(服務の根本基準)
第九十六條 すべて職員は、國民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに專念しなければならない。
前項に規定する根本基準の実施に関し必要な事項は、この法律に定めるものを除いては、人事委員会規則でこれを定める。
(服務の宣誓)
第九十七條 職員は、人事委員会規則の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。
(法令及び上司の命令に從う義務)
第九十八條 職員は、その職務を遂行するについて、誠実に、法令に從い、且つ、上司の職務上の命令に從わなければならない。但し、上司の職務上の命令に対しては、意見を述べることができる。
(信用失墜行爲の禁止)
第九十九條 職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行爲をしてはならない。
(祕密を守る義務)
第百條 職員は、職務上知ることのできた祕密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同樣とする。
法令による証人、鑑定人等となり、職務上の祕密に属する事項を発表するには、所轄廳の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄廳の長)の許可を要する。
前項の許可は、法律又は人事委員会規則の定める條件及び手続に係る場合を除いては、これを拒むことができない。
(職務に專念する義務)
第百一條 職員は、特別の事情により所轄廳の長の承認を受けた場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用いなければならない。
(政治的行爲の制限)
第百二條 職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行爲に関與してはならない。
職員は、人事委員会規則で別段の定をした場合は、公選による公職の候補者となることができない。
法律又は人事委員会規則で定めた職員は、政党その他の政治的團体の役員となることができない。
(私企業からの隔離)
第百三條 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の團体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
職員であつた者は、その退職後二年間は、その退職前二年間に在職していた官職と職務上密接な関係にある営利企業を代表する地位に就いてはならない。
前二項の規定は、人事委員会規則の定めるところにより、所轄廳の長の申出により人事委員会の承認を得た場合には、これを適用しない。
営利企業について、株式所有の関係その他の関係により、当該企業の経営に参加し得る地位にある職員に対し、人事委員会は、人事委員会規則の定めるところにより、株式所有の関係その他の関係について報告を徴することができる。
人事委員会は、人事委員会規則の定めるところにより、前項の報告に基き、企業に対する関係の全部又は一部の存続が、その職員の職務遂行上適当でないと認めるときは、その旨を当該職員に通知することができる。
前項の通知を受けた職員は、その通知の内容について異議があるときは、その通知を受領した後三十日以内に、人事委員会に異議の申立をすることができる。
第九十一條第二項及び第三項の規定は、前項の異議の申立のあつた場合に、これを準用する。
第六項の異議の申立をしなかつた職員及び人事委員会が異議の申立について調査した結果、通知の内容が正当であると決定せられた職員は、人事委員会規則の定めるところにより、人事委員会規則の定める期間内に、その企業に対する関係の全部若しくは一部を絶つか、又はその官職を退かなければならない。
(他の事業又は事務の関與制限)
第百四條 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の團体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他他の事業に從事し、若しくは事務を行うには、その所轄廳の長の許可を要する。
(職員の職務の範囲)
第百五條 職員は、職員としては法令による職務を担当する以外の義務を負わない。
(勤務條件)
第百六條 職員の勤務條件その他職員の服務に関し必要な事項は、人事委員会規則でこれを定めることができる。
前項の人事委員会規則は、この法律の規定の趣旨に沿うものでなければならない。