出シタルモノト看做ス
一 嗜好飮料ヲ製造場內ニ於テ飮用シタルトキ
二 飴、葡萄糖又ハ麥芽糖ヲ製造場內ニ於テ飴、葡萄糖又ハ麥芽糖以外ノ製品ノ原料トシテ使用シタルトキ
第八條 第一種ノ物品ノ小賣業者ハ每月其ノ販賣シタル物品ニ付其ノ品名每ニ數量及價格ヲ記載シタル申吿書ヲ、第二種ノ物品ノ製造者ハ每月其ノ製造場ヨリ移出シタル物品ニ付其ノ品名每ニ數量及價格ヲ記載シタル申吿書ヲ、第三種ノ物品ノ製造者ハ每月其ノ製造場ヨリ移出シタル物品ニ付其ノ品名每ニ數量ヲ記載シタル申吿書ヲ翌月十日迄ニ政府ニ提出スベシ
第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ヲ保稅地域ヨリ引取ル者ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外引取ノ際其ノ物品ニ付前項ニ準ズル申吿書ヲ政府ニ提出スベシ
申吿書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ申吿ヲ不相當ト認メタルトキハ政府ハ其ノ課稅標準額ヲ決定ス
第九條 小賣業者ガ其ノ販賣シタル第一種ノ物品ノ返還ヲ受ケタル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ返還ヲ受ケタル月分以降ノ稅額ヨリ其ノ物品ニ課セラレタル物品稅ニ相當スル金額ヲ控除ス製造場ヨリ移出シタル第二種ノ物品ヲ同一製造場內ニ戾入シタル場合亦同ジ
製造場ヨリ移出シタル第三種ノ物品ヲ同一製造場內ニ戾入シタル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ物品ヲ製造場ヨリ移出スルモ更ニ物品稅ノ徵收ヲ爲サズ
第十條 物品稅ハ每月分ヲ翌月末日迄ニ納付スベシ但シ第四條但書ノ場合ニ於テハ引取ノ際之ヲ納付スベシ
命令ノ定ムル所ニ依リ第二種又ハ第三種ノ物品ニ付物品稅額ニ相當スル擔保ヲ提供シタルトキハ一月以內物品稅ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
關稅法第三十四條但書ノ規定ニ依リ保稅地域ヨリ引取ル物品ニ付テハ第一項但書ノ規定ニ拘ラズ輸入免許ヲ受ケタル際物品稅ヲ納付スベシ此ノ場合ニ於テハ引取ノ際其ノ稅金ノ擔保ヲ提供スルコトヲ要ス
第十一條 命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ他ノ製造場又ハ藏置場ニ移入スル目的ヲ以テ製造場ヨリ移出シ又ハ保稅地域ヨリ引取ル第二種又ハ第三種ノ物品ニ付テハ第四條ノ規定ヲ適用セズ
前項ノ場合ニ於テハ移出先又ハ引取先ヲ以テ製造場ト看做シ移出先又ハ引取先ノ營業者ヲ以テ製造者ト看做ス
第一項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間內ニ移出先又ハ引取先ニ移入セラレタルコトノ證明ナキモノニ付テハ製造者又ハ引取人ヨリ直ニ其ノ物品稅ヲ徵收ス但シ災害其ノ他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ滅失シタルモノニ付政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ物品稅ヲ免除ス
第十二條 命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ製造場ヨリ移出シ又ハ保稅地域ヨリ引取ル物品ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノニ付テハ物品稅ヲ免除ス
一 第二種ノ物品ノ製造ノ用ニ供スル第二種ノ物品
二 飴、葡萄糖又ハ麥芽糖ノ製造ノ用ニ供スル飴、葡萄糖又ハ麥芽糖
三 輸出スル菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル物品ノ製造ノ用ニ供スル飴、葡萄糖又ハ麥芽糖
前條第三項ノ規定ハ前項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間內ニ移出先若ハ引取先ニ移入セラレタルコトノ證明ナキモノ又ハ移出先若ハ引取先ニ移入前其ノ用途ヲ變更セラレタルモノニ付之ヲ準用ス
第一項ノ物品ヲ移出先又ハ引取先ニ移入後其ノ用途ヲ變更シタル場合ニ於テハ其ノ場所ヲ以テ製造場ト看做シ移出先又ハ引取先ノ營業者ヲ以テ製造者ト看做ス
第一項第三號ノ規定ニ依リ物品稅ノ免除ヲ受ケタル飴、葡萄糖又ハ麥芽糖ヲ使用シテ菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル物品ヲ製造シタル者ガ之ヲ政府ノ指定シタル期間內ニ輸出シタルコトヲ證明セザル場合ニ於テハ製造者ヨリ直ニ其ノ物品稅ヲ徵收ス但シ災害其ノ他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ滅失シタルモノニ付政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十三條 左ニ揭グル物品ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ物品稅ヲ免除ス
一 輸出スルモノ
二 學術硏究用ニ供スルモノ
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル用途ニ供スルモノ
第十一條第三項ノ規定ハ前項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間內ニ輸出シ又ハ其ノ用途ニ供セラレタルコトノ證明ナキモノニ付之ヲ準用ス
第十四條 物品稅ヲ課セラレタル飴、葡萄糖又ハ麥芽糖ヲ原料トシテ製造シタル菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル物品ヲ輸出シタルトキハ輸出者ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ原料トシテ使用シタル飴、葡萄糖又ハ麥芽糖ニ付課セラレタル物品稅ニ相當スル金額以下ノ交付金ヲ交付スルコトヲ得
第十五條 第一種ノ物品ノ小賣業ヲ營マントスル者又ハ第二種若ハ第三種ノ物品ヲ製造セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ニ申吿スベシ其ノ小賣業又ハ製造ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第十六條 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造、貯藏又ハ販賣ニ關スル事實ヲ帳簿ニ記載スベシ
第一種ノ物品ノ小賣業者又ハ第二種若ハ第三種ノ物品ノ製造者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造又ハ販賣ニ關シ必要ナル事項ヲ政府ニ申吿スベシ
第十七條 收稅官吏ハ第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ左ニ揭グル物件ニ付檢査ヲ爲シ若ハ監督上必要ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ニシテ製造者又ハ販賣者ノ所持スルモノ
二 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造、貯藏又ハ販賣ニ關スル一切ノ帳簿書類
三 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造、貯藏又ハ販賣上必要ナル建築物、機械、器具、材料其ノ他ノ物件
第十八條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ物品稅ヲ逋脫シ又ハ逋脫セントシタル者ハ其ノ逋脫シ又ハ逋脫セントシタル稅金ノ五倍ニ相當スル罰金ニ處シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス但シ罰金額ガ二十圓ニ滿タザルトキハ之ヲ二十圓トス
第十九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第八條第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル申吿ヲ怠リ又ハ詐リタル者
二 政府ニ申吿セズシテ第一種ノ物品ノ小賣業ヲ營ミ又ハ第二種若ハ第三種ノ物品ヲ製造シタル者
前項第二號ニ規定スル者ニ付テハ直ニ其ノ小賣シタル第一種ノ物品又ハ製造シタル第二種若ハ第三種ノ物品ニ對スル物品稅ヲ徵收ス
第二十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第十六條第一項ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱匿シタル者
二 第十六條第二項ノ規定ニ依ル申吿ヲ怠リ又ハ詐リタル者
三 第十七條ノ規定ニ依ル收稅官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第二十一條 第十八條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及第六十六條ノ規定ヲ適用セズ
第二十二條 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ本法ヲ犯シタルトキハ其ノ製造者又ハ販賣者ヲ處罰ス
第二十三條 本法ニ於テ保稅地域トハ關稅法ニ定ムル保稅地域ヲ謂フ
第二十四條 關稅定率法第七條第十七號ノ規定ハ第十二條第一項第三號ノ規定ニ依リ物品稅ヲ免除セラレタル飴、葡萄糖若ハ麥芽糖ヲ原料トシテ製造シ又ハ第十四條ノ規定ニ依リ交付金ヲ交付セラレタル菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル物品ニ對シテハ之ヲ適用セズ
第二十五條 自己又ハ其ノ家族ノ用ニノミ供スル第二種ノ物品又ハ飴ヲ製造スル者ニハ當該物品ニ付本法ヲ適用セズ
附 則
第二十六條 本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ第十四條ノ規定ハ昭和十五年四月三十日以前ノ輸出ニ係ル菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル物品ニ付テハ之ヲ適用セズ
第二十七條 第九條ノ適用ニ付テハ支那事變特別稅法ニ依リ課セラレタル物品稅ハ之ヲ本法ニ依リ課セラレタル物品稅ト看做ス
第二十八條 支那事變特別稅法第四十八條第一項、第四十九條第一項又ハ第五十條第一項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル物品ハ各第十一條第一項、第十二條第一項又ハ第十三條第一項ノ規定ノ適用ヲ受ケタルモノト看做ス
第二十九條 支那事變特別稅法第三十八條ニ揭グル第一種ノ物品ノ小賣業ヲ營ム者又ハ同第二種若ハ第三種ノ物品ノ製造ヲ爲ス者ニシテ同法ニ依リ其ノ旨ヲ申吿シタルモノハ本法施行ノ日ニ於テ本法ニ依リ申吿シタルモノト看做ス
第三十條 本法施行前ヨリ引續キ琥珀製品、象牙製品、七寶製品、菓子、盆栽盆石及鉢植類竝ニ愛玩用動物及同用品ノ小賣業ヲ營ム者本法施行後一月以內ニ其ノ旨ヲ政府ニ申吿スルトキハ本法施行ノ日ニ於テ本法ニ依リ申吿シタルモノト看做ス
第三十一條 第一條ニ揭グル第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ガ本法施行ノ際製造場又ハ保稅地域以外ノ場所ニ於テ左ノ各號ノ一ニ該當スル物品ヲ所持スル場合ニ於テハ其ノ場所ヲ以テ製造場、其ノ所持者ヲ以テ製造者ト看做シ之ニ物品稅ヲ課ス此ノ場合ニ於テハ本法施行ノ日ニ於テ其ノ物品ヲ製造場ヨリ移出シタルモノト看做シ第一號ノ物品ニ付テハ第一條各號ニ揭グル品名每ニ價格三千圓、飴、葡萄糖又ハ麥芽糖ニ付テハ一萬斤ヲ超ユル部分ニ付第二條ニ規定スル稅率ニ依リ算出シタル稅額ト支那事變特別稅法第三十九條ニ規定スル稅率ニ依リ算出シタル稅額トノ差額ヲ以テ其ノ稅額トシ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ物品稅ヲ徵收ス
一 第一條ニ揭グル第二種第一號乃至第十五號ノ物品ニシテ同條各號ニ揭グル品名每ニ價格三千圓ヲ超ユルモノ
二 飴、葡萄糖又ハ麥芽糖ニシテ合計斤數一萬斤ヲ超ユルモノ
前項ノ製造者又ハ販賣者ハ第二種ノ物品ニ付テハ其ノ品名每ニ數量、價格及貯藏ノ場所、飴、葡萄糖又ハ麥芽糖ニ付テハ其ノ品名每ニ數量及貯藏ノ場所ヲ本法施行後一月以內ニ政府ニ申吿スベシ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル物品税法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月二十九日
内閣総理大臣 米内光政
大蔵大臣 桜内幸雄
法律第四十号
物品税法
第一条 左ニ掲グル物品ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノニハ本法ニ依リ物品税ヲ課ス
第一種
甲類
一 貴石若ハ半貴石又ハ之ヲ用ヒタル製品
二 真珠又ハ真珠ヲ用ヒタル製品
三 貴金属製品又ハ金若ハ白金ヲ用ヒタル製品
四 鼈甲製品
五 珊瑚製品、琥珀製品、象牙製品及七宝製品
六 毛皮又ハ毛皮製品
七 羽毛製品又ハ羽毛ヲ用ヒタル製品
乙類
八 時計
九 文房具
十 身辺用細貨類
十一 化粧用具
十二 喫煙用具
十三 帽子、杖、鞭及傘
十四 鞄及トランク
十五 靴及履物
十六 書画及骨董
十七 室内装飾用品
十八 玩具
十九 運動具
二十 照明器具
二十一 電気器具及瓦斯器具
二十二 囲碁及将棋用具
二十三 家具
二十四 漆器、陶磁器及硝子製器具ニシテ別号ニ掲ゲザルモノ
二十五 貴金属ヲ鍍シ又ハ張リタル製品ニシテ別号ニ掲ゲザルモノ
二十六 皮革製品ニシテ別号ニ掲ゲザルモノ
二十七 織物、メリヤス、レース、フェルト及同製品並ニ組物
二十八 果物
二十九 菓子
三十 盆栽、盆石及鉢植類
三十一 愛玩用動物及同用品
第二種
甲類
一 写真機、写真引伸機、映写機、同部分品及附属品
二 写真用ノ乾板、フィルム及感光紙
三 蓄音器及同部分品
四 蓄音器用レコード
五 楽器、同部分品及附属品
六 双眼鏡及隻眼鏡
七 銃及同部分品
八 薬莢及弾丸
九 ゴルフ用具、同部分品及附属品
十 娯楽用ノモーターボート、スカール及ヨット
十一 撞球用具
十二 ネオン管及同変圧器
十三 喫煙用ライター
十四 乗用自動車
十五 化粧品
乙類
十六 ラヂオ聴取機及同部分品
十七 受信用真空管、拡声用増幅器及拡声器
十八 扇風機及同部分品
十九 煖房用ノ電気、瓦斯又ハ礦油ストーブ
二十 冷蔵器及同部分品
二十一 金庫及鋼鉄製家具
二十二 シャンプー及洗粉
二十三 紅茶、珈琲及其ノ代用物並ニココア
二十四 嗜好飲料但シ酒類及清涼飲料ヲ除ク
第三種
一 燐寸
二 飴、葡萄糖及麦芽糖
同一物品ニシテ第一種及第二種ニ該当スルモノハ之ヲ第二種トシ、甲類及乙類ニ該当スルモノハ之ヲ甲類トス
第二条 物品税ノ税率左ノ如シ
第一種
甲類 物品ノ価格百分ノ二十
乙類 物品ノ価格百分ノ十
第二種
甲類 物品ノ価格百分ノ二十
乙類 物品ノ価格百分ノ十
第三種
一 燐寸 千本ニ付 五銭
二 飴、葡萄糖及麦芽糖
イ 麦芽糖化ノ方法ニ依リ製造シタル飴 百斤ニ付 二円
ロ 其ノ他ノ飴並ニ葡萄糖及麦芽糖 百斤ニ付 二円五十銭
第三条 前条ノ価格ハ第一種ノ物品ニ付テハ小売業者ノ販売価格、第二種ノ物品ニ付テハ製造場ヨリ移出スル時ノ価格トス但シ保税地域ヨリ引取ラルル第一種又ハ第二種ノ物品ニシテ引取人ヨリ税金ヲ徴収スルモノニ付テハ引取ノ際ニ於ケル価格トス
前項ノ価格及燐寸ノ本数ノ計算ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四条 物品税ハ第一種ノ物品ニ付テハ販売セラレタル物品ノ価格ニ応ジ小売業者ヨリ、第二種又ハ第三種ノ物品ニ付テハ製造場ヨリ移出セラレタル物品ノ価格又ハ数量ニ応ジ製造者ヨリ之ヲ徴収ス但シ保税地域ヨリ引取ラルル物品ニ付テハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外引取ラレタル物品ノ価格又ハ数量ニ応ジ引取人ヨリ之ヲ徴収ス
第五条 物品税ハ第一種第十六号及第三十号ニ掲グル物品ニ付テハ其ノ物品ガ入札其ノ他競争ノ方法ニ依リ売買セラルル場合ニシテ命令ヲ以テ定ムル場合ニ限リ之ヲ課ス
前項ノ場合ニ於テハ其ノ札元又ハ之ニ準ズベキ者ガ小売業者トシテ当該物品ヲ販売スルモノト看做ス
第六条 製造場以外ノ場所ニ於テ販売ノ為化粧品、シャンプー、洗粉又ハ嗜好飲料ヲ容器ニ充填シ又ハ改装スルトキハ之ヲ化粧品、シャンプー、洗粉又ハ嗜好飲料ノ製造ト看做ス
第七条 左ニ掲グル場合ニ於テハ嗜好飲料、飴、葡萄糖又ハ麦芽糖ハ之ヲ製造場ヨリ移出シタルモノト看做ス
一 嗜好飲料ヲ製造場内ニ於テ飲用シタルトキ
二 飴、葡萄糖又ハ麦芽糖ヲ製造場内ニ於テ飴、葡萄糖又ハ麦芽糖以外ノ製品ノ原料トシテ使用シタルトキ
第八条 第一種ノ物品ノ小売業者ハ毎月其ノ販売シタル物品ニ付其ノ品名毎ニ数量及価格ヲ記載シタル申告書ヲ、第二種ノ物品ノ製造者ハ毎月其ノ製造場ヨリ移出シタル物品ニ付其ノ品名毎ニ数量及価格ヲ記載シタル申告書ヲ、第三種ノ物品ノ製造者ハ毎月其ノ製造場ヨリ移出シタル物品ニ付其ノ品名毎ニ数量ヲ記載シタル申告書ヲ翌月十日迄ニ政府ニ提出スベシ
第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ヲ保税地域ヨリ引取ル者ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外引取ノ際其ノ物品ニ付前項ニ準ズル申告書ヲ政府ニ提出スベシ
申告書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ申告ヲ不相当ト認メタルトキハ政府ハ其ノ課税標準額ヲ決定ス
第九条 小売業者ガ其ノ販売シタル第一種ノ物品ノ返還ヲ受ケタル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ返還ヲ受ケタル月分以降ノ税額ヨリ其ノ物品ニ課セラレタル物品税ニ相当スル金額ヲ控除ス製造場ヨリ移出シタル第二種ノ物品ヲ同一製造場内ニ戻入シタル場合亦同ジ
製造場ヨリ移出シタル第三種ノ物品ヲ同一製造場内ニ戻入シタル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ物品ヲ製造場ヨリ移出スルモ更ニ物品税ノ徴収ヲ為サズ
第十条 物品税ハ毎月分ヲ翌月末日迄ニ納付スベシ但シ第四条但書ノ場合ニ於テハ引取ノ際之ヲ納付スベシ
命令ノ定ムル所ニ依リ第二種又ハ第三種ノ物品ニ付物品税額ニ相当スル担保ヲ提供シタルトキハ一月以内物品税ノ徴収ヲ猶予スルコトヲ得
関税法第三十四条但書ノ規定ニ依リ保税地域ヨリ引取ル物品ニ付テハ第一項但書ノ規定ニ拘ラズ輸入免許ヲ受ケタル際物品税ヲ納付スベシ此ノ場合ニ於テハ引取ノ際其ノ税金ノ担保ヲ提供スルコトヲ要ス
第十一条 命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ他ノ製造場又ハ蔵置場ニ移入スル目的ヲ以テ製造場ヨリ移出シ又ハ保税地域ヨリ引取ル第二種又ハ第三種ノ物品ニ付テハ第四条ノ規定ヲ適用セズ
前項ノ場合ニ於テハ移出先又ハ引取先ヲ以テ製造場ト看做シ移出先又ハ引取先ノ営業者ヲ以テ製造者ト看做ス
第一項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間内ニ移出先又ハ引取先ニ移入セラレタルコトノ証明ナキモノニ付テハ製造者又ハ引取人ヨリ直ニ其ノ物品税ヲ徴収ス但シ災害其ノ他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ滅失シタルモノニ付政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ物品税ヲ免除ス
第十二条 命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ製造場ヨリ移出シ又ハ保税地域ヨリ引取ル物品ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノニ付テハ物品税ヲ免除ス
一 第二種ノ物品ノ製造ノ用ニ供スル第二種ノ物品
二 飴、葡萄糖又ハ麦芽糖ノ製造ノ用ニ供スル飴、葡萄糖又ハ麦芽糖
三 輸出スル菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル物品ノ製造ノ用ニ供スル飴、葡萄糖又ハ麦芽糖
前条第三項ノ規定ハ前項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間内ニ移出先若ハ引取先ニ移入セラレタルコトノ証明ナキモノ又ハ移出先若ハ引取先ニ移入前其ノ用途ヲ変更セラレタルモノニ付之ヲ準用ス
第一項ノ物品ヲ移出先又ハ引取先ニ移入後其ノ用途ヲ変更シタル場合ニ於テハ其ノ場所ヲ以テ製造場ト看做シ移出先又ハ引取先ノ営業者ヲ以テ製造者ト看做ス
第一項第三号ノ規定ニ依リ物品税ノ免除ヲ受ケタル飴、葡萄糖又ハ麦芽糖ヲ使用シテ菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル物品ヲ製造シタル者ガ之ヲ政府ノ指定シタル期間内ニ輸出シタルコトヲ証明セザル場合ニ於テハ製造者ヨリ直ニ其ノ物品税ヲ徴収ス但シ災害其ノ他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ滅失シタルモノニ付政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十三条 左ニ掲グル物品ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ物品税ヲ免除ス
一 輸出スルモノ
二 学術研究用ニ供スルモノ
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル用途ニ供スルモノ
第十一条第三項ノ規定ハ前項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間内ニ輸出シ又ハ其ノ用途ニ供セラレタルコトノ証明ナキモノニ付之ヲ準用ス
第十四条 物品税ヲ課セラレタル飴、葡萄糖又ハ麦芽糖ヲ原料トシテ製造シタル菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル物品ヲ輸出シタルトキハ輸出者ニ対シ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ原料トシテ使用シタル飴、葡萄糖又ハ麦芽糖ニ付課セラレタル物品税ニ相当スル金額以下ノ交付金ヲ交付スルコトヲ得
第十五条 第一種ノ物品ノ小売業ヲ営マントスル者又ハ第二種若ハ第三種ノ物品ヲ製造セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ニ申告スベシ其ノ小売業又ハ製造ヲ廃止セントスルトキ亦同ジ
第十六条 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販売者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造、貯蔵又ハ販売ニ関スル事実ヲ帳簿ニ記載スベシ
第一種ノ物品ノ小売業者又ハ第二種若ハ第三種ノ物品ノ製造者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造又ハ販売ニ関シ必要ナル事項ヲ政府ニ申告スベシ
第十七条 収税官吏ハ第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販売者ニ対シ質問ヲ為シ又ハ左ニ掲グル物件ニ付検査ヲ為シ若ハ監督上必要ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ニシテ製造者又ハ販売者ノ所持スルモノ
二 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造、貯蔵又ハ販売ニ関スル一切ノ帳簿書類
三 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造、貯蔵又ハ販売上必要ナル建築物、機械、器具、材料其ノ他ノ物件
第十八条 詐偽其ノ他不正ノ行為ニ依リ物品税ヲ逋脱シ又ハ逋脱セントシタル者ハ其ノ逋脱シ又ハ逋脱セントシタル税金ノ五倍ニ相当スル罰金ニ処シ直ニ其ノ税金ヲ徴収ス但シ罰金額ガ二十円ニ満タザルトキハ之ヲ二十円トス
第十九条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ三百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
一 第八条第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル申告ヲ怠リ又ハ詐リタル者
二 政府ニ申告セズシテ第一種ノ物品ノ小売業ヲ営ミ又ハ第二種若ハ第三種ノ物品ヲ製造シタル者
前項第二号ニ規定スル者ニ付テハ直ニ其ノ小売シタル第一種ノ物品又ハ製造シタル第二種若ハ第三種ノ物品ニ対スル物品税ヲ徴収ス
第二十条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
一 第十六条第一項ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隠匿シタル者
二 第十六条第二項ノ規定ニ依ル申告ヲ怠リ又ハ詐リタル者
三 第十七条ノ規定ニ依ル収税官吏ノ質問ニ対シ答弁ヲ為サズ若ハ虚偽ノ陳述ヲ為シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第二十一条 第十八条ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八条第三項但書、第三十九条第二項、第四十条、第四十一条、第四十八条第二項、第六十三条及第六十六条ノ規定ヲ適用セズ
第二十二条 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販売者ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ガ其ノ業務ニ関シ本法ヲ犯シタルトキハ其ノ製造者又ハ販売者ヲ処罰ス
第二十三条 本法ニ於テ保税地域トハ関税法ニ定ムル保税地域ヲ謂フ
第二十四条 関税定率法第七条第十七号ノ規定ハ第十二条第一項第三号ノ規定ニ依リ物品税ヲ免除セラレタル飴、葡萄糖若ハ麦芽糖ヲ原料トシテ製造シ又ハ第十四条ノ規定ニ依リ交付金ヲ交付セラレタル菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル物品ニ対シテハ之ヲ適用セズ
第二十五条 自己又ハ其ノ家族ノ用ニノミ供スル第二種ノ物品又ハ飴ヲ製造スル者ニハ当該物品ニ付本法ヲ適用セズ
附 則
第二十六条 本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ第十四条ノ規定ハ昭和十五年四月三十日以前ノ輸出ニ係ル菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル物品ニ付テハ之ヲ適用セズ
第二十七条 第九条ノ適用ニ付テハ支那事変特別税法ニ依リ課セラレタル物品税ハ之ヲ本法ニ依リ課セラレタル物品税ト看做ス
第二十八条 支那事変特別税法第四十八条第一項、第四十九条第一項又ハ第五十条第一項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル物品ハ各第十一条第一項、第十二条第一項又ハ第十三条第一項ノ規定ノ適用ヲ受ケタルモノト看做ス
第二十九条 支那事変特別税法第三十八条ニ掲グル第一種ノ物品ノ小売業ヲ営ム者又ハ同第二種若ハ第三種ノ物品ノ製造ヲ為ス者ニシテ同法ニ依リ其ノ旨ヲ申告シタルモノハ本法施行ノ日ニ於テ本法ニ依リ申告シタルモノト看做ス
第三十条 本法施行前ヨリ引続キ琥珀製品、象牙製品、七宝製品、菓子、盆栽盆石及鉢植類並ニ愛玩用動物及同用品ノ小売業ヲ営ム者本法施行後一月以内ニ其ノ旨ヲ政府ニ申告スルトキハ本法施行ノ日ニ於テ本法ニ依リ申告シタルモノト看做ス
第三十一条 第一条ニ掲グル第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販売者ガ本法施行ノ際製造場又ハ保税地域以外ノ場所ニ於テ左ノ各号ノ一ニ該当スル物品ヲ所持スル場合ニ於テハ其ノ場所ヲ以テ製造場、其ノ所持者ヲ以テ製造者ト看做シ之ニ物品税ヲ課ス此ノ場合ニ於テハ本法施行ノ日ニ於テ其ノ物品ヲ製造場ヨリ移出シタルモノト看做シ第一号ノ物品ニ付テハ第一条各号ニ掲グル品名毎ニ価格三千円、飴、葡萄糖又ハ麦芽糖ニ付テハ一万斤ヲ超ユル部分ニ付第二条ニ規定スル税率ニ依リ算出シタル税額ト支那事変特別税法第三十九条ニ規定スル税率ニ依リ算出シタル税額トノ差額ヲ以テ其ノ税額トシ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ物品税ヲ徴収ス
一 第一条ニ掲グル第二種第一号乃至第十五号ノ物品ニシテ同条各号ニ掲グル品名毎ニ価格三千円ヲ超ユルモノ
二 飴、葡萄糖又ハ麦芽糖ニシテ合計斤数一万斤ヲ超ユルモノ
前項ノ製造者又ハ販売者ハ第二種ノ物品ニ付テハ其ノ品名毎ニ数量、価格及貯蔵ノ場所、飴、葡萄糖又ハ麦芽糖ニ付テハ其ノ品名毎ニ数量及貯蔵ノ場所ヲ本法施行後一月以内ニ政府ニ申告スベシ