國家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の一部を次のように改正する。
この法律中別に定める場合を除き、「人事委員会」を「人事院」に、「人事委員長」を「人事院総裁」に、「人事委員」を「人事官」に、「事務局」を「事務総局」に、「事務局長」を「事務総長」に、「人事委員会規則」を「人事院規則」に、及び「内閣総理大臣」を「内閣」に改める。但し、國家公務員法附則第二條中「事務局」、「事務局長」及び「内閣総理大臣」は、これを改めない。
(この法律の目的及び効力)
第一條 この法律は、國家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準(職員の福祉及び利益を保護するための適切な措置を含む。)を確立し、職員がその職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導さるべきことを定め、以て國民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。
この法律は、もつぱら日本國憲法第七十三條にいう官吏に関する事務を掌理する基準を定めるものである。
何人も、故意に、この法律、人事院規則又は人事院指令に違反し、又は違反を企て若しくは共謀してはならない。又、何人も、故意に、この法律、人事院規則又は人事院指令の施行に関し、虚僞行爲をなし、若しくはなそうと企て、又はその施行を妨げてはならない。
この法律のある規定が、効力を失い、又はその適用が無効とされても、この法律の他の規定又は他の関係における適用は、その影響を受けることがない。
この法律の規定が、從前の法律又はこれに基く法令と矛盾し又はてい触する場合には、この法律の規定が、優先する。
(一般職及び特別職)
第二條 國家公務員の職は、これを一般職と特別職とに分つ。
一般職は、特別職に属する職以外の國家公務員の一切の職を包含する。
特別職は、左に掲げる職員の職とする。
八 内閣総理大臣祕書官(三人以内)及びその他の祕書官(國務大臣又は特別職たる機関の長の各々につき一人)
九 就任について選挙によることを必要とし、あるいは國会の両院又は一院の議決又は同意によることを必要とする職員
十 宮内府長官、侍從長及び侍從並びに法律又は人事院規則で指定する宮内府のその他の職員
十二 裁判官並びに最高裁判所長官祕書官(一人)及び最高裁判所判事祕書官(判事の各々につき一人)
この法律の規定は、一般職に属するすべての職(以下その職を官職といい、その職を占める者を職員という。)に、これを適用する。人事院は、ある職が、國家公務員の職に属するかどうか及び本條に規定する一般職に属するか特別職に属するかを決定する権限を有する。
この法律の規定は、この法律の改正法律により、別段の定がなされない限り、特別職に属する職には、これを適用しない。
政府は、一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給、給料その他の給與を支拂つてはならない。
前項の規定は、政府又はその機関と外國人の間に、個人的基礎においてなされる勤務の契約には適用されない。
(設置)
第三條 この法律の完全な実施を確保し、その目的を達成するため人事院を設け、この法律実施の責に任ぜしめる。
國家公務員に関する事務を掌理するため、内閣の所轄の下に人事院を置く。人事院は、この法律に定める基準に從つて、内閣総理大臣に報告しなければならない。
人事院は、この法律に從い、左に掲げる事項について職員に関する諸般の方針、基準、手続、規則及び計画を整備、調整、総合及び指示し、且つ、立法その他必要な措置を勧告する。
一 職階、給與、重複給與、給與準則、試驗、資格要件、募集、任用候補者名簿、任用候補者の提示、採用、條件附任用期間、臨時的任用、非常勤任用、重複任用、宣誓、昇任、降任、轉任、復職、配置轉換、退職、恩給、免職、人員の減少、勤務成績の評定、人事行政用語の定義及びこれらに関連する事項
二 勤務時間、休暇、休職、保健、安全、元氣回復、教育訓練、厚生、素行、政治的活動、私企業からの隔離、祕密の保持、規律、離職、公正な取扱、分限、保障、行政的措置の要求、苦情の処理、公務傷病に対する補償、政府の人事行政に関する調査、研究及び監察並びにこれらに関連する事項
三 人事記録及び人事統計並びにこの法律、人事院規則及び人事院指令に從つて給與が支拂われているかどうかを確めるための給與簿の監理及び檢査
この法律により、人事院が処置する権限を與えられている部門においては、人事院の決定及び処分は、その定める手続により、人事院によつてのみ審査される。
前項の規定は、法律問題につき裁判所に出訴する権利に影響を及ぼすものではない。
(職員)
第四條 人事院は、人事官三人をもつて、これを組織する。
人事院は、事務総長及び予算の範囲内においてその職務を適切に行うため必要とする職員を任命する。
人事院は、その内部機構を管理する。國家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)は、人事院には適用されない。
第五條第五項中「一年」を「五年」に、「政党の役員」を「政党の役員、政治的顧問その他これらと同様な政治的影響力をもつ政党員」に改め、同條第六項中「若しくは高等学校における同一学科(学科の区分のない大学については同一学部)」を削る。
第八條第一項本文を次のように改める。
人事官は、左の各号の一に該当する場合を除く外、その意に反して罷免されることがない。
同條第一項第二号中「内閣総理大臣」を「國会」に改め、同條同項第三号を次のように改め、第三項但書及び第六項を削る。
三 任期が満了して、再任されず又は人事官として引き続き十二年在任するに至つた場合
第九條第二項乃至第四項中「内閣総理大臣」を「國会」に改める。
(俸給)
第十條 人事官は、國務大臣と同じ基礎に基く給與を受けるものとし、人事官に支拂われる給與の総額は、いずれの國務大臣が受ける給與の総額よりも少くてはならない。
(人事院会議)
第十二條 定例の人事院会議は、人事院規則の定めるところにより、少なくとも一週間に一回、一定の場所において開催することを常例としなければならない。
人事院会議の議事は、すべて議事録として記録しておかなければならない。
人事院の事務処理の手続に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。
人事院は、左に掲げる権限を行う場合においては、人事院の議決を経なければならない。
四 第二十三條の規定による國会及び内閣に対する意見の申出
五 第二十四條の規定による國会及び内閣に対する報告
六 第二十八條の規定による國会及び内閣に対する勧告
八 第三十六條(第三十七條において準用する場合を含む。)の規定による選考基準の決定及び選考機関の指定
十 第六十條の規定による臨時的任用及びその更新に対する承認、臨時的任用に係る職員の員数の制限及びその資格要件の決定並びに臨時的任用の取消(人事院規則の定める場合を除く。)
十二 第六十七條の規定による給與準則の改訂案の作成
十三 第七十二條の規定による関係廳の長に対する勧告及び表彰又は矯正方法に関する立案(人事院規則の定める場合を除く。)
十六 第九十五條の規定による補償に関する重要事項の立案
十七 第百三條の規定による異議の申立についての判定
十八 第百八條の規定による恩給に関する重要事項の立案
十九 その他人事院の議決によりその議決を必要とされた事項
(事務総局及び予算)
事務総局の組織及び法律顧問に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。
人事院は、毎会計年度の開始前に、次の会計年度においてその必要とする経費の要求書を國の予算に計上されるように内閣に提出しなければならない。この要求書には、土地の購入、建物の建造、事務所の借上、家具、備品及び消耗品の購入、俸給及び給料の支拂その他この法律を完全に実施するため必要なあらゆる役務及び物品に関する経費が計上されなければならない。
昭和二十七年三月三十一日までは、前項の経費の中には、應急予備金が設けられなければならない。應急予備金は、総裁がこれを管理する。應急予備金を支出するには、人事院の議決を経なければならない。
内閣が、人事院の経費の要求書を修正する場合においては、人事院の要求書は、内閣により修正された要求書とともに、これを國会に提出しなければならない。
人事院は、國会の承認を得て、その必要とする地方の事務所を置くことができる。
(事務総長)
第十四條 事務総長は、総裁の職務執行の補助者となり、その一般的監督の下に、人事院の事務上及び技術上のすべての活動を指揮監督し、この法律の目的を達成するための諸般の計画を樹立し、人事院の職員について計画を立て、募集、配置及び指揮を行い、又、この法律の目的を達成するために必要な、適当で、且つ、法令の規定に從つた諸般の措置を行い、人事院会議の幹事及び人事主任官会議の議長となる。
事務総長は、次官と同じ基礎に基く給與を受けるものとし、事務総長に支拂われる給與の総額は、いずれの次官が受ける給與の総額より少くてはならない。但し、法律に定める家族手当及び超過勤務手当については、この限りでない。
(人事院の職員の兼職禁止)
第十五條 人事官及び事務総長は、他の官職を兼ねてはならない。
(人事院規則及び人事院指令)
第十六條 人事院は、この法律の執行に関し必要な事項について、人事院規則を制定し、人事院指令を発し、及び手続を定める。人事院は、いつでも、適宜に、人事院規則を改廃することができる。
人事院規則及びその改廃は、官報をもつて、これを公布する。
人事院は、この法律に基いて人事院規則を実施し又はその他の措置を行うため、人事院指令を発することができる。
(給與の支拂の監理)
第十八條 人事院は、職員に対する給與の支拂を監理する。
職員に対する給與の支拂は、人事院規則又は人事院指令に反してこれを行つてはならない。
第十九條 第四項中「第二項の規定による」を「総理廳、各省その他の機関によつて作成保管された」に改める。
第二十一條中「重要でないものについて、」を「人事院規則の定めるものについては、」に改める。
第二十二條第二項中「及び人事の交流」を「、人事の交流その他労力活用に関する事項」に改める。
(法令の制定改廃に関する意見の申出)
第二十三條 人事院は、この法律の目的達成上、法令の制定又は改廃に関し意見があるときは、その意見を國会及び内閣に同時に申し出なければならない。
第二十四條第一項を次のように改める。
人事院は、毎年、國会及び内閣に対し、業務の状況を報告しなければならない。
第二十七條中「又は門地」を「、門地又は第三十八條第五号に規定する場合を除くの外政治的意見若しくは政治的所属関係」に改める。
(情勢適應の原則)
第二十八條 この法律に基いて定められる給與、勤務時間その他勤務條件に関する基礎條件には、國会により社会一般の情勢に適應するように、隨時これを変更することができる。その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠つてはならない。
人事院は、毎年、少くとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて國会及び内閣に同時に報告しなければならない。給與を決定する諸條件の変化により、俸給表に定める給與を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、人事院はその報告にあわせて、國会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。
第二十九條第二項中「に應じて定めた職種別に、且つ、職務の」を「及び」に改め、「定めた等級別に」を削り、同條第三項中「職種及び等級を同じくする」を「同一の内容の雇用條件を有する同一の職級に属する」に改め、同條第四項中「この法律の実施前に」を削り、同條に次の一項を加える。
政府職員の新給與実施に関する法律(昭和二十三年法律第四十六号)第十四條の規定による職務の分類は、これを本條その他の條項に規定された計画であつて、且つ、この法律の要請するところに適合するものとみなし、その改正が人事院によつて勧告され、國会によつて制定されるまで効力をもつものとする。
第三十條第一項を次のように改める。
職階制は、実施することができるものから、逐次これを実施する。
第三十一條第一項中「職階制を実施することとなつた場合においては」を「職階制を実施するにあたつては」に、及び「職種及び等級」を「職級」に改める。
(職階制によらない官職の分類の禁止)
第三十二條 一般職に属するすべての官職については、職階制によらない分類をすることはできない。
(任免の根本基準)
第三十三條 すべて職員の任用は、この法律及び人事院規則の定めるところにより、その者の受驗成績、勤務成績又はその他の能力の実証に基いて、これを行う。
人事院は、試驗を採用試驗、昇任試驗又はその両者を兼ねるもののいずれとするかを適宜決定する。
職員の免職は、法律に定める事由に基いてこれを行わなければならない。
前三項に規定する根本基準の実施につき必要な事項は、この法律に定のあるものを除いては、人事院規則でこれを定める。
(用語の定義)
第三十四條 人事院は、この法律の施行上必要とする用語の定義、説明及び使用について、人事院規則でこれを定める。
第三十六條第一項中「職種及び等級」を「官職」に改め、同條第三項を削る。
第三十七條第一項を次のように改める。
職員の昇任は、その官職より下位の官職の在職者の間における競争試驗(以下試驗という。)によるものとする。但し、人事院は、必要と認めるときは、試驗を受ける者の範囲を、適宜制限することができる。
第三十八條第四号中「第百九條又は第百十條第三号」を「第百九條から第百十一條まで」に改める。
第四十五條中「目的とし、その内容は、実際的なものであることを要する。」を「目的とする。」に改める。
第四十七條第二項中「職種及び等級」を「官職」に改め、「試驗科目及びその各科目の比重、」を削り、同條第三項中「事項が漏れなく判明することのできるように、」を「事項を周知させることができるように、」に改め、同條に次の一項を加える。
人事院は、公告された試驗又は実施中の試驗を、取り消し又は変更することができる。
第五十四條中「その全部又は一部を」を「これを」に改める。
(任命権者)
第五十五條 任命権は、法律に別段の定のある場合を除いては、内閣、各大臣(内閣総理大臣、法務総裁及び各省大臣をいう。以下同じ。)、会計檢査院長及び人事院総裁並びに各外局の長に属するものとする。これらの機関の長の有する任命権は、その部内の機関に属する官職に限られ、内閣の有する任命権は、その直属する機関に属する官職に限られる。但し、外局の長に対する任命権は、各大臣に属する。
前項に規定する機関の長たる任命権者は、その任命権を、その部内の上級の職員に限り委任することができる。この委任は、その効力が発生する日の前に、書面をもつて、これを人事院に提示しなければならない。
この法律、人事院規則及び人事院指令に規定する要件を備えない者は、これを任命し、雇用し、昇任させ若しくは轉任させてはならず、又はいかなる官職にも配置してはならない。
第五十六條に次の但書を加える。
但し、昭和二十六年七月一日前においては、人事院は、人事院の議決によつて、いかなる官職についても、その選択の範囲を高点順の志望者四人以内に制限することができる。
(條件附任用期間)
第五十九條 一般職に属するすべての官職に対する職員の採用又は昇任は、すべて條件附のものとし、その職員が、その官職において六月を下らない期間を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに、正式のものとなるものとする。
條件附採用に関し必要な事項又は條件附採用期間であつて六月をこえる期間を要するものについては、人事院規則でこれを定める。
第六十條第二項中「職種又は等級により、」を削り、同條第三項中「前二項の規定」の下に「又は人事院規則」を加え、同條第五項中「これに基いて発する政令及び」を削る。
第六十一條中「任命権者が、」の下に「この法律及び人事院規則に從い、」を加える。
第六十二條第二項を次のように改める。
前項の規定の趣旨は、できるだけすみやかに達成されなければならない。
第六十三條第二項中「内閣総理大臣」を「國会及び内閣」に改める。
第六十四條第二項を次のように改める。
俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、且つ、等級又は職級ごとに明確な俸給額の幅を定めていなければならない。
第六十五條第一項第一号中「同一等級」を「同一の等級又は職級」に改め、同項第五号中「常時勤務を要しない官職」の上に「扶養家族の数、」を加える。
第六十六條第一項中「職種及び等級」を「職級」に改め、同條第二項を削る。
第六十七條中「内閣総理大臣」を「國会及び内閣」に改める。
第六十九條及び第七十條中「法令又は人事委員会規則」を「法令、人事院規則又は人事院指令」に改める。
第七十二條第三項中「これを内閣総理大臣に提出しなければならない。」を「これについて、適当な措置を講じなければならない。」に改める。
第七十五條第一項中「法律」の下に「又は人事院規則」を加える。
(離職)
第七十七條 職員の離職に関する規定は、この法律及び人事院規則でこれを定める。
第七十八條第一号中「挙がらない」を「よくない」に改め、同條第三号中「職種又は等級の」を削り、同條に次の一号を加える。
四 官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合
第七十九條中「左の各号の一に該当する場合」の下に「又は人事院規則で定めるその他の場合」を加える。
第八十條第一項を次のように改める。
前條第一号の規定による休職の期間は、人事院規則でこれを定める。休職期間中その事故の消滅したときは、休職は当然終了したものとし、すみやかに復職を命じなければならない。
同條第二項の次に次の一項を加え、第三項中「休職者は、その休職の期間中俸給の三分の一を受ける。」を「休職者は、その休職の期間中、給與準則で別段の定をしない限り、何等の給與を受けてはならない。」に改める。
いかなる休職も、その事由が消滅したときは、当然に終了したものとみなされる。
第八十一條第一項第三号を削り、第四号を第三号に改め、同條第三項を削る。
第八十三條第一項を次のように改める。
停職の期間は、一年をこえない範囲内において、人事院規則でこれを定める。
同條第二項中「その停職の期間中俸給の三分の一を受ける。」を「第九十二條の規定による場合の外、停職の期間中給與を受けることができない。」に改め、同條第三項を削る。
第八十四條に次の一項を加える。
人事院は、この法律に規定された調査を経て職員を懲戒手続に付することができる。
(刑事裁判との関係)
第八十五條 懲戒に付せらるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。この法律による懲戒処分は、当該職員が、同一又は関連の事件に関し、重ねて刑事上の訴追を受けることを妨げない。
(調査の結果採るべき措置)
第九十二條 前條に規定する調査の結果、処分を行うべき事由のあることが判明したときは、人事院は、その処分を承認し、又はその裁量により修正しなければならない。
前條に規定する調査の結果、その職員に処分を受けるべき事由のないことが判明したときは、人事院は、その処分を取り消し、職員としての権利を回復するために必要で、且つ、適切な処置をなし、及びその職員がその処分によつて受けた不当な処置を是正しなければならない。人事院は、職員がその処分によつて失つた俸給の弁済を受けるように指示しなければならない。
前二項の判定は、最終のものであつて、人事院規則の定めるところにより、人事院によつてのみ審査される。
(補償制度の立案及び実施の責務)
第九十五條 人事院は、なるべくすみやかに、補償制度の研究を行い、その成果を國会及び内閣に提出するとともに、その計画を実施しなければならない。
(法令及び上司の命令に從う義務並びに職員の團体)
第九十八條 職員は、その職務を遂行するについて、法令に從い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に從わなければならない。
職員は、組合その他の團体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。職員は、これらの組織を通じて、代表者を自ら選んでこれを指名し、勤務條件に関し、及びその他社交的厚生的活動を含む適法な目的のため、人事院の定める手続に從い、当局と交渉することができる。但し、この交渉は、政府と團体協約を締結する権利を含まないものとする。すべて職員は、職員の團体に属していないという理由で、不満を表明し又は意見を申し出る自由を否定されてはならない。
職員は、前項の組合その他の團体について、その構成員であること、これを結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと、又はその團体における正当な行爲をしたことのために不利益な取扱を受けない。
警察職員、消防職員(國家消防廳の職員を含むものとする。)及び海上保安廳又は監獄において勤務する職員は、第二項に規定する職員の團体を結成し、及びこれに加入することができない。
職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行爲をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行爲をしてはならない。又、何人も、このような違法な行爲を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。
職員で同盟罷業その他前項の規定に違反する行爲をした者は、その行爲の開始とともに、國に対し、法令に基いて保有する任命又は雇用上の権利をもつて、対抗することができない。
第二項の組合その他の團体は、これを法人とすることができる。民法(明治二十九年法律第八十九号)及び非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)中民法第三十四條に規定する法人に関する規定は、本項の法人についてこれを準用する。但し、これらの規定中「主務官廳」とあるのは、「人事院」と読み替えるものとする。
第百條に次の一項を加える。
前三項の規定は、人事院で扱われる調査又は審理の際人事院から求められる情報に関しては、これを適用しない。何人も、人事院の権限によつて行われる調査又は審理に際して、祕密の又は公表を制限された情報を陳述し又は証言することを人事院から求められた場合には、何人からも許可を受ける必要がない。人事院が正式に要求した情報について、人事院に対して、陳述及び証言を行わなかつた者は、この法律の罰則の適用を受けなければならない。
(職務に專念する義務)
第百一條 職員は、人事院規則の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ從事しなければならない。職員は、人事院規則の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給與を受けてはならない。
前項の規定は、地震、火災、水害その他重大な災害に際し、当該官廳が職員を本職以外の業務に從事させることを妨げない。
職員は、政府から給與を受けながら、職員の團体のため、その事務を行い、又は活動してはならない。但し、職員は、人事院によつて認められ又は人事院規則によつて定められた條件又は事情の下において、第九十八條の規定により認められた行爲をすることができる。
第百二條第一項中「これらの行爲に関與してはならない。」を「これらの行爲に関與し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行爲をしてはならない。」に改め、同條第二項中「人事委員会規則で別段の定をした場合は、」を削り、同條第三項を次のように改める。
職員は、政党その他の政治的團体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。
第百三條第二項を次のように改める。
職員は、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める國の機関と密接な関係にあるものにつくことを承諾し又はついてはならない。
第百四條中「その他の事業に從事し、若しくは事務を行うには、その所轄廳の長の許可を要する。」を「その他いかなる事業に從事し、若しくは事務を行うにも、人事院及びその職員の所轄廳の長の許可を要する。」に改める。
(職員の職務の範囲)
第百五條 職員は、職員としては、法律、命令、規則又は指令による職務を担当する以外の義務を負わない。
第百八條第三項中「健全な基礎のもとに」を「健全な保險数理を基礎として」に、同條第四項中「内閣総理大臣」を「國会及び内閣」に改める。
第百九條 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第五條に規定する資格を有しない人事官の任命に同意した閣員
三 第八條第三項の規定に違反して故意に人事官を罷免しなかつた閣員
四 人事官の欠員を生じた後六十日以内に人事官を任命しなかつた閣員(此の期間内に両議院の同意を経なかつた場合には此の限りでない。)
六 第十六條第二項の規定に違反して故意に人事院規則及びその改廃を官報に掲載することを怠つた者
七 第十九條の規定に違反して故意に人事記録の作成、保管又は改訂をしなかつた者
八 第二十條の規定に違反して故意に報告しなかつた者
十 第四十七條第三項の規定に違反して試驗の公告を怠り又はこれを抑止した職員
十一 第八十三條第一項の規定に違反して停職を命じた者
十二 第九十二條の規定によつてなされる人事院の判定、処置又は指示に故意に從わなかつた者
十三 第百條第一項又は第二項の規定に違反して祕密を漏らした者
十四 第百三條の規定に違反して営利企業の地位についた者
十五 附則第十一條の規定に違反して臨時的任用の期間を延長した任命権者
第百十條 左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
二 第十條又は第十四條の規定に違反して給與を支拂つた者
三 第十七條第二項の規定による証人として喚問を受け虚僞の陳述をした者
四 第十七條第二項の規定により証人として喚問を受け正当の理由がなくてこれに應ぜず、又は同項の規定により書類又はその写の提出を求められ正当の理由がなくてこれに應じなかつた者
五 第十七條第二項の規定により書類又はその写の提出を求められ、虚僞の事項を記載した書類又は写を提出した者
十 第四十一條の規定に違反して受驗若しくは任用を阻害し又は情報を提供した者
十一 第六十三條第一項又は第六十六條の規定に違反して給與を支給した者
十二 第六十八條の規定に違反して給與の支拂をした者
十三 第七十條の規定に違反して給與の支拂について故意に適当な措置をとらなかつた人事官
十四 第八十三條第二項の規定に違反して停職者に俸給を支給した者
十五 第八十六條の規定に違反して故意に勤務條件に関する行政措置の要求の申出を妨げた者
十六 第九十八條第四項の規定に違反して職員の團体を結成した者
十七 何人たるを問わず第九十八條第五項前段に規定する違法な行爲の遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおり、又はこれらの行爲を企てた者
十八 第百條第四項の規定に違反して陳述及び証言を行わなかつた者
十九 第百二條第一項に規定する政治的行爲の制限に違反した者
二十 任命権者で、附則第九條第一項の規定による臨時的任用を終了させなかつた者
前項第八号に該当する者の收受した金銭その他の利益は、これを沒收する。その全部又は一部を沒收することができないときは、その價額を追徴する。
第百十一條 第百九條第一号、第三号より第五号まで及び第十三号又は第百十條第一項第一号から第七号まで、第九号から第十六号まで、第十八号及び第二十号に掲げる行爲を企て、命じ、故意にこれを容認し、そそのかし又はそのほう助をした者は、それぞれ各本條の刑に処する。
附則第一條第二項を削り、同條第三項中「附則の規定」を「罰則及び附則の規定」に、及び「法律又は人事委員会規則」を「法律、人事院規則又は人事院指令」に改める。
附則第二條第五項を次のように改める。
人事院設置の際現に在職する委員長及び委員は、この法律により人事官の任命があるまでは、人事官の地位に在るものとみなし、その間は、委員長は、人事院総裁の職務を行うものとする。委員長及び委員は、人事官が任命されたときは、退職するものとし、その場合においては、委員長は、遅滯なくその事務を人事院総裁に引き継がなければならない。人事官の任命は、人事院設置後五日以内に、これを行わなければならない。
同條第八項の次に次の一項を加える。
臨時人事委員会の職員は、人事院が設置されたときは、六月の間人事院の職員として條件附で任用されたものとし、その期間を良好に終了したときは、この法律に基く試驗又は選考に合格し、且つ、この法律に基く手続によつてその官職を保持するものとみなされ、正式に任命されたものとする。本項のいかなる規定も、人事院の職員に対し、附則第九條の規定の適用を免除するものではない。
附則第三條を次のように改める。
第三條 第五條第六項にいう大学学部には、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学学部及び旧專門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による專門学校を含むものとする。
附則第九條から附則第十一條までを次のように改める。
第九條 人事院の指定する日において、次官、局長、次官、課長及び課長補佐その他これらに準ずる官職で人事院の指定するものに在任するものは、人事院規則の定めるところにより、その官職に臨時的に任用されたものとみなす。この臨時的任用は、昭和二十三年七月一日から三年をこえることができず、且つ、その期限前においても人事院規則又は人事院指令により、終了させることができる。人事院は、隨時それらの官職に準ずる官職を追加して指定し、本條の規定を適用しなければならない。人事院は、公務の適切な運営のため、いかなる官職に在任する職員に対しても、適宜試驗を実施し、これを轉退職させることができる。
人事院は、昭和二十三年七月一日から二年以内に、前項に規定する官職について、この法律に基き必要な試驗を実施しなければならない。
第十條 前條第一項の規定により指定される官職以外の官職に在任する職員は、人事院の指定する日において、その在任する官職に対し、この法律に基く手続によつて、資格を與えられたものとみなし、すべてこれに人事院規則を適用する。
第十一條 任命権者は、昭和二十六年七月一日前においては、人事院の承認を得て、且つ、人事院規則に從い、第六十條第一項に規定する臨時的任用の期間を延長することができる。
附則第十三條中「外交官、領事官その他の在外職員、学校教員、裁判所の職員、檢察官その他の」を削る。
附則に次の二條を加える。
第十五條 人事院は、昭和二十六年七月一日前においては、都道府縣、市その他地方公共團体の人事機関が、この法律によつて確立された原則に沿つて設置され、且つ、運営されるように協力し、及び技術的助言をなすことができる。
第十六條 労働組合法(昭和二十年法律第五十一号)、労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)及び船員法(昭和二十二年法律第百号)並びにこれらの法律に基いて発せられる命令は、第二條の一般職に属する職員には、これを適用しない。