(併合審理等)
第百四条 異議審理庁又は国税不服審判所長(以下「国税不服審判所長等」という。)は、必要があると認めるときは、数個の不服申立てを併合し、又は併合された数個の不服申立てを分離することができる。
2 更正決定等について不服申立てがされている場合において、当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正決定等があるときは、国税不服審判所長等は、前項の規定によるもののほか、当該他の更正決定等についてあわせて審理することができる。ただし、当該他の更正決定等について不服申立ての決定又は裁決がされているときは、この限りでない。
3 前項の規定の適用がある場合には、国税不服審判所長等は、当該不服申立てについての決定又は裁決において当該他の更正決定等の全部又は一部を取り消すことができる。
4 前二項の規定は、更正の請求に対する処分について不服申立てがされている場合において、当該更正の請求に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正又は決定があるときについて準用する。
(不服申立てと国税の徴収との関係)
第百五条 国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立ては、その目的となつた処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。ただし、その国税の徴収のため差し押えた財産の滞納処分(その例による処分を含む。以下この条において同じ。)による換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるとき、又は不服申立人(不服申立人が処分の相手方でないときは、不服申立人及び処分の相手方)から別段の申出があるときを除き、その不服申立てについての決定又は裁決があるまで、することができない。
2 異議審理庁は、必要があると認めるときは、異議申立人の申立てにより、又は職権で、異議申立ての目的となつた処分に係る国税の全部若しくは一部の徴収を猶予し、若しくは滞納処分の続行を停止し、又はこれらを命ずることができる。
3 異議審理庁は、異議申立人が、担保を提供して、異議申立ての目的となつた処分に係る国税につき、滞納処分による差押えをしないこと又は既にされている滞納処分による差押えを解除することを求めた場合において、相当と認めるときは、その差押えをせず、若しくはその差押えを解除し、又はこれらを命ずることができる。
4 国税不服審判所長は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てにより、又は職権で、審査請求の目的となつた処分に係る国税につき、第四十三条及び第四十四条(徴収の所轄庁)の規定により徴収の権限を有する国税局長、税務署長又は税関長(以下この条において「徴収の所轄庁」という。)の意見をきいたうえ、当該国税の全部若しくは一部の徴収を猶予し、又は滞納処分の続行を停止することを徴収の所轄庁に求めることができる。
5 国税不服審判所長は、審査請求人が、徴収の所轄庁に担保を提供して、審査請求の目的となつた処分に係る国税につき、滞納処分による差押えをしないこと又は既にされている滞納処分による差押えを解除することを求めた場合において、相当と認めるときは、徴収の所轄庁に対し、その差押えをしないこと又はその差押えを解除することを求めることができる。
6 徴収の所轄庁は、国税不服審判所長から前二項の規定により徴収の猶予等又は差押えの解除等を求められたときは、審査請求の目的となつた処分に係る国税の全部若しくは一部の徴収を猶予し、若しくは滞納処分の続行を停止し、又はその差押えをせず、若しくはその差押えを解除しなければならない。
7 第四十九条第一項第一号及び第三号、第二項並びに第三項(納税の猶予の取消し)の規定は、第二項、第三項又は前項の規定に基づく処分の取消しについて準用する。この場合において、同項の規定による処分の取消しについて同条第一項の規定を準用するときは、同項中「税務署長等は」とあるのは、「徴収の所轄庁は、国税不服審判所長の同意を得て」と読み替えるものとする。
(不服申立人の地位の承継)
第百六条 不服申立人が死亡したときは、相続人(民法第九百五十一条(相続財産法人)の規定の適用がある場合には、同条の法人)は、不服申立人の地位を承継する。
2 不服申立人について合併があつたときは、合併後存続する法人又は合併により設立した法人は、不服申立人の地位を承継する。不服申立人である人格のない社団等の財産に属する権利義務を包括して承継した法人についても、また同様とする。
3 前二項の場合において、不服申立人の地位を承継した者は、書面でその旨を国税不服審判所長等に届け出なければならない。この場合においては、届出書には、当該権利の承継又は合併の事実を証する書面を添附しなければならない。
4 不服申立ての目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、国税不服審判所長等の許可を得て、不服申立人の地位を承継することができる。
(代理人)
第百七条 不服申立人は、弁護士、税理士その他適当と認める者を代理人に選任することができる。
2 代理人は、各自、不服申立人のために、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができる。ただし、不服申立ての取下げ及び代理人の選任は、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。
3 代理人の権限は、書面で証明しなければならない。前項ただし書に規定する特別の委任についても、同様とする。
4 代理人がその権限を失つたときは、不服申立人は、書面でその旨を国税不服審判所長等に届け出なければならない。
(総代)
第百八条 多数人が共同して不服申立てをするときは、三人をこえない総代を互選することができる。
2 共同不服申立人が総代を互選しない場合において、必要があると認めるときは、国税不服審判所長等は総代の互選を命ずることができる。
3 総代は、各自、他の共同不服申立人のために、不服申立ての取下げを除き、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができる。
4 総代が選任されたときは、共同不服申立人は、総代を通じてのみ前項の行為をすることができる。
5 共同不服申立人に対する国税不服審判所長等(担当審判官を含む。)の通知その他の行為は、二人以上の総代が選任されている場合においても、一人の総代に対してすれば足りる。
6 共同不服申立人は、必要があると認めるときは、総代を解任することができる。
7 前条第三項前段及び第四項の規定は、総代について準用する。
(参加人)
第百九条 利害関係人は、国税不服審判所長等の許可を得て、参加人として不服申立てに参加することができる。
2 国税不服審判所長等は、必要があると認めるときは、利害関係人に対し、参加人として不服申立てに参加することを求めることができる。
3 国税不服審判所長等は、不服申立てについての決定又は裁決をした場合には、異議決定書又は裁決書の謄本を参加人に送付しなければならない。
4 担当審判官は、審理を行なうため必要があるときは、参加人の申立てにより第九十七条第一項(審理のための質問、検査等)の行為をすることができる。
5 第八十四条第一項及び第二項(口頭による陳述)(第百一条第一項(異議申立てに関する規定の準用)において準用する場合を含む。)並びに第九十六条第二項及び第三項(原処分庁から提出された物件の閲覧)の規定は参加人について、第九十五条(証拠書類等の提出)の規定は参加人による証拠書類又は証拠物の提出について準用する。
(不服申立ての取下げ)
第百十条 不服申立人は、不服申立てについての決定又は裁決があるまでは、いつでも、書面により当該不服申立てを取り下げることができる。
2 第七十五条第五項(異議決定を経ない審査請求)の規定による審査請求がされたときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に掲げる不服申立ては、取り下げられたものとみなす。
一 異議審理庁において当該審査請求がされた日以前に異議申立てに係る処分の全部を取り消す旨の異議決定書の謄本を発している場合 当該審査請求
二 異議審理庁において当該審査請求がされた日以前に異議申立てに係る処分の一部を取り消す旨の異議決定書の謄本を発している場合 その部分についての審査請求
三 その他の場合 その決定を経ないで当該審査請求がされた異議申立て
(教示)
第百十一条 異議審理庁は、異議申立てがされた日の翌日から起算して三月を経過しても当該異議申立てが係属しているときは、当該異議申立てに係る処分が審査請求をすることができないものである場合を除き、遅滞なく、当該処分について直ちに審査請求をすることができる旨を書面でその異議申立人に教示しなければならない。
2 第八十九条第二項(処分の理由の附記)の規定は、前項の教示に係る書面について準用する。
(誤つた教示をした場合の救済)
第百十二条 国税に関する法律に基づく処分をした行政機関が、不服申立てをすべき行政機関を教示する際に、誤つて当該行政機関でない行政機関を教示した場合において、その教示された行政機関に対し教示された不服申立てがされたときは、第七十五条第四項第二号(教示をしなかつた場合の審査請求)の規定により審査請求がされた場合を除き、当該行政機関は、すみやかに異議申立書又は審査請求書を異議申立てをすべき行政機関又は国税不服審判所長に送付し、かつ、その旨を不服申立人に通知しなければならない。
2 前項の規定により異議申立書又は審査請求書が異議申立てをすべき行政機関又は国税不服審判所長に送付されたときは、はじめから異議申立てをすべき行政機関に異議申立てがされ、又は国税不服審判所長に審査請求がされたものとみなす。
(首席審判官への権限の委任)
第百十三条 この法律に基づく国税不服審判所長の権限は、政令で定めるところにより、その一部を首席国税審判官に委任することができる。