船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第四十号
公布年月日: 昭和57年5月1日
法令の形式: 法律
船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十七年五月一日
内閣総理大臣 鈴木善幸
法律第四十号
船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律
船員災害防止協会等に関する法律(昭和四十二年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
船員災害防止活動の促進に関する法律
目次を次のように改める。
目次
第一章
総則(第一条―第五条)
第二章
船員災害防止計画(第六条―第九条)
第三章
安全衛生管理体制(第十条―第十五条)
第四章
安全衛生改善計画(第十六条―第十八条)
第五章
船員災害防止協会
第一節
通則(第十九条―第二十三条)
第二節
業務(第二十四条―第三十条)
第三節
会員(第三十一条―第三十三条)
第四節
設立(第三十四条―第三十八条)
第五節
管理(第三十九条―第五十条)
第六節
解散及び清算(第五十一条―第五十四条)
第七節
監督(第五十五条―第五十七条)
第八節
補則(第五十八条―第六十条)
第六章
雑則(第六十一条―第六十五条)
第七章
罰則(第六十六条―第七十二条)
附則
第一条を次のように改める。
(目的)
第一条 この法律は、船員災害防止計画を樹立し、並びに船員災害の防止を目的とする船舶所有者及び船舶所有者の団体による自主的な活動を促進するための措置を講ずること等により、船員法(昭和二十二年法律第百号)その他船員の安全及び衛生に関する法令と相まつて、船内における快適な作業環境及び居住環境の整備を含む総合的かつ計画的な船員災害防止対策の推進を図り、もつて船員災害の防止に寄与することを目的とする。
第五十二条中「第九条第二項」を「第二十一条第二項」に、「五千円」を「五万円」に改め、同条を第七十二条とする。
第五十一条中「五千円」を「十万円」に改め、同条第一号中「行なう」を「行う」に、「行なつた」を「行つた」に改め、同条第二号中「第十条第一項」を「第二十二条第一項」に改め、同条第三号中「第二十条」を「第三十二条」に改め、同条第四号中「第四十一条第一項」を「第五十三条第一項」に改め、同条第五号及び第六号中「第四十二条」を「第五十四条」に改め、同条第七号中「第四十三条」を「第五十五条」に改め、同条を第七十一条とする。
第五十条を削る。
第四十九条中「第四十七条」を「第五十九条」に、「五千円」を「十万円」に改め、同条を第六十六条とし、同条の次に次の四条を加える。
第六十七条 船舶所有者が第六十四条第二項の規定に違反したときは、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第六十八条 船舶所有者が第十条第一項、第十一条第一項若しくは第十六条第二項の規定に違反したとき、又は第十七条の規定による命令に違反したときは、十万円以下の罰金に処する。
第六十九条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第五十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
二 第六十一条第三項の規定による出頭の命令に応ぜず、帳簿書類を提出せず、若しくは虚偽の記載をした帳簿書類を提出し、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
三 第六十四条第一項に定める場合において、虚偽の申告をした者
第七十条 法人(法人でない船舶所有者の団体を含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
2 前項の規定により法人でない船舶所有者の団体を処罰する場合においては、その代表者が訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第四章を第七章とする。
第三章第八節中第四十八条を第六十条とし、同条の次に次の一章を加える。
第六章 雑則
(船員労務官)
第六十一条 船員労務官は、この法律(第一章、第二章及び前章を除く。以下この条、次条、第六十四条及び第六十五条において同じ。)の施行に関する事務をつかさどる。
2 船員労務官は、必要があると認めるときは、船舶所有者又は船員に対し、この法律及びこの法律に基づく命令の遵守に関し注意を喚起し、又は勧告することができる。
3 船員労務官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、船舶所有者、船員その他の関係者に出頭を命じ、帳簿書類を提出させ、若しくは報告をさせ、又は船舶その他の事業場に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査し、若しくは船舶所有者、船員その他の関係者に質問をすることができる。
4 船員労務官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、旅客その他船内にある者に質問をすることができる。
5 第五十六条第二項及び第三項の規定は、前二項の場合について準用する。
第六十二条 船員労務官は、この法律の規定に違反する罪について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)に規定する司法警察員の職務を行う。
(船員中央労働委員会の権限)
第六十三条 船員中央労働委員会は、運輸大臣の諮問に応じ、この法律の施行又は改正に関する事項を調査審議する。
2 船員中央労働委員会は、船員災害の防止のための活動の促進に関し、運輸大臣に建議することができる。
(船員の申告)
第六十四条 この法律又はこの法律に基づく命令に違反する事実があるときは、船員は、海運局長(海運監理部長を含む。以下同じ。)、海運局支局長又は船員労務官にその事実を申告することができる。
2 船舶所有者は、前項の申告をしたことを理由として、船員を解雇し、その他船員に対し不利益な取扱いをしてはならない。
(権限の委任)
第六十五条 この法律の規定により運輸大臣の権限に属する事項は、運輸省令で定めるところにより、海運局長に行わせることができる。
第四十七条を第五十九条とし、第四十六条を第五十八条とする。
第四十五条第二項中「第二十二条」を「第三十四条」に改め、第三章第七節中同条を第五十七条とし、第四十四条を第五十六条とし、第四十三条を第五十五条とする。
第三章第六節中第四十二条を第五十四条とし、第三十九条から第四十一条までを十二条ずつ繰り下げる。
第三章第五節中第三十八条を第五十条とし、第二十七条から第三十七条までを十二条ずつ繰り下げる。
第三章第四節中第二十六条を第三十八条とし、第二十二条から第二十五条までを十二条ずつ繰り下げる。
第三章第三節中第二十一条を第三十三条とし、第二十条を第三十二条とし、第十九条を第三十一条とする。
第三章第二節中第十八条を第三十条とし、第十三条から第十七条までを十二条ずつ繰り下げる。
第十二条第一項中「第七条」を「第十九条」に、「行なう」を「行う」に改め、同条を第二十四条とする。
第三章第一節中第十一条を第二十三条とし、第七条から第十条までを十二条ずつ繰り下げる。
第三章を第五章とする。
第二章中第六条を第九条とし、同条の次に次の二章を加える。
第三章 安全衛生管理体制
(総括安全衛生担当者)
第十条 常時使用する船員の数が運輸省令で定める数以上である船舶所有者は、運輸省令で定めるところにより、総括安全衛生担当者を選任し、その者に次の業務を統括管理させなければならない。
一 船員の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
二 船内における作業環境及び居住環境を快適な状態に維持管理するための措置に関すること。
三 船員の安全及び衛生に関する教育の実施に関すること。
四 健康検査の実施その他船員の健康管理に関すること。
五 船員災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
六 その他船員災害の防止のために必要な業務
2 総括安全衛生担当者は、船員の労務に関し船舶所有者の行う業務を統括管理する者をもつて充てなければならない。
(安全衛生委員会)
第十一条 常時使用する船員の数が運輸省令で定める数以上である船舶所有者は、次の事項を調査審議させ、船舶所有者に対し意見を述べさせるため、運輸省令で定めるところにより、安全衛生委員会を設けなければならない。
一 船員の危険又は健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
二 船内における作業環境及び居住環境を快適な状態に維持管理するための基本となるべき対策に関すること。
三 船員災害の原因及び再発防止対策に関すること。
四 その他船員災害の防止に関する重要事項
2 安全衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。
一 総括安全衛生担当者(前条第一項に規定する船舶所有者以外の船舶所有者の設ける安全衛生委員会にあつては、船員の労務に関し当該船舶所有者の行う業務を統括管理する者又はこれに準ずる者のうちから当該船舶所有者が指名した者)
二 当該船舶所有者に使用されている者で船内の安全に関し知識又は経験を有するもののうちから船舶所有者が指名した者
三 当該船舶所有者に使用されている者で船内の衛生に関し知識又は経験を有するもののうちから船舶所有者が指名した者
3 船舶所有者は、前項第二号及び第三号の委員には、船員法第八十二条の二に規定する衛生管理者であつた者その他の船員災害の防止のための業務に従事した経験を有する船員(船員であつた者を含む。)が含まれるようにしなければならない。
4 船舶所有者は、安全衛生委員会の委員には、その使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは船員の過半数を代表する者の推薦する者が含まれるようにしなければならない。
5 船舶所有者は、安全衛生委員会が第一項の規定により当該船舶所有者に対し述べる意見を尊重しなければならない。
(団体安全衛生委員会)
第十二条 前条第一項に規定する船舶所有者のうち常時使用する船員の数が運輸省令で定める数未満であるものをその構成員の一員とする団体であつて運輸省令で定めるところにより運輸大臣の指定を受けたもの(以下「指定団体」という。)は、当該船舶所有者が同項の規定により設けなければならない安全衛生委員会に代わるべきものとして、団体安全衛生委員会を当該指定団体に設けることができる。
2 指定団体が前項の規定により団体安全衛生委員会を設けたときは、当該指定団体の構成員である同項に規定する船舶所有者で当該団体安全衛生委員会に係るものは、前条第一項の規定にかかわらず、安全衛生委員会を設けないことができる。
3 団体安全衛生委員会は、前項の規定により安全衛生委員会を設けない船舶所有者(以下「特定船舶所有者」という。)に係る前条第一項各号に掲げる事項を調査審議し、特定船舶所有者に対し意見を述べるものとする。
4 特定船舶所有者は、団体安全衛生委員会が前項の規定により当該特定船舶所有者に対し述べる意見を尊重しなければならない。
5 前条第二項(第一号に係る部分を除く。)、第三項及び第四項の規定は、団体安全衛生委員会について準用する。この場合において、同条第二項第二号及び第三号中「当該船舶所有者」とあるのは「当該指定団体又はその構成員である特定船舶所有者」と、「船舶所有者が」とあるのは「指定団体が」と、同条第三項中「船舶所有者」とあるのは「指定団体」と、同条第四項中「船舶所有者」とあるのは「指定団体」と、「その使用する」とあるのは「その構成員である特定船舶所有者の使用する」と読み替えるものとする。
(船員の意見を聴くための措置)
第十三条 常時使用する船員の数が第十一条第一項の運輸省令で定める数未満である船舶所有者は、船員災害の防止に関しその使用する船員の意見を聴くために必要な措置を講じなければならない。
(安全衛生教育の体制の整備)
第十四条 船舶所有者は、船員の安全及び衛生に関する知識及び技能の水準の向上を図り、船員災害の防止に資するため、運輸省令で定めるところにより、船員の安全及び衛生に関する教育の体制の整備に関し必要な措置を講じなければならない。
(勧告)
第十五条 運輸大臣は、適切な安全衛生管理体制を確保するため必要があると認めるときは、船舶所有者又は団体安全衛生委員会を設けた指定団体に対し、総括安全衛生担当者の業務の執行の改善、安全衛生委員会又は団体安全衛生委員会の委員の増員、前条の教育の体制の改善その他の必要な措置を講ずべきことについて勧告することができる。
第四章 安全衛生改善計画
(安全衛生改善計画の作成等)
第十六条 運輸大臣は、船員災害が頻繁に発生していること又は大規模な船員災害が発生したことにより、船員の安全及び衛生に関する事項について船員災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるときは、運輸省令で定めるところにより、船舶所有者に対し、船員の安全又は衛生に関する改善計画(以下「安全衛生改善計画」という。)を作成すべきことを指示することができる。
2 前項の規定により安全衛生改善計画の作成を指示された船舶所有者は、運輸省令で定めるところにより、これを作成し、運輸大臣に届け出なければならない。
3 船舶所有者は、前項の規定により安全衛生改善計画を作成しようとする場合には、その使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは船員の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
4 第二項の規定による届出には、前項の規定により聴いた意見を記載した書面を添付しなければならない。
(変更命令)
第十七条 運輸大臣は、前条第二項の規定により届出があつた安全衛生改善計画に定められた事項が法令に違反するものであるとき、又は当該船舶所有者に係る船員災害の防止を図る上で適切でないと認めるときは、その変更を命ずることができる。
(安全衛生改善計画の遵守)
第十八条 安全衛生改善計画を作成した船舶所有者及びその使用する船員は、当該安全衛生改善計画を守らなければならない。
第五条第二項中「第三条第二項」を「第六条第二項」に改め、同条を第八条とし、第四条を第七条とし、第三条を第六条とする。
第一章中第二条の次に次の三条を加える。
(船舶所有者の責務)
第三条 船舶所有者は、単に船員法その他船員の安全及び衛生に関する法令の規定を守るだけでなく、船員災害の防止のための自主的な活動を推進することにより、船内における快適な作業環境及び居住環境の実現並びに船員の労働条件の改善を通じて船員の安全と健康を確保するように努めなければならない。また、船舶所有者は、国が実施する船員災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。
(船員の責務)
第四条 船員は、船員災害を防止するため必要な事項を守るほか、船舶所有者その他の関係者が実施する船員災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。
(国の援助等)
第五条 国は、船舶所有者又は船舶所有者の団体が船員災害の防止を図るために行う活動について、財政上の措置、技術上の助言、資料の提供その他必要な援助を行うように努めるものとする。
2 国は、船員災害の防止に資する科学技術の振興を図るため、研究開発の推進及びその成果の普及その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
2 この法律の施行前にこの法律による改正前の船員災害防止協会等に関する法律の規定によりされた処分、手続その他の行為は、この法律による改正後の船員災害防止活動の促進に関する法律の規定によりされた処分、手続その他の行為とみなす。
3 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(国家公務員法の一部改正)
4 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の一部を次のように改正する。
附則第十六条中「船員災害防止協会等に関する法律」を「船員災害防止活動の促進に関する法律」に改める。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律の一部改正)
5 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律(昭和二十二年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。
第二条第二号ヰ中「船員災害防止協会等に関する法律」を「船員災害防止活動の促進に関する法律」に改める。
(地方公務員法の一部改正)
6 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第五十八条第二項中「並びに船員災害防止協会等に関する法律(昭和四十二年法律第六十一号)及びこれに」を「の規定並びに船員災害防止活動の促進に関する法律(昭和四十二年法律第六十一号)第二章及び第五章の規定並びに同章に」に改め、同条第三項中「並びに船員法」を「、船員法」に改め、「部分の規定」の下に「並びに船員災害防止活動の促進に関する法律第六十二条の規定」を加え、「部分並びに」を「部分の規定並びに船員災害防止活動の促進に関する法律第六十二条の規定並びに」に改め、同条第四項中「及び船員法」を「、船員法及び船員災害防止活動の促進に関する法律」に改める。
(自衛隊法の一部改正)
7 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)の一部を次のように改正する。
第百八条中「船員災害防止協会等に関する法律」を「船員災害防止活動の促進に関する法律」に改める。
(所得税法の一部改正)
8 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表船員災害防止協会の項中「船員災害防止協会等に関する法律」を「船員災害防止活動の促進に関する法律」に改める。
(法人税法の一部改正)
9 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第二第一号の表船員災害防止協会の項中「船員災害防止協会等に関する法律」を「船員災害防止活動の促進に関する法律」に改める。
(運輸省設置法の一部改正)
10 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中第二十四号の六を第二十四号の七とし、第二十四号の五を第二十四号の六とし、第二十四号の四の次に次の一号を加える。
二十四の五 船舶所有者に対し、船員に係る安全衛生改善計画の作成を指示し、又はその変更を命ずること。
第五十七条第一項中「船員災害防止協会等に関する法律」を「船員災害防止活動の促進に関する法律」に改める。
内閣総理大臣 鈴木善幸
大蔵大臣臨時代理 国務大臣 河本敏夫
運輸大臣 小坂徳三郎
自治大臣 世耕政隆