(目的)
第一條 この法律は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定を実施するため、国税犯則取締法(明治三十三年法律第六十七号)又は関税法(明治三十二年法律第六十一号)等による臨検、捜索又は差押の特例を設けることを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「合衆国軍隊」とは、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約(以下「條約」という。)に基き日本国の領域及びその附近に配備されるアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍をいう。
2 この法律において「合衆国軍隊の使用する施設及び区域」とは、條約第一條に掲げる目的の遂行のために合衆国軍隊が使用することに日本国が同意した施設及び区域をいう。
3 この法律において「合衆国軍隊の構成員」とは、合衆国軍隊に属する軍人で現に服役中のものをいう。
4 この法律において「軍属」とは、アメリカ合衆国の国籍を有する文民で合衆国軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴するもの(通常日本国に在留する者並びに通常アメリカ合衆国に居住する個人及びその者又はアメリカ合衆国の法律に基いて設立され、若しくは組織された法人の被用者で合衆国軍隊のためのアメリカ合衆国政府との契約の履行のみを目的として日本国にあるものを除く。)をいう。
5 この法律において「家族」とは、合衆国軍隊の構成員又は軍属の配偶者及び二十一才未満の子並びに父母及び二十一才以上の子でその生計費の十分の五以上を合衆国軍隊の構成員又は軍属が負担するものをいう。
(国税犯則取締法及び関税法等の特例)
第三條 合衆国軍隊の使用する施設及び区域内における国税犯則取締法又は関税法の規定による臨検、捜索又は差押は、合衆国軍隊の権限ある者の承認を受けて行い、又は国税庁長官、国税局長、税務署長若しくは税関長から合衆国軍隊の権限ある者に嘱託して行うものとする。
2 収税官吏又は税関官吏は、前項の規定による外、合衆国軍隊の構成員、軍属若しくは家族の身体若しくは財産又は合衆国軍隊の財産について、国税犯則取締法又は関税法の規定による臨検、捜索又は差押をすることができる。
3 前二項の規定は、たばこ専売法(昭和二十四年法律第百十一号)、アルコール専売法(昭和十二年法律第三十二号)、噸税法(明治三十二年法律第八十八号)、保税倉庫法(明治三十年法律第十五号)、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)その他の法律において準用する国税犯則取締法又は関税法の規定によつてする臨検、捜索又は差押について準用する。