(総括安全衛生担当者)
第十条 常時使用する船員の数が運輸省令で定める数以上である船舶所有者は、運輸省令で定めるところにより、総括安全衛生担当者を選任し、その者に次の業務を統括管理させなければならない。
一 船員の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
二 船内における作業環境及び居住環境を快適な状態に維持管理するための措置に関すること。
三 船員の安全及び衛生に関する教育の実施に関すること。
四 健康検査の実施その他船員の健康管理に関すること。
五 船員災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
2 総括安全衛生担当者は、船員の労務に関し船舶所有者の行う業務を統括管理する者をもつて充てなければならない。
(安全衛生委員会)
第十一条 常時使用する船員の数が運輸省令で定める数以上である船舶所有者は、次の事項を調査審議させ、船舶所有者に対し意見を述べさせるため、運輸省令で定めるところにより、安全衛生委員会を設けなければならない。
一 船員の危険又は健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
二 船内における作業環境及び居住環境を快適な状態に維持管理するための基本となるべき対策に関すること。
2 安全衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。
一 総括安全衛生担当者(前条第一項に規定する船舶所有者以外の船舶所有者の設ける安全衛生委員会にあつては、船員の労務に関し当該船舶所有者の行う業務を統括管理する者又はこれに準ずる者のうちから当該船舶所有者が指名した者)
二 当該船舶所有者に使用されている者で船内の安全に関し知識又は経験を有するもののうちから船舶所有者が指名した者
三 当該船舶所有者に使用されている者で船内の衛生に関し知識又は経験を有するもののうちから船舶所有者が指名した者
3 船舶所有者は、前項第二号及び第三号の委員には、船員法第八十二条の二に規定する衛生管理者であつた者その他の船員災害の防止のための業務に従事した経験を有する船員(船員であつた者を含む。)が含まれるようにしなければならない。
4 船舶所有者は、安全衛生委員会の委員には、その使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは船員の過半数を代表する者の推薦する者が含まれるようにしなければならない。
5 船舶所有者は、安全衛生委員会が第一項の規定により当該船舶所有者に対し述べる意見を尊重しなければならない。
(団体安全衛生委員会)
第十二条 前条第一項に規定する船舶所有者のうち常時使用する船員の数が運輸省令で定める数未満であるものをその構成員の一員とする団体であつて運輸省令で定めるところにより運輸大臣の指定を受けたもの(以下「指定団体」という。)は、当該船舶所有者が同項の規定により設けなければならない安全衛生委員会に代わるべきものとして、団体安全衛生委員会を当該指定団体に設けることができる。
2 指定団体が前項の規定により団体安全衛生委員会を設けたときは、当該指定団体の構成員である同項に規定する船舶所有者で当該団体安全衛生委員会に係るものは、前条第一項の規定にかかわらず、安全衛生委員会を設けないことができる。
3 団体安全衛生委員会は、前項の規定により安全衛生委員会を設けない船舶所有者(以下「特定船舶所有者」という。)に係る前条第一項各号に掲げる事項を調査審議し、特定船舶所有者に対し意見を述べるものとする。
4 特定船舶所有者は、団体安全衛生委員会が前項の規定により当該特定船舶所有者に対し述べる意見を尊重しなければならない。
5 前条第二項(第一号に係る部分を除く。)、第三項及び第四項の規定は、団体安全衛生委員会について準用する。この場合において、同条第二項第二号及び第三号中「当該船舶所有者」とあるのは「当該指定団体又はその構成員である特定船舶所有者」と、「船舶所有者が」とあるのは「指定団体が」と、同条第三項中「船舶所有者」とあるのは「指定団体」と、同条第四項中「船舶所有者」とあるのは「指定団体」と、「その使用する」とあるのは「その構成員である特定船舶所有者の使用する」と読み替えるものとする。
(船員の意見を聴くための措置)
第十三条 常時使用する船員の数が第十一条第一項の運輸省令で定める数未満である船舶所有者は、船員災害の防止に関しその使用する船員の意見を聴くために必要な措置を講じなければならない。
(安全衛生教育の体制の整備)
第十四条 船舶所有者は、船員の安全及び衛生に関する知識及び技能の水準の向上を図り、船員災害の防止に資するため、運輸省令で定めるところにより、船員の安全及び衛生に関する教育の体制の整備に関し必要な措置を講じなければならない。
(勧告)
第十五条 運輸大臣は、適切な安全衛生管理体制を確保するため必要があると認めるときは、船舶所有者又は団体安全衛生委員会を設けた指定団体に対し、総括安全衛生担当者の業務の執行の改善、安全衛生委員会又は団体安全衛生委員会の委員の増員、前条の教育の体制の改善その他の必要な措置を講ずべきことについて勧告することができる。