(労働委員会)
第十九條 使用者を代表する者、労働者を代表する者及び公益を代表する者各同数をもつて組織する労働委員会を設置する。
2 労働委員会は、中央労働委員会、船員中央労働委員会、地方労働委員会及び船員地方労働委員会とする。
3 この法律に規定する労働委員会の委員及び職員は、法令により公務に從事する職員であるものとする。
4 労働委員会に関する事項は、この法律に定めるものの外、政令で定める。
6 中央労働委員会は、使用者を代表する者(以下「使用者委員」という。)、労働者を代表する者(以下「労働者委員」という。)及び公益を代表する者(以下「公益委員」という。)各七人をもつて組織する。
7 使用者委員は、使用者團体の推薦に基いて、労働者委員は、労働組合の推薦に基いて、公益委員は、使用者委員及び労働者委員の同意を経て、労働大臣が任命するものとする。
8 禁治産者及び準禁治産者並びに懲役又は禁この刑に処せられてその執行を終り、又は執行を受けることがなくなるまでの者は、委員となることができない。委員がこの規定によりその資格を失つたときは、当然退職するものとする。
9 公益委員の任命については、その中の三人以上の員数の委員が同一の政党に属する者となつてはならない。公益委員が自己の行爲によつてこの規定にてい触してその資格を失つたときは、当然退職するものとする。
10 労働大臣は、中央労働委員会の委員が心身の故障のために職務の執行ができないと認めたとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めたときは、中央労働委員会の同意を経て、その委員を罷免することができる。
11 委員の任期は、一年とする。但し、補欠の委員は、前任者の残任期間在任する。
13 委員は、後任者が任命されるまでその職務を行う。
14 委員は、別に法律の定めるところにより俸給、手当その他の給與を受け、及び政令の定めるところによりその職務を行うために要する費用の弁償を受けるものとする。
18 会長がその職務を行うことができないときは、第十六項の規定に從つて選挙された者が会長の職務を代行し、会長が欠けたときは、同項の規定に從つて新たに会長を選挙する。
19 中央労働委員会にその事務を整理するために事務局を置き、事務局に会長の同意を経て労働大臣が任命する事務局長及び必要な職員を置く。
20 この條の規定は、地方労働委員会に準用する。但し、労働大臣の行う権限は、都道府縣知事が行うものとし、労働委員会は、使用者委員、労働者委員及び公益委員各五人(東京都においては各七人)をもつて組織し、公益委員は、その中の二人(東京都においては三人)以上の員数の委員が同一の政党に属する者となつてはならない。
21 船員法(昭和二十二年法律第百号)の適用を受ける船員に関しては、この法律に規定する中央労働委員会、地方労働委員会並びに労働大臣及び都道府縣知事の行う権限は、それぞれ船員中央労働委員会、船員地方労働委員会及び運輸大臣が行うものとし、中央労働委員会及び地方労働委員会に関する規定は、船員中央労働委員会及び船員地方労働委員会に準用する。但し、「都道府縣」とあるのは「海運局の管轄区域」と読み替えるものとする。
(労働委員会の権限)
第二十條 労働委員会は、第五條、第十一條、第十八條及び第二十七條の規定によるものの外、労働爭議のあつ旋、調停及び仲裁をする権限を有する。
(会議)
第二十一條 労働委員会は、公益上必要があると認めたときは、その会議を公開することができる。
3 労働委員会は、使用者委員、労働者委員及び公益委員各一人以上が出席しなければ、会議を開き、議決することができない。
4 議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
(強制権限)
第二十二條 労働委員会は、その事務を行うために必要があると認めたときは、使用者又はその團体、労働組合その他の関係者に対して、出頭、報告の提出若しくは必要な帳簿書類の提出を求め、又は委員若しくは労働委員会の職員(以下單に「職員」という。)に関係工場事業場に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を檢査させることができる。
2 労働委員会は、前項の臨檢又は檢査をさせる場合においては、委員又は職員にその身分を証明する証票を携帶させ、関係人に、これを呈示させなければならない。
(秘密を守る義務)
第二十三條 労働委員会の委員若しくは委員であつた者又は職員若しくは職員であつた者は、その職務に関して知得した秘密を漏らしてはならない。
(公益委員のみで行う権限)
第二十四條 第五條、第七條、第十一條及び第二十七條並びに労働関係調整法第四十二條の規定による事件に関する処分には、労働委員会の公益委員のみが参與する。但し、決定に先立つて行われる審問に使用者委員及び労働者委員が参與することを妨げない。
(中央労働委員会の権限)
第二十五條 中央労働委員会は、第十八條、第二十條、第二十六條及び第二十七條の規定による事務を行う権限を有する。中央労働委員会は、二以上の都道府縣にわたり、又は全國的に重要な問題にかかる事件のあつ旋、調停、仲裁及び処分について、優先して管轄する。
2 中央労働委員会は、第五條、第七條及び第二十七條の規定に基く地方労働委員会の処分を取り消し、承認し、若しくは変更する完全な権限をもつて再審査し、又はその処分に対する再審査の申立を却下することができる。この再審査は、地方労働委員会の処分の当事者のいずれか一方の申立に基いて、又は職権で、行うものとする。
(規則制定権)
第二十六條 中央労働委員会は、その行う手続及び地方労働委員会が行う手続に関する規則を制定し、公布する権限を有する。
(労働委員会の命令等)
第二十七條 労働委員会は、使用者が第七條の規定に違反した旨の申立を受けたときは、遅滯なく調査を行い、必要があると認めたときは、当該申立が理由があるかどうかについて審問を行わなければならない。この調査及び審問の手続は、前條の規定により中央労働委員会が定める手続規則によるものとし、審問の手続においては、当該使用者及び申立人に対し、証拠を提出し、証人に反対尋問をする充分な機会が與えられなければならない。
2 労働委員会は、前項の審問の手続を終つたときは、事実の認定をし、この認定に基いて、申立人の請求にかかる救済の全部若しくは一部を認容し、又は申立を棄却する命令を発しなければならない。この事実の認定及び命令は、書面によるものとし、その写を使用者及び申立人に交付しなければならない。この命令は、交付の日から効力を生ずる。この項の規定による手続は、前條の規定により中央労働委員会が定める手続規則によるものとする。
3 使用者は、前項の規定による地方労働委員会の命令の交付を受けたときは、十五日以内に中央労働委員会に再審査の申立をすることができる。但し、この申立は、当該命令の効力を停止せず、その命令は、中央労働委員会が第二十五條の規定により再審査の結果、これを取り消し、又は変更したときに限り、その効力を失う。
4 使用者が地方労働委員会の命令につき中央労働委員会に再審査の申立をしないとき、又は中央労働委員会が命令を発したときは、使用者は、当該命令の交付の日から三十日以内に、行政事件訴訟特例法(昭和二十三年法律第八十一号)の定めるところにより、訴を提起することができる。
5 前項の規定により使用者が裁判所に訴を提起した場合において、受訴裁判所は、当該労働委員会の申立により、決定をもつて、使用者に対し判決の確定に至るまでその労働委員会の命令の全部又は一部に從うべき旨を命じ、又は当事者の申立により、若しくは職権でこの決定を取り消し、若しくは変更することができる。
6 使用者が第三項の規定により中央労働委員会に再審査の申立をした場合には、第四項の訴の提起期間は、第二十五條の規定により中央労働委員会が当該申立の却下その他の終局的処分をした日から起算する。
7 使用者が労働委員会の命令につき第四項の期間内に訴を提起しないときは、その労働委員会の命令は、確定する。この場合において、使用者が労働委員会の命令に從わないときは、労働委員会は、使用者の住所地の地方裁判所にその旨を通知しなければならない。この通知は、労働者もすることができる。
8 第四項の訴に基く確定判決によつて地方労働委員会の命令の全部又は一部が支持されたときは、中央労働委員会は、その地方労働委員会の命令について、再審査することができない。
9 この條の規定は、労働組合又は労働者が第二十五條の規定により中央労働委員会に再審査の申立をすること、又は訴を提起することを妨げるものではない。
10 第一項及び第二項の規定は、中央労働委員会の再審査の手続について準用する。