日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律
法令番号: 法律第112号
公布年月日: 昭和27年4月28日
法令の形式: 法律

審議経過

第13回国会

参議院
(昭和27年3月28日)
衆議院
(昭和27年3月29日)
(昭和27年4月1日)
(昭和27年4月2日)
参議院
(昭和27年4月2日)
衆議院
(昭和27年4月3日)
参議院
(昭和27年4月3日)
衆議院
(昭和27年4月10日)
(昭和27年4月11日)
参議院
(昭和27年4月11日)
衆議院
(昭和27年4月14日)
参議院
(昭和27年4月14日)
衆議院
(昭和27年4月15日)
参議院
(昭和27年4月15日)
(昭和27年4月16日)
(昭和27年4月17日)
(昭和27年4月21日)
(昭和27年4月23日)
衆議院
(昭和27年7月31日)
参議院
(昭和27年7月31日)
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年四月二十八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百十二号
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律
(目的)
第一條 この法律は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定を実施するため、関税法(明治三十二年法律第六十一号)、関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)、噸税法(明治三十二年法律第八十八号)、酒税法(昭和十五年法律第三十五号)、砂糖消費税法(明治三十四年法律第十三号)、物品税法(昭和十五年法律第四十号)、骨牌税法(明治三十五年法律第四十四号)及び揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号)の特例を設けることを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「合衆国」とは、アメリカ合衆国をいう。
2 この法律において「合衆国軍隊」とは、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約(以下「條約」という。)に基き日本国の領域及びその附近に配備される合衆国の陸軍、海軍又は空軍をいう。
3 この法律において「合衆国軍隊の構成員」とは、合衆国軍隊に属する軍人で現に服役中のものをいう。
4 この法律において「軍属」とは、合衆国の国籍を有する文民で合衆国軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴するもの(通常日本国に在留する者並びに通常合衆国に居住する個人及びその者又は合衆国の法律に基いて設立され、若しくは組織された法人の被用者で合衆国軍隊のための合衆国政府との契約の履行のみを目的として日本国にあるものを除く。)をいう。
5 この法律において「家族」とは、合衆国軍隊の構成員又は軍属の配偶者及び二十一才未満の子並びに父母及び二十一才以上の子でその生計費の十分の五以上を合衆国軍隊の構成員又は軍属が負担するものをいう。
6 この法律において「軍人用販売機関等」とは、合衆国軍隊が公認し、且つ、規制する海軍販売所、ピー・エックス、食堂、社交クラブ、劇場、新聞発行所その他の合衆国の歳出外資金により合衆国軍隊の使用する施設及び区域内に設置された諸機関で、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにこれらの者の家族の利用に供せられるものをいう。
7 この法律において「契約者等」とは、通常合衆国に居住する個人で、條約第一條に掲げる目的の遂行のために合衆国軍隊が使用することに日本国が同意した施設及び区域の建設、維持又は運営(軍人用販売機関等の建設、維持又は運営を除く。以下同じ。)に関して合衆国政府と締結した契約に基き日本国において当該契約に係る建設、維持又は運営のみの事業をなすもの及び通常合衆国に居住する個人のうち、当該事業のためにのみに被用されている者で当該事業に従事するためにのみ日本国にあるものをいう。
(とん税の免除)
第三條 合衆国政府が所有し、又は全部用船契約により用船している船舶で、合衆国により、合衆国のために又は合衆国の管理の下に、公の目的をもつて運航されているもの(以下「公用船」という。)については、とん税を免除する。但し、当該船舶が第六條の規定の適用を受けない物品を積載しているときは、当該物品の重量が全積載物品の重量に対して有する割合を噸税法第一條第一項本文の規定により算出した当該船舶のとん税相当額に乗じて得た額のとん税を徴収する。
(とん税の免除手続)
第四條 前條の規定によりとん税の免除を受けようとする公用船の船長は、政令で定める手続により、当該船舶が公用船である旨を税関に証明しなければならない。
(入出港手続の免除)
第五條 公用船又は合衆国政府が所有し、若しくは借り上げている航空機で、合衆国により、合衆国のために若しくは合衆国の管理の下に、公の目的をもつて運航されているもの(以下「公用機」という。)には、関税法第十條、第十一條、第十三條、第十四條、第十六條、第十七條及び第十九條から第二十一條までの規定は、適用しない。但し、同法第十條第一項に規定する入港届、積荷目録及び旅客氏名表、同條第二項に規定する入港申告書(積荷目録及び旅客氏名表を総括したもので足る。)並びに同法第十三條に規定する出港届及び出港申告書は、提出しなければならない。
2 前項但書の場合において、当該公用船又は公用機が第九條の規定による税関の検査を免除される物品又は旅客を積載しているときは、前項但書に規定する積荷目録又は旅客氏名表のうち当該物品又は旅客に係る部分については、前項但書に規定する当該積荷目録又は旅客氏名表にその積載している旨を記載すれば足る。
3 合衆国の安全を保持するためその他これに類する事由により、第一項但書及び関税法第十八條の規定により難いときは、これらの規定は、適用しない。
(関税の免除)
第六條 左に掲げる物品については、関税を免除する。
一 合衆国軍隊又は合衆国軍隊の公認調達機関が合衆国軍隊の公用に供するために輸入する物品で、当該軍隊又は機関が合衆国軍隊の公用に供するために輸入する物品であることにつき合衆国軍隊の権限ある官憲による証明のされたもの
二 軍人用販売機関等が合衆国軍隊の構成員、軍属若しくはこれらの者の家族又は契約者等の用に供するために輸入する物品で、当該機関がこれらの者の用に供するために輸入する物品であることにつき合衆国軍隊の権限ある官憲による証明のされたもの
三 合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関及び軍人用販売機関等以外の者が、合衆国軍隊の専用に供するため又は合衆国軍隊が使用する施設若しくは物品に附合、混和若しくは加工するために輸入する物品で、当該物品がこれらの目的のために輸入する物品であることにつき合衆国軍隊の権限ある官憲による証明のされたもの
四 合衆国軍隊の構成員、軍属若しくはこれらの者の家族又は契約者等の引越荷物及び携帯品
五 合衆国軍隊の構成員若しくは軍属が自己若しくはその家族の私用に供するため又は契約者等が自己の私用に供するために輸入する自動車(自動自転車を含む。)及びその部品
六 合衆国軍隊の構成員、軍属若しくはこれらの者の家族又は契約者等の私用に供するために合衆国軍事郵便局を通じて日本国に郵送される通常且つ相当量の衣類及び家庭用品
(内国消費税の免除)
第七條 前條の規定の適用を受ける物品については、酒税、砂糖消費税、物品税、骨ぱい税及び揮発油税(以下「内国消費税」という。)を免除する。但し、内国消費税の免除を受けて輸出された物品で、同條第二号に掲げる物品に該当するものは、この限りでない。
(関税及び内国消費税の追徴)
第八條 第六條の規定の適用を受けた同條第三号に掲げる物品で、税関長の指定した期間内に、合衆国軍隊に引き渡され、又は合衆国軍隊が使用する施設若しくは物品に附合、混和若しくは加工されたことについて、合衆国軍隊の権限ある官憲による証明がされないものについては、直ちに当該輸入物品を輸入した者から関税及び内国消費税を追徴する。但し、当該輸入物品が天災その他やむを得ない事由により滅失したことにつき税関長の承認を受けた場合は、この限りでない。
(税関検査の免除)
第九條 左に掲げる物品については、関税法第三十一條の規定による検査を行わない。
一 合衆国軍隊の命令により日本国に入国し、又は日本国から出国する合衆国軍隊の部隊又は合衆国軍隊の構成員の携帯品
二 合衆国軍隊の公用の封印がある公文書
三 合衆国政府の船荷証券により船積されている合衆国軍隊に仕向けられた軍事貨物
四 合衆国軍事郵便線路上にある郵便物
(関税免除物品の製造等)
第十條 第六條第三号の規定の適用を受けた輸入物品を合衆国軍隊に引き渡し、又は合衆国軍隊が使用する施設若しくは物品に附合、混和若しくは加工する前に、当該輸入物品の改装、仕分若しくはその他の手入をし、当該輸入物品に加工し、当該輸入物品と他の物品とを混合し、又は当該輸入物品を原料として他の物品を製造しようとする場合には、当該手入、加工、混合又は製造は、税関長の承認した倉庫又は工場において行わなければならない。
2 関税法第百一條ノ二第三項、第百一條ノ八及び第百一條ノ九の規定は、前項に規定する倉庫又は工場について準用する。
(関税免除物品の譲渡の制限)
第十一條 合衆国軍隊の構成員、軍属、これらの者の家族若しくは契約者等又はこれらの者であつた者が、第六條の規定の適用を受けた物品を、日本国内において、合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関、軍人用販売機関等、合衆国軍隊の構成員、軍属、これらの者の家族及び契約者等以外の者に譲渡しようとするときは、政令で定めるところにより、税関に申告し、当該物品の検査を経て、譲渡の免許を受けなければならない。但し、当該物品について既に本項の規定による免許に係る譲渡が行われている場合は、この限りでない。
2 前項の規定による免許を受けないで物品の譲渡をし、又はしようとした者については、関税法第七十六條の規定を準用する。この場合において、同條中「輸入」とあるのは、「譲渡」と読み替えるものとする。
3 関税法第八十四條、第八十五條、第八十六條、第八十六條ノ二(第二項及び第六項を除く。)及び第八十六條ノ三から第九十七條ノ二までの規定は、前項の違反嫌疑事件の調査及び処分について準用する。
(関税免除物品の譲受の制限)
第十二條 合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関、軍人用販売機関等、合衆国軍隊の構成員、軍属、これらの者の家族及び契約者等以外の者が、第六條の規定の適用を受けた物品を日本国内において譲り受けようとするときは、当該譲受を輸入とみなし、関税法及び関税定率法の規定を適用する。但し、当該物品が既に本項の規定により関税法及び関税定率法の適用を受けたものである場合は、この限りでない。
2 前條第一項の規定及び前項において準用する関税法第三十一條の規定による申告及び検査並びに免許は、政令で定めるところにより、一括して行うことができる。
3 第一項の規定の適用を受ける譲受は、酒税法第三十六條、砂糖消費税法第四條、物品税法第十條、骨牌税法第五條及び揮発油税法第五條の規定の適用については、保税地域よりの取引とみなす。
(国税徴収法の準用)
第十三條 第三條但書の規定により徴収するとん税及び第八條本文の規定により又は第十二條第一項の場合において関税法の規定により徴収する関税の徴収については、国税徴収の例による。
(差押物件等の引渡)
第十四條 合衆国軍隊の所有する物品を関税法の規定によつて収容し、又は保管したときは、税関長は、すみやかに当該物品を合衆国軍隊に引き渡さなければならない。
2 合衆国軍隊の所有する物品を関税法又はこの法律の規定によつて領置し、又は差し押えた場合において、当該領置又は差押の事由が消滅したときは、税関長は、すみやかに当該物品を領置し、又は差し押えた事由を記載した文書とともに、当該物品を合衆国軍隊に引き渡さなければならない。
附 則
1 この法律は、條約の効力発生の日から施行する。
2 この法律施行前に連合国軍の権限ある官憲の正当に認証した証明書により関税及び内国消費税の免除を受けて輸入した物品及び連合国軍総司令部覚書等により関税及び物品税の免除を受けて輸入した自動車は、他の法律により関税及び内国消費税の免除を受けたものを除く外、この法律施行後は、第六條の規定の適用を受けて輸入した物品とみなす。但し、当該物品が既に関税を課せられたものである場合は、この限りでない。
3 国内航空運送事業令(昭和二十五年政令第三百二十七号)附則第二項の規定の適用がある間は、第五條第一項中「第二十一條までの規定」とあるのは、「第二十一條までの規定(国内航空運送事業令附則第二項の規定によりなおその効力を有する航空法(大正十年法律第五十四号。以下「航空法」という。)第三十九條において準用する場合を含む。)」と、「同法第十條第一項」とあるのは、「同法第十條(航空法第三十九條において準用する場合を含む。)」と、「同條第二項に規定する入港申告書(積荷目録及び旅客氏名表を総括したもので足りる。)並びに同法第十三條に規定する出港届及び出港申告書」とあるのは、「並びに同法第十三條(航空法第三十九條において準用する場合を含む。)に規定する出港届」と、第五條第三項中「第十八條」とあるのは、「第十八條(航空法第三十九條において準用する場合を含む。)並びに航空法第四十條」と読み替えるものとする。
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年四月二十八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百十二号
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定を実施するため、関税法(明治三十二年法律第六十一号)、関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)、噸税法(明治三十二年法律第八十八号)、酒税法(昭和十五年法律第三十五号)、砂糖消費税法(明治三十四年法律第十三号)、物品税法(昭和十五年法律第四十号)、骨牌税法(明治三十五年法律第四十四号)及び揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号)の特例を設けることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「合衆国」とは、アメリカ合衆国をいう。
2 この法律において「合衆国軍隊」とは、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(以下「条約」という。)に基き日本国の領域及びその附近に配備される合衆国の陸軍、海軍又は空軍をいう。
3 この法律において「合衆国軍隊の構成員」とは、合衆国軍隊に属する軍人で現に服役中のものをいう。
4 この法律において「軍属」とは、合衆国の国籍を有する文民で合衆国軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴するもの(通常日本国に在留する者並びに通常合衆国に居住する個人及びその者又は合衆国の法律に基いて設立され、若しくは組織された法人の被用者で合衆国軍隊のための合衆国政府との契約の履行のみを目的として日本国にあるものを除く。)をいう。
5 この法律において「家族」とは、合衆国軍隊の構成員又は軍属の配偶者及び二十一才未満の子並びに父母及び二十一才以上の子でその生計費の十分の五以上を合衆国軍隊の構成員又は軍属が負担するものをいう。
6 この法律において「軍人用販売機関等」とは、合衆国軍隊が公認し、且つ、規制する海軍販売所、ピー・エックス、食堂、社交クラブ、劇場、新聞発行所その他の合衆国の歳出外資金により合衆国軍隊の使用する施設及び区域内に設置された諸機関で、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにこれらの者の家族の利用に供せられるものをいう。
7 この法律において「契約者等」とは、通常合衆国に居住する個人で、条約第一条に掲げる目的の遂行のために合衆国軍隊が使用することに日本国が同意した施設及び区域の建設、維持又は運営(軍人用販売機関等の建設、維持又は運営を除く。以下同じ。)に関して合衆国政府と締結した契約に基き日本国において当該契約に係る建設、維持又は運営のみの事業をなすもの及び通常合衆国に居住する個人のうち、当該事業のためにのみに被用されている者で当該事業に従事するためにのみ日本国にあるものをいう。
(とん税の免除)
第三条 合衆国政府が所有し、又は全部用船契約により用船している船舶で、合衆国により、合衆国のために又は合衆国の管理の下に、公の目的をもつて運航されているもの(以下「公用船」という。)については、とん税を免除する。但し、当該船舶が第六条の規定の適用を受けない物品を積載しているときは、当該物品の重量が全積載物品の重量に対して有する割合を噸税法第一条第一項本文の規定により算出した当該船舶のとん税相当額に乗じて得た額のとん税を徴収する。
(とん税の免除手続)
第四条 前条の規定によりとん税の免除を受けようとする公用船の船長は、政令で定める手続により、当該船舶が公用船である旨を税関に証明しなければならない。
(入出港手続の免除)
第五条 公用船又は合衆国政府が所有し、若しくは借り上げている航空機で、合衆国により、合衆国のために若しくは合衆国の管理の下に、公の目的をもつて運航されているもの(以下「公用機」という。)には、関税法第十条、第十一条、第十三条、第十四条、第十六条、第十七条及び第十九条から第二十一条までの規定は、適用しない。但し、同法第十条第一項に規定する入港届、積荷目録及び旅客氏名表、同条第二項に規定する入港申告書(積荷目録及び旅客氏名表を総括したもので足る。)並びに同法第十三条に規定する出港届及び出港申告書は、提出しなければならない。
2 前項但書の場合において、当該公用船又は公用機が第九条の規定による税関の検査を免除される物品又は旅客を積載しているときは、前項但書に規定する積荷目録又は旅客氏名表のうち当該物品又は旅客に係る部分については、前項但書に規定する当該積荷目録又は旅客氏名表にその積載している旨を記載すれば足る。
3 合衆国の安全を保持するためその他これに類する事由により、第一項但書及び関税法第十八条の規定により難いときは、これらの規定は、適用しない。
(関税の免除)
第六条 左に掲げる物品については、関税を免除する。
一 合衆国軍隊又は合衆国軍隊の公認調達機関が合衆国軍隊の公用に供するために輸入する物品で、当該軍隊又は機関が合衆国軍隊の公用に供するために輸入する物品であることにつき合衆国軍隊の権限ある官憲による証明のされたもの
二 軍人用販売機関等が合衆国軍隊の構成員、軍属若しくはこれらの者の家族又は契約者等の用に供するために輸入する物品で、当該機関がこれらの者の用に供するために輸入する物品であることにつき合衆国軍隊の権限ある官憲による証明のされたもの
三 合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関及び軍人用販売機関等以外の者が、合衆国軍隊の専用に供するため又は合衆国軍隊が使用する施設若しくは物品に附合、混和若しくは加工するために輸入する物品で、当該物品がこれらの目的のために輸入する物品であることにつき合衆国軍隊の権限ある官憲による証明のされたもの
四 合衆国軍隊の構成員、軍属若しくはこれらの者の家族又は契約者等の引越荷物及び携帯品
五 合衆国軍隊の構成員若しくは軍属が自己若しくはその家族の私用に供するため又は契約者等が自己の私用に供するために輸入する自動車(自動自転車を含む。)及びその部品
六 合衆国軍隊の構成員、軍属若しくはこれらの者の家族又は契約者等の私用に供するために合衆国軍事郵便局を通じて日本国に郵送される通常且つ相当量の衣類及び家庭用品
(内国消費税の免除)
第七条 前条の規定の適用を受ける物品については、酒税、砂糖消費税、物品税、骨ぱい税及び揮発油税(以下「内国消費税」という。)を免除する。但し、内国消費税の免除を受けて輸出された物品で、同条第二号に掲げる物品に該当するものは、この限りでない。
(関税及び内国消費税の追徴)
第八条 第六条の規定の適用を受けた同条第三号に掲げる物品で、税関長の指定した期間内に、合衆国軍隊に引き渡され、又は合衆国軍隊が使用する施設若しくは物品に附合、混和若しくは加工されたことについて、合衆国軍隊の権限ある官憲による証明がされないものについては、直ちに当該輸入物品を輸入した者から関税及び内国消費税を追徴する。但し、当該輸入物品が天災その他やむを得ない事由により滅失したことにつき税関長の承認を受けた場合は、この限りでない。
(税関検査の免除)
第九条 左に掲げる物品については、関税法第三十一条の規定による検査を行わない。
一 合衆国軍隊の命令により日本国に入国し、又は日本国から出国する合衆国軍隊の部隊又は合衆国軍隊の構成員の携帯品
二 合衆国軍隊の公用の封印がある公文書
三 合衆国政府の船荷証券により船積されている合衆国軍隊に仕向けられた軍事貨物
四 合衆国軍事郵便線路上にある郵便物
(関税免除物品の製造等)
第十条 第六条第三号の規定の適用を受けた輸入物品を合衆国軍隊に引き渡し、又は合衆国軍隊が使用する施設若しくは物品に附合、混和若しくは加工する前に、当該輸入物品の改装、仕分若しくはその他の手入をし、当該輸入物品に加工し、当該輸入物品と他の物品とを混合し、又は当該輸入物品を原料として他の物品を製造しようとする場合には、当該手入、加工、混合又は製造は、税関長の承認した倉庫又は工場において行わなければならない。
2 関税法第百一条ノ二第三項、第百一条ノ八及び第百一条ノ九の規定は、前項に規定する倉庫又は工場について準用する。
(関税免除物品の譲渡の制限)
第十一条 合衆国軍隊の構成員、軍属、これらの者の家族若しくは契約者等又はこれらの者であつた者が、第六条の規定の適用を受けた物品を、日本国内において、合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関、軍人用販売機関等、合衆国軍隊の構成員、軍属、これらの者の家族及び契約者等以外の者に譲渡しようとするときは、政令で定めるところにより、税関に申告し、当該物品の検査を経て、譲渡の免許を受けなければならない。但し、当該物品について既に本項の規定による免許に係る譲渡が行われている場合は、この限りでない。
2 前項の規定による免許を受けないで物品の譲渡をし、又はしようとした者については、関税法第七十六条の規定を準用する。この場合において、同条中「輸入」とあるのは、「譲渡」と読み替えるものとする。
3 関税法第八十四条、第八十五条、第八十六条、第八十六条ノ二(第二項及び第六項を除く。)及び第八十六条ノ三から第九十七条ノ二までの規定は、前項の違反嫌疑事件の調査及び処分について準用する。
(関税免除物品の譲受の制限)
第十二条 合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関、軍人用販売機関等、合衆国軍隊の構成員、軍属、これらの者の家族及び契約者等以外の者が、第六条の規定の適用を受けた物品を日本国内において譲り受けようとするときは、当該譲受を輸入とみなし、関税法及び関税定率法の規定を適用する。但し、当該物品が既に本項の規定により関税法及び関税定率法の適用を受けたものである場合は、この限りでない。
2 前条第一項の規定及び前項において準用する関税法第三十一条の規定による申告及び検査並びに免許は、政令で定めるところにより、一括して行うことができる。
3 第一項の規定の適用を受ける譲受は、酒税法第三十六条、砂糖消費税法第四条、物品税法第十条、骨牌税法第五条及び揮発油税法第五条の規定の適用については、保税地域よりの取引とみなす。
(国税徴収法の準用)
第十三条 第三条但書の規定により徴収するとん税及び第八条本文の規定により又は第十二条第一項の場合において関税法の規定により徴収する関税の徴収については、国税徴収の例による。
(差押物件等の引渡)
第十四条 合衆国軍隊の所有する物品を関税法の規定によつて収容し、又は保管したときは、税関長は、すみやかに当該物品を合衆国軍隊に引き渡さなければならない。
2 合衆国軍隊の所有する物品を関税法又はこの法律の規定によつて領置し、又は差し押えた場合において、当該領置又は差押の事由が消滅したときは、税関長は、すみやかに当該物品を領置し、又は差し押えた事由を記載した文書とともに、当該物品を合衆国軍隊に引き渡さなければならない。
附 則
1 この法律は、条約の効力発生の日から施行する。
2 この法律施行前に連合国軍の権限ある官憲の正当に認証した証明書により関税及び内国消費税の免除を受けて輸入した物品及び連合国軍総司令部覚書等により関税及び物品税の免除を受けて輸入した自動車は、他の法律により関税及び内国消費税の免除を受けたものを除く外、この法律施行後は、第六条の規定の適用を受けて輸入した物品とみなす。但し、当該物品が既に関税を課せられたものである場合は、この限りでない。
3 国内航空運送事業令(昭和二十五年政令第三百二十七号)附則第二項の規定の適用がある間は、第五条第一項中「第二十一条までの規定」とあるのは、「第二十一条までの規定(国内航空運送事業令附則第二項の規定によりなおその効力を有する航空法(大正十年法律第五十四号。以下「航空法」という。)第三十九条において準用する場合を含む。)」と、「同法第十条第一項」とあるのは、「同法第十条(航空法第三十九条において準用する場合を含む。)」と、「同条第二項に規定する入港申告書(積荷目録及び旅客氏名表を総括したもので足りる。)並びに同法第十三条に規定する出港届及び出港申告書」とあるのは、「並びに同法第十三条(航空法第三十九条において準用する場合を含む。)に規定する出港届」と、第五条第三項中「第十八条」とあるのは、「第十八条(航空法第三十九条において準用する場合を含む。)並びに航空法第四十条」と読み替えるものとする。
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂